(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光電変換部と、該光電変換部の電荷を転送する第1の転送トランジスタと、該第1の転送トランジスタにより転送された電荷を蓄積する電荷蓄積部と、該電荷蓄積部から電荷を転送する第2の転送トランジスタと、該第2の転送トランジスタにより転送された電荷を蓄積するFDと、該FDの電位をリセットするリセットトランジスタと、を有する画素が行列状に複数配置された撮像領域を有する固体撮像装置であって、
前記第1の転送トランジスタと、前記第2の転送トランジスタと、前記リセットトランジスタとを含む画素トランジスタのゲートを駆動する複数の画素トランジスタのゲート駆動線が、前記画素の行方向に延在するように、同一の配線層に設けられ、
前記画素の各行に対応して設けられているn−1行、n行、n+1行の駆動配線について、前記画素トランジスタのゲート駆動線のうち、前記第1の転送トランジスタのゲート駆動線が前記光電変換部に対して近接するように配されており、
前記第1の転送トランジスタのゲート駆動線と前記第2の転送トランジスタのゲート駆動線とは、近接して配されていないことを特徴とする固体撮像装置。
前記第1の転送トランジスタのゲート駆動線と、前記第2の転送トランジスタのゲート駆動線との間には、前記リセットトランジスタのゲート駆動線が配されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像装置。
前記第1の転送トランジスタのゲート駆動線と、前記第2の転送トランジスタのゲート駆動線との間には、行選択トランジスタのゲート駆動線、電源線、接地線のいずれかが配されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の固体撮像装置。
光電変換部と、該光電変換部の電荷を転送する第1の転送トランジスタと、該第1の転送トランジスタにより転送された電荷を蓄積する電荷蓄積部と、該電荷蓄積部から電荷を転送する第2の転送トランジスタと、該第2の転送トランジスタにより転送された電荷を蓄積するフローティングディフュージョンと、該フローティングディフュージョンの電位をリセットするリセットトランジスタと、を有する画素が行列状に複数配置された撮像領域を有する固体撮像装置であって、
前記第1の転送トランジスタと、前記第2の転送トランジスタと、前記リセットトランジスタとを含む画素トランジスタのゲート駆動線が、前記画素の行方向に延在するように、同一の配線層に設けられ、
前記画素の各行に対応して設けられているn−1行、n行、n+1行の駆動配線について、前記第1の転送トランジスタのゲート駆動線と、該第1の転送トランジスタのゲート駆動線の両側に配置された前記画素トランジスタのゲート駆動線との配線距離の合計が、前記第1の転送トランジスタ以外の前記画素トランジスタのゲート駆動線と、該第1の転送トランジスタ以外の画素トランジスタのゲート駆動線の両側に配置された前記画素トランジスタのゲート駆動線との配線距離の合計よりも大きくなるように配されていることを特徴とする固体撮像装置。
前記第1の転送トランジスタのゲート駆動線と、前記第2の転送トランジスタのゲート駆動線との間には、前記リセットトランジスタのゲート駆動線が配されていることを特徴とする請求項10に記載の固体撮像装置。
前記第1の転送トランジスタのゲート駆動線と、前記第2の転送トランジスタのゲート駆動線との間には、行選択トランジスタのゲート駆動線、電源線、接地線のいずれかが配されていることを特徴とする請求項10または11に記載の固体撮像装置。
前記画素トランジスタのゲート駆動線間における配線距離のうち、配線距離が最大となるのは、前記第1の転送トランジスタのゲート駆動線と前記第2の転送トランジスタのゲート駆動線との配線距離であることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の固体撮像装置。
前記画素トランジスタのゲート駆動線間における配線距離のうち、配線距離が最大となるのは、前記第1の転送トランジスタのゲート駆動線と前記オーバーフロートランジスタのゲート駆動線との配線距離であることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の固体撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、
図1から
図4および
図11を用いて説明する。
図1は3×3の行列状に複数配置された画素の平面図である。
図2は
