特許第6246490号(P6246490)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246490
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】電動機のケーブル引き出し構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   H02K5/22
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-100153(P2013-100153)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-220962(P2014-220962A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】友野 淳一
(72)【発明者】
【氏名】菊川 亘理
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−260507(JP,A)
【文献】 特開2007−161158(JP,A)
【文献】 特開2004−064849(JP,A)
【文献】 特開2013−047509(JP,A)
【文献】 特開2012−157228(JP,A)
【文献】 特開2004−120874(JP,A)
【文献】 実開昭57−104757(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機のブラケットにケーブルの引出孔を形成し、該引出孔から電動機内部のケーブルを引き出すようにした電動機のケーブル引出構造において、前記ケーブルを保持するケーブルクランプを半径方向に分割して半割状態に形成した一片を、前記ブラケットの成型時にブラケットと一体的に前記引出孔に対応させて鋳造し、このケーブルクランプの一片と組み合わされるとともにケーブルの通し孔を形成する半割状態の他片を別体に成形し、前記一片と他片を組み合わせてケーブルクランプを構成し、これらケーブルクランプの一片に他片を組み合わせてケーブルの通し孔を形成し、前記電動機のケーブルの引出孔から引き出されるケーブルをケーブルの通し孔内で挟持し、
前記ケーブルクランプの一片と他片の互いに対向する内周面側に中心方向に向けて突起部を形成し、
前記ケーブルのFG線の先端部分を剥皮すると共にこの剥皮した部分を前記ブラケット部分で折り返し、該折り返し部を導通テープによって前記ケーブルの外周に貼付し、前記ケーブルクランプの一片と前記ケーブルクランプの他片とを締結するとともに、前記導通テープと前記突起部の接触により前記FG線の導通を確保し、前記突起部によって前記ケーブルを挟持し
たことを特徴とする電動機のケーブル引出構造。
【請求項2】
前記鋳造されたケーブルクランプ部にアース用ネジが設けられていることを特徴とする請求項に記載の電動機のケーブル引出構造。
【請求項3】
前記鋳造されたケーブルクランプのケーブルの通し孔が円形または楕円形または長円形であることを特徴とする請求項1または2に記載の電動機のケーブル引出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の内部ケーブルを外部に引き出す電動機のケーブル引き出し構造に関し、特にケーブル内に耐ノイズ用の導電線を含む電動機のケーブル引き出し構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機のケーブルを外部に引き出すケーブル引き出し構造としては、ノイズの影響を抑制するための構造として、たとえば特許文献1が知られている。
特許文献1では、モータのケーブルの出口構造において、ケーブルの外側のシースを削除してシールド線を露出させた部位に、モータ筐体に取り付けられる導電性ブッシュを一体成形することによって、ケーブルのシールド線とモータ筐体とを導通させてノイズの影響を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−101605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構造にあっては、導電性ブッシュによってケーブルを保持するのでケーブルの固定強度、抜け強度が低いという問題がある。また、特許文献1の構造にあっては、アース端子をもたないという問題もある。さらに、特許文献1の構造にあっては、ケーブルのシールド線を露出させた部位に導電性ブッシュを一体成型したことから、ケーブルの太さを変更できないという問題もある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決し、組付け作業性が良好で、かつケーブルの固定強度および抜け強度の向上を図ることができる電動機のケーブル引き出し構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、電動機のブラケットにケーブルの引出孔を形成し、該引出孔から電動機内部のケーブルを引き出すようにした電動機のケーブル引出構造において、前記ケーブルを保持するケーブルクランプを半径方向に分割して半割状態に形成した一片を、前記ブラケットの成型時にブラケットと一体的に前記引出孔に対応させて鋳造し、このケーブルクランプの一片と組み合わされるとともにケーブルの通し孔を形成する半割状態の他片を別体に成形し、前記一片と他片を組み合わせてケーブルクランプを構成し、これらケーブルクランプの一片に他片を組み合わせてケーブルの通し孔を形成し、前記電動機のケーブルの引出孔から引き出されるケーブルをケーブルの通し孔内で挟持し、前記ケーブルクランプの一片と他片の互いに対向する内周面側に中心方向に向けて突起部を形成し、前記ケーブルのFG線の先端部分を剥皮すると共にこの剥皮した部分を前記ブラケット部分で折り返し、該折り返し部を導通テープによって前記ケーブルの外周に貼付し、前記ケーブルクランプの一片と前記ケーブルクランプの他片とを締結するとともに、前記導通テープと前記突起部の接触により前記FG線の導通を確保し、前記突起部によって前記ケーブルを挟持したことにある。
