特許第6246286号(P6246286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246286
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】防水ソケット及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/965 20060101AFI20171204BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20171204BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20171204BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20171204BHJP
【FI】
   H01R33/965 A
   F21V31/00 100
   F21V19/00 110
   F21Y103:00
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-163594(P2016-163594)
(22)【出願日】2016年8月24日
(62)【分割の表示】特願2015-69909(P2015-69909)の分割
【原出願日】2011年5月25日
(65)【公開番号】特開2016-225312(P2016-225312A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2016年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099461
【弁理士】
【氏名又は名称】溝井 章司
(72)【発明者】
【氏名】大澤 隆司
(72)【発明者】
【氏名】高尾 利幸
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−248334(JP,A)
【文献】 実開昭53−121788(JP,U)
【文献】 特開2005−026025(JP,A)
【文献】 特開2007−207722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/965
F21V 31/00
F21V 19/00
F21Y 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金を有したランプを取り付けることができる防水ソケットであって、
前記口金が装着されるソケットと、
前記ソケットに一端部が当接するとともに前記口金の外周に沿って配置された筒形の第1パッキンを覆った状態で、前記ソケットに取り付けられた防水キャップと
前記第1パッキンと前記ランプの外周との間に配置され、外周に凸部を有し、内周に底辺部を有する第3パッキンと
を備え、
前記防水キャップは、
前記第1パッキンの他端部が固定され、前記第1パッキンが前記ランプの前記一端部と前記他端部との間の一部が前記第3パッキンの前記凸部の外周に向かって変形するように、前記第1パッキンを前記一端部の側に向かって押圧した状態で前記ソケットに取り付けられており、
前記第3パッキンは、
前記第1パッキンの変形によって前記凸部の全外周が前記ランプの外周に向かって押圧された状態で、前記底辺部が前記ランプの外周に密着している防水ソケット。
【請求項2】
前記第1パッキンの他端部と前記防水キャップとの間に配置された環形の第2パッキンを備え、
前記防水キャップは、
前記第1パッキンが前記ランプの外周に向かって変形するように、前記第2パッキンを介して前記第1パッキンを前記一端部の側に向かって押圧した状態で前記ソケットに取り付けられている請求項1に記載の防水ソケット。
【請求項3】
前記第3パッキンは、
前記ランプの外周に密着している請求項1又は2に記載の防水ソケット。
【請求項4】
前記ランプの外周は前記口金の外周であり、
前記第3パッキンは、
前記口金の外周に密着している請求項3に記載の防水ソケット。
【請求項5】
前記口金は前記ランプに取り付けられる金属製のシェルを有しており、
前記第3パッキンは、
前記シェルに密着している請求項4に記載の防水ソケット。
【請求項6】
前記ランプは前記口金が取り付けられるカバーを備え、
前記ランプの外周は前記カバーの外周であり、
前記第3パッキンは、
前記カバーの外周に密着している請求項3に記載の防水ソケット。
【請求項7】
前記第3パッキンの中心軸方向の断面形状は、凸型、T字型、L字型、あるいは、Z字型をしている請求項1から6いずれか1項に記載の防水ソケット。
【請求項8】
前記ランプの外周は前記口金の外周であり、
前記第3パッキンは、
前記口金のみの外周に密着している請求項1から3いずれか一項に記載の防水ソケット。
【請求項9】
前記口金は前記ランプに取り付けられる金属製のシェルを有しており、
前記第3パッキンは、
前記シェルのみに密着している請求項8に記載の防水ソケット。
【請求項10】
前記ランプは前記口金が取り付けられるカバーを備え、
前記ランプの外周は前記カバーの外周であり、
前記第3パッキンは、
前記カバーのみの外周に密着している請求項1から7いずれか一項に記載の防水ソケット。
【請求項11】
記ランプは前記口金が取り付けられるカバーを備え、
前記カバーの外面と前記口金の外面とは、
