特許第6246040号(P6246040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246040
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/34 20060101AFI20171204BHJP
   F24C 7/04 20060101ALI20171204BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F24C15/34 A
   F24C7/04 A
   A47J37/06 371
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-62301(P2014-62301)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-183958(P2015-183958A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年6月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 智也
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭46−001485(JP,A)
【文献】 特開昭54−060069(JP,A)
【文献】 実開平05−019814(JP,U)
【文献】 実開昭56−047403(JP,U)
【文献】 特開2012−077932(JP,A)
【文献】 特許第3414298(JP,B2)
【文献】 実開昭58−120406(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C7/00
F24C7/04−7/06
A47J37/00−37/08
F24C15/16−15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱庫を有する本体と、
前記加熱庫の内部に設けられ、被加熱物が載置される載置部と、
前記載置部よりも前記加熱庫の後方に設けられ、光源を有する熱放射型の加熱手段と、を備え、
前記加熱庫は、前記本体の縦断面視において2つの楕円の弧形状を含む形状となっており、内壁面が光を反射する材質で構成されており、
前記2つの楕円は、それぞれの楕円の1つの焦点が互いに重なった位置にあり、重なった焦点に、前記載置部の一部及び前記加熱手段の少なくとも何れかが設けられていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
加熱庫を有する本体と、
前記加熱庫の内部に設けられ、被加熱物が載置される載置部と、
前記載置部よりも前記加熱庫の後方に設けられ、光源を有する熱放射型の加熱手段と、を備え、
前記加熱庫は、前記本体の縦断面視において楕円の弧形状を含む形状となっており、内壁面が光を反射する材質で構成されており、
前記加熱手段は複数設けられ、
前記楕円の一方の焦点に、前記載置部の一部が設けられ、
複数の前記加熱手段は、
前記加熱庫の前後方向及び前記加熱庫の上下方向において相違する位置に設けられ、
前記載置部の一部が位置する前記一方の焦点とともに前記楕円を形成する他方の焦点に、複数の前記加熱手段のうち相対的に上方に位置する加熱手段が設けられる
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
前記載置部及び前記加熱手段の少なくとも何れかの位置は、前記加熱庫の上下方向及び前後方向の少なくとも何れかに可変となっている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記載置部と前記加熱手段との間に設けられ、前記加熱手段から出射される光を遮断する遮蔽板をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記載置部の上面には、前記被加熱物の形状に応じた載置位置を示す目印が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜請求項の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記加熱手段は複数設けられ、
前記重なった焦点に、前記載置部の一部が設けられる
ことを特徴とする請求項1又は請求項1に従属する請求項3〜5の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
複数の前記加熱手段は、
前記加熱庫の前後方向において相違し前記加熱庫の上下方向において一致する位置に設けられている
ことを特徴とする請求項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
複数の前記加熱手段は、
前記加熱庫の上下方向において相違し前記加熱庫の前後方向において一致する位置に設けられている
ことを特徴とする請求項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記重なった焦点は、前記加熱手段が位置する第1焦点であり、
前記第1焦点とともに楕円を形成する第2焦点と、
前記第1焦点とともに楕円を形成する第3焦点と、を規定し、
