(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態の内視鏡用処置具は、内視鏡の処置具チャンネル内に挿通可能なカテーテルである。
図1は、本実施形態の内視鏡用処置具の全体図である。
図2は、内視鏡用処置具のシースの径方向断面図である。
図3は、シースの側面図である。
図4は、シースの平面図である。
図5は、内視鏡用処置具の操作部の断面図である。
図1に示すように、カテーテル1は、シース2と操作部20とを備えている。
【0015】
シース2は、長手軸Lを有する柔軟な長尺部材である。シース2は、先端を含む遠位領域3と、基端を含む近位領域4とを有する。シース2の近位領域4は、操作部20のポート23に挿入され、操作部20に固定されている。
図2から
図4までに示すように、シース2は、ガイドワイヤルーメン5と、切欠き部8と、抜け止め12と、送液ルーメン13とを有している。
図5に示すように、本実施形態におけるシース2の近位領域4とは、後述するポート23の内部及びポート23より基端側に位置する領域であり、本実施形態におけるシース2の遠位領域3は、近位領域4から連なってポート23の外部へ延びた領域である。
【0016】
ガイドワイヤルーメン5は、シース2の先端2a及び基端2bに開口している。ガイドワイヤルーメン5は、シース2の径方向断面視においてガイドワイヤWの外径よりも大きな円形の内面を有している。また、シース2の先端から基端側へ離間した位置7aとその位置7aからさらに基端側に離間した位置7bとの間で延びるスリット6が、ガイドワイヤルーメン5に形成されている。なお、スリット6は、これに限らず、シース2の先端2aから基端に亘って延びていても良い。ガイドワイヤルーメン5は、スリット6を介して、シース2の外周面2cに開口している。スリット6は、ガイドワイヤルーメン5からシース2の外側まで連通している。
【0017】
図2に示すように、シース2の径方向断面視におけるシース2のスリット6の幅は、ガイドワイヤWの直径よりも狭く構成されている。本実施形態では、シース2の周方向において互いに向かい合うように形成された一対のフラップ7(第一フラップ7A,第二フラップ7B)によってスリット6が形成されている。
【0018】
図3に示すように、本実施形態におけるフラップ7は、シース2の遠位領域3に先端7aを有し、シース2の近位領域4に基端7bを有している。たとえば、
図3に示すように、フラップ7の先端7aの位置は、シース2の先端2aよりも基端側へ離間している。フラップ7は、シース2の先端2aからシース2の近位領域4までシース2の長手軸L方向に延びている。
なお、
図1ではカテーテル1の先端は処置に適した先端を先細に成形しているが、
図3では説明簡略のため、先端の成形を省略して示している。
【0019】
図3及び
図4に示すように、切欠き部8は、シース2の近位領域4内に配されている。切欠き部8は、先端面9と、基端面10と、切欠面11とを有する。
【0020】
切欠き部8の先端面9及び基端面10は、シース2の長手軸Lに対して直交する平面に沿った面である。
切欠き部8の先端面9は、シース2の基端2b側へ向けられている。切欠き部8の先端面9の位置は、フラップ7の基端の位置と一致している。
図5に示すように、シース2の近位領域4が操作部20に固定されている状態において、切欠き部8の先端面9は、ポート23の先端開口部27よりも基端側に位置している。
図3及び
図4に示すように、切欠き部8の基端面10は、シース2の先端2a側へ向けられている。切欠き部8の基端面10の位置は、シース2の基端2bよりも先端側且つ切欠き部8の先端面9よりも基端側である。
【0021】
切欠面11は、切欠き部8の先端面9と基端面10との間で、シース2の長手軸Lに沿ってフラップ7が切り欠かれた形状をなしている。本実施形態の切欠面11は、ガイドワイヤルーメン5を間に挟んで離間する2ヶ所に形成されている。切欠面11は、後述する回転防止部材40に接触可能である。シース2の径方向断面視において、切欠面11に挟まれた部分におけるガイドワイヤルーメン5の内面は、全周のうちの半周以下の部分を残して切り欠かれている。
【0022】
抜け止め12は、切欠き部8よりも基端側に形成されている。操作部20にシース2が取り付けられている状態において、抜け止め12は、ポート23よりも基端側に位置している。抜け止め12は、操作部20内に形成された後述する突起が入り込むことで操作部20にシース2を係止するために、シース2の外周面2cから窪んで形成されている。
