(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デバイスが軟質であり、または前記ファイバーが軟質であり、または前記デバイスおよび前記ファイバーの両方が軟質であることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
前記デバイスが移動式デバイスであり、前記デバイスをヒトまたは動物対象に取り付けるための取り付け手段を含むことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のデバイス。
前記デバイスが、プラスター、包帯、毛布、寝袋、スリーブ、植込み型プローブ、経鼻胃管、胸腔ドレーン、パッド、ステント、パッチ、キャンバス、および任意の種類の衣服、ならびに口中の少なくとも1つの歯を覆うデバイスであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のデバイス。
乾癬、湿疹、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、浮腫、白斑、ボーエン病、腫瘍、前癌性腫瘍、悪性腫瘍、基底細胞癌、扁平上皮癌、二次転移、皮膚T細胞リンパ腫、日光角化症、ヒ素角化症、放射線皮膚炎、セルライト、皮膚脱感作、感染症、炎症、神経学的および心理学的な疾患および/または状態、光線力学的治療(PDT)、黄疸、ならびにクリグラーナジャーから選択される皮膚疾患の治療および/または予防および/または診断のための請求項1から8の何れか1項に記載のデバイス。
感染症、ならびに炎症性、神経学的、および心理学的な疾患および/または状態の治療および/または予防および/または診断のための請求項1から9の何れか1項に記載のデバイス。
【発明の概要】
【0001】
本発明は、とりわけ、治療上の疾患および/または美容上の状態の治療および/または予防および/または診断のための、化合物、組成物、およびこれらを含むファイバーデバイスに関する。
【0002】
光線療法(光療法とも呼ばれる)は、広範囲の治療上の疾患および/または美容上(美的とも呼ばれる)の状態において用いることができる。LEDまたはレーザーいずれかの光を用いる治療法は、例えば、創傷、傷害、頸部痛、骨関節炎、化学療法および放射線治療の副作用を治療するのにすでに用いられている。
【0003】
治療上の適用と美容上の適用との間の境界は曖昧であることが多く、個々の状況および医師の評価に依存する。治療上の状態は美容上考慮すべきことにしばしば関連する。例えば、ざ瘡の治療および予防には、状態の程度に応じて治療的構成要素および美容的構成要素の両方があり得る。同じことが、乾癬、アトピー性皮膚炎、ならびに他の疾患および/または状態に当てはまる。多くの疾患および状態は、例えば、対象の皮膚の目に見える変化によって表されることが多い見かけ上推測されるものに関連する。これら美容上の、または美的な変化は、少なくとも部分的に重症の疾患をもたらす心理学的な変更をしばしばもたらし得る。
【0004】
状態または疾患は、治療上の要素も役割を果たし得る場合でさえも、美容上の構成要素を強調することがある。これらのいくつかは、抗加齢、抗しわ、ざ瘡および白斑の防止および/または治療法から選択される。
【0005】
多くの診断用のツールまたはデバイスはまた、例えば、ビリルビン、酸素、またはCOなどの血液の特性を決定するために、光源を必要とすることが多い。
【0006】
化粧品および医薬品の両方において、皮膚は照射すべき主な標的であるが、ヒトまたは動物の身体の他の標的も光線療法によってアクセスすることができる。これらの標的には、それだけには限定されないが、眼、創傷、爪、および身体の内部が含まれる。光は、例えば、創傷、幾分固形である物体の表面、液体、および飲料の消毒を促進または支持するために用いることもできる。本明細書で用いられる幾分固形である物体の表面には、液体ではない、可塑性または弾性を有する任意の表面が含まれる。多くの物体がこの範疇に入り、例えば、栄養物、カトラリー、病院および外科手術において用いるための機器、ならびに消毒を必要とする任意の他の物体を含んでいる。ヒトおよび動物の創傷でさえ、この定義の下に含めることもできる。
【0007】
光線療法の主要な効果の一つは、ミトコンドリアにおける代謝の刺激である。ある波長の光は、アデノシン三リン酸(ATP)の形態の本質的な細胞エネルギーの生成を担う酵素である、チトクロームc酸化酵素を刺激する。ATPは、熱力学的に都合の悪い生化学反応を駆動するために、および細胞のエネルギー貯蔵として、細胞のエネルギー輸送に必要とされる。ATPは、加齢および細胞死(酸化ストレス)をもたらす他の生化学的分子(例えば、活性酸素種および一酸化窒素)をモジュレートするために、シグナル分子として働くこともできる。光線療法後、細胞は代謝の増大を示し、細胞はより良好に連絡し、細胞はストレスの多い状態をよりよい方法で生存する。
【0008】
この原理は、創傷治癒、結合組織の修復、組織の修復、組織死の防止、炎症、疼痛、急性傷害、慢性疾患、代謝障害、神経原性疼痛、および季節的影響障害の軽減など、多くの医学的治療および美容上の適用に応用することができる。
【0009】
光の適用の別の一分野は様々な癌の治療である。癌治療において、光線力学的治療(PDT)は重要な役割を果たす。PDTにおいて、光は薬剤と組み合わせて用いられ得る。これらの治療法は、様々な皮膚および内科の疾患を治療するのに用いることができる。PDTにおいて、光化学療法剤として知られている光感受性の治療薬を、治療する身体の領域に外部的または内部的に供給する。次いで、この領域を適切な周波数および強度の光に曝露して光化学療法剤を活性化する。様々な光化学療法剤の薬剤が現在利用できる。例えば、5−アミノレブリン酸塩酸塩(Crawford Pharmaceuticals)、メチルアミノレブリン酸(Metfix(登録商標)、Photocure)などの局所薬剤が存在する。Photofin(登録商標)(Axcanから)およびFoscan(登録商標)(Biolitech社から)を含めた、体内の悪性腫瘍に主に用いる注射薬も存在する。薬物は、光感受性の光化学療法剤に代謝される非活性型で適用されることが多い。
【0010】
光線力学的治療において、光化学療法剤に光を供給するための主な技術は、レーザーまたはフィルターを通したアークランプなどの独立型の光源から適切な波長の光を投影することである。これらの光源は扱いにくく高価であり、したがって病院における使用にしか適さない。そのため患者にとって不便であり、治療の費用は高い。1日あたり許容できる数の患者を治療するために(治療が費用効果的であるために)、また患者に過度に不便を感じさせるのを避けるために、高い光照射量が必要とされる。
【0011】
WO98/46130およびUS6096066は、光線力学的治療において用いるためのLEDのアレイを開示している。これらにおいて教示されている小型のLED源は、患者に対して不均等な光の入射をもたらす。多数の接続が必要とされるので、アレイの製造は複雑である。これらに示されるデバイスは病院の治療用に設計されている。
【0012】
GB2360461は、光ファイバーによってその後透過される光を生成する、従来の光線力学的治療の光源を用いる軟質の衣服を開示している。このような光源は重いため、デバイスは移動性ではなく、病院の使用に限られる。
【0013】
US5698866は過励振型無機LEDを用いた光源を開示している。得られた光の出力は均等ではない。ヒートシンクの仕組みを必要とし、デバイスは病院の治療のみに適する。
【0014】
WO93/21842は無機LEDを用いる光源を開示している。デバイスは可搬性であるが、患者が家庭で移動的に使用するのに適さず、臨床治療が想定される。
【0015】
上記で言及した分野における光の広範囲の適用に対する不可欠な必要条件はデバイスである。今日では市販のシステムは殆どがレーザーに基づくものである。しかし、これらのシステムは病院ベースの、すなわち据え置き型のデバイスである。費用を下げ、利便性およびコンプライアンスを上げるために、携帯型の家庭使用の技術が必要とされる。実際、いくつかの研究がこの方向につぎ込まれている。
【0016】
有機発光ダイオードには、本質的に軟質であり、例えばインクジェット印刷およびスクリーン印刷などの印刷技術によって広い面積上をコーティングすることができる点で、その無機の対応物(発光ダイオード−LED)を上回る利点が多くある。さらに、有機発光ダイオードは、LEDと比べてより均一な照射が可能である。
【0017】
Rochesterらは、GB24082092において、軟質の基体上に軟質の発光ダイオードを含むOLEDなどの軟質な医薬用の光源、ならびに結果として得られる、血液の特徴(例えば、CO、酸素、またはビリルビンのレベル)をモニタリングするための診断デバイスおよび病気を治療するための光線療法デバイスを開示した。
【0018】
Vogle KlausおよびKallert Heikoは、EP018180773において、皮膚を治療するためのデバイスを開示した。このデバイスは、光源として潜在的に軟質の有機発光ダイオード(OLED)を備えている。このデバイスは、衣服またはプラスターに組み入れることができる。
【0019】
Attiliら(Br.J.Dermatol.、161巻(1)、170〜173頁、2009年)は、非メラノーマ皮膚癌の治療において着用できる低照射量のOLEDを用いた移動式光線力学的治療(PDT)の、公開の臨床予備試験を発表し、OLED−PDTは従来のPDTよりも苦痛が少なく、軽量であるという付加的な利点があり、したがって家庭でのより便利なPDTに対する可能性があることを示唆している。
【0020】
Samuelらは、EP1444008B15において、治療上および/または美容上の治療において用いるための移動式デバイスを開示しており、デバイスはOLEDを備えており、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)が一例として用いられている。
【0021】
EP1444008は光線力学的療法の治療のためのOLEDを含むデバイスを開示している。
【0022】
しかし、最先端のOLEDは陰極としてBaおよびCaなどの活性金属を用いており、それゆえこれらは貯蔵および操作両方に関して許容できる寿命を確実にするための優れたカプセル化を必要とする。平坦な大面積のデバイスには好適なカプセル化がより重大である。これは、小面積における欠陥はデバイス全体の全体的な故障をもたらすためである。治療上および/または美容上の適用において、デバイスに必要とされる寿命は、表示の適用に必要とされる寿命に比べて、概ね、ずっと短い。したがって、容易に生成することができ、軟質であり、局所的な損傷に対して程度の差はあれ感受性の低い、OLEDをベースとするデバイスを見出すことが強く望まれている。
【0023】
軟質のファイバーのエレクトロルミネセンス光源は、例えば、US6074071、US5485355、およびUS5876863において記載されるように、当技術分野において知られている。化学発光ファイバーの光源も知られている。これらのデバイスは、これらを捻ってファイバー中に含まれている2つの化学物質をあわせると発光する。化学物質間の化学反応は、化学反応が数時間進行する間、光を生成する。しかし、これらの先行技術の化学発光ファイバーの光源は十分な明るさを欠いており、医薬上または美容上の使用に対する十分な必要要件を達成することができない。
【0024】
OLEDファイバーは、最近、US6538375 B1、US 2003/0099858において、およびBrenndan O’Connorら(Adv.Mater.、2007年、19巻、3897〜3900頁)によって記載されている。単一のOLEDファイバーおよび採光におけるその使用は記載されている。しかし、現在までに開示されているOLEDファイバーは、ディスプレイおよび一般的な光の応用を目的としたものであった。治療上的および美容上の適用におけるOLEDファイバーの開発はいまだに開示されていない。
【0025】
驚くべきことに、先行技術の問題を克服するためにOLEDファイバーを用いることができることが見出された。OLEDファイバーは、疾患および美容上の状態の治療および/または予防および/または診断のためのデバイスに用いることができる。ファイバーは、対象の治療のための軟質で、好ましくは可塑性または延性のデバイスの製造を促進する。波長は目的に応じて容易に変更することができ、対象の均一な照射が可能である。さらに、発光OLEDファイバーを用いることによって、特定の治療に必要とされる光の強度および波長(複数可)を、複数のファクターによって変更することができる。強度は、例えば、用いるファイバーの数(すなわち、ファイバーの密度)、これらのファイバーを処理加工し、または織る方法、および印加する電圧によって調節することができる。波長も、本発明内の他所で概略する通り容易に調節することができる。1つのファイバーが、様々な波長の放射ピークを有する複数のエミッターを含むことができる。ファイバーはまた、様々な放射ピークを有するエミッター物質を含む様々なセグメントを含むことができる。OLEDファイバーを含むデバイスの使用は、医薬および美容上の必要性の高い多くの疾患または状態を治療する新たな方法を提供する。
【0026】
本発明は、疾患および/または美容上の状態の治療および/または予防および/または診断のためのデバイスを製造するための、ホスト物質、発光物質(EM)、正孔注入物質(HIM)、正孔輸送物質(HTM)、正孔阻止物質(HBM)、電子注入物質(EIM)、電子輸送物質(ETM)、電子阻止物質(EBM)、励起子阻止物質(ExBM)、金属錯体、およびリン光物質から選択される機能物質の使用であって、デバイスが少なくとも1つの有機発光ファイバーを含むことを特徴とする使用に関する。
【0027】
ホスト物質から選択される機能物質が好ましい。発光物質(EM)から選択される機能物質がさらに好ましい。正孔注入物質(HIM)から選択される機能物質がさらに好ましい。正孔輸送物質(HTM)から選択される機能物質がさらに好ましい。正孔阻止物質(HBM)から選択される機能物質がさらに好ましい。電子注入物質(EIM)から選択される機能物質がさらに好ましい。電子輸送物質(ETM)から選択される機能物質がさらに好ましい。電子阻止物質(EBM)から選択される機能物質がさらに好ましい。励起子阻止物質(ExBM)から選択される機能物質がさらに好ましい。金属錯体から選択される機能物質がさらに好ましい。リン光物質から選択される機能物質がさらに好ましい。
【0028】
好ましい1つの態様において、機能物質という用語は有機機能物質を意味する。この用語は、有機伝導体、半導体、有機蛍光化合物、有機リン光化合物、遷移金属の有機金属錯体、希土類、ランタニド、およびアクチニドも意味する。
【0029】
発光物質の用語は、本発明内の他所で概略する通りエレクトロルミネセンス発光物質を意味することが好ましい。
【0030】
機能物質、特に有機機能物質は、小分子、ポリマー、オリゴマー、またはデンドリマー、これらのブレンドまたは混合物の群から選択することができる。
【0031】
本明細書で用いられる小分子という用語は、ポリマー、オリゴマー、デンドリマー、またはブレンドではない分子と定義される。特に、小分子中に繰返し構造は非存在である。小分子の分子量は、繰返し単位が少数であるポリマー、オリゴマー、またはそれ未満の範囲であるのが典型的である。
【0032】
小分子の分子量は好ましくは4000g/mol未満であり、特に好ましくは3000g/mol未満であり、極めて特に好ましくは2000/mol未満である。
【0033】
本発明のポリマーは、好ましくは10から10000の、特に好ましくは20から5000の、極めて特に好ましくは50から2000の繰返し単位を有する。本発明によるオリゴマーは、好ましくは2から9の繰返し単位を有する。ポリマーおよびオリゴマーの枝分れ指数は、0(分枝のない直鎖状ポリマー)から1(完全に分枝したデンドリマー)の間である。本明細書で用いられるデンドリマーという用語は、M.Fischerら、Angew.Chem.,Int.Ed.、1999年、38巻、885頁)によって規定されている。
【0034】
本発明のポリマーの分子量(MW)は、好ましくは10000g/molから2000000g/molの範囲、特に好ましくは100000g/molから1500000g/molの範囲、極めて特に好ましくは200000g/molから1000000g/molの範囲である。MWの決定は、当業者に知られている標準の技術にしたがって、例えば、ポリスチレンを内部標準としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いることによって行うことができる。
【0035】
ブレンドは、少なくとも1つのポリマーの、デンドリマーの、またはオリゴマーの成分を含んでいる混合物である。
【0036】
本発明による有機機能物質は、分子のフロンティア軌道、すなわち、最高被占分子軌道(HOMO)(価電子帯とも呼ばれることもある)および最低空分子軌道(LUMO)(伝導帯とも呼ばれることもある)によってしばしば特徴付けられる。HOMOおよびLUMOのレベルはルーチンで測定され(例えば、XPS=X線光電子分光法、UPS=紫外光電子分光法、またはCV=シクロボルタンメトリー(cyclovoltammetry))、または当業者には知られている((時間依存性)DFT=密度の関数理論などの量子化学的方法によって)計算される。当業者であれば、これらのエネルギーレベルの絶対値は用いる方法に著しく依存するという事実にやはり気づいている。有機機能物質のHOMOおよびLUMOのエネルギーレベルの信頼できる比較には、同じ測定方法または計算方法の使用が必要とされる。本出願者らは、有機半導体のエネルギーレベルを決定するための一貫した組合せ方法を確立した。1セットの半導体(20を超える異なる半導体)のHOMO/LUMOレベルを、CVによって信頼できる評価方法で測定し、Gaussian03WのDFTによって同じ補正関数でやはり計算する(例えば、B3PW91および同じベースのセット、例えば、6−31G(d))。次いで、計算値を、測定値にしたがって較正する。このような較正ファクターをさらなる計算に用いる。計算値と測定値との間の一致は極めて良好である。したがって、本発明のエネルギーレベルの比較をサウンドベース(sound base)上に設定する。エネルギーギャップまたはバンドギャップを、HOMOとLUMOとの間エネルギーレベルの差によって得る。
【0037】
有機機能物質は正孔注入物質(HIM)から選択することができる。HIMは、陽極から有機層中に注入された孔(すなわち、正荷電)を促進することができる物質または単位を意味する。HIMが、陽極の仕事関数に匹敵し、またはそれより高いHOMOレベル、すなわち−5.3eV以上を有するのが典型的である。
【0038】
有機機能物質は正孔輸送物質(HTM)から選択することができる。HTMは、正孔注入物質または陽極から注入された孔(すなわち、正荷電)を輸送することができる物質または単位であることを特徴とする。HTMは通常高いHOMOを有し、典型的には−5.4eVを超える。多くの場合において、隣接する層に応じて、HIMがHTMとしても機能することができる。
【0039】
有機機能物質は正孔阻止物質(HBM)から選択することができる。HBMは、多層構造における放射層または正孔輸送層に隣接して沈着する場合、孔がそれを通して流れるのを防ぐ物質を意味する。通常、HBMは、隣接層におけるHTMのHOMOレベルに比べると低いHOMOを有する。正孔阻止層は、OLEDにおける発光層と電子輸送層との間に頻繁に挿入される。
【0040】
有機機能物質は電子注入物質(EIM)から選択することができる。EIMは、陰極から有機層中に注入された電子(すなわち、負電荷)を促進することができる物質を意味する。EIMは、通常、陰極の仕事関数に匹敵し、またはそれより低いLUMOレベルを有する。EIMが−2.6eV未満のLUMOを有するのが典型的である。
【0041】
有機機能物質は電子輸送物質(ETM)から選択することができる。ETMは、EIMまたは陰極から注入された電子(すなわち、負電荷)を輸送することができる物質を意味する。ETMは、通常、低いLUMOを有し、典型的には−2.7eV未満である。多くの場合において、EIMは、隣接層に応じて、ETMとしても働くことができる。
【0042】
有機機能物質は電子阻止物質(EBM)から選択することができる。EBMは、多層構造における放射層または電子輸送層に隣接して沈着した場合、電子がそれを通して流れることを防ぐ物質を意味する。通常、EBMは、隣接層におけるETMのLUMOに比べて高いLUMOを有する。
【0043】
有機機能物質は励起子阻止物質(ExBM)から選択することができる。ExBMは、多層構造における放射層に隣接して沈着した場合、励起子がそれを通して拡散することを防ぐ物質を意味する。ExBMは、放射層または他の隣接層に比べて高い三重項準位または一重項準位のいずれかを有さなければならない。
【0044】
有機機能物質はエミッターから選択することができる。エミッターという用語は、他の物質からの任意の種類のエネルギー輸送によって、または電気的もしくは光学的いずれかで励起子を形成することによって励起子のエネルギーを受け取ったときに、放射崩壊を経験して発光する物質を意味する。エミッターには、蛍光エミッターおよびリン光エミッターの2つのクラスが存在する。蛍光エミッターという用語は、励起一重項状態からその基底状態への放射遷移を受ける物質または化合物に関する。本明細書で用いられるリン光エミッターという用語は、遷移金属を含むルミネセンスの物質または化合物に関する。これには、スピン禁制遷移(複数可)、例えば、励起三重項状態からの遷移によって引き起こされる発光する物質が含まれるのが典型的である。
【0045】
本明細書で用いられるドーパントという用語は、エミッターまたはエミッター物質という用語に対してやはり用いられる。
【0046】
有機機能物質はホスト物質から選択することができる。ホスト物質は、通常エミッターとの組合せにおいて用いられ、一般的に、エミッター物質に比べてHOMOとLUMOとの間の大きなエネルギーギャップを有する。さらに、ホスト物質は、電子または正孔輸送物質のいずれかとして機能する。ホスト物質は、電子および正孔輸送の性質の両方を有することもできる。一重項転移が主にOLEDにおけるルミネセンスを担う場合、エミッターの吸収スペクトル間の、ホスト物質の光ルミネセンススペクトルとの最大の重複が望ましい。これにより、ホスト物質からエミッターへのエネルギー輸送が確実になる。
【0047】
ホスト物質は、特にホストがリン光エミッターとの組合せにおいて用いられるものを意味する場合、マトリックスまたはマトリックス物質とも呼ばれる。エミッター単位を含む共重合体の場合、ポリマーのバックボーンがホストとして働く。
【0048】
有機機能物質は金属錯体から選択することができる。量子力学によると、高スピン多重度を有する励起状態から、例えば、励起三重項状態から基底状態への遷移は禁止されている。
【0049】
しかし、イリジウム、オスミウム、白金、およびユーロピウムなどの重原子の存在は、強力なスピン−軌道結合をもたらし、すなわち、三重項がいくつかの一重項の特性を得るように励起一重項と三重項とが混合され、一重項−三重項の混合が無放射のイベントよりも速い放射崩壊速度をもたらす場合、輝度が効率的であり得る。この種の放射は、Baldoら、Nature、395巻、151〜54頁(1998年)によって最初に報告された通り、金属錯体を用いて達成することができる。
【0050】
