(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6246413
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】抗力型開閉式発電機
(51)【国際特許分類】
F03D 3/06 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
F03D3/06 E
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-175639(P2017-175639)
(22)【出願日】2017年9月13日
(62)【分割の表示】特願2017-74324(P2017-74324)の分割
【原出願日】2017年4月4日
【審査請求日】2017年9月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594126377
【氏名又は名称】土橋 義英
(72)【発明者】
【氏名】土橋 義英
【審査官】
冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−205361(JP,A)
【文献】
特開2004−204830(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0037271(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102828899(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根枠内の空間を開閉できる機能を備えた羽根を回転軸に設け、羽根同士をケーブルで連結し、回転軸の両端に環状レール上を移動可能な回転軸受けを設け、その回転軸受けを環状レール上に備え、環状レールを筒状の構造物の上に設けた抗力型開閉式発電機。
【請求項2】
筒状の構造物の外周を、多角形かつ中心側から外側に下方へ傾斜した請求項1の抗力型開閉式発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗力型の風力発電機に関する物である。
【背景技術】
【0002】
従来の抗力型発電機は、羽根の裏表の形状で抵抗を変化させるものであり、回転効率は高くなく、また、プロペラ型発電機にも共通することであるが、羽根をハブの一点だけで支える構造なので、強度的に弱く、大型化すればするほど台風などの強風では回転させられないものであった。またそれを解決するための羽根を開閉するという発想はすでにあるがあまり実用化はされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭53−71739号公報
【特許文献2】特開2000−320445号公報
【特許文献3】米国特許第8899927号明細書
【特許文献4】国際公開第2013/000127号
【特許文献5】実願昭61−105559号
【特許文献6】特開2016−205361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の抗力型発電機には効率の面で実用性が低かったり、強度に問題があるなどの解決すべき課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の抗力型開閉式発電機において請求項1に係るものは、羽根枠内の空間を開閉できる機能を備えた羽根を回転軸に設け、羽根同士をケーブルで連結したものである。また、回転軸の両端に環状レール上を移動可能な回転軸受けを設け、その回転軸受けを環状レール上に備えたものであり、その環状レールを筒状の構造物の上に設けたものである。
【0006】
請求項2に係るものは、請求項1に係るものにおいて、筒状の構造物の外周を、多角形かつ中心側から外側に下方へ傾斜したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されており、以下に記載されるような効果を有する。 請求項1に係る仕組みを用いた場合、回転軸は、筒状の構造物上に設けられた環状レール上を移動可能な回転軸受けにより、風向きに合わせて環状レール上で自由に方向を変えることが出来る。また、回転軸に設けられた羽根枠内の空間を開閉できる機能を備えた羽根は、回転軸上側で羽根枠内の空間を閉じ、風から抗力を得られなくなった時点で羽根枠内の空間を開くことにより、羽根の上下の抗力差で回転軸を回転させる。また、羽根枠同士をケーブルで連結することによって、羽根の強度を高める。
【0008】
