(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した電池セルは、この電動工具用電池パックの構成部品の中で最も重い構成部品となっている。つまり、電池セル以外の構成部品の固有振動に対しての電池セルの固有振動は相違するものとなっている。このため、外部から電動工具用電池パックに衝撃や振動を加わると、電池セルの動きと、この電池セルの電極に結合される電極部材との動きとを、相違させる動きにしてしまいかねない。このような相違させる動きは、この結合されている箇所に負荷をかけてしまうものであるため、なるべく排除するようにしておきたい。なお、上記した特許文献1の電動工具用電池パックには、ケースと電池セルとの間にクッションとして機能する部材が介装させてあるが、このクッションとして機能する部材は、電池セルをケースに固定するためのものではない。このため、上記した電極に結合される電極部材に対する電池セルの動きを抑えるまでには至らないものとなっている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、電動工具の電源として該電動工具の工具本体に着脱可能にされる電動工具用電池パックにおいて、外部から電動工具用電池パックに衝撃や振動を加わる場合でも、ケースに対する電池セルの相対的な動きや、セルホルダに対する電池セルの相対的な動きを抑えれるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係る電動工具用電池パックは次の手段をとる。すなわち、本発明の第1の発明に係る電動工具用電池パックは、電動工具の電源として該電動工具の工具本体に着脱可能にされる電動工具用電池パックであって、ケースと、円柱形状をなす電池セルと、該電池セルの少なくとも一部を覆った状態で前記ケースの内部に組み付けられるセルホルダと、を有し、前記セルホルダには、前記電池セルの円柱形状の外周面を挟み込むように当接して該電池セルを保持するセル保持部が設けられており、前記電池セルの円柱形状の外周面を挟み込むように当接する前記セル保持部の当接間隔寸法が、前記電池セルの円柱形状の外周面の径寸法よりも小さく設定されている、ことを特徴とする。
この第1の発明に係る電動工具用電池パックによれば、セル保持部の当接間隔寸法が電池セルの円柱形状の外周面の径寸法よりも小さく設定されているので、セル保持部は、電池セルの円柱形状の外周面を把持するように当接する。これによって、セル保持部は、セルホルダと一体にするように電池セルを保持することができる。ここで、セルホルダはケースにより支持されているので、外部から電動工具用電池パックに衝撃や振動を加わる場合でも、ケースに支持されるセルホルダと電池セルとを一体的に動かすことができる。したがって、ケースに対する電池セルの相対的な動きや、セルホルダに対する電池セルの相対的な動きを抑えれるようにすることができる。
【0007】
また、第2の発明に係る電動工具用電池パックは、前記第1の発明の電動工具用電池パックにおいて、前記電池セルの円柱形状の外周面を挟み込むように当接する前記セル保持部の当接間隔寸法は、前記電池セルを保持させる際には拡がるように設定されており、且つ該電池セルを保持した際には該電池セルを押さえるように設定されている、ことを特徴とする。
この第2の発明に係る電動工具用電池パックによれば、セル保持部の当接間隔寸法は、電池セルを保持させる際には拡がり、電池セルを保持した際には電池セルを押さえる。これによって、セル保持部による電池セルの保持を、弾性的な保持とすることができる。したがって、外部から電動工具用電池パックに衝撃や振動を加わる場合でも、ケースに支持されるセルホルダは、電池セルを弾性的に支持された一体的な動きとすることができ、よりケースに対する電池セルの相対的な動きや、セルホルダに対する電池セルの相対的な動きを抑えれるようにすることができる。
【0008】
また、第3の発明に係る電動工具用電池パックは、前記第1または前記第2の発明の電動工具用電池パックにおいて、前記セルホルダには、前記電池セルを収容するための挿入を案内するためのガイド部が設けられている、ことを特徴とする。この第3の発明に係る電動工具用電池パックによれば、セルホルダには電池セルを収容するための挿入を案内するためのガイド部が設けられているので、電池セルをセルホルダに収容するにあたっての挿入がし易いものとなる。これによって、セルホルダに対しての電池セルの組付け性を高めることができる。
また、第4の発明に係る電動工具用電池パックは、前記第3の発明の電動工具用電池パックにおいて、前記ガイド部は、略C形の曲面を有して形成されている、ことを特徴とする。この第4の発明に係る電動工具用電池パックによれば、ガイド部は略C形の曲面を有して形成されているので、電池セルの外周形状に対応してセルホルダに対しての電池セルを挿入する際のガイド性能を高めることができる。
【0009】
また、第5の発明に係る電動工具用電池パックは、前記第1〜前記第4の発明の電動工具用電池パックにおいて、前記セル保持部は、湾曲形状を備えながら前記電池セルの円柱形状の外周面に当たる1つの当接湾曲部と、該1つの当接湾曲部の延在方向両端を湾曲形状を備えながら弾性支持する2つの支持湾曲部とを有する、ことを特徴とする。
この第5の発明に係る電動工具用電池パックによれば、セル保持部は、2つの支持湾曲部の湾曲形状により弾性支持された1つの当接湾曲部により電池セルを当接支持することができる。これによって、セル保持部の電池セルの保持を弾性的な保持とするにあたって、このセル保持部の弾性的な機能を成形により良好に形成することができる。したがって、セル保持部の弾性的な機能を設けるにあたっての製造コストを抑えることができる。
【0010】
また、第6の発明に係る電動工具用電池パックは、前記第1〜前記第5の発明のいずれかの電動工具用電池パックにおいて、前記セルホルダには、前記ケースの内面に向けて延ばされる延在部が設けられており、前記延在部は、該ケースの該内面に対して弾性を有しながら当接可能に構成されている、ことを特徴とする。
この第6の発明に係る電動工具用電池パックによれば、延在部はケースの内面に対して弾性を有しながら当接可能に構成されているので、延在部を介してケースの内面からセルホルダが支持されるにあたっての支持を緩衝作用を有する支持とすることができる。これによって、外部からの衝撃や振動を受けた場合でも、セルホルダはケースに対して的確に支持されるようになって、セルホルダのケースとの一体化をより強化することができる。なお、この延在部は、衝撃や振動を受けた場合に緩衝作用を有してセルホルダを支持するように構成されていればよく、このためにケースの内面に対して弾性を有しながら当接可能に構成されていればよいものである。つまり、この延在部としては、ケースの内面に対して常時当接していることが必ず要されるものではない。
【0011】
また、第7の発明に係る電動工具用電池パックは、前記第6の発明の電動工具用電池パックにおいて、前記延在部の弾性復元は、撓み戻しによるものとなっている、ことを特徴とする。この第7の発明に係る電動工具用電池パックによれば、延在部の弾性復元は撓み戻しによるものとなっているので、延在部の成形された形状により弾性を得ることができる。これによって、できるだけ簡単に延在部をセルホルダに設けることができる。
また、第8の発明に係る電動工具用電池パックは、前記第6の発明の電動工具用電池パックにおいて、前記延在部は、前記セル保持部の一部として設けられている、ことを特徴とする。この第8の発明に係る電動工具用電池パックによれば、延在部はセル保持部の一部として設けられているので、延在部を設けるにあたって別の成形部分を加える必要が無くなり、セルホルダの成形の簡単化を図ることができて延在部を設けるためのスペースを小さくすることができる。これによって、電動工具用電池パック自体の大きさを出来るだけ大きくすることなく、効率良く延在部を設けることができる。