さらに本明細書の他所で言及するHIMに対して、適切なHIMは、フェニレンジアミン誘導体(US 3615404)、アリールアミン誘導体(US 3567450)、アミノ置換したカルコン誘導体(US 3526501)、スチリルアントラセン誘導体(JP昭和54(1979)110837)、ヒドラゾン誘導体(US 3717462)、アシルヒドラゾン、スチルベン誘導体(JP昭和61(1986)210363)、シラザン誘導体(US 4950950)、ポリシラン化合物(JP平成2(1990)204996)、PVKおよび他の導電性巨大分子、アニリンベースの共重合体(JP平成2(1990)282263)、導電性、巨大分子のチオフェンオリゴマー(JP平成1(1989)211399)、PEDOT:PSS(スピンコートしたポリマー(spin−coated polymer))、プラズマ沈着したフルオロカーボンポリマー(US6127004、US6208075、US6208077)、ポルフィリン化合物(JP昭和63(1988)2956965、US4720432)、芳香族三級アミンおよびスチリルアミン(US4127412)、ベンジジン型のトリフェニルアミン、スチリルアミン型のトリフェニルアミン、およびジアミン型のトリフェニルアミンである。フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、またはブタジエン誘導体を用いることができるのと同じく、アリールアミンデンドリマーも用いることができ、これもまた適切である(JP平成8(1996)193191)。
【0051】
HIMが、アミン、トリアリールアミン、チオフェン、カルバゾール、フタロシアニン、ポルフィリン、およびこれらの誘導体を含むモノマーの有機化合物から選択されるのが好ましい。
【0052】
三級芳香族アミン(US2008/0102311 A1)、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−トリル)ベンジジン(=4,4’−ビス[N−3−メチルフェニル]−N−フェニルアミノ)ビフェニル(NPD)(US5061569)、N,N’−ビス(N,N’−ジフェニル−4−アミノフェニル)−N,N−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD232)および4,4’,4’’−トリス[3−メチルフェニル)−フェニルアミノ]−トリフェニルアミン(MTDATA)(JP平成4(1992)308688)またはフタロシアニン誘導体(例えば、H2Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc)が特に好ましい。
【0053】
やはり置換されていてよい下記の式1(TPD232)、2、3、および4のトリアミン化合物、ならびにUS7399537B2、US2006/0061265A1、EP1661888A1、およびJP08292586Aに開示されているさらなる化合物が特に好ましい。
【0054】
正孔注入物質として適するさらなる化合物は、EP0891121A1およびEP1029909A1に開示されている。正孔注入層は一般的に、US2004/0174116に記載されている。
【化1】
【0055】
原則的に、当業者には知られている任意のHTMを、本発明による構築において用いることができる。さらに、本明細書の他所で言及するHTMに対して、HTMは、アミン、トリアリールアミン、チオフェン、カルバゾール、フタロシアニン、ポルフィリン、これらの異性体、および誘導体から選択されるのが好ましい。HTMが、アミン、トリアリールアミン、チオフェン、カルバゾール、フタロシアニン、およびポルフィリンから選択されるのが特に好ましい。
【0056】
好ましくは、本発明によるデバイスまたは組成物の層が、3つ、特に好ましくは2つ、極めて特に好ましくは1つのHTMを含む。
【0057】
正孔輸送層に適する物質は、フェニレンジアミン誘導体(US3615404)、アリールアミン誘導体(US3567450)、アミノ置換カルコン誘導体(US3526501)、スチリルアントラセン誘導体(JP A 56−46234)、多環芳香族化合物(EP1009041)、ポリアリールアルカン誘導体(US3615402)、フルオレノン誘導体(JP A 54−110837)、ヒドラゾン誘導体(US3717462)、スチルベン誘導体(JP A 61−210363)、シラザン誘導体(US4950950)、ポリシラン(JP A 2−204996)、アニリン共重合体(JP A 2−282263)、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン、PVK、ポリピロール、ポリアニリン、およびさらなる共重合体、ポルフィリン化合物(JP A 63−2956965)、芳香族ジメチリデン型化合物、カルバゾール化合物、例えば、CDBP、CBP、mCP、芳香族三級アミンおよびスチリルアミン化合物(US4127412)、および単量体のトリアリールアミン(US3180730)である。さらに、トリアリールアミノ基が分子中に存在してもよい。
【0058】
少なくとも2つの三級アミン単位を含む芳香族三級アミン(US4720432およびUS5061569)、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPD)(US5061569)またはMTDATA(JP A 4−308688)、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニル)ジアミノビフェニレン(TBDB)、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン(TAPC)、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−3−フェニルプロパン(TAPPP)、1,4−ビス[2−[4−[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]ビニル]ベンゼン(BDTAPVB)、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル(TTB)、TPD、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’’’−ジアミノ−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クアテルフェニル、同様にカルバゾール単位を含む三級アミン、例えば、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−N,N−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ベンゼンアミン(TCTA)が好ましい。同様に、US2007/0092755 A1によるヘキサアザトリフェニレン化合物が好ましい。
【0059】
置換されていてもよく、EP1162193 A1 、EP650955 A1、Synth.Metals、1997年、91巻(1〜3)、209頁、DE19646119 A1、WO 2006/122630 A1、EP1860097 A1、EP1834945 A1、JP08053397 A、US6251531 B1、およびWO2009/041635に開示されている、以下の式5から10のトリアリールアミン化合物が特に好ましい。
【化2】
【0060】
原則的に、当業者に知られている任意のHBMを、本発明にしたがって用いることができる。さらに本明細書の他所に言及したHBMに対して、適切な正孔阻止物質は、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラート)−アルミニウム(III)(BAIQ)などの金属錯体(US2003/0068528)である。Fac−トリス(1−フェニルピラゾラート(phenylpyrazolato)−N,C2)イリジウム(lll)(Ir(ppz)
3)も、この目的で同様に用いられる(US2003/0175553 A1)。BCPなどのフェナントロリン誘導体、またはTMPPなどのフタルイミドが同様に用いられる。
【0061】
さらに、適切な正孔阻止物質は、WO00/70655 A2、WO01/41512、およびWO01/93642 A1に記載されている。
【0062】
原則的に、当業者には知られている任意のEIMを、本発明にしたがって用いることができる。さらに本明細書の他所で言及したEIMに対して、8−ヒドロキシキノリン、複素環有機化合物、フルオレノン、フルオレニリデンメタン、ペリレンテトラカルボン酸、アントラキノンジメタン、ジフェノキノン、アンスロン、アントラキノンジエチレン−ジアミン、これらの異性体、および誘導体の金属錯体から選択される少なくとも1つの有機化合物を含む、本明細書の他所の適切なEIMを、本発明にしたがって用いることができる。
【0063】
例えば、Alq
3およびGaq
3などの、8ヒドロキシキノリンの金属錯体を、電子−注入層用のEIMとして用いることができる。陰極に対するインターフェースの、例えば、Li、Cs、Ca、またはMgなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属との還元性ドーピングが有利である。Csを含む組合せ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとが好ましい。
【0064】
複素環有機化合物、例えば、1,10−フェナントロリン誘導体、ベンズイミダゾール、チオピランジオキシド、オキサゾール、トリアゾール、イミダゾール、またはオキサジアゾールが同様に適切である。適切な含窒素5員環の例は、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、およびUS2008/0102311 A1に開示されている化合物である。
【0065】
好ましいEIMは、置換されていても、または無置換でもよい、式11から式13を有する化合物から選択される。
【化3】
【0066】
有機化合物、例えば、フルオレノン、フルオレニリデンメタン、ペリレンテトラカルボン酸、アントラキノンジメタン、ジフェノキノン、アントロン、およびアントラキノンジエチレンジアミンを使用することができ、例えば、次の化合物を使用することができる。
【化4】
【0067】
原則的に、当業者に知られている任意のETMが、本発明にしたがって用いることができる。さらに、本明細書の他所で言及するETMに対して、適切なETMは、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン(chinoline)、キノキサリン(chinoxaline)、アントラセン、ベンズアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンズイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフィンオキシド、フェナジン、フェナントロリン、トリアリールボラン、これらの異性体、および誘導体からなる群から選択される。
【0068】
さらに適切なETMは、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、アントラセン、ベンズアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンズイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフィンオキシド、フェナジン、フェナントロリン、およびトリアリールボランから選択される。本発明によるデバイスまたは組成物の層は、好ましくは3つ、特に好ましくは2つ、極めて特に好ましくは1つのETMを含む。
【0069】
電子輸送層にさらに適するETMは、8−ヒドロキシキノリンの金属キレート(例えば、Liq、Alq
3、Gaq
3、Mgq
2、Znq
2、Inq
3、Zrq
4)、Balq、4アザフェナントレン−5−オール/Be錯体(US5529853A、例えば、式16)、ブタジエン誘導体(US4356429)、複素環蛍光増白剤(US4539507)、ベンザゾール、例えば、1,3,5−トリス(2−N−フェニルベンズイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)(US5766779、式17)、1,3,5−トリアジン、ピレン、アントラセン、テトラセン、フルオレン、スピロビフルオレン、デンドリマー、テトラセン、例えば、ルブレン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体(JP2003/115387、JP2004/311184、JP2001/267080、WO2002/043449)、シルアシルシクロペンタジエン(silacyl−cyclopentadiene)誘導体(EP1480280、EP1478032、EP1469533)、ピリジン誘導体(JP2004/200162 Kodak)、フェナントロリン、例えば、BCPおよびBphen、またビフェニルもしくは他の芳香族基によって結合している数々のフェナントロリン(US2007/0252517 A1)、またはアントラセンに結合しているフェナントロリン(US2007/0122656 A1、例えば、式18および式19)、1,3,4−オキサジアゾール、例えば、式20、トリアゾール、例えば、式21、トリアリールボラン、例えば、Siを有するもの(例えば、式48)、ベンズイミダゾール誘導体、および他のN複素環化合物(US2007/0273272 A1を参照されたい)、シルアシクロペンタジエン(Silacyclopentadiene)誘導体、ボラン誘導体、Gaオキシノイド錯体である。
【0070】
2,9,10−置換アントラセン(1−もしくは2−ナフチルおよび4−もしくは3−ビフェニルを有する)、またはアントラセン単位を2個含んでいる分子が好ましい(US2008.0193796 A1)。
【化5】
【0071】
同様に、アントラセン−ベンズイミダゾール誘導体、例えば、式22から式24の化合物、および、例えば、US6878469 B2、US2006/147747 A、およびEP1551206 A1に開示されているものが好ましい。
【化6】
【0072】
原則的に、当業者には知られている任意のEBMを、本発明にしたがって用いることができる。さらに、本明細書の他所で言及したEBMに対して、遷移金属錯体、例えばIr(ppz)
3(US2003/0175553)を電子阻止層用の物質として用いることができる。
【0073】
EBMが、アミン、トリアリールアミン、カルバゾール、インドールカルバゾール、およびこれらの誘導体からさらに選択されるのが好ましい。
【0074】
当業者には、本発明にしたがって用いるのに適するExBMの選択は、隣接層のエネルギーギャップに依存することが知られている。適切なExBMは、好ましくは放射層である隣接層における機能物質よりも一重項または三重項のいずれかである、より大きなエネルギーギャップを有すると想定される。さらに、本明細書の他所で言及するExBMに対して、置換されているトリアリールアミン、例えば、MTDATA、または4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)を、電子阻止層に対するExBMとして用いることができる。置換されているトリアリールアミンは、例えば、US2007/0134514 A1に記載されている。
【0075】
TCTAなどのN−置換されているカルバゾール化合物、またはBCPなどの複素環も適切である。
【0076】
Ir(ppz)
3またはAlq
3などの金属錯体も、同様にこの目的に用いることができる。
【0077】
原則的に、当業者には知られている任意のホスト物質を、本発明にしたがって用いることができる。用いるエミッターの種類に応じて、ホスト物質を、蛍光エミッター用のホスト、およびリン光エミッター用のホストの2つのカテゴリーに分けることができ、後者はしばしばマトリックスまたはマトリックス物質と呼ばれる。
【0078】
アントラセン、ベンズアントラセン、インデノフルオレン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、デヒドロフェナントレン、チオフェン、トリアジン、イミダゾール、ケトン、カルバゾール、トリアリールアミン、およびこれらの誘導体から選択されるホスト物質が好ましい。
【0079】
アントラセン、ベンズアントラセン、インデノフルオレン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、デヒドロフェナントレン、チオフェン、トリアジン、イミダゾール、ケトン、カルバゾール、インドロカルバゾール、およびトリアリールアミンから選択されるホスト物質が特に好ましい。
【0080】
OLEDまたは本発明による組成物の層は、1つを超えるホスト物質を含むこともでき、好ましくは3つのホスト物質を、特に好ましくは2つのホスト物質を、極めて特に好ましくは1つのホスト物質を含む。OLEDまたは本発明による組成物の層が、少なくとも2つのホスト物質を含む場合、ホスト物質は、コ−ホスト(co−host)またはコ−ホスト物質とも呼ばれる。
【0081】
蛍光エミッターに適する好ましいホスト物質は、アントラセン、ベンズアントラセン、インデノフルオレン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、デヒドロフェナントレン、チオフェン、トリアジン、イミダゾール、およびこれらの誘導体から選択される。
【0082】
蛍光エミッターに適する好ましいホスト物質は、アントラセン、ベンズアントラセン、インデノフルオレン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、デヒドロフェナントレン、チオフェン、トリアジン、およびイミダゾールから選択される。
【0083】
蛍光エミッターに特に好ましいホスト物質は、オリゴアリーレン(例えば、ep676461による2,2’,7,7’−テトラフェニルスピロビフルオレン、またはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含んでいるオリゴアリーレン、例えば、フェナントレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレン、スピロフルオレン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、デカシクレン、ルブレン、オリゴアリーレンビニレン(例えば、ep676461による、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルエテニル)−1,1’−ビフェニル(dpvbI)または4,4−ビス−2,2−ジフェニルビニル−1,1−スピロビフェニル(スピロ−dpvbI))、ポリポダル(POLYPODAL)金属錯体(例えば、wo2004/081017による)、特に、8ヒドロキシキノリンの金属錯体、例えば、アルミニウム(iii)トリス(8−ヒドロキシキノリン)(アルミニウムキノレート、aLQ
3)またはビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノリノラト(PHENYLPHENOLINOLATO))アルミニウム、またイミダゾールキレート(us2007/0092753 a1)、およびキノリン−金属錯体、アミノキノリン−金属錯体、ベンゾキノリン−金属錯体、孔伝導性化合物(例えば、wo2004/058911による)、電子伝導性化合物、特に、ケトン、ホスフィン、オキシド、スルホキシドなど(例えば、wo2005/084081およびwo2005/084082による)、アトロプ異性体(例えば、wo2006/048268による)、ボロン酸誘導体(例えば、wo2006/117052による)、またはベンズアントラセン(例えば、de 102007024850)のクラスから選択される。特に好ましいホスト物質は、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、および/またはピレンを含むオリゴアリーレンのクラス、あるいはこれらの化合物のアトロプ異性体、ケトン、ホスフィン、オキシド、およびスルホキシドから選択される。極めて特に好ましいホスト物質は、アントラセン、ベンズアントラセン、および/またはピレンを含むオリゴアリーレンのクラス、あるいはこれらの化合物のアトロプ異性体から選択される。本発明の目的では、オリゴアリーレンが、少なくとも3つのアリール基またはアリーレン基が相互に結合している化合物を意味すると理解されることが意図される。
【0084】
蛍光エミッターにさらに好ましいホスト物質は、特に、式25の化合物から選択され、
【化7】
【0085】
式中、
Ar
4、Ar
5、Ar
6は、各事象において、同一にまたは異なって、芳香環原子5個から30個を有するアリールまたはヘテロアリール基(これらは、1以上の基によって置換されていてよい)であり、
pは、1、2、または3であり、
Ar
4、Ar
5、およびAr
6におけるπ電子の和は、p=1の場合は少なくとも30であり、p=2の場合は少なくとも36であり、p=3の場合は少なくとも42である。
【0086】
式25のホスト物質において、Ar
5基に対してアントラセン(これは1以上のR
1基によって置換されていてよい)を意味し、Ar
4基およびAr
6基に対して9位および10位において結合しているのが特に好ましい。少なくとも1つのAr
4基および/またはAr
6基が、1−もしくは2−ナフチル、2−、3−、もしくは9−フェナントレニル、または2−、3−、4−、5−、6−、もしくは7−ベンズアントラセニル(これらの各々は1以上の基R
1によって置換されていてよい)から選択される縮合アリール基であることが極めて特に好ましい。アントラセンベースの化合物は、US2007/0092753 A1およびUS2007/0252517 A1に記載されており、例えば、2−(4−メチルフェニル)−9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン、9−(2−ナフチル)−10−(1,1’−ビフェニル)アントラセン、および9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、および1,4−ビス(9’−エチニルアントラセニル)ベンゼンである。アントラセン単位2個を含んでいるホスト物質(US2008/0193796 A1)、例えば、10,10’−ビス[1,1’,4’,1’’]テルフェニル−2−イル−9,9’−ビスアントラセニルも好ましい。
【0087】
さらなる好ましいホスト物質は、アリールアミンの誘導体、スチリルアミンの誘導体、フルオレセインの誘導体、ペリノンの誘導体、フタロペリノンの誘導体、ナフタロペリノンの誘導体、ジフェニルブタジエンの誘導体、テトラフェニルブタジエンの誘導体、シクロペンタジエンの誘導体、テトラフェニルシクロペンタジエンの誘導体、ペンタフェニルシクロペンタジエンの誘導体、クマリンの誘導体、オキサジアゾールの誘導体、ビスベンズオキサゾリンの誘導体、オキサゾンの誘導体、ピリジンの誘導体、ピラジンの誘導体、イミンの誘導体、ベンゾチアゾールの誘導体、ベンズオキサゾールの誘導体、ベンズイミダゾールの誘導体(US2007/0092753 A1)、例えば、2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレン)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール]、アルダジンの誘導体、スチルベンの誘導体、スチリルアリーレン誘導体の誘導体、例えば、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセン、およびジスチリルアリーレン誘導体(US 5121029)の誘導体、ジフェニルエチレンの誘導体、ビニルアントラセンの誘導体、ジアミノカルバゾールの誘導体、ピランの誘導体、チオピランの誘導体、ジケトピロロピロールの誘導体、ポリメチンの誘導体、メロシアニンの誘導体、アクリドンの誘導体、キナクリドンの誘導体、ケイ皮酸エステルの誘導体、および蛍光色素の誘導体である。
【0088】
アリールアミンおよびスチリルアミンの誘導体、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル(TNB)が特に好ましい。
【0089】
蛍光エミッターに対するホストとしてオリゴアリーレンとの好ましい化合物は、例えば、US2003/0027016 A1、US7326371 B2、US2006/043858 A、US7326371 B2、US2003/0027016 A1、WO2007/114358、WO2008/145239、JP3148176 B2、EP1009044、US2004/018383、WO2005/061656 A1、EP0681019B1、WO2004/013073A1、US5077142、WO2007/065678、およびUS2007/0205412 A1に開示されている化合物である。特に好ましいオリゴアリーレンベースの化合物は、式26から式32を有する化合物である。
