(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カウンタは、前後に隣接するカウント値間のハミング距離が1であるカウント値をカウントするグレイコードカウンタであることを特徴とする請求項7記載の固体撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による固体撮像装置の構成例を示す図である。複数の画素100は、2次元行列状に配置される。各画素100は、例えばフォトダイオードを含み、光電変換に基づく画素信号を生成する。各画素100は、フォトダイオードで発生した電荷に基づいて電圧信号を出力する増幅部を備えていても良い。垂直走査回路110は、行単位で画素100を順に選択し、選択した画素100で発生するアナログ信号を列方向の比較器120に読み出す。参照電圧発生器130は、各列の比較器120に参照電圧を出力する。複数の比較器120は、画素100の列毎に設けられ、画素100の画素信号と参照電圧とを比較する。カウンタ140は、画素100の全列に共通に1個設けられ、nビットのデジタル値をカウントして出力する。nは、1以上の整数である。複数の第1の蓄積部150は、画素100の列毎にn個ずつ設けられ、各列の比較器120の比較結果に応じて、カウンタ140により出力されるnビットのデジタル値を1ビット単位で列毎に書き込んで保持する。複数の第2の蓄積部160は、複数の第1の蓄積部150に対応して設けられ、第1の蓄積部150から転送されたデジタル値を保持する。
図1では、nが1である場合を模式的に示している。水平走査回路170は、各列の第2の蓄積部160に蓄積されたデータを順次、出力部180に出力する。
【0010】
より具体的には、例えば、参照電圧発生器130は、時間とともに変化する参照電圧(参照信号)を生成する。カウンタ140は、参照電圧発生器130が参照電圧の生成を開始すると、カウントを開始する。比較器120は、画素100の出力信号と、参照電圧発生器130から出力される参照電圧とを比較する。画素100の出力信号と参照電圧との大小関係が逆転すると、比較器120の出力が反転し、それをトリガにして、第1の蓄積部150は、カウンタ140の出力値を蓄積する。その結果、画素100に基づく画素信号をアナログからデジタルに変換し、第1の蓄積部150にデジタル信号を蓄積させることができる。その後、第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160間の転送制御により、第1の蓄積部150に蓄積された値を第2の蓄積部160に転送して蓄積する。これにより、画素100の出力信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して第1の蓄積部150に蓄積している間に、水平走査回路170は、1行前のデジタル信号を第2の蓄積部160からデジタル出力部180に出力させることができる。以上のように、A/D(アナログ/デジタル)変換部は、比較器120、参照電圧発生器130、カウンタ140及び第1の蓄積部150を有し、複数の画素100の列毎に設けられ、画素100が出力するアナログの画素信号をnビットのデジタル値に変換する。
【0011】
図1では、第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160を簡略化し、各列に1ビット分の第1の蓄積部150と第2の蓄積部160とを備える例を示した。しかし、実際には、
図2のように、列毎にA/D変換のビット数分(n個)の第1の蓄積部150と第2の蓄積部160を有する。
図2は、
図1の領域Aのより詳細な構成例を示す図である。画素100の各列共通のカウンタ140が設けられる。カウンタ140からのデジタルデータは、データ線190を通って、ビット毎の第1の蓄積部150に保持される。データ線190は、カウンタ140及び第1の蓄積部150の間に接続される。なお、
図2では、簡単のためにデータ線190を8ビット(n=8)で表現してあるが、実際には何ビットでも良い。第2の蓄積部160に保持されたデジタルデータは、出力線200を通って出力される。第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160の配置方法として、1ビットに対応する第1の蓄積部150と第2の蓄積部160を列に沿った方向に近接配置して対とした蓄積部対を、行に沿った方向に2個、列に沿った方向に4個配列している。すなわち、画素100の各列について、同一ビットのデジタル値を保持する第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160がn個の対をなし、そのn個の対が2次元行列状に配列されている。対をなす第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160は、画素100の列に沿った方向に隣接して配列されている。これにより、列方向の高さを低減し、チップ面積を低減することが可能となる。後に、第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160のレイアウト例を、詳細に説明する。
