【実施例1】
【0057】
図1は、本実施例1に係る成形面ファスナーを示す平面図であり、
図2は、
図1に示したII−II線における断面図である。
図3は、係合素子を拡大してフック部側から見た図であり、
図4及び
図5は、係合素子を示す斜視図である。
図6は、成形面ファスナーの要部をファスナー長さ方向に直交する断面で示す断面図である。
【0058】
なお、以下の説明において、成形面ファスナーについてファスナー長さ方向又は前後方向とは、成形面ファスナーを成形する工程において成形面ファスナーが連続的に成形される方向(機械方向)に沿った方向を言い、特に
図1を見たときの上方側となる方向を前方とし、その反対方向を後方とする。また言い換えると、ファスナー長さ方向は、成形面ファスナーが一体化されるクッション体において、当該クッション体の表面に形成される表皮材止着用溝部の長さ方向と同じ方向と言うこともでき、この場合、表皮材止着用溝部の長さ方向とは、表皮材止着用溝部の溝幅方向と溝深さ方向に直交する方向を言う。
【0059】
成形面ファスナーについてファスナー幅方向又は左右方向とは、ファスナー長さ方向に直交し、且つ、成形面ファスナーの基板部に沿った方向を言い、また、機械方向に直交する機械横断方向と言うこともできる。特に
図1を見たときの左側及び右側となる方向を、それぞれ左方及び右方とする。
【0060】
成形面ファスナーについてファスナー高さ方向又は上下方向とは、ファスナー長さ方向に直交し、且つ、成形面ファスナーの基板部に直交する方向を言う。特に
図1を見たときの紙面手前側の方向を上方とし、その反対方向を下方とする。
【0061】
図1に示した本実施例1の成形面ファスナー1は、後述するようにダイホイール51を有する製造装置50を用いて、熱可塑性樹脂に磁性体(磁性粒子)が混入した材料を成形することにより製造されており、製造装置50の機械方向(成形面ファスナー1が搬送される方向)に長く形成されている。
【0062】
なお本発明において、成形面ファスナー1の材質は特に限定されないが、弾性力を備える材質、例えばポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、又はこれらの熱可塑性樹脂に熱可塑性エラストマーを含有させた組成物などを用いることができる。
【0063】
本実施例1の成形面ファスナー1は、左側に配されるとともにファスナー長さ方向(機械方向)に長い第1面ファスナー部20aと、左側に配されるとともにファスナー長さ方向に長い第2面ファスナー部20bと、第1及び第2面ファスナー部20a,20b間に亘って配される折曲片部30とを有する。
【0064】
本実施例1において、第1面ファスナー部20aと第2面ファスナー部20bとは、第1及び第2面ファスナー部20a,20bと折曲片部30とを幅方向に沿ってまっすぐな直線状の形態に保持したときに、折曲片部30の幅方向における中心部を基準にして互いに対称的な形状を有する。
【0065】
従って、本実施例1の第1及び第2面ファスナー部20a,20bに関しては、折曲片部30の左側に配される一方の第1面ファスナー部20aについて主に説明し、他方の第2面ファスナー部20bについては、第1面ファスナー部20aのものと同じ符号を用いて表すことにより、その詳細な説明は省略することとする。
【0066】
本実施例1において、第1面ファスナー部20aは、折曲片部30の左側縁部からファスナー幅方向に延出する。この第1面ファスナー部20aは、平板状の基板部21と、基板部21の上面(第1面)に立設され、係合領域23を形成する複数のフック状の雄型係合素子40と、基板部21の係合領域23間に幅方向に沿って立設される横防壁部(第1防壁部)24と、基板部21の折曲片部30側とは反対側の端縁部(外側端縁部)に長さ方向に沿って立設される外側縦防壁部(第2防壁部)25と、基板部21の折曲片部30側の端縁部(内側端縁部)に長さ方向に沿って立設される内側縦防壁部(第3防壁部)26とを有する。
【0067】
第1面ファスナー部20aの基板部21は、当該第1面ファスナー部20aを上方又は下方(高さ方向側)からみたときに、矩形状を呈する厚さの薄い平板状の形態を有する。また、基板部21全体の板厚は、一定の大きさに設定されている。
【0068】
本実施例1において、基板部21の上面(第1面)及び下面(第2面)は平坦面に形成されている。なお、本発明では、例えば基板部21の下面に、互いに平行な複数の凹溝部又は凸条部を設けることが可能である。このような複数の凹溝部又は凸条部を設けることにより、成形面ファスナー1が、後述するようにクッション体(発泡体)10の発泡成形時に一体化されたときに(
図14を参照)、面ファスナー部材の基板部21の下面とクッション体10との接触面積を大きくして、クッション体10に対する成形面ファスナー1の固着強度を高めることができる。
【0069】
第1面ファスナー部20aに配される各係合素子40は、
図3〜
図6に示したように、基板部21の上面から上方に向けて立ち上がるステム部41と、ステム部41の側面の上方側からファスナー幅方向に沿って延出するフック部42とを有する。
【0070】
ステム部41は、フック部42の下方に配され、フック部42の延出方向に向く内側面41aと、ステム部41の内側面41aとは反対側に配され、基板部21の外側端縁部側に向く外側面41bと、ファスナー長さ方向に向く前後端面41cと、ステム部41の上端部に配され、上方を向く上端面(頂端面)41dとを有する。また、ステム部41の基板部21に連結する底面は、略矩形状に形成されている。
【0071】
ここで、ステム部41の上端面(頂端面)41dとは、基板部21から最も離れた位置に、上方に向いて配される面を言う。この場合、ステム部41の上端面41dは、フック部42の上端の高さ位置よりも上方に配されている。なお、ステム部の上端面が、例えばフック部の上端面と段差や屈曲等を介さずに連続的な一つの面に形成されている場合は、フック部の上端面と同じ高さ位置に配されるステム部側の面、若しくは、ステム部においてフック部の上端面と単一な平面を形成する部分の面を言う。
【0072】
ステム部41の底面から上端面41dまでのファスナー高さ方向における寸法の最大値Hは、係合素子40の高さ方向における寸法(高さ寸法)となる。本実施例1において、全ての係合素子40の高さ寸法Hは、0.3mm以上3.5mm以下に、好ましくは0.45mm以上2.0mm以下の一定の大きさに設定されている。
【0073】
またこの場合、本実施例1における係合素子40の高さ寸法Hは、成形面ファスナー1の横防壁部24、外側縦防壁部25、及び内側縦防壁部26の高さ寸法と同じ大きさに設定されている。これにより、後述するようなクッション体10の発泡成形工程において、成形面ファスナー1を金型15のファスナー保持部15aに保持するときに、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの各防壁部24〜26の上面を、係合素子40に邪魔されることなく、ファスナー保持部15aに安定して密着させることができる。なお本発明において、係合素子40の高さ寸法Hは、成形面ファスナー1の横防壁部24、外側縦防壁部25、及び内側縦防壁部26の高さ寸法よりも小さく設定されていても良い。
【0074】
ステム部41の内側面41aは、ステム部41の下端部に配され、凹面状に形成される第1内側面と、第1内側面から連続して上方に延び、上下方向に平行な平面状に形成される第2内側面とを有する。なお本発明では、フック部42の下方に配される内側面41aの全体が、凹面状又は平面状に形成されていても良い。