【化8】
【0090】
蛍光エミッターのためのさらなるホスト物質は、スピロビフルオレンおよびその誘導体、例えば、EP0676461に開示されているスピロ−DPVBi、およびUS6562485に開示されているインデノフルオレンから選択することができる。
【0091】
リン光エミッター、すなわちマトリックス物質に好ましいホスト物質は、ケトン、カルバゾール、インドロカルバゾール、トリアリールアミン、インデノフルオレン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナトレン(phenathrene)、デヒドロフェナントレン、チオフェン、トリアジン、イミダゾール、およびこれらの誘導体から選択される。いくつかの好ましい誘導体を、以下により詳しく記載する。
【0092】
例えば、有機発光ダイオード(OLED)におけるエレクトロルミネセンス化合物としてリン光エミッターを用いる場合、ホスト物質は、蛍光エミッターに用いられるホスト物質に比べて多少異なる特徴を満たさなければならない。リン光エミッターに用いられるホスト物質は、エミッターの三重項準位に比べてエネルギーが高い三重項準位を有することが必要とされる。ホスト物質は、電子または孔またはその両方のいずれかを輸送することができる。さらに、エミッターは、一重項−三重項の混合を十分に促進するために、大きなスピン−軌道カップリング定数を有することが想定される。これは金属錯体の使用によって可能になり得る。
【0093】
好ましいマトリックス物質は、N,N−ビスカルバゾリルビフェニル(CBP)、カルバゾール誘導体(例えば、WO2005/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527、またはDE102007002714による)、アザカルバゾール(例えば、EP 1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160による)、ケトン(例えば、WO2004/093207による)、ホスフィンオキシド、スルホキシド、およびスルホン(例えば、WO2005/003253による)、オリゴフェニレン、芳香族アミン(例えば、US2005/0069729による)、双極性マトリックス物質(例えば、WO2007/137725による)、シラン(例えば、WO2005/111172による)、9,9−ジアリールフルオレン誘導体(例えば、DE102008017591による)、アザボロール、またはボロン酸エステル(例えば、WO2006/117052による)、トリアゾール誘導体、オキサゾール、およびオキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フェニレンジアミン誘導体、三級芳香族アミン、スチリルアミン、インドール、アンスロン誘導体、フルオレノン誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン化合物、カルボジイミド誘導体、ジフェニルキノン誘導体、フタロシアニン誘導体、8ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体、例えば、Alq
3であり、8ヒドロキシキノリン錯体は、トリアリールアミノフェノールリガンド(US2007/0134514 A1)、金属フタロシアニンとの様々な金属錯体−ポリスチレン化合物、リガンドとしてベンズオキサゾールまたはベンゾチアゾール、孔伝導性ポリマー、例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体も含むことができる。
【0094】
さらなる特に好ましいマトリックス物質は、例えば、DE102009023155.2、EP0906947 B1、EP0908787 B1、EP906948 B1、WO2008/056746 A1、WO2007/063754 A1、WO2008/146839 A1、およびWO2008/149691 A1に開示されている通り、インドロカルバゾールおよびその誘導体(例えば、式33から式39)を含む化合物から選択される。
【化9】
【0095】
好ましいカルバゾール誘導体の例には、1,3−N,N−ジカルバゾールベンゼン(=9,9’−(1,3−フェニレン)ビス−9H−カルバゾール)(mCP)、9,9’−(2,2’−ジメチル[1,1’,−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス−9H−カルバゾール(CDBP)、1,3−ビス(N,N’−ジカルバゾール)ベンゼン(=1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン)、PVK(ポリビニルカルバゾール)、3,5−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル、および式40から式44の化合物がある。
【化10】
【0096】
好ましいSiテトラアリール化合物は、例えば、(US2004/0209115、US2004/0209116、US2007/0087219 A1、US2007/0087219 A1)式45から式50の化合物である。
【化11】
【0097】
リン光ドーパントに特に好ましいマトリックスは、式51の化合物である(EP652273 B1)。
【化12】
【0098】
リン光ドーパントにさらに特に好ましいマトリックス物質は、一般式52の化合物から選択され(EP1923448 A1)、
【化13】
【0099】
式中、M、L、およびnは、参照において定義される通りである。MがZnであり、Lがキノリナート(quinolinate)であり、nが2、3、または4であることが好ましい。[Znq
2]
2、[Znq
2]
3、および[Znq
2]
4が極めて特に好ましい。
【0100】
金属オキシノイド錯体から選択されるコ−ホストが好ましく、リチウムキノレート(Liq)またはAlq
3が特に好ましい。
【0101】
エミッター化合物は、ホスト化合物に比べて小さいバンドギャップを有することが必要とされる。一般的に、共役分子系のπ電子系を伸長させることによってより小さいバンドギャップを実現することができる。それゆえ、エミッター化合物は、ホスト分子よりも伸長したコンジュゲートπ電子系を有する傾向がある。JP 2913116BおよびWO2001/021729 A1に開示されているスチリルアミン誘導体、ならびにWO2008/006449およびWO2007/140847に開示されているインデノフルオレン誘導体など、多くの例が公開されている。
【0102】
好ましくは、本発明によるデバイスまたは組成物の層は、3つの、特に好ましくは2つの、極めて特に好ましくは1つのエミッター物質を含む。1つを超えるエミッター物質を用いる場合、フェルスターエネルギー伝達を促進するために、1つのエミッター物質の放射スペクトルは別のエミッター物質の吸収スペクトルと重複する。
【0103】
好ましくは、本発明による化合物は、一重項エミッター(複数可)の場合、放射層の全質量に対して、0.1重量%から20重量%の間の、好ましくは0.5重量%から15重量%の間の、特に好ましくは1重量%から10重量%の間の、極めて特に好ましくは1重量%から8重量%の間の範囲の濃度の1以上のエミッター物質を含み;リン光体エミッター(複数可)の場合、放射層の全質量に対して、0.1重量%から30重量%の間の、好ましくは1重量%から20重量%の間の、特に好ましくは5重量%から20重量%の間の、極めて特に好ましくは10重量%から20重量%の間の範囲の濃度の1以上のエミッター物質を含む。
【0104】
本発明によるデバイスまたは組成物が2つのエミッター物質を含むことが好ましい。両方のエミッター物質がリン光エミッター物質から選択されることが特に好ましい。両方のエミッター物質が蛍光エミッター物質から選択されることが特に好ましい。
【0105】
青色蛍光エミッターが、多環芳香族化合物、例えば、9,10−ジ(2−ナフチルアントラセン)および他のアントラセン誘導体、テトラセンの誘導体、キサンテンの誘導体、ペリレンの誘導体、例えば、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、フェニレンの誘導体、例えば、4,4’−(ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル、フルオレンの誘導体、アリールピレンの誘導体(US 2006/0222886)、アリーレンビニレンの誘導体(US 5121029、US 5130603)、ルブレンの誘導体、クマリンの誘導体、ローダミンの誘導体、キナクリドンの誘導体、例えば、Ν,Ν’−ジメチルキナクリドン(DMQA)、ジシアノメチレンピランの誘導体、例えば、4(ジシアノエチレン)−6−(4−ジメチルアミノスチリル−2−メチル)−4H−ピラン(DCM)、チオピラン、ポリメチン、ピリリウムおよびチアピリリウム塩、ペリフランテン、インデノペリレン、ビス(アジニル)イミン−ボロン化合物(US 2007/0092753 A1)、ビス(アジニル)メテン化合物、ならびにカルボスチリル化合物であることが好ましい。
【0106】
さらに好ましい青色蛍光エミッターは、C.H.Chenら、「Recent developments in organic electroluminescent materials」、Macromol.Symp.、125巻(1997年)、1〜48頁、および「Recent progress of molecular organic electroluminescent materials and devices」、Mat.Sci.and Eng.R、39巻(2002年)、143〜222頁に記載されている。
【0107】
本発明による好ましい蛍光ドーパントは、モノスチリルアミン、ジスチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン、スチリルホスフィン、スチリルエーテル、およびアリールアミンのクラスから選択される。
【0108】
モノスチリルアミンは、1つの置換または無置換のスチリル基、および少なくとも1つの好ましくは芳香族の、アミンを含む化合物を意味すると理解される。ジスチリルアミンは、2つの置換または無置換のスチリル基および少なくとも1つの、好ましくは芳香族の、アミンを含む化合物を意味すると理解される。トリスチリルアミンは、3つの置換または無置換のスチリル基および少なくとも1つの、好ましくは芳香族の、アミンを含む化合物を意味すると理解される。テトラスチリルアミンは、4つの置換または無置換のスチリル基および少なくとも1つの、好ましくは芳香族の、アミンを含む化合物を意味すると理解される。スチリル基が、さらに置換されていてもよいスチルベンであるのが特に好ましい。対応するホスフィンおよびエーテルは、アミンに同様に定義される。本発明の目的では、アリールアミンまたは芳香族アミンは、窒素に直接結合している、置換または無置換の芳香族環系または芳香族複素環系を3つ含んでいる化合物を意味すると理解される。これらの芳香族環系または芳香族複素環系の少なくとも1つが縮合環系であるのが好ましく、少なくとも14個の芳香族環原子を有するのが好ましい。この好ましい例には、芳香族アントラセン−アミン、芳香族アントラセン−ジアミン、芳香族ピレン−アミン、芳香族ピレン−ジアミン、芳香族クリセン−アミン、および芳香族クリセン−ジアミンがある。芳香族アントラセンアミンは、1つのジアリールアミノ基が、好ましくは9位で、アントラセン基に直接結合している化合物を意味すると理解される。芳香族アントラセン−ジアミンは、2つのジアリールアミノ基が、好ましくは9、10位でアントラセン基に直接結合している化合物を意味すると理解される。芳香族ピレン−アミン、ピレン−ジアミン、クリセン−アミン、およびクリセン−ジアミンは、ピレン上のジアリールアミノ基が好ましくは1位または1、6位で結合している化合物と同様に定義される。
【0109】
さらに好ましい蛍光ドーパントは、例えば、WO2006/122630にしたがって、インデノフルオレン−アミンおよびインデノフルオレン−ジアミンから、例えば、WO2008/006449にしたがって、ベンゾインデノフルオレン−アミンおよびベンゾインデノフルオレン−ジアミンから、例えば、WO2007/140847にしたがって、ジベンゾインデノフルオレン−アミンおよびジベンゾインデノフルオレン−ジアミンから選択される。
【0110】
スチリルアミンのクラスからのドーパントの例には置換または無置換のトリスチルベン−アミン、またはWO2006/000388、WO2006/058737、WO2006/000389、WO2007/065549、およびWO2007/115610に記載されているドーパントがある。ジスチリルベンゼンおよびジスチリルビフェニル誘導体は、US 5121029に記載されている。さらなるスチリルアミンはUS2007/0122656 A1に見出される。
【0111】
特に好ましいスチリルアミンドーパントおよびトリアリールアミンドーパントは、式53から式58の化合物、およびUS7250532 B2、DE102005058557 A1、CN1583691 A、JP08053397 A、US6251531 B1、およびUS2006/210830 Aに開示されている通りである。
【化14】
【0112】
さらに好ましい蛍光ドーパントは、EP1957606 A1およびUS2008/0113101 A1に開示されているトリアリールアミンの群から選択される。
【0113】
さらに好ましい蛍光ドーパントは、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、フルオレン、ペリフランテン、インデノペリレン、フェナントレン、ペリレン(US2007/0252517 A1)、ピレン、クリセン、デカサイクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、フルオレン、スピロフルオレン、ルブレン、クマリン(US4769292、US6020078、US2007/0252517 A1)、ピラン、オキサゾン、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、ピラジン、ケイ皮酸エステル、ジケトピロロピロール、アクリドン、およびキナクリドン(US2007/0252517 A1)の誘導体から選択される。
【0114】
アントラセン化合物の中では、例えば、9,10−ジフェニルアントラセン、および9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセンなどの9,10−置換アントラセンが特に好ましい。1,4−ビス(9’−エチニルアントラセニル)ベンゼンも好ましいドーパントである。
【0115】
リン光エミッターの例は、WO00/70655、WO01/41512、WO02/02714、WO02/15645、EP1191613、EP119161.2、EP1191614、およびWO2005/033244の出願によって明らかにされている。一般的に、リン光OLEDに対する先行技術にしたがって用いられ、有機エレクトロルミネセンスの分野の技術者によって知られている全てのリン光複合体が適切であり、当業者であれば進歩性なしにさらなるリン光複合体を使用することができる。
【0116】
リン光エミッターは、好ましくは式M(L)Zを有する金属錯体であってよく、式中、Mは金属原子であり、Lは各場合において相互に独立して、1つ、2つ、またはそれを超える位置によってMに結合し、または配位している有機リガンドであり、zは≧1の整数であり、好ましくは1、2、3、4、5、または6であり、任意に、これらの基は1以上の、好ましくは1つ、2つ、または3つの位置によって、好ましくはリガンドLによってポリマーに連結している。
【0117】
Mは、特に、遷移金属から選択され、好ましくはVIII族、またはランタノイド、またはアクチニドの遷移金属から選択され、特に好ましくはRh、Os、Ir、Pt、Pd、Au、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Re、Cu、Zn、W、Mo、Pd、Ag、またはRuから選択され、極めて特に好ましくは、Os、Ir、Ru、Rh、Re、Pd、またはPtから選択される金属原子である。MはZnであってもよい。
【0118】
本発明によるデバイスまたは組成物の層は、少なくとも1つの金属錯体を含むこともできる。好ましくは、本発明によるデバイスまたは組成物の層は3つの、特に好ましくは2つの、極めて特に好ましくは1つの金属錯体を含む。
【0119】
好ましいリガンドには、2フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2(2−チエニル)ピリジン誘導体、2(1−ナフチル)ピリジン誘導体、または2フェニルキノリン誘導体がある。これらの化合物は全て、青色に対してフルオロ−またはトリフルオロメチル置換によるなど、置換されていてよい。補助的なリガンドがアセチルアセトネートまたはピクリン酸であるのが好ましい。
【0120】
特に、R
1からR
14およびZ
1からZ
5が参考文献において定義される通りである、US2007/0087219 A1に開示される式59の四座配位子を有するPtまたはPdの錯体、拡大した環系を有するPtポルフィリン錯体(US2009/0061681 A1)、およびIr錯体が適切であり、例えば、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン−Pt(II)、テトラフェニル−Pt(II)−テトラベンゾポルフィリン(US2009/0061681 A1)、cis−ビス(2−フェニルピリジネート−N,C2’)Pt(II)、cis−ビス(2−(2’−チエニル)ピリジネート−N,C3’)Pt(III)、cis−ビス(2−(2’−チエニル)キノリネート−N,C5’)Pt(II)、(2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C2’)Pt(III)アセチルアセトネート、またはトリス(2−フェニルピリジネート−N,C2’)Ir(III)(Ir(ppy)3、緑色)、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C2)Ir(III)アセチルアセトネート(lr(ppy)
2アセチルアセトネート、緑色、US2001/0053462 A1、Baldo、Thompsonら、Nature、403巻、(2000年)、750〜753頁)、ビス(1−フェニルイソキノリネート(isoquinolinato)−N,C2’)(2−フェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(III)、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C2’)(1−フェニルイソキノリネート−N,C2’)イリジウム(III)、ビス(2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジネート−N,C3’)イリジウム(III)アセチルアセトネート、ビス(2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C2’)イリジウム(III)ピコリネート(Firpic、青色)、ビス(2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C2’)Ir(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ホウ酸塩、トリス(2−(ビフェニル−3−イル)−4−tert−ブチルピリジン)イリジウム(III)、(ppz)
2Ir(5phdpym)(US2009/0061681 A1)、(45ooppz)
2Ir(5phdpym)(US2009/0061681 A1)、2フェニルピリジン−Ir錯体の誘導体、例えば、イリジウム(III)ビス(2−フェニルキノリル−N,C2’)アセチルアセトネート(PQIr)、トリス(2−フェニルイソキノリネート−N.C)Ir(III)(赤色)、ビス(2−(2’−ベンゾ[4,5−a]チエニル)ピリジネート−N,C3)Irアセチルアセトネート([Btp2lr(acac)]、赤色、Adachiら、Appl.Phys.Lett.、78巻、(2001年)、1622〜1624頁)である。
【化15】
【0121】
例えば、Tb
3+およびEu
3+などの三価ランタニドの錯体(J.Kidoら、Appl.Phys.Lett.、65巻(1994年)、2124頁、Kidoら、Chem.Lett.、657、1990年、US 2007/0252517 A1)、またはPt(II)、Ir(I)、Rh(I)のマレオニトリルジチオレート(maleonitrile dithiolate)とのリン光錯体(Johnsonら、JACS、105巻、1983年、1795頁)、Re(I)トリカルボニルジイミン錯体(とりわけ、Wrighton、JACS、96巻、1974年、998頁)、Os(II)のシアノリガンドおよびビピリジルもしくはフェナントロリンリガンドとの錯体(Maら、Synth.Metals、94巻、1998年、245頁)、またはホストのないAlq
3も適切である。
【0122】
三座配位子を有するさらなるリン光エミッターは、US6824895およびUS7029766に記載されている。赤色放射性のリン光錯体は、US6835469およびUS6830828に言及されている。
【0123】
特に好ましいリン光ドーパントは、式60を有する化合物、およびUS2001/0053462 A1などに開示されているさらなる化合物である。
【0124】
特に好ましいリン光ドーパントは、式61を有する化合物、およびWO2007/095118 A1などに開示されているさらなる化合物である。
【化16】
【0125】
さらなる誘導体は、US7378162 B2、US6835469 B2、およびJP2003/253145 Aに記載されている。
【0126】
カルベントリプルエミッターから選択されるリン光エミッター、特に、金属としてイリジウムを含むカルベン錯体がさらに好ましい。好ましい錯体は、WO 2005/091373、WO 2005/113704およびP.Erkら、SID、2006年、11、2、131に記載されている、カルベン(NHC)イリジウム錯体、例えば、fac−Ir(dpbic)
3、Ir(pmbic)
3、Ir(pmic)
3、Ir(dpnic)
3、Ir(cn−pmic)
3である。
【0127】
本明細書の他所で言及した金属錯体に加えて、本発明による適切な金属錯体は、遷移金属、希土類元素、ランタニドから選択することができ、アクチニドも本発明の対象でもある。好ましくは、金属は、Ir、Ru、Os、Eu、Au、Pt、Cu、Zn、Mo、W、Rh、Pd、またはAgから選択される。
【0128】
本発明による機能物質は、小分子、ポリマー、オリゴマー、デンドリマー、およびブレンドから選択することもできる。機能性ポリマーは、異なる機能が1つの大型分子または大型分子のブレンド中に組み入れられ得ることを特徴とする。機能は、とりわけ、正孔注入物質、正孔輸送物質、電子阻止物質、発光物質、正孔阻止物質、電子注入物質、および電子輸送物質のものである。ポリマー中に組み入れられる機能は、様々な群に分類することができる。所望の機能の群およびそれらの間の比率を選択することによって、ポリマーを所望の機能(複数可)を有するように調整することができる。
【0129】
ポリマー、オリゴマー、およびデンドリマーの間の違いは、上記で規定した通り、サイズ、サイズ分布、および分子実体の枝分れによるものである。
【0130】
異なる構造は、とりわけ、WO2002/077060 A1およびDE10337346 A1に、開示し、広範に列挙したものである。構造単位は、例えば、以下の群に由来していてよい。
【0131】
1群:ポリマーの正孔注入の性質および/または輸送の性質を増大する単位;上記に記載したHIMまたはHTMに対応する。
