(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
当該画像表示装置が、前記画像表示ユニット又は前記透明保護板上に設けられ、前記透明樹脂層と接する段差を形成する段差部を更に備える、請求項9に記載の画像表示装置。
前記画像表示ユニット、前記タッチパネル又は前記透明保護板上に設けられ、前記透明樹脂層と接する段差を形成する段差部を更に備える、請求項10に記載の画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態(第一実施形態及び第二実施形態)について説明をするが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。なお、両実施形態で重複する記載について、第二実施形態の説明においては適宜記載を省略することがある。また、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0022】
[第一実施形態]
<画像表示装置用粘着シート>
本実施形態の画像表示装置用粘着シートは、粘着層と、粘着層を挟むように積層された一対の基材層と、を備えている。上記基材層の外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出していてもよい。
【0023】
すなわち、
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る粘着シート1は、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟むように積層された重剥離セパレータ3(第2の基材層)及び軽剥離セパレータ4(第1の基材層)とを備えている。重剥離セパレータ3及び径剥離セパレータ4の外縁は、粘着層2の外縁よりも張り出している。この粘着層2は、例えば、携帯端末用のタッチパネル式ディスプレイ等の画像表示装置において、透明保護板とタッチパネルとの間、又はタッチパネルと液晶表示ユニットとの間に配置される透明なフィルム(透明樹脂層)として用いることができる。
【0024】
画像表示装置に用いるため、通常、粘着層2のヘーズ(Haze)は1.5%以下である。視認性の観点から、ヘーズは、1.0%以下、0.8%以下、又は0.5%以下であってもよい。ヘーズの下限値については0%に近いことが好ましいが、通常は0%より大きく、実用的な観点からは0.1%であってよい。
【0025】
ヘーズ(Haze)とは、濁度を表わす値(%)であり、ランプにより照射され、試料中を透過した光の全透過率T
tと、試料中で拡散され散乱した光の透過率T
dより、(T
d/T
t)×100として求められる。これらはJIS K 7136により規定されており、市販の濁度計、例えば、日本電色工業社製NDH−5000により容易に測定可能である。
【0026】
粘着層2の100kHzでの誘電率は、5以下、4以下、3.5以下又は3以下であってもよい。粘着層2をタッチパネルと透明保護板の間に用いられる場合などは特に、低い誘電率が求められる。誘電率の下限値は、実用的な観点から2又は2.5であってよい。
【0027】
粘着層2の厚さは、使用用途及び方法により適宜調整されるため特に限定されないが、例えば、100〜500μm、120〜350μm又は125〜300μmであってもよい。粘着層の厚さがこれら範囲内であることにより、ディスプレイ上に光学部材を貼合せるための透明な粘着シートとして特に優れた効果が発揮される。
【0028】
粘着層2のガラス基板との高温ピール強度は、粘着層の画像表示装置における剥離防止のため、適度に高いことが望ましい。具体的には、粘着層2のガラス基板との高温ピール強度は、3N/cm以上、5N/cm以上、又は7N/cm以上であってもよい。粘着層2のガラス基板との高温ピール強度は、30N/cm以下であってもよい。
【0029】
粘着層2の可視光領域(波長:380nm〜780nm)の光線に対する光透過率の最小値は、80%以上、90%以上、又は95%以上であってもよい。
【0030】
粘着層2は、例えば、(A)(メタ)アクリル重合体、(B)(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリルモノマー、及び(C)(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する架橋剤及び(D)光重合開始剤を含有する粘着性樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0031】
例えば、粘着性樹脂組成物を重剥離セパレータ3上に塗工し、塗工された粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射することにより粘着層2が形成される。活性エネルギーの照射により、(メタ)アクリルモノマー及び架橋剤の重合反応が進行して架橋重合体が生成し、該架橋重合体を含む粘着層2が形成される。粘着層2は、その後必要に応じて所望の大きさに切断することができる。活性エネルギー線の光源としては、波長400nm以下に発光分布を有するものであってよく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ及びマイクロウェーブ励起水銀灯が使用できる。また照射エネルギーは特に限定されないが、160〜650mJ/cm
2、180〜600mJ/cm
2、又は200〜500mJ/cm
2であってもよい。
【0032】
粘着層2は、例えば、ステアリル(メタ)アクリレートと、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドとを含有する。ステアリル(メタ)アクリレート及びN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドは、モノマー又はこれに由来するモノマー単位として粘着層に含有されている。
【0033】
粘着層2は、モノマーとしてのステアリル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレートをモノマー単位として含む重合体のうち少なくとも一方を含有していてもよい。すなわち、粘着層2を形成するために用いられる粘着性樹脂組成物が、(A)(メタ)アクリルモノマーとしてステアリル(メタ)アクリレートを含有していてもよいし、(B)(メタ)アクリル系重合体を構成するモノマー単位としてステアリル(メタ)アクリレートを含有していてもよい。粘着性樹脂組成物が、ステアリル(メタ)アクリレートを、モノマー及びモノマー単位の両方として含有すると、粘着層2の透明性がより向上され得る。
【0034】
ステアリル(メタ)アクリレート、又はステアリル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位は、通常、粘着層2又は粘着性樹脂組成物における主成分である。本明細書において主成分とは、粘着層2を構成するモノマー及びモノマー単位中で、含有量が最も多い成分を意味する。すなわち、モノマーとしてのステアリル(メタ)アクリレートと、ステアリル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位との合計の含有量が、粘着層2を構成する全ての重合性モノマー及びモノマー単位の中で最も大きい。
【0035】
ステアリル(メタ)アクリレートは、例えば、n−ステアリル(メタ)アクリレート(オクタデシル(メタ)アクリレートともいう。)、イソステアリル(メタ)アクリレート(16−メチルヘプタデシル(メタ)アクリレートともいう。)から選ばれる少なくとも1種であり得る。その中でもイソステアリル(メタ)アクリレートを選択することができる。
【0036】
ステアリル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位の合計の含有量が、粘着層2の全質量に対して、30〜90質量%であると、粘着性、透明性及び取り扱い性がより向上し得る。同様の観点から、同含有量は40〜85質量%、又は50〜80質量%であってもよい。
【0037】
粘着層2は、モノマーとしてのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドをモノマー単位として含む重合体のうち少なくとも一方を含有していてもよい。すなわち、粘着層2を形成するために用いられる粘着性樹脂組成物が、(A)(メタ)アクリルモノマーとしてN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを含有していてもよいし、(B)(メタ)アクリル重合体を構成するモノマー単位としてN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを含有していてもよい。N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドは、粘着層の接着性及び高温ピール強度の向上と、低誘電率化に寄与し得る。
【0038】