ステム部41の外側面41bは、上下方向に対してフック部42側に傾斜した平面状に形成されており、ステム部41のファスナー幅方向における寸法(素子長さ寸法)を、上方に向けて漸減させている。ここで、ステム部41のファスナー幅方向における寸法は、ステム部41の外側面41bと、ステム部41の内側面41a、並びに後述する境界45に沿って形成される第1及び第2基準面(第1及び第2境界面)46,47との間のファスナー幅方向における寸法を言う。
【0075】
ステム部41の前端面41c及び後端面41cは、ステム部41のファスナー長さ方向における中心位置を基準に、相互に対称的な平面に形成されている。また、ステム部41の前端面41c及び後端面41cは、ステム部41のファスナー長さ方向における寸法(素子幅寸法)が上方に向けて漸減するように、高さ方向(上下方向)に対して傾斜して形成されている。
【0076】
この場合、
図3に示したように、ステム部41の前端面41c及び後端面41cの上下方向に対する傾斜角度θ1は、5°以上20°以下に、好ましくは10°以上15°以下に設定される。傾斜角度θ1を5°以上(特に10°以上)にすることによって、本実施例1の成形面ファスナー1をダイホイール51から型抜きするときの抜き勾配を安定して形成できる。
【0077】
また、傾斜角度θ1を20°以下(特に15°以下)にすることによって、ステム部41の上端部における素子幅寸法が小さくなり過ぎることを防いで、ステム部41の強度を安定して確保できる。なお、本実施例1において、ステム部41の上端部における素子幅寸法Wは、0.1mm以上3.0mm以下に、好ましくは0.2mm以上2.0mm以下に設定されている。
【0078】
第1面ファスナー部20aに配される全ての係合素子40のフック部42は、ステム部41の上端部分から、折曲片部30側に向けてファスナー幅方向に沿った同じ方向に延出している。この場合、フック部42は、後述する第2基準面47を介して、ステム部41の頂端面の高さ位置よりも低い部分からファスナー幅方向に向けて延出する。なお、第2面ファスナー部20bに配される全ての係合素子40のフック部42も、ステム部41の上端部分から、折曲片部30側に向けてファスナー幅方向に沿った同じ方向に延出している。
【0079】
従って、第1面ファスナー部20aの1つの基板部21に配される全ての係合素子40のフック部42の延出方向と、第2面ファスナー部20bの1つの基板部21に配される全ての係合素子40のフック部42の延出方向とは、フック部42が互いに向き合う反対の方向となる。
【0080】
また本実施例1の係合素子40において、フック部42のファスナー幅方向における寸法L、すなわち、ステム部41からフック部42の先端までのファスナー幅方向における寸法Lは、0.2mm以上3.0mm以下に、好ましくは0.3mm以上1.5mm以下に設定されている。
【0081】
本実施例1のフック部42は、ステム部41の内側面41aから滑らかに連続して形成される下端面42aと、基板部21の上面と平行に配される上端面42bと、ファスナー長さ方向に向く前後端面42cと、フック部42の先端部に曲面状に形成される先端面42dとを有する。ここで、係合素子40のフック部42とは、基板部21の上面に対向する面となる下端面42aを有する部分を言う。すなわち、係合素子40のステム部41には、基板部21の上面に対向するような面が形成されておらず、本発明では、係合素子40において、ステム部41からファスナー幅方向に延出するとともに、基板部21の上面に対向する面を備えている部分をフック部42とする。
【0082】
このフック部42の先端面42dは、上端面41dから下端面42aにかけて連続するような湾曲面に形成されている。また、フック部42は、当該フック部42における上端面42bと下端面42aとの間の高さ方向における寸法(高さ寸法)が、フック部42におけるステム部41と接続する基端部からフック先端に向けて漸減するように形成されている。
【0083】
この場合、フック部42の下端面42aは、ステム部41の内側面41aから連続して凹面状に形成される第1下端面と、その第1下端面からフック部42の先端面42dまで連続して平面状に形成される第2下端面とを有しており、下端面42aの面形状が、例えば前述した特許文献1や特許文献2に記載されている従来のフック状係合素子とは異なる。
【0084】
すなわち、特許文献1や特許文献2に記載されている従来のフック状係合素子では、フック部における下端面の面形状が、ループ状係合素子を保持し易いようにフック部の中間部が最も凹むように形成されており、フック部の先端部は、フック部の中間部よりも低い高さ位置に配されている。
【0085】
これに対して、本実施例1の係合素子40では、後述するように、係合相手となるループ状係合素子を基本的にステム部41で保持するため、フック部42の下端面42aは、従来のようにフック部42の中間部が最も凹むようには形成されておらず、下端面42aの高さ位置がフック部42の基端部から先端部に向けて徐々に高くなるように(又は同じ高さとなるように)形成されている。この場合、本実施例1のフック部42における平面状の第2下端面42aは、基板部21の上面に対して形成される角度θ2が0°以上50°以下、好ましくは10°以上35°以下となるように配される。
【0086】
このような下端面42aを有するフック部42を形成することにより、後述するように、本実施例1の成形面ファスナー1に、複数のループ状係合素子13aを備えた雌型係合部材13を係合させるときに(例えば
図14を参照)、本実施例1の係合素子40のフック部42をループ状係合素子13aに挿通させ易くすることができる。また、本実施例1の成形面ファスナー1に係合させた雌型係合部材13を、成形面ファスナー1に対してファスナー幅方向に移動させて取り外すときには、ループ状係合素子13aから係合素子40のフック部42を抜き易くすることができる。
【0087】
フック部42の上端面42bは、ステム部41から、ファスナー幅方向に沿って基板部21の上面と平行に延出している。このフック部42の上端面42bは、上下方向(高さ方向)に関して、ステム部41におけるフック部42側の端部(内側端部)における上端面41dの高さ位置よりも、段差を介して低い位置に配されている。
【0088】
この場合、ステム部41の上端面41dとフック部42の上端面42bとの間に配される段差は、上下方向に平行で、且つ、ファスナー幅方向に関して、後述する拡幅部43と細幅先端部44との間の境界45の位置と同じ位置に配される基準面(第2基準面)47を有する。なお、本実施例1の境界45の位置は、ファスナー幅方向において、ステム部41とフック部42とを区画する区画位置と同じである。この場合、第2基準面47は、第2境界面47と言い換えるともできる。
【0089】
フック部42の前端面42c及び後端面42cは、フック部42のファスナー長さ方向における中心位置を基準に、相互に対称的な平面に形成されている。また、フック部42の前端面42c及び後端面42cは、フック部42のファスナー長さ方向における寸法(素子幅寸法)が先端部に向けて漸減するように(先細りになるように)、ファスナー幅方向に対して傾斜して形成されている。
【0090】
この場合、フック部42の前端面42c及び後端面42cのファスナー幅方向に対する傾斜角度は、5°以上20°以下に、好ましくは10°以上15°以下に設定される。この傾斜角度を5°以上(特に10°以上)にすることによって、本実施例1の成形面ファスナー1をダイホイール51から型抜きするときの抜き勾配を安定して形成できる。また、フック部42の前後端面41cにおける傾斜角度を20°以下(特に15°以下)にすることによって、フック部42の先端部における素子幅寸法が小さくなり過ぎることを防いで、フック部42の強度を安定して確保できる。
