特許第6246441号(P6246441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6246441画像解析システム、画像解析方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6246441
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】画像解析システム、画像解析方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20171204BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20171204BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H04N5/232 290
   G06T7/00 640
   H04N7/18 K
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-545425(P2017-545425)
(86)(22)【出願日】2016年10月31日
(86)【国際出願番号】JP2016082297
【審査請求日】2017年8月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】 ▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−192093(JP,A)
【文献】 特開2000−306095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G06T 7/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に画像解析を行った過去画像と、当該過去画像の撮像時のカメラの設定データおよび被写体に関するデータからなる撮像環境データセットと、を対応付けて複数記憶する過去画像記憶手段と、
撮像した画像を取得する取得手段と、
記憶した前記過去画像の中から、前記取得した画像と類似する過去画像を抽出する類似画像抽出手段と、
前記取得した画像の画像解析を行う際に、前記抽出した過去画像を画像解析した際の撮像環境データセットを適用して画像解析を行う画像解析手段と、を備えることを特徴とする画像解析システム。
【請求項2】
前記過去画像記憶手段は、前記取得した画像と、前記画像解析手段で適用された撮像環境データセットと、を対応付けて新たに記憶することを特徴とする請求項1に記載の画像解析システム。
【請求項3】
前記過去画像記憶手段で記憶された複数の過去画像は、360度撮像によって撮像された画像であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像解析システム。
【請求項4】
過去に画像解析を行った過去画像と、当該過去画像の撮像時のカメラの設定データおよび被写体に関するデータからなる撮像環境データセットと、を対応付けて複数記憶するステップと、
撮像した画像を取得するステップと、
記憶した前記過去画像の中から、前記取得した画像と類似する過去画像を抽出するステップと、
前記取得した画像の画像解析を行う際に、前記抽出した過去画像を画像解析した際の撮像環境データセットを適用して画像解析を行うステップと、を備えることを特徴とする画像解析方法。
【請求項5】
コンピュータシステムに、
過去に画像解析を行った過去画像と、当該過去画像の撮像時のカメラの設定データおよび被写体に関するデータからなる撮像環境データセットと、を対応付けて複数記憶するステップ、
撮像した画像を取得するステップ、
記憶した前記過去画像の中から、前記取得した画像と類似する過去画像を抽出するステップ、
前記取得した画像の画像解析を行う際に、前記抽出した過去画像を画像解析した際の撮像環境データセットを適用して画像解析を行うステップ、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラで撮像した画像を解析する画像解析システムにおいて、画像解析における被写体の検出および識別精度を向上させる画像解析システム、画像解析方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像撮影装置には、過去に撮影された記録画像と同じ内容の撮影設定情報を使用して今回の画像撮影をできるようにするものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−225097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、今回の撮影前に記録画像と同じ内容の撮影設定情報を適用する必要があり、既に撮像された画像に対して、適切な画像処理を行うことはできない。近年では、無人航空機に搭載したカメラ、ウェアラブルデバイスのカメラ、防犯カメラ等で撮像した、様々なものが映っている大量の画像を画像解析するニーズが生じており、そのような場合には、撮像前の設定が必要な特許文献1の手法は適さない。また、画像解析を行う際には、撮像時の環境を使用することで、より被写体の検出や識別の精度を向上できると期待される。
【0005】