N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドの2つのアルキル基は、それぞれ、(環状ではない)直鎖状又は分岐状のアルキル基であってもよく、同一でも異なっていてもよい。該アルキル基の炭素数は、例えば、それぞれ1〜10であってもよい。この場合、N,N−ジアルキルアクリルアミドは、下記式(a)で表すことができる。式(a)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R
1及びR
2はそれぞれ独立に炭素数が1〜10であるアルキル基を示し、R
1及びR
2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0040】
粘着層中のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドは、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、及びN−エチル−N−メチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり得る。
【0041】
粘着層2は、ステアリル(メタ)アクリレート及びN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドの両方をモノマー単位として含む(メタ)アクリル重合体を含有していてもよいし、ステアリル(メタ)アクリレート及びN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドをぞれぞれ含む2種以上(メタ)アクリル重合体を含有していてもよい。
【0042】
以上のような粘着層を形成するために用いることのできる、粘着性樹脂組成物を構成する各成分の詳細について説明する。
【0043】
(A)成分:(メタ)アクリル重合体
(A)(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリロイル基を1つ有する1種又は2種以上の(メタ)アクリロイルモノマーを主なモノマー単位として含む(共)重合体である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、この(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する化合物、(メタ)アクリロイル基以外の重合性不飽和結合を1つ有する化合物(アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン等)、及び、(メタ)アクリロイル基以外の重合性不飽和結合を2つ以上有する化合物(ジビニルベンゼン等)から選ばれる他のモノマーを含んでいてもよい。
【0044】
(A)成分の(メタ)アクリル重合体がステアリル(メタ)アクリレート又はN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを含むことにより、粘着層中にそれぞれのモノマーに由来するモノマー単位が導入される。
【0045】
(メタ)アクリル重合体がステアリル(メタ)アクリレートを含む場合、その含有割合は、(メタ)アクリル重合体の全質量に対して、50〜95質量%、60〜95質量%、又は70〜90質量%であってもよい。ステアリル(メタ)アクリレートの含有割合がこのような範囲であると、粘着層と透明保護板(ガラス基板、プラスチック基板等)との密着性がより向上し、粘着層と被着体間の剥がれをより一層効果的に防止できる。このような含有割合の(メタ)アクリル重合体は、一般に、各モノマーを上記含有割合と同じ割合で配合し、共重合させることで得ることができる。
【0046】
(メタ)アクリル重合体を構成する(メタ)アクリロイル基を1つ有するその他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;(メタ)アクリロイルモルホリン;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(n−ラウリル(メタ)アクリレート)、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート;アルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0047】
(メタ)アクリル重合体を構成するその他モノマーは、上記に記載したものに限定されず、水酸基、モルホリノ基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基、アルキレングリコール由来の基(アルキレングリコール鎖)等の極性基を有する(メタ)アクリレートであってもよい。これらの極性基を有する(メタ)アクリレートによって、粘着層と透明保護板との粘着性が更に向上する。
【0048】
(メタ)アクリル重合体は、ステアリル(メタ)アクリレートと、下記式(x)で示されるアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートとをモノマー単位として含んでいてもよい。
CH
2=CXCOO(C
pH
2pO)
qR ・・・(x)
式(x)中、Xは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数が1〜10であるアルキル基を示し、pは2〜4の整数を示し、qは1〜10の整数を示す。
【0049】
式(x)で表されるアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;メトキシヘプタプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートから選択することができる。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを選択してもよい。これらのアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0050】
(メタ)アクリル重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値で、15000〜300000であってもよい。重量平均分子量が15000以上であると、透明保護板等に対してより剥がれの発生しにくい粘着力を有する粘着層を得ることができ、一方、300000以下であると、粘着性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、シート状の粘着層にする際の加工性がより良好になる。同様の観点から、(A)成分の重量平均分子量は20000〜200000、又は25000〜100000であってもよい。
【0051】
(A)成分の(メタ)アクリル重合体は、以上挙げたモノマーを重合させて、得ることができる。重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の既知の重合方法を用いることができる。重合率は、実質的に100%に近づくようにすることが好ましい。
【0052】
モノマーを重合する際、熱によりラジカルを発生する化合物を重合開始剤として用いることができる。具体的には、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のような有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のようなアゾ系化合物が挙げられる。
【0053】
(A)(メタ)アクリル重合体の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、30〜90質量%、40〜80質量%、又は50〜70質量%であってもよい。(A)成分の含有量がこれら範囲内であると、粘着性樹脂組成物の粘度が粘着層を作製する際に適正な粘度範囲に入り、加工性がより良好となる。また、得られた粘着層は、ガラス基板、プラスチック基板等の透明保護板への粘着性、及び表面平坦性がより良好となる。
【0054】
(B)成分:(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリルモノマー
(B)(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリルモノマーは、(A)(メタ)アクリル重合体を構成するモノマーとして例示した化合物と同様のものから選択することができる。
【0055】
本実施形態に係る粘着性樹脂組成物において、粘着性、透明性及び低誘電率化の観点から、(B)成分は、ステアリル(メタ)アクリレートを含有することができる。また、(B)成分は、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを含有することもできる。これらは、そのままモノマーとして粘着層中に残っていてもよいし、重合により(架橋)重合体を形成し、モノマー単位として粘着層に含有されていてもよい。粘着性、透明性及び取り扱い性の観点から、(B)成分は、水酸基を有する(メタ)アクリレートを含有していてもよい。
【0056】