図1中のA点からB点に沿った部分の画素断面図である。
図3は
図1に対応した3行3列分の画素の等価回路図である。
図4は本実施形態の固体撮像装置を動作させるための駆動タイミング図である。同一の部材については各図で同様の符号を付している。以下では、信号電荷として電子を用いる構成を例示するが、信号電荷として正孔を用いることも可能である。正孔を信号電荷として用いる場合には、信号電荷が電子の場合に対して各半導体領域の導電型を逆の導電型にすればよい。
【0010】
図3において、画素P1には、光電変換部1の電荷を転送する第1の転送トランジスタ14、第1の転送トランジスタ14により転送された電荷を蓄積する電荷蓄積部3が設けられている。また、電荷蓄積部3から電荷を転送する第2の転送トランジスタ15が設けられている。さらに、第2の転送トランジスタ15により転送された電荷を蓄積するフローティングディフュージョン6(以下、「FD6」という。)、FD6の電位をリセットするリセットトランジスタ16、ソースフォロワトランジスタ17、行選択トランジスタ18が設けられている。
【0011】
各画素P1は画素出力部22を介して垂直出力線Voutに接続されている。符号20は電源であり、符号21は接地である。本実施形態では、光電変換部1からの電荷排出は埋め込み層9を介して半導体基板7へ行う、Vertical Overflow Drain(以下VOFD)と呼ばれる構成をとっている。
【0012】
図2は、
図1中のA点からB点に沿った部分の画素断面図である。n型の半導体基板7の上に、p型の埋め込み層9とp型のウエル8が設けられている。n型とp型からなる光電変換部1の上には表面保護層2が設けられており、いわゆる埋め込み型フォトダイオードが構成されている。n型の電荷蓄積部3の上にはp型の表面保護層4が設けられている。
【0013】
また、電荷蓄積部3の下部には、p型の空乏化抑制部5が設けられており、空乏化抑制部5は、ウエル8よりも高濃度の半導体からなる。
【0014】
第1の転送トランジスタ14のゲートであるTX1に第1の転送トランジスタ14がオンするパルスが供給されることにより、光電変換部1の電荷が電荷蓄積部3に転送される。
そして、第2の転送トランジスタ15のゲートであるTX2に、第2の転送トランジスタ15がオンするパルスが供給されることにより、電荷蓄積部3に蓄積されていた電荷がFD6に転送される。
【0015】
次に、
図3および
図4を用いて本実施形態に係る固体撮像装置の動作について説明する。
図4においてローレベル(以下、Lレベル)で各トランジスタが非導通状態となり、ハイレベル(以下、Hレベル)で各トランジスタが導通状態となる。
【0016】
図3および
図4において、pTX1(n)は第n行目の第1の転送トランジスタ14のゲート駆動線、pTX2(n)は第n行目の第2の転送トランジスタ15のゲート駆動線である。また、pREL(n)は第n行目のリセットトランジスタ16のゲート駆動線、pSEL(n)は第n行目の行選択トランジスタ18のゲート駆動線である。各ゲート駆動線の名称の後に記載されている括弧書は画素の行数を意味する。
【0017】
図4の時刻t0において、基板電位のレベルをLレベルにすることにより、VOFDがオフされ、光電変換部1において光電変換された電子の蓄積が開始される。
【0018】
次に、時刻t1において、第1の転送トランジスタ14のゲート駆動線pTX1(n−1)、pTX1(n)、pTX1(n+1)のレベルをHレベルにし、第1の転送トランジスタ14をオンさせることで、電荷蓄積部3へ電子を転送する。所定の時間が経過した後に、第1の転送トランジスタ14をオフにすることで、電荷蓄積部3への電子の転送を終了する。
【0019】
本実施形態では電荷蓄積部3を有するため、全画素の光電変換部1の信号電荷を同時に電荷蓄積部3へと転送することができる。これにより、全画素で同時に露光開始と露光終了を電子スイッチで制御するグローバル電子シャッタの動作を実現できる。
【0020】
次に、時刻t2において、基板電位のレベルをHレベルにすることで、光電変換部1と半導体基板7との間をパンチスルーさせ、半導体基板7へ電荷を排出させる。
【0021】
時刻t0においてVOFDをオフしてから、時刻t1において第1の転送トランジスタ14をオンさせるまでの期間を適宜設定することで、任意の蓄積時間の画像を得られる。
【0022】
時刻t0と時刻t1との間で間欠的に、第1の転送トランジスタを複数回オンさせてもよい。複数回オンさせることで、転送動作1回あたりで扱う信号電荷が少なくなり、転送動作を容易にすることができる。複数回オンさせる場合は、時刻t1は上記複数回のオン動作のうち最後のオンの時刻となる。
