【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らが提供する解決手段は、信号伝達手段としてレドックスプローブ(redox probe)をその構造内に包含する新規なインプリントポリマーであり、本発明者らは、認識部位に近いレドックスプローブの存在がその検出感度を著しく改善することを観察した。本発明者らによって開発されたインプリントポリマーはまた、高い安定性と使用前の長い保存期間を呈する。更に、このポリマーは、経済的に有利なプロセスにより簡便に製造可能である。
【0012】
本発明のインプリントポリマーはまた、標的が必ずしもレドックス特性を示さずとも、あらゆるタイプの標的と共に使用可能であるという利点を呈し、標的の検出はレドックスプローブを介して行われる。
【0013】
よって、本発明は、標的の存在下で少なくとも1つの架橋剤と少なくとも1つのモノマーを重合することによって得られる非導電性インプリントポリマーであって、前記標的の形状を有する少なくとも1つの空洞をその構造内に呈し、かつ、重合可能な形態または重合可能でない形態のいずれかで提供される少なくとも1つのレドックスプローブをその構造内に含む、非導電性インプリントポリマーに関する。
【0014】
本発明の意味において、レドックスプローブは、酸化および/または還元可能な化合物を意味するものと理解される。
【0015】
好ましくは、レドックスプローブは、標的の形状を有する空洞に近接して位置している。「近接」は、レドックスプローブが、標的と相互作用して検出信号の形態で電気化学的応答を提供することができる最小距離を意味する。電気化学的応答を得ることにより、レドックスプローブを、標的の形状を有する空洞に近接してまたはその近辺にあるものとみなすことができる。換言すると、レドックスプローブは、本発明のインプリントポリマー内に位置しているので、標的と相互作用して検出信号の形態で電気化学的応答を提供することができる。有利には、レドックスプローブは、標的の形状を有する空洞内に位置し、この空洞の一部を形成する。
【0016】
有利な実施形態によれば、本発明のインプリントポリマーは、ポリマー構造内に存在するレドックスプローブ以外の伝達手段(電気化学、蛍光など)を含まない。
【0017】
本発明の意味において、標的は、空洞(インプリント)を形成するのに使用でき、かつ、後にこの空洞と特定の方法で相互作用し得る実体を意味するものと理解され、この標的は分子またはイオンのいずれかであることができる。よって、空洞は標的のための認識部位として作用する。よって、この空洞は、形状および/または官能性の点で標的と相補的である。従って、本発明のインプリントポリマーは、分子インプリントポリマー(MIP)またはイオンインプリントポリマー(IIP)のいずれかであり得る。
【0018】
標的が分子である場合、この分子は、多環芳香族炭化水素(PAH)、ステロイド、活性成分、殺虫剤、除草剤、界面活性剤、食用色素(カロテノイド、リボフラビン、タルトラジンまたはアマランスなど)、染料(アゾ染料、ポリメチン染料またはフタロシアニンなど)または生物活性分子(ポリペプチド、タンパク質、酵素、ホルモンまたはサイトカインなど)から選択することができる。
【0019】
標的がPAHである場合、前記PAHは、アセナフテン、アセナフチレン、アントラセン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[g,h,i]ピレン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[f]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、クリセン、コロネン、コランヌレン(corannulene)、シクロペンタ[c,d]ピレン、ジベンゾ[a,e]ピレン、ジベンズ[a,c]アントラセン、ジベンズ[a,h]アントラセン、ジベンゾ[a,h]ピレン、ジベンゾ[a,i]ピレン、ジベンゾ[a,l]ピレン、フルオランテン、フルオレン、インデノ[1,2,3−cd]ピレン、オバレン、ペンタセン、ペリレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、トリフェニレンまたはゼトレンであり得る。
【0020】
標的が殺虫剤である場合、前記殺虫剤は、ダニ駆除剤、殺菌剤、殺鳥剤(corvicide)もしくはカラス忌避剤、防カビ剤、防虫剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺寄生虫剤、殺鼠剤、または殺モグラ剤であり得る。