(B)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して5〜65質量%、15〜55質量%、又は25〜45質量%であってもよい。(B)成分の含有量が、これら範囲内であると、粘着性樹脂組成物の粘度が粘着層を作製する際に適正な粘度範囲に入り、加工性がより良好となる。また、得られた粘着シートの粘着性及び透明性にもより優れるものとなる。そして、得られた粘着層と被着体(例えば、ガラス等)間の高温ピール強度がより高いものとなる。
【0057】
(C)成分:(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する架橋剤
(C)成分は、例えば、下記式(c)〜(h)で表される化合物、ウレタン結合を有するウレタンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を含む側鎖を有する側鎖(メタ)アクリロイル変性(メタ)アクリル重合体から選ばれる少なくとも1種である。式(c)、(d)及び(e)中、sは1から20の整数を示し、式(f)及び(g)中、m及びnはそれぞれ独立に、1〜10の整数を示す。
【0064】
上記ウレタン結合を有するウレタンジ(メタ)アクリレートは、他の成分との相溶性が良好である観点から、ポリアルキレングリコール鎖を有していてもよい。また、透明性を確保する観点からウレタンジ(メタ)アクリレートが脂環式構造を有してもよい。(C)成分と、(A)成分及び(B)成分との相溶性が低い場合、粘着性樹脂組成物又はその硬化物が白濁する可能性がある。
【0065】
上記側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリル重合体は、例えば、下記一般式(1)で示される構成単位及び下記一般式(2)で示される構成単位を含む重合体であってもよい。変性前の(メタ)アクリル重合体は(A)成分と同様の重合体であってもよい。(A)成分として用いられる(メタ)アクリル重合体の側鎖を(メタ)アクリル変性して得られる重合体を(C)成分として用いることにより、(A)成分と(C)成分の構造がほぼ等しくなるため相溶性に優れ、濁り(ヘーズ)が少なく、透明性の高い粘着層を得ることができる。
【0068】
式(1)及び(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R
1は炭素数4〜18のアルキル基又は炭素数4〜18の脂環式アルキル基を表す。Xは、−CH
2CH
2−、−(CH
2CH
2O)
pCH
2CH
2−{pは1〜500までの整数}、又は−R
2−OCONH−R
3−又は−R
4−CH(OH)CH
2−を表し、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基又は脂環式アルキレン基を示す。
【0069】
側鎖を(メタ)アクリル変性する方法としては、例えば、下記一般式(3)で示される水酸基を有するモノマー単位、又はカルボキシル基を有するモノマー単位を主鎖中に含む(メタ)アクリル重合体に対して、下記一般式(4)で示される、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを付加する方法がある。別の方法として、例えば、下記一般式(5)で示されるグリシジル基を有するモノマー単位を主鎖中に含む(メタ)アクリル重合体に(メタ)アクリル酸を付加する方法、及び(メタ)アクリル基を含む側鎖をグラフト重合により形成する方法が挙げられる。特に、式(3)で示される構成単位の水酸基に対して、イソシアナート基を有する式(4)の(メタ)アクリレート、又はグリシジル基を有する式(5)の(メタ)アクリル酸を付加する方法を選択することができる。
【0070】
【化10】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R
2は炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐アルキレン基、又は脂環式アルキレン基を表す。)
【0071】
【化11】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R
3は炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐アルキレン基、又は脂環式アルキレン基を表す。)
【0072】
【化12】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R
4は炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐アルキレン基、又は脂環式アルキレン基を表す。)
【0073】
式(3)のモノマー単位に含まれる水酸基に、イソシアナート基を有する式(4)の(メタ)アクリレートを付加する場合、水酸基1当量に対して、イソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを0.01〜0.9当量の比率で用いることができる。式(5)のモノマー単位に含まれるグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加する場合、グリシジル基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を0.01〜0.9当量の比率で用いることができる。
【0074】
これらの方法によれば、側鎖の(メタ)アクリロイル基が、ウレタン結合又はエステル結合を介して主鎖に結合した構造を有する側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリル重合体が得られる。これを用いると、衝撃吸収性、低誘電率化等の観点で更に良好な特性が得られる。
【0075】
(C)成分の重量平均分子量は、高温又は高温高湿下における気泡及び剥がれの発生をより抑制できる観点から、100000以下、300〜100000、又は500〜70000であってもよい。重量平均分子量がこれら範囲内であれば、段差への埋め込み性、(A)成分及び(B)成分との相溶性がさらに向上する。
【0076】
(C)成分として側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリル重合体を用いる場合、その重量平均分子量は、(A)成分と同程度であってもよいし、側鎖を変性するため多少低くてもよい。具体的には、側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリル重合体の重量平均分子量は、10000〜100000、15000〜100000、20000〜80000、又は25000〜70000であってもよい。
【0077】
(C)成分の最適な含有量は、側鎖の変性割合によって変化するが、含有量が少ないと保持力が向上し、信頼性が向上する傾向にある。一方、同含有量が多いと、粘着力が低下し、剥がれや気泡が入りやすくなるなどの問題が改善する傾向にある。
【0078】
(C)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、15質量%以下であってもよい。該含有量が15質量%以下であると架橋密度が高くなりすぎないため、より十分な粘着性を有し、かつ弾性が高く、脆さのない粘着層を得ることができる。また、段差への埋め込み性をより向上できる観点から、(C)成分の含有量は、10質量%以下、又は7質量%以下であってもよい。(C)成分の含有量は、フィルム形成性をより良好にする観点から、0.1質量%以上、2質量%以上、又は3質量%以上であってもよい。
【0079】
(D)成分:光重合開始剤
(D)成分の光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により硬化反応を促進させるものである。ここで活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
【0080】
(D)成分は特に限定されるものではなく、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイル系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の材料を使用することが可能である。
【0081】
具体的には、光重合開始剤として、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジル、ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;β−(アクリジン−9−イル)(メタ)アクリル酸等のエステル化合物;9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)などが挙げられる。これらの化合物は複数を組み合わせて使用してもよい。
【0082】
特に、(D)成分として、粘着性樹脂組成物を実質的に着色させない光重合開始剤を用いることができる。その具体例として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)が挙げられる。これらを組み合わせたものであってもよい。
【0083】
特に厚いシート(粘着層)を作製する場合、(D)成分は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含んでいてもよい。