また、第9の発明に係る電動工具用電池パックは、前記第1〜前記第8の発明のいずれかの電動工具用電池パックにおいて、前記セル保持部は、前記電池セルの長さ方向の中心に対して該電池セルの長さ方向の対称位置のそれぞれに設けられている、ことを特徴とする。この第9の発明に係る電動工具用電池パックによれば、セル保持部は、電池セルの長さ方向の中心に対して電池セルの長さ方向の対称位置のそれぞれに設けられているので、バランス良く電池セルを保持することができる。
また、第10の発明に係る電動工具用電池パックは、前記第6〜前記第9の発明のいずれかの電動工具用電池パックにおいて、前記延在部は、前記電池セルの長さ方向の中心に対して該電池セルの長さ方向の対称位置のそれぞれに設けられている、ことを特徴とする。この第10の発明に係る電動工具用電池パックによれば、延在部は、電池セルの長さ方向の中心に対して電池セルの長さ方向の対称位置のそれぞれに設けられているので、バランス良く電池セルを支持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
以下に、本発明に係る電動工具用電池パックを実施するための第1の実施の形態について
図1〜
図18を参照しながら説明する。
図1に示す符号10は、本発明に係る電動工具用電池パックに相当する電池パックである。この電池パック10は、例えば電動ドライバに代表される各種の電動工具の工具本体にスライドさせることにより着脱可能に構成される充電式電池である。工具本体に装着された電池パック10は、電動工具の電源として機能する。このため、電池パック10は、充電量が少なくなると工具本体から取り外されて専用充電器に装着されて充電される。この専用充電器にて充電が完了した電池パック10は、電動工具の駆動電源として再び工具本体に装着される。なお、これらの工具本体や専用充電器は、本発明に係る機器本体に相当する。すなわち、
図1は、主たる第1の実施の形態の電池パック10の上面の外観を示す外観図である。
図2は、
図1の電池パック10の前側の外観を示す外観図である。
図3は、
図1の電池パック10の全体を分解して示す全体分解斜視図である。
図4は、電池本体30に関して組み付けた
図3の電池パック10の分解斜視図である。
図5は、下側ケース12に電池本体30を収容した
図3の電池パック10の分解斜視図である。
図6は、電池本体30が取り外された下側ケース12の内部を示す上面図である。
図7は、電池本体30が収容された下側ケース12の内部を示す上面図である。なお、図面にて規定される電池パック10の前側は、この電池パック10のスライド装着させる方向に基づく方向にて設定されている。また、図面にて規定される電池パック10の上側は、この電池パック10が不図示の工具本体に装着される方向に基づく方向にて設定されている。
【0014】
図1〜
図7に示すように、電池パック10は、概略、ケース11と、このケース11の内部に装置される電池本体30(
図4等参照)とを備える。ケース11は、電池パック10の外装をなしつつ電池本体30を内装する筐体として機能する。このケース11は、上下の2つ割り構造を有して構成される。このケース11は、下側ケース12と上側ケース21とを上下方向に合体して構成される。合体された下側ケース12と上側ケース21とは、
図3に示す螺子部材19を介して合体状態が保持される。このように合体されてなるケース11は、内部に電池本体30を装置可能な箱形空間を形成する。
下側ケース12は、
図3および
図4に示すように、上面が開口された略箱形にて形成される。この下側ケース12は、後に説明する電池本体30の電池部31を主として収容する略箱形をなしている。具体的には、下側ケース12は、
図5に示すように、前後方向で並列される5つの電池セル33を収容可能な前後左右上下方向の寸法を有して形成されている。つまり、下側ケース12は、電池本体30の回路基板42(制御部41)については、下側ケース12の収容領域から上側に食み出るように形成されている。
【0015】
この下側ケース12の側面角縁には、
図4および
図6に示すように、螺子止めするための螺子孔13が設けられている。また、この下側ケース12の底面角縁には、
図4および
図6に示すように、内部の水を外部に排水するための排水孔14が設けられている。また、左右両側の内部側面には、支持リブ15と抑えリブ16が設けられている。支持リブ15は、略矩形にて突き出される形状にて形成される。この支持リブ15は、後に説明するセルホルダ50の隙間部561,571に嵌合されて、下側ケース12の内部におけるセルホルダ50の前後方向の移動を規制する部分に設定されている。また、抑えリブ16は、上下方向に延びる略凸条にて突き出される形状にて形成される。この抑えリブ16は、リード板37を電池セル33側に向けて押さえ込むようにリード板37に当接されるリブである。この抑えリブ16は、下側に向かうにしたがってリード板37に当接する範囲が拡がるように設定されている。なお、後にも説明するが電池部31の上側に配置される制御部41は、次に説明する上側ケース21に収容される。
【0016】
上側ケース21は、
図3に示すように、下側ケース12の上側にて配置される。この上側ケース21は、下側ケース12と一体となるように螺子部材19により螺子止めされる。つまり、上側ケース21には、下側ケース12の螺子孔13を通された螺子部材19を螺合する螺子ボス22が設けられている。この上側ケース21は、後に説明する電池本体30の制御部41を収容可能な下面が開口された略箱形にて形成されている。
上側ケース21は、電池パック10を機器本体(電動工具の工具本体や専用充電器)にスライド装着させる際の接続側の外装をなす。上側ケース21の中間部分には、左右で対をなすスライドガイド部231,232が設けられている。このスライドガイド部231,232は、この電池パック10の工具本体等の機器本体に対してのスライド装着をガイドする。このため、スライドガイド部231,232は、スライド装着可能な前後方向に延びるように左右両側に向けて張り出されたフランジ形状により形成される。このスライドガイド部231,232のそれぞれには、凹み部233が設けられている。この凹み部233は、電池パック10を電動工具に装着した場合に、電動工具が駆動することによる振動が電池セル33に伝わるのを緩衝させる機能を有する。また、上側ケース21には、後に説明する充放電端子44および信号端子46が機器本体側の端子と電気的に接続できるように形成される。すなわち、上側ケース21には、充放電端子用スリット241と信号端子用スリット242とが設けられている。これらのスリット241,242は、板形をなす雄形外部端子を差し込むことができるように形成されている。また、この上側ケース21には、電池パック10を機器本体にスライド装着させるにあたってのガイドスリット243,244が設けられている。
【0017】
また、この上側ケース21には、フック用開口部261および操作用開口部262が設けられている。フック用開口部261は、雄フック機構70のフック部72を外部に突出可能にさせる開口部である。フック用開口部261から突き出されたフック部72は、外部の不図示の電動工具または専用充電器の雌部に対して係合されるようになっている。操作用開口部262は、上記した雄フック機構70の操作部73を外部に露出可能にさせる開口部である。操作用開口部262から操作可能にされる操作部73は、フック用開口部261から外部に突き出されるフック部72の係合をユーザにより解除操作できるようになっている。
雄フック機構70は、電池パック10を機器本体に対してスライド装着させた場合に、この機器本体に対して取外し可能に係止する構造を有してなる。すなわち、雄フック機構70は、
図3等に示すように、フック形状および指掛かり形状を具備するフック形構造体71と、このフック形構造体71を係止方向に付勢する付勢ばね75とを備える。このフック形構造体71は、上記したフック部72と操作部73とを備える。このように構成される雄フック機構70は、付勢ばね75の付勢力により自動的にフック部72を機器本体の雌部分に係止させるようになっている。また、付勢ばね75の付勢力に抗して操作部73を引下げ操作をすると、機器本体の雌部分に対するフック部72の係止を解除することができ、電池パック10をスライドさせて機器本体から取り外すことができる。
【0018】