前記第2焦点及び前記第3焦点は、前記第1焦点を通る水平線を基準軸としてそれぞれ対称に設けられ、
前記加熱庫は、
前記本体の縦断面視において、前記第1焦点及び前記第2焦点を焦点とする第1楕円の弧形状、並びに前記第1焦点及び前記第3焦点を焦点とする第2楕円の弧形状を含む形状であり、前記第1楕円と、前記第2楕円とを組み合わせたときに接する2つの交点を基準として前記第1楕円及び前記第2楕円をそれぞれ2つの円弧に分けた場合に、前記第1楕円の劣弧と前記第2楕円の劣弧とを含む形状で特定される
ことを特徴とする請求項1又は請求項1に従属する請求項3〜5の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記本体の内壁面には、前記本体に対して着脱自在な反射板が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記載置部の下方に位置する前記本体の内壁面には開口部が設けられ、
前記開口部の下方には、前記本体に対して着脱自在な受け部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記本体の内壁面のうち前記加熱手段の背面と対向する内壁面は反射率の低い材料で構成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項11の何れか一項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加熱物を載置する焼網と、焼網の上部に設けられた上ヒーターと、を調理庫の内部に設けたオーブントースターがあった(特許文献1参照)。特許文献1に記載のオーブントースターの上ヒーターは、石英等からなる耐熱性の電気絶縁管に発熱線を装着した遠赤外線ヒーターと、石英管等にタングステンの発熱体をアルゴンガスやハロゲンガスなどのガスを封入した近赤外線ヒーターと、で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3414298号公報([0012]、[0013]、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のオーブントースターは、焼網の上部に上ヒーターを設けているため、オーブントースターの使用中に上ヒーターが破損した場合には、上ヒーターを構成する部材の破片が落下して被加熱物に降りかかる可能性がある。このため、被加熱物である調理物に破片が付着した状態で、誤って口に入れてしまう恐れがあるという課題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を背景としてなされたものであり、従来よりも安全性の高い加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器は、加熱庫を有する本体と、前記加熱庫の内部に設けられ、被加熱物が載置される載置部と、前記載置部よりも前記加熱庫の後方に設けられ、光源を有する熱放射型の加熱手段と、を備え、前記加熱庫は、前記本体の縦断面視において2つの楕円の弧形状を含む形状となっており、内壁面が光を反射する材質で構成されており、前記2つの楕円は、それぞれの楕円の1つの焦点が互いに重なった位置にあり、重なった焦点に、前記載置部の一部及び前記加熱手段の少なくとも何れかが設けられているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源を有する熱放射型の加熱手段が、載置部よりも加熱庫の後方に設けられている。このため、仮にオーブントースターの使用中に加熱手段が破損しても、加熱手段の破片等が落下し、被加熱物に降りかかる可能性を低減することができる。したがって、従来よりも安全性が高い加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態1に係る加熱調理器100の全体斜視図である。
図2図1のX−X断面図である。
図3】本実施の形態1に係る加熱調理器100の内部を示す概略図である。
図4図1のY−Y断面図である。
図5】本実施の形態1に係る加熱調理器100の載置部10及び加熱手段30の位置が可変であることを示す加熱調理器100の概略図である。
図6】本実施の形態2に係る加熱調理器100の概略図である。
図7】本実施の形態3に係る加熱調理器100の概略図である。
図8】本実施の形態4に係る加熱調理器100の概略図である。
図9】本実施の形態5に係る加熱調理器100の概略図である。
図10】本実施の形態6に係る加熱調理器100の概略図である。
図11】本実施の形態7に係る加熱調理器100の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の加熱調理器について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。さらに、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は本実施の形態1に係る加熱調理器100の全体斜視図である。図2図1のX−X断面図である。図3は本実施の形態1に係る加熱調理器100の内部を示す概略図である。図4図1のY−Y断面図である。図5は本実施の形態1に係る加熱調理器100の載置部10及び加熱手段30の位置が可変であることを示す加熱調理器100の概略図である。