【0084】
(D)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、0.05〜5質量%、0.1〜3質量%、又は0.1〜0.5質量%であってもよい。(D)成分の含有量がこれら範囲内にあることで、透過率が高く、色相が黄味を帯びることがなく、かつ段差への埋め込み性により優れる粘着層を得ることができる。
【0085】
その他添加剤
粘着性樹脂組成物は、必要に応じて上記の(A)、(B)、(C)、及び(D)成分とは別に、各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、粘着性樹脂組成物の保存安定性を高める目的で添加するパラメトキシフェノール等の重合禁止剤、粘着性樹脂組成物を光硬化させて得られる粘着層の耐熱性を高める目的で添加するトリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、紫外線等の光に対する粘着性樹脂組成物の耐性を高める目的で添加するHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等の光安定化剤、ガラス等に対する粘着性樹脂組成物の密着性を高めるために添加するシランカップリング剤が挙げられる。
【0086】
粘着層2は、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の重合体フィルムの基材層(重剥離セパレータ3)と、これと同種の素材のカバーフィルムである基材層(軽剥離セパレータ4)によって挟まれることがある。このとき、粘着層と、それら基材層との剥離性を制御するために、粘着性樹脂組成物は、ポリジメチルシロキサン系、フッ素系等の界面活性剤を含有してもよい。
【0087】
これらの添加剤は、単独で用いてもよく、また複数の添加剤を組み合わせてもよい。これらのその他添加剤の含有量は、通常、上記の(A)、(B)、(C)及び(D)の合計含有量と比較すると少量であり、一般に粘着性樹脂組成物の全質量に対して0.01〜5質量%である。
【0088】
重剥離セパレータ(第2の基材層)3は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであってもよい。中でも重剥離セパレータ3は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という場合がある。)であることができる。重剥離セパレータ3の厚さは、作業性の観点から、50μm以上200μm以下、60μm以上150μm以下又は70μm以上130μm以下であってもよい。
【0089】
重剥離セパレータ3の主面は、粘着層2の主面よりも大きく、重剥離セパレータ3の外縁は粘着層2の外縁よりも外側に張り出していてもよい。粘着層2の外縁よりも張り出している部分の重剥離セパレータ3の幅は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、2mm以上20mm以下、又は4mm以上10mm以下であってもよい。粘着層2及び重剥離セパレータ3の主面が長方形等の矩形である場合、粘着層2の外縁よりも張り出している部分の重剥離セパレータ3の幅は、少なくとも1つの辺において2mm以上20mm以下又は4mm以上10mm以下であってもよく、全ての辺において2mm以上20mm以下又は4mm以上10mm以下であってもよい。
【0090】
軽剥離セパレータ4(第1の基材層)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであってもよい。中でも、軽剥離セパレータ4は、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることができる。軽剥離セパレータ4の厚さは、作業性の観点から、25μm以上150μm以下、30μm以上100μm以下、又は40μm以上75μm以下であってもよい。
【0091】
軽剥離セパレータ4の主面は、粘着層2の主面よりも大きく、軽剥離セパレータ4の外縁は粘着層2の外縁よりも外側に張り出していてもよい。粘着層2の外縁よりも張り出している部分の軽剥離セパレータ4の幅は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、2mm以上20mm以下、又は4mm以上10mm以下であってもよい。粘着層2及び軽剥離セパレータ4の主面が長方形等の矩形である場合、粘着層2の外縁よりも張り出している部分の軽剥離セパレータ4の幅は、少なくとも1つの辺において2mm以上20mm以下又は4mm以上10mm以下であってもよく、全ての辺において2mm以上20mm以下又は4mm以上10mm以下であってもよい。
【0092】
軽剥離セパレータ4と粘着層2との間のピール強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間のピール強度よりも低くてもよい。これにより、重剥離セパレータ3は軽剥離セパレータ4よりも粘着層2から剥離し難くなる。また、後述するように、粘着層2に重剥離セパレータ3側に向かってブレードが通される際、粘着層2の外縁部が重剥離セパレータ3に押し付けられる。これにより、重剥離セパレータ3は軽剥離セパレータ4よりも更に粘着層2から剥離し難くなり、重剥離セパレータ3に剥離が生じる前に軽剥離セパレータ4を剥離させることがより容易となる。従って、セパレータ3,4を片方ずつ剥離させることができ、セパレータ3,4を剥離して粘着層2を別々の被着物に貼り付ける作業を、片方ずつ確実に行うことができる。重剥離セパレータ3と粘着層2、及び軽剥離セパレータ4と粘着層2とのピール強度は、例えば、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4に対して表面処理を施すことによって調整することができる。表面処理方法としては、例えば、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物で離型処理する方法が挙げられる。
【0093】
<画像表示装置用粘着シートの製造方法>
以上に説明した粘着シート1は、例えば、次のような方法により製造することができる。まず、
図3に示されるように、重剥離セパレータ3と、重剥離セパレータ3上に設けられた粘着層2と、粘着層2上に設けられた仮セパレータ6とを有する母材フィルム10を準備する。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
【0094】
続いて、
図4に示されるように、打抜装置に備えられたブレードBにより、仮セパレータ6及び粘着層2を所望の形状に切断する。打抜装置は、クランク式の打抜装置であってもよいし、レシプロ式の打抜装置であってもよいし、ロータリー式の打抜装置であってもよい。各基材の剥離性の観点からは、ロータリー式の打抜装置が好ましい。この工程では、重剥離セパレータ3に到達する深さまでブレードBを仮セパレータ6及び粘着層2に通し、仮セパレータ6及び粘着層2を切断することができる。これにより、重剥離セパレータ3には切込部3cが形成され、粘着層2からの重剥離セパレータ3の剥離が容易になる。
【0095】
続いて、
図5に示されるように仮セパレータ6及び粘着層2の外側部分を除去し、
図6に示されるように粘着層2から仮セパレータ6を剥離し、
図7に示されるように粘着層2に軽剥離セパレータ4を積層する。以上の工程で粘着シート1が完成する。
【0096】
<画像表示装置>
次に、粘着シート1を用いて作製される画像表示装置について説明する。粘着シート1が備える粘着層2は、各種画像表示装置に適用することができる。画像表示装置としては、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ(OELD)、3Dディスプレイ、電子ペーパー(EP)等が挙げられる。本実施形態の粘着層2は、画像表示装置の反射防止層、防汚層、色素層、ハードコート層等の機能性を有する機能層、透明保護板を組み合わせて貼り合わせるために使用することもできる。
【0097】
反射防止層は、可視光反射率が5%以下となる反射防止性を有している層であればよい。透明なプラスチックフィルム等の透明な基材に既知の反射防止方法で処理された層を反射防止層として用いることができる。
【0098】
防汚層は、表面に汚れがつきにくくするためのもので、表面張力を下げるためにフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂で構成される既知の層を防汚層として用いることができる。
【0099】
色素層は、色純度を高めるために使用されるもので、液晶表示ユニット等の画像表示ユニットから発する光の色純度が低い場合に不要な波長の光を低減するために使用される。色素層は、不要な波長の光を吸収する色素を樹脂に溶解させ、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等の基材フィルムに製膜又は積層して得ることができる。
【0100】