【0023】
次に、時刻t3、t4、t5において第2の転送トランジスタ15のゲート駆動線pTX2のレベルを行順次でHレベルにして、第2の転送トランジスタ15をオンさせる。これにより、電荷蓄積部3からFD6への信号電荷の転送が行われる。
【0024】
FD6以降の信号の転送方法は従来のCMOSイメージセンサの方法を適用できる。すなわち、ソースフォロワトランジスタ17、行選択トランジスタ18、画素出力部22を介して、垂直信号線に信号が出力される。第2の転送トランジスタ15をオンする前にノイズ成分の信号を垂直信号線に出力させてもよい。
図3においては、行選択トランジスタ18を設けているが、省かれた構成を採用してもよい。
【0025】
ここで各ゲート駆動線は、
図4に示す各駆動パルスを伝達させるため、導電体により構成されており、導電体と導電体との間には、寄生容量が形成される。この寄生容量と、導電体の持つ電気抵抗とにより、導電体中を伝達する各駆動パルスには伝搬遅延が生じる。固体撮像装置の画素数が増大するほど、撮像領域が拡大するため、撮像領域内で伝搬遅延が小さい箇所と大きい箇所とが生じることとなる。この結果、撮像領域内で画素トランジスタの各ゲートへ入力される駆動パルスの動作タイミングがずれ、画像信号が光電変換部1にて蓄積されるタイミングにずれが生じる。この結果、画質に劣化が生じる場合がある。
【0026】
グローバル電子シャッタではない従来の行順次のシャッタ方式においては、画面内での蓄積タイミングのずれの方が相対的に大きく、蓄積タイミングの画面内でのずれは、画質において大きな問題とはならなかった。しかし、グローバル電子シャッタでは、行毎の蓄積タイミングのずれが生じにくいため、伝搬遅延により生じる蓄積タイミングのずれに起因した画質の劣化が撮像領域内で目立つようになる。特に、蓄積タイミングのずれは、蓄積時間が短いほど、蓄積時間に対するずれの割合が大きくなるため、ずれが目立ちやすくなり、蓄積時間を短くできない要因の1つともなり得る。
【0027】
グローバル電子シャッタにおける蓄積タイミングは、上述のとおり第1の転送トランジスタ14により制御される。したがって、第1の転送トランジスタ14のゲート駆動線pTX1の寄生容量を低減し、伝搬遅延を小さくすることで、撮像領域内における蓄積タイミングのずれを小さくすることができる。このような寄生容量の影響は、複数の画素トランジスタのゲート駆動線が同一配線層内に設けられており、各ゲート駆動線が近接して配されている場合に顕著に生じる課題である。
【0028】
(pTX1の配置)
次に、
図1を用いて、ゲート駆動線pTX1の寄生容量を低減させるための、画素トランジスタの駆動線の配置について説明する。
【0029】
図1には、光電変換部1等を構成する半導体領域、画素トランジスタのゲート電極、各半導体領域および各画素トランジスタのゲート電極等を電気的に接続する配線等が示されている。固体撮像装置においては、画素トランジスタの駆動線以外にも、電源線、接地電源線、垂直出力線などの配線が、複数層からなる配線層に適宜配置される。
図1に示した画素トランジスタの駆動線は、同一の配線層に配されていることを示している。例えば、三層構成の配線層であれば、
図1に示した画素トランジスタの駆動線は二層目の配線層に配される。
【0030】
図1では、第1の転送トランジスタ14、第2の転送トランジスタ15、リセットトランジスタ16のゲート駆動線等が、撮像領域の行方向に延在するように、電荷蓄積部3の上に設けられている。また、これらのゲート駆動線は周期的な配置パターンで設けられている。
【0031】
ゲート駆動線pTX1(n)の近傍にはリセットトランジスタ16のゲート駆動線pRES(n)のみを配置しており、第2の転送トランジスタ15のゲート駆動線pTX2(n+1)は遠くに配置されている。このような配置によれば、pTX1(n)は、pTX1(n)の両側に画素トランジスタのゲート駆動線が近接して配置されている場合に比べて、寄生容量を低減することが可能となる。
【0032】
図11は、
図1に示した駆動配線の配置を模式的に示した図である。各駆動配線間の距離はDxで表記している。
【0033】
ここで、n−1行、n行、n+1行の駆動配線について、第1の転送トランジスタのゲート駆動線と、第1の転送トランジスタのゲート駆動線の両側に配置された画素トランジスタのゲート駆動線との配線距離の合計をDTX1
Totalとする。
【0034】
