(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246465
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】路肩の空間認知方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/93 20060101AFI20171204BHJP
G01S 13/86 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
G01S13/93 220
G01S13/86
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-269839(P2012-269839)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-85331(P2014-85331A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年7月30日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0116819
(32)【優先日】2012年10月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100176603
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 允史
(72)【発明者】
【氏名】ヨン チョル,オ
(72)【発明者】
【氏名】スリム,クォン
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−41209(JP,A)
【文献】
特開平9−304083(JP,A)
【文献】
特開2003−106859(JP,A)
【文献】
特開2008−143428(JP,A)
【文献】
特開平9−91596(JP,A)
【文献】
特開2009−151522(JP,A)
【文献】
特開2003−233899(JP,A)
【文献】
特開2006−350641(JP,A)
【文献】
特開2006−10410(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0215947(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0055114(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 13/00−13/95、
17/00−17/95、
7/00−7/51
G08G 1/16
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配設された距離測定モジュール、レーダー及びカメラを用いて路肩の空間を認知する方法であって、
前記レーダーを制御して、レーダービームが前記車両を中心として設定範囲内に送信されるようにするステップと、
前記レーダーに受信される前記レーダービームの反射波を用いて、前記設定範囲内に固定物体があるか否かを判断するステップと、
前記設定範囲内に固定物体があれば、前記レーダー及び前記距離測定モジュールを用いて前記固定物体と前記車両との間の距離を計算するステップと、
前記カメラから得られる走行車路前方の車線映像中に実線車線があるか否かを判断するステップと、
前記走行車路前方の車線映像中に実線車線があれば、前記計算された固定物体と車両との間の距離を前記路肩の空間幅として認知するステップと、
前記計算された前記固定物体と前記車両との間の距離値が設定時間以上に維持されるか否かを判断するステップと、
前記距離値が前記設定時間以上に維持されれば、前記固定物体をガードレールとして判断し、そうでなければ、前記固定物体を前記路肩の空間内にある障害物として判断するステップと、
前記走行車路前方の車線映像中に前記実線車線がなければ、走行車線を右側車線に変更するように通報するステップと、
を含むことを特徴とする路肩の空間認知方法。
【請求項2】
前記距離測定モジュールは、超音波信号を送出し、外部物体から反射される反射波を受信してその外部物体までの距離を測定する超音波センサーであって、
前記固定物体と前記車両との間の距離を計算するステップは、
前記設定範囲内に固定物体があれば、前記レーダービーム及び超音波信号が前記固定物体から反射されて受信されるように前記レーダー及び前記超音波センサーを制御するステップと、
前記固定物体から反射されて受信された前記レーダービーム及び前記超音波信号に基づいて、前記固定物体と前記車両との間の距離を計算するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の路肩の空間認知方法。
【請求項3】
前記認知された前記路肩の空間幅が前記車両が利用できる程度の空間であるか否かを前記車両の幅データに基づいて判断するステップと、