【0011】
図1に示されるように、加熱調理器100は、前面が開口する本体1と、本体1の開口を覆う扉2と、を備える。扉2は、取っ手2aを有する部材であり、本体1に回動自在に取り付けられる。使用者が、例えば、取っ手2aを把持して本体1の前面側に扉2を引き出すことで、本体1の内部に設けられる部材を取り出すことができる。
【0012】
図2図4に示されるように、本体1の内部には加熱庫5が設けられている。図4に示されるように、加熱庫5の内部には、載置部10、加熱手段30、及び遮蔽板40が設けられている。加熱手段30は、載置部10よりも加熱庫5の後方に設けられている。このため、仮に加熱手段30が破損したとしても、破損した加熱手段30の破片が被加熱物20に降りかかることを抑制できる。したがって、従来よりも使用者に不快感を与えず作業性の良い加熱調理器を提供することができる。載置部10、加熱手段30、及び遮蔽板40の詳細については後述する。
【0013】
図4に示されるように、本体1の内部には、焦点50F1が規定されている。焦点50F1を通る水平線上であって焦点50F1よりも本体1の背面側には、焦点50F2が規定されている。これにより、焦点50F1,50F2を焦点とする楕円60Vが形成され、本体1の側面縦断面視において前方が開口する略楕円形状の加熱庫5が形成される。すなわち、本体1の側面縦断面視において楕円60Vの弧形状を含む加熱庫5が形成される。加熱庫5の内壁面5aは、例えば自身に導入された光を反射する材質(例えばアルミ)で構成されている。
【0014】
なお、加熱庫5が、本体1の側面縦断面視において楕円形状である場合には、加熱庫5が閉空間となってしまい、本体1の前面側に扉2を引き出しても、被加熱物20等を出し入れすることが出来なくなってしまう。このため、被加熱物20等を出し入れすることが出来るように加熱庫5が形成されている必要がある。したがって、例えば、扉2が開放された状態で加熱庫5の外部と加熱庫5の内部とが連通するように、加熱庫5の前面側に設けられる内壁面5aを構成することが望ましい。
【0015】
載置部10は、被加熱物20を載置するための部材であり、例えば、棒状の部材を格子状に配置して構成される。被加熱物20は、任意の形状を採用することができるが、例えば、図3のような箱形状のものと仮定して以後説明する。載置部10よりも加熱庫5の背面側には、加熱手段30が設けられる。加熱手段30は、例えば、光源を有する熱放射型ヒータ(ガラス管ヒータ)で構成される。加熱手段30は、加熱庫5の内部において加熱庫5の左右方向に延びるように設けられている。被加熱物20と加熱手段30との間には、遮蔽板40が設けられている。
【0016】
遮蔽板40は、加熱手段30から出射された光を反射又は透過させない材料で構成される。すなわち、遮蔽板40は、加熱手段30から出射されて自身に導入された光が、被加熱物20の背面に到達しないように機能する。例えば、遮蔽板40は、加熱手段30から出射される光を反射する、アルミ等の光沢のある金属で構成される。また例えば、遮蔽板40は、加熱手段30から出射されることで熱を蓄熱するセラミックなどの蓄熱性の良い材料で構成される。遮蔽板40は、例えば、遮蔽板40の上下方向の中心が焦点50F1,50F2を通る水平線上に位置するように設けられる。
【0017】
ここで、図4を用いながら楕円の性質について説明する。楕円60Vの周上の点を点Pとしたとき、焦点50F1と点Pとの距離及び焦点50F2と点Pとの距離の和は一定となる。また一般に、楕円は、一方の焦点を光源として光が出射されると他方の焦点に向かう性質を有する。このため、内壁面5aを反射部材で構成した場合であって光源を焦点50F2に設けた場合には、光源から出射される光は、焦点50F1に向かうこととなる。本実施の形態1においては、このような楕円の性質を利用して、焦点50F1を含む位置に被加熱物20の一部を設け、焦点50F2に加熱手段30を設け、加熱手段30から出射された光が漏れなく被加熱物20に導かれるようにしている。
【0018】
以下に、本実施の形態1の加熱手段30から出射される光の経路60Rについて説明する。図4に示されるように、加熱手段30から出射された光は、内壁面5aで反射されて焦点50F1に導かれ、被加熱物20が加熱される。なお、図4に示される光の経路60Rは、説明の都合上例示したものであり、図示の経路に限定されない。
【0019】
以上のように、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、加熱庫5が、本体1の縦断面視において楕円60Vの弧形状を含む形状となっており、載置部10の一部が焦点50F1に位置し、加熱手段30が焦点50F2に位置している。このため、加熱手段30から出射された光は、内壁面5aで反射されて焦点50F1に導かれ、被加熱物20が加熱される。したがって、被加熱物20の加熱効率を向上させることができる。
【0020】
また、被加熱物20と加熱手段30との間には、遮蔽板40が設けられている。このため、加熱手段30の熱が最も伝わることが想定される被加熱物20の背面が局所的に加熱されることを抑制できる。したがって、被加熱物20をムラなく加熱することができ、焦げ付きを抑制できる。
【0021】