【0021】
標的が除草剤である場合、前記除草剤は、シアン化カルシウム(Ca(CN)
2)、硫化鉄(FeSO
4)もしくは塩素酸カルシウム(NaClO
3)から選択される無機除草剤、またはグリホセート、ジニトロアニリン(トルイジン、ベンフルラリン、ブトラリン、フルクロラリン、ニトラリン、オリザリン、ペンジメタリン、トリフルラリン)、置換尿素(クロロトルロン(chlorotoluron)、クロロクスロン、シクルロン、ジウロン、エチジムロン、フェヌロン、イソプロチュロン、リヌロン、モノリヌロン、メタベンズチアズロン、メトブロムロン、メトクスロン、モヌロン、チアザフルロン、テブチウロン、チアザフルロン、シデュロン、ネブロン)、トリアジン(アトラジン、シアナジン、メトプロトリン(methoprotryne)、プロパジン、ターブチラジン、シマジン、シメトリン(simetryn)、セクブメトン、ターブメトン、アメトリン、デスメトリン、プロメトリン、ターブトリン)、イミダゾリノン(イマザメタベンズ、イマザピル)、スルホニル尿素(アミドスルフロン、アジムスルフロン、クロルスルフロンなど)、ジフェニルエーテル(アシフルオルフェン−ナトリウム、アクロニフェン、ビフェノックス、ボロモフェンオキシム、クロメトキシフェン、ジクロホップ−メチル、フルオロジフェン、ホメサフェン、ラクトフェン、ニトロフェン、オキシフルオルフェン)、合成植物ホルモン(2,4−D、2,4−MCPA、トリクロピル、ジクロルプロップ、MCPP(メコプロップ)、2,3,6−TBA(2,3,6−トリクロロ安息香酸)、ジカンバ、ピクロラム、クロピラリド、フルレノ−ル)、ニトロ染料(DNBP(ジノセブ)、DNOC(ジニトロ−オルト−クレゾール)、ジノターブ)、PCP(ペンタクロロフェノール)、カルバメート(アシュラム、バルバン、クロルブファム、クロルプロファム、プロファム、カルベタミド)、チオカルバメート(ブチレート、シクロエート、ジ−アレート(di−allate)、トリアレート(tri−allate)、S−エチル−N,N−ジプロピルチオカルバメート、モリネート(molinate)、プロスルホカルブ、ベルノレート(vernolate)、ペブレート(pebulate)、チオベンカルブ(thiobencarb))、ジチオカルバメート(ナトリウムメチルアミノメタンジチオエート、ナバム)、ビスカルバメート(デスメジファム、フェンメジファム、カルブチラート)、四級アンモニウム(ジコート(diquat)、パラコート、ジフェンゾコート)、ホップ/ジム(fop/dim)およびピノキサデン(アロキシジムナトリウム、クロジナホップ−プロパルギル(clodinafop−propargyl))から選択される有機除草剤であり得る。
【0022】
レドックスプローブが重合可能でない形態で提供される場合、レドックスプローブは、重合に関与することなく、出発混合物中に配合され得る。「捕捉(trapping)」について言及すると、この場合のレドックスプローブは、ポリマー網状体に共有結合していない。
【0023】
レドックスプローブが重合可能な形態で提供される場合、レドックスプローブは少なくとも1つの重合可能部位を有し、本発明のモノマーはレドックスプローブであり得る。その場合、レドックスモノマー(レドックスプローブ)は三次元網状体の実際の構成に関与するモノマーの形態で導入される(
図2)。
【0024】
レドックス系が2つ以上の重合可能部位を呈する場合、架橋剤はレドックスプローブであり得る。その際、レドックスプローブは三次元網状体の実際の構成に関与するモノマーの形態で導入される(
図2)。
【0025】
その際、レドックスプローブは、
0個の重合部位を有する場合、重合可能でない形態で存在し、
1つの重合部位を有する場合、重合可能な形態で存在し、モノマーとして作用し、または、
少なくとも2つの重合部位を有する場合、重合可能な形態で存在し、架橋剤として作用する、
化学的実体であり得る。
【0026】
レドックスプローブは、例えば、メタロセン(フェロセン、ルテノセンもしくはコバルトセン)、テトラチアフルバレンおよびその誘導体、またはアントラキノンおよびその誘導体から選択可能である。有利には、レドックスプローブは、例えば、メタロセン(フェロセンおよびコバルトセン)、またはテトラチアフルバレンおよびその誘導体から選択可能である。
【0027】