また、本発明は、前記鋳造されたケーブルクランプ部にアース用ネジが設けられていることにある。
さらに、本発明は、前記鋳造されたケーブルクランプのケーブルの通し孔が円形または楕円形または長円形であることにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
ケーブルを保持するケーブルクランプを半径方向に分割して半割状態に形成した一片を、前記ブラケットの成型時にブラケットと一体的に前記引出孔に対応させて鋳造し、このケーブルクランプの一片と組み合わされるとともにケーブルの通し孔を形成する半割状態の他片を別体に成形し、前記一片と他片を組み合わせてケーブルクランプを構成し、これらケーブルクランプの一片に他片を組み合わせてケーブルの通し孔を形成し、前記電動機のケーブルの引出孔から引き出されるケーブルをケーブルの通し孔内で挟持することにより、組付け作業性が良好で、かつケーブルの固定強度の向上を図ることができる電動機のケーブル引き出し構造を提供することができる。
ケーブルクランプの一片と他片の互いに対向する内周面側に中心方向に向けて突起部を形成することにより、ケーブルの抜け強度の向上を図ることができる。
ケーブルのFG線の先端部分を剥離すると共にこの剥離した部分を前記ブラケット部分で折り返し、該折り返し部を導通テープによって前記ケーブルの外周に貼付し、前記ケーブルクランプの一片と前記ケーブルクランプの他片とを締結するとともに、前記導通テープと前記突起の接触により前記FG線の導通を確保し、前記突起部によって前記ケーブルを挟持することにより、簡便な構造でFG線の導通を確保することができる。
鋳造されたケーブルクランプ部にアース用ネジが設けられているので、電動機ケースとアース端子間に介在する部品がないため、介在部品のマスキングや塗装剥離が不要となり、簡単にアースを取ることができる。
鋳造されたケーブルクランプのケーブルの通し孔が円形または楕円形または長円形であることから、異なる径のケーブルを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による電動機のケーブル引き出し構造の一実施の形態を示すケーブルクランプを組付けた状態の斜視図である。
図2図1のケーブルクランプを組付ける前の状態の斜視図である。
図3】ブラケットと一体鋳造されたケーブルクランプの一片を示す斜視図である。
図4】樹脂成形されたケーブルクランプの他片を示す斜視図である。
図5】ブラケットと一体鋳造されたケーブルクランプの一片が半円形状に形成された実施の形態を示す平面図である。
図6】ブラケットと一体鋳造されたケーブルクランプの一片が楕円形状に形成された他の実施の形態を示す平面図である。
図7】本発明の他の実施の形態による突起を設けたケーブルクランプの一片を示す斜視図である。
図8】本発明の他の実施の形態による突起を設けたケーブルクランプの他片を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図示の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1ないし図5において、1は外鉄タイプの電動機で、ロータを内蔵したステータ2の一方にフランジ3が設けられ、他方にブラケット4が図示しないネジによって一体に締結されて設けられている。前記ブラケット4の上面には、ブラケット4内で配線された電源等のケーブル20がブラケット4の外に引き出される引出孔4aが設けられている。このケーブル20の引出孔4aが設けられたブラケット4の上面には、ケーブルクランプ5の一片5Aが設けられ、このケーブルクランプ5の一片5Aは、ブラケット4の素材である金属の鋳造時にブラケット4と一体に鋳造されている。このケーブルクランプ5は、ケーブルクランプ5のクランプ部を半径方向に分割して半割状態に形成した一片5Aをブラケット4と共に鋳造して形成し、分割して半割状態に形成した他片5Bは、素材の異なる樹脂成形によって一片5Aとは別体に成形したものである。
【0011】
前記ケーブルクランプ5は、前記一片5Aと組み合わさる別体の他片5Bとで構成されており、互いの対向面にそれぞれ半割状に形成された円弧状の凹部50a,50bが形成されている。これら円弧状の凹部50a,50bは、組み合わされて前記ケーブル20を引き出すためのケーブルの通し孔51が形成されている。前記ケーブルクランプ5の一片5Aおよび他片5Bには、それぞれ凹部50a,50bのそれぞれ両側部52aおよび両側部52bに、互いに対向する位置に、ネジ孔53a,53bが形成されており、ネジ30を介して互いに締結されている。前記ケーブルクランプ5の一片5Aは、凹部50a両側の他片5Bとの対向面に、突起部54a,55aがそれぞれ設けられ、かつ下部側位置に、凹部56aが幅方向に沿って設けられている。また、前記ケーブルクランプ5の一片5Aの外面には、内面に連通するネジ孔57aが設けられており、このネジ孔57aにアース用端子ネジ31が螺着されている。
【0012】