なお、載置部10の上面には、被加熱物20を設ける最適(好適)な位置を示す目印が施されていることが望ましい。ここで、最適な位置とは例えば、被加熱物20の中心及び焦点50F1の少なくとも何れかを示す位置であり、被加熱物20の形状に応じて適宜決定される。また、目印とは例えば、被加熱物20を設ける最適な領域が他の領域とは識別可能となっているものを指す。
【0022】
例えば、載置部10に施される目印は、載置部10の上面のうち被加熱物20を設ける最適な位置の色を、載置部10の上面の他の領域とは異なる色としたものである。また例えば、載置部10に施される目印は、被加熱物20を設ける最適な位置を示す文字や記号を載置部10の上面に表示したものである。また例えば、載置部10に施される目印は、被加熱物20を設ける最適な位置に位置する載置部10の上面を上方に突出させて凸形状としたものである。また例えば、載置部10に施される目印は、被加熱物20を設ける最適な位置に位置する載置部10の上面を下方に窪ませて凹形状としたものである。
【0023】
また、焦点50F1を通る水平線上であって焦点50F1よりも本体1の背面側に焦点50F2を規定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、載置部10よりも本体1の背面側で且つ焦点50F1を通る水平線よりも上方に焦点50F2を規定して楕円60Vを形成してもよく、載置部10よりも本体1の背面側で且つ焦点50F1を通る水平線よりも下方に焦点50F2を規定して楕円60Vを形成してもよい。このように焦点50F2を規定しても、焦点50F2に設けられる加熱手段30から出射された光は、内壁面5aで反射されて焦点50F1に導かれ、被加熱物20が加熱される。
【0024】
ここで、載置部10よりも本体1の背面側で且つ焦点50F1を通る水平線よりも上方に焦点50F2を規定した場合には、加熱手段30が設けられる場所も上方に移動するため、これに伴い遮蔽板40の位置も上方に移動させることが望ましい。これにより、被加熱物20の背面が集中的に加熱されることを抑制できる。
また、載置部10よりも本体1の背面側で且つ焦点50F1を通る水平線よりも下方に焦点50F2を規定した場合には、加熱手段30が設けられる場所も下方に移動するため、これに伴い遮蔽板40の位置も下方に移動させることが望ましい。これにより、被加熱物20の背面が集中的に加熱されることを抑制できる。
【0025】
また、図5に示されるように、載置部10及び加熱手段30の少なくとも何れかの位置は、加熱庫5の上下方向及び前後方向の少なくとも何れかに可変としてもよい。この場合には、載置部10や加熱手段30の移動に伴い、焦点50F1,50F2を変化させる必要があるため、楕円60Vの形状も変化して加熱庫5の形状も変化する。
【0026】
また、図1の加熱庫5のY−Y断面形状が略楕円形状である例について説明したが、これに限定されない。例えば、図1の加熱庫5のX−X断面形状が楕円形状であってもよい。この場合には、例えば、載置部10及び加熱手段30が、加熱庫5の前後方向において一致し、加熱庫5の左右方向において相違する位置に設けられる。このようにして、本体1の外側と加熱庫5の内部とが連通するように本体1の内壁面5aを形成する必要がなくなり、本体1の内壁面5aを楕円形状とすることができる。したがって、被加熱物20の加熱効率を向上させることができる。
【0027】
また、以上の説明においては、本体1の前面側開口を覆う扉2を備える例について説明したが、これに限定されない。本体1の左側面又は本体1の右側面を開口させて、この開口を覆うように扉2を設けてもよい。この場合には、図1の加熱庫5のY−Y断面形状が楕円形状であっても、被加熱物20等を出し入れすることができる。したがって、被加熱物20の加熱効率を向上させることができる。
【0028】
また、以上の説明においては、焦点50F1に被加熱物20の一部を設ける例について説明したが、これに限定されない。例えば、焦点50F1に載置部10の一部を設けてもよい。このように構成しても、加熱手段30から出射された光のうち上方の内壁面5aで反射した光は、被加熱物20の内部を通過して載置部10に導入されるため、被加熱物20の加熱効率を向上させることができる。
【0029】
また、加熱庫5内の内壁面5aのうち加熱手段30の背面と対向する位置に設けられる内壁面5aにおける反射率を他の内壁面5aにおける反射率よりも低くしてもよい。内壁面5aにおける反射率を低くする方法としては、例えば、内壁面5aの反射材を黒く塗装する、内壁面5aの反射材を反射率の低いもので構成する、反射板70から反射される光が加熱手段30に入射しないように内壁面5aを加熱庫5の前方に突出させる、等の方法がある。このようにして、加熱手段30が反射による熱で不良を起こして破損してしまう可能性を低減することができる。したがって、加熱手段30の寿命を長くすることができる。
【0030】
また、焦点50F1に被加熱物20の一部を設け、焦点50F2に加熱手段30を設ける例について説明したが、これに限定されない。例えば、焦点50F1に加熱手段30を設け、焦点50F2に被加熱物20の一部を設けてもよい。このように構成しても、加熱手段30から出射された光は、内壁面5aで反射されて焦点50F1に導かれ、被加熱物20が加熱される。したがって、被加熱物20の加熱効率を向上させることができる。
【0031】
実施の形態2.