前記第3パッキンが前記口金又は前記カバーに密着した状態で、電気的な接続が抑制されている請求項1から3いずれか一項に記載の防水ソケット。
【請求項12】
前記口金は前記ランプに取り付けられる金属製のシェルを有しており、
前記ランプは前記口金が取り付けられるカバーを備え、
前記カバーの外面と前記シェルの外面とは、
前記第3パッキンが前記シェル又は前記カバーに密着した状態で、電気的な接続が抑制されている請求項1から3いずれか一項に記載の防水ソケット。
【請求項13】
前記ランプは、前記口金が取り付けられるカバーと、前記カバーの内部に配置された発光部とを備え、
前記カバーの外周に被覆された樹脂製チューブを備え、
前記樹脂製チューブは、
前記カバーの外周における、前記発光部を囲繞する領域を被覆している請求項1から5,7から9いずれか一項に記載の防水ソケット。
【請求項14】
前記樹脂製チューブは、
さらに、前記防水キャップを被覆している請求項13に記載の防水ソケット。
【請求項15】
前記口金の最大径寸法は、前記カバーの最大径寸法よりも小さい請求項6、10から14いずれか一項に記載の防水ソケット。
【請求項16】
前記ランプは片口金形のランプであり、
前記片口金形のランプを取り付ける請求項1から15いずれか一項に記載の防水ソケット。
【請求項17】
請求項1から16いずれか一項に記載の防水ソケットと、
前記防水ソケットに取り付けられたランプと
を備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防水ソケット及び照明装置に関するものであり、たとえば、沖縄地方等の塩害地域及びその周辺地域における直管形蛍光ランプを光源とする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直管形蛍光ランプあるいは照明器具としては、以下のようなものが存在する。
1.商用周波或いは高周波で点灯される直管形蛍光ランプ(直流点灯ではない交流点灯の直管形蛍光ランプ)の照明器具。
2.ランプ端部の防水性を高めた防水ソケットを用いた直管形蛍光ランプの照明器具。
3.ランプ周囲に接触・密着しない形で透明樹脂防風チューブを設けた直管形蛍光ランプの照明器具。
4.収縮樹脂チューブでランプ全体を被い、破損時のガラス片飛散を防止した飛散防止形の直管形蛍光ランプ。
5.水銀量削減により水銀量が5mg以下に削減された直管形蛍光ランプ。
6.照明器具本体がアース施工されている照明器具の設置方法。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−305431号公報
【特許文献2】特開2009−245845号公報
【特許文献3】実公昭38−15356号公報
【特許文献4】特開2005−26025号公報
【特許文献5】特開平09−027210号公報
【特許文献6】実公昭41−010392号公報
【特許文献7】特開2009−199885号公報
【特許文献8】特開平11−135219号公報
【特許文献9】特開2009−146627号公報
【特許文献10】特開2000−315557号公報
【特許文献11】特開2007−207722号公報
【特許文献12】特開2009−146627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防水ソケット付き屋外軒下照明器具で使用されている蛍光ランプの全光束が低くなり、発光色も薄いピンク色になってしまうという現象がある。
この発明は、上記現象を解決する防水ソケット及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の防水ソケットは、
口金を有したランプを取り付けることができる防水ソケットであって、
前記口金が装着されるソケットと、
前記ソケットに一端部が当接するとともに前記口金の外周に沿って配置された筒形の第1パッキンを覆った状態で、前記ソケットに取り付けられた防水キャップと
前記第1パッキンと前記ランプの外周との間に配置され、外周に凸部を有し、内周に底辺部を有する第3パッキンと
を備え、
前記防水キャップは、
前記第1パッキンの他端部が固定され、前記第1パッキンが前記ランプの前記一端部と前記他端部との間の一部が前記第3パッキンの前記凸部の外周に向かって変形するように、前記第1パッキンを前記一端部の側に向かって押圧した状態で前記ソケットに取り付けられており、
前記第3パッキンは、
前記第1パッキンの変形によって前記凸部の全外周が前記ランプの外周に向かって押圧された状態で、前記底辺部が前記ランプの外周に密着している。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、塩分を含んだ水分が、口金とガラス管外面とを電気的に接続することを抑制するので、水銀イオンがガラス管に凝集する事が軽減され、蛍光ランプの全光束が低くなり、発光色も薄いピンク色になってしまうという現象が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】防水ソケット付き直管形蛍光ランプ照明器具の構造図。
図2】防水ソケット付き直管形蛍光ランプ照明器具の構造図。
図3】防水ソケット付き直管形蛍光ランプ照明器具の構造図。
図4】実施の形態1の防風チューブ・防水キャップ付き直管形蛍光ランプ器具の構造図。