有利な実施形態によれば、レドックスプローブは、好ましくは、三次元網状体の実際の構成に関与するレドックスモノマーである。前記レドックスモノマーは、好ましくは、重合可能部位を有するフェロセン型の少なくとも1つの官能基を担持するレドックスモノマーであり、前記重合可能部位は、好ましくはビニル、(メタ)アクリル酸またはアリル部位から選択される。本発明の重合可能部位は、有利にはビニルフェロセン(VFc)である。
【0028】
架橋剤は、好ましくは二(di)官能基、三(tri)官能基または四(tetra)官能基から選択される(メタ)アクリル酸、ビニル、スチレンまたはアリルモノマーであるのが有利である。本発明の好ましい実施形態によれば、架橋剤は、アルキルジ−(alkyl di−)、トリ(tri−)またはテトラ(tetra−)(メタ)アクリレート、アリルジ−、トリまたはテトラ(メタ)アクリレート、アリールジ−、トリまたはテトラ(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ−、トリまたはテトラ(メタ)アクリレート、およびより好ましくは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(ED(M)A)、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート(PETRA)およびテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアリルジグリコールジカーボネート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネート、ジアリルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルメラミン、ジビニルベンゼン、ジビニルオキサレート、ジビニルマロネート、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBA)およびそれらの混合物である。
【0029】
本発明の意味において、
−アルキルは、少なくとも1つの炭素原子、好ましくは1〜30の炭素原子を有する飽和した直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基を意味するものと理解される。有利には、用語「アルキル」は、1〜12の炭素原子、好ましくは1〜6の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基を示す。用語「分岐鎖」は、少なくとも1つの低級アルキル基、例えばメチルまたはエチルが線状アルキル鎖によって担持されることを意味する。アルキル基として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチルおよびn−ペンチル基などが挙げられる。
−アリールは、少なくとも1つの芳香環に由来する官能基または置換基を意味するものと理解される。芳香環は、非局在化π系を含む平坦な単環または多環基に相当し、ここで当該環の各原子はp軌道を含み、p軌道は互いに重なり合っている。
【0030】
標的がイオンである場合、前記イオンは、好ましくは以下の元素のうちの1つのイオンであり、Ni(ニッケル)、Pb(鉛)、Cu(銅)、Cd(カドミウム)、Co(コバルト)、Zn(亜鉛)、Fe(鉄)、Ag(銀)、Hg(水銀)、As(ヒ素)、Pd(パラジウム)、Mn(マンガン)、Rh(ロジウム)、Al(アルミニウム)、Sm(サマリウム)、Zr(ジルコニウム)、Th(トリウム)、Nd(ネオジム)、Eu(ユウロピウム)、Dy(ジスプロシウム)、Cr(クロム)、I(ヨウ素)、Yt(イットリウム)、Tl(タリウム)またはPt(白金)が挙げられる。
【0031】
標的がイオンである場合、本発明のインプリントポリマーは、重合可能な形態または重合可能でない形態のいずれかで提供される少なくとも1つのリガンドもその構造内に含むことができる。
【0032】