上記したように形成された下側ケース12には、上側に配置された上側ケース21を螺子部材19により螺子止めされてケース11をなす。このように下側ケース12に合体される上側ケース21との関係には、互いの合体状態をより強固にする構造が設けられている。すなわち、
図8〜
図10における丸抜きの図に示すように、下側ケース12の上側に向けて開口される開口端縁18には、この開口端縁18に沿って嵌合凹溝181が設けられている。この嵌合凹溝181は、開口端縁18の板厚方向の中央箇所を開口端縁18に沿って設けられている。このため、この嵌合凹溝181は、下側ケース12の前後左右の開口端縁18のすべてに亘るように設けられている。この嵌合凹溝181の凹溝幅は、開口端縁18の板厚の略3分の1で設定されている。また、嵌合凹溝181の凹溝深さは、開口端縁18の板厚の略同じで設定されている。
これに対して、上側ケース21の下側に向けて開口される開口端縁28には、この嵌合凹溝181に対して嵌合する嵌合凸条部281が設けられている。この嵌合凸条部281は、この上側ケース21の前後左右の開口端縁28のすべてに亘って設けられるものであり、下側ケース12に設けられる嵌合凹溝181の深さに対応した突出幅と突出長さとを有して形成される。具体的には、この嵌合凸条部281の突出幅は、開口端縁28の板厚の略3分の1で設定されている。また、嵌合凸条部281の突出長さは、開口端縁28の板厚の略同じで設定されている。
このような設定事項で嵌合される嵌合凹溝181と嵌合凸条部281との関係は、互いの開口端縁18,28同士を強固に結合させる。つまり、下側ケース12に対して上側ケース21が相対的に荷重がかかったり、上側ケース21に対して下側ケース12が相対的に荷重がかかったりしても、互いの相対的なズレを強く抑えることができる。
【0019】
次に、上記したケース11の内部に装置される電池本体30について説明する。電池本体30は、上記したケース11の内部に装置される。この電池本体30は、充電式電池となる電池パック10としての各種の機能を有している。この電池本体30は、
図4等に示すように、電池部31と制御部41とを備える。電池部31は、
図3に示すように、5本の電池セル33(331,332,333,334,335)を有する。この電池セル33は、広く利用される充放電可能な電池セルであり、外形が円柱形状にて形成される。この電池セル33は、前側から順に、第1電池セル331,第2電池セル332,第3電池セル333,第4電池セル334,第5電池セル335となっている。この5本の電池セル33は、左右方向に延びる横置きで前後方向で並列されている。このため、5本の電池セル33のプラス電極34とマイナス電極35は、左右両側端に配置されるようになっている。なお、
図3に示すように、プラス電極34のそれぞれには、絶縁シート36が取り付けられている。
この5本の電池セル33の左右両端の電極34,35には、互いの電極34,35同士を電気的に接続するためのリード板37(371,372,373,374,375,376)が設けられている。すなわち、
図3に示すように、電池セル33の左右両端の電極34,35のそれぞれには、第1リード板371、第2リード板372、第3リード板373、第4リード板374、第5リード板375、第6リード板376が、溶接により結合されている。これらのリード板37(371,372,373,374,375,376)は、本発明に係る電極部材に相当する。なお、この5本の電池セル33は、後に詳述するセルホルダ50にて保持されている。また、図示符号38は、下側ケース12の内面となる内部底面121に敷かれる緩衝マットである。この緩衝マット38は、弾性を有する樹脂にて成形されるシート形状を有する。この緩衝マット38は、電池セル33が並べられる前後方向の範囲に及ぶように形成されている。この緩衝マット38は、後に詳述するセルホルダ50のセル保持部63の配設位置を開けるように適宜間隔を有して設けられている。
【0020】
制御部41は、電池部31の上側に配置される。この制御部41は、各種の制御処理を行う回路基板42を有する。回路基板42は、マイコンが装備されており、結合されるリード板37を介して電池セル33の状態を監視して充放電に関する制御を行っている。このため、この回路基板42には、5本の電池セル33の左右両端の電極34,35に取り付けられているリード板37の上端が電気的に接続されている。具体的には、これらのリード板37(371,372,373,374,375,376)の上端が、溶接により回路基板42に対して結合されている。これらのリード板37は、電池セル33の電極34,35と回路基板42とに溶接により結合されていることとなる。
回路基板42の上面には、充放電端子44と信号端子46とが設けられている。これら充放電端子44と信号端子46とは、機器本体となる不図示の工具本体や専用充電器に対して電気的に接続される端子となっている。これらの充放電端子44と信号端子46とは、板ばね形の金属端子を対向配置させることにより形成される。この充放電端子44は、電池パック10を電源として工具本体に装着する場合には放電用端子と機能する。また、この充放電端子44は、電池パック10を専用充電器に装着する場合には充電用端子と機能する。このため、この充放電端子44は、例えば工具本体側のプラス端子と接続されるプラス接続用端子441と、例えば工具本体側のマイナス端子と接続されるマイナス接続用端子442とを備える。これらプラス接続用端子441およびマイナス接続用端子442は、両者ともに前後方向に2つ端子を並列させて設けられている。
【0021】
信号端子46は、4つ設けられている。これら3つの信号端子46のそれぞれは、電池パック10として機器本体に装着された際に、この機器本体との間で互いの情報を送受信する端子として構成される。すなわち、第1信号端子461は、接続される専用充電器に対して充電完了信号を送信する信号端子となっている。具体的には、この第1信号端子461は、回路基板42が電池セル33の電圧が任意の閾値以上になったと判断した場合には、接続される専用充電器の充電制御を強制的に停止させるように、接続される専用充電器に向けて充電完了信号を送信する。また、第2信号端子462は、電池セル33の温度の監視電圧情報を専用充電器に常時送信する信号端子となっている。具体的には、この第2信号端子462は、電池セル33の温度が異常温度に達した場合には、電池セル33の温度が異常温度に達したと判断して専用充電器の充電制御を停止させるように、接続される専用充電器に向けて監視電圧情報を送信する。また、第3信号端子463は、接続される専用充電器に対して過充電防止信号を送信する信号端子となっている。具体的には、この第3信号端子463は、上記した第1信号端子461で専用充電器の充電制御を停止させることができない場合、電池パック10が過充電となってしまわないように専用充電器の充電制御を停止させるように、この第3信号端子463から接続される専用充電器に向けて過充電防止信号を送信する。また、第4信号端子464は、接続される工具本体に対して過放電防止信号を送信する信号端子となっている。具体的には、この第4信号端子464は、回路基板42が電池セル33の電圧が任意の閾値以下になったと判断した場合には、接続される工具本体の放電制御を強制的に停止させるように、接続される工具本体に向けて放電停止信号を送信する。なお、上記した6つの並列配置される信号端子46同士の間では、電気的に接続させたくない信号端子46同士の間ほど、なるべく遠ざけるようにして配列されている。また、上記した信号端子46により送受信される情報は、上記した内容に限定されることなく電池パック10や機器本体に関する適宜の情報であれば足りるものである。また、送受信される信号は、回路基板42の制御処理に基づいた情報となっている。
【0022】
次に、上記した電池セル33を保持するセルホルダ50について
図8〜
図18を参照しながら説明する。すなわち、
図8は、
図1における(VIII)-(VIII)断面矢視を示す断面図である。
図9は、
図8の電池パック10の断面を斜視にて示す断面斜視図である。
図10は、
図9の電池パック10を中心左右方向で切った断面を示す断面斜視図である。