【0023】
図2に示す送液ルーメン13は、シース2の先端2a及び基端2b(
図3参照)に開口している。送液ルーメン13は、シース2の基端2bから先端2aまで造影剤などの液体を送液可能である。
【0024】
図6は、操作部の側面図である。
図1、
図5、及び
図6に示すように、操作部20は、本体部21と、ポート23と、折れ止め35と、口金37と、フック38と、回転防止部材40とを備えている。
【0025】
図5に示すように、本体部21は、シース2の近位領域4が挿入される空間を有する。
【0026】
図5及び
図6に示すように、ポート23は、中心線Xが直線状となるほぼ筒状をなしている。本実施形態ではポート23は本体部21に接続されている。
【0027】
本実施形態では、シース2のうちポート23の内部に挿入された部位及びその基端側の領域が、シース2の近位領域4である。ポート23の中心線Xが直線状であることによって、シース2の近位領域4は、直線状をなしている。また、シース2が本体部21に固定されていることによって、ポート23は、シース2の近位領域4に固定されている。
【0028】
図7は、操作部の径方向断面図である。
図8は、操作部の側面視においてポートの中心線に沿った断面を示す図である。
図9は、ポートの拡大断面図である。
図6及び
図7に示すように、ポート23は、先端面24と、内面25と、外面26と、先端開口部27と、側方開口部28と、溝部31とを有する。
【0029】
図6及び
図8に示すように、ポート23の先端開口部27は、ポート23の先端面24に開口している。先端開口部27にはシース2が挿入されている。先端開口部27は側方開口部28と連通している。ポート23の内面25のうち先端開口部27の部分は、先端側へ行くにしたがって開口幅が拡大するテーパー状をなしている。
【0030】
ポート23の側方開口部28は、ポート23の内面25からポート23の外面26に連通するように、ポート23の側方に開口している。側方開口部28は、ポート23の先端面24から、ポート23の長手軸方向に沿ってポート23の基端側へと延びている。ポート23の側方開口部28には、回転防止部材40の一部が入り込んでいる。
【0031】
図3,
図6,及び
図8に示すように、ポート23において側方開口部28が形成されている領域のうち、回転防止部材40が配置されている範囲(第1範囲A1)は、シース2の切欠面11が形成された部分(第1領域P1)を収容し、ガイドワイヤWをガイドワイヤルーメン5に対して出し入れする入口29aを構成している。
【0032】
ポート23において側方開口部28が形成されている領域のうち、ポート23の先端側の所定範囲(第2範囲A2)は、シース2の切欠き部8よりも先端側の一部であって略円筒状をなす部分(第2領域P2)と、上記の第1領域のうちの先端側の一部を収容し、ガイドワイヤルーメン5から側方開口部28を介してガイドワイヤWを外部に剥き出すことができるように、ガイドワイヤWの外径よりも大きなスロット29bを有している。ポート23における上記の第2範囲A2の基端は、フラップ7の基端よりもさらに基端側に位置している。
ポート23における第2範囲A2の基端29cには、後述する弾性部51が挿入される受け部30(受け部30A,受け部30B)が形成されている。受け部30は、弾性部51がシース2のフラップ7に接触可能となるように、弾性部51の外周の一部をシース2側に露出させた状態で、弾性部51の外周の他の一部を保持する。
また、
図8に示すように、上記の第2範囲A2において、ポート23の内面25(スロット29bを含む)は、先端面24側へ行くに従って内径が漸次大きくなるようにテーパー状をなして上記の先端開口部27に繋がっている。
【0033】
図7に示すように、溝部31は、回転防止部材40をポート23に対して位置決めするために、ポート23の内面25に形成されている。溝部31は、ポート23の径方向断面視において、シース2の長手軸Lに直交するとともにポート23の側方開口部28を通る直線の方向(側方開口部28の開口方向D1)に対して直交する第一平面S1に沿う第一溝部32と、第一溝部32の端部から第一平面に直交する方向へ延びる第二溝部33とを有している。