本実施の形態2は、実施の形態1とは異なり、加熱手段30a,30bを設けたものである。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0032】
図6は本実施の形態2に係る加熱調理器100の概略図である。図6に示されるように、加熱庫5の内部には、被加熱物20の一部が位置する焦点50F1が規定されている。焦点50F1を通る水平線上であって焦点50F1よりも本体1の背面側には、焦点50F2が規定されている。焦点50F2よりも加熱庫5の前方には加熱手段30aが設けられ、焦点50F2よりも加熱庫5の後方には加熱手段30bが設けられている。
【0033】
加熱手段30a,30bは、加熱庫5の前後方向において相違し加熱庫5の上下方向において一致する位置に設けられている。被加熱物20と加熱手段30aとの間には、遮蔽板40が設けられている。加熱庫5の前方から加熱庫5の後方側に向かって順に、被加熱物20、遮蔽板40、加熱手段30a、加熱手段30bが設けられている。
【0034】
以下に、本実施の形態2の加熱手段30a,30bから出射される光の経路60Rについて説明する。図6に示されるように、加熱手段30aから出射された光の一部は、内壁面5aで反射されて焦点50F1に導かれ、被加熱物20が加熱される。加熱手段30bから出射された光の一部は、内壁面5aで反射されて焦点50F1に導かれ、被加熱物20が加熱される。このように、加熱手段30a,30bから出射された光の一部のみが、焦点50F1に向かうことになる。
【0035】
以上のように、本実施の形態2に係る加熱調理器100は、加熱手段30a,30bが、加熱庫5の前後方向において相違し加熱庫5の上下方向において一致する位置に設けられ、焦点50F2の前後方向に加熱手段30a,30bが設けられている。このため、被加熱物20のうち焦点50F1に位置する被加熱物20の一部の領域が局所的に加熱されることを抑制できる。したがって、被加熱物20をムラなく加熱することができ、焦げ付きを抑制できる。
【0036】
なお、以上の説明においては、加熱手段30a,30bが加熱庫5の上下方向において一致する位置に設けられている例について説明したが、加熱手段30a,30bが加熱庫5の上下方向において完全一致していることに限定されるものでなく、加熱手段30a,30bが加熱庫5の上下方向において略一致しているものも含むものとする。
【0037】
実施の形態3.