また、筒の上に回転軸を設置することによって、回転軸に設けられた羽根が、戻り回転時に筒の中に入ることで、風の抗力を受けないようにしたものである。抗力型の発電機の欠点はプロペラ型に比べて効率が悪いことである。プロペラ型の発電機はすべての羽根が揚力によって回転力を得られるのに対して、抗力型は基本的に1枚のみしか回転力に寄与しない。その上、戻り回転側の羽根は風の速度に回転の速度が加わった抗力が反回転の力として作用する。開閉型の抗力発電機と言え、戻り回転の羽根の抵抗は重大な問題である。仮に開閉による面積の比率が10:1で、風と同じ速度で回転したとした場合、戻り回転側の羽根枠の風との相対速度は2倍となる。エネルギーは風速に3乗されるので、羽根にかかるエネルギーの比率が10:8となり、ほとんどの回転力が奪われてしまう。そこで本発明では回転軸に設けられた羽根が、戻り回転時に筒の中に入ることによって、風の抗力を受けないようにし回転力の低下を防ぐようにした。また、筒の上に回転軸を設けることにより、重心的に安定した構造になり倒壊しにくい。また、筒状の構造物は羽根や発電機の重量を支えることができ、風が防げればよいので、鉄筋で構築して外側をシートで覆うだけでもよい。
【0009】
請求項2に係る仕組みを用いた場合、請求項1に係る仕組みを用いた場合に加え、筒状の構造物の外周を、多角形かつ中心側から外側へ俯角の傾斜にしたものである。筒状の構造物の外側が垂直であった場合、その部分に当たった風は側面に沿って風下に流れていくだけである。しかし、下方へ俯角の傾斜をした形状であれば、風は坂を上って羽根に当たるので、風圧を上げることができる。また、多角形である理由は、風は面に沿って流れるため円などの曲線の場合、側面を伝って風下に流れてしまうからである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】発明を実施するための形態を示す斜視図である。
【
図2】発明を実施するための形態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を
図1、
図2に基づいて説明する。筒状の構造物(5)の上に環状レール(7)を設け、その上にレールに沿って移動可能な回転軸受け(3)を2つ設ける。2つの回転軸受け(3)は環状レール(7)の中心点を挟んで向かい合うように配置し、そこに回転軸(2)を取り付ける。回転軸(2)には4つの羽根枠(4)が90度おきに備えられ、それぞれ隣り合う羽根枠(4)と羽根連結ケーブル(6)によって連結される。また、羽根枠(4)は回転軸連結ケーブル(8)によって回転軸(2)とも連結される。羽根枠(4)には開閉幕(1)が備えられ、羽根が水平面より上にきたときに開閉幕(1)を開き羽根枠(4)内の空間を閉じるようにする。これによって、回転軸(2)上側の羽根に風が当たり、回転軸(2)下側の羽根は開閉幕(1)を閉じて面積が大幅に減り、上下の羽根の抗力差によって回転する。環状レール(7)より下に位置する部分の羽根枠(4)は筒状の構造物(5)に入り、風にあたらないので、戻り回転時の抵抗を下げることができる。開閉幕(1)は抗力を増すために、帆船の帆みたいに膨らませるのもよい。また、回転軸受け(3)の片方に発電機を設置し、もう片方には環状レール(7)を移動するための駆動装置をのせるとよい。
図1は斜視図であり、
図2は上面図である。
【実施例】
【0012】
実施例1を
図3を基に説明する。筒状の構造物(5)の外側に、幕(9)で傾斜をつけ、上から見た形を6角形にしたものである。
【0013】
実施例2を
図4を基に説明する。
図4は
図3の傾斜部分の断面図である。鉄骨(11)で、筒状の構造物を構築し、上部に環状レール(7)を備える。環状レール(7)の外周部より離れた位置の地面に向けて幕(9)を張ることで傾斜をつける。これにより、構造物下の風は、傾斜を伝い羽根に当たるので、羽根の回転力が増す。
【符号の説明】
【0014】
1 開閉幕
2 回転軸
3 回転軸受け
4 羽根枠
5 筒状の構造物
6 羽根連結ケーブル
7 環状レール
8 回転軸連結ケーブル
9 幕
10 地面
11 鉄骨
【要約】
【課題】強度が強く、強風においても安定した発電を行うことができる開閉式抗力型発電機を提供するものである
【解決手段】筒状の構造物(5)の上に環状レール(7)を設け、その上にレールに沿って移動可能な回転軸受け(3)を2つ設ける。2つの回転軸受け(3)は環状レール(7)の中心点を挟んで向かい合うように配置し、そこに回転軸(2)を取り付け、回転軸(2)には4つの羽根枠(4)が90度おきに備えられ、それぞれ隣り合う羽根枠(4)と羽根連結ケーブル(6)によって連結され、また、羽根枠(4)は回転軸連結ケーブル(8)によって回転軸(2)とも連結され、羽根枠(4)には開閉幕(1)が備えられ、羽根が水平面より上にきたときに開閉幕(1)を開き羽根枠(4)内の空間を閉じるようにすることを特徴とする。
【選択図】
図1