ハードコート層は、表面硬度を高くするために使用される。ハードコート層としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリル樹脂;エポキシ樹脂などをポリエチレンフィルム等の基材フィルムに製膜又は積層したものを使用することができる。同様に表面硬度を高めるために、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の透明保護板にハードコート層を製膜又は積層したものを使用することもできる。
【0101】
粘着層2は、偏光板に積層して使用することができる。このとき、粘着層2は、偏光板の視認面側に積層することもでき、その反対側に積層することもできる。
【0102】
偏光板の視認面側に積層された粘着層2のさらに視認面側に、反射防止層、防汚層又はハードコート層等を積層することができる。偏光板と液晶セルの間に粘着層2を設ける場合には、偏光板の視認面側に機能性を有する層を積層することができる。
【0103】
このような積層体は、粘着層2を、ロールラミネート、真空貼合機又は枚葉貼合機等を用いて積層することで得られる。
【0104】
粘着層2は、画像表示装置の画像表示ユニットと画像表示ユニットよりも視認側に設けられた透明保護板との間における、適切な位置に配置されてもよい。具体的には、画像表示ユニットと透明保護板の間に設けられる透明樹脂層として粘着層2が応用されてもよい。
【0105】
タッチパネルと画像表示ユニットとの組み合わせを含む画像表示装置においては、タッチパネルと画像表示ユニットの間及び/又はタッチパネルと透明保護板の間に設けられる透明樹脂層として粘着層2が応用されてもよい。ただし、画像表示装置の構成上、本実施形態の粘着層2が適用可能であれば、粘着層2が設けられる位置は限られない。
【0106】
以下、画像表示装置の一つである液晶表示装置を例として、
図8及び
図9を用いて詳細に説明する。
【0107】
図8は、液晶表示装置の一実施形態を模式的に示す側面断面図である。
図8に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル12及び偏光板20を有し、これらが液晶表示装置の視認側に向けてこの順で積層されている画像表示ユニット7と、偏光板20の視認側の面上に設けられた透明樹脂層32と、透明樹脂層32を間に挟んで画像表示ユニット7と対向する透明保護板(保護パネル)40とから構成される。透明保護板40の透明樹脂層32側の面の周縁部上には、段差部60が設けられている。段差部60は、例えば装飾部として用いられる。段差部60と透明保護板40とで段差が形成されており、この段差は、透明樹脂層32により埋め込まれている。
【0108】
透明樹脂層32は、上述の実施形態に係る粘着層又はその硬化物に相当する。装飾部60による段差は、液晶表示装置の大きさ等により異なるが、この段差が40〜100μmである場合、本実施形態の粘着層を用いることが特に有用である。
【0109】
図9は、液晶表示装置の一実施形態である、タッチパネルを搭載した液晶表示装置を模式的に示す側面断面図である。
図9に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル12及び偏光板20を有し、これらが液晶表示装置の視認側に向けてこの順で積層されている画像表示ユニット7と、偏光板20の視認側の面上に設けられた透明樹脂層32と、透明樹脂層32を間に挟んで画像表示ユニット7と対向するタッチパネル30と、タッチパネル30の視認側の面上に設けられた透明樹脂層31と、透明樹脂層31を間に挟んでタッチパネル30と対向する透明保護板40とから構成される。透明保護板40の透明樹脂層31側の面の周縁部上には、装飾部60が設けられている。装飾部60と透明保護板40とで段差が形成されており、この段差は、透明樹脂層31により埋め込まれている。透明樹脂層31及び透明樹脂層32が、上述の実施形態に係る粘着層又はその硬化物に相当し得る。
【0110】
図9の液晶表示装置においては、画像表示ユニット7とタッチパネル30との間、及びタッチパネル30と透明保護板40との間の両方に透明樹脂層が介在している。しかしながら、透明樹脂層はこれらの少なくとも一方に介在していればよく、特に本実施形態の粘着層を透明樹脂層として用いる場合、タッチパネル30と、段差を形成している透明保護板40との間に透明樹脂層が介在することが好ましい。また、タッチパネルがオンセルとなる場合は、タッチパネルと液晶表示セルが一体化される。その具体例としては、
図8の液晶表示装置の液晶表示セル12が、オンセルで置き換えられたものが挙げられる。
【0111】
近年、インセル型タッチパネルと呼ばれる、タッチパネル機能が組み込まれた液晶表示セルの開発が進んでいる。このような液晶表示セルを備えた液晶表示装置は、例えば、透明保護板、偏光板及び液晶表示セル(タッチパネル機能付き液晶表示セル)から構成される。本実施形態に係る粘着シートの粘着シートは、このようなインセル型タッチパネルを採用している液晶表示装置にも用いることができる。
【0112】
図8及び
図9に示す液晶表示装置によれば、本実施形態の粘着層を透明樹脂層31又は32として備えるので、耐衝撃性を有し、二重映りがなく鮮明でコントラストの高い画像を得ることが可能である。
【0113】
液晶表示セル12としては、当技術分野で周知の液晶材料から構成されるものを使用することができる。液晶表示セルは、液晶材料の制御方法によって、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super−Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In−Place−Switching)方式等に分類されるが、本実施形態に係る液晶表示装置では、いずれの制御方法を使用した液晶表示セルであってもよい。
【0114】
偏光板20及び22としては、当技術分野で一般的な偏光板を使用することができる。それら偏光板の片面又は両面に対して、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。
【0115】
タッチパネル30としては、当技術分野で一般的に用いられているものを使用することができる。
【0116】
透明樹脂層31又は32の厚さは、例えば0.02mm〜3mm又は100〜500μmであってもよい。特に、本実施形態の粘着層を用いる場合、透明樹脂層が厚いことでより一層優れた効果を発揮させることができる。
【0117】
透明保護板40としては、一般的な光学用透明基板を使用することができる。その具体例としては、ガラス基板、石英板等の無機物の板;アクリル樹脂基板、ポリカーボネート板、シクロオレフィンポリマー板等のプラスチック基板;厚手のポリエステルシート等の樹脂シートが挙げられる。高い表面硬度が必要とされる場合には、透明保護板はガラス基板又はアクリル樹脂基板であってもよく、ガラス基板であってもよい。これらの透明保護板の片面又は両面に対して、反射防止、防汚、ハードコート等のための処理がなされていてもよい。透明保護板は、その複数枚を組み合わせて使用することもできる。
【0118】
バックライトシステム50は、代表的には反射板等の反射手段とランプ等の照明手段とから構成される。
【0119】
<画像表示装置の製造方法>
粘着シート1は、画像表示装置の組み立て等において次のように使用される。まず、
図10に示されるように、軽剥離セパレータ4を粘着シート1から剥離して、粘着層2の粘着面2bを露出させる。続いて、
図11に示されるように、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付け、ローラーR等で粘着層2を被着物2Aに対して押し付ける。この際、被着物A1の表面の段差部60により形成された段差は、粘着層2が流動することにより埋め込まれる。粘着層2を被着物2Aに対して押し付ける際、粘着層2を例えば40〜80℃に加熱してもよい。この温度は、段差近傍の気泡をより除去できることから、50〜70℃であってもよい。被着物A1は、例えば画像表示ユニット、透明保護板又はタッチパネルである。
【0120】
続いて、
図12に示されるように、重剥離セパレータ3を粘着層2から剥離して、粘着層2の粘着面2cを露出させる。続いて、
図13に示されるように、粘着層2の粘着面2cを被着物A2に貼り付け、得られた積層体を加熱及び加圧する(例えば、オートクレーブによる処理)。被着物A2は、例えば画像表示ユニット、透明保護板又はタッチパネルである。このようにして、粘着層2を介して被着物同士を貼り合わせることができる。積層体を加熱及び加圧する条件は、例えば、温度が40〜80℃であり、圧力が0.3〜0.8MPaである。被着物表面の段差が40〜100μmである場合は、段差近傍の気泡をより除去できることから、温度が50〜70℃であり、圧力が0.4〜0.7MPaであってもよい。加熱及び加圧の時間は5〜60分、又は10〜50分であってもよい。
【0121】
上記製造方法は、積層体の加熱及び加圧の前又は後に、粘着層2に対して、両被着物(例えば、透明保護板、タッチパネル)のいずれか一方の側から紫外線を照射する工程を含んでもよい。これにより、高温高湿下における信頼性(気泡の発生低減及び剥がれの抑制)及び接着力をより向上できる。高温高湿下における信頼性を更に向上できる観点からは、段差部を有しない被着物(例えば、タッチパネル)側から粘着層2に対して紫外線を照射することができる。