【0012】
図3は、第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160の構成例を示す回路図である。第1の蓄積部150は、CMOSスイッチ210、インバータ220、及びトライステートインバータ230を有する。インバータ220は、入力端子がトライステートインバータ230の出力端子に接続され、出力端子がトライステートインバータ230の入力端子に接続される。CMOSスイッチ210の端子GNはNMOSスイッチのゲート端子であり、端子GPはPMOSスイッチのゲート端子である。また、トライステートインバータ230の回路図を
図4に示す。トライステートインバータ230は、NMOSトランジスタ280,290とPMOSトランジスタ300,310を有する。端子GPがハイレベル、端子GNがローレベルの際には、トライステートインバータ230はハイインピーダンス出力状態となる。端子GPがローレベル、端子GNがハイレベルの際には、トライステートインバータ230はインバータと同様の動作を行う。CMOSスイッチ210がオン状態、トライステートインバータ230がハイインピーダンス出力状態の場合、第1の蓄積部150は入力からの信号を書き込む状態となる。信号を書き込んだ後、CMOSスイッチ210をオフ状態、トライステートインバータ230をインバータ動作の状態とすることで、第1の蓄積部150は信号の保持を行う。
【0013】
また、第2の蓄積部160は、CMOSスイッチ240、インバータ250、及びトライステートインバータ260,270を有する。第2の蓄積部160は、第1の蓄積部150に対して、トライステートインバータ270を追加したものである。第2の蓄積部160の信号の書き込み動作と保持動作は、第1の蓄積部150と同様である。信号の出力を行う際には、トライステートインバータ270をインバータ動作の状態として信号の出力を行う。
図2に示したように、各列の同一ビットの第2の蓄積部160の出力同士は出力配線200上でショートされている。よって、第2の蓄積部160は、出力素子としてトライステートインバータ270を用いて列毎に順次、出力を行うことによって貫通電流の発生を防いでいる。
【0014】
図5は、第1の蓄積部150のレイアウト例を示す図である。なお、
図5は、第2の蓄積部160のうちのトライステートインバータ270を除いた部分のレイアウト例でもある。320はPウェル領域であり、330はN型アクティブ領域であり、340はP型アクティブ領域である。なお、Pウェル領域320の範囲外はNウェル領域となっている。350,360,370,380,390はポリゲート電極であり、400,410,420,430,440はメタル配線である。また、450の四角状の領域はコンタクト領域である。コンタクト領域450は、メタル配線400〜440と、メタル配線400〜440の下にあるN型アクティブ領域330、P型アクティブ340もしくはポリゲート電極350〜390とを接続する。
【0015】
N型アクティブ領域330及びポリゲート電極350を有するNMOSトランジスタと、P型アクティブ領域340及びポリゲート電極360を有するPMOSトランジスタは、
図3のCMOSスイッチ210を構成している。メタル配線400は、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの一端同士を接続しており、CMOSスイッチ210の入力端子となっている。メタル配線410は、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタのもう一端同士を接続しており、CMOSスイッチ210の出力端子となっている。また、メタル配線410は、ポリゲート電極390にも接続されており、ポリゲート電極390は
図3のインバータ220の入力端子となっている。メタル配線440は、インバータ220の出力端子となっており、また図示していないが、メタル配線420はグランド電位ノードに、メタル配線430は電源電位ノードに接続されている。なお、