【0132】
2群:ポリマーの電子注入の性質および/または輸送の性質を増大する単位;上記に記載したEIMまたはETMに対応する。
【0133】
3群:1群および2群からの個々の単位の組合せを有する単位;
4群:電子蛍光(electrofluorescence)の代わりに電子リン光(electrophosphorescence)を得ることができる程度に放射の性質を修飾する単位;典型的に、これは、上記に記載したリン光エミッター、またはより好ましくは放射金属錯体に対応する。
【0134】
5群:いわゆる一重項状態からより高いスピン状態、例えば、三重項状態への遷移を改善する単位;
6群:得られたポリマーの形態学および/または発光色に影響を及ぼす単位;
7群:典型的にバックボーンとして用いられ、電子輸送機能、正孔輸送機能、またはその両方を有し得る単位。
【0135】
好ましくは、前記さらなる有機機能物質が、1群の単位を含む正孔輸送または注入ポリマーであり、上記に記載した通り低分子量のHTMまたはHIMを含む単位から選択されるのが好ましい。
【0136】
1群からのさらに好ましい単位は、例えば、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール−パラ−フェニレンジアミン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール、およびフラン誘導体、ならびにさらに、高HOMOを有するO、S、またはN含有複素環である。これらのアリールアミンおよび複素環は、好ましくは(真空レベルに対して)5.8eVを超え、特に好ましくは5.5eVを超えるポリマーにおけるHOMOをもたらす。
【0137】
好ましいポリマー性HTMまたはHIMは、式62による以下の繰返し単位の少なくとも1つを含むポリマーである。
【化17】
【0138】
式中、
Ar
1は、同じでも、または異なっていてもよく、異なる繰返し単位における場合は独立に、単結合、または任意に置換されている単環もしくは多環のアリール基を意味し、
Ar
2は、同じでも、または異なっていてもよく、異なる繰返し単位における場合は独立に、任意に置換されている単環または多環のアリール基を意味し、
Ar
3は、同じでも、または異なっていてもよく、異なる繰返し単位における場合は独立に、任意に置換されている単環または多環のアリール基を意味し、
mは、1、2、または3である。
【0139】
式62の特に好ましい単位は、式63から式65からなる群から選択され、
【化18】
【0140】
式中、Rは、各場合において同じでも、または異なっていてもよく、H、置換もしくは無置換の芳香族もしくは芳香族複素環基、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アラルキル、アリールオキシ、アリールチオ、アルコキシカルボニル、シリル、カルボキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、またはヒドロキシ基から選択され、
rは、0、1、2、3、または4であり、
sは、0、1、2、3、4、または5である。
【0141】
さらに好ましいポリマー性HTMまたはHIMは、式66による以下の繰返し単位の少なくとも1つを含むポリマーであり、
【化19】
【0142】
式中、
T
1およびT
2は、相互に独立に、チオフェン、セレノフェン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ピロール、アニリン(これらは全て任意にR
5で置換されている)から選択され、
R
5は、各場合において相互に独立に、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、SCN、C(=O)NR
0R
00、−C(=O)X、−C(=O)R
0、−NH
2、−NR
0R
00、SH、SR
0、−SO
3H、−SO
2R
0、−OH、−NO
2、−CF
3、−SF
5、任意に置換されているシリル、またはカルビルもしくはヒドロカルビル(これらは、任意に置換されており、任意に1以上のヘテロ原子を含む、1から40個のC原子を有する)から選択され、
Ar
4およびAr
5は、相互に独立に、単環または多環のアリールまたはヘテロアリール(これらは、任意に置換されており、隣接のチオフェン基またはセレノフェン基の1つまたは両方の2,3−位に任意に融合している)であり、
cおよびeは、相互に独立に、0、1、2、3、または4であり、1<c+e=<6であり、
dおよびfは、相互に独立に、0、1、2、3、または4である。
【0143】
ポリマー性HTMの例は、WO2007131582 A1およびWO2008/009343 A1に開示されている。
【0144】
好ましくは、前記有機機能物質が、2群を含む電子輸送または注入ポリマーであり、上記に記載した通り低分子量のETMまたはEIMを含む群から選択されるのが好ましい。
【0145】
電子注入または電子輸送の性質を有する2群のさらに好ましい単位は、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、およびフェナジン誘導体であるが、トリアリールボランもまた、および低LUMOを有するさらなるO、S、またはN含有複素環でもある。ポリマーにおけるこれらの単位は、好ましくは(真空レベルに対して)−2.7eV未満の、特に好ましくは−2.8eV未満のLUMOをもたらす。
【0146】
好ましくは、前記有機機能物質は、3群の単位を含むポリマーであり、3群の構造において、孔移動性および電子移動性(すなわち1群および2群からの単位)を増大する構造が相互に直接結合している。これらの単位のいくつかはエミッターとして働くことができ、発光色を緑色、黄色、または赤色に転換することができる。したがってこれらの色は、例えば、他の発光色の生成、またはもともと青色発光性のポリマーからの広帯域の放射の生成に適している。
【0147】
好ましくは、前記有機機能物質は、4群の単位を含むポリマーであり、リン光エミッター、特に上記に記載した放射性の金属錯体を含む群から選択されるのが好ましい。ここでは、8族から10族までの元素(Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)を含む構造単位に対応するのが特に好ましい。
【0148】
好ましくは、前記有機機能物質は、5群の単位を含むポリマー性のトリプルマトリックスであり、一重項状態から三重項状態への遷移を改善することができ、4群からの構造エレメントの支持において用いられ、これらの構造エレメントのリン光の性質を改善する。この目的に適するものは、特に、DE10304819 A1およびDE10328627 A1に記載される通り、カルバゾールおよび架橋されているカルバゾール2量体単位である。この目的にやはり適するものは、DE10349033 A1に記載されている通り、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、シラン誘導体、および同様の化合物である。さらに好ましい構造単位は、上記に記載した通り、低分子量のリン光マトリックスを含む群から選択することができる。
【0149】
好ましくは、前記有機機能物質は、6群の単位を含むポリマーであり、ポリマーの形態学および/または発光色に影響を及ぼし、上記で言及したものの他に、上記で言及した群に当てはまらない、すなわち電荷−担体移動性に対して殆ど効果のない、少なくとも1つのさらなる芳香族または別のコンジュゲート構造を有するものであり、有機金属錯体ではなく、または一重項−三重項遷移に影響がない。このタイプの構造エレメントは、得られるポリマーの形態学および/または発光色に影響を及ぼすことがある。単位に応じて、これらはそれゆえエミッターとして用いることもできる。ここでは蛍光OLEDの場合、6個から40個のC原子を有する芳香族構造、またはトラン、スチルベン、もしくはビススチリルアリーレン誘導体も好ましく、この各々は1以上のR1基によって置換されていてよい。ここでは、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、1,4−もしくは9,10−アントリレン、1,6−、2,7−、もしくは4,9−ピレニレン、3,9−もしくは3,10−ペリレニレン、4,4’−ビフェニリレン、4,4’’−テルフェニリレン、4,4’ビ1,1’−ナフチリレン、4,4’−トラニレン、4,4’−スチルベニレン、または4,4’’−ビススチリルアリーレン誘導体が特に好ましい。
【0150】
好ましくは、前記有機機能物質は、7群の単位を含むポリマーであり、6個から40個のC原子を有する芳香族構造を含み、ポリマーのバックボーンとして用いられるのが典型的である。これらには、例えば、4,5−ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10−テトラヒドロピレン誘導体、例えば、US5962631、WO2006/052457 A2、およびWO2006/118345A1に開示されているフルオレン誘導体、例えば、WO2003/020790 A1に開示されている9,9’−スピロビフルオレン誘導体、例えば、WO2005/104264 A1に開示されている9,10−フェナントレン誘導体、例えば、WO2005/014689 A2に開示されている9,10−ジヒドロフェナントレン誘導体、例えば、WO2004041901 A1、WO2004113412 A2に開示されている5,7−ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体ならびにシス−およびトランス−インデノフルオレン誘導体、例えば、WO2006/063852 A1に開示されているビナフチレン誘導体、ならびに例えば、WO2005/056633A1、EP1344788A1およびWO2007/043495A1、WO2005/033174 A1、WO2003/099901A1およびDE 102006003710.3に開示されているさらなる単位がある。
【0151】
7群のさらに好ましい構造エレメントは、例えば、US5,962,631、WO2006/052457 A2、およびWO2006/118345 A1に開示されているフルオレン誘導体、例えば、WO 2003/020790 A1に開示されているスピロ−ビフルオレン誘導体、例えば、WO2005/056633 A1、EP1344788A1、およびWO2007/043495A1に開示されているベンゾフルオレン、ジベンゾフルオレン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフルオレン、およびこれらの誘導体から選択される。
【0152】
7群の極めて好ましい構造エレメントは式67のものであり、
【化20】
【0153】
式中、
A、B、およびB’は、相互に独立に、複数の場合において相互に独立に、2価の基であり、好ましくは−CR
1R
2−、−NR
1−、−PR
1−、−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−CO−、−CS−、−CSe−、−P(=O)R
1−、−P(=S)R
1−、および−SiR
1R
2−から選択され、
R
1およびR
2は、相互に独立に、H、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
0R
00、−C(=O)X、−C(=O)R
0、−NH
2、−NR
0R
00、−SH、−SR
0、−SO
3H、−SO
2R
0、−OH、−NO
2、−CF
3、−SF
5、任意に置換されているシリル、または1個から40個のC原子を有するカルビルもしくはヒドロカルビル(これらは、任意に置換されており、任意に1以上のヘテロ原子を含む)から選択される同一または異なる基であり、任意にR
1基およびR
2基は、これらが付着しているフルオレン部分とスピロ基を形成し、
Xはハロゲンであり、
R
0およびR
00は、相互に独立に、H、または任意に1以上のヘテロ原子を含む任意に置換されているカルビルもしくはヒドロカルビル基であり、
各gは、独立に0または1であり、同じサブユニットにおいて対応する各hは0または1以外であり、
mは≧1の整数であり、
Ar
1およびAr
2は、相互に独立に、単環または多環アリールまたはヘテロアリール(これらは、任意に置換されており、任意にインデノフルオレン基の7,8−位または8,9−位に融合している)であり、
aおよびbは、相互に独立に、0または1である。
【0154】
R
1基およびR
2基が、これらが付着しているフルオレン基と一緒にスピロ基を形成する場合、スピロビフルオレンであるのが好ましい。
【0155】
式67の基が、以下の式68から式72から選択されるのが好ましく、
【化21】
【0156】
式中、R
1は、式67において定義した通りであり、rは、1、2、3、または4であり、RはR
1の意味の1つを有する。
【0157】
Rが、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
0R
00、−C(=O)X
0、−C(=O)R
0、−NR
0R
00、4個から40個、好ましくは6個から20個のC原子を有する任意に置換されているシリル、アリール、もしくはヘテロアリール、または1個から20個、好ましくは1個から12個のC原子を有する直鎖、分枝、もしくは環状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニオキシ(alkylcarboniyoxy)、またはアルコキシカルボニルオキシであるのが好ましく、1以上のH原子は任意にFまたはClによって置換されており、R
0、R
00、およびX
0は上記に定義した通りである。
【0158】
式67の特に好ましい基は、以下の式73から式76から選択され、
【化22】
【0159】
式中、Lは、H、ハロゲン、または任意にフッ素化されている、直鎖または分枝の、C原子1個から12個を有するアルキルまたはアルコキシであり、好ましくは、H、F、メチル、i−プロピル、t−ブチル、n−ペントキシ、またはトリフルオロメチルであり、
L’は、任意にフッ素化されている、直鎖または分枝の、C原子1個から12個を有するアルキルまたはアルコキシであり、好ましくは、n−オクチルまたはn−オクチルオキシである。
【0160】
1群から7群から選択される1以上の単位を同時に含む、本発明における使用に適したポリマーが好ましい。1つの群からの1つを超える構造単位が同時に存在するのも同様に好ましいことがある。
【0161】
エミッターの構造単位の他に、上記で言及した群から少なくとも1つ構造単位をさらに含む、本発明における使用に適したポリマーが好ましい。少なくとも2つの構造単位が、これら上記で言及した異なるクラスに由来することが特に好ましい。
【0162】
1群、2群、5群、6群、および7群の異なるクラスの割合は、ポリマー中に存在する場合、好ましくは各場合において少なくとも5モル%、特に好ましくは各場合において少なくとも10モル%である。特に、これらの構造単位の1つは、孔伝導性または電子伝導性単位の群から選択され、他の群は放射性の単位であり、これら2つの機能(孔または電子伝導および放射)は、やはり同じ単位によって引き受けられてよい。
【0163】
さらに、例えば、白色放射性の共重合体の合成には、より少ない割合の放射性の単位、特に緑色および赤色放射性の単位も好ましいことがある。白色放射性共重合体を合成することができる方法は、DE1034606 A1に詳しく記載されている。
【0164】
3群および4群の異なるクラスの割合は、ポリマー中に存在する場合、好ましくは各場合において0.01モル%から20モル%の範囲、特に好ましくは各場合において1モル%から15モル%の範囲、極めて特に好ましくは各場合において1モル%から10モル%の範囲にある。
【0165】
十分な可溶性を確実にするために、繰り返される単位あたり平均して少なくとも2個の非芳香族性C原子が置換基中に存在するのが好ましい。ここでは、少なくとも4個、特に好ましくは少なくとも8個のC原子が好ましい。さらに、これらの個々のC原子は、OまたはSによって置換されてよい。しかし、これが、繰り返される単位のある割合が任意のさらなる非芳香性の置換基を保有しないことを意味するのも全く可能である。薄膜の形態が損なわれるのを避けるために、直鎖中に12個を超えるC原子を有する長鎖置換基がないのが好ましく、特に好ましくは8個を超えるC原子がなく、特に6個を超えるC原子がない。
【0166】
本発明における有機機能物質として用いられるポリマーは、統計的共重合体すなわちランダム共重合体、交互共重合体または位置規則性(regioregular)共重合体、ブロック共重合体、またはこれらの組合せであってよい。
【0167】
非常に好ましい1つの態様において、ポリマーは共役ポリマーであり、この場合、上記および下記に記載する官能基がポリマーの主鎖中に組み入れられる。
【0168】
別の好ましい1つの態様において、ポリマーは、非共役ポリマーまたは部分共役ポリマーである。
【0169】
特に好ましい1つの態様において、前記ポリマーは主鎖が非共役のポリマーであり、この場合、ポリマーは少なくとも1つの非共役のスペーサーを主鎖上に含んでいる。極めて特に好ましい非共役ポリマーまたは部分共役ポリマーは、非共役のバックボーン単位、またはバックボーン単位の共役を妨害する単位を含んでいる。側鎖の非共役のポリマー同様、主鎖が非共役のポリマーも、高い三重項準位をもたらす。
【0170】
好ましい非共役のバックボーン単位は、例えば、以下の式77および式78に示す通り、ならびにDE102009023156.0に開示される通り、インデノフルオレン誘導体を含む単位から選択され、
【化23】
【0171】
式中、XおよびYは、それぞれ独立に、H、F;1個から40個のC原子を有するアルキル基、2個から40個のC原子を有するアルキレン基、2個から40個のC原子を有するアルキニル基、6個から40個のC原子を有する置換または無置換のアリール基、および5個から25個のC原子を有する置換または無置換のヘテロアリール基から選択される。
【0172】
さらなる好ましい非共役のバックボーン単位は、例えば、以下の式79から式92に示す通り、およびDE102009023154.4に開示される通り、フルオレン、フェナントレン、デヒドロフェナントレン、インデノフルオレン誘導体を含む単位から選択され、
【化24】
【化25】
【0173】
式中、R1からR4は、上記で規定した通り、XおよびYと同じ意味を有する。
【0174】
別の好ましい1つの態様において、前記ポリマーは、側鎖が非共役のポリマーであり、これはポリマーをベースにしたリン光OLEDに特に重要である。一般的に、このようなリン光ポリマーは、ビニル化合物のラジカル共重合によって得られ、US7250226 B2に開示されている通り、側鎖上に少なくとも1つのリン光エミッター、および少なくとも1つの電荷輸送単位を備えている。このようなリン光ポリマーのさらなる例は、例えば、JP2007/211243 A2、JP2007/197574 A2、US7250226B2、JP2007/059939Aに開示されている。
【0175】
さらなる1つの態様において、前記ポリマーは、蛍光OLEDに対する非共役ポリマーであってもよい。好ましい一重項非共役ポリマーには、例えば、JP2005/108556、JP 2005/285661、JP2003/338375などに開示されている通り、アントラセネン(antracenene)、ベンズアントレセン(benzanthrecene)を有する側鎖ポリマー、および側鎖におけるこれらの誘導体がある。
【0176】
前記ポリマーはETMまたはHTMとして働くこともでき、ポリマーが非共役ポリマーであるのが好ましい。
【0177】
p型のSiおよびp型のSiCなどの無機化合物、ならびに酸化バナジウム(VO
x)、酸化モリブデン(MoO
x)、または酸化ニッケル(NiO
x)などの無機酸化物もHIMとして用いることができる。
【0178】
電子注入層(EIL)は、しばしば、絶縁体および半導体から構築される。
【0179】
EILに好ましいアルカリ金属カルコゲナイドは、Li
2O、LiO、Na
2S、Na
2Se、NaO、K
2O、Cs
2Oである。
【0180】
EILに好ましいアルカリ土類金属カルコゲナイドは、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、CaSeである。
【0181】
EILに好ましいアルカリ金属のハロゲン化物は、LiF、NaF、KF、CsF、LiCl、KCl、NaClである。
【0182】
EILに好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物は、CaF
2、BaF
2、SrF
2、MgF
2、BeF
2である。
【0183】
アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属(Sc、Y、Ce、Th、Yb)、希土類金属錯体、希土類金属化合物(好ましくは、YbF
3、ScF
3、TbF
3)などを用いるのが同様に可能である。
【0184】
EILの構造は、例えば、US5608287、US5776622、US5776623、US6137223、US6140763、US6914269に記載されている。
【0185】
電子輸送層は、固有の物質からなっていてよく、またはドーパントを含んでいてよい。固有の層の例には、Alq
3(EP278757 B1)およびLiq(EP0569827 A2)がある。ドープ層の例には、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen):Li 1:1(US2003/02309890)、およびルブレン/LiFがある。
【0186】
上記で言及した物質の他に、本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスは、少なくとも1つの陽極、少なくとも1つの陰極、および1以上の基体を含むことができる。
【0187】
陽極に好ましい物質は、それだけには限定されないが、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO)、ZnO、InO、アルミニウム亜鉛酸化物(AlZnO)、ならびに他の金属酸化物(例えば、酸化亜鉛でドープされているAl−およびIn−亜鉛酸化物、マグネシウムインジウム酸化物、およびニッケルタングステン酸化物)から選択される金属酸化物である。窒化ガリウムなどの金属窒化物、およびセレン化亜鉛などの金属セレン化物、および硫化亜鉛などの金属硫化物も用いることができる。陽極に用いることができるさらなる物質は、導電性ポリマー、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびポリピロールである。
【0188】
陽極は、透明でも、不透明でも、または反射性でもよい。陽極は、中間の状態をとることもでき、例えば、部分的に反射性および部分的に透明の両方である。
【0189】
陽極が透明でなく、または部分的に透明にすぎない場合、さらなる導電性物質を用いることができる。不透明または部分的に透明な陽極に好ましい物質は、それだけには限定されないが、Au、Ir、Mo、Pd、Pt、Cu、Ag、Sn、C、Al、V、Fe、Co、Ni、W、およびこれらの混合物から選択される。導電性物質は、In−Cuなど、上記に記載したさらなる導電性物質と混合することもできる。
【0190】
陽極が透明であるのが好ましく、陽極に特に好ましい物質はITOである。トップ発光デバイスの場合、陽極が反射性物質を含むのが好ましい。陽極に、当業者に既知のさらなる物質を用いることができる。
【0191】
基体と陽極との軟質および透明の組合せは、例えば、US5844363 B2およびUS6602540 B2に記載されている。
【0192】
陰極は、透明でも、不透明でも、または反射性でもよい。陰極は、仕事関数の低い金属または合金から選択される。仕事関数が4.0eV未満の金属、合金、または導電性の化合物もしくは物質を用いるのが好ましい。特に好ましい陰極は、それだけには限定されないが、Ba、Ca、Sr、Yb、Ga、Cd、Si、Ta、Sb、Zn、Mg、Al、In、Li、Na、Cs、Ag(例えばMg/AlもしくはAl/LiもしくはAl/Sc/LiもしくはMg/Alを含む合金)2つもしくはそれを超えるエレメントの混合物、またはITOもしくはIZOなどの金属酸化物から選択される。薄型誘電体層を形成するのに用いられる、陰極にさらに好ましい物質は、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、またはNaFと混合される金属から選択される。典型的な組合せはLiF/Alである。