図5】実施の形態1の防風チューブ・防水キャップ付き直管形蛍光ランプ器具の構造図。
図6】実施の形態2の飛散防止膜付き直管形蛍光ランプ器具の構造図。
図7】実施の形態3の収縮チューブによる直管形蛍光ランプ照明器具の構造図。
図8】実施の形態1,2,3の実験例とその結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
≪発明までの経緯≫
沖縄地方等の塩害地域及びその周辺地域の大型店舗の屋外軒下に直管形蛍光ランプの照明器具が設置されている。ここで、以下のようなかつて無かった不具合事例が報告された。
それは沖縄の商業施設の防水ソケット付きかつ防風チューブの無い屋外軒下照明器具で使用されていた3千時間程度しか点灯させていない蛍光ランプFHF32EX−Nの全光束が極めて低くなり、発光色も薄いピンク色になったものであった。
本不具合はその照明器具が新設されたものではなく、すでに過去2回以上、蛍光ランプ寿命を全うした形で蛍光ランプを交換した経歴を持ち、過去に同様な不具合が発生したことは無かった。当初蛍光ランプの不具合と考えられたが、この現象は大型店舗で発生し、全て屋外軒下の防水ソケット付きの照明器具のみで多数発生していた。しかし、同一生産日の同形名蛍光ランプ(同一生産ロット)を店舗内で数千灯点灯させているが、その様な症状は全く発生していない事が判明し、不具合原因の特定が困難であった。
【0009】
この症状は特開2007−305431号公報「0043」に記載された「定格寿命に達する前に封入した水銀が全て消費され水銀レス点灯状態となり」と同様なものであり、水銀放電から発生する紫外線が不足したために蛍光体発光量が減少して、蛍光ランプ全体が暗くなったものと考えられた。そして、水銀蒸気放電が十分な放電電流を確保できないため、緩衝ガスとして封入したアルゴンガスが放電に関与してしまったものと考えられた。実際に、症状が発生した蛍光ランプを測定すると微弱なアルゴン放電からの可視発光が確認された。しかし、同一生産ロットの蛍光ランプであって、同一店舗の屋内に設置されたものにこのような症状は全く発生していなかった。
【0010】
上記光束低下ランプを観察すると、防水ソケットのゴムパッキンに密着した部分の蛍光ランプ内面に極めて黒ずんだ部分(黒ズミ)が観察された(図1)。ランプの分光分布を測定するとArガス放電から発生する赤外放射が観察された。通常蛍光ランプは管内に水銀蒸気が充満し、水銀蒸気放電から発生する紫外線によりガラス管内面に形成された蛍光体層が可視発光するものである。しかし水銀からの紫外線が極めて減少していると思われ、このスペクトルとともに蛍光体可視発光が減少していた。一方前記黒ズミを分析するとバリウムと水銀が検出された。黒ズミは水銀が蒸発しづらい形でランプ端部に捕捉され、管内に飽和水銀蒸気圧分の水銀が蒸発されず、不飽和の状態になったものと思われる。
蛍光ランプのこの黒ズミ部分を工業用ドライヤーで管壁温度約250℃に加熱し、凡そ5分程度加熱を継続させてみた。この加熱はランプを所定の点灯器具で点灯させながら行った。その結果、加熱前は不具合が発生した状態の、全体が薄暗いピンク色の発光であったのに対し、加熱とともに端部黒ズミより水銀が蒸発したと思われ、徐々に端部から蛍光発光が戻り始め、最終的には元通り正常な明るさに復活した。その後ランプの全光束及び電気特性、分光分布を測定したが全く正常な特性であった。
【0011】
この過渡現象における蛍光ランプからの発光を分光分布として観測し、Arガス放電からの発光の代表値としてλ=811.4nm、及び水銀からの発光の代表値としてλ=543nm(これは蛍光体の発光ピークで、水銀放電から発生する紫外線を受け、緑色に変換する蛍光体の発光量であり、Hg放電から発生する紫外線量の代用特性とした。)の経時変化を観察した。その結果を、最初はAr放電からの赤外発光が多く見られ、相対的に蛍光体からの可視発光が少ないが、時間とともにArからの発光が減少し、それに代わり蛍光体からの可視発光が増加した。別途水銀からの紫外発光そのものも観察したが、λ=543nmと同様な増加が観察された。
この現象は、最初水銀蒸気が不足し、正常な水銀蒸気放電ではなく、水銀が不足している分をAr放電が補った形の放電形態をとっており、加熱により水銀は放電空間に放出されると、水銀HgはArよりも電離電圧が低いため、主に放電に寄与し、次第に電離電圧の高いAr放電の割合は減少したものと、考察される。
かつて、この様な、市場で蛍光ランプが何本も同時に、かつ数千時間という極めて短い使用時間で薄暗いピンク色になってしまうといった不具合症状が報告されたことは無かった。ましてやこの現象は単純に蛍光ランプの製造不具合によるものではないことは、同一生産ロットのランプが同一施設の屋内照明用途では全く問題なく使用されていることより明白であった。
【0012】
この症状について、関連企業含め多くの事例を調査したが、少なくとも本州において、このような事例は全く発生していない事が確認された。一方沖縄においてこのような他の事例は無いかと調査したところ、複数の物件で同様な症状が発見された。これらは駐車場や公共交通機関関連施設等で発見され、製造メーカーや光源色はばらばらであった。従ってこの現象は一社固有の問題ではなく、広く一般にかつ極めて一部の地域、一部の照明器具でのみ発生している現象と思われた。しかし、沖縄といえども何十年も前から同様な照明器具が使われており、何故最近になってこの現象が顕在化したかは不明であった。