【0122】
紫外線の照射量は、特に制限されないが、500〜5000mJ/cm
2であってもよい。紫外線を照射する工程は、高温高湿下における信頼性を向上する観点から、積層体の加熱及び加圧の後に行うことができる。
【0123】
加熱及び加熱と、必要により粘着層に対する紫外線照射とを経て得られた構造体において、例えば被着物がガラス基板(ソーダライムガラス)又はアクリル樹脂基板である場合、粘着層2とこれらの基板との間の高温ピール強度は、3〜15N/cm、5〜15N/cm、又は7〜15N/cmであってもよい。高温ピール強度は、引張試験機((株)オリエンテック製、RTC−1210[商品名])を用いて、180度ピール(剥離速度300mm/分で3秒間、測定温度85℃)として測定することができる。
【0124】
以上の工程で、被着物A1と被着物A2との間に、粘着層2又はその硬化物が透明樹脂層として配置される。粘着層2(透明樹脂層)は、特に、透明保護板とタッチパネルとの間、又はタッチパネルと画像表示ユニットとの間に配置されることができる。
【0125】
図8の液晶表示装置は、画像表示ユニットと透明保護板との間に粘着層を介在させて積層体を得ることにより製造することができる。すなわち、
図8に記載の画像表示装置において、偏光板20の上面に本実施形態の粘着層をラミネート法によって積層することができる。
【0126】
図9の液晶表示装置は、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、及び/又は、タッチパネルと透明保護板との間に本実施形態の粘着層を介在置させて積層体を得ることより製造することができる。
【0127】
[第二実施形態]
<画像表示装置用粘着シート>
本実施形態の画像表示装置用粘着シートは、フィルム状の粘着層と、粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層と、第2の基材層に更に積層されたキャリア層と、を備えており、第1の基材層及びキャリア層の外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出している。
【0128】
すなわち、
図14及び
図15に示されるように、本実施形態に係る粘着シート1は、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟むように積層された軽剥離セパレータ4(第1の基材層)及び重剥離セパレータ3(第2の基材層)と、重剥離セパレータ3に更に積層されたキャリアフィルム5(キャリア層)とを備えている。
【0129】
キャリアフィルム5の外縁5aは、粘着層2の外縁2aよりも外側に張り出している。これにより、外側に張り出したキャリアフィルム5の外縁部をつまむことで、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ3から容易に剥離させることができる。キャリアフィルム5の外縁5aは、軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも外側に張り出している。これにより、キャリアフィルム5の外縁部が更につまみ易くなっているため、キャリアフィルム5をより容易に剥離させることができる。軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも張り出している部分のキャリアフィルム5の幅は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、0.5〜10mm、又は、1〜5mmであってもよい。キャリアフィルム5、粘着層2、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4の平面形状が略長方形等の略矩形である場合には、軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも張り出している部分のキャリアフィルム5の幅は、少なくとも1つの辺において0.5〜10mm若しくは1〜5mmであってもよく、又は、全ての辺において0.5〜10mm若しくは1〜5mmであってもよい。
【0130】
重剥離セパレータ3は、直前の工程までキャリアフィルム5によって保護されているため、重剥離セパレータ3の表面の傷が少なくなる。これにより、粘着層2の傷を容易に視認でき、傷が生じている粘着層2を被着物に貼り付ける前に容易に排除できる。
【0131】
キャリアフィルム5としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムが挙げられる。重合体フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムであってもよい。キャリアフィルム5の厚さは、作業性の観点から、15〜100μm、20〜80μm、又は、20〜50μmであってもよい。
【0132】
軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。ここで、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との間の剥離強度は、軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度より低いことがより好ましいが、高くてもよい。
【0133】
キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との剥離強度は、例えばキャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に接着剤層等を設けることにより調節してもよい。形成させる接着剤層の種類及び接着剤層の厚さによって、上記の剥離強度を調整することができる。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に形成させる接着剤の種類としては、例えば、アクリル系接着剤が挙げられる。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に形成させる接着剤層の厚さは、0.1〜10μm、又は1〜5μmであってもよい。
【0134】
このように、本実施形態の粘着シート1によれば、粘着層2を保護しつつ、各セパレータ3,4及びキャリアフィルム5を確実に所定の順序で、剥離不良がなく、容易に剥離させることができる。
【0135】
<画像表示装置用粘着シートの製造方法>
粘着シート1は、例えば次のように製造される。まず、
図16に示されるように、キャリアフィルム5上に、重剥離セパレータ3、粘着層2、及び仮セパレータ6が順に積層された母材フィルム10を準備する。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
【0136】
続いて、ブレードBを備えた打抜装置により、仮セパレータ6、粘着層2、及び重剥離セパレータ3を所望の形状に切断する。この工程では、
図17に示されるように、仮セパレータ6、粘着層2、及び重剥離セパレータ3に、キャリアフィルム5に到達する深さでブレードBを通すことができる。これにより、キャリアフィルム5の粘着層2側の面5bには、切込部5cが形成される。このように、仮セパレータ6からキャリアフィルム5にブレードBを到達させることにより、粘着層2及び重剥離セパレータ3を完全に切断することができる。
【0137】
続いて、
図18に示されるように仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3の外側部分を除去する。この時、キャリアフィルム5の外縁が重剥離セパレータ3の外縁よりも外側に張り出さないよう、
図19に示されるように重剥離セパレータ3の外縁は、キャリアフィルム5の外縁と略面一となっていてもよい。すなわち、仮セパレータ6及び粘着層2の外側部分のみを除去し、重剥離セパレータ3の外側部分は除去せずにキャリアフィルム5上に残し、切断後の重剥離セパレータ3はそのままキャリアフィルム5に付いた状態であってもよい。これにより、表面露出したキャリアフィルム5が他の部分へ接着することを効果的に防ぐことができる。
【0138】
図18に示されるように仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3の外側部分を除去した後、続いて
図20に示されるように粘着層2から仮セパレータ6を剥離し、
図21に示されるように粘着層2に軽剥離セパレータ4を貼付する。以上の工程で本実施形態の粘着シート1が完成する。このように、重剥離セパレータ3の外縁を、粘着層2の外縁と略面一とするように切断されたフィルムであれば、軽剥離セパレータ4と重剥離セパレータ3との剥離し易さの差がより顕著となるため、重剥離セパレータ3を剥離する前に、軽剥離セパレータ4をより容易に剥離することができる。更に、重剥離セパレータ3の外縁と粘着層2の外縁とが揃うことで、粘着層2の外縁の位置が明確になるため、粘着層2と被着物との位置合わせが容易となる。
【0139】