前記認知された前記路肩の空間幅が前記車両が利用できる程度の空間であれば、これを通報するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の路肩の空間認知方法。
【請求項4】
前記認知された前記路肩の空間幅が前記車両が利用できる程度の空間ではなければ、これを通報するステップ をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の路肩の空間認知方法。
【請求項5】
前記レーダービームの送受信領域は、前記超音波信号の送受信領域よりも広いことを特徴とする請求項2に記載の路肩の空間認知方法。
【請求項6】
車両に配設されて前記車両の周りの固定物体及び移動物体を識別し、前記固定物体との距離を計算するための信号を送受信するレーダーと、
車両に配設されて前記固定物体との距離を計算するための信号を送受信する距離測定モジュールと、
前記車両に配設されて道路の路面映像を撮影するカメラと、
前記レーダー、距離測定モジュール及びカメラの信号から路肩の空間を認知する制御器と、
を備えるが、
前記制御器は、設定されたプログラムによって動作する1以上のマイクロプロセッサーを備え、前記設定されたプログラムは、
前記レーダーを制御して、レーダービームが前記車両を中心として設定範囲内に送信されるようにするステップと、前記レーダーに受信される前記レーダービームの反射波を用いて、前記設定範囲内に固定物体があるか否かを判断するステップと、前記設定範囲内に固定物体があれば、前記レーダー及び前記距離測定モジュールを用いて、前記固定物体と前記車両との間の距離を計算するステップと、前記カメラから得られる走行車路前方の車線映像中に実線車線があるか否かを判断するステップと、前記走行車路前方の車線映像中に実線車線があれば、前記計算された固定物体と車両との間の距離を前記路肩の空間幅として認知するステップと、前記計算された前記固定物体と前記車両との間の距離値が設定時間以上に維持されるか否かを判断するステップと、前記距離値が前記設定時間以上に維持されれば、前記固定物体をガードレールとして判断し、そうでなければ、前記固定物体を前記路肩の空間内にある障害物として判断するステップと、前記走行車路前方の車線映像中に前記実線車線がなければ、走行車線を右側車線に変更するように通報するステップと、を含む路肩の空間認知方法を行うための一連の命令を含むことを特徴とする路肩の空間認知システム。
【請求項7】
前記距離測定モジュールは、超音波信号を送出し、外部物体から反射される反射波を受信してその外部物体までの距離を測定する超音波センサーであることを特徴とする請求項6に記載の路肩の空間認知システム。
【請求項8】
前記制御器は、
前記路肩の空間認知に関する情報を通報する通報器 を備えることを特徴とする請求項7に記載の路肩の空間認知システム。
【請求項9】
前記超音波センサーは、超音波信号を車両の側方において送受信するように前記車両の側方に設けられ、
前記カメラは、車両前方の路面映像を撮影するように前記車両の前方に設けられ、
前記レーダーは、走行中に車両がドップラー効果を用いて前記固定物体及び前記移動物体を識別し、前記固定物体との距離を計算できるように前記車両の前方または後方に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の路肩の空間認知システム。
【請求項10】
前記距離測定モジュールは、赤外線信号を送出し、外部物体から反射される反射波を受信してその外部物体までの距離を測定する赤外線センサーであることを特徴とする請求項6に記載の路肩の空間認知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に配設された超音波センサーと、レーダー及び映像カメラを用いて路肩の空間を認知する路肩の空間認知方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、路肩は、道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために、車道、歩道、自転車道または自転車歩行者道に接続して設けられる帯状の道路の部分をいい、緊急車両や故障車両のためのものである。
【0003】
車両が車道、歩道、自転車道または自転車歩行者道を走行する間に、運転者または搭乗者に緊急状況が発生したり車両に急な故障が発生したりした場合に、車両を路肩に安全に移動する必要がある。
【0004】
緊急車両や故障車両が路肩に安全に移動するためには、まず、路肩の空間(または幅)を正確に認知せねばならない。すなわち、路肩の空間に、車両が走行または主停車できる程度の余裕があるか否かを確認せねばならない。これは、車両が利用できる程度の余裕空間が確保されていない路肩を緊急車両が利用するときに、別の不意の事故が招かれる虞があるためである。
【0005】
路肩の空間を認知するための従来の技術の一実施形態によれば、レーザースキャナーを採用している。
【0006】