図5においては、簡単のため、1層分のメタル配線のみを図示している。メタル配線440は、ポリゲート電極380にも接続されており、これは
図3のトライステートインバータ230の入力端子となっている。トライステートインバータ230の出力は、メタル配線410であり、前述のように、インバータ220の入力であるポリゲート電極390及びCMOSスイッチ210の出力端子に接続されている。なお、ポリゲート電極360は、
図3のCMOSスイッチ210の端子GP及びトライステートインバータ230の端子GNとなっている。すでに説明した書き込み動作と保持動作に従って、ポリゲート電極360は、書き込み動作の場合にはローレベル、保持動作の場合にはハイレベルになる。第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160のN型アクティブ領域330では、それぞれ、画素100の列に沿った方向に並ぶ複数のNMOSトランジスタが設けられる。また、第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160のP型アクティブ領域340では、それぞれ、画素100の列に沿った方向に並ぶ複数のPMOSトランジスタが設けられる。
【0016】
また、
図5中のAはコンタクト領域450を含むアクティブ領域の長さ、Bはポリゲート長、Cはコンタクト領域450を含まないアクティブ領域の長さを示している。また、
図5中のDはアクティブ領域の幅、EはP型アクティブ領域340とPウェル領域320の距離、FはN型アクティブ領域330とNウェル領域の距離を示している。
図5は、A=2.5B、C=1.5B、D=2.5B、E=3B、F=3Bのデザインルールに従った縮尺で記述している。これらの数字からアクティブ領域330,340の縦方向の長さを算出することが可能であり、4A+4B+C=15.5Bである。また、N型アクティブ領域330の左端からP型アクティブ領域340の右端の距離は、2D+E+F=11Bである。
【0017】
図6は、
図2で示した1個の比較器120と、第1の蓄積部150と第2の蓄積部160の2対分のレイアウト例を示す図である。
図5で示したレイアウトを2×2個分配置し、その下にトライステートインバータ270を配置している。つまり、列方向に第1の蓄積部150と第2の蓄積部160を配置した蓄積部対を行方向に2つ配置している。上述の計算からN型アクティブ領域331の高さは15.5Bであるため、図中のGの高さは、15.5B×2+2.5B=33.5Bである。また、Hの高さは13.5Bであるため、GとHのトータルは47Bである。しかし、2対分を行方向に配置しているので、1対あたりの高さは23.5Bとなる。このように、行方向に複数対並べて、1対あたりの高さを低減する手法に対して、
図7のように1対をより横長の形状にし、高さを低減する手法も考えられる。これは、第1の蓄積部150と第2の蓄積部160を配置した蓄積部対を行方向に1つのみ配置している。
図7ではN型アクティブ領域330、P型アクティブ領域340の向きを90°変更し、各MOSトランジスタの並びの方向を列方向から行方向に変更することで1対の高さの低減を行っている。上述の計算結果からN型アクティブ領域330の上端からP型アクティブ領域340の下端までの高さは11Bであるため、図中のIの高さは、11B×2+5B=27Bである。また、Jの高さはおよそ17Bであるため、IとJのトータルは44.5Bである。よって、
図7のレイアウトは、1対あたりの高さが23.5Bである
図6よりも面積を抑えることができない。ゆえに、本実施形態の
図6のレイアウトは、蓄積部対を列方向に1次元に配置するよりも、2次元状に配置することにより、面積を低減することが可能となる。
【0018】
図6では、第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160の対が2個隣接しており、隣接する2個の対は、ラインA−A’を中心として線対称のレイアウトになっている。これにより、同一極性のアクティブであるP型アクティブ領域340及び341を隣合わせることによって、行方向の幅を縮小することが可能となる。P型アクティブ領域340にN型アクティブ領域331を隣あわせる場合は、P型アクティブ領域340とPウェル領域321の間にスペースをとる必要があるため、P型アクティブ領域340とN型アクティブ領域331の間の距離が大きくなってしまう。
【0019】
図6においては、ポリゲート電極370が2つのP型アクティブ領域340及び341とオーバーラップしており、2つのPMOSトランジスタのゲート電極となっていることがわかる。これは、