本発明では、これらの課題に鑑み、カメラで撮像した画像を解析する画像解析システムにおいて、画像解析における被写体の検出および識別精度を向上させる画像解析システム、画像解析方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
第1の特徴に係る発明は、
過去に画像解析を行った過去画像と、当該過去画像の撮像時のカメラの設定データおよび被写体に関するデータからなる撮像環境データセットと、を対応付けて複数記憶する過去画像記憶手段と、
撮像した画像を取得する取得手段と、
記憶した前記過去画像の中から、前記取得した画像と類似する過去画像を抽出する類似画像抽出手段と、
前記取得した画像の画像解析を行う際に、前記抽出した過去画像を画像解析した際の撮像環境データセットを適用して画像解析を行う画像解析手段と、を備えることを特徴とする画像解析システムを提供する。
【0008】
第1の特徴に係る発明によれば、画像解析システムにおいて、過去に画像解析を行った過去画像と、当該過去画像の撮像時のカメラの設定データおよび被写体に関するデータからなる撮像環境データセットと、を対応付けて複数記憶する過去画像記憶手段と、撮像した画像を取得する取得手段と、記憶した前記過去画像の中から、前記取得した画像と類似する過去画像を抽出する類似画像抽出手段と、前記取得した画像の画像解析を行う際に、前記抽出した過去画像を画像解析した際の撮像環境データセットを適用して画像解析を行う画像解析手段と、を備える。
【0009】
第1の特徴に係る発明は、画像解析システムのカテゴリであるが、画像解析方法、およびプログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【0010】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明である画像解析システムであって、
前記過去画像記憶手段は、前記取得した画像と、前記画像解析手段で適用された撮像環境データセットと、を対応付けて新たに記憶することを特徴とする画像解析システムを提供する。
【0011】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である画像解析システムにおいて、前記過去画像記憶手段は、前記取得した画像と、前記画像解析手段で適用された撮像環境データセットと、を対応付けて新たに記憶する。
【0012】
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴または第2の特徴に係る発明である画像解析システムであって、
前記過去画像記憶手段で記憶された複数の過去画像は、360度撮像によって撮像された画像であることを特徴とする画像解析システムを提供する。
【0013】
第3の特徴に係る発明によれば、第1の特徴または第2の特徴に係る発明である画像解析システムにおいて、前記過去画像記憶手段で記憶された複数の過去画像は、360度撮像によって撮像された画像である。
【0014】
第4の特徴に係る発明は、
過去に画像解析を行った過去画像と、当該過去画像の撮像時のカメラの設定データおよび被写体に関するデータからなる撮像環境データセットと、を対応付けて複数記憶するステップと、
撮像した画像を取得するステップと、
記憶した前記過去画像の中から、前記取得した画像と類似する過去画像を抽出するステップと、
前記取得した画像の画像解析を行う際に、前記抽出した過去画像を画像解析した際の撮像環境データセットを適用して画像解析を行うステップと、を備えることを特徴とする画像解析方法を提供する。
【0015】
第5の特徴に係る発明は、コンピュータシステムに、
過去に画像解析を行った過去画像と、当該過去画像の撮像時のカメラの設定データおよび被写体に関するデータからなる撮像環境データセットと、を対応付けて複数記憶するステップ、
撮像した画像を取得するステップ、
記憶した前記過去画像の中から、前記取得した画像と類似する過去画像を抽出するステップ、
前記取得した画像の画像解析を行う際に、前記抽出した過去画像を画像解析した際の撮像環境データセットを適用して画像解析を行うステップ、を実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カメラで撮像した画像を解析する画像解析システムにおいて、画像解析における被写体の検出および識別精度を向上させる画像解析システム、画像解析方法、およびプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の好適な実施形態の概要図である。
図2図2は、カメラ100とコンピュータ200の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
図3図3は、カメラ100での撮像画像をコンピュータ200で画像解析処理を行う場合のフローチャート図である。
図4図4は、画像解析処理に使用した撮像画像と環境データセットを新たに記憶させる場合のフローチャート図である。
図5図5は、カメラ100で被写体400を撮像した場合の一例を示す図である。
図6図6は、撮像環境データセットのデータ構造の一例を示す表である。
図7図7は、画像解析処理に使用した撮像画像と環境データセットを新たに記憶させた場合の撮像環境データセットのデータ構造の一例を示す表である。