【0013】
既設の器具において、従来全く不具合が発生しなかったにもかかわらず、新たにランプ交換を行った後、このような不具合が発生することは以下の理由によるものである。
それは、各メーカーともRoHS指令や環境配慮設計努力によって、蛍光ランプに封入する水銀量を年々削減しているからである。古くは蛍光ランプ1本当たり液状水銀で10mg〜20mg程度封入していた。その時点でも、本件の様な条件が整ったケースにおいては、端部水銀凝集による黒ズミが沖縄地区では発生していた。しかし凝集が飽和し、更に余剰水銀があったため、ランプ内に水銀蒸気が不足することは無く、不具合の症状も発生していなかった。最近は各社環境影響を配慮し封入水銀量を5mgよりも少なくしている。そのため封入水銀が全て端部に凝集した際、余剰水銀が無くなり水銀放電が維持できず、Ar放電によるピンク色に発光する症状が観察されるのである。
【0014】
本来ゴムパッキンはその目的から言って、水(或いは塩分を含む雨水)がランプ端部に浸入することを防ぐ目的で用いられているはずだが、実際は複数回のランプ交換による広がりと、劣化、あるいはランプ径のバラツキやメーカー間の差により、実態として隙間が空いており、さらにはここに染込んだ塩水は逆に蒸発しづらく、常にランプ端部の外面伝導性を維持する結果となっていた。実際に口金上の付着物を分析した結果、塩であることが判明した。すなわち、ガラス管及び口金の金属シェル部までを被った塩分を含む雨水が、金属製口金シェル部とランプ本体のガラスとの間に電気的な接続を持たせていることが判明した。
【0015】
不具合発生の明確なメカニズムは細部までが明確になったわけではないが、発明者らの推定では不具合発生の明確なメカニズムは以下の通りである。
1.塩分を含む水分がランプ端部のガラス管外面に付着する。
2.防水パッキンとガラス管の間に上記塩水が浸透する。これは度重なる蛍光ランプの交換による防水パッキンの劣化、及び経年劣化、及びメーカー間の差により発生した隙間からの塩水の浸透が発生するものである。
3.前記浸透した塩水はランプ点灯時の発熱によっても蒸発しづらく、口金の金属シェル部と蛍光ランプガラス管外面を電気的に短絡させる。
4.上記塩水は更にはアース施工又は実質的アースされた照明器具本体と電気的に短絡し、前記防水ソケット部分のガラス管外面と電気的に導通する。
5.ランプ点灯中ランプ内部に発生する水銀イオンのプラス電荷が、前記実質的にアースされたランプ端部防水ソケット部分のガラス管外面に電気的に引寄せられ、付着する。
6.当初は再蒸発可能な金属水銀として付着しているものの、ガラス管成分であるナトリウム等とアマルガムを形成するか、或いは酸化水銀となって放電に寄与しづらくなる。
7.このように蒸発不能な無効水銀が増え、例えば直管40Wであれば、数mg封入されている水銀の内、水銀蒸気放電に必要な数μg(封入量の1/1,000程度)の水銀すら蒸発できなくなる。ここで防水ソケット相当部分に付着される総水銀量には限度があり、凡そ4〜5mg程度であり、それ以上水銀が封入された場合、ランプ内には蒸発可能な液状水銀が、管内の飽和水銀蒸気圧に達する十分量が余剰となり、本不具合はそもそも観察されない。
8.水銀蒸気放電が維持できず、不足する放電電流をバッファーガスとして封入したArガスが放電に寄与して放電が維持される。
9.放電は維持されるが、水銀からの紫外線放射が減少するため、蛍光体は発光が弱まり、代わりにAr放電からの赤外線やピンク色の可視発光が観察される。
【0016】
この不具合の対策としては以下のようなものがある。
対策1.蛍光ランプの水銀量を元通りに多くする。
対策2.商用周波、或いは高周波による交流点灯せず、直流で点灯させる。
対策3.塩分を含んだ水が防水パッキンの下に入り込まないようにする。
【0017】
上記対策1はすでに過去の実績があるわけだが、環境負荷の観点から望ましいものではない。対策2はカタホリシス現象を発生させ、かつ新たな点灯回路に交換する必要がある。従って、対策3が望ましく、以下に述べる実施の形態はいずれも対策3を志向したものである。以上の対策3が環境負荷低減の観点からも最善である。
【0018】
発明者らが選択した解決策は、水銀を増やしたランプで対応するのではなく、また直流点灯方式に変更するのでもなく、以下のとおりである。
実施の形態1.防風チューブを追加する器具改造を行う。
実施の形態2.ランプを飛散防止形のものに交換する。
実施の形態3.ランプの両端部とソケットを収縮チューブで覆った後、加熱収縮させて防湿・防水性を高める。
【0019】
実施の形態1.
図4図5は、実施の形態1の照明器具の一部を示す図である。
照明器具は、照明器具本体100と直管形蛍光ランプ10(以下、単に、蛍光ランプ10ともいう)を備えている。照明器具本体100は、蛍光ランプ10を取り付ける防水ソケット20を有している。
防水ソケット20は器具ソケット21と筒型パッキン16と防風パッキン17と防水キャップ22とを有している。
器具ソケット21には、防風パッキン17をはめ込むための環状の環状凹部25と防水キャップ22をねじ込む螺旋状の雄ネジ溝26とが形成されている。
【0020】
図4図5に示す照明器具の器具ソケット21と蛍光ランプ10とは、図1に示す器具ソケット21と蛍光ランプ10と同じものである。図4図5に示す照明器具の防水キャップ122は、図1に示す防水キャップ22とは異なる形状のものである。