【0193】
上部にITO層を有するMG/Al陰極は、US5703436、US5707745、US6548956 B2、US6576134 B2に記載されている。Mg/Ag合金は、US4885221に記載されている。
【0194】
本明細書には任意の治療的戦略が含まれており、すなわち、光での対象の治療は、他の治療上の取組みとの組合せと一緒に、またはそれなしで行うことができる。治療は、例えば、本発明の化合物を含む1以上のデバイスにおける1以上の波長で行うことができる。さらに、ファイバーを含む前記デバイス(本明細書においてファイバーデバイスまたは光放出性ファイバーデバイスとも呼ぶ)および本発明による化合物のほかに、LED、平面状のOLED、およびレーザーなどの様々な技術を用いたさらなる光源を治療に用いることができる。さらに、これらを含む前記組成物およびデバイスでの治療を、薬物および化粧品を用いた任意の知られている治療の戦略と組み合わせることができる。
【0195】
光線療法を、薬物および/または化粧品などの化学物質の治療と組み合わせる場合、(光−)化学反応または化学物質の活性化を開始するのに光を用いることができ、これは光線力学的治療(PDT)と呼ばれる。本発明による光線療法は、光化学反応または活性化を開始せずに化学物質と組み合わせて用いることもできる。疾患の治療の有効性および安全性に対する相乗効果は、光線療法ならびに薬物および/または化粧品の両方と逐次的な、並行の、および重複する治療から生じることができる。例えば、薬物(複数可)または化粧用化合物(複数可)を、最初に特定の期間投与し、その後本発明による組成物またはこれを含むデバイスを用いた光線療法を適用する。両方の治療間の時間の合間は、薬物、その光反応性、対象の個々の状況、および特定の疾患または状態に応じて変化することもある。両方の治療とも部分的または完全に、折りよく重複することもある。正確な治療戦略は、個々の状況、および疾患または状態の重症度による。
【0196】
併用療法には相乗効果があることがあり、伝統的な治療戦略の副作用(例えば、テトラサイクリンの副作用)を低減することがある。これは、本明細書に概略する併用の取組みを用いる場合、より少ない用量の薬物が必要とされるという事実による。
【0197】
多くの診断用デバイスは、照射だけのために、または診断自体のための機能的構成要素としていずれかの、例えば、酸素などの血液パラメータを決定するための光源を備えている。したがって、本発明は、組成物が少なくとも1つのイオン種および少なくとも1つの有機エレクトロルミネセンス化合物を含むことを特徴とする、診断目的の組成物にも関する。診断目的の前記組成物を含む光源の使用も、本発明の対象である。本発明の教示に基づき、当業者であれば、前記組成物を含む光源が必要とされる診断用デバイスを開発するのに問題はない。
【0198】
治療は、対象の、本発明による機能性物質または組成物を含むファイバーデバイスの照射への任意の曝露である。治療は、対象とデバイスとの間の直接的な接触によって、またはこれらの間の直接的な接触なしに行うことができる。治療は、対象の外部でも、または内部でもよい。対象の外部の治療は、例えば、皮膚、創傷、眼、歯肉、粘膜、舌、毛髪、爪床、および爪の治療であってよい。対象の内部の治療は、例えば、血管、心臓、胸部、肺、または対象の任意の他の器官であってよい。対象の内部の殆どの適用には、特定のデバイスが必要とされる。このような例の1つは、本発明によるステントファイバー(stent fiber)であってよい。前記対象がヒトまたは動物であり得るのが好ましい。化粧品という用語はまた、美的な適用も含む。
【0199】
ファイバーデバイスによって放射される光の波長を、好適な機能物質の選択によって正確に誂えることができる。さらに、所望の波長の光を得るために、カラーフィルターおよびカラーコンバーターを用いることができる。機能物質および/または機能物質を含むファイバーデバイスの適用に応じて、各々の治療上または美容上の治療は幾分規定された波長または放出される波長のスペクトルを必要とする。
【0200】
ファイバーデバイスは、好ましくは、200nmから1000nmの間の、好ましくは300nmから1000nmの間の、特に好ましくは300nmから950nmの間の、極めて特に好ましくは400nmから900nmの間の範囲の光を放出する有機エレクトロルミネセンス化合物を少なくとも1つ含んでいる。
【0201】
上記で概略した通り、光線療法の主要な効果の一つは、ミトコンドリアにおける代謝の刺激である。光線療法後、細胞は代謝の増大を示し、細胞はより良好に情報交換し、よりよい方法でストレスの多い状態を生存する。
【0202】
前記機能物質およびそれを含む発光ファイバーデバイスを、細胞の刺激に用いることができる。細胞の刺激に好ましい波長または波長の範囲は、600nmから900nmの間の、特に好ましくは620nmから880nmの間の、極めて特に好ましくは650nmから870nmの間の範囲である。細胞の刺激に特に好ましい波長の例は、683.7、667.5、772.3、750.7、846、および812.5nmである。
【0203】
光線療法によって対処することができる任意の疾患および/または美容上の状態は、機能物質およびファイバーデバイス、特に、これを含むOLEDで治療することができる。これらの疾患および/または状態には、例えば、皮膚疾患、および皮膚の加齢を含む皮膚に関連する状態、およびセルライト、孔の拡大、油性肌、毛包炎、前癌性の日光角化症、皮膚の病変、しわのよった日光で損傷を受けた皮膚、カラスの足跡、皮膚潰瘍(糖尿病性、褥瘡性、静脈うっ血)、酒さ性ざ瘡病変、セルライト、皮脂油腺および周囲組織の光変調、痩身によるしわ、座瘡瘢痕およびざ瘡細菌、炎症、疼痛、創傷、心理学的および神経学的に関連する疾患および状態、浮腫、パジェット病、原発性および転移性の腫瘍、結合組織病、コラーゲンの操作、哺乳動物組織における線維芽細胞および線維芽細胞由来の細胞レベル、発光性網膜(illuminating retina)、新生物性、新生血管性、および肥厚性の疾患、炎症およびアレルギー反応、発汗、エクリン腺(汗)またはアポクリン腺からの発汗および多汗症、黄疸、白斑、眼の血管新生疾患、神経性過食症、ヘルペス季節的情動障害、気分障害、睡眠障害、皮膚癌、クリグラーナジャー、アトピー性皮膚炎、糖尿病性皮膚潰瘍、褥瘡性潰瘍、膀胱感染症、筋肉痛、疼痛、関節のこわばりの軽減、細菌の低減、歯肉炎、歯の白化、歯および口内の組織の治療、創傷治癒が含まれる。
【0204】
美容上の状態は、ざ瘡、皮膚の若返りおよび皮膚のしわ、セルライト、および白斑から選択されるのが好ましい。多くの治療的処置は美容上の構成要素も有する。例えば、乾癬は、軽度、軽度から中等度、中等度、中等度から重症、および重症であることがある。任意のこれらのカテゴリーは美容上の構成要素を有し、これらは罹患している患者の重症の心理学的問題の原因となり得る。
【0205】
本発明は、また、前記機能物質および/または機能物質を含む発光ファイバーの使用であって、前記ファイバーは、外側の第1の電極と、第1の電極の外側表面上に配置された少なくとも1つの有機発光層と、有機発光層上に配置された光透過性の第2の電極とを有するファイバーのコアを含むことを特徴とする使用に関し、少なくとも1つの有機発光層は、第1の電極および第2の電極を通して電圧が印加されると発光する少なくとも1つの有機物質を含む。
【0206】
本明細書にしたがって用いられる有機発光ファイバーおよびその製造は、本明細書に参照によって組み込まれるUS6538375およびUS2003/0099858に開示されている。
図1は、有機発光ファイバーの組立て(
図1a)および横断面図(
図1b)を図示するものである。これらは、第1の電極20を有するファイバーコア10と、第1の電極の外側表面上に配置された少なくとも1つの有機発光層30と、有機発光層上に配置された光透過性の第2の電極40とを含む。第1の電極が陰極であり、第2の電極が陽極であるのが好ましい。陽極の外側表面上に、陽極の外側表面の第1の位置と接触する第1の表面を有する金属接触エレメント、ならびに陰極および金属接触エレメントに電気的に接続している電源があってよい。
【0207】
ファイバーコア10は、透明でも、不透明でも、半透明でも、または反射性でもよい。用いられる物質は、ガラスでも、プラスチックでも、セラミックでも、または金属箔であってもよく、軟質の基体にプラスチックおよび金属箔を用いるのが好ましい。ファイバーコア部材10は、軟質のポリマー物質または金属物質を含むことができる。ファイバーコア部材10に適するポリマー物質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリテトラフルオルエチレン(polytetrafluorethylene)などのポリオレフィン;ポリシロキサン;エポキシ、ポリアクリレート;ポリエチレンテレフタレート;およびこれらの誘導体である。ファイバーコアエレメント10は、ガラス、またはアルミニウム、銅、もしくはスチールなどの金属を含むことができる。
【0208】
用いられるガラスは、例えば、ソーダ石灰ガラス、BaもしくはSr含有ガラス、鉛ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、Baホウケイ酸ガラス、または石英であってよい。
【0209】
プラスチック板は、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテル硫化物樹脂、またはポリスルホン樹脂からなることができる。
【0210】
透明なファイバーには、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、PVC、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニル樹脂、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、またはポリエーテルイミドが用いられる。
【0211】
本明細書に言及したもの以外の物質も、ここでファイバーコア10として用いることができる。適切な物質は当業者に既知である。
【0212】
軟質のコア部材10が存在する場合は、アルミニウム、銅、またはスチール製のワイヤなどの軟質の金属ワイヤ、軟質のガラスファイバー、または軟質のプラスチックファイバーを含むことができる。コア部材は、好ましくは、約1μmから約10mmの、特に好ましくは5μmから5mmの、極めて特に好ましくは10μmから1mmの直径(または非円形の断面に対して高さもしくは幅)を有する。
【0213】
所望により、
図1に示す通り、発光ファイバーは光学的放射透過性水分および/または空気バリア層50および/または光学的放射透過性封入物質60も含むことができる。層50が存在し、または陽極40の外側表面が存在する場合、層50の内部表面は陽極40の外側表面を取り囲み、物質60の内部表面は層50の外側表面を取り囲む。
【0214】
所望により、発光ファイバーは、任意の屈折率整合層またはキャッピング層も含むことができる。前記屈折率整合層は、デバイスからの光のアウトカップリング(out−coupling)を改善するために用いられる。層50が存在する場合、屈折率整合層の内部表面は陽極40の外側表面を取り囲み、物質50の内部表面は屈折率整合層の外側表面を取り囲む。このような屈折率整合層は、光のアウトカップリングに役立つ。適切な物質は、CsCl、NPB、C60、MeO−TPD、ZnO、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、Alq
3、Au、およびSnO
2など、屈折率が高い誘電物質である。屈折率整合層の厚さは、1nmから300nmの間の範囲、好ましくは5nmから100nmの間の範囲、特に好ましくは10nmから60nmの間の範囲であってよい。屈折率整合層に対するさらなる詳細は、US20080231959 A1に見出すことができる。
【0215】
発光ファイバーは高輝度を有し、ファイバーまたはチューブの形状を有する場合は軟質にすることができる。ファイバーまたはチューブ形状のOLEDは、外側の水分/空気バリア層を加えることによって、かつ/またはファイバーコア周辺に外側の水分および空気不透過性の金属電極を形成することによって、先行技術の平板状OLEDとは対照的に、軟質でありながら改善された防水性を有することができる。ファイバーという用語は、断面直径(または、非球形の断面に対して幅もしくは高さ)よりもはるかに大きい長さを有する形状を意味する。本発明の好ましい1つの態様において、ファイバーという用語は、10:1以上など、多少大きな長さ対直径比を有する形状を意味する。長さ対直径比が100:1以上であるのが特に好ましい。
【0216】
第1の電極20は陰極であってよく、第2の電極40は光透過性の陽極であってよい。しかし、電極20、40の極性は逆転してもよく、電極20が陽極であってよく、電極40が陰極であってよい。2つの電極20、40および有機放射線放射層30はOLEDデバイスを含む。
【0217】
ファイバーコアは、ファイバーコア部材10の外側表面上に軟質のファイバーコア部材10と第1の電極20とを含むことができる。ファイバーコア部材10が円形の外側表面などの非平面の外側表面を有し、第1の電極20も円形の表面など非平面の外側表面を有するように、電極20がファイバーコア部材10の外側表面全体の周囲に形成されるのが好ましい。本発明の代替の好ましい一態様において、ファイバーコア部材10を省略してもよく、ファイバーコアが、細長いファイバーの形状を有する金属電極など、第1の電極20から完全に構成されてよい。電極20は中空でも、または中身が詰まっていてもよい。電極が、円形の表面など、非平面の外側表面を含んでいるのが好ましい。
【0218】
軟質のOLEDファイバーは、陰極20および陽極40に電気的に接続されている電源をさらに含む。電源は、小型電池、印刷電池、またはソケット中に差し込むプラグなどの電圧源であってよい。電源は陰極20および陽極40に接続されている。電源は、ユーザーがデバイスのスイッチを入れ、および切ることができるようにするスイッチ、ならびに/または分圧器などの輝度調整も含むことができる。
【0219】
デバイスは対話型のステアリングユニットを含むことができる。ステアリングユニットは、例えば、連続的な照射からパルス照射への切換えを可能にすることができる。ステアリングユニットは、放射される照射強度および/または波長の正確な調節も可能にし得る。ステアリングユニットはデバイスに直接付随していてよい。ステアリングユニットは永続的または一時的な連結によって分離することもできる。デバイスは使い捨てであってよく、病院中または病院外の使用に適する。
【0220】
ステアリングユニットは、ユーザー、患者、医師、看護師、および他の人々によって相互作用的に用いられてよい。ステアリングユニットは、医師などの専門家の指定にしたがって、それをプログラミングすることによって操作することもできる。
【0221】
ファイバーは、放射線透過性陽極40の外側表面の第1の部分に接触している金属接触エレメントも含むことができる。インジウム錫酸化物(ITO)などの放射線透過性陽極物質には、所望の値の電圧効果を得るのに十分に高い電気伝導度がないことがあるので、接触エレメントの目的はOLEDファイバーの長さに沿った電圧降下を低減することである。接触エレメントは、アルミニウムまたは銅など、任意の伝導性の金属を含むことができる。防湿層50は、SiO
2、Si
3N
4、またはオキシ窒化ケイ素など、水分が有機層30中に透過するのを防ぐ任意の物質を含むことができる。カプセル化物質60はシリコーンまたはエポキシを含むことができる。
【0222】
図1に示すファイバー有機発光ファイバーは円形の断面を有するが、任意の他の望ましい断面を有することができる。例えば、ファイバーは楕円の断面、多角形の断面(例えば、四角の断面)、または円形、楕円、もしくは多角形の断面の組合せを含むことができる。
【0223】
発光ファイバーは、好ましくは、約1μmから約2mmの、特に好ましくは5μmから1mmの、極めて特に好ましくは10μmから0.5mmの直径(または、非円形の断面に対して高さ/幅)を有する。
【0224】
有機放射線放射層30は、好ましくは約20nmから約500nmの、特に好ましくは約30nmから約200nmの、極めて特に好ましくは約30nmから約90nmの厚さを有し、電極20、40が各々約100nmから約10000nmの厚さを有するのが好ましい。
【0225】
電極および放射層(複数可)のための物質は、本発明内の他所に記載されている。さらなる物質、OLEDファイバーの組立て、および蒸着または液相成長法などによるOLEDファイバーの製造は、US6538375およびU2003/0099858に詳しく記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0226】
所望により、リン光色素または蛍光色素などのルミネセンス物質を、カプセル化物質50に加えることができる。ルミネセンス物質は、有機放射線放射層30によって放射されるより短い第2の波長を有する、可視または紫外の照射によって照射されることに反応して、第1の波長を有する可視発光する。例えば、ルミネセンス物質は、層30からの入射の紫外または青色の照射に反応して、それぞれ黄色または白色の発光することができる。青色および黄色の光の混合は観察者には白色光として見える。このように発光ファイバーは、層30が白色発光しない場合でも観察者に対して白色発光すると思われる。デバイスは、所望により、白色以外の任意の色の発光することもできる。
【0227】
利用することができるリン光物質の例には、ガーネット構造において結晶化するY
3Al
5O
12(YAG)格子にドープされるセリウムをベースとするリン光が含まれる。特定の例には、(Y
1−x−yGD
xCe
y)
3Al
5O
12(YAG:Gd,Ce)、(Y
1−xCe
x)
3Al
5O
12(YAG:Ce)、(Y
1−xCe
x)
3(Al
1−yGa
y)
5O
12(YAG:Ga,Ce)、および(Y
1−x−yGd
xCe
y)
3(Al
5−zGa
z)
5O
12(YAG:Gd,Ga,Ce)、および(Gd
1−xCe
x)Sc
2Al
3O
12(GSAG)が含まれる。YAGリン光は、一般的に、(Y
1−X−YGd
xCe
Y)
3(Al
1−zGa
z)
5O
12と記載することができ、式中、x+y<=1、0<=x<=1、0<=y<=1、および0<=z<=1である。発光バンドのピークの位置は、前述のリン光においてかなり変化する。ガーネット組成に応じて、ルミネセンス効率をかなり失うことなく、Ce
3+放射を緑色(およそ540nm;YAG:Ga,Ce)から赤色(およそ600nm;YAG:Gd:Ce)に調和させることができる。有機放射線放射ファイバーの青色またはUV放射と組み合わせる好適なリン光物質またはリン光物質のブレンドは、白色のフィールドを生成することができる。
【0228】
本発明にしたがって用いることができる緑色放射性リン光は、Ca
8Mg(SiO
4)4Cl
2:Eu
2+,Mn
2+;GdBO
3:Ce
3+,Tb
3+;CeMgAl
11O
19;Tb
3+;Y
2SiO
5:Ce
3+,Tb
3+;およびBaMg
2Al
16O:Eu
2+,Mn
2+である。
【0229】
本発明にしたがって用いることができる赤色放射性リン光は、Y
2O
3:Bi
3+;Sr
2P
2O
7:Eu
2+,Mn
2+;SrMgP
2O
7:Eu
2+,Mn
2+;(Y,Gd)(V,B)O
4:Eu
3+;および3.5MgO.0.5MgF
2.GeO
2:Mn
4+である。
【0230】
本発明にしたがって用いることができる青色放射性リン光は、BaMg
2Al
16O
27:Eu
2+およびSr
5(PO
4)
10Cl
2:Eu
2+である。
【0231】
エネルギー利用を増大するための一方法としてリン光体のホスト格子において有機物質から放射される光からのエネルギーを他の活性化イオンに伝達するために、さらに他のイオンを無機リン光体中に組み入れることができる。例えば、Sb
3+およびMn
2+イオンが同じリン光体格子中に存在する場合、Sb
3+は青色領域における光を効率的に吸収するが、青色領域における光はMn
2+によっては極めて効率的に吸収されることはなく、Sb
3+はエネルギーをMn
2+イオンに伝達する。したがって、有機EL物質によって放射されるより大きな合計量の光が両方のイオンによって吸収され、そのためデバイス全体の量子効率はより高くなる。
【0232】
さらに、1つを超えるリン光体の物質を一緒に組み合わせ、次いで有機放射線放射デバイスで利用して、異なる色、色温度、および演色指数を実現してもよい。用いることができる他のリン光体は、参照によって本明細書に組み込まれる、US09/469,702号に記載されている。適切な赤色放射性無機リン光体の一例はSrB
4O
7:Sm
2+であり、コロンの後のSm
2+は活性化物質を意味する。このリン光体は、600nmより短い殆どの可視の波長を吸収し、650nmを超える波長を有する深赤色線として発光する。適切な緑色放射性無機リン光体の一例はSrGa
2S
4:Eu
2+である。このリン光は、500nm未満を吸収し、535nmの最大放射を有する。適切な青色放射無機リン光体の一例はBaMg
2Al
16O
27:Eu
2+である。BaMg
2Al
16O
27:Eu
2+は430nm未満の殆どの波長を吸収し、450nmの最大放射を有する。ルミネセンス物質として利用することができる有機色素の例には、クマリン460(青色)、クマリン6(緑色)、およびナイルレッドが含まれる。
【0233】
有機放射線放射ファイバーは、効果的に色を混合し、輝度を均一にするために、TiO2、Al2O3、またはSiO2などの散乱粒子を含む任意の散乱層も含むことができる。散乱粒子は、カプセル化物質60中に混合することもでき、または所望により、カプセル化物質60上の別の層として形成することができる。様々な有機放射線放射層30を、本発明の例示の態様と組み合わせて用いることができる。有機放射線放射層は、少なくとも1つのポリマー層または少なくとも1つの有機分子含有層を含むことができる。
【0234】
放射線放射層30は、少なくとも1つの機能層を含む。機能層は、OLED中に典型的に見出される任意のタイプの機能層から選択することができる。これらの機能層中に見出される物質は、当業者であれば知っている任意の機能物質から選択することができる。
【0235】
本発明内の他所に記載する機能物質を、機能層において用いるのが好ましい。機能層において用いられる機能物質は、したがって、小分子、ポリマー、オリゴマー、デンドリマー、およびブレンドであってよい。OLEDにおいて見出される典型的な機能層は、放射層(EML)、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、正孔阻止層(HBL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、電子阻止層(EBL)、および励起子阻止層(ExBL)である。
【0236】
OLED中に見出され、したがって放射線放射層30においても見出される典型的な一連の層は、例えば、
任意に正孔注入層(HIL)、
任意に正孔輸送層(HTL)および/または電子阻止層(EBL)、
放射層、
任意に電子輸送層(ETL)および/または正孔阻止層(HBL)、
任意に電子注入層(EIL)、
である。
【0237】
一続きの所与の層構造は例示である。他の一続きが可能である。用いられる沈着技術に大いに依存して、様々な層構造を得ることができる。熱真空蒸着の場合、分離を可能にし、対応する層において様々な機能を最適化させる、陽極/HIL/HTL/EML/ETL/EIL/陰極などの多層のOLEDが好ましい。インクジェット印刷、スクリーン印刷、およびスピンコーティングなど、溶液ベースのコーティング技術の場合、陽極/HIL/EML/陰極など、数層を有する単純なデバイス構造が好ましい。架橋など、適切な固定技術を使用することによって、溶液ベースのコーティング技術によって多層構造も得ることができる。ポリマーは、溶液ベースのコーティング技術に適する、典型的な可溶性物質である。最新式のPLEDはしばしば中間層を含む。