図8図8は、カメラ100の撮像角度を取得する方法を模式的に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0019】
[画像解析システムの概要]
図1は、本発明の好適な実施形態の概要図である。この図1に基づいて、本発明の概要を説明する。画像解析システムは、カメラ100、コンピュータ200、通信網300から構成される。
【0020】
なお、図1において、カメラ100の数は1つに限らず複数であってもよい。また、コンピュータ200は、実在する装置に限らず、仮想的な装置であってもよい。
【0021】
カメラ100は、図2に示すように、撮像部10、制御部110、通信部120から構成される。また、コンピュータ200は、同じく図2に示すように、制御部210、通信部220、記憶部230、入出力部240、から構成される。制御部210は通信部220と協働して取得モジュール211を実現する。また、制御部210は記憶部230と協働して類似画像抽出モジュール212、画像解析モジュール213を実現する。また、記憶部230は、制御部210と協働して過去画像記憶モジュール231を実現する。通信網300は、インターネット等の公衆通信網でも専用通信網でも良く、カメラ100とコンピュータ200間の通信を可能とする。
【0022】
カメラ100は、コンピュータ200とデータ通信可能な、撮像素子やレンズ等の撮像デバイスを備え、被写体までの距離を測定可能な、または、被写体を複数の異なる方向から同時に撮像可能な撮像装置である。ここでは、例としてWEBカメラを図示しているが、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、無人航空機に搭載したカメラ、ウェアラブルデバイスのカメラ、防犯カメラ、車載カメラ、360度カメラ等の必要な機能を備える撮像装置であってよい。
【0023】
コンピュータ200は、カメラ100とデータ通信可能な計算装置である。ここでは、例としてデスクトップ型のコンピュータを図示しているが、携帯電話、携帯情報端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータに加え、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、携帯型音楽プレーヤ等の電化製品や、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル端末等であってよい。
【0024】
図1の画像解析システムにおいて、コンピュータ200は、過去画像記憶データベースを備える。過去画像記憶データベースには、過去に画像解析を行った過去画像と、その過去画像の撮像時のカメラの設定データおよび被写体に関するデータからなる撮像環境データセットとを対応付けて記憶する。ここで撮像環境データセットとは、撮像時のカメラの水平方向からの角度、被写体の種類、被写体までの距離、照度、場所、天候、等の撮像時の環境データをセットとしたものである。コンピュータ200の過去画像記憶モジュール231は、あらかじめ複数の過去画像とその撮像環境データセットを、過去画像記憶データベースに記憶しておくものとする。
【0025】
カメラ100の撮像部10は、対象物である被写体の動画又は静止画等の画像を撮像する(ステップS01)。カメラ100は、被写体として、人間、動物、風景、物品、農作物、樹木等を撮像する。
【0026】
コンピュータ200の取得モジュール211は、カメラ100が撮像した画像を取得する(ステップS02)。
【0027】
図5は、カメラ100で被写体400を撮像した場合の一例を示す図である。ここでは、カメラ100と通信網300で接続されたコンピュータ200の取得モジュール211が、2016年8月8日の09:10:11に撮像したImageXという撮像画像を取得したことを示している。
【0028】
コンピュータ200の類似画像抽出モジュール212は、ステップS02で取得した撮像画像と、過去画像記憶データベースに登録済の過去画像とを比較して、類似画像を抽出する(ステップS03)。
【0029】
図6は、撮像環境データセットのデータ構造の一例を示す表である。ここでは、撮像環境データセットとあわせて、撮像画像を記憶済みであるとする。「Set1」の撮像画像が「ImageA」、「Set2」の撮像画像が「ImageB」、「Set3」の撮像画像が「ImageC」、「Set4」の撮像画像が「ImageD」である。「ImageA」から「ImageD」の撮像画像がどんなものであるか、図6にあわせて概要を示す。ステップS02で取得した撮像画像が、前述の図5の被写体400である場合、これと類似した過去画像は、「Set4」の「ImageD」であるため、ステップS03では「ImageD」を類似画像として抽出する。
【0030】
最後に、コンピュータ200の画像解析モジュール213は画像解析を行う(ステップS04)。ここで、「ImageX」の画像解析を行う際に、「Set4」の撮像環境データセットである「撮像時のカメラの水平方向からの角度が30度、被写体の種類が植物、被写体までの距離が8メートル、照度が240ルクス、場所が屋外、天候が晴れ」を利用する。「ImageX」と類似の「ImageD」の撮像環境データセットである「Set4」を使用して画像解析を行うことで、例えば、「Set1」の「撮像時のカメラの水平方向からの角度が10度、被写体の種類が人間、被写体までの距離が3メートル、照度が100ルクス、場所が屋外、天候が曇り」の環境データセットを使用して画像解析を行う場合より、短時間で識別精度の良い結果を得ることが可能である。