図3のトライステートインバータ230の端子GPが2つの第1の蓄積部150の間でショートしていることを意味する。しかし、同一の比較器120の出力信号によって書き込み動作が制御される第1の蓄積部150同士は、同じ制御信号によって書き込み動作を行うため、トライステートインバータ230の端子GP同士がショートしていることは問題とならない。ポリゲート電極370に入力される制御信号は、メタル配線400〜440よりも上層のメタル配線で、比較器120から列方向に走る配線によって入力される(図示せず)。
図6のように、ポリゲート電極370を2つのMOSトランジスタで共通化することによって、上記の制御信号の配線を2本ではなく、1本に減らすことが可能となる。これにより、配線間ショートによる歩留まり低下を防止することが可能となる。また、縦方向の制御配線本数が多い場合は、配線本数で行方向の幅が大きくなる場合があるので、行方向の幅縮小にも寄与する。
【0020】
図6及び
図7よりも比較器120の行方向の幅が大きい場合は、
図8及び
図9のレイアウトを採用することが考えられる。
図6では、第1の蓄積部150と第2の蓄積部160の蓄積部対を行方向に2対配置していたのに対して、
図8では、第1の蓄積部150と第2の蓄積部160の蓄積部対を行方向に3対配置している。
【0021】
図9では、
図7の第1の蓄積部150と第2の蓄積部160の蓄積部対を行方向に2対配置している。第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160のN型アクティブ領域330では、それぞれ、画素100の行に沿った方向に並ぶ複数のNMOSトランジスタが設けられる。また、第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160のP型アクティブ領域340では、それぞれ、画素100の行に沿った方向に並ぶ複数のPMOSトランジスタが設けられる。
【0022】
図8では、1つの蓄積部対あたりの高さは47B÷3=15.7Bに対して、
図9では、44.5B÷2=22.25Bであり、
図8のレイアウトの方が
図9のレイアウトよりも面積的に有利である。つまり、アクティブ領域(例えば、領域330など)を縦長にし、MOSトランジスタを列方向に並べる方が有利である。ただし、
図9も、
図10よりも面積的に有利である。
図10では、P型アクティブ領域340をN型アクティブ領域330の横に配置することで高さの低減を行っている。しかし、ポリゲート電極360,380,390のパターンが複雑になることで、蓄積部対の高さを
図9の半分以下まで低減することができない。よって、やはり、
図10のように蓄積部対を行方向に1つのみ配置する(列方向に1次元に配置する)よりも、蓄積部対を2次元状に配置することにより、面積を低減することが可能となることがわかる。
【0023】
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態による固体撮像装置の構成例を示す図である。但し、ここでは上述した第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
図11では、同一のビットに対応する第1の蓄積部150と第2の蓄積部160を行に沿った方向に近接配置して対とした蓄積部対を、行に沿った方向に2個、列に沿った方向に4個配列している。すなわち、対をなす第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160は、画素100の行に沿った方向に隣接して配列されている。ただし、
図6で示しているように、第1の蓄積部150に対して第2の蓄積部160は面積が大きく、列方向の高さが大きい。よって、第1の蓄積部150と第2の蓄積部160を行に沿った方向に近接配置して対とした場合は、その対の高さは第2の蓄積部160の高さで決まる。ゆえに、第2の蓄積部160の高さ×4だけ面積が必要になる。これに対して、
図2と同様に、同一のビットに対応する第1の蓄積部150と第2の蓄積部160を列に沿った方向に近接配置して対とした蓄積部対を2次元状に配置する場合は、
図12のようになる。蓄積部対は、行に沿った方向に4個、列に沿った方向に2個配列されている。この場合は、第1の蓄積部150の高さ×2+第2の蓄積部160の高さ×2となり、面積を低減することが可能となる。よって、面積低減の観点からは、第1の蓄積部150と第2の蓄積部160を列に沿った方向に近接配置して対とする方、すなわち第1の実施形態の方が第2の実施形態よりも好ましい。
【0024】
(第3の実施形態)