本実施の形態3は、実施の形態1とは異なり、焦点50F1,50F21,50F22を規定し、加熱手段30a,30bを設けたものである。なお、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0038】
図7は本実施の形態3に係る加熱調理器100の概略図である。図7に示されるように、加熱庫5の内部には、被加熱物20の一部が位置する焦点50F1が規定されている。焦点50F1を通る水平線を基準軸として上下対称に焦点50F21,50F22が規定されている。焦点50F21は、焦点50F1よりも本体1の背面側で且つ焦点50F1を通る水平線よりも上方に位置し、焦点50F22は、焦点50F1よりも本体1の背面側で且つ焦点50F1を通る水平線よりも下方に位置している。本実施の形態3では、焦点50F1に被加熱物20の一部を設け、焦点50F21に加熱手段30aを設け、焦点50F22に加熱手段30bを設けるようにしている。加熱手段30a,30bは、加熱庫5の上下方向において相違し、加熱庫5の前後方向において一致する位置に設けられている。
【0039】
本実施の形態3においては、焦点50F1,50F21を焦点とする楕円60V1が形成され、焦点50F1,50F22を焦点とする楕円60V2が形成され、楕円60V1,60V2の形状に基づいて加熱庫5の形状が決定される。ここで、楕円60V1,60V2を組み合わせたときに接する2つの交点を基準として、楕円60V1,60V2をそれぞれ2つの円弧に分ける。具体的には、楕円60V1の優弧を優弧60V1S、楕円60V1の劣弧を劣弧60V1Mとし、楕円60V2の優弧を優弧60V2S、楕円60V2の劣弧を劣弧60V2Mとする。本実施の形態3においては、本体1の内壁面5aの側面縦断面形状が、優弧60V1S,60V2Sの弧形状を含む形状となっている。
【0040】
なお、優弧とは、円周上の2点で円周を2つの部分に分けたときに長さが全円周の半分よりも大きい方の弧を指す。また、劣弧とは、円周上の2点で円周を2つの部分に分けたときに長さが全円周の半分よりも小さい方の弧を指す。
【0041】
以下に、本実施の形態3の加熱手段30から出射される光の経路60Rについて説明する。図7に示されるように、加熱手段30aから出射された光の一部は、楕円60V1の優弧60V1Sに沿う内壁面5aで反射されて焦点50F1に導かれ、被加熱物20が加熱される。また、加熱手段30bから出射された光の一部は、楕円60V2の優弧60V2Sに沿う内壁面5aで反射されて焦点50F1に導かれ、被加熱物20が加熱される。
【0042】
ここで、本実施の形態3において、例えば、図6に示される焦点50F2の上方に加熱手段30aを設け、図6に示される焦点50F2の下方に加熱手段30bを設けることも考えられる。しかしながら、一方の加熱手段が他方の加熱手段を加熱する可能性が高く、被加熱物20の加熱効率が悪化する可能性がある。
【0043】
これに対して、本実施の形態3に係る加熱調理器100は、焦点50F1,50F21を焦点とする楕円60V1、及び焦点50F1,50F22を焦点とする楕円60V2の形状に基づいて加熱庫5の形状が決定されており、焦点50F1に被加熱物20の一部を設け、焦点50F21に加熱手段30aの一部を設け、焦点50F22に加熱手段30bの一部を設けるようにしている。このため、一方の加熱手段が他方の加熱手段を加熱する可能性を低減でき、被加熱物20の加熱効率が悪化する可能性を低減できる。
【0044】
なお、図7においては遮蔽板40を図示していないが、本実施の形態3においても、実施の形態1と同様に遮蔽板40を設けてもよい。例えば、被加熱物20の背面と焦点50F21とを結ぶ線分上に遮蔽板40を設け、被加熱物20の背面と焦点50F22とを結ぶ線分上に遮蔽板40を設けるとよい。これにより、被加熱物20の背面が局所的に加熱される可能性を低減できる。
【0045】
また、以上の説明においては、加熱手段30a,30bが加熱庫5の前後方向において一致する位置に設けられている例について説明したが、加熱手段30a,30bが加熱庫5の前後方向において完全一致していることに限定されるものでなく、加熱手段30a,30bが加熱庫5の前後方向において略一致しているものも含むものとする。
【0046】
実施の形態4.