筒型パッキン16は、環状かつ筒状の形状を有しており、器具ソケット21の環状凹部25に一端部がはめ込まれる。筒型パッキン16はゴムやシリコンであり、圧力により変形する。
【0021】
防風パッキン17は、全体として環状かつ筒状の形状を有しており、ゴムやシリコンであり、圧力により変形する。防風パッキン17は、その外周が筒型パッキンの内周にはめ込まれ、その内周が蛍光ランプ10の外周に接触する。
防風パッキン17の中心軸方向の断面形状は、凸型、T字型、L字型、あるいは、Z字型をしている。防風パッキン17の中腹には、防風チューブ30の端部内周をはめ込む環状段差を有している。
防風パッキン17の外周先端の凸部28が筒型パッキン16の内周に圧入され防水効果を奏している。
【0022】
さらに、防風パッキン17の底辺部29が蛍光ランプ10のガラス管11の外周に密着しており防水効果を奏している。防風パッキン17の底辺部29をガラス管11のみに密着させ、底辺部29を口金12にまで伸ばさないことにより、防風パッキン17の内周に水が入り込んでも、口金12(の金属製シェル)と蛍光管(ガラス管11)外面とを電気的に接続することを抑制する。防風パッキン17の底辺部29を口金12のみに密着させても、口金12(の金属製シェル)と蛍光管(ガラス管11)外面とを電気的に接続することを抑制する効果を奏する。
【0023】
防風チューブ30は、蛍光ランプ10のガラス管11の周囲に被せる透明あるいは半透明のパイプである。防風パッキン17の環状段差の外周に防風チューブ30の端部内周が密着して取り付けられ、防水効果を奏している。
【0024】
防水キャップ122は、環状かつ筒状の形状を有し、内側に雌ネジ溝27が切られている。防水キャップ122の雌ネジ溝27は、回転しながら器具ソケット21の雄ネジ溝26にねじ込まれ、防水キャップ122は筒型パッキン16を器具ソケット21に固定する。防水キャップ122は、図1図3に示す防水キャップ22とは、形状が異なるものであるが、ネジ径やネジピッチは同じものである。
【0025】
リング118は、ドーナツ形状をしており、筒型パッキン16と同じ内径と同じ外径を有している。リング118は樹脂製、ゴム製、あるいは、プラスチック製である。リング118は、防水キャップ122の内側壁と筒型パッキン16の一端との間に挟まれる。リング118は、図1図3に示すリング18とは、内径や外径が異なるものである。
【0026】
以下、実施の形態1の照明器具の製造方法について説明する。
ここでは、図2の防水用の照明器具から図5の防水用かつ防風用の照明器具を製造する方法について説明する。照明器具本体100は、蛍光ランプ10を取り付ける器具ソケット21を有している。器具ソケット21には、防風パッキン17をはめ込むための環状凹部25と防水キャップ122をねじ込む雄ネジ溝26とが形成されている。
まず、あらかじめ、以下のような環状の筒型パッキン16と環状の防風パッキン17と環状の防水キャップ122とリング118とを製造しておく。
【0027】
筒型パッキン16の外径は、防水キャップ122の最小内径に等しい。
筒型パッキン16の内径は、防風パッキン17の凸部28の外径より大きい。ただし、圧入できる程度にやや大きい。
防風パッキン17の底辺部29の内径は、ガラス管11(又は口金12)の外径に等しいか、圧入できる程度にやや小さい。
防水キャップ122の雌ネジ溝27は、器具ソケット21の雄ネジ溝26のピッチが同じである。
リング118は、筒型パッキン16と同じ内径と同じ外径を有している。
【0028】
1.取り外し工程
図2の防水キャップ22を回転させて防水キャップ22を器具ソケット21から外す。防水キャップ22は図2において右側に外れる。
図2において防水キャップ22が外れると防水キャップ22からリング18とゴムパッキン23への圧力がなくなるので、図3のように、ゴムパッキン23と蛍光ランプ10との密着が弱まる。あるいは、ゴムパッキン23と蛍光ランプ10との接触がなくなる。
次に、ゴムパッキン23を器具ソケット21の環状凹部25から外し、ゴムパッキン23を図1において右側にシフトする。
次に、蛍光ランプ10のピン13を器具ソケット21から外し、蛍光ランプ10とゴムパッキン23とリング18と防水キャップ22とを器具本体100から取り去る。ゴムパッキン23とリング18と防水キャップ22はこの実施の形態で1では今後使用しないので捨てる。
この時点で、図1の器具ソケット21のみが裸で残る。
【0029】
2.取り付け工程
次に、防風チューブ30に蛍光ランプ10を通す。この蛍光ランプ10は新たなものでもよいし、器具本体100から取り外したものでもよい。
次に、蛍光ランプ10のガラス管11の両端(又は口金12)に防風パッキン17をはめ込んで取り付け、防風パッキン17の外周に防風チューブ30の端部を乗せ、防風チューブ30をガラス管11から浮かせた状態にする。防風チューブ30は、あらかじめ、防風パッキン17がガラス管11の両端(又は口金12)に位置できるような長さに切断してある。
次に、蛍光ランプ10が内側にある防風チューブ30を防水キャップ122とリング118に通す。さらに、筒型パッキン16を防風パッキン17の凸部28の外周にはめ込む。
次に、ピン13を器具ソケット21に差し込み蛍光ランプ10を器具ソケット21に取り付ける。
また、防風パッキン17の一端を環状凹部25にはめ込む。こうして、図4の状態になる。