<画像表示装置の製造方法>
本実施形態の粘着シート1は、最初に、
図22に示されるように、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ3から剥離してから用いることを除いては、第一実施形態の粘着シートと同様にして使用することができる。
【0140】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、
図23に示される構成の画像表示装置の透明樹脂層を形成するために、本発明に係る粘着層を用いることもできる。
【実施例】
【0141】
以下、実施例により本発明の説明をする。本実施例では、第一実施形態及び第二実施形態に係る粘着シートを作製しているが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0142】
合成例1(アクリル重合体(A−1)の合成)
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管を取り付けた反応容器に初期モノマーとして、イソステアリルアクリレート(日立化成工業(株)社製、FA−117A[商品名])96.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)社製、商品名「HEA」)24.0gとメチルエチルケトン150.0gを取り、100mL/分の風量で窒素置換しながら、15分間で常温(25℃)から80℃まで加熱した。その後、温度を80℃に維持しながら、追加モノマーとして、イソステアリルアクリレート24.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート6.0gを使用し、これらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5.0gを溶解した溶液を準備し、この溶液を120分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間反応させた。
続いて、メチルエチルケトンを留去することにより、イソステアリルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートの共重合体(重量平均分子量30000)をアクリルポリマー(A−1)として得た。
【0143】
合成例2(アクリル重合体(A−2)の合成)
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管を取り付けた反応容器に初期モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート84.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート36.0gとメチルエチルケトン150.0gを取り、100mL/分の風量で窒素置換しながら、15分間で常温(25℃)から80℃まで加熱した。その後、温度を80℃に維持しながら、追加モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート21.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート9.0gを使用し、これらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5.0gを溶解した溶液を準備し、この溶液を120分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間反応させた。
続いて、メチルエチルケトンを留去することにより、2−エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートの共重合体(重量平均分子量180000)をアクリルポリマー(A−2)として得た。
【0144】
合成例3(ポリウレタンジアクリレート(C−1)の合成)
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及び空気導入管を取り付けた反応容器にポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)285.3g、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製、プラクセルFA2D[商品名])24.5g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.13g及び触媒としてジブチル錫ジラウレート0.5gを取り、100mL/分の風量で空気を流しながら、15分間で常温(25℃)から75℃まで加熱した。その後、温度を75℃に維持しながら、イソホロンジイソシアネート39.6gを2時間かけて均一に滴下し、反応を行った。
滴下終了後、6時間にわたって反応させた。IR測定の結果、イソシアネート基が消失したことを確認された。この時点で反応を終了し、ポリプロピレングリコールとイソホロンジイソシアネートを繰り返し単位として有し、両末端にアクリロイル基を有するポリウレタンアクリレート(重量平均分子量30000)を得た。IRの測定には、フーリエ変換赤外分光光度計((株)堀場製作所製、商品名「FT−710」)を使用した。
【0145】
合成例4(ポリウレタンジアクリレート(C−2)の合成)
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及び空気導入管を取り付けた反応容器にポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)285.3g、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製、プラクセルFA2D[商品名])37g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.13g及び触媒としてジブチル錫ジラウレート0.5gを取り、100mL/分の風量で空気を流しながら、15分間で常温(25℃)から75℃まで加熱した。その後、温度を75℃に維持しながら、イソホロンジイソシアネート39.6gを2時間かけて均一に滴下し、反応を行った。
滴下終了後、6時間にわたって反応させた。IR測定の結果、イソシアネート基が消失したことを確認された。この時点で反応を終了し、ポリプロピレングリコールとイソホロンジイソシアネートを繰り返し単位として有し、構造式の両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンアクリレート(重量平均分子量11000)を得た。
【0146】
重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用して行い、下記の装置及び測定条件を用いて標準ポリスチレンの検量線を使用して換算することによって決定した値である。検量線の作成にあたっては、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(東ソー(株)製、PStQuick MP−H[商品名], PStQuick B[商品名])を用いた。
【0147】
装置:高速GPC装置 HLC−8320GPC(検出器:示差屈折計)
(東ソー(株)製、商品名)
使用溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:カラムTSKGEL SuperMultipore HZ−H
(東ソー(株)製、商品名)
カラムサイズ:カラム長が15cm、カラム内径が4.6mm
測定温度:40℃
流量:0.35mL/分
試料濃度:10mg/THF5mL
注入量:20μL
【0148】
粘着性樹脂組成物の原料となる以下の各成分を準備した。
A成分:アクリル酸系誘導体ポリマー(A−1)〜(A−2)
B成分:イソステアリルアクリレート(ISTA)
:2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)
:4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)
:N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)
:アクリロイルモルホリン(ACMO)
:ダイアセトンアクリルアミド(DAAM)
C成分:ポリウレタンジアクリレート(C−1)〜(C−2)
D成分:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(I−184、BASFジャパン(株)製、Irgacure−184[商品名])
【0149】
<実施例1>
[粘着シート1の作製(3層品)]
重剥離セパレータ3として厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)社製)、並びに軽剥離セパレータ4及び仮セパレータ6として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)社製)を用いて、以下の(I)〜(V)の手順で粘着シート1を作製した。
【0150】