図11は、第1の実施の形態のセルホルダ50の上面図である。
図12は、
図11のセルホルダ50の前面図である。
図13は、
図11のセルホルダ50の後面図である。
図14は、
図11のセルホルダ50の右側面図である。
図15は、
図11のセルホルダ50の左側面図である。
図16は、
図11のセルホルダ50の下面図である。
図17は、回路基板42が取り付けられた
図11のセルホルダ50を示す側面図である。
図18は、
図17のセルホルダ50に電池セル33が挿入されているのを示す側面図である。
セルホルダ50は、5本の電池セル33(331,332,333,334,335)を下側ケース12の内部にて収容保持させるために、この5本の電池セル33を1つに纏めるホルダとして構成されている。なお、このセルホルダ50は、電池セル33の少なくとも一部を覆った状態で下側ケース12の内部に組み付けるものである。つまり、このセルホルダ50は、下側ケース12の内部に電池セル33を配置することができるように、この下側ケース12の内部を区画する機能を有する。このセルホルダ50は、適宜のプラスチック樹脂により成形される。このセルホルダ50は、概略、セルホルダ50としての骨格をなす外縁体51と、この外縁体51にて支持されて電池セル33を収容するセル収容部60(601,602,603,604,605)とを備える。
【0023】
外縁体51は、ケース11からの支持を受ける構造を有しつつ、セル収容部60を支持する構造を有する。すなわち、外縁体51は、概略、基板合体部52と、内面当接部53とを有する。基板合体部52は、セルホルダ50が上記した回路基板42に対して係止する部分となっている。具体的には、基板合体部52は、上記した回路基板42に係止させるための前側係止フック521および後側係止フック522の2つにて構成される。これら2つの前側係止フック521および後側係止フック522は、外縁体51から中心に向けて延ばされる側面収容区画部611に対して上側に突き出されるようにして外縁体51と一体に設けられている。これら2つの前側係止フック521および後側係止フック522は、セルホルダ50の左右方向の中心軸線上でそれぞれ前後方向にずらされた位置に設けられている。具体的には、セルホルダ50の左右方向の中心軸線上の前側には前側係止フック521が設けられており、セルホルダ50の左右方向の中心軸線上の後側には後側係止フック522が設けられている。なお、前側係止フック521は、
図8に示すように、回路基板42の前側端縁421に対して上側に突き出されるようにして係止する。係止した前側係止フック521は、後に説明するセル収容部60の上面収容区画部612とで回路基板42を挟み込む。また、後側係止フック522は回路基板42の後側端縁422に対して上側から係止して、係止した後側係止フック522は後に説明するセル収容部60の上面収容区画部612とで回路基板42を挟み込む。このようにして、前側係止フック521と後側係止フック522とを有する基板合体部52は、セルホルダ50が回路基板42と一体となるようにこれらを合体させる。このように基板合体部52によって、セルホルダ50と回路基板42とを一体となるように合体させてあると、これらセルホルダ50と回路基板42とを留めておくためのビス等の螺子部材を廃止することができて生産性に優れたものとなる。また、基板合体部52によりセルホルダ50と回路基板と42とが1つに纏められると、組付け工程時における作業性も向上させることができる。
【0024】
内面当接部53は、主として下側ケース12の内面に当接するセルホルダ50の外縁形状をなしている。すなわち、内面当接部53は、前側壁部54と、後側壁部55と、右側壁部56と、左側壁部57とを有する。前側壁部54は、下側ケース12の前側内面171と面接触にて当接可能な外面形状を有する。この前側壁部54は、
図6に示す下側ケース12の前側内面171と面接触にて当接可能な外面形状を有する。後側壁部55は、
図6に示す下側ケース12の後側内面172と面接触にて当接可能な外面形状を有する。
また、右側壁部56は、
図6に示す下側ケース12の右側内面173と面接触にて当接可能な外面形状を有する。この右側壁部56には隙間部561が設けられており、上記した下側ケース12に設けられる支持リブ15が嵌合されるようになっている。また、これと同様に、左側壁部57は、
図6に示す下側ケース12の左側内面174と面接触にて当接可能な外面形状を有する。この左側壁部57にも隙間部571が設けられており、上記した下側ケース12に設けられる支持リブ15が嵌合されるようになっている。このようにして、下側ケース12の内部におけるセルホルダ50の前後方向の相対移動は、前側壁部54および後側壁部55によって当接規制されて、セルホルダ50は下側ケース12に支持される。加えて、下側ケース12の内部におけるセルホルダ50の前後方向の相対移動は、隙間部561,571に嵌合される支持リブ15によって当接規制されて、さらにリード板37を電池セル33側に向けて押さえ込む抑えリブ16によって当接規制されて、セルホルダ50は下側ケース12に支持される。
また、ケース11に対するセルホルダ50の上方向の相対移動の規制は、次に説明するセル収容部60の収容区画部61が回路基板42が下側から当接することによりなされている。また、ケース11に対するセルホルダ50の下方向の相対移動の規制は、次に説明するセル収容部60に収容された状態の電池セル33を緩衝マット38に押し当てることよりなされている。
【0025】
ところで、上記したセルホルダ50の前側壁部54の左右方向(幅方向)の中央部分には、左右方向(幅方向)の幅が僅かであるが、前側押圧リブ541が設けられている。この前側押圧リブ541は、本発明に係る寸法差介在部材に相当する。すなわち、この前側押圧リブ541は、下側ケース12の内部にセルホルダ50が組み付けられるに際して、下側ケース12の前側内面171に対して押し当て力を生じさせるように、この前側内面171に当接する部分である。
具体的には、前側押圧リブ541は、この下側ケース12の内部とセルホルダ50の前側壁部54との寸法差を埋めるように、下側ケース12の内部にセルホルダ50が組み付けられる直前から下側ケース12の前側内面171に対して当接するように形成されている。つまり、下側ケース12の内部にセルホルダ50が組み付けられた際には、下側ケース12の内部とセルホルダ50の前側壁部54との寸法差は完全に埋められるようになっている。この場合には、前側押圧リブ541は、下側ケース12の前側内面171に対して当接することによって、下側ケース12の前側内面171に対して良好な押し当て力を生じさせる。なお、前側押圧リブ541は、この前側壁部54と一体にされるようにセルホルダ50に対して一体に成形されている。具体的には、この前側押圧リブ541は、上側に突き出されながら前側に傾斜する形状を有している。また、この前側押圧リブ541が設けられる箇所は、上記した下側ケース12の前側内面171の左右方向(幅方向)の中央部分であり、この前側内面171の上端に対向する部分として設定されている。このため、この前側押圧リブ541は、セルホルダ50を下側ケース12の内部に組み付ける際の、セルホルダ50の組付け方向の基端側の縁(基端側縁)に対して設けられるものとなっている。なお、セルホルダ50を下側ケース12の内部に組み付けた際の、前側押圧リブ541の上側端縁は、対向する下側ケース12の前側内面171の上側端縁と揃うように設定されている。このように設定される前側押圧リブ541は、上記した電池セル33の延在軸線方向に直交する方向に沿った一端側となる前端側にのみに設けられるものとなっている。
【0026】