ところで、従来の路肩の空間を認知するために用いられるレーザースキャナーは高価であり、且つ、天気などに敏感であるため費用面からみても経済的に負担になるだけでなく、路肩の空間認知が安定的ではないため実車への適用に難点があるということが知られている。
【0007】
この背景技術の欄に記載の事項は発明の背景への理解を増進させるために作成されたものであり、この技術が属する分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来の技術ではない事項を含んでいる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、レーダーのドップラー効果を用いて、固定物体(例えば、ガードレール)及び移動物体を識別し、レーダー及び超音波センサーを用いて前記固定物体との距離を認知して、所定の時間以上に固定物体との距離が持続すれば、前記固定物体をガードレールとして判断し、カメラを用いて実線車線を認識することにより路肩の空間を正確に認知することのできる道路路肩の空間認知方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明の実施形態に係る路肩の空間認知方法は、車両に配設された距離測定モジュール、レーダー及びカメラを用いて路肩の空間を認知する方法であって、前記レーダーを制御して、レーダービームが前記車両を中心として設定範囲内に送信されるようにするステップと、前記レーダーに受信される前記レーダービームの反射波を用いて、前記設定範囲内に固定物体があるか否かを判断するステップと、前記設定範囲内に固定物体があれば、前記レーダー及び前記距離測定モジュールを用いて前記固定物体と前記車両との間の距離を計算するステップと、前記カメラから得られる走行車路前方の車線映像中に実線車線があるか否かを判断するステップと、前記走行車路前方の車線映像中に実線車線があれば、前記計算された固定物体と車両との間の距離を前記道端の空間幅として認知するステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記距離測定モジュールは、超音波信号を送出し、外部物体から反射される反射波を受信してその外部物体までの距離を測定する超音波センサーであって、前記固定物体と前記車両との間の距離を計算するステップは、前記設定範囲内に固定物体があれば、前記レーダービーム及び超音波信号が前記固定物体から反射されて受信されるように前記レーダー及び前記超音波センサーを制御するステップと、前記固定物体から反射されて受信された前記レーダービーム及び前記超音波信号に基づいて、前記固定物体と前記車両との間の距離を計算するステップと、を含む。
【0011】
また、好ましくは、前記路肩の空間認知方法は、前記計算された前記固定物体と前記車両との間の距離値が設定時間以上に維持されるか否かを判断するステップと、前記距離値が前記設定時間以上に維持されれば、前記固定物体をガードレールとして判断し、そうでなければ、前記固定物体を前記道端の空間内にある障害物として判断するステップと、をさらに含む。
【0012】
さらに、好ましくは、前記路肩の空間認知方法は、前記認知された前記道端の空間幅が前記車両が利用できる程度の空間であるか否かを前記車両の幅データに基づいて判断するステップと、前記認知された前記道端の空間幅が前記車両が利用できる程度の空間であれば、これを通報するステップと、をさらに含む。
【0013】
さらに、好ましくは、前記路肩の空間認知方法は、前記認知された前記道端の空間幅が前記車両が利用できる程度の空間ではなければ、これを通報するステップをさらに含む。
【0014】
さらに、好ましくは、前記レーダービームの送受信領域は、前記超音波信号の送受信領域よりも広い。
【0015】
さらに、好ましくは、前記路肩の空間認知方法は、前記走行車路前方の車線映像中に前記実線車線がなければ、走行車線を右側車線に変更するように通報するステップをさらに含む。
【0016】
前記目的を達成するための本発明の他の実施形態に係る路肩の空間認知システムは、車両に配設されて前記車両の周りの固定物体及び移動物体を識別し、前記固定物体との距離を計算するための信号を送受信するレーダーと、車両に配設されて前記固定物体との距離を計算するための信号を送受信する距離測定モジュールと、前記車両に配設されて道路の路面映像を撮影するカメラと、前記レーダー、距離測定モジュール及びカメラの信号から前記道路の道端の空間を認知する制御器と、を備えるが、前記制御器は、設定されたプログラムによって動作する1以上のマイクロプロセッサーを備え、前記設定されたプログラムは、前記本発明に係る路肩の空間認知方法を行うための一連の命令を含むことを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記距離測定モジュールは、超音波信号を送出し、外部物体から反射される反射波を受信してその外部物体までの距離を測定する超音波センサーである。
【0018】
また、好ましくは、前記制御器は、前記路肩の空間認知に関する情報を通報する通報器を備える。
【0019】