同様に、第1の転送トランジスタ以外の画素トランジスタのゲート駆動線と、このゲート駆動線の両側に配置された画素トランジスタのゲート駆動線との配線距離の合計を以下のようにする。すなわち、第2の転送トランジスタに関しては、DTX2
Total、リセットトランジスタに関しては、DRES
Total、行選択トランジスタに関しては、DSEL
Totalとする。
【0035】
この場合、DTX1
Totalは、DTX2
Total、DRES
Total、DSEL
Total、のいずれかよりも大きい値となる。
【0036】
図11において、n−1行、n行、n+1行の駆動配線の間隔をD
1からD
11とする。
【0037】
ここで、n−1行、n行、n+1行の駆動配線について、DTX1
Totalは、D
1+D
3+D
6+D
8+D
9である。他方、DRES
Totalは、D
1+D
2+D
7+D
8+D
9+D
10である。また、DSEL
Totalは、D
2+D
4+D
5+D
7+D
10+D
11である。
【0038】
D
3とD
6は、他の配線間の間隔よりも例えば3倍以上も大きいため、n−1行、n行、n+1行において、DTX1
Totalは、DRES
TotalおよびDSEL
Totalよりも大きい値となっている。なお、本願明細書において、駆動配線間の配線距離とは、
図12に示すように、例えば、pTX1(n)の端部とpRES(n)の端部との距離で定義される。
【0039】
以上説明した構成によれば、ゲート駆動線pTX1に生じる寄生容量を低減し、伝搬遅延を小さくすることで蓄積タイミングのずれを小さくすることができる。
【0040】
また、上記説明した駆動線の配置に関しては、表面照射型(FSI:Front Side Illumination)のみならず、裏面照射型(BSI:Bront Side Illumination)にも適用することが可能である。すなわち、裏面照射型であっても、画素の各行に対応して各画素トランジスタの駆動線を配置することが想定されるため、その場合に上記説明した駆動線の配置例を適宜採用することができる。
【0041】
ところで、
図1では表面照射型の画素平面図を示しており、表面照射型では、各画素トランジスタの各駆動線は光電変換部が形成されていない領域に配されるのが一般的である。たとえば、
図1では、電荷蓄積部の上部に各画素トランジスタのゲート駆動線が配されている。したがって、第1の転送トランジスタ14のゲート駆動線pTX1の寄生容量を低減する目的で、駆動線のレイアウトを考えると、画素トランジスタのゲート駆動線のうち、ゲート駆動線pTX1は、光電変換部1に近接して配置されることになる。この結果、ゲート駆動線pTX1は、駆動線領域の端部に配置され、ゲート駆動線pTX1は、駆動線領域において片側にのみ導電体が配置された構成となる。
【0042】
(pTX1とpTX2の配置)
本実施形態においては、ゲート駆動線pTX1とゲート駆動線pTX2とを近接させない構成としている。ここで、「近接させない」とは、pTX1の両側のいずれにもpTX2が配置されていないことをいう。あるいは、pTX1の片側にpTX2が配置されていた場合でも、pTX1とpTX2との距離が、pTX1の他方の片側に配置されている駆動線との距離よりも、例えば3倍以上離れていることをいう。
【0043】
ゲート駆動線pTX1とゲート駆動線pTX2とを近接させた場合の問題を以下に示す。
【0044】
ゲート駆動線pTX1とゲート駆動線pTX2とが容量結合していると、ゲート駆動線pTX1のレベルを変更するタイミングで、ゲート駆動線pTX2の電位にも変動が生じる。例えば、
図4に示した時刻t1において、ゲート駆動線pTX2のレベルは本来Lレベルとなっているが、ゲート駆動線pTX1をLレベルからHレベルの方向に変化させると、ゲート駆動線TX2の電位もLレベルからHレベルの方向へ変動する。これにより、電荷蓄積部3からFD6へのポテンシャル障壁が低下するため、電荷蓄積部3の飽和信号量が低下することとなる。この電位変動の影響は、撮像領域内の寄生容量のばらつきにより変化するため、電荷蓄積部3の飽和信号量が撮像領域内でばらつく要因となってしまう。この現象は、ゲート駆動線pTX1の動作を時刻t0から時刻t1の間で間欠的に複数回行う場合にはより顕著となる。
【0045】
ところで、例えばNMOSである第2の転送トランジスタ15がオフの期間中に、ゲート駆動線TX2を負の電位に設定する場合がある。これにより、チャネル部分にホールを励起することができるため、電子が発生したとしても、電子とホールとの再結合によって暗電流を抑制することができる。この際に、ゲート駆動線pTX1とゲート駆動線pTX2が容量結合していると、ゲート駆動線pTX1のレベルをLレベルからHレベルにするタイミングで、ゲート駆動線pTX2の電位が高くなる方向に変動し、ホールの励起が不十分となりうる。この結果、暗電流の抑制が不十分になる可能性もある。