(I)アクリルポリマー(A−1)40質量部、イソステアリルアクリレート(ISTA)45.1質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)5.0質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)1.8質量部、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)5.0質量部、ポリウレタンジアクリレート(C−2)3.0質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(I−184)0.1質量部を取り、これらを攪拌して混合することで、常温で液状の粘着性樹脂組成物を得た。
【0151】
(II)この粘着性樹脂組成物を重剥離セパレータ3上に塗工して塗膜を形成した後、塗膜上に仮セパレータ6を積層し、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)社製)を用いて紫外線を照射(400mJ/cm
2)することで、重剥離セパレータ3と仮セパレータ6とで粘着層2を挟んだ粘着シートを得た。粘着層2の厚さは150μmとなるように調整した。
【0152】
(III)220mm×180mmになるように、重剥離セパレータ3、粘着層2及び仮セパレータ6を直径72mmのロータリーブレードにより切断した。
【0153】
(IV)粘着層2及び仮セパレータ6を205mm×160mmになるように、直径72mmのロータリーブレードを用いて切断した。この時、重剥離セパレータ3の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より7.5mm張り出すように、また、重剥離セパレータ3の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より10mm張り出すように切断した。(III)及び(IV)の切断は、ロータリー式打抜装置を用いた。
【0154】
(V)仮セパレータ6を剥離し、215mm×170mmの軽剥離セパレータ4を粘着層2上に積層し、粘着シート1を得た。この時、軽剥離セパレータ4の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より5mm張り出すように、また軽剥離セパレータ4の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より5mm張り出すように積層した。
【0155】
<実施例2〜4及び比較例1〜7>
配合条件を表1に示す配合としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シート1を得た。表1中、配合量を表す数値の単位は、質量部である。
【0156】
[各種評価]
各実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、以下の(1)〜(3)の評価を行った。
【0157】
(1)光学特性
(A)L
*、a
*、b
*
作製した粘着シートを幅40mm、長さ100mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、50mm×100mm×3mm(厚さ)の寸法のガラス基板(ソーダライムガラス)に、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)貼合せた。次いで、粘着シートの反対面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、粘着層面を光源側として分光測色計(日本電色工業(株)製、SQ−2000[商品名])を用いて測定した。
(B)濁度(ヘーズ)の測定
作製した粘着シートを幅40mm、長さ100mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、50mm×100mm×3mm(厚さ)の寸法のガラス基板(ソーダライムガラス)に、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)貼合せた。次いで、粘着シートの反対面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、粘着層面を光源側として濁度計(日本電色工業(株)製、NDH−5000[商品名])を用いて、JIS K 7136に準じて測定した。
ヘーズ(%)=(Td/Tt)×100
Td:拡散透過率 Tt:全光線透過率
【0158】
(2)誘電率
作製した粘着シートに紫外線照射装置を用いて紫外線を2000mJ/cm
2照射した後、幅50mm、長さ50mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、100mm×100mm×18μm(厚さ)の寸法の銅箔(日本電解(株)社製、SLP−18[商品名])の光沢面側を粘着シートがはみ出さないように貼合せた。次いで、粘着シートのもう一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、20mm×20mm×18μm(厚さ)の寸法の銅箔(日本電解(株)社製、SLP−18[商品名])の光沢面側を粘着シートがはみ出さないように貼合せた。100mm×100mmの寸法の銅箔及び20mm×20mmの寸法の銅箔のそれぞれのほぼ中央部に端子を接触させて、誘電率測定装置(Agilent Technologies社製、LCR meter E4980[商品名])を用いて、23℃、周波数100kHzの条件で静電容量(C)を測定し、次式に代入することで誘電率ε
rを求めた。ここで、ε
0は真空の誘電率、dは粘着層の厚さである。各実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
C=ε
0×ε
r×(20mm×20mm)/d
【0159】
(3)ピール強度
作製した粘着シートを幅10mm、長さ80mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、幅25mm、長さ100mmの寸法のソーダライムガラスに、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)、貼合せた。次いで、該粘着シートのもう一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)社製、商品名:コスモシャインA4100)を幅15mm、長さ150mmの寸法に切り出し、該粘着シートに貼合せた。引張試験機((株)オリエンテック製、RTC−1210[商品名])を用いて、所定の温度環境下、引き剥がし角度180°、引き剥がし速度300mm/分でピール強度を測定した。
【0160】
【表1】
【0161】
表1に示されように、ステアリル(メタ)アクリレート及びN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを含有する実施例の粘着層は、誘電率が十分に低く、ガラスに貼りつけられたときの高温下でのピール強度が高く、かつ透明性にも優れていた。
【0162】
<実施例5>
[粘着シート2の作製(4層品)]
【0163】
(I)実施例1と同様の方法で液状の粘着性樹脂組成物を得た。
(II)この粘着性樹脂組成物を重剥離セパレータ3の一方の面上に塗工して塗膜を形成した後、上記塗膜上に仮セパレータ6を積層し、紫外線を照射(400mJ/cm
2)し、さらにその後、重剥離セパレータ3の他方の面に、アクリル系接着剤(日立化成工業(株)製、ヒタレックスK−6040[商品名])をラミネートし、その上にキャリアフィルム5を積層した。
(III)220mm×180mmになるように重剥離セパレータ3、粘着層2、仮セパレータ6及びキャリアフィルム5を切断した。
(IV)粘着層2、重剥離セパレータ3及び仮セパレータ6を205mm×160mmになるように、直径72mmのロータリーブレードにより切断した。切断には、ロータリー式打抜装置を用いた。この時、キャリアフィルム5の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より7.5mm張り出すように、また、キャリアフィルム5の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より10mm張り出すように切断した。
(V)仮セパレータ6を剥離し、215mm×170mmの軽剥離セパレータ4を粘着層2上に積層した。このようにして、粘着シート1を得た。この時、軽剥離セパレータ4の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より5mm張り出すように、又軽剥離セパレータ4の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より5mm張り出すように積層した。
【0164】
粘着シート1について上記と同様の評価を行ったところ、所望の形状を備える粘着シートを作製することができ、かつ実施例1と同様に高温ピール強度、誘電率及び外観のいずれにも優れる結果となった。