【0031】
ここでの画像解析は、例えば、個人判定用の顔認識、農作物の害虫被害状況の判別、倉庫内の在庫確認、医療診断用の患部画像認識、等、個々の目的に応じた適切なものであるとする。また、画像解析パラメータも、前述の目的に応じて、例えば、フィルタ処理を行う範囲、フィルタ処理の強度、二値化の閾値、画像処理の順番、等、適切なものであるとする。
【0032】
以上のように、本発明によれば、カメラで撮像した画像を解析する画像解析システムにおいて、画像解析における被写体の検出および識別精度を向上させる画像解析システム、画像解析方法、およびプログラムを提供することが可能となる。
【0033】
[各機能の説明]
図2は、カメラ100とコンピュータ200の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。カメラ100は、撮像部10、制御部110、通信部120から構成される。また、コンピュータ200は、制御部210、通信部220、記憶部230、入出力部240、から構成される。制御部210は通信部220と協働して取得モジュール211を実現する。また、制御部210は記憶部230と協働して類似画像抽出モジュール212、画像解析モジュール213を実現する。また、記憶部230は、制御部210と協働して過去画像記憶モジュール231を実現する。通信網300は、インターネット等の公衆通信網でも専用通信網でも良く、カメラ100とコンピュータ200間の通信を可能とする。
【0034】
カメラ100は、コンピュータ200とデータ通信可能な、撮像素子やレンズ等の撮像デバイスを備え、被写体までの距離を測定可能な、または、被写体を複数の異なる方向から同時に撮像可能な撮像装置である。ここでは、例としてWEBカメラを図示しているが、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、無人航空機に搭載したカメラ、ウェアラブルデバイスのカメラ、防犯カメラ、車載カメラ、360度カメラ等の必要な機能を備える撮像装置であってよい。
【0035】
カメラ100は、撮像部10として、レンズ、撮像素子、各種ボタン、フラッシュ等の撮像デバイス等を備え、動画や静止画等の撮像画像として撮像する。また、撮像して得られる画像は、画像解析に必要なだけの情報量を持った精密な画像であるものとし、画素数や画質を指定可能であるものとする。
【0036】
制御部110として、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。
【0037】
通信部120として、他の機器と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity)対応デバイス又は第3世代、第4世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える。有線によるLAN接続であってもよい。
【0038】
コンピュータ200は、カメラ100とデータ通信可能な計算装置である。ここでは、例としてデスクトップ型のコンピュータを図示しているが、携帯電話、携帯情報端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータに加え、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、携帯型音楽プレーヤ等の電化製品や、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル端末等であってよい。
【0039】
制御部210として、CPU、RAM、ROM等を備える。制御部210は通信部220と協働して取得モジュール211を実現する。また、制御部210は記憶部230と協働して類似画像抽出モジュール212、画像解析モジュール213を実現する。
【0040】
通信部220として、他の機器と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイス又は第3世代、第4世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える。有線によるLAN接続であってもよい。
【0041】
記憶部230として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備え、撮像画像や、類似画像抽出結果、抽出した類似画像と撮像環境データセット、画像解析結果等の処理に必要なデータ等を記憶する。また、記憶部230は、制御部210と協働して過去画像記憶モジュール231を実現する。記憶部230に、過去画像記憶データベースを備えても良い。
【0042】
入出力部240は、画像解析システムを利用するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、ペンタブレット、装置上のハードウェアボタン、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。また、出力を実現するための例として、液晶ディスプレイ、PCのディスプレイ、プロジェクターへの投影等の表示と音声出力等の形態が考えられる。入出力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0043】