前記ケーブルクランプ5の他片5Bは、樹脂成形または金属により成形されており、前記ケーブルクランプ5の一片5Aとは、別に製造されている。このケーブルクランプ5の他片5Bには、凹部50b両側の前記一片5Aの突起部54a,55aとの対向面に、凹部54b,55bがそれぞれ設けられ、かつ下部側位置の両側に、前記一片5Aの凹部56aに挿入される一対の突起部56bが設けられている。
【0013】
また、前記ケーブルクランプ5の一片5Aの凹部50aと、前記ケーブルクランプ5の他片5Bの凹部50bには、平面視で、円弧状の突起部58a,58bが、それぞれ上下方向に沿って一定間隔で三段にわたって設けられている。これら円弧状の突起部58a,58bは、ケーブル20を両側から挟持してケーブル20の抜けを防止するものである。
【0014】
前記ケーブル20には、ブラケット4の内部から引き出されたFG線(フレームグランドライン)21の剥皮部分が導通テープ22を用いて接着されている。
【0015】
前記電動機のケーブル引き出し構造によると、ケーブル20をブラケット4の引出孔4aから引き出してケーブルクランプ5の一片5Aの凹部50aを通し、ケーブルクランプ5の他片5Bを前記一片5Aに組み付けて凹部50aと凹部50bによって挟持する。このとき、ケーブルクランプ5の他片5Bの凹部54b,55bには、一片5Aの突起部54a,55aが係合し、一片5Aの凹部56aには他片5Bの一対の突起部56bが係合する。こうして、互いの位置決めが図られて、互いの円弧状の突起部58a,58bがケーブル20の側面を挟持する。ケーブル20に装着された導通テープ22には、突起部58aが押しつけられてFG線21との導通が図られる。
【0016】
上記実施の形態によれば、以下の効果を奏することができる。
ケーブル20を保持するケーブルクランプ5を半径方向に分割して半割状態に形成した一片5Aを、前記ブラケット4の成型時にブラケット4と一体的に前記引出孔4aに対応させて鋳造する。このケーブルクランプ5の一片5Aと組み合わされるとともにケーブル20の通し孔51を形成する半割状態の他片5Bを別体に成形し、前記一片5Aと他片5Bを組み合わせてケーブルクランプ5を構成する。これらケーブルクランプ5の一片5Aに他片5Bを組み合わせてケーブル20の通し孔51を形成し、前記電動機のケーブル20の引出孔4aから引き出されるケーブル20をケーブル20の通し孔51内で挟持することにより、組付け作業性が良好で、かつケーブル20の固定強度の向上を図ることができる。
ケーブルクランプ5の一片5Aと他片5Bの互いに対向する内周面側に中心方向に向けて突起部58a,58bを形成したので、ケーブル20の抜け強度の向上を図ることができる。
ケーブル20のFG線21の先端部分を剥皮すると共にこの剥皮した部分21aを前記ブラケット部分で折り返し、該折り返し部を導通テープ22によって前記ケーブル20の外周に貼付し、前記ケーブルクランプ5の一片5Aと前記ケーブルクランプ5の他片5Bとを締結するとともに、前記導通テープ22と前記突起部58aの接触により前記FG線21の導通を確保し、前記突起部58a,58bによって前記ケーブル20を挟持することにより、簡便な構造でFG線21の導通を確保することができる。
鋳造されたケーブルクランプ部にアース用ネジ31が設けられているので、電動機ケースとアース端子間に介在する部品がないため、介在部品のマスキングや塗装剥離が不要となり、簡単にアースを取ることができる。
鋳造されたケーブルクランプ5のケーブル20の通し孔51が円形(図5参照)または楕円形(図6参照)または長円形であることから、異なる径のケーブル20を保持することができる。なお、図6はケーブルクランプ5の一片5Aの凹部50cのみを楕円形に鋳造したもので、ケーブルクランプ5の他片5Bの凹部50bは半円形に成形したものである。ケーブルクランプ5の他片5Bの凹部50bも同様に楕円形に成形したものを用いることも可能である。
【0017】
図7および図8は、ケーブルクランプ5の他の実施の形態で、この場合、図3および図4と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
この場合、ケーブルクランプ5の一片5Aとケーブルクランプ5の他片5Bに設ける突起部として、円弧状の凹部50a,50bには、それぞれ多数の円柱状の突起部58c,58dを軸方向に向けて設けたものである。
こうして、円柱状の突起部58c,58dによってケーブル20を挟持することができる。また、凹部50aに設けられた突起部58cによって導通テープ22に接触し、FG線21の導通を確保することができる。
【0018】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、ケーブルクランプ5の一片5Aとケーブルクランプ5の他片5Bの形状は特に限定されるものではなく、例えば、ブラケット4と一体成形される一片5Aは、金属で鋳造によって成形される。一方、ブラケット4と別体の他片5Bは、樹脂成形されるものでも金属で成形されるものでも良い。また、凹部50a,50bに設ける突起部58a,58bは板状のものでもよく、円柱状の突起部58c,58dでもよい。等、その他、本発明の技術的思想を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0019】
1 エンコーダ付き電動機
2 ステータ
3 フランジ
4 ブラケット
4a 引出孔
5 ケーブルクランプ
5A ケーブルクランプの一片
5B ケーブルクランプの他片
20 ケーブル
21 FG線
22 導通テープ
31 アース用ネジ
50a,50b 凹部
51 ケーブルの通し孔
58a,58b 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8