【0091】
また、本実施例1の係合素子40は、係合素子40の素子幅寸法(ファスナー長さ方向における寸法)を、フック部42の延出方向に小さくする境界(寸法境界部)45を有しており、この素子幅寸法を変化させる境界45は、ファスナー長さ方向(前後方向)及び高さ方向(上下方向)に沿って配されている。
【0092】
更に本実施例1の係合素子40は、境界45からファスナー幅方向の一方側(基板部21の外側端縁部側)に配され、素子幅寸法を大きく確保した拡幅部43と、境界45からファスナー幅方向の他方側(折曲片部30側)に配され、素子幅寸法を拡幅部43よりも小さくして拡幅部43からファスナー幅方向に延出する細幅先端部44とを有する。
【0093】
特に本実施例1の場合、ステム部41の全体が素子幅寸法の大きな拡幅部43により形成されているとともに、フック部42の全体が細幅先端部44により形成されており、境界45がステム部41とフック部42とを区画する区画位置に設定されている。この場合、境界45上における細幅先端部44の素子幅寸法は、境界45上における拡幅部43の素子幅寸法よりも小さく設定されている。
【0094】
更に、ステム部41(拡幅部43)とフック部42(細幅先端部44)との間の境界45は、ファスナー幅方向において、ステム部41の内側面41aの上端側(すなわち、内側面41aのうちの上下方向と平行に配される第2内側面)の位置と同じ位置に設定されている。
【0095】
なお本実施例1では、
図6における断面視において、境界45を高さ方向の下方に向けて延長したときに、その境界45の延長線よりもステム部41の外側面41b側に配される部分をステム本体部48と言い、また、その境界45の延長線よりもステム部41の内側面41a側に配される部分を裾部49と言う。
【0096】
また本発明では、後述するように、拡幅部43と細幅先端部44との間の上下方向に沿った境界45の位置を、本実施例1の場合よりもステム部41の外側面41b側にずらすことも可能である(
図15及び
図16に示す実施例1の第1変形例を参照)。この場合、ステム部41の境界45より外側面41b側の部分(ステム部41の一部)が拡幅部43により形成され、ステム部41の境界45より内側面41a側の部分(ステム部41の残部)とフック部42の全部とが細幅先端部44により形成される。
【0097】
本実施例1において、ステム部41とフック部42との間の境界45では、ファスナー長さ方向及び高さ方向に平行な基準面(第1基準面)46がフック部42の左右両側に配されている。ここで、基準面(第1基準面)46は、境界面(第1境界面)46と言い換えるともできる。また、ステム部41における素子幅寸法の中心部の位置と、フック部42における素子幅寸法の中心部の位置とは、同一直線上に配される。
【0098】
このようにフック部42の素子幅寸法を、境界45の第1基準面46を介してステム部41の素子幅寸法よりも小さくすることによって、更には、上述したように、フック部42の上端面41dが基準面(第2基準面)47を介してステム部41の上端面41dよりも低い高さ位置に配されていることによって、後述するように、ダイホイール51を用いて本実施例1の成形面ファスナー1を成形する場合において、例えばキャビティ空間の位置ずれや寸法誤差、又はプレートの周方向への積層ずれが生じても、係合素子40を成形するキャビティ面(特に、ステム部41とフック部42との境界45となるキャビティ面)に、ファスナー幅方向(機械横断方向)に直交するようなアンダーカットが形成され難くなる。それによって、係合素子40の一部が切れたり、引きちぎれたりすること、係合素子40が変形すること、それらに伴って係合素子40の強度を低下させること等のアンダーカットに起因する種々の不具合が生じることを効果的に防止できる。
【0099】
また、係合素子40のステム部41の全体が拡幅部43により形成されることにより、ステム部41の剛性及び強度を増大させることができる。このため、ステム部41は、後述するように、係合相手となる雌型係合部材13のループ状係合素子13aを安定して保持できるとともに、ステム部41がループ状係合素子13aを介して引っ張り力を受けても、ステム部41に変形や破損を生じ難くすることができる。
【0100】
更に、係合素子40のフック部42の全体が細幅先端部44により形成されることにより、本実施例1の成形面ファスナー1に雌型係合部材13を係合させるときに、フック部42をループ状係合素子13aに挿通させやすくすることができる。
【0101】
一方、本実施例1の成形面ファスナー1に係合させた雌型係合部材13をファスナー幅方向に移動させて取り外すときには、雌型係合部材13のループ状係合素子13aを本実施例1の係合素子40のフック部42に引っ掛かり難くなり、ループ状係合素子13aを円滑に抜脱させることができる。
【0102】
それにより、本実施例1の成形面ファスナー1と雌型係合部材13の着脱が繰り返されても、本実施例1の係合素子40や、雌型係合部材13のループ状係合素子13aが受けるダメージを小さく抑えることができ、成形面ファスナー1及び雌型係合部材13の耐久性をそれぞれ高めることができる。
【0103】
上述のような形態を備える本実施例1の係合素子40は、基板部21の上面にファスナー幅方向に沿って配される前後一対の横防壁部24と、ファスナー長さ方向に沿って配される外側縦防壁部25及び内側縦防壁部26とによって囲まれる1つの係合領域23内に、係合相手である雌型係合部材13との間で適切な係合力が得られるように、所定の取付ピッチ又は所定の形成密度で整列して配置されている。
【0104】
特に本実施例1の場合、外側縦防壁部25と内側縦防壁部26との間に、長さ方向に沿って整列した係合素子40の列(係合素子列)が、ファスナー幅方向に3列で並ぶように形成されている。この場合、内側縦防壁部26側に配される1列目の係合素子列と外側縦防壁部25側に配される3列目の係合素子列とは、各係合素子40の位置を対応させて形成されているとともに、1列目及び3列目の係合素子列と、両者間に配される2列目の係合素子列とは、係合素子40の位置を互いに長さ方向にずらして形成されている。このため、本実施例1の係合領域23では、係合素子40が、隣接する係合素子列間で互い違いの位置関係となるように配置されている。
【0105】
本実施例1の横防壁部24は、ファスナー長さ方向に所定の間隔を開けて配されており、各横防壁部24とその横防壁部24のファスナー長さ方向に隣接する横防壁部24との間には、上述した係合領域23が形成されている。また、各横防壁部24は、ファスナー幅方向に沿って連続する一枚の横壁体により形成されている。
【0106】
この横防壁部24は、基板部21からの高さ寸法が一定の大きさを有し、また、横防壁部24の前面と後面間のファスナー長さ方向の寸法(横防壁部24の壁厚)も一定の大きさを有するように形成されている。この場合、横防壁部24の高さ寸法は、係合素子40の高さ寸法Hと同じ大きさに設定されている。なお上述したように、係合素子40の高さ寸法Hは、横防壁部24の高さ寸法よりも小さく設定されていても良い。
【0107】
このような横防壁部24を有することにより、成形面ファスナー1の剛性(特に基板部21の剛性)を効果的に高めることができる。また、成形面ファスナー1を所定の長さ寸法で切断して使用するときには、その切断された成形面ファスナー1の最も前端側と最も後端側とに配される横防壁部24によって、クッション体10の発泡成形時に発泡樹脂材料がファスナー長さ方向から係合領域23内に侵入することを防止できる。
【0108】