図13は、本発明の第3の実施形態による固体撮像装置の構成例を示す図である。但し、ここでは上述した第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
図13では、グレイコードカウンタ500をカウンタ140として用いている。グレイコードカウンタ500がカウントするグレイコードのカウント値は、前後に隣接するカウント値間のハミング距離が1である。これにより、A/D変換のリニアリティ特性の悪化を低減することが可能となる。データ線190は、8ビットのデータ線190−1〜190−8を有する。第1の蓄積部150と第2の蓄積部160の蓄積部対を2次元状に配置した場合、同じ高さに複数の第1の蓄積部150が配されるため、例えば、データ線190−1とデータ線190−2のように近接して配されるものがでてくる。このような場合に、例えばバイナリカウンタを用いるとA/D変換の特性に悪影響を及ぼす。以下、この点について説明する。
【0025】
図14は、カウンタ140としてバイナリカウンタを用いた場合のデータ線190−1〜190−4の信号の時間波形を示す図である。時刻t0からt1がカウント値0、時刻t1からt2がカウント値1というようにカウントが進んでいく。ここで、2本のデータ線190−1及び190−2の信号に着目すると、時刻t1において、データ線190−1の信号がローレベルからハイレベルに遷移し、データ線190−2の信号は遷移しない。この時、
図13において、データ線190−1とデータ線190−2の間に発生するカップリング容量Ccに充電を行うことで、データ線190−1の電位はハイレベルに遷移する。一方、時刻t2においては、データ線190−1の信号がハイレベルからローレベルに遷移し、データ線190−2の信号がローレベルからハイレベルに遷移する。つまり、データ線190−1とデータ線190−2の信号は逆方向に変化するため、カップリング容量Ccを充放電する電荷量は2倍となり、見掛け上、2×Ccの容量値として寄与する。これにより、
図14において、時刻t2のデータ線190−1とデータ線190−2の信号の変化が遅くなり、カウント値1の期間の時間幅が広くなり、カウント値2の期間の時間幅が狭くなってしまう。これは、A/D変換のリニアリティが悪化することを意味する。
【0026】
図15は、カウンタ140としてグレイコードカウンタ500を用いた場合のデータ線190−1〜190−4の信号の時間波形を示す図である。時刻t0からt1がカウント値0、時刻t1からt2がカウント値1というようにカウントが進んでいく。グレイコードカウンタ500においては、どのカウント値の切り替わりのタイミングにおいても、1本のデータ線の信号のみが遷移する。例えば、時刻t1では、データ線190−1の信号のみが遷移し、時刻t2では、データ線190−2の信号のみが遷移する。よって、
図13において、複数ビットのデータ線190間のカップリング容量は常に対地容量として働く。これにより、A/D変換のリニアリティ特性の悪化を低減することが可能となる。
【0027】
(第4の実施形態)
図16は、本発明の第4の実施形態による固体撮像装置の構成例を示す図である。但し、ここでは上述した第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
図16においては、複数ビットのデータ線190の各々にリピートバッファ510を設けている。リピートバッファ510は、左半分の第1の蓄積部150と右半分の第1の蓄積部150との間における各ビットのデータ線190に設けられ、データ線190の信号を増幅する。右半分(一部)の第1の蓄積部150は、リピートバッファ510を介してカウンタ140の出力値を入力する。左半分(他の一部)の第1の蓄積部150は、リピートバッファ510を介さずにカウンタ140の出力値を入力する。右半分の第1の蓄積部150とカウンタ140との間の距離は、左半分の第1の蓄積部150とカウンタ140との間の距離より長い。これにより、複数ビットのデータ線190同士の間で発生するカップリングにより、A/D変換値に誤差が生じるのを防ぐことができる。
【0028】
(第5の実施形態)
図17は、本発明の第5の実施形態による固体撮像装置の構成例を示す図である。但し、ここでは上述した第4の実施形態との相違点についてのみ説明する。