さらに、好ましくは、前記超音波センサーは、超音波信号を車両の側方において送受信するように前記車両の側方に設けられ、前記カメラは、車両前方の路面映像を撮影するように前記車両の前方に設けられ、前記レーダーは、走行中に車両がドップラー効果を用いて前記固定物体及び前記移動物体を識別し、前記固定物体との距離を計算できるように前記車両の前方または後方に設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態によれば、レーダーのドップラー効果を用いて、固定物体(例えば、ガードレール)及び移動物体を識別し、レーダー及び超音波センサーを用いて前記固定物体との距離を認知し、認知された距離値が所定の時間以上に維持されれば、前記固定物体をガードレールとして判断し、カメラを用いて実線車線を認識することにより路肩の空間を正確に認知することができる。
【0021】
また、本発明の実施形態によれば、天気などに影響されずに路肩の空間を安定且つ正確に認知することができる。
【0022】
さらに、本発明の実施形態によれば、危急状況に陥ったとき、非常停止システムなどの路肩の空間情報を必要とするシステムに正確な道端の空間情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る路肩の空間認知システムの構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る路肩の空間認知システムに適用されるレーダー、超音波センサー及びカメラの信号送受信領域を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る路肩の空間認知方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態を説明するための説明図である。
【
図5】本発明の実施形態における、レーダーを用いて固定物体を識別し、距離を計算する原理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できる程度に詳述する。しかしながら、本発明はここで説明される実施形態に何ら限定されるものではなく、種々の他の態様として具体化可能である。
【0025】
明細書全般に亘って、部材番号に併記されるアルファベットL、Rは、特に断りのない限り、それぞれ左側(left)、右側(right)を意味する。なお、明細書全般に亘って、ある部分がある構成要素を「備える」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を排除するものではなく、他の構成要素をさらに備えてもよいということを意味する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る路肩の空間認知システムを示すブロック構成図である。
本発明の実施形態に係る路肩空間認知システムは、緊急車両や故障車両のための路肩の空間を認知するシステムである。
【0027】
このような本発明の実施形態に係る路肩の空間認知システムは、車両100に配設されて車両の周りの固定物体(例えば、ガードレールなど)及び移動物体(周りの走行車両など)を識別するための信号を送受信するレーダー110と、車両に配設されて車両100と前記固定物体との間の距離を計算するための距離測定モジュールであって、超音波信号を送受信する超音波センサー120Rと、前記車両100に配設されて道路の路面映像を撮影するカメラ130と、前記レーダー110、超音波センサー120R及びカメラ130の信号から前記路肩の空間を認知する制御器200と、を備える。
【0028】
前記レーダー110は、本発明の実施形態においては、例えば、電波反射波のドップラー効果を用いて、固定物体及び/又は移動物体の認知に幅広く用いられているレーダー(または、レーダーセンサー)から形成されてもよく、あるいは、前記レーダーに相当するレーダースキャナーから形成されてもよいが、本発明の保護範囲がこれに限定されるものと理解されるべきではない。これとは異なる構成であっても、実質的に車両の周りの固定物体及び移動物体を識別できる構成であれば、本発明の技術的な思想が適用可能である。本発明の実施形態に適用される、ドップラー効果を用いる前記レーダーの構成及び作用については当業者にとって自明であるため、詳細な記載は省略する。
【0029】
一方、本発明の実施形態に係る路肩の空間認知システムは、レーダー110を車両の前方にのみ設けて、車両の周りの固定物体及び移動物体を識別して前記固定物体までの距離を計算するのに利用可能であるが、場合によっては、
図1に示すように、車両の後方の左側及び右側に設けてより広域的に車両の周りの固定物体及び移動物体を識別して距離を計算することができる。このため、本発明の保護範囲は、車両の前方または車両の後方にレーダー150L、150Rが設けられる場合にも及ぼすものと理解さるべきである。
【0030】
本発明の実施形態において、レーダーを用いて被測定体(固定物体、移動物体)を識別し、被測定体までの距離を計算し、被測定体の速度を計算する原理は、
図5及び下記の公式による。
【0031】