第1面ファスナー部20aの外側縦防壁部25は、基板部21の外側端縁部の上面に立設されており、また、外側縦防壁部25は、ファスナー長さ方向に互いに隣接する横防壁部24間に亘って、ファスナー長さ方向に沿って配されている。この場合、外側縦防壁部25は、基板部21の外側端縁から、僅かに内側(係合領域23側)に入った位置に配されている。
【0109】
本実施例1において、外側縦防壁部25は、長さ方向に沿った2列の内側防壁列25aと外側防壁列25bとをファスナー幅方向に並列させて形成されている。内側防壁列25aは、外側防壁列25bより係合領域23側に配されている。この内側防壁列25aは、長さ方向に沿って、所定の取付ピッチで間欠的に配される5つの縦壁体により形成されている。
【0110】
また、外側防壁列25bは、長さ方向に沿って、所定の取付ピッチで間欠的に配される6つの縦壁体により形成されている。この場合、内側防壁列25aの縦壁体と外側防壁列25bの縦壁体とは、互いにファスナー長さ方向に位置をずらして、互い違いとなるように配されている。
【0111】
更に、外側縦防壁部25の内側防壁列25a及び外側防壁列25bに配される各縦壁体は、互いに同じ形状及び同じ寸法を有して形成されている。また、各縦壁体の高さ寸法は、係合素子40及び横防壁部24の高さ寸法と同じ大きさに設定されている。
【0112】
外側縦防壁部25が上述のように複数の縦壁体により形成されていることにより、クッション体10の発泡成形時に、外側縦防壁部25の各縦壁体の上面を金型15の後述するファスナー保持部15aに密着させて、発泡樹脂材料が外側縦防壁部25を越えて係合領域23に侵入することを防止し、またそれと同時に、係合領域23内の空気を外側縦防壁部25の外側に容易に逃がすことができる。
【0113】
第1面ファスナー部20aの内側縦防壁部26は、係合領域23におけるファスナー幅方向の中心部を基準にして、当該第1面ファスナー部20aの外側縦防壁部25と対称的な形態で形成されている。すなわち、本実施例1の内側縦防壁部26は、基板部21の折曲片部30に隣接する内側端縁部の上面に立設されているとともに、ファスナー長さ方向に互いに隣接する横防壁部24間に亘って、ファスナー長さ方向に沿って配されている。この場合、内側縦防壁部26は、折曲片部30に接続する基板部21の内側端縁から、僅かに内側(係合領域23側)に入った位置に配されている。
【0114】
この内側縦防壁部26は、長さ方向に沿った2列の内側防壁列26aと外側防壁列26bとをファスナー幅方向に並列させて形成されている。また、内側防壁列26aは、長さ方向に沿って、所定の取付ピッチで間欠的に配される5つの縦壁体により形成されている。外側防壁列26bは、長さ方向に沿って、所定の取付ピッチで間欠的に配される6つの縦壁体により形成されている。
【0115】
この場合、内側防壁列26aの縦壁体と外側防壁列26bの縦壁体とは、互いにファスナー長さ方向に位置をずらして、互い違いとなるように配されている。なお、この内側縦防壁部26を形成する各縦壁体は、上述した外側縦防壁部25を形成する各縦壁体と実質的に同様に形成されている。従って、本実施例1では、係合素子40、横防壁部24、外側縦防壁部25、及び内側縦防壁部26の各上端面は、同じ平面に含まれるような位置関係に配されている。
【0116】
本実施例1の第1及び第2面ファスナー部20a,20b間を連結する折曲片部30は、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの基板部21と同じ長さ寸法(ファスナー長さ方向の寸法)を有する。また、この折曲片部30は、平板状のベース部31と、ベース部31の第1及び第2面ファスナー部20a,20b側の端縁部に配されるヒンジ部32とを有する。
【0117】
折曲片部30のベース部31は、ある程度の剛性を備えるように、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの基板部21と同じ厚さ寸法(高さ寸法)を有しており、ベース部31自体は、折り曲げ難く形成されている。ベース部31における幅方向の寸法は、本実施例1の成形面ファスナー1が取着されるクッション体10の表皮材止着用溝部10aの溝幅方向の寸法に応じて適宜設定される(
図14を参照)。
【0118】
折曲片部30のヒンジ部32は、折曲片部30の上面に凹状の溝部をファスナー長さ方向に沿って設けることによって形成されている。このヒンジ部32が、ベース部31よりも小さい厚さ寸法で形成されることにより、ベース部31よりも高い可撓性を備える。
【0119】
折曲片部30は、左右のヒンジ部32を介して、左右の第1及び第2面ファスナー部20a,20bと連結されている。このため、折曲片部30は、第1面ファスナー部20a及び第2面ファスナー部20bに対して、ヒンジ部32を中心に折り曲げることが可能である。言い換えると、第1面ファスナー部20aと第2面ファスナー部20bとは、
図2に示すような成形面ファスナー1の横断面を見たときに、折曲片部30のベース部31に対して、ヒンジ部32を中心に、上方又は下方に回転するように容易に折り曲げることが可能である。
【0120】
また、上述のような本実施例1の成形面ファスナー1においては、成形面ファスナー1を形成する合成樹脂(又は合成樹脂とエラストマーの組成物)に、鉄、コバルト、ニッケル等の合金からなる磁性粒子(磁性体)が混入されている。特に本実施例1では、磁性粒子が、係合素子40、横防壁部24、外側縦防壁部25、及び内側縦防壁部26を含む成形面ファスナー1の全体に均一に混入している。
【0121】
なお、混入する磁性粒子の材質は、磁石に磁気的に引き付けられる材料であれば特に限定されない。また、磁性体は粒子状ではなく、たとえば鉄、コバルト、ニッケル等の合金からなる磁性を有する金属板や金属線、金属片を面ファスナー部材の一部に、接着等により固着しても良い。
【0122】
このように、本実施例1の成形面ファスナー1に磁性粒子が混入していることにより、後述するように金型15のファスナー保持部15aが磁石で構成されている場合に、そのファスナー保持部15aの磁石と面ファスナー部材に混入した磁性粒子との間に生じる磁力を利用することによって、本実施例1の成形面ファスナー1を金型15のファスナー保持部15aに安定して吸着固定することができる。
【0123】
なお本実施例1では、成形面ファスナー1に混入させる磁性粒子の混入領域が、上述のように成形面ファスナー1の全体に拡がっているが、本発明では、第1及び第2面ファスナー部20a,20bにおける折曲片部30側とは反対側の外側端縁部の一部の領域に少なくとも磁性粒子が混入していれば、磁性粒子の混入領域を、成形面ファスナー1の製造方法等に応じて任意に変更することが可能である。
【0124】
例えば、磁性粒子の混入領域を、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの外側端縁部と折曲片部30のベース部31とのみに、長さ方向の全体に亘って設定すること、若しくは、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの外側端縁部の領域のみに長さ方向の全体に亘って設定すること等が可能である。
【0125】
この場合、折曲片部30に配される磁性粒子と、第1及び第2面ファスナー部20a,20bに配される磁性粒子とは、その混入目的が異なる。すなわち、折曲片部30に配される磁性粒子は、後述するように、金型15のファスナー保持部15aに対する位置合わせとして利用される。
【0126】
一方、第1及び第2面ファスナー部20a,20bに配される磁性粒子は、係合素子40領域への発泡樹脂の流入を防止するために利用される。従って、折曲片部30に混入される磁性粒子は、折曲片部30の幅方向中心部を基準にして左右対称に配されることが好ましい。また、第1及び第2面ファスナー部20a,20bに混入される磁性粒子は、各防壁部24〜26、若しくは各防壁部24〜26の真下の基板部21に配されることが好ましい。