第一溝部32は、側方開口部28の開口方向D1から見たときに、シース2を間に挟んで離間する二箇所に形成されている。同様に、第二溝部33は、側方開口部28の開口方向D1から見たときに、シース2を間に挟んで離間する二箇所に形成されている。
【0034】
側方開口部28の開口方向D1から見たときに第二溝部33よりもシース2に近い位置に、回転防止部材40の腕部44のレール部45に係合する凸条部34が形成されている。
第一溝部32、第二溝部33、及び凸条部34は、いずれも、ポート23の中心線X方向に延びている(
図9参照)。
【0035】
図5に示すように、折れ止め35は、送液ルーメン13と口金37とを接続するためにシース2の近位領域4が挿通される通路36を有する柔軟な筒状部である。
【0036】
口金37は、折れ止め35の基端に形成されている。口金37に公知のシリンジを連結することができる。たとえば、造影剤等の液体を収容したシリンジが口金37に連結され、シリンジから口金37及び折れ止め35内の通路36を通じて送液ルーメン13へと造影剤等の液体を送液することができる。
本実施形態では、シース2の抜け止め12に入り込む突起22が口金37の先端部分37a近傍に配されている。
【0037】
図6に示すように、フック38は、本実施形態のカテーテル1の操作部20を公知の内視鏡の操作部等に連結するために、略C字状をなしている。フック38が内視鏡の操作部の外面を掴むように内視鏡の操作部にフック38が取り付けられることにより、操作者は、カテーテル1の操作部20を持たずに内視鏡の操作部を持ちながら、内視鏡及びカテーテル1を使用することができる。
【0038】
図8に示すように、回転防止部材40は、切欠面11とポート23の内面25との間に設けられている。回転防止部材40は、根元部41と、腕部44とを有している。本実施形態では、根元部41と腕部44とは一体に形成されている。回転防止部材40の材質は、例えば樹脂等である。回転防止部材40は、ポート23の側方開口部28の位置をわかりやすくするために、ポート23とは異なる色を有していてもよい。
【0039】
図10は、内視鏡用処置具の回転防止部材を示す斜視図である。
図11は、回転防止部材の平面図である。
図12は、
図11のA−A線における断面図である。
図10から
図12までに示すように、根元部41は、開口基端部42と、キー43とを有している。
【0040】
図8に示すように、開口基端部42は、シース2に形成された切欠面11の間に位置するガイドワイヤルーメン5へとガイドワイヤWを誘導するためにテーパー状をなしている。たとえば、開口基端部42は、ポート23の外面26に近い側において直径が大きくポート23の内面25に近い側において直径が小さな円錐台の側面の一部をなすように湾曲してテーパー状をなしている。なお、基端開口部のテーパー状の面は平面からなっていてもよい。開口基端部42は、ガイドワイヤWをガイドワイヤルーメン5に対して出し入れするための開口(入口29a)の縁を形成している。入口29aは、ガイドワイヤWを更に出し入れしやすいように、ガイドワイヤWと入口29aとの摺動性を向上する処理が施されていてもよい。例えば、入口29aを構成している回転防止部材40の材質はポリアセタール樹脂(POM)である。または入口29aを構成している開口基端部42、並びに後述する開口側面部46A及び開口側面部46Bの表面粗さは、Ra= 0.25以下である。または、入口29aを構成している開口基端部42、並びに後述する開口側面部46A及び開口側面部46Bの表面処理としてフッ素系などの潤滑塗装を挙げることができる。
【0041】
キー43は、
図8に示すように、回転防止部材40が切欠き部8に取り付けられた状態においてガイドワイヤルーメン5の内部に配される。キー43は、回転防止部材40とシース2との相対回転を防止するとともに、根元部41を超えてガイドワイヤルーメン5の基端側へとガイドワイヤWが進入しないようにガイドワイヤルーメン5を塞いでいる。
【0042】
図13は、
図12のB−B線における断面図である。
図14は、回転防止部材の下面図である。
図15は、回転防止部材の正面図である。
図16は、回転防止部材の背面図である。
図10から
図16に示すように、腕部44は、レール部45と、弾性部51とを備えている。
【0043】
レール部45は、互いに面対称な形状をなす第一レール45A及び第二レール45Bを備えている。以下では、第一レール45Aの構成について説明し、第二レール45Bの構成の詳細な説明は、第二レール45Bが第一レール45Aと対称な形状であるので、省略する。