次に、セルホルダ50に設けられるセル収容部60について説明する。このセル収容部60は、セルホルダ50のうち電池セル33を収容する部分である。このセル収容部60は、すなわち、セル収容部60は、電池セル33を収容するための中空構造を区画する収容区画部61と、収容された電池セル33を保持するためのセル保持部63とを有する。収容区画部61は、前後方向に並べられる第1〜第5セル収容部601〜605ごとに区分けするように設けられるものである。この収容区画部61は、概略、側面収容区画部611と上面収容区画部612とを連接させることにより形成される。これら側面収容区画部611と上面収容区画部612とは左右方向に延びる区画壁状にて形成され、前後方向に並べられる第1〜第5セル収容部601〜605ごとに区画する。具体的には、側面収容区画部611は、前後方向を隔てるように設けられる区画壁状に形成される。また、上面収容区画部612は、上下方向を隔てるように設けられる区画壁状に形成される。このように設けられる側面収容区画部611と上面収容区画部612とは、第1〜第5セル収容部601〜605を確保するようにセルホルダ50を区画する。このように設けられる側面収容区画部611と上面収容区画部612とは、本発明に係るガイド部に相当する。つまり、これら側面収容区画部611と上面収容区画部612とは、セルホルダ50の第1〜第5セル収容部601〜605に第1電池セル331〜335を収容するための挿入を案内する機能を有する略C形の曲面を有して形成されている。
【0027】
このように区画されて設けられる第1〜第5セル収容部601〜605は、左右両側が開口された形状が設けられることとなる。このような第1〜第5セル収容部601〜605の開口された形状には、
図11の白抜き矢印にて示すように、これら第1〜第5セル収容部601〜605に対する左右両側のいずれか一方の開口形状しか電池セル33を挿入できないように設定されている。すなわち、これら第1〜第5セル収容部601〜605に対する左右両側のいずれか他方の開口形状には、この開口形状を閉塞して電池セル33の挿入を規制する開口閉塞部62が設けられている。この開口閉塞部62は、前側から順に、第1開口閉塞部621、第2開口閉塞部622、第3開口閉塞部623、第4開口閉塞部624、第5開口閉塞部625となっている。すなわち、第1開口閉塞部621は、第1セル収容部601の右側の開口形状を一部閉塞するように右側壁部56から張り出して設けられている。このため、第1セル収容部601に電池セル33を収容するにあたっては左側からの挿入しか収容できないようになっている。また、第2開口閉塞部622は、第2セル収容部602の左側の開口形状を一部閉塞するように、左側壁部57から張り出して設けられている。このため、第2セル収容部602に電池セル33を収容するにあたっては右側からの挿入しか収容できないようになっている。
【0028】
また、第3開口閉塞部623は、第3セル収容部603の右側の開口形状を一部閉塞するように、右側壁部56から張り出して設けられている。このため、第3セル収容部603に電池セル33を収容するにあたっては左側からの挿入しか収容できないようになっている。また、第4開口閉塞部624は、第4セル収容部604の左側の開口形状を一部閉塞するように、左側壁部57から張り出して設けられている。このため、第4セル収容部604に電池セル33を収容するにあたっては右側からの挿入しか収容できないようになっている。また、第5開口閉塞部625は、第5セル収容部605の右側の開口形状を一部閉塞するように、右側壁部56から張り出して設けられている。このため、第5セル収容部605に電池セル33を収容するにあたっては左側からの挿入しか収容できないようになっている。このようにして、第1〜第5セル収容部601〜605に対して電池セル33を収容するにあたっては、電池セル33を左側と右側の交互に挿入するようになっている。つまり、第1〜第5開口閉塞部621〜625は、第1〜第5セル収容部601〜605に対して挿入される電池セル33の挿入方向が任意の左右一方側からのみとなるように任意の左右他方側を閉鎖する機能を有するものとなっている。なお、これら第1〜第5セル収容部601〜605に対する電池セル33の挿入方向は、電池セル33のプラス電極が常に挿入方向先端側に位置されるように設定されている。
【0029】
ところで、セルホルダ50には、電池セル33の円柱形状の外周面330を挟み込むように当接して電池セル33を保持するセル保持部63が設けられている。このセル保持部63は、上記した第1〜第5セル収容部601〜605ごとに2つずつ設けられている。セル保持部63は、セルホルダ50の左右方向の中心軸線に対して左右対称となる位置に対をなすように設けられている。つまり、このセル保持部63は、電池セル33の長さ方向の中心に対して電池セル33の長さ方向の対称位置のそれぞれに1つずつ設けられている。具体的には、セルホルダ50の左右方向の中心軸線に対して右側には右側セル保持部631が配置されている。また、セルホルダ50の左右方向の中心軸線に対して左側には、左側セル保持部632が配置されている。
このセル保持部63は、上記した収容区画部61(側面収容区画部611および上面収容区画部612)とにより電池セル33の円柱形状の外周面330をを挟み込むようにして電池セル33を保持する。言い換えれば、セル保持部63は、上記したセル収容部60の略C形の曲面をなす収容区画部61に対して電池セル33を押し当てるように円柱形状の外周面330に当接する。この際、このセル保持部63は、側面収容区画部611および上面収容区画部612とに対して、電池セル33を押し当てるように作用する。つまり、セル保持部63と収容区画部61とが当接するの当接間隔寸法は、電池セル33の円柱形状の外周面330の径寸法よりも小さく設定されている。より詳しく言えば、セル保持部63と収容区画部61とにより形成される内径は、電池セル33の外周面330の周径よりも小さく設定されている。このため、セル保持部63と収容区画部61とは、電池セル33を挟み込んで保持することができる。なお、セル保持部63と収容区画部61(側面収容区画部611および上面収容区画部612)とにより形成される内径は、本発明に係る当接間隔寸法に相当する。
【0030】
このセル保持部63の当接間隔寸法は、電池セル33を保持させる際には拡がるように設定されている。具体的には、セル保持部63は、収容区画部61(側面収容区画部611および上面収容区画部612)に対して相対的に接近したり離間したりされるように形成されている。すなわち、セル保持部63は、弾性変形可能に形成されている。これにより、セル保持部63は、この収容区画部61に対して接近離間可能に弾性変形させることができる。つまり、収容区画部61に対してのセル保持部63の相対的な位置が変わることにより、上記した当接間隔寸法に相当するセル保持部63と収容区画部61(側面収容区画部611および上面収容区画部612)とにより形成される内径は伸縮する。
このようにして、セル保持部63と収容区画部61とにより形成さえる当接間隔寸法(内径)は電池セル33を保持させる際には拡がるようになっており、このセル保持部63の弾性を利用してセル保持部63を電池セル33の円柱形状の外周面330に当接させて収容区画部61と挟み込む。つまり、セル保持部63は、保持した際の電池セル33の円柱形状の外周面330を収容区画部61に向けて押さえるように作用する。
ここで、セル保持部63は、適宜のプラスチック樹脂により弾性変形可能に成形されるにあたって、次のような構成を有するように形成されている。すなわち、セル保持部63は、電池セル33の円柱形状の外周面330に当たる1つの当接湾曲部64と、この1つの当接湾曲部64の延在方向両端に設けられる2つの支持湾曲部65,66とを備える。当接湾曲部64は、電池セル33の外周面330の形状に対応した緩やかな湾曲形状を有して形成される。この当接湾曲部64は、主として電池セル33の外周面330に対応したものであるが、僅かながらも弾性変形可能になっている。つまり、当接湾曲部64は、緩やかな湾曲形状を直線形状に撓ませることができるようになっている。このように撓ませた当接湾曲部64は、この撓んだ直線形状から元の緩やかな湾曲形状に再び戻ろうと弾性復元するように作用する。
【0031】