【0127】
上述のような構成を有する本実施例1の成形面ファスナー1は、例えば
図7に示すように製造装置50を用いて製造される。
この
図7に示した成形面ファスナー1の製造装置50は、一方向に駆動回転するダイホイール51と、ダイホイール51の周面に対向して配された溶融樹脂材料の連続押出ノズル52と、連続押出ノズル52よりもダイホイール51の回転方向下流側にダイホイール51の周面に対向して配されたピックアップロール53とを有する。
【0128】
この製造装置50が有するダイホイール51の周面には、成形面ファスナー1の係合素子40、横防壁部24、外側縦防壁部25、及び内側縦防壁部26などを成形するための成形用キャビティ空間55が形成されている。
【0129】
また、ダイホイール51は、
図8に示すように、所要の厚さを有する複数の円盤状プレート56を、ダイホイール51の回転軸方向に重ねて積層することによって円柱状に形成されている。円盤状プレート56の周縁部には、放電加工やレーザ加工、エッチング加工など従来から公知の技術によって、各プレート56の積層位置に対応して、成形する係合素子40等の形状を備えた所定のキャビティ空間55が形成されている。
【0130】
特に本実施例1のダイホイール51では、
図9及び
図10に示すように、1つの係合素子40(係合素子40の列)を成形するために、互いに隣接して積層される2枚の円盤状プレート56a,56bが用いられる。
【0131】
これらの2枚の円盤状プレート56a,56bは、ダイホイール51において、成形面ファスナー1で係合素子40の列が配される位置に対応する機械横断方向の位置に配置される。また、これらの2枚の円盤状プレート56a,56bの周縁部には、例えば
図7に示したように、係合素子40を成形するキャビティ空間55と、横防壁部24を成形するキャビティ空間55とが所定の位置に設けられている。
【0132】
このような係合素子40の成形を行う2枚の円盤状プレート56a,56bのうちの一方のプレート56a(以下、第1プレート56aと称する)は、係合素子40のファスナー幅方向(機械横断方向)において、境界45の位置よりもステム部41の外側面41b側に配されるステム本体部48を成形するキャビティ空間55aを有する。このキャビティ空間55aは、前述の種々の加工方法を用いることによって、第1プレート56aの周縁部に容易に形成される。
【0133】
また、2枚の円盤状プレート56a,56bのうちの他方のプレート56b(以下、第2プレート56bと称する)は、係合素子40のファスナー幅方向(機械横断方向)において境界45の位置よりもステム部41の内側面41a側に配される裾部49を成形するキャビティ空間55bと、フック部42の全体を成形するキャビティ空間55cとを有する。また、第1プレート56aと第2プレート56bとの間のパーティングライン57は、係合素子40の境界45に沿って設けられる。
【0134】
この場合、本実施例1では、
図3及び
図4に示したように、係合素子40のフック部42(細幅先端部44)が、ステム部41(拡幅部43)に対し、境界45におけるフック部42の左右両側に形成される第1基準面(第1境界面)46を介して、素子幅寸法を小さくして形成されるとともに、境界45に沿ってフック部42の上方に形成される第2基準面(第2境界面)47を介して、その上端面41dの高さ位置を低くして形成される。すなわち、フック部42とステム部41とは、第1及び第2基準面46,47を含む段差によって連結されている。
【0135】
ここで、第1及び第2プレート56a,56bを積層した場合における第1プレート56aのキャビティ空間55aに対する第2プレート56bのキャビティ空間55b,55cの位置関係を
図11に示したように、係合素子40のフック部42を成形する第2プレート56bのキャビティ空間55cの型割り面58(パーティングライン57を含む面)上に配される開口59cは、第1プレート56aのキャビティ空間55aの型割り面58上に配される開口59aよりも小さく、且つ、その第1プレート56aの開口59aの内側の領域内に配置される。
【0136】
従って、例えばダイホイール51を作製する工程において、例えば第1及び第2プレート56a,56bにキャビティ空間55をそれぞれ形成する際に、形成されるキャビティ空間55の位置ずれや寸法誤差が生じたことによって、或いは、複数の円盤状プレート56を積層する際に第1及び第2プレート56a,56bの相対的な位置がプレート周方向にずれたことによって、第2プレート56bのフック部42を成形するキャビティ空間55cの開口59cの位置が、第1プレート56aのキャビティ空間55aの開口59cに対して、例えば
図11に仮想線で示した範囲で左右方向(プレート周方向)や上下方向(プレート半径方向)に相対的に移動しても、第1プレート56aと第2プレート56bとの間にアンダーカットが形成されることはない。
【0137】
このため、成形面ファスナー1の成形工程において、第1及び第2プレート56a,56bのキャビティ空間55a〜55c内で成形される係合素子40を、同キャビティ空間55a〜55cから引き抜いて円滑に抜脱させることが可能となり、例えば係合素子40がキャビティ空間55a〜55cから抜けなくなることや、係合素子40の一部が切れたり、引きちぎれたりすること、係合素子40が変形すること、更に、それらに伴って係合素子40の強度を低下させること等のようなアンダーカットの形成に起因する種々の不具合が生じることを効果的に防止できる。従って、所定の形状を備える係合素子40を安定して成形することができ、それによって、製造される成形面ファスナー1の品質を安定させることができる。
【0138】
なお、本実施例1の係合素子40において、ステム部41のステム本体部48と裾部49との間には、ステム部41とフック部42との間の境界45上に配されるような基準面46は設けられていない。このため、例えば第1及び第2プレート56a,56bのキャビティ空間55a,55bに位置ずれや寸法誤差が生じた場合や、第1及び第2プレート56a,56bの相対的な位置がプレート周方向にずれた状態でダイホイール51が組み立てられた場合では、第2プレート56bの裾部49を成形するキャビティ空間55bの開口59bの位置が、第1プレート56aのキャビティ空間55aの開口に対して左右方向(プレート周方向)や上下方向(プレート半径方向)にずれることがある。
【0139】
しかし、ダイホイール51において上述した2つの開口59a,59bの位置が相対的にずれたとしても、第2プレート56bの裾部49を成形するキャビティ空間55bは、ダイホイール51の周面近傍に形成されるため、成形される係合素子40を、第1プレート56aと第2プレート56bの間に引っ掛けることなく、第1及び第2プレート56a,56bのキャビティ空間55a〜55cから円滑に抜脱させることができる。
【0140】
そして、上述したようなダイホイール51を有する
図7の製造装置50を用いて、本実施例1の成形面ファスナー1を製造する場合は、先ず、溶融した樹脂材料を連続押出ノズル52からダイホイール51の周面に向けて連続して押し出す。このとき、ダイホイール51は一方向に駆動回転しており、その周面に押し出された溶融樹脂材料により、連続押出ノズル52とダイホイール51との間にて、成形面ファスナー1における基板部21や折曲片部30などが成形され、また同時に、ダイホイール51の周面部に形成した成形用キャビティ空間55にて、係合素子40、横防壁部24、外側縦防壁部25、及び内側縦防壁部26などが成形される。
【0141】