【0238】
本明細書で用いられる中間層(IL)という用語は、例えば、WO2004/084260 A2において開示されている通り、電子阻止層である、ポリマー発光性ダイオード(PLED)における正孔注入層(またはバッファー層)と放射層との間の層と定義される。中間層を有するPLEDの典型的なデバイス構造は、したがって、陽極/HIL/IL/EML/陰極である。
【0239】
有機放射線放射層30が単層を含むのが好ましい。有機放射線放射層30は、例えば、電子輸送分子およびルミネセンス物質とドープされている、ルミネセンスの、正孔輸送性ポリマーである複合ポリマー、または正孔輸送性分子およびルミネセンス物質とドープされている不活性のポリマーを含むことができる。有機放射線放射層30は、他のルミネセンス分子とドープすることができるルミネセンスの小型有機分子の非結晶薄膜も含むことができる。
【0240】
有機放射線放射層30は、正孔注入、正孔輸送、電子注入、電子輸送、およびルミネセンスの機能を実行する2つまたはそれを超える下層を備えている。機能的なデバイスにはルミネセンス層だけが必要とされる。有機放射線放射層30は、例えば、正孔注入下層、正孔輸送下層、ルミネセンス下層、および電子注入下層を含めた1つから6つの下層を含むことができる。
【0241】
別の極めて好ましい1つの態様において、放射線放射層30は、以下のような多層構造を含む可溶性ベースの系である:例えば、WO2004/084260 A2に開示されているHIL/IL/EML(放射線放射層30は、小分子の混合物、小分子とポリマー(複数可)との混合物、およびポリマーのブレンドであってよく、特に好ましくは複合ポリマー、または少なくとも1つのリン光エミッターを含む混合物である可溶性有機化合物を備えており、小分子またはポリマーのいずれかである上記に記載したリン光エミッターから選択することができる)。
【0242】
複合ポリマーは、例えば、R.H.Friend、4、J.Mol.Electronics、37〜46頁(1988年)において論じられている。複合ポリマーの一例はPPV(ポリ(p−フェニレンビニレン))である。PPVは約500nmから690nmのスペクトル範囲の発光し、熱およびストレスが誘発する亀裂に対して良好な抵抗性を有する。
【0243】
適切な複合ポリマーの他の例は、例えば、4,5−ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10−テトラヒドロピレン誘導体、US5962631、WO2006/052457 A2、およびWO2006/118345 A1などに開示されているフルオレン誘導体、WO2003/020790 A1などに開示されている9,9’−スピロビフルオレン誘導体、WO2005/104264 A1などに開示されている9,10−フェナントレン誘導体、WO2005/014689 A2などに開示されている9,10−ジヒドロフェナントレン誘導体、WO2004041901 A1、WO2004113412 A2などに開示されている5,7−ジヒドロベンゾオキセピン誘導体、ならびにシス−およびトランス−インデノフルオレン誘導体、ならびにWO2006/063852 A1などに開示されているビナフチレン誘導体から選択されるバックボーン単位、ならびにWO2005/056633A1、EP1344788A1およびWO2007/043495A1、WO2005/033174 A1、WO2003/099901A1およびDE 102006003710.3などに開示されているさらなるバックボーン単位を含むものである。
【0244】
US5,962,631、WO2006/052457 A2、およびWO2006/118345 A1などに開示されているフルオレン誘導体をベースにしたさらなる適切な複合ポリマー、WO 2003/020790 A1などに開示されているスピロ−ビフルオレン誘導体、WO2005/056633 A1、EP1344788 A1、およびWO2007/043495A1などに開示されているベンゾフルオレン、ジベンゾフルオレン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフルオレン、およびこれらの誘導体。
【0245】
特に好ましい1つの態様において、放射線放射層30はリン光組成物を含む。好ましいリン光組成物は、EP2005005021およびWO2005040302 A1などにおいて開示されている、ホスト物質と放射性の金属錯体の混合物であり、さらに好ましくは、ホスト物質は、DE102009023156.0およびDE102009023154.4における例から開示される非複合ポリマーから選択される。
【0246】
上記に記載したオリゴマー、ポリマー、または小分子および/もしくはポリマーの混合物は、通常の有機溶媒に容易に溶解する。これらは、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、インクジェット印刷、およびローラーコーティングなどの従来の技術によって薄膜またはコーティングに処理加工することができる。硬化時、これらの薄膜は通常の有機溶媒に対する耐性および高熱耐性を実際に示す。
【0247】
本発明によるファイバーOLEDを、浸漬コーティングを用いて大量生産することができるのが好ましい。一般的な一生産ラインを、陽極/HIM/中間層/EML/陰極の構造を有するファイバーOLEDを例として
図12に図示し、この場合、電極は物理的な気相めっきによって沈着させ、有機機能層、HIM、中間層、およびEMLは浸漬コーティングによってコーティングする。物理的な気相めっき方法は、例えば、熱真空蒸着、スパッタリング、陰極アーク沈着(Cathodic Arc Deposition)、パルスレーザー沈着、およびe−ビームなどから選択してもよい。別の特に好ましい生成方法は、
図13に図示するように、全て溶液ベースである。
図12および
図13の両方に用いられる成分を以下の通り説明する:210はファイバーコアであり、130は第1の電極に対する沈着チャンバーであり、200は第2の電極に対する沈着チャンバーであり、240は第1の電極に対する導電物質を含むインクを含んでいる容器であり、140はバッファー物質またはHIMの溶液を含んでいる容器であり、160はHIMまたは中間層物質の溶液または製剤を含んでいる容器であり、180は放射性組成物の溶液または製剤を含んでいる容器であり、250は第2の電極に対する導電物質を含むインクを含んでいる容器であり、150、170、190、220、および230は乾燥剤である。
【0248】
光線療法による、治療上の状態および/または美容上の状態の治療および/または予防および/または診断は、少なくともある場合において、異なる波長の使用を必要とする。1つを超える波長、または1つを超える波長の範囲を放射するデバイスを製造するために、様々な戦略が可能であり、本発明によってその全てが包含される。異なる波長は、異なる波長または異なる波長の範囲の発光する異なる機能物質を有する1つのファイバーにおける1つを超える放射線放射層30の使用によって実現することができる。好ましくは、本発明による発光ファイバーは、3つの、特に好ましくは2つの、極めて特に好ましくは1つの放射線放射層30を含む。
【0249】
本発明内の他所で概略した通り、放射線放射層30は、OLEDにおいて典型的に見出される層または下層の典型的な構造を示す。したがって、放射線放射層30は1以上の層を含むことができる。放射線放射層30は、同じ放射層または異なる放射層のいずれか中に異なる発光物質を含むこともできる。好ましくは、放射線放射層30は、3つの、特に好ましくは2つの、極めて特に好ましくは1つの放射層を含む。好ましくは、放射線放射層30は、3つの、特に好ましくは2つの、極めて特に好ましくは1つの発光物質を含む。放射層は、好ましくは、3つの、特に好ましくは2つの、極めて特に好ましくは1つの発光物質を含む。様々な発光物質が上記に記載する発光物質から選択されるが、任意の他の適する発光物質を用いることができる。2つの発光物質を1つの放射層において用いる場合、2つの発光物質のうち1つの吸収スペクトルが、他の発光物質の放射スペクトルと重複するのが好ましい。
【0250】
発光ファイバーを、
図2a)に図示するn個の別個の放射線放射層30を有し、b)n個の異なる波長または波長の範囲を放射する小セグメントに分割することによって、異なる波長を実現することもできる。1つのファイバーにおいて複数のセグメントを用いる場合、nは好ましくは4であり、特に好ましくは3であり、極めて特に好ましくは2である(
図2bを参照されたい)。しかし、nが1の場合でも、1つのファイバーにおいて複数のセグメントを用いることができる。
【0251】
異なる波長または波長の範囲を放射するデバイスは、
図3および
図4に図示する通り、異なる発光ファイバーを用いることによって得ることもでき、nは上記で定義した通りである。2つの別個の発光ファイバーを含むデバイスが特に好ましい(
図4を参照されたい)。
【0252】
唯一の可能性はデバイスにおいて並行に配列した発光ファイバーである。ファイバーに知られている任意の処理加工を用いることができる。ファイバーは、例えば、
図5に図示する通り、織られていてよい。これによって、異なる波長または波長の範囲を放射するキャンバスを得るために、異なる発光ファイバーを処理加工することができる。異なる波長(複数可)を放射するファイバーが相互に垂直であるように、同じ波長(複数可)を放射するファイバーを相互に並行に配列することができる(
図6)。異なる波長(複数可)を放射するファイバーを、交互の様式で配列することもできる。
【0253】
図7は、プラスターである本発明の発光デバイスの例示の態様を示す。これは、治療する対象にプラスターを付着させるための側面1を含む。これは、例えば、電池、特に印刷電池であってよい電源2も含むことができる。2において、ステアリングユニットも組み入れることができる。プラスターは、透明ではなく、または部分的にのみ透明である反射物質3も含むことができる。反射物質3はデバイスの効率を改善する。デバイスは、発光ファイバー4に応じて異なる波長λ
1からλ
nを放射することができ、nは好ましくは3、特に好ましくは2、極めて特に好ましくは1である。
【0254】
発光ファイバーを含むデバイスは硬くても、または軟質でもよく、軟質には可塑性および弾性の両方が含まれる。好適な物質を選択することによって、発光ファイバーの屈曲性の程度を任意の所望の値に誂えることができる。硬さは、デバイスの硬さ、ファイバーの硬さ、またはデバイスおよびファイバー両方の硬さのいずれかによって実現することができる。デバイス全体は、少なくとも部分的に、発光ファイバーが軟質ではない場合でも軟質であることができる。これは、例えば、ファイバーがデバイス上に配列される場合はファイバーが平行に並ぶように、実現することができる。並行のファイバーを、プラスターなどの軟質の基体上に固定することができ、軟質はファイバーに対して垂直に生じる。ファイバーは硬くても、または軟質でもよく、軟質なファイバーは延性であってよく、すなわちファイバーは破損することなしに可塑的に変形することができ、または弾性であってよく、すなわちファイバーは可逆的に変形し、変形の原因となる力が適用されなくなった後、物体はそのもとの形状にもどる。ファイバーが軟質であるのが好ましい。ファイバーを含むデバイスはしたがって、治療する対象の相観にしたがって任意の形状をとることができ、動きを追跡することができ、その形状を瞬間的に変化させることができる。別の好ましい1つの態様において、ファイバーは可塑的に変形する。ファイバーが、例えば、包帯またはプラスター中に組み入れられる場合、プラスターは治療する対象の相観をとることができる。しかし、これは対象の表面の変化についていくことはできない。可塑性および硬さの程度に応じて、プラスターまたは包帯は治療される表面の部分を安定化させることができる。
【0255】
前記機能物質を、ヒトを治療するためなど、上記で概略した通りに用いることができる。前記機能物質を、動物を治療するためなど、上記で概略した通りに用いることもできる。機能物質は発光ファイバーにおいて用いられ、発光ファイバーは前記治療に用いられるデバイスにおいて用いられる。デバイスはヒトまたは動物対象にデバイスを付着させるための付着手段を備えている。
【0256】
前記機能物質およびそれを含む発光ファイバーでの照射によって処理するのに適するさらなる対象および物体は、例えば、植物、微生物、細菌、真菌、ならびに任意の種類の液体および固体である。微生物には、それだけには限定されないが、細菌および古細菌などの原核生物、原生生物、動物、真菌、および植物などの真核生物が含まれる。好ましい液体はソフトドリンク、飲料、特に好ましくは水および飲用水である。処理するのにさらに好ましい物体は食料品および栄養物である。
【0257】
本発明内にすでに概略した通り、デバイスは、任意の形状を有することができ、硬くても、または軟質でもよい。デバイスは任意の形態のエネルギー供給を必要とする。エネルギー供給はデバイスに直接付随していてよく、またはケーブルなどによって分離されていてよい。電池、特に印刷電池は、治療する対象にとって快適であるデバイスを提供するために、デバイスに付随していてよく、完全に内蔵型の携帯型ユニットを形成する。したがって、照射は、治療する対象の習慣または日常生活を乱さずに、いつでもどこでも行うことができる。本発明によるデバイスの家庭での使用が特に好ましい。デバイスは自分で着脱することができる。これは身体の平坦または非平坦な部分に合わせてもよく、または植込み型プローブであってもよい。
【0258】
本発明内ですでに概略した通り、デバイスは対話型のステアリングユニットを含むことができる。ステアリングユニットはスイッチを連続的な照射からパルス照射への切換えを可能にすることができる。これはまた、放射される照射強度および/または波長の正確な調節を可能にすることができる。ステアリングユニットはデバイスに直接付随していてよい。ステアリングユニットは永続的または一時的な連結によって分離することもできる。デバイスは使い捨てであることができ、病院中または病院外の使用に適する。
【0259】
いずれの場合も、本発明によるデバイスは、携帯使用のための軽量デバイスとして適する。しかし、固定のデバイスも製造することができる。デバイスは、移動的治療、すなわち、対象が自由に動き回ることができる治療を可能にするのに十分携帯型である。デバイスは、治療を殆どどこでも行うことができるように、ヒト対象の自身の時間に引き続き動かすことができる。このためより便利となり、低費用となる(病院における外来患者または入院患者いずれかの滞在を避けることから)。
【0260】
PDTの場合、治療に痛みが伴うことが多い。本発明による移動式デバイスは、曝露がより長期間生じ得るので、より低レベルの光で用いることができる。これにより、病院で用いられる従来の光源からの高照射量によってある患者に引き起こされる痛みの問題が克服される。さらに、より低い照射量は、光医薬品の光脱色の程度を低減するため、PDTにおいてより効果的である。
【0261】
デバイスは、現在の光化学および/または光医薬品の調製物とともに提供されてよい。これは、ゲル剤、軟膏剤、またはクリーム剤の形態であってよい。あるいは、または同様に、デバイスは、光医薬品を含浸させた薄膜とともに提供されてよい。光医薬品調製物が光源と接触している層として提供されるのが典型的である。光医薬品調製物が刺激性の光の周波数に対して透明、または十分に半透明であるならば、得られるデバイスは、光医薬品を患者に適用する別々のステップなしで容易に適用することができる。クリーム剤は光を散乱するが、それでも、光源のスイッチを入れる前にこれらが吸収されるのであれば用いることができる。光医薬品の層は、裏がシリコーンであるシートなど可剥性の放出媒体によって覆われていてよい。光医薬品調製物は、in vivoで有効化合物に代謝される不活性な化合物を含むことができる。光医薬品の送達はイオン泳動によって支援することができる。デバイスからの光の出力はパルス状であってよく、このパルシング、ならびに/または治療する領域の曝露(複数可)の期間および放射される光の強度などのデバイスの機能の他の局面を制御するのに、電子制御回路またはマイクロプロセッサを提供することができる。パルスデバイスは、光化学の調製物、および/または光脱色でき、もしくはin vivoで光脱色可能な化学種に代謝される光医薬品物質とともに提供される。
【0262】
デバイスの出力は、パルス列の形態をとってよく、好ましくはパルスの期間は連続的なパルス間の間隔と実質的に同じである。パルス列の期間は、例えば、前記物質の光脱色の特徴に応じて、20msから2000sの範囲であってよい。
【0263】
付着の手段が、デバイスが患者に付着するのを可能にする接着性の表面を含むのが好ましい。
【0264】
さらに好ましい特徴は、上記の第一の態様に関連する。
【0265】
移動式デバイスが、現在の光化学および/または光医薬品調製物とともに提供されるのが好ましい。調製物およびその送達の好ましい特徴は上記の通りである。特に、光化学および/または光医薬品は、光脱色可能であってよく、またはin vivoで光脱色可能な化学種に代謝されてよい。光源を活性化および非活性化するための手段は、治療する領域の曝露(複数可)の期間および放射される光の強度などのデバイスの機能の他の局面を制御することができる。制御手段が、デバイスによって生成されるパルス列の好ましい特徴の任意の1以上を有するパルス列を放射するための源を包含するのに動作可能であり得るのが好ましい。
【0266】
本発明による適切なデバイスは、スリーブ、包帯、パッド、プラスター、植込み型プローブ、経鼻胃管、胸腔ドレーン、ステント、衣服様デバイス、毛布、寝袋、キャンバス、および任意の種類の衣服、口中の少なくとも1つの歯を覆うデバイスならびにパッチから選択される。
【0267】
デバイスは、ステント、例えば、食道の内部に用いるのに、半径1.25cmから2.25cmの、長さ10cmから12cmの管などのステントとして用いることができる。
【0268】
デバイスは、例えば、乳児の黄疸を治療するために、毛布または寝袋であってよい。現在黄疸に罹患している乳児は両親から隔てられ、目隠しされてインキュベーター中で照射を受けている。これは乳児および両親の両方にとって不快な状況を意味する。さらに、乳児は、大人ができるほど容易に体温を調節することができず、インキュベーター中で温めすぎるのは重大な問題である。軟質の毛布および寝袋により、このような問題なしに乳児を治療する方法がもたらされる。毛布または寝袋によって覆われた乳児を、両親に抱かれて照射することができ、乳児の身体を温めすぎることは従来の治療法に比べてそれほど重大ではない。これは、本発明によるデバイスが動力をあまり必要とせず、ひいては熱をあまり生成しないという事実による。
【0269】
乾癬患者では、身体のひだにプラークがしばしば見られる。従来の光線療法は、光源によって放射された光が身体のひだにおけるプラークに到達しないという事実による問題を表している。OLEDは、乾癬、ならびに身体のひだに見出される他の疾患および/または状態を治療するためにからだのひだに適合するように設計することができる。上記で概略した発光ファイバーおよびそれを含むデバイスの延性のある特徴は、身体のしわにおける治療を意図するデバイスにとって有益であり得る。
【0270】
デバイスは、一般に、治療に必要とされる任意の形態で個々に誂えられてよい。
【0271】
デバイス自体は、治療の間制御された方法において放出される治療薬を含んでいてよい。
【0272】
機能物質を用いて、疾患および/または美容上の状態を治療および/または予防および/または診断するための発光ファイバーを含むデバイスを製造することができる。発光ファイバーが有機発光ダイオード(OLED)を備え、またはそれからなるのが好ましい。
【0273】
本発明による機能物質を、皮膚疾患および/または美容上の皮膚状態を治療および/または予防および/または診断するのに用いることができるのが好ましい。
【0274】
本明細書で用いられる皮膚は、毛髪、鱗屑、羽毛、および爪を含めた外皮系の最大の器官と定義される。皮膚という用語は、舌、粘膜、および歯肉も含む。
【0275】
原則的に、光線療法によって対処することができる任意の治療上および美容上の状態を本発明は包含する。治療上の用語と美容上の用語との間の違いは、上記で概略した通り、個々の状況、状態の重症度、および医師の評価によるものである。本発明において概略する通り、多くの治療上の状態は、疾患の重症度とは独立に、美容上の効果に伴うものである。
【0276】
皮膚疾患および皮膚に関連する状態には、それだけには限定されないが、ざ瘡様発疹、自己炎症性皮膚疾患または状態、慢性の発斑(blistering)、粘膜の状態、皮膚付属器の状態、皮下脂肪の状態、結合組織病、皮膚線維および弾性組織の異常、皮膚および皮下の増殖、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、膿疱性皮膚炎、脂漏性皮膚炎および湿疹、皮膚沈着の障害、薬疹、内分泌腺関連疾患および状態、表皮母斑の疾患および状態、新生物、嚢胞、紅斑、遺伝性皮膚症、感染関連の疾患および状態、細菌関連の疾患および状態、マイコバクテリウム関連の疾患および状態、真菌症関連の疾患および状態、寄生虫の侵襲、刺し傷、および咬傷、ウイルス関連の疾患および状態、苔癬様発疹、リンパ関連の疾患および状態、色素細胞性母斑および新生物、単球およびマクロファージ関連の疾患および状態、ムチン沈着症、神経皮膚の、非感染性免疫不全関連の疾患および状態、栄養関連の疾患および状態、丘疹鱗屑性の角化関連の疾患および状態、掻痒性関連の疾患および状態、乾癬(軽度、軽度から重度、および重度)、反応性の好中球性疾患および状態、不応性の手掌足底の発疹、代謝における誤りに起因する疾患および状態、物理的要因に起因する疾患および状態、蕁麻疹および血管性浮腫、血管関連の疾患および状態、ならびに歯周病、または歯肉の他の疾患および状態が含まれる。
【0277】
皮膚関連の疾患および状態には、皮膚腫瘍、前癌性腫瘍、悪性腫瘍、細胞癌、二次転移、放射線皮膚炎、および角化症も含まれる。
【0278】
創傷の治癒も、皮膚疾患および皮膚関連の状態に割り当てられてよい。創傷治癒は、本明細書により、治療する対象の外部表面、その内部部分、皮膚、眼、爪または爪床、対象の口における任意の表面、および粘膜、歯肉、血管系の上皮表面、または対象の身体の他の部分に生じる。
【0279】
本発明による機能物質を含むファイバーデバイスを、皮膚のケアおよび皮膚の修復のための、例えば、光プラスター(light plaster)として用いることができる。前記デバイスによって放射される波長または波長の範囲は、400nmから800nmの間の、好ましくは450nmから750nmの間の、特に好ましくは500nmから700nmの間の、極めて特に好ましくは580nmから640nmの間の範囲にある。
【0280】
本発明による機能物質を、ざ瘡、乾癬、湿疹、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、浮腫、白斑、ボーエン病、腫瘍、前癌腫瘍、悪性腫瘍、基底細胞癌、扁平上皮癌、二次転移、皮膚T細胞リンパ腫、日光角化症、ヒ素角化症、放射線皮膚炎、およびセルライトから選択される皮膚疾患および/または美容上の皮膚状態の治療および/または予防および/または診断に用いることができるのが好ましい。
【0281】
さらに好ましい皮膚疾患および皮膚関連の状態は、乾癬、多形日光疹、日光蕁麻疹、光線性類細網症、アトピー性湿疹、白斑、掻痒、扁平苔癬、初期皮膚T細胞リンパ腫、皮膚描記症、および苔癬様粃糠疹から選択される。好ましくは、これらの疾患および状態を、200nmから500nmの間の、特に好ましくは250nmから400nmの間の、極めて特に好ましくは270nmから350nmの間の波長または波長の範囲を有する光で治療する。
【0282】