また、2つの支持湾曲部65,66は、この当接湾曲部64の延在方向両端から、この延在方向に沿って延びるように当接湾曲部64に連接して設けられている。この支持湾曲部65,66は、対をなすように形成されており、互いに当接湾曲部64に対して対称をなす形状を有する。この支持湾曲部65,66は、当接湾曲部64よりも急な角度で曲げられた湾曲形状を有して形成されている。具体的には、支持湾曲部65,66は、当接湾曲部64の端部から略180度で切り返されるように円弧を描きながら形成されている。このため、この支持湾曲部65,66は、当接湾曲部64よりも、柔軟に弾性変形可能に形成されるものとなっている。このように形成される支持湾曲部65,66は、当接湾曲部64を弾性支持することができるようになっている。つまり、上記した当接間隔寸法(内径)を拡げるように当接湾曲部64が押圧されると、この支持湾曲部65,66が優先して撓むこととなる。このように撓んだ支持湾曲部65,66は、元の湾曲形状に再び戻ろうと弾性復元するように作用する。この支持湾曲部65,66による弾性復元作用は、当接湾曲部64を元通りの当接湾曲部64の位置に戻そうとする作用となる。つまり、当接湾曲部64は、上記した当接間隔寸法(内径)を縮ませるように元の位置に戻ろうとし、拡げられた電池セル33の外周面330を押圧することとなる。
また、上記したセルホルダ50には、下側ケース12の内面となる内部底面121に向けて延ばされる延在脚部67が設けられている。この延在脚部67は、本発明に係る延在部に相当する。この延在脚部67は、下側ケース12の内部底面121に対して当接し、更に延在脚部67に力が加わるような場合に、この延在脚部67の形状を撓ませる。この撓んだ延在脚部67は、元に戻ろうと復元する弾性を有している。また、この延在脚部67が設けられる前後方向の位置としては、第1〜第5セル収容部601〜605の間ごとに設けられている。また、この延在脚部67が設けられる左右方向の位置としては、左右方向に右、中、左とに分断されて区分けされた3箇所に設けられている。つまり、第1〜第5セル収容部601〜605の間ごとに、右側延在脚部671、中側延在脚部672、左側延在脚部673が設けられている。なお、これら右側延在脚部671、中側延在脚部672、左側延在脚部673は、前側壁部54および後側壁部55に対しても設けられている。これら右側延在脚部671、中側延在脚部672、左側延在脚部673は、セル保持部63が設けられる箇所で分断されるように、セルホルダ50の外縁体51から下側に向けて延ばされている。なお、右側延在脚部671と中側延在脚部672との間には、右側セル保持部631が配置されるようになっており、中側延在脚部672と左側延在脚部673との間には、左側セル保持部632が配置されるようになっている。また、右側延在脚部671と左側延在脚部673とについては、電池セル33の長さ方向の中心に対して電池セル33の長さ方向の対称位置のそれぞれに設けられている。この延在脚部67は、弾性変形可能な板状に延びて形成されている。この延在脚部67は、上記した外縁体51に対して連接して設けられており、この外縁体51から支持されるようになっている。
【0032】
上記したように構成される電池パック10によれば、次のような作用効果を奏することができる。すなわち、上記した電池パック10によれば、セル保持部63と収容区画部61との当接間隔寸法が電池セル33の円柱形状の外周面330の径寸法よりも小さく設定されているので、セル保持部63は、電池セル33の円柱形状の外周面330を把持するように当接する。これによって、セル保持部63は、セル収容部60においてセルホルダ50と一体にするように電池セル33を保持することができる。ここで、セルホルダ50はケース11により支持されているので、外部から電池パック10に衝撃や振動を加わる場合でも、ケース11に支持されるセルホルダ50と電池セル33とを一体的に動かすことができる。したがって、ケース11に対する電池セル33の相対的な動きを抑えれるようにすることができる。また、上記した電池パック10によれば、セル保持部63と収容区画部61との当接間隔寸法は、電池セル33を保持させる際には拡がり、電池セル33を保持した際には電池セル33を押さえる。これによって、セル保持部63による電池セル33の保持を、弾性的な保持とすることができる。したがって、外部から電池パック10に衝撃や振動を加わる場合でも、ケース11に支持されるセルホルダ50は、電池セル33を弾性的に支持された一体的な動きとすることができ、よりケース11に対する電池セル33の相対的な動きを抑えれるようにすることができる。また、上記した電池パック10によれば、セルホルダ50には電池セル33を収容するための挿入を案内するための収容区画部61が設けられているので、電池セル33をセルホルダ50に収容するにあたっての挿入がし易いものとなる。これによって、セルホルダ50に対しての電池セル33の組付け性を高めることができる。また、上記した電池パック10によれば、収容区画部61は略C形の曲面を有して形成されているので、電池セル33の外周形状に対応してセルホルダ50に対しての電池セル33を挿入する際のガイド性能を高めることができる。
【0033】
また、上記した電池パック10によれば、セル保持部63は、2つの支持湾曲部65,66の湾曲形状により弾性支持された1つの当接湾曲部64により電池セル33を当接支持することができる。これによって、セル保持部63の電池セル33の保持を弾性的な保持とするにあたって、このセル保持部63の弾性的な機能を成形により良好に形成することができる。したがって、セル保持部63の弾性的な機能を設けるにあたっての製造コストを抑えることができる。また、上記した電池パック10によれば、延在脚部67は下側ケース12の内部底面121に対して弾性を有しながら当接可能に構成されている。このため、延在脚部67を介して下側ケース12の内部底面121からセルホルダ50が支持されるにあたっての支持を緩衝作用を有する支持とすることができる。これによって、外部からの衝撃や振動を受けた場合でも、セルホルダ50はケース11に対して的確に支持されるようになって、セルホルダ50のケース11との一体化をより強化することができる。なお、上記した延在脚部67は、衝撃や振動を受けた場合に緩衝作用を有してセルホルダ50を支持するように構成されていればよく、このためにケース11の内面に対して弾性を有しながら当接可能に構成されていればよいものである。つまり、この延在脚部67としては、ケース11の内面に対して常時当接していることが必ず要されるものではない。また、上記した電池パック10によれば、延在脚部67はセル保持部63の一部として設けられているので、延在脚部67を設けるためのスペースを小さくすることができる。これによって、電池パック10自体の大きさを出来るだけ大きくすることなく、効率良く延在脚部67を設けることができる。また、上記した電池パック10によれば、セル保持部63は、電池セル33の長さ方向の中心に対して電池セル33の長さ方向の対称位置のそれぞれに設けられているので、バランス良く電池セル33を保持することができる。また、上記した電池パック10によれば、延在脚部67は、電池セル33の長さ方向の中心に対して電池セル33の長さ方向の対称位置のそれぞれに設けられているので、バランス良く電池セル33を支持することができる。
【0034】