次に、防水キャップ122の雌ネジ溝27を器具ソケット21の雄ネジ溝26にねじ込む。防水キャップ122が器具ソケット21の方向に動き、リング118と筒型パッキン16を加圧する。
【0030】
図5に示すように、リング118は、防水キャップ122の内側壁と筒型パッキン16の一端との間に挟まれ、筒型パッキン16が変形して、防風パッキン17の凸部28の全外周に密着する。
【0031】
このように、実施の形態1の照明器具の製造方法は、防水ソケット付きの照明器具を、防水ソケット付きかつ防風チューブ付きの照明器具に改造する方法である。
防水ソケット付きの照明器具に対して防風チューブを後付けするためには部品の選定・入手と照明器具改造のコストがかかる。そもそも、防風チューブ付き照明器具にするためには、現在不具合が発生している防水ソケット付き照明器具(図1)とはソケット部の構造が異なり、器具としては全く別の機種であり、その用途も異なっている。
これを後から改造するためには図1に記載された防風パッキン17とリング18と防水キャップ22を取除き、図4図5に示したように筒型パッキン16、防風パッキン17、図1とは構造の異なるリング118、図1とは構造の異なる防水キャップ122、及び防風チューブ30を設置すればよい。
【0032】
ここで同一器具メーカーのものであれば、防水キャップのねじピッチが同じである場合も有る。しかし、生産時期とともに設計変更もされており、防水キャップ22を必ずしも流用できるものではない。そもそもここで防風チューブ30を用いる目的は、防風とは無関係であり、後述する塩分を含んだ水分を蛍光ランプ10端部口金付近に付着させない事を目的としている。本来の図1の防風パッキン17がこの目的のため装着されたものであったが、その機能が劣化により不全となったり、想定外の塩水浸透が発生しているため、前記防風チューブ30による水分の隔離が必要である。
【0033】
以上のように、実施の形態1の照明器具は、塩害地域及びその周辺かつ本州以外かつ本州以南の島もしくは沖縄及びその近辺の島で使用される、直接潮風が当り、かつ雨の当らない屋外の軒下に設置された蛍光ランプ10を使用する場合に好適である。
【0034】
実施の形態1の照明器具は、防水ソケットが使用されてはいるが、もともと防風チューブが設置されていない照明器具である。当該蛍光ランプ10は磁気式安定器による商用周波で点灯される、或いは高周波点灯回路で高周波にて点灯される、直流点灯ではないものである。
【0035】
当該蛍光ランプ10の照明器具はその照明器具本体が実質的にアースされている。
更には組合されている蛍光ランプ10の封入水銀量が5mg以下の封入量である。
実施の形態1の照明器具は、上記照明器具の蛍光ランプ10に防風チューブ30を被せたことを特徴とする。
【0036】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2の照明器具の一部を示す図である。図1と異なる点は、蛍光ランプ10の外周に飛散防止チューブ40がある点である。飛散防止チューブ40の厚さは約100μm程度である。
【0037】
蛍光ランプ10は、ガラス管11と、ガラス管11の両端に設けられ器具ソケット21に取り付けられる口金12と、口金12からガラス管11中央寄りに配置された電極14と、口金12とガラス管11の外周全体に被覆した樹脂製収縮チューブからなる飛散防止チューブ40とを有する。
【0038】
飛散防止チューブ40は、ガラス管11全体になくてもよく、塩水浸透を抑制できる範囲にあればよく、たとえば、少なくとも口金12から電極14の電極囲繞部分15まであればよい。
【0039】
図1の防水用の照明器具から図6の防水用の照明器具を製造する照明器具の製造方法は、以下のとおりである。
1.取り外し工程
取り外し工程は、実施の形態1と同じ動作をする。
2.取り付け工程
蛍光ランプ10を飛散防止チューブ40に通し、飛散防止チューブ40をドライヤーなどの熱風にて収縮させる。
【0040】
次に、飛散防止チューブ40で被覆された蛍光ランプ10を、取り外し工程で取り外した防水キャップ22に通し、さらに、ゴムパッキン23に通す。
次に、蛍光ランプ10のピン13を器具ソケット21に取り付ける。
次に、ゴムパッキン23を環状凹部25に取り付ける。
次に、防水キャップ22を器具ソケット21にねじ込んで取り付ける。ゴムパッキン23がガラス管11に密着することになる。飛散防止チューブ40の厚さの分だけゴムパッキン23とガラス管11との密着が増加するので、防水効果が向上する。
【0041】
飛散防止形蛍光ランプ10は、通常の飛散防止チューブ無し蛍光ランプに比べコストがかかり、価格も上がる。しかし、この約100μm程度のチューブが図1のゴムパッキン23と蛍光ランプ10のガラス管11端部との隙間を埋め、塩水浸透を抑制し、かつ塩水の若干の浸透があっても塩水と口金金属部との接触を抑制するため、有効に不具合発生を抑制できる。
【0042】
以上のように、実施の形態2の照明器具及び蛍光ランプ10は、実施の形態1と同じものであり、使用する蛍光ランプ10に飛散防止チューブ40(樹脂製収縮チューブ)を被覆することを特徴とする。飛散防止チューブ40の収縮後、飛散防止チューブ40は蛍光ランプ10の両端の金属製口金12全体を被覆する。さらに、口金12から口金12のガラス境界を含み少なくともこの境界部よりランプ中央寄り電極囲繞部分15まで飛散防止チューブ40を密着させていることを特徴とする。
【0043】
実施の形態3.