図5及び下記の公式において、f
Dはレーダービームのドップラー周波数偏移(shift)であり、Rは被測定体までの距離であり、vは被測定体の速度であり、ΔFはドップラー周波数の最大偏移であり、f
0は中心周波数であり、そしてf
mは変調周波数である。
【0033】
図5及び前記公式から明らかなように、レーダービームのドップラーシフト効果を用いて、固定物体と移動物体とが分離可能である。
【0034】
本発明の実施形態において、前記固定物体との距離を計算するための距離測定モジュールとして超音波センサー120L、120Rを用いるが、本発明の保護範囲が必ずしもこれに限定されるとは限らない。これとは異なるものであっても、例えば、赤外線センサーのように実質的に前記固定物体との距離を計算するための信号を送受信できるものであれば、本発明の技術的な思想が適用可能である。
【0035】
前記超音波センサーは、超音波信号を車両の側方において送受信するように車両100の側方に設けられる。
【0036】
一方、車両100が利用できる路肩は、通常、車両100の右側にあるため、超音波センサーは車両100の右側の側方にしか配設することができない。しかしながら、右ハンドル(RH:Right Handle)車両が用いる道路の場合には、当然のことながら、路肩が車両の左側にある筈であるため、超音波センサー120Lは車両の左側の側方に配設することができる。このため、本発明の保護範囲は、超音波センサーが車両の左側の側方及び/又は右側の側方に配設されるいなかる態様にも及ぼすものと理解さるべきである。
【0037】
前記超音波センサーの構成及び作用については当業者にとって自明であるため、詳細な記載を省略する。
【0038】
前記カメラ130は、本発明の実施形態においては、例えば、幅広く用いられている電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)付き映像カメラから形成されてもよいが、本発明の保護範囲がこれに限定されるものと理解されるべきではない。
これとは異なる構成であっても、実質的に道路の路面及び車線を撮影できる構成であれば、本発明の技術的な思想が適用可能である。前記カメラの構成及び作用については当業者にとって自明であるため、詳細な記載を省略する。
【0039】
前記制御器200は、設定されたプログラムによって動作する1以上のマイクロプロセッサー210と、マイクロプロセッサー210において処理された結果情報を通報する通報器220と、前記通報器220の信号に基づいてユーザーに視認・聴認せしめるランプ222と、スピーカ224と、を備えてなり、前記設定されたプログラムは後述する本発明の実施形態に係る路肩の空間認知方法を行うための一連の命令により作成される。前記通報器220の信号は、非常停止システムなどの路肩の空間情報を必要とするシステムに送信されて利用可能であるということはいうまでもない。
【0040】
本発明の実施形態において、前記制御器200は、車両のマルチメディアを制御するマルチメディア制御システム、車両のボディー電装品を制御するボディー制御モジュール(BCM;Body Control Module)に組み込まれてもよい。あるいは、前記制御器200は、前記マルチメディア制御システム及びボディー制御モジュールを備えていてもよい。
【0041】
後述する本発明の実施形態に係る路肩の空間認知方法において、その一部のプロセスはカメラと関連する前記マルチメディア制御システムによって、他の一部のプロセスは前記レーダー及び超音波センサーと関連するBCMによって行われるものとしてもよい。しかしながら、本発明の保護範囲が後述する実施形態における説明に限定されるものと理解されるべきではない。本発明の実施形態における説明とは異なる組み合わせにより制御器を実現してもよい。
【0042】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態に係る路肩の空間認知方法について詳述する。
【0043】
図3は、本発明の実施形態に係る路肩の空間認知方法を示すフローチャートである。
【0044】
図3に示すように、制御器200のマイクロプロセッサー210は、レーダー110を制御して、レーダー110からのレーダービームが、
図2に示すように、車両を中心として設定範囲内に送信されるようにする(S110)。マイクロプロセッサー210は、車両の後方の左側及び右側に設けられたレーダー150L、150Rを制御して駆動することにより、制御精度を高めることができるということはいうまでもない。
【0045】
マイクロプロセッサー210は、前記レーダービームが送信される前記設定範囲を、
図2に示すように、超音波信号が送信される範囲よりも広くするようにレーダー110及び超音波センサー120Rを制御することができる。
【0046】
マイクロプロセッサー210が前記レーダー110を制御してレーダービームを送信した後、前記マイクロプロセッサー210は、前記設定範囲内にある固定物体(例えば、ガードレールまたは障害物、