【0044】
第一レール45Aは、開口側面部46Aと、係止面48Aと、第一凸部49Aと、第二凸部50Aとを備えている。
【0045】
開口側面部46Aは、ガイドワイヤW(
図8参照)をガイドワイヤルーメン5へと案内するための傾斜面47Aを有している。開口側面部46Aは、ガイドワイヤWをガイドワイヤルーメン5に対して出し入れするための開口(入口29a)の縁を形成している。
【0046】
図17は、回転防止部材がポートに取り付けられた状態を示す径方向断面図である。
図17に示すように、係止面48Aは、シース2の切欠き部8に形成された切欠面11に向けられた平面である。係止面48Aは、回転防止部材40がポート23に取り付けられた状態において、ポート23の中心線X(
図8参照)方向に延びている。係止面48Aは、シース2の切欠き部8に形成された切欠面11に当接可能である。係止面48Aが切欠面11に当接することによって、係止面48Aは、シース2の長手軸L周りの回転方向へ切欠面11が移動するのを制限する。
【0047】
第一凸部49Aは、ポート23の第一溝部32に嵌る形状をなしポート23の中心線X方向に延びている。第一凸部49Aは、ポート23の側方開口部28から第一レール45Aが出ないようにポート23内に第一レール45Aを保持する。
【0048】
第二凸部50Aは、ポート23の第二溝部33に嵌る形状をなして第一凸部49Aと繋がっている。第二凸部50Aは、回転防止部材40がポート23に取り付けられた状態において、ポート23の中心線X(
図8参照)方向に延びている。第二凸部50Aは、第一レール45Aがポート23の中心線Xと平行に延びた状態が維持されるように、第一レール45Aを保持する。
【0049】
第二レール45Bは、第一レール45Aと同様に、開口側面部46Bと、係止面48Bと、第一凸部49Bと、第二凸部50Bとを備えている。
【0050】
図10及び
図11に示すように、弾性部51は、第一レール45A及び第二レール45Bの先端に1つずつ配されている。弾性部51は、シース2の近位領域4における上記の第2領域に配されている。
図8に示すように、弾性部51は、第2領域P2において、シース2の外周面2cのうち、フラップ7に接触可能である。
第一レール45Aの先端に配された弾性部51Aは、シース2の第一フラップ7Aに接触可能である。第二レール45Bの先端に配された弾性部51Bは、シース2の第二フラップ7Bに接触可能である。
【0051】
図17に示すように、弾性部51は、ガイドワイヤルーメン5の中心軸Oよりもポート23の側方開口部28に近い位置に配されている。また、弾性部51は、シース2の長手軸Lに直交するとともにポート23の側方開口部28を通る直線の方向(側方開口部28の開口方向D1)から見た側視において、シース2の径方向に離間した位置に配されている。弾性部51は、ポート23の中心線X方向に中心線が延びた円柱状をなしている。弾性部51の外径は、ポート23に形成された受け部30の内径よりも小さい。このため、弾性部51は、受け部30に挿入可能であり、フラップ7に接触した際に受け部30内で移動可能である。また、弾性部51は、フラップ7に接触して移動した後、腕部44の弾性により、元の位置に移動するようにフラップ7を押し返す。
また、本実施形態では、弾性部51が受け部30に挿入されている状態では、回転防止部材40の先端がポート23に対して大きく位置ずれしないように、弾性部51及び受け部30によって、回転防止部材40がポート23に連結されている。
また、本実施形態では、回転防止部材40と弾性部51は同一部材の構成で説明されているが、弾性部は別部材でもよい。この場合、弾性部51に、シリコンゴムなどの弾性材料が使用されていてもよい。弾性材料を使用する場合も本実施形態の弾性部51と同様に、ガイドワイヤルーメン5からガイドワイヤWを取り外した後、フラップ7に接触し弾性材料の弾性により、元の位置に移動するようにフラップ7を押し返すことができる。(図示無し)
【0052】
本実施形態のカテーテル1の作用について説明する。
図18は、内視鏡用処置具の作用を説明するための模式図である。
図19は、内視鏡用処置具の作用を説明するための模式図である。
図20は、内視鏡用処置具の作用を説明するための模式図である。
【0053】
本実施形態では、