本発明による機能物質およびそれを含むファイバーデバイスをPUVA治療に用いることができる。PUVA治療は、ソラレン(7H−フロ[3,2−g]クロメン−7−オン)およびその誘導体のUV−A光と一緒の治療的適用から派生する。PUVAは、過剰増殖性の状態を特徴とする皮膚疾患の治療に用いることができる。ソラレンは天然物のファミリーにおける親化合物である。ソラレンはクマリンに構造的に関連しており、好ましくは、乾癬、湿疹、白斑、菌状息肉症、皮膚T細胞リンパ腫、および他の自己免疫疾患の治療に用いることができる。PUVAで、アトピー性湿疹、扁平苔癬、色素性蕁麻疹、多形日光疹、および円形脱毛症も治療することができる。
【0283】
ソラレンは、経口的に、または皮膚に対して局所的に投与することができる。好ましい化合物は、ソラレン、8−メトキシソラレン(8−MOP)、5−メトキシソラレン(5−MOP)、および4,5’,8−トリメチルソラレン(TMP)である。8−MOPを経口投与した後、患者は徐々にUV−Aに対して反応性になり、したがって光化学療法的治療に反応性になる。患者は、薬物摂取2時間から3時間後に最大に反応性であり、この期間の間に照射を行う。
【0284】
白斑の場合、ソラレンの代わりにケリンを用いることができる。光とケリンの併用治療は、しばしばKUVAと呼ばれる。
【0285】
本発明による機能物質およびそれを含むファイバーデバイスを光フェレーシスにも用いることができる。光フェレーシスは、それによって末梢血が体外の流通系において光活性化の5−MOPに曝露されるプロセスであり、異常なTリンパ球によって引き起こされる障害に対する治療を代表する。光フェレーシスは進行した皮膚T細胞リンパ腫、尋常性天疱瘡、および進行性全身性全身性硬化症(強皮症)に対する治療法である。光フェレーシスは自己免疫障害を治療するのに用いることができる。治療することができるさらなる疾患には、多発性硬化症、臓器移植拒絶、関節リウマチ、およびAIDSが含まれる。
【0286】
本発明は、ざ瘡様発疹を治療するための、前記機能物質およびそれを含むデバイスに特に関する。ざ瘡様発疹という用語は、尋常性ざ瘡、酒さ、毛包炎、および口囲皮膚炎の群に関する。ざ瘡様発疹は、一般的に言えば、毛包脂腺系における変化によって引き起こされ、マヨルカざ瘡(Mallorca acne)、集簇性ざ瘡、化粧ざ瘡、電撃性ざ瘡(急性の熱性の潰瘍性のざ瘡)、ざ瘡ケロイド(項部ケロイド状ざ瘡、頭部乳頭状皮膚炎、ケロイド性毛包炎、項部ケロイド性毛包炎、項部ケロイドざ瘡(nuchal keloid acne))、機械的ざ瘡(acne mecanica)、薬剤性ざ瘡、壊死性粟粒性ざ瘡(acne miliaris necrotica)(痘瘡状ざ瘡)、尋常性ざ瘡、顔面浮腫を有するざ瘡(顔面充実性水腫(solid facial edema))、ざ瘡様発疹、眼瞼腫瘍、毛細血管拡張性酒さ(erythrotelangiectatic rosacea)(紅斑性毛細血管拡張性酒さ(erthemaotelangiectatic rosacea))、表皮剥離したざ瘡(excoriated acne)(若い女性の表皮剥離したざ瘡(acne excoriee des jeunes filles)、ピッカーズざ瘡(Picker’s acne))、腺性酒さ(glandular rosacea)、顎腫瘤(gnathophyma)、グラム陰性酒さ、肉芽腫性顔面皮膚炎(granulomatous facial dermatitis)、肉芽腫性口囲皮膚炎(granulomatous perioral dermatitis)、ハロゲンざ瘡、化膿性汗腺炎(逆性ざ瘡(acne inversa)、ヴェルネーユ病)、特発性顔面肉無菌性芽腫(idiopathic facial aseptic granuloma)、乳児のざ瘡、狼瘡様酒さ(肉芽腫性酒さ、微丘疹状結核疹(micropapular tuberculid)、Lewandowskyの酒さ様結核疹)、顔面播種状粟粒性狼瘡、メトフィマ(metophyma)、新生児ざ瘡(小児ざ瘡(acne infantum)、新生児ざ瘡(acne neonatorum))、職業性ざ瘡、眼の酒さ(目の酒さ(ocular rosacea)、眼科酒さ(ophthalmorosacea))、耳腫瘤(otophyma)、酒さの持続的な浮腫(慢性の顔面上部の紅斑性浮腫、モルビアン病(Morbihan’s disease)、バラ形のリンパ水腫(Rosaceous lymphedema))、ポマードざ瘡、丘疹膿疱酒さ、膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎(頭皮の解離性蜂巣炎(dissecting cellulitis of the scalp)、解離性毛包炎(dissecting folliculitis)、Hoffmanの膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎)、眼窩周囲の皮膚炎、(眼周囲の皮膚炎)、顔面膿皮症(劇症酒さ(rosacea fulminans))、酒さ鼻、酒さ(酒さ性ざ瘡)、凝塊形成性酒さ(rosacea conglobata)、劇症酒さ、SAPHO症候群、ステロイド酒さ、熱帯ざ瘡から選択される。
【0287】
尋常性ざ瘡(通常ざ瘡と呼ばれている)は、アンドロゲンの刺激によって、毛包およびその関連する皮脂腺からなる皮膚構造である毛包脂腺系における変化によって引き起こされる、一般的な皮膚の状態である。これは、非炎症性の毛包性丘疹および面皰を特徴とし、より重症の形態において炎症性の丘疹、膿疱、および小結節を特徴とする。尋常性ざ瘡は、皮脂腺の密度が最も密である皮膚の領域に罹患し、これらの領域には、顔面、胸部の上部、および背部が含まれる。重症のざ瘡は炎症性であるが、ざ瘡は非炎症性の形態において顕在化することもある。ざ瘡の病変は一般ににきび(pimple)、キズ(blemish)、スポット(spot)、ジット(zit)、または単にざ瘡と呼ばれる。
【0288】
ざ瘡は青年期の間に最も一般的に生じ、十代の89%を超えて罹患し、しばしば成人まで続く。思春期において、ざ瘡は通常、男性の性ホルモンの増大によって引き起こされ、思春期の間男女両方の人々に生じる。殆どの人々では、ざ瘡は経時的に減少し、または少なくとも二十代初期に到達した後は、消失する傾向がある。しかし、ざ瘡が完全に消失するまでどのくらいかかるかを予想する方法はなく、三十代、四十代、およびそれをすぎてもこの状態を持ち越す個体もある。
【0289】
顔面および頸部の上部が最も一般的に罹患するが、胸部、背部、および肩もざ瘡を有することがある。上腕もざ瘡を有することがあるが、そこに見られる病変は毛孔角化症であることが多い。典型的なざ瘡の病変は、面皰、炎症性の丘疹、膿疱、および小結節である。大型の小結節のいくつかは嚢胞とも呼ばれ、ノジュロシスティック(nodulocystic)という用語が炎症性ざ瘡の重症な症例を記載するのに用いられている。
【0290】
ざ瘡の主な影響は、瘢痕のほかに、自尊心の低下、場合によってはうつまたは自殺など心理的なものである。ざ瘡は通常思春期の間に出現するが、思春期には人々はすでに社会的に最も不安である傾向がある。したがって、個々への全体的な影響を低減するために、初期の積極的な治療を提唱するものもいる。
【0291】
ざ瘡に対する治療として光への曝露を用いることができる。光への曝露は、週に2回用いることで、ざ瘡の病変数を約64%低減することが示されており、毎日適用した場合にさらにより効果的である。そのメカニズムは、420nm以下の波長の光を照射すると、P.acnes内に生成されるポルフィリン(コプロポルフィリンIII)がフリーラジカルを産生することと思われる。特に、数日にわたって適用した場合、これらのフリーラジカルは最終的に細菌を死滅させる。ポルフィリンは他の場合には皮膚中に存在せず、UV光は使用されないので、安全であると思われる。
【0292】
治療は、紫色/青色光と赤色の可視光(例えば、660nm)の混合とともに用いた場合に、さらに良好に作用すると思われ、毎日の治療を3ヶ月行った後80%の患者に病変の76%の低減がもたらされ、全体のクリアランスは過酸化ベンゾイルと同様またはそれより良好であった。他の殆どの治療と異なり、あるとしてもごくわずかの負の副作用しか経験されないのが典型的であり、治療に対する細菌の耐性の発生は殆どありえないと思われる。治療後、クリアランスは、局所的または経口の抗生物質治療に典型的であるよりも長続きすることがあり、数ヶ月というのも珍しくない。さらに、皮膚科学者による基礎科学研究および臨床研究により、強力な青色/紫色光(405nmから425nm)は、特に、ポルフィリンの生成を増大するデルタ−アミノレブリン酸(ALA)でP.acnesを前治療した場合に、治療4週間で炎症性ざ瘡の病変数を60%から70%低減することができる証拠がもたらされている。
【0293】
したがって、本発明は、機能物質およびそれを含むデバイス、ならびに疾患および/または美容上の状態を治療するためのさらなる有効薬物の組合せに関する。特に、本発明は、前記機能物質およびざ瘡の治療に用いる薬物の併用使用に関する。薬物は、ざ瘡を治療するために、典型的に用いられる任意の薬物、例えば、抗生物質(局所および/または経口の)、ホルモン治療、局所のレチノイド、局所の殺菌薬、イオウから選択することができる。適切な局所殺菌薬には、例えば、過酸化ベンゾイル、トリクロサン、およびグルコン酸クロルヘキシジンがある。適切な局所の抗生物質には、例えば、エリスロマイシン、クリンダマイシン、およびテトラサイクリンがある。適切な経口の抗生物質には、例えば、エリスロマイシン、テトラサイクリン抗生物質(例えば、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、またはリメサイクリン)、トリメトプリム、およびミノサイクリンがある。
【0294】
適切なホルモンは、例えば、エストロゲン、プロゲストゲン、エストロゲンとプロゲストゲンとの組合せ、シプロテロン、エストロゲン、シプロテロンとエストロゲンとの組合せ、ドロスピレノン、スピロノラクトン、およびコルチゾンから選択される。適切な経口レチノイドには、例えば、ビタミンA誘導体、例えば、イソトレチノイン(例えば、Accutane、Amnesteem、Sotret、Claravis、Clarus)がある。適切な局所レチノイドには、例えば、トレチノイン(例えば、Retin−A)、アダパレン(例えば、Differin)、タザロテン(例えば、Tazorac)、イソトレチノイン、およびレチノールがある。さらなる適切な薬物は、例えば、抗炎症薬から選択される。
【0295】
本発明による組成物およびそれを含むデバイスは、ざ瘡を治療または防止するための剥皮術と組み合わせて用いることもできる。剥皮術は、皮膚の表面を剥離(研磨)によって除去する美容的医学的手順である。
【0296】
本発明には任意の治療的戦略が含まれる。薬物を、例えば、最初に特定の期間に投与し、その後本発明による組成物を用いた光線療法を適用することができる。両方の治療の間の時間の間隙は、薬物、その光反応性、対象の個々の状況、および特定の疾患または状態に応じて変化することもある。両方の治療は、部分的に、または完全にいずれかで折よく重複してもよい。正確な治療の戦略は個々の状況、および疾患または状態の重症度による。
【0297】
併用治療には相乗効果があることがあり、伝統的な治療の戦略の副作用(例えば、テトラサイクリンの副作用)を低減することがある。これは、本明細書に概略する併用の取組み後により少ない用量の薬物が必要とされ得るという事実による。
【0298】
面皰は黒色面皰とも呼ばれ、前記機能物質およびそれを含むデバイスを用いて光線療法によってやはり治療することができる。面皰は、皮膚上の黄色または黒みがかった隆起または栓である。実際、これは尋常性ざ瘡の1タイプである。面皰は、皮脂腺の管中に蓄積した過剰の油によって引き起こされる。これらの隆起中に見出される物質は殆どケラチンおよび修飾された皮脂からなっており、酸化すると色が濃くなる。黒色面皰がしばしば生じる場合、毛庖の詰まりが光を不規則的に反射して面皰を生成する。この理由で、妨害物を孔から引き出した場合に必ずしも黒色に見えないこともあるが、メラニンを含む結果、より黄色−褐色を有することがある。
【0299】
これとは対照的に、いわゆる稗粒腫は閉鎖面皰とも呼ばれ、同じ物質である皮脂で満たされている濾胞であるが皮膚表面に微視的な開口を有する。空気が濾胞に到達することができないので、物質は酸化されず、白いままである。
【0300】
本発明による機能物質を含む前記ファイバーデバイスは、好ましくは、ざ瘡の治療に用いられる場合、350nmから900nmの間の、好ましくは380nmから850nmの間の、特に好ましくは400nmから850nmの間の、極めて特に好ましくは400nmから800nmの間の範囲の発光する。
【0301】
ざ瘡の治療にさらに特に好ましい光は青色光である。ざ瘡の治療に好ましい青色光は、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、および430nmである放射波長を有する。例えば、P.acnes細菌を死滅させ、存在するキズの治癒を助け、さらなる大発生を防ぐために、414nmおよび415nmが特に適切である。ざ瘡を治療するための光線療法の適用に対する研究により、異なる波長または波長の範囲の組合せがざ瘡を効率的に治療するのに特に適することが明らかになった。したがって、ざ瘡を治療するために赤色光と青色光の組合せが特に好ましい。前記赤色光は、好ましくは590nmから750nmの間の、特に好ましくは600nmから720nmの間の、極めて特に好ましくは620nmから700nmの間の範囲から選択される。ざ瘡の治療に好ましいさらなる2つの波長は633nmおよび660nmである。上記に記載した波長から青色光が選択されてよい。
【0302】
面皰の場合、前記ファイバーデバイスが500nmの波長を有する発光するのが好ましく、または500nmから700nmの間の範囲の光が特に好ましい。
【0303】
セルライトは、殆どの女性に生じると主張されている状態を記載するものであり、下肢、腹部、および骨盤領域がさざ波状になる。セルライトの原因はあまり理解されておらず、性別、特定の二形性の皮膚構造、結合組織構造の改変、血管の変化、および炎症プロセスなどの代謝および生理学における変化を伴い得る。セルライトを防止または治療するのに2、3の治療法が適用される。加熱および血流の増加が2つの一般的な技術である。したがって、光療法はセルライトに悩む個体に有益であると考えられる。前記機能物質およびそれを含むファイバーデバイスはセルライトの治療および/または予防に適する。PDTもセルライトの治療および/または予防に適する。
【0304】
機能物質を含む前記ファイバーデバイスによって放射される、セルライトの治療および/または予防のための波長は、400nmから1000nmの間の範囲、好ましくは400nmから900nmの間の範囲、特に好ましくは450nmから900nmの間の、極めて特に好ましくは500nmから850nmの間にある。
【0305】
より一般的な語である皮膚の加齢は、しわの生成および色素沈着過剰の両方を意味する。皮膚の内因性および外因性の要因に対する効果に起因するヒトの皮膚の加齢の徴候は、しわおよび細腺の出現によって、色素沈着のキズの外見とともに萎びた外見を発生させる皮膚の黄ばみによって、角質層および表皮の肥厚ならびに真皮の菲薄化を一般的にもたらす皮膚の厚さにおける変化によって、弾性の、軟質の、および堅さの喪失を引き起こすエラスチンおよびコラーゲン線維の組織崩壊によって、ならびに毛細血管拡張症の出現によって規定される。
【0306】
これらの徴候のいくつかは内因性または生理学的な加齢と、すなわち、年齢に付随する「正常の」加齢とより特別に関連しており、他者は外因性の加齢と、すなわち、一般に環境によって引き起こされる加齢により特異的であり、このような加齢は、日光への曝露による、より詳しくは光加齢である。皮膚の加齢を引き起こす他の要因には、大気汚染、創傷、感染症、外傷性全身障害、無酸素症、喫煙、ホルモン状態、神経ペプチド、電磁場、重力、生活様式(例えば、アルコールの過剰摂取)、反復性の表情、睡眠時の体勢、および心理学的ストレッサーがある。
【0307】
内因性の加齢のために生じる皮膚における変化は、外因性の要因を伴う遺伝的にプログラムされた配列の結果である。この内因性の加齢は、特に、皮膚細胞の再生の減速を引き起こすが、これは、皮下脂肪組織の低減、および細腺または小じわの出現などの臨床的な損傷の出現において、ならびに弾性線維の数および厚さにおける増大、弾性組織膜からの垂直方向の繊維の喪失、およびこの弾性組織の細胞における大型で不規則な線維芽細胞の存在などの組織病理学的変化において、本質的に反映される。
【0308】
これとは対照的に、外因性の加齢は、厚いしわ、およびたるんで日焼けした皮膚の形成などの臨床的な損傷をもたらし、ならびに真皮上層における弾性物質の過剰沈着、およびコラーゲン線維の分解などの組織病理学的変化をもたらす。
【0309】
皮膚の加齢の原因となる様々な生物学的メカニズムおよび分子メカニズムが存在し、そのプロセスは現在完全に理解されていない。しかし、皮膚の加齢の内因性および外因性両方の要因は、共通のメカニズムを共有していることが認められた[P.U.Giacomoniら、Biogerontology、2004年、2巻、219〜229頁]。これらの要因は、皮膚の加齢をもたらす皮膚における損傷の蓄積を導くプロセスを誘発する、というのは細胞接着分子の発現は、コラゲナーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、および活性酸素種を分泌することによって細胞外マトリックス(ECM)を消化する循環する免疫細胞の動員および血管外漏出を誘発するからである。
【0310】
これら溶解性のプロセスの活性化はこれら常在細胞の無作為な損傷を誘発し、このため次にプロスタグランジンおよびロイコトリエンが分泌される。これらのシグナル伝達分子は、オータコイドであるヒスタミンおよびサイトカインTNFαを放出する常在性の肥満細胞の脱顆粒を誘発し、ゆえに隣接する毛細血管の内壁のPセレクチンを放出する内皮細胞、ならびにEセレクチンおよびICAM−1などの細胞接着分子の合成を活性化する。これは自己保持されている微小炎症サイクルを閉じ、そのためECM損傷の蓄積、すなわち皮膚の加齢がもたらされる。
【0311】
皮膚の加齢を治療または予防するための新規な戦略、材料、およびデバイスに対して、強力な美容上および治療上の必要性が存在する。とりわけ皮膚の加齢を防ぎ、または治療することが意図される様々な美容上および治療上の組成物(皮膚ケアを含めた)が知られている。レチノイン酸およびその誘導体は、特にUS4603146において、皮膚ケア上の、美容上の、または皮膚科学上の組成物における抗加齢物質として記載されている。乳酸、グリコール酸、または代替としてクエン酸などのヒドロキシ酸もこの同じ適用で知られており、これらの酸は多くの特許および公開(例えば、EP−A−413528)において記載されており、市場の多くの皮膚ケアの、美容上の、または皮膚科学上の組成物に紹介されている。サリチル酸などの芳香族オルトヒドロキシ酸も提唱されている(例えば、WO93/10756およびWO93/10755)。
【0312】
これらの化合物は全て剥離によって、すなわち角質層の表面の死細胞の除去によって、皮膚の加齢に対抗して作用する。この剥離は角質溶解性の性質とも呼ばれる。しかし、これらの化合物にもひりひりおよび発赤からなる副作用があり、ユーザーは不快と感じる。したがって、既知の化合物として少なくとも同等に有効であるがこれらの欠点を示さない、抗加齢の戦略に対する必要性がある。皮膚の加齢を治療または防止する確立された戦略と異なり、微小炎症のカスケードに非常に初期の段階で介入するのは新規な概念であり、本発明にしたがって内因性および外因性の皮膚の加齢を治療および防止することは、他の戦略から知られる欠点のない戦略を代表するものである。
【0313】
光線療法は、皮膚の加齢を治療する新たな方法を提供する。したがって、本発明の別の一目的は、皮膚の加齢の治療および/または予防のための、前記機能物質およびそれを含むファイバーデバイスの使用である。これは、本発明は、とりわけ皮膚の若返りのための、およびしわの形成の低減または防止のための溶液を提供することを意味する。
【0314】
前記ファイバーデバイスによって放出される皮膚の加齢の治療のための波長は、400nmから950nmの間の範囲にある。波長が550nmから900nmの間の範囲にあるのが好ましく、550nmから860nmの間の範囲にあるのが特に好ましい。
【0315】
機能物質を含むファイバーデバイスは、本発明の他の態様にも適用する異なる波長または波長の範囲の光も放射することができる。
【0316】
本発明の別の好ましい1つの態様において、皮膚の加齢の治療に用いられる機能物質を含む前記ファイバーデバイスは、600nmから650nmの範囲の、特に好ましくは620nmから650nmの間の範囲の発光する。
【0317】
皮膚の加齢の治療および/または防止に用いられる前記ファイバーデバイスは、好ましくは、350nmから950nmの間の、好ましくは380nmから900nmの間の、特に好ましくは400nmから900nmの間の範囲の発光する少なくとも1つの有機エレクトロルミネセンス化合物を含んでいる。
【0318】
皮膚の加齢の治療および/または予防にさらに特に好ましい光は青色光である。好ましい青色光は、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、および430nmである皮膚の加齢の治療および/または予防のための波長を有する。例えば、415nmが特に適切である。
【0319】
皮膚の加齢の治療および/または予防にさらに特に好ましい光は、400nmから900nmの間の波長を有する。
【0320】
皮膚の若返りも、830nmまたはその値をわずかに下回りもしくは上回る波長の光で実現することができる。したがって、700nmから1000nmの間の、好ましくは750nmから900nmの間の、特に好ましくは750nmから860nmの間の、極めて特に好ましくは800nmから850nmの間の範囲の発光する本発明によるファイバーデバイスもまた、本発明の目的である。対象の皮膚の発赤も、本発明によるファイバーデバイスによって治療することができる。前記デバイスによって放射される、発赤の治療および/または予防のための波長は、460nmから600nmの間の範囲である。波長が500nmから620nmの間の範囲であるのが好ましく、540nmから580nmの間の範囲であるのが特に好ましい。この目的の特に好ましい一波長は560nmである。
【0321】
対象の皮膚炎を前記ファイバーデバイスによって治療することができる。ファイバーデバイスによって放射される、皮膚炎の治療および/または予防のための波長は、470nmから670nmの間の範囲である。波長が490nmから650nmの間の範囲であるのが好ましく、530nmから610nmの間の範囲であるのが特に好ましい。この目的に特に好ましい2つの波長は550nmおよび590nmである。
【0322】
対象のアトピー性湿疹を本発明によるファイバーデバイスによって治療することができる。前記ファイバーデバイスによって放射される、アトピー性湿疹の治療および/または予防のための波長は、470nmから670nmの間の範囲である。波長が490nmから650nmの間の範囲であるのが好ましく、530nmから610nmの間の範囲であるのが特に好ましい。この目的に特に好ましい一波長は320nmである。
【0323】
乾癬を本発明による前記デバイスによって治療することができる。前記デバイスによって放射される、乾癬の治療および/または予防のための波長は、240nmから600nmの間の範囲である。波長が290nmから500nmの間の範囲であるのが好ましく、300nmから480nmの間の範囲であるのが特に好ましい。乾癬の治療に特に好ましい波長の例は、310、311、320、400、410、および420nmである。
【0324】
白斑を本発明によるファイバーデバイスによって治療することができる。前記ファイバーデバイスによって放射される、白斑の治療および/または予防のための波長は、240nmから500nmの間の範囲である。波長が290nmから400nmの間の範囲であるのが好ましく、300nmから330nmの間の範囲であるのが特に好ましい。この目的に特に好ましい一波長は、311nmである。
【0325】