本実施の形態4は、実施の形態1とは異なり、焦点50F11,50F12,50F2を規定したものである。なお、本実施の形態4において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0047】
図8は本実施の形態4に係る加熱調理器100の概略図である。図8に示されるように、焦点50F2を規定し、焦点50F2を通る水平線を基準軸として上下対称に焦点50F11,50F12が規定されている。焦点50F11は、焦点50F2よりも本体1の前面側で且つ焦点50F2を通る水平線よりも上方に位置し、焦点50F12は、焦点50F2よりも本体1の前面側で且つ焦点50F2を通る水平線よりも下方に位置している。焦点50F11,50F12は、例えば、加熱庫5の外側に規定される。本実施の形態4では、焦点50F11,50F12に被加熱物20を設けず、焦点50F2に加熱手段30を設けるようにしている。
【0048】
本実施の形態4においては、焦点50F11,50F2を焦点とする楕円60V1が形成され、焦点50F12,50F2を焦点とする楕円60V2が形成され、楕円60V1,60V2の形状に基づいて加熱庫5の形状が決定される。ここで、本実施の形態4においては、実施の形態3と同様に、楕円60V1,60V2を組み合わせたときに接する2つの交点を基準として、楕円60V1,60V2をそれぞれ2つの円弧に分ける。具体的には、楕円60V1の優弧を優弧60V1S、楕円60V1の劣弧を劣弧60V1Mとし、楕円60V2の優弧を優弧60V2S、楕円60V2の劣弧を劣弧60V2Mとする。本実施の形態4においては、本体1の内壁面5aの側面縦断面形状が、劣弧60V1M,60V2Mの弧形状を含む形状となっている。
【0049】
なお、本実施の形態4の焦点50F2が、本発明の第1焦点に相当する。また、本実施の形態4の焦点50F11が、本発明の第2焦点に相当する。また、本実施の形態4の焦点50F12が、本発明の第3焦点に相当する。
【0050】
以下に、本実施の形態4の加熱手段30から出射される光の経路60Rについて説明する。図8に示されるように、加熱手段30から出射された光の一部は、楕円60V1の劣弧60V1Mに沿う内壁面5aで反射されて、被加熱物20が加熱される。また、加熱手段30から出射された光の一部は、楕円60V2の劣弧60V2Mに沿う内壁面5aで反射されて、被加熱物20が加熱される。
【0051】
以上のように、本実施の形態4に係る加熱調理器100は、加熱手段30が位置する焦点50F2と、焦点50F2とともに楕円60V1を形成する焦点50F11と、焦点50F2とともに楕円60V2を形成する焦点50F12と、を規定し、焦点50F11及び焦点50F12は、焦点50F2を通る水平線を基準軸としてそれぞれ対称に設けられ、加熱庫5は、本体1の縦断面視において、焦点50F2及び焦点50F11を焦点とする楕円60V1の弧形状、並びに焦点50F2及び焦点50F12を焦点とする楕円60V2の弧形状を含む形状である。このため、加熱手段30から出射された光が、被加熱物20の一部を局所的に加熱することを抑制できる。したがって、被加熱物20をムラなく加熱することができ、焦げ付きを抑制できる。
【0052】
なお、加熱庫5の外側に焦点50F11,50F12を規定する例について説明したが、これに限定されない。劣弧60V1M,60V2Mの弧形状を含む加熱庫5の内部に被加熱物20が位置するように、焦点50F11,50F12が決定されていればよい。
【0053】
実施の形態5.
本実施の形態5は、実施の形態1とは異なり、本体1に対して着脱自在な反射板70を加熱庫5の内部に設けたものである。なお、本実施の形態5において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0054】
図9は本実施の形態5に係る加熱調理器100の概略図である。図9に示されるように、反射板70は、例えば、内壁面5aのうち加熱庫5の下方に位置する内壁面5aに当接するように設けられ、湾曲した形状を有する部材である。使用者が、扉2を開放して反射板70を本体1の前方側に引き出すことで、反射板70を取り外すことができる。
【0055】
以上のように、本実施の形態5に係る加熱調理器100は、本体1の内壁面5aには、本体1に対して着脱自在な反射板70が設けられている。このため、加熱庫5内で生じた汚れが内壁面5aに付着しても、反射板70を取り外して清掃し再び加熱庫5内に設けて使用することで、加熱手段30から出射される光を反射する反射性能を維持することができる。したがって、被加熱物20の加熱効率の低減を抑制することができる。
【0056】
なお、以上の説明においては、反射板70が、内壁面5aのうち加熱庫5の下方に位置する内壁面5aに当接するように設けられる例について説明したが、これに限定されない。例えば、反射板70が、内壁面5aのうち加熱庫5の下方に位置する内壁面5aだけでなく、内壁面5aのうち加熱庫5の上方に位置する内壁面5aに設けるようにしてもよい。この場合には、支持部材(図示省略)を用いて、加熱庫5の上面に設ける反射板70を本体1に取り付けるとよい。このように構成することで、例えば、加熱庫5の内部で生じた塵埃等が舞い上がっても、加熱庫5の上方に位置する反射板70を取り出して清掃し再び加熱庫5内に設けて使用することで、加熱手段30から出射される光を反射する反射性能を維持することができる。したがって、被加熱物20の加熱効率の低減を抑制することができる。
【0057】
実施の形態6.