図17に示すように、シース2の切欠面11と回転防止部材40の係止面48A及び係止面48Bとが当接可能であることによって、ポート23内でシース2が回転しないようになっている。すなわち、シース2の遠位領域3においてシース2の長手軸Lを回転中心としたねじれが生じていても、シース2のねじれは回転防止部材40の先端40a(
図8参照)から基端側へは伝わらない。これにより、ポート23の側方開口部28からガイドワイヤルーメン5内へとガイドワイヤWをスムーズに挿入することができる。
【0054】
また、ガイドワイヤルーメン5内にガイドワイヤWが挿通されている状態において、ガイドワイヤルーメン5からガイドワイヤWを取り外す場合に、ガイドワイヤWをスリット6を通じてガイドワイヤルーメン5の外部へと剥き出すことができる。このとき、本実施形態のカテーテル1では、シース2の遠位領域3においてシース2にねじれが生じていても、シース2においてフラップ7の基端近傍は回転防止部材40の先端40aによりねじれが抑制されている。
【0055】
例えば
図18に示すように、ポート23に対してシース2のねじれが生じている場合、ガイドワイヤWをガイドワイヤルーメン5から剥き出す際に、ガイドワイヤWとポート23の内面25との間にフラップ7の基端が挟み込まれる場合がある(
図18においては、第一フラップ7AがガイドワイヤWとスロット29bとの間に挟まれやすい。)。この場合、ガイドワイヤWとポート23の内面25との間に挟まれたフラップ7によって、ガイドワイヤWをガイドワイヤルーメン5から剥き出す際の抵抗が大きくなってしまう。
【0056】
これに対して、
図19に示すように、本実施形態のカテーテル1では、フラップ7の基端近傍におけるシース2のねじれが回転防止部材40によって抑制されていることによって、ガイドワイヤWとポート23の内面25との間にフラップ7が挟み込まれてガイドワイヤWが剥き出しにくくなるのを抑制できる。
【0057】
また、ガイドワイヤWとポート23の内面25との間にフラップ7の基端が挟み込まれた状態でガイドワイヤWを無理に剥き出すとフラップ7の基端が塑性変形するためガイドワイヤWをガイドワイヤルーメン5に再挿入する場合等に操作感が悪化することがあるが、本実施形態では、フラップ7の基端が塑性変形しにくいので、ガイドワイヤルーメン5へのガイドワイヤWの挿入を迅速に行うことができる。
【0058】
また、
図20に示すように、ガイドワイヤWをガイドワイヤルーメン5内からスリット6を通してシース2の外部に剥き出す際にフラップ7が変形されると、弾性部51は、スリット6の幅がガイドワイヤWの外径よりも小さくなるようにフラップ7を径方向内方に付勢する。このため、フラップ7の基端において第一フラップ7Aと第二フラップ7Bとの隙間がガイドワイヤWの外径よりも小さくなるように、弾性部51によって、ガイドワイヤWの剥き出し後に第一フラップ7A及び第二フラップ7Bの位置を元に戻すことができる。
【0059】
また、
図6に示すように先端開口部27における内面25(スロット29bを含む)が、先端側へ行くにしたがって開口幅が拡大するテーパー状をなしているので、腕部44の先端からポート23の先端面24までの間においてシース2がねじれた状態であっても、シース2のスリット6からポート23の側方開口部28を通じてガイドワイヤWを剥き出すことができ、このときにシース2のフラップ7が邪魔にならない。
【0060】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態のカテーテル1と同様の構成要素には、第1実施形態と同一の符号を付し重複する説明を省略する。
図21は、本実施形態の内視鏡用処置具の全体図である。
図22は、内視鏡用処置具のシースの径方向断面図である。
【0061】
本実施形態の内視鏡用処置具は、第1実施形態に開示されたカテーテル1と同様に送液ルーメンを通じて造影剤等の液体をシースの先端から吐出可能であるとともに、生体組織を切開するための切開部をシースの先端に有する切開器具である。
【0062】
図21及び
図22に示すように、本実施形態の切開器具60は、シース61と操作部70とを備えている。
シース61は、第1実施形態に開示されたガイドワイヤルーメン5及び送液ルーメン13に加えて、切開部に接続されるナイフワイヤ66が挿通されるナイフワイヤルーメン62をさらに備えている。
【0063】