リガンドが重合可能でない形態で提供される場合、以下の化合物から選択可能であり、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、アクリルアミド、(メタ)クリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、2−(ジエチルアミノ)メチルメタクリレート、スチレン、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、ジチゾン、ジメチルグリオキシム、5−ドデシルサリチルアルドキシム、8−ヒドロキシキノリン、8−アミノキノリン、8−メルカプトキノリン、アセチルアセトン、アセトアルデヒドチオセミカルバゾン、ベンズアルデヒドチオセミカルバゾン、バニリンベンジジン、1,5−ジフェニルカルバゾン、アンモニウムピロリジンジチオカルバメート、N,N’−ジエチルチオ尿素、5,7−ジクロロキノリン−8−オール、4−(2−ピリジルアゾ)レゾルシノール、4−(2−チアゾリルアゾ)レゾルシノール、1−(2−ピラジルアゾ)−2−ナフトール、1−(2−チアゾリルアゾ)−2−ナフトール、サレン、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸、ピロリジン−1−ジチオカルボン酸、1−(2−チアゾリルアゾ)−2−ナフトール、3,4−ジヒドロキシ−9,10−ジオキソ−2−アントラセンスルホン酸(アリザリンレッドS)のナトリウム塩、2−エチルヘキシルベンズイミダゾリルスルフィド、オクチルベンゾチアゾリルスルフィド、ヂアゾアミノベンゼン、キナルジン酸、6−[(ヒドロキシアミノ)メチリデン]シクロヘキサ−2,4−ジエン−1−オン(サリチルアルドキシム)、5−(4−カルボキシフェニルアゾ)−8−ヒドロキシキノリン、ホルムアミドオキシムまたはネオクプロインが挙げられる。
【0033】
リガンドが重合可能な形態で提供される場合、以下の化合物から選択可能であり、N−(4−ビニルベンジル)イミノ二酢酸、1−ヒドロキシ−4−(プロップ−2’−エニロキシ)−9.10−アントラキノン、1−ヒドロキシ−2−(プロップ−2’−エニル)−9,10−アントラキノン、5−ビニル−8−ヒドロキシキノリン、N−(6,7,9,10,12,13,15,16−オクタヒドロ−5,8,11,14,17−ペンタオキサベンゾシクロペンタデセン−2−イル)アクリルアミド(ベンゾ−15−クラウン−5−アクリルアミド)、4−[(E)−2−(4’−メチル−2,2’−ビピリジン−4−イル)ビニル]フェニルメタクリレート、4−ビニルフェニルアゾ−2−ナフトール、N−メタクリロイル−L−ヒスチジン、N−メタクリロイル−L−システイン、N−メタクリロイル−L−システインメチルエステル、N−メタクリロイル−(L)−グルタミン酸、N−メタクリロイル−2−メルカプトエチルアミン、6−(4−ビニルフェニルカルバモイル)ピリジン−2−カルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸ビス(4−ビニルフェニル)アミド、サレンまたは(4−エテニルフェニル)−4−ホルメート−6−フェニル−2,2’−ビピリジンが挙げられる。
【0034】
好ましい実施形態によれば、本発明のインプリントポリマーは、0.6μmから6μmまでの間で様々であり得るサイズの架橋微粒子の形態で提供される。
【0035】
本発明の別の主題は、インプリントポリマーの調製方法であって、
(i)標的および重合可能な形態または重合可能でない形態のいずれかで提供されるレドックスプローブの存在下で架橋剤とモノマーを重合する工程であって、前記レドックスプローブが重合可能な形態で存在するときには前記モノマーが前記レドックスプローブであることができ、レドックスプローブが2つ以上の重合可能部位を呈するときには前記架橋剤が前記レドックスプローブであることができる、工程と、
(ii)工程(i)の終わりに得られたポリマー内に存在する該標的を除去する工程と
を含む方法である。
【0036】
有利な実施形態によれば、重合工程は、ラジカル重合、重縮合またはゾルーゲル手段によって行われる。重合工程はまた、イオン重合によって行われる。次のような重合技術、バルク、懸濁、分散、乳化および沈殿重合を使用することができる。好ましくは、溶媒の蒸留が重合反応と同時に生じる蒸留−沈殿重合を使用することができる。
【0037】
蒸留−沈殿重合の場合、工程(i)は、アセトニトリル、トルエン、アセトン、エタノール、メタノール、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、エチルメチル、シクロヘキサン、2−メトキシエタノール、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールまたは酢酸エチルから選択される溶媒中で行われる。
【0038】
溶媒は、ポリマー粒子のサイズおよびそれらの多孔率を調整することを可能にする。好ましい実施形態によれば、本発明の溶媒は、極性溶媒または極性溶媒/非極性溶媒混合物(95/5〜70/30の比)である。好ましくは、本発明の溶媒は、アセトニトリルまたはアセトニトリル/トルエン混合物(任意には95/5〜80/20の割合であり、好ましくは80/20の比である)である。