【0046】
そこで、本実施形態では、ゲート駆動線pTX1とゲート駆動線pTX2とを近接させないように配置されている。特に、
図1および
図11では、n−1行、n行、n+1行の駆動配線について、画素トランジスタのゲート駆動線間における配線距離のうち、配線距離が最大となるのは、ゲート駆動線pTX1とゲート駆動線pTX2との配線距離となっている。
【0047】
ところで、
図4から理解されるように、第1の転送トランジスタをオンするタイミングでは、リセットトランジスタもオンになっており、LレベルからHレベルになる方向にリセットトランジスタの電位変動が生じたとしても影響が生じにくい。そのため、ゲート駆動線pRESを、ゲート駆動線pTX1に近接して配置することが可能である。
【0048】
また、ゲート駆動線pRESの代わりに、ゲート駆動線pSELをゲート駆動線pTX1に近接して配置することも可能である。第1の転送トランジスタをオンするタイミングで、行選択トランジスタがオフであったとしても、定電流源がオフであれば、信号電荷の転送経路がなく、撮像領域内での信号のばらつきを生じさせないからである。
【0049】
さらに、ゲート駆動線pRESの代わりに、電源線や接地線をゲート駆動線pTX1に近接して配置して、電位変動を抑制することも可能である。電源線や接地線は信号電荷の転送経路とは直接関係がなく、撮像領域内での信号ばらつきを生じさせないからである。
【0050】
本実施形態においては、FD6を各画素で個別に有する構成において説明を行ったが、複数の画素でFD6を共有する画素の構成を採用してもよい。この場合でも第1の転送トランジスタのゲート駆動線pTX1を上記のように配置することで、同様の効果を得ることができる。また、複数画素でFD6を共有することで、駆動線の本数を減らすことも可能であるため、より第1の転送トランジスタのゲート駆動線pTX1を他の駆動線から遠ざけることができ、寄生容量を低減することも可能である。
【0051】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、
図5から
図8および
図13を用いて説明する。先の実施形態と同様の機能を有する部分には同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5は本実施形態の固体撮像装置の3行3列分の画素平面図である。
図6は
図5中のC点からD点に沿った部分の画素断面図である。
図7は
図5に対応した3行3列分の画素の等価回路図である。
図8は本実施形態の固体撮像装置を動作させるための駆動タイミング図である。
【0052】
VOFDの構成を採用せず、別途オーバーフロートランジスタが設けられていることが実施形態1と異なる点である。すなわち、
図6および
図7に示すように、オーバーフロートランジスタ19が設けられ、オーバーフロートランジスタのゲートOFGがオンされることにより、プラグ12を通じて、電源20に電荷が転送される構成となっている。
【0053】
図8にタイミングチャートを示す。時刻t0において、オーバーフロートランジスタ19のゲート駆動線pOFGのレベルをLレベルにすることで、オーバーフロートランジスタ19をオフする。
【0054】
次に、時刻t1において、第1の転送トランジスタ14のゲート駆動線pTX1のレベルをHレベルにし、第1の転送トランジスタ14をオンさせることで、電荷蓄積部3へ電子を転送する。所定の時間が経過した後に、第1の転送トランジスタ14をオフにすることで、電荷蓄積部3への電子の転送を終了する。
【0055】
次に、時刻t2において、ゲート駆動線pOFGのレベルをHレベルにすることで、オーバーフロートランジスタ19をオンさせる。これにより、光電変換部1からオーバーフロードレインである電源20へ電荷を排出させることができる。
【0056】
時刻t0においてゲート駆動線pOFGのレベルをLレベルにしてから、時刻t1において第1の転送トランジスタ14をオン動作させるまでの期間を適宜設定することで、任意の蓄積時間の画像を得ることができる。
【0057】
図13は、
図5に示した駆動配線の配置を模式的に示した図である。n−1行、n行、n+1行の駆動配線の間隔をD
1からD