また、上記した電池パック10によれば、セルホルダ50には前側押圧リブ541が一体に設けられているので、組み付けられるケース11の内部との間の寸法差を前側に押し当て力を生じさせることにより埋めることができる。つまり、セルホルダ50は、ケース11の内部に対する前側押圧リブ541の押し当て力により、ケース11の内部で後側に向けて押されることとなる。これによって、このケース11の内部で、セルホルダ50との間の寸法差を埋めることができる。ここで、この電池パック10によれば、前側押圧リブ541をセルホルダ50とは別部材とせずに一体に成形されることによりセルホルダ50に設けてある。このようにして、この電池パック10によれば、部品点数を増やすことなく、ケース11の内部にセルホルダ50が組み付けられた後のケース11に対するセルホルダ50のガタつきを抑えることができる。また、上記した電池パック10によれば、前側押圧リブ541は、セルホルダ50のケース11の内部への組付けが完了する直前から前記寸法差を埋めるように作用するので、ケース11の内部にセルホルダ50が組み付けられる直前までは寸法差を埋めるようには作用しない。これによって、ケース11の内部にセルホルダ50が組み付けられるまで組み付けるためのクリアランスを十分に確保することができて、ケース11の内部へのセルホルダ50の組付け性を良好に保つことができる。また、前側押圧リブ541は、セルホルダ50のケース11の内部への組付けが完了した際には寸法差を完全に埋めるように作用するので、セルホルダ50の組付けが完了した際には、組み付けるためのクリアランスを完全に埋めることができてケース11に対するセルホルダ50のガタつきを抑えることができる。したがって、ケース11の内部へのセルホルダ50の組付け性を良好に保ちながら、ケース11の内部にセルホルダ50が組み付けられた後のケース11に対するセルホルダ50のガタつきを抑えることができる。また、上記した電池パック10によれば、前側押圧リブ541は、セルホルダ50がケース11の内部に組み付けられる組付け方向の基端側の縁に設けられているので、ケース11の内部へのセルホルダ50の組付けが完了するまで前側押圧リブ541が邪魔になることがない。これによって、ケース11の内部にセルホルダ50が組み付けられるまで組み付けるためのクリアランスを十分に確保することができて、ケース11の内部へのセルホルダ50の組付け性を良好に保つことができる。また、上記した電池パック10によれば、前側押圧リブ541はセルホルダ50と一体に成形されることによりセルホルダ50に設けられているので、前側押圧リブ541を簡単に設けることができる。また、上記した電池パック10によれば、前側押圧リブ541は電池セル33の延在軸線方向に直交する方向に沿った前側端に設けられているので、この前側に押し当て力を生じさせることによりケース11の内部との間の寸法差を埋めることができ、後側をセルホルダ50が固定される基準面として設定することができる。これによって、ケース11の内部に組み付けられるセルホルダ50の位置を決めることができて精度の高く生産することができる。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る電動工具用電池パックを実施するための第2の実施の形態となる電池パック10Aについて
図19〜
図22を参照しながら説明する。なお、以下に説明する第2〜第4の実施の形態の電池パック10A〜10Cにあっては、上記した第1の実施の形態の電池パック10のセルホルダ50の構成を一部変形させた変形例となっている。このため、以下に説明する第2〜第4の実施の形態の電池パック10A〜10Cについては、このセルホルダ50A〜Cのうち上記したセルホルダ50と相違して構成される部分について重点的に説明する。つまり、以下に説明する第2〜第4の実施の形態の電池パック10A〜10Cにあっては、上記した第1の実施の形態の電池パック10と同一に構成される部分については、図面に上記した第1の実施の形態の電池パック10と同一の符号を付して、その説明を省略するものとする。
図19は、第2の実施の形態の電池本体30Aの下側斜視を示す斜視図である。
図20は、第2の実施の形態となる電池パック10Aを中心前後方向で切った断面を示す断面図である。
図21は、
図19のセルホルダ50Aの右側面図である。
図22は、
図19のセルホルダ50Aの左側面図である。
図19〜
図22に示すように、この第2の実施の形態のセルホルダ50Aは、第1の実施の形態のセルホルダ50と比較して、支持湾曲部65A,66Aの湾曲形状が相違するものとなっている。すなわち、この第2の実施の形態の支持湾曲部65A,66Aの湾曲形状は、下側に更に突き出されるように形成されている。具体的には、この支持湾曲部65A,66Aは、当接湾曲部64の端部から略180度で切り返されるにあたって、より深く円弧を描きながら形成されるものとなっている。また、この支持湾曲部65A,66Aは、下側ケース12の内面となる内部底面121に着座するまで下側深くまで円弧を描いている。このように形成される支持湾曲部65A,66Aは、上記した第1の実施の形態の延在脚部67のような機能を発揮する。
【0036】
また、この支持湾曲部65A,66Aは、下側ケース12の内部底面121に着座するまで下側深くまで円弧を描いている。このため、この支持湾曲部65A,66Aが撓む際の撓み限界量は、上記した第1の実施の形態の支持湾曲部65,66が撓む際の撓み限界量よりも大きく設定されることとなっている。つまり、下側ケース12の内部底面121に着座される支持湾曲部65A,66Aは、この下側ケース12からの支持力を受けることによって、セルホルダ50自体が弾性支持されるものとなっている。このため、このセル保持部63の一部をなす支持湾曲部65A,66Aは、本発明に係る延在部に相当し、この支持湾曲部65A,66Aの弾性復元は、この湾曲された形状を有する支持湾曲部65A,66Aの撓み戻しによるものとなっている。すなわち、支持湾曲部65A,66Aがセルホルダ50に力が加わって撓むような場合でも、この支持湾曲部65A,66Aの弾性復元力によりセルホルダ50は元の状態に戻され易くなっている。つまり、セルホルダ50は、この支持湾曲部65A,66Aによる弾性復元作用を利用して、下側ケース12の内部底面121から弾性支持されるようになっている。
この電池パック10Aによれば、本発明に係る延在部としてセル保持部63の支持湾曲部65A,66Aが設けられているので、このような延在部を設けるにあたって別の成形部分を加える必要が無くなり、セルホルダ50の成形の簡単化を図ることができる。また、この支持湾曲部65A,66Aの弾性復元は、撓み戻しによるものとなっているので、支持湾曲部65A,66Aの成形された形状により弾性を得ることができる。これによって、本発明に係る延在部として機能する支持湾曲部65A,66Aをできるだけ簡単にセルホルダ50に設けることができる。また、このように形成される支持湾曲部65A,66Aは、もちろん、上記した第1の実施の形態の支持湾曲部65,66と同様に、当接湾曲部64を弾性支持することができつつ、セルホルダ50A自体も弾性支持することができる。
【0037】
[第3の実施の形態]
次に、本発明に係る電動工具用電池パックを実施するための第3の実施の形態となる電池パック10Bについて
図23〜
図28を参照しながら説明する。
図23は、第3の実施の形態となる電池本体30Bの上側斜視を示す斜視図である。
図24は、
図23の電池本体30Bの下側斜視を示す斜視図である。
図25は、第3の実施の形態となる電池パック10Bを中心前後方向で切った断面を示す断面図である。
図26は、第3の実施の形態となる電池パック10Bを中心左右方向で切った断面を示す断面図である。
図27は、
図23のセルホルダ50Bの右側面図である。
図28は、
図23のセルホルダ50Bの左側面図である。
図23〜
図28に示すように、この第3の実施の形態のセルホルダ50Bは、第1の実施の形態のセルホルダ50と比較して、本発明に係る寸法差介在部材の配設構造が相違するものとなっている。すなわち、第1の実施の形態における寸法差介在部材とては、セルホルダ50に対して前側の一方向だけとなる前側押圧リブ541だけが設けられていた。これに対して、第2の実施の形態における寸法差介在部材とては、セルホルダ50に対して前側後側右側左側の四方向となる箇所に設けられている。すなわち、この第3の実施の形態のセルホルダ50Bにあっては、前側壁部54に上記した第1の実施の形態と同様の前側押圧リブ541が設けられている。また、この前側押圧リブ541と同様に、後側壁部55にも後側押圧リブ551が設けられている。またさらに、この前側押圧リブ541と同様に、右側壁部56にも右側押圧リブ563が設けられており、左側壁部57にも左側押圧リブ573が設けられている。このように設けられる後側押圧リブ551、右側押圧リブ563、左側押圧リブ573は、上記した前側押圧リブ541と略同様の機能を奏するものとなっている。すなわち、これら前側押圧リブ541、後側押圧リブ551、右側押圧リブ563、左側押圧リブ573は、セルホルダ50Bとケース11の内部との間の寸法差を埋めることができる。
【0038】