[画像解析処理]
図3は、カメラ100での撮像画像をコンピュータ200で画像解析処理を行う場合のフローチャート図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理にあわせて説明する。
【0044】
はじめに、コンピュータ200の過去画像記憶モジュール231は、記憶部230に過去に画像解析を行った過去画像と、その過去画像の撮像時のカメラの設定データおよび被写体に関するデータからなる撮像環境データセットとを対応付けて複数記憶する(ステップS301)。記憶部230に過去画像記憶データベースを備え、データベースに記憶することとしてもよい。ここで、撮像環境データセットとは、撮像時のカメラの水平方向からの角度、被写体の種類、被写体までの距離、照度、場所、天候、等の撮像時の環境データをセットとしたものである。ここであらかじめ、複数の過去画像とその撮像環境データセットを、過去画像記憶データベースに記憶しておくものとする。過去画像とあわせて、画像解析を行った際の結果や、画像解析のパラメータを記憶させても良い。なお、既に複数の過去画像とその撮像環境データセットが記憶されている場合には、この処理はスキップしてよいものとする。
【0045】
次に、カメラ100の撮像部10は、対象物である被写体の動画又は静止画等の画像を撮像する(ステップS302)。カメラ100は、被写体として、人間、動物、風景、物品、農作物、樹木等を撮像する。撮像の指示は、コンピュータ200から行っても良い。
【0046】
コンピュータ200の取得モジュール211は、カメラ100が撮像した画像を取得する(ステップS303)。
【0047】
図5は、カメラ100で被写体400を撮像した場合の一例を示す図である。ここでは、カメラ100と通信網300で接続されたコンピュータ200の取得モジュール211が、2016年8月8日の09:10:11に撮像したImageXという撮像画像を取得したことを示している。
【0048】
コンピュータ200の類似画像抽出モジュール212は、ステップS303で取得した撮像画像と、過去画像記憶データベースに登録済の過去画像とを比較して、類似画像を抽出する(ステップS304)。
【0049】
図6は、撮像環境データセットのデータ構造の一例を示す表である。ここでは、撮像環境データセットとあわせて、撮像画像を記憶済みであるとする。「Set1」の撮像画像が「ImageA」、「Set2」の撮像画像が「ImageB」、「Set3」の撮像画像が「ImageC」、「Set4」の撮像画像が「ImageD」である。「ImageA」から「ImageD」の撮像画像がどんなものであるか、図6にあわせて概要を示す。ステップS303で取得した撮像画像が、前述の図5の被写体400である場合、これと類似した過去画像は、「Set4」の「ImageD」であるため、ステップS304では「ImageD」を類似画像として抽出する。
【0050】
最後に、コンピュータ200の画像解析モジュール213は画像解析を行う(ステップS305)。ここで、「ImageX」の画像解析を行う際に、「Set4」の撮像環境データセットである「撮像時のカメラの水平方向からの角度が30度、被写体の種類が植物、被写体までの距離が8メートル、照度が240ルクス、場所が屋外、天候が晴れ」を利用する。「ImageX」と類似の「ImageD」の撮像環境データセットである「Set4」を使用して画像解析を行うことで、例えば、「Set1」の「撮像時のカメラの水平方向からの角度が10度、被写体の種類が人間、被写体までの距離が3メートル、照度が100ルクス、場所が屋外、天候が曇り」の環境データセットを使用して画像解析を行う場合より、短時間で識別精度の良い結果を得ることが可能である。
【0051】
ここでの画像解析は、例えば、個人判定用の顔認識、農作物の害虫被害状況の判別、倉庫内の在庫確認、医療診断用の患部画像認識、等、個々の目的に応じた適切なものであるとする。また、画像解析パラメータも、前述の目的に応じて、例えば、フィルタ処理を行う範囲、フィルタ処理の強度、二値化の閾値、画像処理の順番、等、適切なものであるとする。
【0052】
以上のように、本発明によれば、カメラで撮像した画像を解析する画像解析システムにおいて、画像解析における被写体の検出および識別精度を向上させる画像解析システム、画像解析方法、およびプログラムを提供することが可能となる。
【0053】
[撮像環境データセット追加記憶処理]
図4は、画像解析処理に使用した撮像画像と環境データセットを新たに記憶させる場合のフローチャート図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。図4のステップS401からステップS405の処理は、図3のステップS301からステップS305の処理に相当するため、ステップS406以降について説明する。
【0054】
過去画像記憶モジュール231は、ステップS405での画像解析後、「Set4」の撮像環境データセットを使用した画像解析結果が、良好であったかどうかを確認する(ステップS406)。
【0055】