ダイホイール51の周面上で成形される成形面ファスナー1は、ダイホイール51の周面に担持されて冷却されながら回転することにより固化され、その後、固化した成形面ファスナー1は、ピックアップロール53によってダイホイール51の周面から連続的に引き剥がされる。
【0142】
このとき、本実施例1の成形面ファスナー1では、各係合素子40が、素子幅寸法の大きなステム部41と、ステム部41から境界45を介して素子幅寸法を小さくして延出するフック部42とを備えるため、上述したように、係合素子40を成形する第1及び第2プレート56a,56bのキャビティ空間55に位置ずれや寸法誤差等が生じたとしても、所定の形状を備える係合素子40をキャビティ空間55から円滑に安定して抜脱させることができる。
【0143】
次に、ダイホイール51から引き剥がされた機械方向に長尺の成形面ファスナー1は、図示しない切断部に向けて搬送され、同切断部にて所定の長さに切断されて回収され、或いは、長尺の成形面ファスナー1の状態のままで回収ローラ等にロール状に巻き取られて回収される。
【0144】
なお、本発明において、成形面ファスナー1の製造装置や製造方法は特に限定されるものではなく、任意に変更することができる。例えば本実施例1では、回転する1つのダイホイール51の周面に、連続押出ノズル52から、溶融した樹脂材料を連続的に押し出すことによって、成形面ファスナー1の成形を行っている。
【0145】
しかし、本発明では、少なくとも一方の成形ローラが複数の円盤状プレートを積層して形成されるとともに、その成形ローラの周面部に所定のキャビティ空間が形成される上下一対の成形ローラを設置し、当該上下一対の成形ローラ間に連続押出ノズルから、溶融した樹脂材料を連続的に押し出すことによって成形面ファスナー1の成形を行うことも可能である。
【0146】
上述のようにして製造された本実施例1の成形面ファスナー1は、例えば自動車の座席用シートなどのクッション体(発泡体)10が発泡成形されると同時に、そのクッション体10の後述する表皮材止着用溝部10aに成形(二色成形)により一体化される(
図14を参照)。
【0147】
具体的に説明すると、所定の長さを有する本実施例1の成形面ファスナー1を用意するとともに、クッション体10の発泡成形を行う成形用金型15を準備する。このとき準備する金型15は、成形されるクッション体10の形状に対応するキャビティ空間を備える。
【0148】
成形されるクッション体10には、例えば
図14に示したように、表皮材11の後述する被係合挿入片部12を挿入可能な表皮材止着用溝部10aが形成され、この表皮材止着用溝部10aの側壁部と溝底部とに、成形面ファスナー1が固定される。
【0149】
この場合、成形用金型15には、例えば
図12に示したように、クッション体10の表皮材止着用溝部10aを形成するとともに、クッション体10の発泡成形時に成形面ファスナー1を保持するためにファスナー保持部15aが、クッション体10の表面(外面)を形成する金型15のキャビティ面(内壁面)15bからキャビティ空間内に突設されている。
【0150】
この金型15のファスナー保持部15aは、ネオジム磁石などの磁石により構成されている。また、ファスナー保持部15aは、表皮材止着用溝部10aの形状に合わせて溝長さ方向に長く形成されている。更に、ファスナー保持部15aは、キャビティ面から突出した部分の横断面が矩形状を呈するように、平坦な頂端面(先端面)と、頂端面の左右側縁から屈曲して、頂端面と直交する左右の平坦な側壁面とを有する。
【0151】
このようなファスナー保持部15aの頂端面は、ファスナー保持部15aに成形面ファスナー1を取り付ける際に、成形面ファスナー1の折曲片部30を保持する第1保持部となり、ファスナー保持部15aの左右側壁面は、成形面ファスナー1の第1及び第2面ファスナー部20a,20bを保持する第2保持部となる。これらの第1保持部及び第2保持部は、いずれも磁力による吸着が可能な吸着面を備えており、第1保持部の頂端面(吸着面)や第2保持部の側壁面(吸着面)が平坦面に形成されている。
【0152】
このようにファスナー保持部15aは、その表面に凹部などを備えない簡素な形状を有するため、金型15の製作コストの増大を抑制できる。また、クッション体10の発泡成形後に行う金型15の洗浄作業が煩雑になることを防ぐとともに、その洗浄作業に要する時間の短縮化を図ることができる。その結果、クッション体10の製造工程を効率化でき、製造コストの削減を図ることができる。
【0153】
このような金型15のファスナー保持部15aに本実施例1の成形面ファスナー1を取り付ける場合、先ず、本実施例1の成形面ファスナー1を、第1及び第2面ファスナー部20a,20bが左右に開いた状態(言い換えると、第1及び第2面ファスナー部20a,20bが折曲片部30に対して折り曲げられていない状態又は僅かに折り曲げられた状態)でファスナー保持部15aに近付けて、同成形面ファスナー1の折曲片部30のベース部31をファスナー保持部15aの頂端面に載置する。これにより、成形面ファスナー1に混入された磁性粒子が、ファスナー保持部15aの磁石に引き付けられて、折曲片部30のベース部31がファスナー保持部15aの第1保持部となる頂端面に吸着して固定される。
【0154】
このとき、折曲片部30のベース部31に混入された磁性粒子と、ファスナー保持部15aの磁石との間に生じる磁力を利用することにより、成形面ファスナー1の折曲片部30の位置をファスナー保持部15aに沿って所定の位置に合わせることが可能なセルフアライメント効果が得られる。
【0155】
折曲片部30をファスナー保持部15aの頂端面に固定するとともに又は固定した後に、成形面ファスナー1の左右に開いていた第1及び第2面ファスナー部20a,20bは、混入された磁性粒子がファスナー保持部15aの磁石に引き付けられることにより、折曲片部30のベース部31に対して、折曲片部30のヒンジ部32を中心にファスナー保持部15aに近付くように自動的に折り曲げられ、
図13に示すように、ファスナー保持部15aの左右側壁面に吸着して固定される。
【0156】
このとき、成形面ファスナー1は、折曲片部30のベース部31の上面がファスナー保持部15aの頂端面に密着するとともに、第1及び第2面ファスナー部20a,20bにおける係合素子40、横防壁部24、外側縦防壁部25、及び内側縦防壁部26の各上面が、ファスナー保持部15aの側壁面に密着した状態で、ファスナー保持部15aに保持される。
【0157】
このように、本実施例1では、金型15に対する成形面ファスナー1の取付作業を効率的に行うことができ、クッション体10の成形における作業負担や、それに伴うコストへの負担を軽減することができる。また、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの横防壁部24、外側縦防壁部25、及び内側縦防壁部26の各上面と、ファスナー保持部15aの左右側壁面との間に、発泡樹脂材料が通過可能な隙間が形成されることを防止し、第1及び第2面ファスナー部20a,20bに形成される各係合領域23を、ファスナー保持部15aの側壁面と各防壁部24〜26とにより封鎖することができる。
【0158】
そして、本実施例1の成形面ファスナー1を金型15のファスナー保持部15aに上述のように保持した状態で、図示しない噴射ノズルから金型15内に発泡樹脂材料を噴射して注入する。このとき、例えば噴射ノズルを金型15に対して相対的に移動させながら発泡樹脂材料を噴射することにより、金型15のキャビティ空間55の隅々まで発泡樹脂材料を注入することができる。更に、所定量の発泡樹脂材料を噴射ノズルから噴射した後に金型15を型締めする。これにより、発泡樹脂材料が発泡しながら金型15のキャビティ空間55全体に行き渡り、クッション体10が成形される。