標的化した光線療法により、健常な皮膚への曝露を最小にし、特定の皮膚疾患に対する紫外光の治療的投薬が可能になっている。特に、紫外B範囲内の308nmの波長の光が、白斑、乾癬、ならびに瘢痕、白色線条、およびCO2レーザー後の表面再建に付随する白斑を含めた多くの皮膚疾患に特に効果的であることが示されている。
【0326】
本発明によるファイバーデバイスは浮腫の治療にも用いることができる。浮腫は、以前は水症または水腫として知られており、皮膚の下の、または身体の1つもしくは複数の腔における体液の異常な蓄積である。一般的に、間質液の量は体液のホメオスタシスのバランスによって決定され、間質中への体液の分泌の増加、またはこの体液の除去の障害が浮腫を引き起こし得る。浮腫の形成には5つの要因が寄与し得:(1)血管内の静水圧の増大もしくは膠質浸透圧の減少によって、または(2)炎症における血管壁の透過性の増大によって、または(4)リンパ管による体液の排除の閉塞によって、または(5)組織自体の水保持性質における変化によって促進され得る。静水圧の増大は、腎臓による水およびナトリウムの貯留を反映することが多い。
【0327】
浮腫の治療に用いられる本発明によるファイバーデバイスは、760nmから940nmの間の、好ましくは780nmから920nmの間の、特に好ましくは800nmから900nmの間の、極めて特に好ましくは820nmから880nmの間の範囲の発光する少なくとも1つの有機エレクトロルミネセンス化合物(機能物質である)を含むのが好ましい。
【0328】
浮腫の治療にさらに特に好ましい一つの放射波長は850nmである。
【0329】
本発明による機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスを、感染症、ならびに炎症性、神経学的、および心理学的疾患および/または状態の、治療および/または予防および/または診断にも用いることができる。
【0330】
多くの炎症性疾患、障害、および状態を光線療法で治療することができる。したがって、少なくとも1つの有機発光デバイスを含む、炎症性疾患の治療および/または予防および/または診断のためのデバイスの製造のための前記機能物質の使用も、本発明の目的である。
【0331】
炎症性疾患および状態は広範囲の徴候を包含する。外見上炎症に無関係である多くの疾患または状態が、本発明による機能物質で治療することができる炎症性の構成要素を有する。ざ瘡、感染、アトピー性皮膚炎、湿疹など、本発明において言及する皮膚疾患および状態は全て炎症性の構成要素を有する。本発明による機能物質で治療することができるさらなる炎症性疾患および状態の非限定的な選択には、関節炎、炎症性腸疾患、歯肉炎症、粘膜の炎症、爪床の炎症、動脈硬化症、および血管系の炎症がある。
【0332】
炎症の治療および/または予防に好ましい波長は、350nmから900nmの間の、特に好ましくは380nmから900nmの間の、極めて特に好ましくは400nmから860nmの間の範囲にある。炎症の治療および/または予防にさらに好ましい波長は、405nm、420nm、および850nmである。
【0333】
前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスを感染症の治療および/または予防に用いることができる。感染症は細菌およびウイルスによって引き起こされ得る。光は感染症に対していくつかのプラス効果を有する。光は、例えば、本発明内の他所で概略した通り、組織の刺激によって抗炎症効果を有する。
【0334】
前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスでの光線療法は創傷を治療するための使用に有益である。創傷治癒は炎症に関連することが多い。したがって、炎症の治療および/または予防に概略したのと同じ波長および波長の範囲を適用することができる。光線療法による創傷の治療はまた、瘢痕の形成を防ぐ。創傷およびまたは瘢痕の治療および/または予防に特に好ましい波長は、600nmから950nmの間の、極めて特に好ましくは650nmから900nmの間の範囲にある。創傷および瘢痕の治療および/または予防にさらに好ましい波長は、660nm、720nm、および880nmである。
【0335】
前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスで効率的に治療することができるさらなる感染症は、細菌によって引き起こされるものである。
【0336】
前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスで効率的に治療することができる他の感染症は、ウイルスによって引き起こされるものである。本発明の好ましい1つの態様は、特に、サイトメガロウイルス(CMV)、脳心筋炎ウイルス(EMCV)、ポリオウイルス、インフルエンカ(influenca)ウイルス、パラインフルエンザ呼吸器インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、F型肝炎ウイルス(HFV)、G型肝炎ウイルス(HGV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、ヒト免疫不全ウイルス2型(HIV−2)、帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、特に単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、またはヒトヘルペスウイルス1、2、3、4、7、または8、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、ロタウイルス、パピローマウイルス、およびヒトパピローマウイルス(HPV)、特に、1、2、3、4、5、8、9、11、12、13、14、15、16、17、18、19〜29、31、32、34、36〜38、46〜50、56、または58型のHPVによって引き起こされるウイルス感染症の治療および/または予防のための、前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスの使用である。
【0337】
特に、陰部いぼ、パピローマウイルスによって引き起こされる皮膚および/または粘膜の良性腫瘍、特に足底疣贅、尋常性疣贅、青年性扁平疣贅(verrucae planae juveniles)、疣贅状表皮発育異常症、尖圭コンジローマ、扁平コンジローマ(Condylomata plana)、ボーエン様丘疹症、喉頭および口の粘膜上のパピローマ、局所性上皮肥厚、口唇ヘルペス、水痘、および帯状疱疹などのウイルス性皮膚疾患および/または腫瘍障害を、前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスで治療することができる。
【0338】
本発明の特に好ましい1つの態様において、前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスをいぼの治療および/または予防に用いることができる。前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスでのパルス光療法は、いぼを治療する一方法であってよい。
【0339】
神経学的または心理学的疾患および/または状態の治療および/または予防のための前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスも、本発明の目的である。
【0340】
本発明による好ましい神経学的疾患はパーキンソン病(MB)である。光があるレベルの強度に到達すると、メラトニンを阻害し、これは次にドーパミンの生成を制限する。メラトニンを制限することにより、脳においてドーパミンがより生成され、より用いられるようになると想定されている。高照度光療法を伴うMB患者に対する光療法の最近の症例研究は肯定的な結果となっており、90分間曝露しただけで殆どの患者における運動緩徐および硬直に顕著な改善があった。
【0341】
本発明によるさらに好ましい神経学的および心理学的疾患および/または状態は、気分および睡眠に関連するものである。光は、多くの状況において気分に対して有益であることがよく知られている。光線療法は、うつ病、季節的情動障害(SAD)、非季節的うつ病、概日リズム睡眠障害(慢性概日リズム睡眠障害(CRSD)、状況的CRSD)を治療するためにも用いることができる。
【0342】
米国国立医学図書館(US National Library of Medicine)は、季節の変わり目に重篤な気分の変化を経験する人がいると言及している。これらの人は、眠りすぎ、エネルギーがあまりなく、甘いものや澱粉の多い食べ物をむしょうに欲しがることがある。これらの人は落ち込みを感じることもある。症状は重篤であることがあるが、通常は治癒する。夏における状態は可逆性季節的情動障害としばしば呼ばれ、不安の高まりも含まれることがある。米国における成人の1.5%から9%がSADを経験していると推定されている。
【0343】
高照度での光療法、抗うつ薬薬物療法、認知行動療法、イオン化空気の適用、およびメラトニンホルモンの注意深く時間を定めた補充など、古典的な(冬ベースの)季節的情動障害に対して様々な治療が存在する。
【0344】
前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスによって放射される、これら神経学的および精神学的疾患および/または状態の治療および/または予防のための波長は、350nmから600nmの間の範囲にある。波長が400nmから550nmの間の範囲にあるのが好ましく、440nmから500nmの間の範囲にあるのが特に好ましい。この目的に特に好ましい2つの波長は460nmおよび480nmである。
【0345】
前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスを、疼痛の治療および/または予防にも用いることができる。光線療法による疼痛の軽減はよく知られている。光線療法で上首尾に治療することができる疼痛は、以下の条件により作り出される:手根管症候群、慢性の創傷、上顆炎、頭痛、片頭痛、足底筋膜炎、腱炎(tendonditis)および滑液包炎、頸部痛、背部痛、筋肉痛、三叉神経痛、およびむち打ち症に関連する傷害。
【0346】
筋肉痛を、赤色または赤外発光する前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスで治療するのが好ましい。
【0347】
円形脱毛症は、身体のいくつかの領域または全ての領域、通常は頭皮から毛髪が失われる、ヒトが罹患する状態である。円形脱毛症では、特に最初の段階において、頭皮上に無毛のスポットが生じるので、円形はげ(spot baldness)と呼ばれることがある。1%から2%の場合において、状態は頭皮全体(全頭脱毛症)または表皮全体(汎発性脱毛症)に広がり得る。円形脱毛症に類似する状態、および同様の原因を有する状態は他の種にも生じる。
【0348】
円形脱毛症(自己免疫性脱毛)は、前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスで治療することができる。前記機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスによって放射される、円形脱毛症の治療および/または予防のための波長は、240nmから500nmの範囲にある。波長が290nmから400nmの間の範囲にあるのが好ましく、300nmから330nmの間の範囲にあるのが特に好ましい。この目的に特に好ましい一波長は311nmである。
【0349】
本発明による機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスを、飲料および栄養物の消毒にも用いることができる。
【0350】
消毒としての光の使用はよく知られている。前記機能物質およびそれを含む発光ファイバーデバイスを消毒に用いることができる。本明細書による任意の種類の消毒は、制限なく、創傷、栄養物、ならびに固体および液体の物体、例えば、化粧品、医療機器、外科手術および飲料に用いられるデバイスを意味し、これらを含む。
【0351】
前記機能物質およびそれを含む発光ファイバーデバイスを、飲料、好ましくは水、特に好ましくは飲用水の消毒に用いるのが好ましい。汚染された水は世界中で多くの感染症を引き起こし、しばしば個体の重症疾患または死をもたらす。前記機能物質およびそれを含む発光ファイバーデバイスにより、水を消毒する簡単な手段が提供される。商業上の業者の水ろ過システムは、イオン交換技術を利用するものである。しかし、フィルターは微生物汚染の傾向がしばしばあり、そのため今度は微生物で汚染された水がもたらされる。解決法の一つに銀塩を加えることがあるが、これは毒性学的観点から問題となる。前記機能物質およびそれを含む前記発光ファイバーデバイスにより、この問題に対する解決がもたらされる。微生物汚染の度合いが低い水を提供する安全で、効率的で低費用の方法を提供するために、これらを水ろ過システム中に組み入れることができる。光源は、ろ過の前もしくは後の水、またはフィルターカートリッジ自体の両方を照射することができる。機能物質を含む光源が、フィルターカートリッジおよびすでにろ過された水の両方を照射するのが好ましい。
【0352】
上記で概略した水を消毒する手順は基本的に、任意の他の液体、特にソフトドリンクおよび飲料に同様に適用することができる。
【0353】
したがって、前記機能物質およびそれを含む発光ファイバーデバイスを、ヒトおよび動物用の飲料および栄養物の消毒に用いることができる。
【0354】
本発明による消毒のための波長は、200nmから600nmの間の、好ましくは250nmから500nmの間の、極めて特に好ましくは280nmから450nmの間の範囲である。
【0355】
本発明による機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスを、光線力学的治療(PDT)にも用いることができる。
【0356】
本発明によるPDTに必要とされる波長は、300nmから700nmの間の、好ましくは400nmから700nmの間の、極めて特に好ましくは500nmから700nmの間の範囲にある。さらに好ましい4つの波長は、595nm、600nm、630nm、および660nmである。
【0357】
PDTとして知られる任意の治療法を、前記機能物質およびそれを含む前記発光ファイバーデバイスを用いて行うことができる。正常な組織よりも腫瘍組織に大量蓄積する多環式炭化水素型の化学構造を有する色素の性質はよく知られている。色素には、アクリジン、キサンテン、ソラレン、およびポルフィリンが含まれる。後者の色素、特に、ヘマトポルフィリン(Hp)およびいくつかのその化学的誘導体(例えば、HpDがHp誘導体の混合物である、HpD)には、優れた腫瘍局在性の性質があり、この性質は薬物を全身投与した後の予め決定された時間に赤色光を照射する腫瘍の予防的治療の基本である。
【0358】
PDTに用いられる薬物が、アミノレブリン酸/アミノレブリン酸メチル、エファプロキシラル、ポルフィリン誘導体(ポルフィマーナトリウム、タラポルフィン、テモポルフィン、ベルテポルフィン)から選択されるのが好ましい。
【0359】
本発明による機能物質およびそれを含む前記ファイバーデバイスを、黄疸およびクリグナーナジャーの治療および/または予防にも用いることができる。
【0360】
黄疸は、黄疸(icterus)としても知られており、皮膚、強膜の上の結膜の膜(眼の白色部分)、および他の粘膜が黄色っぽく変色する。変色は高ビリルビン血症(血中ビリルビンレベルの増大)によって引き起こされる。この高ビリルビン血症は、引き続き細胞外液体におけるビリルビンレベルの増大を引き起こす。黄疸は、肝前性(溶血性)黄疸、肝性(肝細胞性)黄疸、および肝後性(閉塞性)黄疸の3群に分類される。
【0361】
肝前性黄疸は溶解速度の増大を引き起こす何か、すなわち赤血球の分解によって引き起こされる。熱帯の国々では、マラリアがこの方法で黄疸を引き起こし得る。鎌状赤血球性貧血、球状赤血球症、およびグルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ欠乏などのある種の遺伝性疾患が、赤血球溶解の増大をもたらし、それゆえ溶血静黄疸をもたらし得る。一般的に、溶血性尿毒症症候群などの腎臓の疾患も呈色をもたらすことがある。ビリルビン代謝における欠陥も黄疸として現れる。黄疸は通常高レベルで訪れる。ラット熱(レプトスピラ症)も黄疸を引き起こし得る。
【0362】
肝性黄疸の原因には、急性肝炎、肝毒性およびアルコール性肝疾患が含まれ、この場合細胞の壊死により、ビリルビンを代謝および排泄する肝臓の能力が低下し、血液における集積がもたらされる。あまり一般的でない原因には、原発性胆汁性肝硬変、ジルベール症候群(軽度の黄疸をもたらし得、人口の約5%に見られるビリルビン代謝の遺伝的障害)、クリグラーナジャー症候群、転移性癌、およびニーマンピック病、C型が含まれる。新生児に見られる黄疸は新生児黄疸として知られており、一般的であり、およそ2週齢まではビリルビンのコンジュゲートおよび排泄のための肝臓の仕組みが完全に成熟していないため殆ど全ての新生児に生じる。
【0363】
肝後性黄疸は閉塞性黄疸とも呼ばれ、胆道系における胆汁の排液が妨害されることによって引き起こされる。最も一般的な原因は、総胆管における胆石、および膵臓の頭部における膵臓癌である。「肝吸虫」として知られている一群の寄生虫が胆管中に住み着き、閉塞性黄疸を引き起こすことがある。他の原因には、総胆管の狭窄、胆道閉鎖症、腺管癌、膵炎、および膵仮性嚢胞が含まれる。閉塞性黄疸のまれな原因にミリッツィー症候群がある。
【0364】
黄疸、特に新生児黄疸は、治療をしない場合または適切に治療をしない場合、重篤な医学的結果をもたらすことがある。ビリルビン濃度の増大は、重症な生涯続く能力障害をもたらす、核黄疸として知られている、脳に障害を与える状態をもたらし得、この状態は、新生児高ビリルビン血症の不十分な検出および治療のため、近年上昇しているという懸念がある。初期の治療は、乳児を、多少隔離されたインキュベーターにおいて集中的な光線療法に曝露することからなることが多い。治療法は、乳児および両親の両方にとって、感情的または心理学的に困難な状態を表すことが多い。前記機能物質および機能物質を含む前記発光ファイバーデバイスを、毛布などの軟質で、移動式のデバイスを提供するために用いることができる。したがって、乳児を、両親の腕の中に寝かせて治療することができる。伝統的な治療法はまた乳児の過熱を容易にもたらし、これは本発明による治療の取組みによって大幅に低減することもできる。
【0365】
本発明は、新生児黄疸の治療のための、前記機能物質および機能物質を含む前記発光ファイバーデバイスの使用に関する。
【0366】
黄疸の治療および/または予防のための波長は、300nmから700nmの間の範囲にある。波長が350nmから600nmの間の範囲にあるのが好ましく、370nmから580nmの間の範囲にあるのが特に好ましい。さらに好ましい波長は400nmから550nmの間の範囲にある。特に好ましい波長は410nmから470nmの間の範囲にある。この目的に特に好ましい2つの波長は450nmおよび466nmである。
【0367】
本発明による発光ファイバーデバイスは、少なくとも1つの前記機能物質を含む。治療的および/または美容上の適用に用いられるデバイスは、前記機能物質の組成物をしばしば含む。本発明は、デバイスが少なくとも1つの有機発光ファイバーを含むことを特徴とする、疾患および/または美容上の状態の治療および/または予防および/または診断のための、ホスト物質、発光物質(EM)、正孔注入物質(HIM)、正孔輸送物質(HTM)、正孔阻止物質(HBM)、電子注入物質(EIM)、電子輸送物質(ETM)、電子阻止物質(EBM)、励起子阻止物質(ExBM)、金属錯体、およびリン光物質、ならびにデバイスの製造のための少なくとも1つのさらなる化合物から選択される少なくとも1つの機能物質を含む組成物の使用にも関する。
【0368】
好ましくは、組成物は1つの、特に好ましくは2つの、極めて特に好ましくは3つの機能物質を含む。本発明内で概略する任意の機能物質を用いることができる。
【0369】
組成物は、溶媒、添加剤、湿潤剤、および界面活性剤などのさらなる物質も含むこともできる。
【0370】
本発明は、少なくとも1つの有機発光ファイバーを含むことを特徴とする、疾患の治療および/または予防および/または診断のためのデバイスにも関する。本発明は、少なくとも1つの有機発光ファイバーを含むことを特徴とする、美容上の状態の治療および/または予防および/または診断のためのデバイスにも関する。ファイバーがOLEDファイバーであるのが好ましい。
【0371】
デバイスが1つを超えるファイバーを含むのが好ましい。疾患および美容上の状態は、本発明内の他所で定義したものから選択される。デバイスの組立ても本発明内にやはり記載されている。
【0372】
本発明は、少なくとも1つの有機発光ファイバーを含むことを特徴とし、発光ファイバーが、ホスト物質、発光物質(EM)、正孔注入物質(HIM)、正孔輸送物質(HTM)、正孔阻止物質(HBM)、電子注入物質(EIM)、電子輸送物質(ETM)、電子阻止物質(EBM)、励起子阻止物質(ExBM)、金属錯体、およびリン光物質から選択される機能物質を含む、疾患および/または美容上の状態の治療および/または予防および/または診断のためのデバイスの製造のためのデバイスにも関する。
【0373】
機能物質は本発明内の他所に記載したものと同じである。
【0374】
ざ瘡、乾癬、湿疹、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、浮腫、白斑、ボーエン病、腫瘍、前癌性腫瘍、悪性腫瘍、基底細胞癌、扁平上皮癌、二次転移、皮膚T細胞リンパ腫、日光角化症、ヒ素角化症、放射線皮膚炎、セルライト、皮膚の脱感作、感染症、炎症、神経学的および/または精神学的疾患および/または状態、光線力学的治療(PDT)、黄疸、ならびにクリグラーナジャーから選択される皮膚疾患および/または美容上の皮膚状態の治療および/または予防および/または診断のための前記デバイスが特に好ましい。
【0375】
本発明は、疾患および/または状態の治療および/または予防および/または診断のための有機発光ファイバーの使用にも関する。
【0376】
有機発光ファイバー、ならびに疾患および/または状態の両方とも、本発明内の他所に記載したものと同じである。
【0377】
本発明は、美容上の状態の治療および/または予防および/または診断のための有機発光ファイバーの使用にも関する。
【0378】
有機発光ファイバー、ならびに美容上の状態の両方とも、本発明内の他所に記載したものと同じである。
【0379】
本発明の前述の態様に対して変形を行うことができ、依然として本発明の範囲内にあることが理解されよう。本明細書中に開示する各特徴は、別段の記載がなければ、同じ、同等の、または同様の目的に役立つ代替の特徴によって置き換えることができる。したがって、別段の記載がなければ、開示する各特徴は、一般的な一連の同等または同様の特徴の一例示にすぎない。本明細書に開示する特徴は全て、少なくともいくつかのこれらの特徴および/またはステップが相互に排他的である場合の組合せを除いて、任意の組合せにおいて組み合わせることができる。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明の全ての態様に適用され、任意の組合せで用いられてよい。同様に、非必須の組合せで記載する特徴は、別々に用いてもよい(組み合わせずに)。
【0380】
上記に記載した特徴、特に好ましい態様の特徴の多くは、これら自体進歩性があり、単に本発明の1つの態様の一部ではないことが理解されよう。独立の保護が、本発明が請求する任意の発明の他に、または本発明が請求する任意の発明に代わるものとして、これらの特色に対して追求されてよい。
【0381】
本明細書に開示する教示は、抜粋することができ、開示する他の実施例と組み合わせることができる。
【0382】
本発明の他の特色は、以下の例示の態様および図面の記載の経過において明らかになるが、例示の態様および図面は本発明を説明するために提供するものであり、本発明を限定しようとするものではない。