なお、このように設けられる押圧リブ541,551,563,573は、セルホルダ50Bの各壁部54,55,56,57の一部を切り欠くことにより設定されるものであってもよい。このような場合には、セルホルダ50に簡単に押圧リブ541,551,563,573を設けることができる。また、このように設けられる押圧リブ541,551,563,573のセルホルダ50のケース11の内部への組付けが完了した際には、自身の弾性によって寸法差を埋めるように作用させるように構成してもよい、このような作用を有する場合には、セルホルダ50Bの組付けが完了した際には、組み付けるためのクリアランスを完全に埋めることができてケース11に対するセルホルダ50Bのガタつきを抑えることができる。したがって、ケース11の内部へのセルホルダ50Bの組付け性を良好に保ちながら、ケース11の内部にセルホルダ50Bが組み付けられた後のケース11に対するセルホルダ50Bのガタつきを抑えることができる。
【0039】
[第4の実施の形態]
次に、本発明に係る電動工具用電池パックを実施するための第4の実施の形態となる電池パック10Cについて
図29〜
図35を参照しながら説明する。
図29は、第4の実施の形態となる電池本体30Cの上側斜視を示す斜視図である。
図30は、
図29の電池本体30Cの下側斜視を示す斜視図である。
図31は、第4の実施の形態となる電池パック10Cを中心前後方向で切った断面を示す断面図である。
図32は、
図29のセルホルダ50Cの上面図である。
図33は、
図29のセルホルダ50Cの右側面図である。
図34は、
図29のセルホルダ50Cの左側面図である。
図35は、
図29のセルホルダ50Cの下面図である。
図29〜
図35に示すように、この第4の実施の形態のセルホルダ50Cは、第1の実施の形態のセルホルダ50と比較して、第1の実施の形態の延在脚部67の半分が可撓脚部68に置換されている点で相違するものとなっている。例えば
図35に示すように、右側延在脚部671にあっては、前側壁部54に連接される部分(図示符号680)と、第2セル収容部602と第3セル収容部603との間に設けられる部分(図示符号681)と、第3セル収容部603と第4セル収容部604との間に設けられる部分(図示符号682)と、後側壁部55に連接される部分(図示符号683)とが、可撓脚部68に置換されている。また、中側延在脚部672にあっては、第1セル収容部601と第2セル収容部602との間に設けられる部分(図示符号684)と、第4セル収容部604と第5セル収容部605との間に設けられる部分(図示符号685)とが、可撓脚部68に置換されている。また、左側延在脚部673にあっては、右側延在脚部671と同様に、前側壁部54に連接される部分(図示符号686)と、第2セル収容部602と第3セル収容部603との間に設けられる部分(図示符号687)と、第3セル収容部603と第4セル収容部604との間に設けられる部分(図示符号688)と、後側壁部55に連接される部分(図示符号689)とが、可撓脚部68に置換されている。
ところで、可撓脚部68に置換されていない延在脚部67が設けられる箇所は、第1の実施の形態の延在脚部67と同一に形成されている。このため、セルホルダ50からは、これまでの延在脚部67と置換された可撓脚部68とが、下側に突き出されるように設けられている。このように配置される可撓脚部68は、
図35に示すように、左右方向で隣接配置されないように、左右で交互で配置されることとなっている。つまり、可撓脚部68は、いわゆる千鳥配置されるように設定されている。
【0040】
この可撓脚部68は、延在脚部67よりも下側に延ばすことにより形成されている。また、可撓脚部68は、先端となる下端に向かうにしたがって先細となるように形成されている。この可撓脚部69の先端となる下端には、いわゆる曲がり癖を着けるための曲げ癖部691,692が設けられている。この曲げ癖部691,692は、この可撓脚部68の下端が曲げられるように押圧された場合に、この下端の曲がり方向(撓み方向)がガイドされるように形成される。具体的には、この曲げ癖部691,692は、前側あるいは後側に向けて緩やかに曲げられることにより形成されている。すなわち、曲げ癖部691,692は、前側曲げ癖部691と後側曲げ癖部692との2種類有している。
前側曲げ癖部691は、可撓脚部68の下端の曲がり方向が前側に向くように形成されており、この下端の曲がり方向が前側に向くようにガイドされている。これに対して後側曲げ癖部692は、可撓脚部68の下端の曲がり方向が後側に向くように形成されており、この下端の曲がり方向が後側に向くようにガイドされている。これらの曲げ癖部691,692は、前後方向での並列される可撓脚部68同士については、互いに対向する方向で曲がるように設定されている。具体的には、可撓脚部68のうち、符号680、符号682、符号684、符号686、符号688については、後側曲げ癖部692に設定されている。また、後側曲げ癖部692に設定される可撓脚部68に対して後側に位置される可撓脚部68(符号681、符号683、符号685、符号687、符号689)については、前側曲げ癖部691に設定されている。
このように形成された可撓脚部68は、それぞれ対向して均等に前側曲げ癖部691と後側曲げ癖部692が設けられている。これによって、可撓脚部68が曲がることによる反作用によりセルホルダ50を動かしてしまう場合でも、これらの動かしてしまう力を打ち消し合うことができる。つまり、可撓脚部68は、セルホルダ50を動かさすに良好なクッション機能を設けることができる。なお、このように可撓脚部68が設定される場合には、この可撓脚部68に置換されなかった延在脚部67については、電池セル33の底着き防止の機能を有するようになっている。つまり、可撓脚部68によりセルホルダ50が上下動する場合、このセルホルダ50の下端位置では、電池セル33が下側ケース12の内部底面121に着いてしまう前に、延在脚部67の下端が下側ケース12の内部底面121に着くようになっている。これにより、電池セル33の底着きは防止される。
【0041】
なお、本発明に係る電動工具用電池パックにあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。すなわち、上記した実施の形態にあっては、電池セルの個数が5個に設定されるものであったが、本発明に係る電池セルの個数としては、これに限定されることなく、適宜の個数が設けられるものであってもよい。また、このように配設される電池セルの個数に応じてリード板の配設数量も決められるものであってよい。
また、上記した実施の形態では、前側押圧リブ541は、セルホルダ50を下側ケース12の内部に組み付ける際の、セルホルダ50の組付け方向の基端側の縁(基端側縁)に対して設けられるものであった。しかしながら、本発明に係る寸法差介在部材としては、セルホルダ50の組付け方向の先端側の縁(先端側縁)に対して設けられるものであってもよく、ケース11の内部にセルホルダ50が組み付けられるまで組み付けるためのクリアランスを十分に確保することができつつ、ケース11の内部へのセルホルダ50の組付け性を良好に保つことができる配置位置であれば、適宜の位置に設けることができる。さらにいえば、本発明に係る寸法差介在部材としては、上記した実施の形態のようにセルホルダ50に設けられる例に限定されることなく、ケース11に対して設けられるものであってもよい。このおような場合であっても、ケース11におけるセルホルダ50の組付け方向の先端側の範囲や、ケース11におけるセルホルダ50の組付け方向の基端側の範囲等の、いずれの位置に設けられるものであってもよい。
また、上記した実施の形態では、充放電端子44は、電池パック10を電源として工具本体に装着する場合には放電用端子と機能し、電池パック10を専用充電器に装着する場合には充電用端子と機能するものであった。つまり、充放電端子44は、充電と放電との両方に用途において共用される端子となっていた。しかしながら、本発明に係る充放電端子にあっては、このような共用される端子の例に限定されることなく、別々の放電用端子と充電用端子として、個別の用途に区分けされた別個に構成されるものであってもよい。