12とする。なお、pOFG(n−2)はn−2行目の画素に対応する駆動配線であるため、pOFG(n−2)と隣り合う駆動線との間隔は、考慮に入れない。また、不図示であるが、pOFG(n+1)も、pRES(n+2)およびpSEL(n+2)の間に配置されているため、考慮にいれない。
【0058】
ここで、n−1行、n行、n+1行において、DTX1
Totalは、D
1+D
3+D
8+D
10+D
11である。他方、DRES
Totalは、D
1+D
2+D
9+D
10+D
11である。また、DSEL
Totalは、D
4+D
5+D
6+D
7+D
12である。さらにDOFG
Totalは、D
2+D
4+D
7+D
9である。
【0059】
D
3とD
8は、他の配線間の間隔よりも例えば3倍以上も大きいため、n−1行、n行、n+1行において、DTX1
Totalは、DRES
Total、DSEL
Total、DOFG
Totalよりも大きい値となる。このような構成によれば、ゲート駆動線pTX1に生じる寄生容量を低減し、伝搬遅延を小さくすることで蓄積タイミングのずれを小さくすることができる。
【0060】
また、このような配線配置は、pTX1とpTX2とを近接させないで配置されていると表現することも可能である。さらに、n−1行、n行、n+1行において、pTX1とpTX2の距離は、画素トランジスタのゲート駆動線間における配線距離のうち、最大の配線距離と表現することも可能である。
【0061】
(pTX1とpOFGの配置)
また、ゲート駆動線pTX1とゲート駆動線pOFGが容量結合している場合にも課題が生じうる。すなわち、
図8の時刻t1において、ゲート駆動線pTX1のレベルをLレベルからHレベルにするタイミングでは、ゲート駆動線pOFGのレベルはLレベルとなっている。しかし、ゲート駆動線pTX1とゲート駆動線pOFGが容量結合している場合には、時刻t1において、LレベルからHレベルになる方向にゲート駆動線pOFGの電位に変動が生じる。これにより、光電変換部1からオーバーフロードレインである電源20へのポテンシャル障壁が低下し、光電変換部1から電源20に電子が転送されて光電変換部1の飽和信号量が減少する可能性があり、撮像領域内でのばらつきの原因となる。
【0062】
したがって、
図5および
図13に示すように、本実施形態では、同一の駆動配線領域において、ゲート駆動線TX1とゲート駆動線OFGを近接させないように、両駆動線間に駆動線pRESが設けられている。
【0063】
ところで、本実施形態では、オーバーフロートランジスタを採用し、実施形態1ではVOFDの構成を採用する。長波長側の感度を高める目的で深さが深い光電変換部1を採用すると、VOFDでは電荷排出が困難となる。しかし、このような場合であっても、オーバーフロートランジスタを採用すれば、電荷排出を行うことができる。また、VOFDでは、光電変換部1と半導体基板7とをパンチスルーさせるために埋め込み層9をある程度低濃度にしておく必要がある。これに対して、オーバーフロートランジスタを採用すれば、埋め込み層9を高濃度にすることも可能である。これにより、光電変換部1の感度向上や、電荷蓄積部3への転送効率向上を図ることが可能となる。
【0064】
他方、VOFDの構成を取ることでオーバーフロートランジスタのゲートOFGとゲート駆動線pOFGがなくなるため、空いた領域を他の構成要素に振り分けることも可能となる。たとえば、光電変換部1の大きさを維持したままで、各駆動線が配置されている間隔を拡げることができ、第1の転送トランジスタのゲート駆動線pTX1の寄生容量を実施形態1よりもさらに低減させることができる。また、光電変換部1の面積を増加させることで、光電変換部1の飽和電荷量を増大させたり、感度を高めたりすることができる。
【0065】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、
図6、
図7、
図9、
図14を用いて説明する。上記実施形態と同様の機能を有する部分には同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0066】
図9は本実施形態の固体撮像装置の3行3列分の画素平面図である。実施形態2と異なる点は、ゲート駆動線pOFGとゲート駆動線pTX2が設けられている位置である。
【0067】
図9において、画素トランジスタのゲート駆動線間における配線距離のうち配線距離が最大となるのは、ゲート駆動線pTX1とゲート駆動線pOFGとの配線距離となっている。このような配置とすることにより、ゲート駆動線pTX1と他のゲート駆動線との寄生容量のみならず、ゲート駆動線pOFGと他のゲート駆動線との寄生容量を低減することが可能である。