図7は、実施の形態3の照明器具の一部を示す図である。
図1と異なる点は、防水キャップ22と蛍光ランプ10の外周に収縮チューブ50がある点である。収縮チューブ50は樹脂製収縮チューブからなる。
収縮チューブ50は、防水キャップ22の端部外周から少なくとも電極14の囲繞部分までのガラス管11外周に被覆されればよい。しかし、ガラス管11全体を被覆してもよく、全体を被覆すればガラス管11の飛散防止に役立つ効果がある。
【0044】
図7の防水用の照明器具を製造する照明器具の製造方法は、以下のとおりである。
1.取り付け工程
蛍光ランプ10を防水キャップ22に通し、さらに、蛍光ランプ10にゴムパッキン23を通し、さらに、蛍光ランプ10を直径が防水キャップ22の直径よりも大きな収縮チューブ50に通す。
蛍光ランプ10のピン13を器具ソケット21に取り付ける。
ゴムパッキン23を環状凹部25に取り付ける。
防水キャップ22を器具ソケット21にねじ込んで取り付ける。
【0045】
2.被覆工程
収縮チューブ50を防水キャップ22とガラス管11とが被さるように防水キャップ22側に位置合わせして、防水キャップ22をドライヤーなどの熱風にて収縮させる。収縮後は、図7のとおり、収縮チューブ50が、防水キャップ22とガラス管11とを被覆する。
【0046】
ドライヤーにて収縮させるのも単なるランプ交換に比べ、手間がかかるが、器具ソケット21とランプ端部を収縮チューブ50で被うことにより塩水浸透を抑制できる。
【0047】
以上のように、実施の形態3の照明器具及び蛍光ランプ10は、実施の形態1と同じものであり、器具ソケット21とランプ端部を一括して飛散防止チューブにて収縮密閉することにより、少なくともランプ両端と器具ソケット21の間の防湿性を高めたことを特徴とする。
【0048】
***実施の形態1,2,3の実験例とその結果***
図8に、実施の形態1,2,3の実験例とその結果とを示す。
不具合が発生した沖縄県読谷村と那覇市との、合わせて2箇所において実施の形態1,2,3の実験をして効果を確認した。照明器具はいずれもFHF32ランプ用で、1灯用及び2灯用の高周波点灯器具(三菱電機照明株式会社製等)であり、器具ソケット21に防水パッキン(ゴムパッキン23)が設置されているが、防風チューブは無かったものを用いた。これら照明器具は全て同一箇所の同様な軒下に設置されている。点灯は1日20時間の定格電圧で点灯した。これを継続させ現象発生の確認と、2,000時間点灯後の防水パッキン相当部に凝集した水銀量を測定した。この測定はサンプルを3本(両端相当部をカットし、一本毎両端部分のガラス管を硝酸で処理し、水銀のみを集めて水銀量を重量で測定した。図8は各々3本の平均値を示す。水銀凝集は目視確認した。症状発生時間とは3本中最も早く不具合を発生させたものの点灯時間で示した。最も早い不具合の発生が不具合発生の再現となるためと考えられるからである。
【0049】
比較例1,2は、水銀量が10mgあるので、不具合が発生しなかった。比較例1は不具合発生が無かったが、本来屋外使用の照明器具のため、ゴムパッキンは装着すべきであり、不具合発生は回避できたが、有効な実施品からは除外した。
不具合例1は、60Hz点灯で、ゴムパッキン23、防水キャップ22のみを使用した例であり、不具合が発生した。
不具合例2は、45kHz点灯で、ゴムパッキン23、防水キャップ22のみを使用した例であり、不具合が発生した。
比較例4は、不具合発生が無かったが、本来屋外使用の照明器具のため、ゴムパッキンは装着すべきであり、不具合発生は回避できたが、有効な実施品からは除外した。
比較例5は、直流点灯であり、カタホリシス現象が発生した。
【0050】
実施品1〜6は、有効な実施品であり、以下の組合わせである。
実施品1(実施の形態1):60Hz点灯+防風パッキン17+防風チューブ30
実施品2(実施の形態2):60Hz点灯+ゴムパッキン23+飛散防止チューブ40
実施品3(実施の形態3):60Hz点灯+ゴムパッキン23+収縮チューブ50
実施品4(実施の形態1):45kHz点灯+防風パッキン17+防風チューブ30
実施品5(実施の形態2):45kHz点灯+ゴムパッキン23+飛散防止チューブ40
実施品6(実施の形態3):45kHz点灯+ゴムパッキン23+収縮チューブ50
【0051】
≪実施の形態1,2,3の効果確認≫
沖縄には軒下に設置され、飛散防止形蛍光ランプ10が照明器具により利用されているケースもある。同様に防風チューブが付いている器具が設置されているケースもある。これらは本不具合が発生していない。本課題が発生するのは、それらが施されていない器具のみである。我々はこれらの効果を追認したものではあるが、これらの施されていない器具において、本不具合が発生した際のいくつかの取りうる対応策の内、環境負荷低減等の観点から、たとえ対応に若干のコストがかかったとしても、上記の対策が良いという結論を得たものである。
【0052】
以上のように、実施の形態1,2,3によれば、塩分を含んだ水分が、金属製シェルとランプ本体ガラス管外面を電気的に接続される事を、本実施の形態の手段が有効に抑制するため、水銀イオンが防水パッキン相当部に凝集する事が軽減され、本不具合現象が発生しない。
【0053】