【0159】
このとき、成形面ファスナー1はファスナー保持部15aを構成する磁石の吸引作用により所定の位置に位置決め固定されているため、発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力などによって成形面ファスナー1の位置が動かされることはない。また、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの各防壁部24〜26の上面がファスナー保持部15aの側壁面に密着しているため、キャビティ空間55内を流動する発泡樹脂材料が、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの横防壁部24、外側縦防壁部25、及び内側縦防壁部26を越えて係合領域23内に侵入することを阻止できる。
【0160】
その後、発泡樹脂材料が金型15のキャビティ空間55内で発泡固化して成形が終了することにより、
図14に示したように、本実施例1の成形面ファスナー1が一体化されたクッション体10を得ることができる。なお、この
図14では、
図13の状態から得られるクッション体10を、上下の向きを反転させて示している。
【0161】
このようにして製造されたクッション体10には、クッション体10の表面部の所定の位置に、表皮材11に設けられた被係合挿入片部12を挿入可能な表皮材止着用溝部10aが、金型15のファスナー保持部15aによって形成されている。また、このクッション体10の表皮材止着用溝部10aには、成形面ファスナー1が固定されて一体化している。
【0162】
この場合、成形面ファスナー1の折曲片部30は、表皮材止着用溝部10aの溝底部に配置され、また、成形面ファスナー1の第1及び第2面ファスナー部20a,20bは、表皮材止着用溝部10aの対向する左右側壁部に、それぞれの係合領域23を露呈させた状態で対向するように配置される。
【0163】
特に、本実施例1の成形面ファスナー1では、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの係合領域23への発泡樹脂の侵入が上述したように各防壁部24〜26によって防止されているため、係合領域23内には発泡樹脂が侵入しておらず、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの上面に配された複数の係合素子40を完全に露呈させることができる。このため、第1及び第2面ファスナー部20a,20bの係合領域23では、複数の係合素子40よる所望の係合力を安定して確保することができる。
【0164】
一方、このような本実施例1のクッション体10の表面に被せられる表皮材11は、クッション体10の表皮材止着用溝部10aに挿入可能な被係合挿入片部12を有しており、この被係合挿入片部12には、複数のループ状係合素子13aを有する雌型係合部材13が縫製等により取着されている。
【0165】
この場合、被係合挿入片部12に取着される雌型係合部材13のループ状係合素子13aは、クッション体10の表皮材止着用溝部10aに配された成形面ファスナー1の係合領域23の位置に対応するように、被係合挿入片部12の左右側面部の領域に分かれて設けられているとともに、被係合挿入片部12の先端部には、ループ状係合素子13aを備えない非係合領域が形成されている。なお本発明において、雌型係合部材13は、ループ状係合素子13aを雌型係合部材13の一面の全体(全面)に設けることによって、上述のような非係合領域を設けなくても良い。
【0166】
本実施例1では、このような被係合挿入片部12を有する表皮材11を、発泡成形されたクッション体10に被せるとともに、その表皮材11の被係合挿入片部12を、クッション体10の表皮材止着用溝部10aに押し込んで挿入する。
【0167】
このとき、クッション体10の表皮材止着用溝部10aに配される成形面ファスナー1の各フック状係合素子40では、そのフック部42をステム部41から表皮材止着用溝部10aの溝底部側の一方向に向けて延出させている。このため、表皮材11の被係合挿入片部12を、当該被係合挿入片部12の各ループ状係合素子13aが成形面ファスナー1のフック状係合素子40に引っ掛かることなく、表皮材止着用溝部10aの所定の深さまで容易に且つ円滑に挿入することが可能である。
【0168】
そして、表皮材11の被係合挿入片部12を表皮材止着用溝部10aの所定の深さまで挿入した後、表皮材11のテンションによって被係合挿入片部12が引っ張られることにより、被係合挿入片部12の各ループ状係合素子13aが、成形面ファスナー1の第1及び第2面ファスナー部20a,20bに配される複数のフック状係合素子40に係合して、被係合挿入片部12を表皮材止着用溝部10a内で成形面ファスナー1に固定することができる。
【0169】
この場合、本実施例の成形面ファスナー1では、各係合素子40のフック部42がステム部41から表皮材止着用溝部10aの溝底部側に向けて延出するとともに、フック部42(細幅先端部44)の素子幅寸法がステム部41(拡幅部43)よりも小さいため、ループ状係合素子13aにフック状係合素子40のフック部42を容易に挿通させることができる。
【0170】
更に、係合素子40のフック部42をループ状係合素子13aに挿通させた後に、被係合挿入片部12が上述のようにテンションによって引っ張られることにより、ループ状係合素子13aは係合素子40のステム部41まで移動して、ステム部41によって保持される。
【0171】
このとき、係合素子40のステム部41は、素子幅寸法が大きな拡幅部43により形成されて、その剛性や強度が高められているため、ループ状係合素子13aを、被係合挿入片部12が抜出しないようにしっかり保持でき、被係合挿入片部12を表皮材止着用溝部10aの側壁部に強固に固定することができる。
【0172】
これにより、表皮材11をクッション体10の所定の位置で確実に押さえることができるため、表皮材11がクッション体10から浮き上がることや、クッション体10に対して表皮材11の位置がずれることを防止して、表皮材11をクッション体10の表面に沿って適切に取り付けることができ、また、その表皮材11の取付状態を安定して維持することができる。その結果、クッション体10に表皮材11が被着された製品の見栄えを良くし、製品の外観品質を高めることができる。
【0173】
なお、本実施例1に係る成形面ファスナー1では、基準面(境界面)46をもって上下方向に沿って形成され、拡幅部43と細幅先端部44とを区画する境界45の位置が、
図6等に示すように、ステム部41とフック部42との間に設定されている。
【0174】
しかし、本発明において、拡幅部43と細幅先端部44とを区切る境界45の位置はこれに限定されるものではなく、例えば
図15及び
図16に実施例1の第1変形例に係る係合素子を示すように、境界65の位置を、上述した実施例1の係合素子40よりも、ステム部61の外側面側(フック部62のステム部61からの延出方向とは反対側の方向)にずらして係合素子60を形成することも可能である。
【0175】
なお、以下に説明する実施例1の各変形例において、上述した実施例1に係る成形面ファスナー1と実質的に同様に構成される部分又は部材については、同様の符号を用いて表すことによって、その部分又は部材の説明を省略することとする。
【0176】