また、シース61は、ナイフワイヤ66の先端近傍の一部(切開部65)をシース61の外部に露出させた状態とするための貫通孔部63と、ナイフワイヤ66の先端をシース61に固定するために貫通孔部63より先端側に設けられた固定部64とを有している。また、本実施形態におけるシース61の先端61a近傍は、切開器具60を用いた切開においてシース61の先端61aを好適に切開部位へ案内するための湾曲形状を有していてもよい。
【0064】
切開部65は、ナイフワイヤ66における先端近傍の一部からなる。ナイフワイヤ66は、ステンレス鋼や形状記憶合金等の弾性を有する線状部材からなる。
【0065】
本実施形態の切開器具60の操作部70は、第1実施形態のカテーテル1の操作部20に設けられた本体部21、ポート23、折れ止め35、口金37、フック38、及び回転防止部材40に加えて、本体部21から基端側へ延びる棒状部71と、棒状部71に対して進退可能となるように棒状部71に連結されたスライダ73とをさらに備えている。
棒状部71の先端は、本体部21に接続されている。棒状部71の基端は、操作者が指を通すためのリング72を有している。
スライダ73は、ナイフワイヤ66の基端に接続されている。スライダ73は、ナイフワイヤ66に対して高周波電流を通電させるためのプラグ74を有している。ナイフワイヤ66とプラグ74とは電気的に接続されている。スライダ73は、操作者が指を通すための2つのリング75を有している。
【0066】
本実施形態において、スリット6及びフラップ7の先端7aは、シース61の先端61a近傍において、ナイフワイヤ66がシース61外に露出している部分(切開部65)よりも基端側に位置している(
図21に符号7aで示す。)。スリット6及びフラップ7の先端からシース61の先端61aに至るまでの領域において、ガイドワイヤルーメン5はシース61の側方に開口していない。
【0067】
本実施形態の切開器具60は、操作部20のスライダ73を操作者が操作することによって、ナイフワイヤ66を牽引してシース61の先端61a近傍を弓状に湾曲させることができる。また、このときナイフワイヤ66における切開部65は直線状に張られる。この状態でナイフワイヤ66に高周波電流を通電させてナイフワイヤ66を組織に接触させることによって、ナイフワイヤ66を用いて組織を切開することができる。本実施形態の切開器具60は、ERCPの手技の後に十二指腸乳頭部を切開する手技(EST,Endoscopic Sphincterotomy)に好適に使用することができる。
【0068】
たとえば、上記第1実施形態に開示されたカテーテル1を用いて胆管や膵管の造影を行い、ガイドワイヤWを体内に残したままカテーテル1を抜去して、本実施形態の切開器具60のガイドワイヤルーメン5にガイドワイヤWを挿入して切開器具60のシース61の先端61aを十二指腸乳頭部の内部に挿入する。本実施形態では、ERCPの手技においてガイドワイヤWの先端がすでに胆管や膵管の内部に挿入されており、このガイドワイヤWを体内に残したままカテーテル1を容易に抜去して切開器具60と入れ替えることができる。
【0069】
本実施形態の切開器具60も、第1実施形態に開示されたカテーテル1と同様に、ガイドワイヤWが挿通されるルーメンに対してガイドワイヤWを出し入れしやすい。
【0070】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、本発明の内視鏡用処置具は、上記の第1実施形態に開示されたカテーテル1及び上記の第2実施形態に開示された切開器具60には限定されない。たとえば、バルーンやバスケット等を備えてガイドワイヤと共に使用される内視鏡用処置具に本発明を適用することもできる。
内視鏡用処置具であるカテーテル(1)は、ポート(23)と、ポート(23)の内部に挿入された近位領域(4)と近位領域(4)から連なってポート(23)の外部へ延びた遠位領域とを有するシース(2)と、シース(2)の遠位領域に先端を有し、シース(2)の近位領域(4)に基端を有し、シース(2)の先端から基端までシース(2)の長手軸方向に延びたフラップ(7)と、フラップ(7)の基端とシース(2)の基端との間で、シース(2)の長手軸に沿ってフラップ(7)が切り欠かれた形状をなす切欠面(11)と、切欠面(11)とポート(23)の内面との間に設けられ、シース(2)の長手軸周りの回転方向へ切欠面(11)が移動するのを制限するように切欠面(11)に接触可能な係止面(48)を有する回転防止部材(40)と、を有する。