ステップS405の画像解析結果が良好であった場合には、過去画像記憶モジュール231は、ステップS403で取得した撮像画像を「Set4」の撮像環境データセットと併せて新たな撮像画像と撮像環境データセットとして記憶する(ステップS407)。
【0056】
図7は、画像解析処理に使用した撮像画像と環境データセットを新たに記憶させた場合の撮像環境データセットのデータ構造の一例を示す表である。図6の状態から、新たに「Set5」として、撮像画像である「ImageX」と併せて「撮像時のカメラの水平方向からの角度が30度、被写体の種類が植物、被写体までの距離が8メートル、照度が240ルクス、場所が屋外、天候が晴れ」の環境データセットを追加して記憶させている。これにより、次回撮像時から「Set5」の撮像環境データセットも利用可能となる。
【0057】
ステップS405の画像解析結果が良好でなかった場合には、過去画像記憶モジュール231はなにも行わず処理を終了する。
【0058】
ステップS405において、画像解析結果が良好であったかどうかとは、個人判定用の顔認識、農作物の害虫被害状況の判別、倉庫内の在庫確認、医療診断用の患部画像認識、等、個々の画像解析の目的に応じて閾値等を用いて自動で判断しても良いし、人間が判断してもよい。
【0059】
以上のように、本発明によれば、カメラで撮像した画像を解析する画像解析システムにおいて、良好な画像解析結果を得た撮像画像と撮像環境データセットを新たに登録することで、画像解析における被写体の検出および識別精度をより一層向上させる画像解析システム、画像解析方法、およびプログラムを提供することが可能となる。
【0060】
[撮像角度取得処理]
本発明でのカメラ100は、被写体までの距離を測定可能、または、被写体を複数の異なる方向から同時に撮像可能な撮像装置である。被写体までの距離を測定する方法については、カメラ100のセンサ等から取得する他に、被写体を複数の異なる方向から同時に撮像可能である場合には、その複数のカメラそれぞれで撮像した画像のズレの長さと、実際の距離を学習させて、距離を測定することも可能である。また、その測定した距離を用いて、撮像角度を算出することも可能である。複数のカメラから距離を測定する方法については、既存技術として知られているため、ここでは、図8に基づいて、撮像角度を取得する方法について説明する。
【0061】
図8は、カメラ100の撮像角度を取得する方法を模式的に説明するための図である。図8において、カメラ100は、被写体400と、壁810と、床820を撮像した状態である。カメラ100またはコンピュータ200が、撮像画像を画像解析し、撮像角度を取得する場合、撮像画像中に存在する同じパターン(模様)面積が、最大の領域を床又は地面等の平面と認識し、平面の傾きから自身の撮像角度を取得する。ここでは、床820が平面に該当する。
【0062】
カメラ100の撮像角度を取得する方法は、カメラ100またはコンピュータ200のいずれで行っても良いが、以下では簡略化のために、コンピュータ200で行うものとして記載する。コンピュータ200は、撮像位置から床820までの2か所の所定位置830,831をサンプルとして抽出する。この所定位置830,831と、撮像地点の中心位置832とを結んだ三角形833を形成する。三角形833は、辺840、辺841、辺842の3辺により形成される。コンピュータ200は、中心位置832から床820へ垂線850を形成し、辺842と垂線850の交点834を形成する。コンピュータ200は、複数のカメラで撮像した画像のずれの長さと実際の距離を学習させ、距離を推定することにより辺840,841及び垂線850の長さを算出する。コンピュータ200は、辺842において、所定位置830と交点834とを結ぶ線分860と、所定位置831と交点834とを結ぶ線分861との長さを算出する。コンピュータ200は、三角関数により、角度870を算出し、この算出した角度870を自身の3次元の撮像角度として取得する。
【0063】
以上のように、本発明によれば、カメラに被写体までの距離を測定する機能が無い場合にも、被写体を複数の異なる方向から同時に撮像する機能を利用することにより、被写体までの距離を算出するとともに、撮像時の水平方向からの角度を算出することが可能である。
【0064】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態であってもよいし、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)、コンパクトメモリ等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
100 カメラ、200 コンピュータ、300 通信網、400 被写体
【要約】

【課題】 カメラで撮像した画像を解析する画像解析システムにおいて、画像解析における被写体の検出および識別精度を向上させる。
【解決手段】 過去に画像解析を行った過去画像と、過去画像撮像時のカメラの設定データおよび被写体に関するデータからなる撮像環境データセットを複数記憶しておき、撮像した画像を取得する取得モジュール211と、撮像画像と類似する過去画像を抽出する類似画像抽出モジュール212とを備え、抽出された過去画像の撮像環境データセットを取得した撮像画像に適用して画像解析を行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8