本実施の形態6は、実施の形態1とは異なり、本体1に対して着脱自在な受け部材80を本体1の内部に設けたものである。なお、本実施の形態6において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0058】
図10は本実施の形態6に係る加熱調理器100の概略図である。図10に示されるように、加熱庫5の下面には開口部5Aが形成されている。開口部5Aの下方には、受け部材80が設けられている。受け部材80は、例えば、底面が矩形状であり、底面の周囲から上方に向かって立ち上がる立ち上がり部を有する部材である。
【0059】
以上のように、本実施の形態6に係る加熱調理器100は、載置部10の下方に位置する本体1の内壁面5aには開口部5Aが設けられ、開口部5Aの下方には、本体1に対して着脱自在な受け部材80が設けられている。
このため、加熱庫5内で汚れが生じても、当該汚れは、開口部5Aを介して受け部材80に落下する。したがって、内壁面5aに付着する汚れを低減し、加熱手段30から出射される光を反射する反射性能を維持することができる。したがって、被加熱物20の加熱効率の低減を抑制することができる。
また、受け部材80は、本体1に対して着脱自在であるため、任意のタイミングで受け部材80を本体1から取り外して清掃し再び本体1内に設けて使用することで、加熱手段30から出射される光を反射する反射性能を維持することができる。したがって、被加熱物20の加熱効率の低減を抑制することができる。
【0060】
なお、本実施の形態6においても、実施の形態5と同様に、本体1に対して着脱自在な反射板70を設けてもよい。この場合には、反射板70が開口部5Aを塞がないように、開口部5Aの上方に位置する反射板70の上下面を貫通した形状としておくとよい。
【0061】
実施の形態7.
本実施の形態7は、実施の形態1とは異なり、加熱庫5の前後方向において相違し加熱庫5の上下方向において相違する位置に加熱手段30a,30bを設けたものである。なお、本実施の形態7において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0062】
図11は本実施の形態7に係る加熱調理器100の概略図である。図11に示されるように、加熱庫5の内部には加熱手段30a,30bが設けられる。加熱手段30aは、加熱手段30bよりも加熱庫5の前方で且つ被加熱物20の下方に設けられる。加熱手段30bは、加熱手段30a及び被加熱物20よりも後方で且つ被加熱物20の上方に設けられる。
【0063】
加熱庫5の内部には、被加熱物20の一部が位置する焦点50F1が規定されている。焦点50F1を通る水平線上であって焦点50F1よりも本体1の背面側上方には、焦点50F2が規定されている。これにより、焦点50F1,50F2を焦点とする楕円60Vが形成される。そして、本体1の側面縦断面視において楕円60Vの弧形状を含む加熱庫5が形成される。
【0064】
以上のように、本実施の形態7に係る加熱調理器100は、加熱庫5が、被加熱物20の一部が位置する焦点50F1と、加熱庫5の上下方向及び加熱庫5の前後方向において相違する位置に設けられた加熱手段30a,30bのうち相対的に上方に位置する加熱手段30bが位置する焦点50F2と、を焦点とする楕円60Vの弧形状を含む形状であり、加熱手段30bは、被加熱物20よりも後方に設けられている。このため、仮に加熱手段30bが破損して加熱手段30bの破片が落下しても、加熱手段30bの破片が被加熱物20に降りかかる可能性を低減することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 本体、2 扉、2a 取っ手、5 加熱庫、5A 開口部、5a 内壁面、10 載置部、20 被加熱物、30,30a,30b 加熱手段、40 遮蔽板、50F1,50F11,50F12,50F2,50F21,50F22 焦点、60R 経路、60V,60V1,60V2 楕円、60V1M 劣弧、60V1S 優弧、60V2M 劣弧、60V2S 優弧、70 反射板、80 受け部材、100 加熱調理器。
図1
図2
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図4
図5
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図9
図10
図11