【0068】
グローバル電子シャッタにおける蓄積タイミングは、上述のとおりオーバーフロートランジスタ19のゲートOFGへの駆動パルスの入力によっても制御される。したがって、オーバーフロートランジスタ19のゲート駆動線pOFGの寄生容量を低減し、伝搬遅延を小さくすることで、蓄積タイミングのずれを小さくすることができる。
【0069】
本実施形態においては、ゲート駆動線pOFGとゲート駆動線pTX2とを近接させない構成としている。仮にこれらを近接して配置した場合、電荷蓄積部3の飽和信号量を減少させ、撮像領域内で電荷蓄積部3の飽和信号量をばらつかせる要因となる。
【0070】
また、NMOSである第2の転送トランジスタ15のゲート駆動線TX2がオフの期間中に、ゲート駆動線TX2を負の電位に設定する場合がある。これにより、チャネル部分にホールを励起し、電子とホールとの再結合を生じさせ、暗電流を抑制することができる。この際に、ゲート駆動線pOFGとゲート駆動線pTX2が容量結合していると、ゲート駆動線pOFGのレベルをLレベルからHレベルにするタイミングで、ゲート駆動線TX2の電位が高くなる方向に変動する。この結果、暗電流の抑制が不十分になる可能性もある。
【0071】
そこで、同一の駆動配線領域において、ゲート駆動線pOFGとゲート駆動線pTX2との間にリセットトランジスタのゲート駆動線pRESを配置している。ゲート駆動線pRESの代わりに、行選択トランジスタのゲート駆動線pSEL、電源線、接地線、などを配置してもよい。
【0072】
図14は、
図9に示した駆動配線の配置を模式的に示した図である。
【0073】
ここで、n−1行、n行、n+1行の駆動配線について、DTX1
Totalは、D
1+D
3+D
8+D
10+D
11+D
13である。他方、DRES
Totalは、D
1+D
2+D
9+D
10+D
11+D
12である。また、DSEL
Totalは、D
4+D
5+D
6+D
7+D
14である。さらに、DTX2
Totalは、D
2+D
4+D
7+D
9+D
12+D
14である。
【0074】
D
3、D
8、D
13は、他の配線間の間隔よりも例えば3倍以上も大きいため、n−1行、n行、n+1行において、DTX1
Totalは、DRES
Total、DSEL
Total、DTX2
Totalよりも大きい値となる。
【0075】
また、上記の理由から、
図14においては、pTX1とpOFGとは近接して配置されておらず、pTX2とpOFGとは近接して配置されておらず、pTX1とpTX2とは近接して配置されていない。
【0076】
さらに、pOFGが光電変換部1に対して近接するように配された構成となっている。
【0077】
加えて、上記のように、pTX1とpOFGの配線距離は、画素トランジスタのゲート駆動線間における配線距離のうち、最大の配線距離とした構成となっている。
【0078】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、
図6から
図8および
図10を用いて説明する。上記実施形態と同様の機能を有する部分には同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0079】
図10は本実施形態の固体撮像装置の3行3列分の画素平面図である。実施形態2および3と異なる点は、ゲート駆動線pOFGの配線幅とゲート駆動線pTX1の配線幅が、他の駆動線の配線幅よりも広くなっていることである。また、各駆動配線の配置場所も適宜変更している。
【0080】
導電体中を伝達する各駆動パルスの伝搬遅延は、寄生的な容量と導電体の持つ電気抵抗との積により表現される。したがって、電気抵抗を低減することで寄生容量を低減したのと同様の効果を得ることができる。すなわち、ゲート駆動線pOFGの配線幅とゲート駆動線pTX1の配線幅を広くすることで、伝搬遅延を小さくでき、蓄積タイミングのずれを小さくすることができる。
【0081】
本実施形態においては、ゲート駆動線pOFGとゲート駆動線pTX1の配線幅を共に広くしているが、どちらか一方のみを広くする構成としてもよい。また、いずれか一方をさらに広くする構成としてもよい。
【0082】
配線幅を広く構成した場合、駆動線が配置されない配線開口部分の幅を低減するか、または配線開口部分の幅を維持した上で各駆動線の配置間隔を短くする必要がある。そのため、寄生容量の低減効果と電気抵抗の低減効果とを考慮して、効果の高い構成をとるのが好ましい。