不具合発生のメカニズムが判明した現在、本来の防風という目的とは異なるが、防風チューブ付きの照明器具がこの塩水浸透不具合を解消することに役立つということも判明している。すなわち、防水ソケット付き照明器具を廃棄して、照明器具ごと全て防風チューブ付きの照明器具に交換してしまえば、この不具合は解消される。しかし、照明器具の交換という新たなコストとまだ使える防水ソケット付き照明器具の廃却という環境負荷を生んでしまう。
【0054】
実施の形態1,2,3に記載した対策は、環境配慮の観点からでも意義のある選択である。
【0055】
なお、実施の形態1,2,3を組み合わせてもかまわない。また、実施の形態1,2,3では、直管形蛍光ランプ10の場合を説明したが、直管形蛍光ランプに限らず、片口金形蛍光ランプや環形蛍光ランプの場合でもかまわない。また、蛍光ランプに限らず他のランプの場合でも口金とガラス管との電気的接触作用を防止するために、実施の形態1,2,3を適用することができる。
【0056】
前述した実施の形態の照明器具は、ランプを取り付ける器具ソケットを有し、器具ソケットには、ゴムパッキンをはめ込むための環状凹部と防水キャップをねじ込むネジ溝とが形成された照明器具において、
器具ソケットの環状凹部に一端部がはめ込まれる筒型パッキンと、
筒型パッキンの内周にはめ込まれ、ランプの外周に接触する環状の防風パッキンと、
防風パッキンの外周に端部が取り付けられ、ランプの周囲に被せる防風チューブと、
器具ソケットのネジ溝にねじ込まれ、筒型パッキンを防風パッキンに密着させる防水キャップと
を備えたことを特徴とする。
【0057】
前述した実施の形態の照明器具は、
器具ソケットを有する照明器具本体と、
環状のゴムパッキンと、
器具ソケットに取り付けられ、ゴムパッキンをランプの周囲に密着させる防水キャップと、
ガラス管と、ガラス管の両端に設けられ器具ソケットに取り付けられる口金と、口金からガラス管中央寄りに配置された電極と、少なくとも口金から電極囲繞部分までのガラス管外周に被覆した樹脂製収縮チューブとを有するランプと
を備えたことを特徴とする。
【0058】
前述した実施の形態の照明器具は、
器具ソケットを有する照明器具本体と、
環状のゴムパッキンと、
器具ソケットに取り付けられ、ゴムパッキンをランプの周囲に密着させる防水キャップと、
ガラス管と、ガラス管の両端に設けられ器具ソケットに取り付けられる口金と、口金からガラス管中央寄りに配置された電極とを有するランプと、
防水キャップの端部外周から少なくとも電極囲繞部分までのガラス管外周に被覆した樹脂製収縮チューブと
を備えたことを特徴とする。
【0059】
上記照明器具は、封入水銀量が5mg以下の直管形蛍光ランプを磁気式安定器により商用周波で点灯し、又は、高周波点灯回路で高周波にて点灯し、上記器具本体がアースされていることを特徴とする。
【0060】
前述した実施の形態の照明器具の製造方法は、ランプを取り付ける器具ソケットを有し、器具ソケットには、ゴムパッキンをはめ込むための環状凹部と防水キャップをねじ込むネジ溝とが形成された防水用の照明器具から防水用かつ防風用の照明器具を製造する照明器具の製造方法において、
環状の筒型パッキンの一端部を、器具ソケットの環状凹部にはめ込み、
防風チューブをランプの周囲に被せ、ランプの外周に取り付けた環状のゴムパッキンの外周に防風チューブの端部を取り付け、
環状のゴムパッキンを、筒型パッキンの内周にはめ込み、
防水キャップを、器具ソケットのネジ溝にねじ込み、筒型パッキンをゴムパッキンに密着させることを特徴とする。
【0061】
前述した実施の形態の照明器具の製造方法は、防水用の照明器具の製造方法において、
ガラス管と、ガラス管の両端に設けられ器具ソケットに取り付けられる口金と、口金からガラス管中央寄りに配置された電極とを有するランプの少なくとも口金から電極囲繞部分までのガラス管外周に樹脂製収縮チューブを被覆し、
樹脂製収縮チューブが被覆されたランプを、環状の防水キャップと環状のゴムパッキンとに通し、
器具ソケットに、ランプを取り付け、
防水キャップを、器具ソケットに取り付け、ゴムパッキンをランプの周囲に密着させることを特徴とする。
【0062】
前述した実施の形態の照明器具の製造方法は、防水用の照明器具の製造方法において、
ランプを、樹脂製収縮チューブと環状の防水キャップと環状のゴムパッキンとに通し、
器具ソケットに、ランプを取り付け、
防水キャップを、器具ソケットに取り付け、ゴムパッキンをランプの周囲に密着させ、
樹脂製収縮チューブを、防水キャップの端部外周から少なくとも電極囲繞部分までのガラス管外周に被覆することを特徴とする。
【符号の説明】
【0063】
10 蛍光ランプ、11 ガラス管、12 口金、13 ピン、14 電極、15 電極囲繞部分、16 筒型パッキン、17 防風パッキン、18 リング、19 黒ズミ、20 防水ソケット、21 器具ソケット、22 防水キャップ、23 ゴムパッキン、25 環状凹部、26 雄ネジ溝、27 雌ネジ溝、28 凸部、29 底辺部、30 防風チューブ、40 飛散防止チューブ、50 収縮チューブ、100 器具本体、118 リング、122 防水キャップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8