【0039】
有利には、工程(i)は、反応媒体を60℃〜100℃の第一温度で加熱し、次いで、好ましくは100℃〜150℃の温度でそれを還流に付して蒸留を行うことによる蒸留−沈殿重合によって行われる。
【0040】
重合段階は、熱またはUVラジカル開始剤の存在下で行うことができる。熱またはUV開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルペルアセテート、クミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、フェノチアジン、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカーボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−(2−メチルプロピオニトリル)、過硫酸カリウムまたはH
2O
2/TEMED(N,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン)混合物および好ましくはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。
【0041】
有利な実施形態によれば、標的を除去する工程(ii)は、ジクロロメタン、アセトン、イソプロパノール、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、クロロホルム、トルエン、エタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含む酸性溶液(HCl、H
2SO
4、HNO
3)または塩基性溶液(NaOH、KOH)、またはそれらの混合物から選択される洗浄溶液を用いて、工程(i)の終わりに得られたポリマーを洗浄することによって行われる。洗浄は、1〜48時間、好ましくは24時間の期間行うことができ、2〜4回、好ましくは3回反復することができる。
【0042】
好ましくは、工程(ii)は、撹拌しながら行われる。
【0043】
標的の検出方法は、本発明の一部を形成し、
(i’)標的を含むサンプルを本発明に従って規定されるようなインプリントポリマーと接触させる工程と、
(ii’)好ましくは電気的測定(導電性、インピーダンス)によってまたは電気化学的方法(クロノポテンショメトリ(chronopotentiometry)、クロノアンペロメトリもしくはボルタンメトリ(voltammetry))によって、該標的を検出する工程と
を少なくとも含む。
【0044】
インプリントポリマーの構造内に存在する空洞は、標的のためのハウジングとして機能し、より一般的には(標的の)認識部位と称され、レドックスプローブは、標的と相互作用して検出信号の形態で電気化学的応答を提供することができるように配置される。レドックスプローブは、典型的には、前記空洞に近接して、またはその内部に位置し、それにより標的の検出を可能にする。
【0045】
本発明のインプリントポリマーは、(生物)医学、食品加工および環境分野における検出、固相抽出、分子、精製および分子やイオンの放出制御に用途を有する。
【0046】
本発明のインプリントポリマーは、特に、
センサとして、好ましくはインプリントセンサとして、より具体的には分子および/またはイオンの検出分野におけるセンサ内の認識領域として、
(バイオ)センサを製造するための活性インターフェースとして、
分子およびイオンの固相抽出用カラムを製造するための固相抽出支持体として、
クロマトグラフィーのために、
疑似免疫測定(pseudo−immunoassay)のために、
人工抗体を製造するために、
エナンチオマーを分離するために、
有機合成のために、
触媒作用のために、
使用可能である。
【0047】
特に好ましい実施形態によれば、本発明のインプリントポリマーは、センサとして、およびより具体的にはセンサ内の認識領域として使用される。その際、使用される用語は、インプリントセンサである。
【0048】
別の主題は、本発明に従って規定されるような少なくとも1つのインプリントポリマーを包含する装置であって、電気化学的(バイオ)センサまたは抽出カラムである装置である。
【0049】
先の規定に加え、本発明はまた、本発明のインプリントポリマーを製造するための方法の非限定例について、このようなポリマーの評価について、および添付の図面について言及する以下の詳細な説明から生じる他の規定も含む。