この第1変形例に係る係合素子60は、基板部21の上面に立設するステム部61と、ステム部61の側面からファスナー幅方向に沿って延出するフック部62とを有する。また、この係合素子60は、素子幅寸法を大きく確保した拡幅部63と、拡幅部63から素子幅寸法を拡幅部63よりも小さくしてファスナー幅方向に延出する細幅先端部64とを有しており、拡幅部63と細幅先端部64との間には、素子幅寸法を変化させる境界65が上下方向に沿って配されている。
【0177】
この場合、境界65はステム部61上に設定されている。すなわち、第1変形例におけるステム部61は、素子幅寸法が大きな拡幅部63と、素子幅寸法が小さな細幅先端部64とを有しており、境界65には、ファスナー長さ方向に平行に配され、素子幅寸法を変化させる基準面(第1基準面)66が形成されている。また、フック部62は、素子幅寸法が小さな細幅先端部64によってのみ形成されている。更に、ステム部61の上端面とフック部62の上端面とは、連続する単一の平面上に配されている。
【0178】
このように、拡幅部63と細幅先端部64との境界65がステム部61上に設定された係合素子60であっても、ダイホイール51を用いて成形面ファスナー1を成形する場合に、キャビティ空間の位置ずれや寸法誤差、又は円盤状プレートの周方向への積層ずれが生じても、係合素子60を成形するキャビティ面にアンダーカットが形成され難くなる。このため、この第1変形例においても、上述の実施例1の場合と同様に、アンダーカットに起因する種々の不具合が生じることを効果的に防止できる。
【0179】
なお本発明においては、拡幅部63と細幅先端部64とを区画する境界65の位置は、ファスナー幅方向(機械横断方向)に関して、
図16に示したように、ステム部61とフック部62との間の境界位置(言い換えると、ステム部61の内側面の上端部の位置)から、ステム部61の上端面(頂端面)におけるフック部62の延出方向とは反対方向の端縁位置(言い換えると、ステム部61の上端面と外側面との間の稜線位置)までの領域R内で任意に設定することができる。この場合、領域Rは、ステム部61の上端面が形成される範囲となる。
【0180】
また本発明では、例えば
図17及び
図18に実施例1の第2変形例に係る係合素子を示すように、係合素子60aのステム部41の左右両側に、係合素子60aを補強する補強リブ67を、ステム部41の前後端面41cから基板部21の上面にかけて一体的に設けて成形面ファスナーを形成することも可能である。
【0181】
この場合、第2変形例に係る係合素子60aは、左右の補強リブ67を形成すること以外は、前述の実施例1における係合素子40と同様に形成されている。このような左右の補強リブ67を設けることにより、係合素子60a(特に、ステム部41)の強度を効果的に高めることができる。
【0182】
更に本発明では、例えば
図19に実施例1の第3変形例に係る係合素子を示すように、係合素子60bのステム部61b及びフック部62bを、前述の実施例1における係合素子40のステム部41及びフック部42よりも素子幅寸法を大きくして成形面ファスナーを形成することも可能である。この場合、第3変形例に係る係合素子60bは、ステム部61b及びフック部62bの素子幅寸法を大きくすること以外は、前述の実施例1における係合素子40と同様に形成されている。
【0183】
例えば前述の実施例1におけるステム部41の上端部の素子幅寸法Wは、0.1mm以上3.0mm以下に設定されるが、これに対して、第3変形例におけるステム部61bの上端部の素子幅寸法W’は、1.5mm以上15.0mm以下に、好ましくは3.0mm以上10.0mm以下に設定される。また第3変形例において、フック部62bは、ステム部61bから、境界の基準面66bを介して、ステム部61bよりも素子幅寸法を小さくして延出している。
このような第3変形例に係る係合素子60bを有する成形面ファスナーであっても、上述の実施例1の成形面ファスナー1と同様の効果を得ることができる。
【0184】
更にまた、本発明では、例えば
図20に実施例1の第4変形例に係る係合素子を示すように、係合素子60cのステム部61cを、前述の実施例1の場合よりも素子幅寸法を大きくして形成するとともに、1つのステム部61cから、2つ又は3つ以上のフック部62cを、境界の基準面(境界面)66cを介して、ステム部61cよりも素子幅寸法を小さくしてファスナー幅方向に延出させることも可能である。この場合、第4変形例のフック部62cは、前述の実施例1におけるフック部42と同じ形状及び寸法を有する。
【0185】
このような第4変形例の係合素子60cを有する成形面ファスナーは、1つの係合素子60cに対して、雌型係合部材13における2つ以上のループ状係合素子13aを並列的に係合させることが可能である。このため、この第4変形例に係る成形面ファスナーは、雌型係合部材13を係合させた状態で、成形面ファスナーと雌型係合部材13との間に大きな剪断力が加えられるような製品に対して好適に用いられる。
【0186】
また、本発明では、例えば
図21に実施例1の第5変形例に係る係合素子を示すように、フック部62dの下端面が基板部21の上面に対して形成する角度θ2’を、前述の実施例1の係合素子40における角度θ2よりも大きくするために、フック部62dを、ステム部61dからファスナー幅方向に対して少し上向きの方向に延出させて係合素子60dを形成することも可能である。
【0187】
この場合、フック部62dの上端面が基板部21の上面に対して形成する角度θ3は、フック部62dの下端面が基板部21の上面に対して形成する角度θ2’よりも小さく設定される。特に第5変形例において、この角度θ3は、0°以上25°以下に設定される。また、フック部62dの上端面は、ステム部61の上端面又は外側面と連続的な面に形成されている。
【0188】
このような第5変形例の係合素子60dを有する成形面ファスナーは、フック部62dの下端面と基板部21の上面とにより形成される角度θ2’を、前述の実施例1の係合素子40の場合よりも大きく確保することができる。このため、第5変形例の成形面ファスナーに雌型係合部材13を係合させたり、また、第5変形例の成形面ファスナーに係合させた雌型係合部材13を取り外したりするときに、係合素子60dに雌型係合部材13のループ状係合素子13aを、より引っ掛かり難くすることができる。
【0189】
従って、第5変形例の成形面ファスナーと雌型係合部材13の着脱を繰り返しても、フック状の係合素子60dや、雌型係合部材13のループ状係合素子13aが受けるダメージをより小さくし、成形面ファスナー及び雌型係合部材13の耐久性を更に高めることができる。
【0190】
更に、本発明では、例えば
図22及び
図23に実施例1の第6変形例に係る成形面ファスナーを示し、また、
図24に実施例1の第7変形例に係る成形面ファスナーを示すように、基板部21の上面と下面の両面に係合素子40を設けることも可能である。
【0191】
この場合、基板部21の下面側に設ける係合素子40において、ステム部41に対してフック部42が延出する方向を、第6変形例のように、基板部21の上面側に設ける係合素子40と同じ方向に向けても良いし、また、第7変形例のように、基板部21の上面側に設ける係合素子40と反対の方向に向けても良い。
【0192】
このような第6変形例や第7変形例に係る成形面ファスナーのように、基板部21の下面側にも係合素子40を設けることにより、例えば成形面ファスナーを、例えば
図14に示したように、クッション体10の発泡成形と同時にそのクッション体10に一体化する場合に、基板部21の下面側に設けた係合素子40をクッション体10内に埋設して、成形面ファスナーのクッション体10に対する固着強度を増大させることができる。更に、第6変形例や第7変形例に係る成形面ファスナーは、基板部21の上面と下面の両面に係合素子40が設けられているため、前述の実施例1とは異なる使い方をすることも可能となる。