図4)から反射された反射波が前記レーダー110に受信されるか否かを判断する(S120)。マイクロプロセッサー210は、レーダービーム反射波のドップラー効果を用いて固定物体及び移動物体を識別することができ、後述する超音波センサーの作用と組み合わせて、固定物体までの距離を信頼性よく計算することができる。
【0047】
ステップS120における判断の結果、前記設定範囲内に固定物体があれば(S130)、マイクロプロセッサー210は超音波センサー120Rを制御して、超音波信号が前記固定物体から反射されて受信されるようにする(S140)。
【0048】
マイクロプロセッサー210は、前記固定物体から反射されて受信された前記超音波信号に基づいて、前記固定物体と車両100との間の距離を計算する(S150)。このとき、マイクロプロセッサー210は、前記超音波信号と、前記レーダービーム反射波のドップラー効果によって得られた前記固定物体に関する距離情報とを比較して、前記固定物体までの距離への信頼性を高めることができる。
【0049】
このようにして超音波信号及びレーダービーム反射波のドップラー効果により固定物体と車両100との間の距離が計算されたならば、マイクロプロセッサー210は、前記計算された前記固定物体と前記車両との間の距離値が設定時間(例えば、3秒)以上維持されるか否かを判断する(S160)。
【0050】
前記距離値が前記設定時間以上に維持されれば、マイクロプロセッサー210は、前記固定物体をガードレール20(
図4)として判断し(S170)、そうでなければ、前記固定物体を前記路肩10の空間内にある障害物30として判断する(S180)。
【0051】
前記距離値が前記設定時間以上に維持される場合は車両100が
図4におけるC位置にある場合であり、そうではない場合は車両100が
図4におけるB位置にある場合である。
【0052】
一方、マイクロプロセッサー210は、カメラ130を制御して、前記カメラ130から走行車路前方の車線映像を受信して、前記走行車路前方の車線映像中に実線車線52(
図4)があるか否かを判断する(S210)(S220)。前記カメラ130の走行車路前方の車線映像中に実線車線52または点線車線54があるか否かを判断する技術は当業者にとって自明であるため、詳細な記載は省略する。
【0053】
前記走行車路前方の車線映像中に実線車線52がない場合は、
図4において車両100がA位置にある場合に相当するため、マイクロプロセッサー210は通報器220を制御して、ランプ222またはスピーカ224を用いて車線を右側車線に変更することを通報する(S230)。
【0054】
一方、前記走行車路前方の車線映像中に実線車線52があり、且つ、前記固定物体がガードレール20として判断された状態であれば(S300)、マイクロプロセッサー210は、前記計算されたガードレール20と車両100との間の距離を前記路肩の空間幅として認知する(S310)。
【0055】
前記計算されたガードレール20と車両100との間の距離を前記路肩の空間幅として認知した後、マイクロプロセッサー210は、前記空間幅が、車両100が利用できる程度の空間であるか否かを前記車両100の幅データに基づいて判断する(S320)。
【0056】
本発明の実施形態において、マイクロプロセッサー210は、前記車両100の幅データに基づいて、前記路肩の空間幅が前記車両100が利用できる程度の幅であるか否かを判断するが、本発明の保護範囲がこれに限定されるものと理解されるべきではない。前記車両の幅データではなくても、これに相当するデータであれば、本発明の技術的な思想が適用可能である。前記車両の幅データは、メモリ(図示せず)などに予め保存されて利用可能であるということは当業者にとって自明である。
【0057】
前記空間幅が前記車両が利用できる程度の距離(幅)であれば、マイクロプロセッサー210は、その旨を、通報器220を制御してランプ222またはスピーカ224を用いて報知するか、あるいは、その旨を必要とする他のシステム(例えば、応急状況時の非常停止システム)に通報する(S330)。一方、前記空間幅が前記車両が利用できる程度の距離(幅)ではなければ、マイクロプロセッサー210は、その旨を、通報器220を制御してランプ222またはスピーカ224を用いて報知するか、あるいは、その旨を必要とする他のシステム(例えば、応急状況時の非常停止システム)に通報する(S340)。
【0058】
これにより、本発明の実施形態に係る路肩の空間認知方法及びシステムは、超音波センサーと、レーダー及び映像カメラを用いて路肩の空間を認知する。
【0059】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに何ら限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者の種々の変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0060】
100 車両
110 レーダー
120R、120L 超音波センサー
130 カメラ
200 制御器
210 マイクロプロセッサー
220 通報器