図17においては、複数ビットのデータ線190の各々にバッファ520及び530を設けている。バッファ520及び530は、カウンタ140のデータ線190の同一ビットの出力値を増幅する。左半分(一部)の第1の蓄積部150は、第1のバッファ520を介してカウンタ140の出力値を入力する。右半分(他の一部)の第1の蓄積部150は、第2のバッファ530を介してカウンタ140の出力値を入力する。これにより、第1の蓄積部150中のデータ線190同士の距離が近い領域において、データ線190間で発生するカップリングにより、A/D変換値に誤差が生じるのを防ぐことができる。また、データ線190は、
図16では、多数の第1の蓄積部150を駆動しなければならないのに対して、
図17では、バッファ520及び530のみを駆動すればよく、かつデータ線190間距離を広くとることができる。これにより、データ線190の負荷を軽減し、データ線190上を伝送するカウント信号の遅延量を低減することができる。理想的にはすべての列でA/D変換値が一定となる場合にも、カウント信号が遅延すると、カウンタ140から遠い列ほど徐々にA/D変換値が大きくなり、シェーディングのノイズとなる。よって、
図17の構成により、シェーディングを低減することが可能となる。
【0029】
上記の第1の実施形態では、画素100の各列にA/D変換部が1つずつ設けられ、画素ピッチ=A/D変換部のピッチの場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。画素ピッチ>A/D変換部のピッチでも、画素ピッチ<A/D変換部のピッチでもよい。
【0030】
また、第1〜第5の実施形態では、A/D変換精度が8ビットの場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。
【0031】
また、第1の実施形態では、第1の蓄積部150として、CMOSスイッチ210とインバータ220とトライステートインバータ230を用いたものを例にとって説明したが、これに限られるものではない。また、第1の実施形態では、第2の蓄積部160として、CMOSスイッチ240とインバータ250と2個のトライステートインバータ260,270を用いたものを例にとって説明したが、これに限られるものではない。
【0032】
また、第1〜第5の実施形態では、1つの比較器120に対して行方向に並べる第1の蓄積部150及び第2の蓄積部160の数が2から4の場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。5以上の数でもよい。
【0033】
(第6の実施形態)
図18は、本発明の第6の実施形態による撮像システムの構成例を示す図である。撮像システム800は、例えば、光学部810、撮像素子880、映像信号処理部830、記録・通信部840、タイミング制御部850、システム制御部860、及び再生・表示部870を含む。撮像装置820は、撮像素子880及び映像信号処理部830を有する。撮像素子880は、先の実施形態で説明した固体撮像装置が用いられる。
【0034】
レンズ等の光学系である光学部810は、被写体からの光を撮像素子880の、複数の画素100が2次元状に配列された画素部に結像させ、被写体の像を形成する。撮像素子880は、タイミング制御部850からの信号に基づくタイミングで、画素部に結像された光に応じた信号を出力する。撮像素子880から出力された信号は、映像信号処理部830に入力され、映像信号処理部830が、プログラム等によって定められた方法に従って信号処理を行う。映像信号処理部830での処理によって得られた信号は画像データとして記録・通信部840に送られる。記録・通信部840は、画像を形成するための信号を再生・表示部870に送り、再生・表示部870に動画や静止画像を再生・表示させる。記録・通信部840は、また、映像信号処理部830からの信号を受けて、システム制御部860と通信を行うほか、不図示の記録媒体に、画像を形成するための信号を記録する動作も行う。
【0035】
システム制御部860は、撮像システムの動作を統括的に制御するものであり、光学部810、タイミング制御部850、記録・通信部840、及び再生・表示部870の駆動を制御する。また、システム制御部860は、例えば記録媒体である不図示の記憶装置を備え、ここに撮像システムの動作を制御するのに必要なプログラム等が記録される。また、システム制御部860は、例えばユーザの操作に応じて駆動モードを切り替える信号を撮像システム内に供給する。具体的な例としては、読み出す行やリセットする行の変更、電子ズームに伴う画角の変更や、電子防振に伴う画角のずらし等である。タイミング制御部850は、システム制御部860による制御に基づいて撮像素子880及び映像信号処理部830の駆動タイミングを制御する。
【0036】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。