特許第6246506号(P6246506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246506
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】貨幣カセット補充装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20171204BHJP
   G07D 11/00 20060101ALI20171204BHJP
   B65H 31/22 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G07D9/00 408E
   G07D9/00 301
   B65H31/22
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-128271(P2013-128271)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2014-32658(P2014-32658A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】13/562,790
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391007161
【氏名又は名称】エヌ・シー・アール・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(72)【発明者】
【氏名】ロビン アンガス
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−350415(JP,A)
【文献】 特開平06−040634(JP,A)
【文献】 特開昭56−145066(JP,A)
【文献】 米国特許第06059090(US,A)
【文献】 米国特許第06039164(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
B65H 31/22
G07D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣カセット(100)の蓋(110)を取外すことなく、前記貨幣カセット(100)内に少なくとも1枚の紙幣を装填する貨幣カセット(100)補充装置(400)であって、
貨幣カセット(100)を装填位置に配置し、前記貨幣カセット(100)の取り出し口(210)を開ける貨幣カセット支持体(420)と、
少なくとも1枚の紙幣に係合し、該係合された紙幣を前記取り出し口(210)を通して前記貨幣カセット(100)内に挿入するように動作可能な貨幣挿入装置(448)と、を備え
前記貨幣カセット支持体(420)は、前記貨幣カセット(100)の対向する両側に係合するガイドレールを有し、前記貨幣カセット(100)を傾斜させて保持することを特徴とする貨幣カセット補充装置(400)。
【請求項2】
前記貨幣挿入装置(448)が、プランジャを備える、請求項1に記載の貨幣カセット補充装置(400)。
【請求項3】
前記プランジャ(448)が、前記貨幣カセット(100)の完全に外側の第1の位置から、前記貨幣カセット(100)の前記取り出し口を通って、少なくとも部分的に前記貨幣カセット(100)内の第2の位置へ延在できる、請求項2に記載の貨幣カセット補充装置(400)。
【請求項4】
前記貨幣カセット支持体(420)が、前記貨幣カセット(100)が設置されるベース面を画定する、請求項1乃至のいずれかに記載の貨幣カセット補充装置(400)。
【請求項5】
前記貨幣カセット支持体(420)が、前記貨幣カセット(100)の前記取り出し口端部(150)が前記カセット(100)のハンドル端部(145)よりも低くなるように前記貨幣カセット(100)を保持する、請求項に記載の貨幣カセット補充装置(400)。
【請求項6】
前記貨幣カセット補充装置(400)が、個別の紙幣又は紙幣の束を前記貨幣カセット(100)内に装填するように前記装置(400)内に挿入するための紙幣挿入アパーチャ(430)をさらに備える、請求項1乃至のいずれかに記載の貨幣カセット補充装置(400)。
【請求項7】
前記貨幣カセット補充装置(400)が、受領した紙幣の束を前記紙幣挿入アパーチャ(430)から前記取り出し口(210)に隣接する、前記受領した束を前記貨幣カセット(100)内の任意の紙幣の向きに合った向きに維持するプレステージホルダ(442)へ搬送する搬送装置(436)をさらに備える、請求項に記載の貨幣カセット補充装置(400)。
【請求項8】
前記プレステージホルダ(442)が、前記取り出し口(210)に整列した1対のドライブスルーアパーチャ(540,550)を画定する、請求項に記載の貨幣カセット補充装置(400)。
【請求項9】
少なくとも1枚の紙幣を貨幣カセット(100)内に装填する方法であって、
貨幣カセット(100)を装填位置に配置し、前記貨幣カセット(100)の取り出し口(210)を開ける貨幣カセット支持体(420)を有し、
前記貨幣カセット支持体(420)は、前記貨幣カセット(100)の対向する両側に係合するガイドレールを有して、前記貨幣カセット(100)を傾斜させて保持するステップと、
少なくとも1枚の紙幣を貨幣カセット(100)の取り出し口(210)に隣接する位置にあるプレステージホルダ(442)で支持するステップと、
前記プレステージホルダ(442)と前記取り出し口(210)とを通して、プランジャ(448)を少なくとも部分的に前記貨幣カセット(100)内へ延在させて、前記プレステージホルダ(442)で支持された少なくとも1枚の紙幣を前記貨幣カセット(100)内のスタックされた構成に付勢するステップと、
の各ステップを有することを特徴とする貨幣カセット装填方法。
【請求項10】
前記プランジャ(448)を後退位置へ後退させるステップと、
紙幣又は紙幣の束を前記プレステージホルダ(442)へ搬送するステップと、
前記搬送された紙幣又は紙幣の束を前記貨幣カセット(100)内のスタックされた構成に付勢する延在ステップを繰り返すステップと、
の各ステップをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の貨幣カセット装填方法。
【請求項11】
セキュアな制御ゾーンから前記紙幣を前記プレステージホルダ(442)を介し、その後前記カセット(100)内に自動的に搬送するステップをさらに含む、請求項10に記載の貨幣カセット装填方法。
【請求項12】
紙幣インターフェイス(430)から紙幣を受領するステップと、前記受領した紙幣の妥当性検査を行うステップと、前記受領した紙幣を前記プレステージホルダ(442)へ搬送するステップとをさらに含む、請求項乃至11のいずれかに記載の貨幣カセット装填方法。
【請求項13】
前記プレステージホルダ(442)が装填口を画定する、請求項11又は12に記載の貨幣カセット装填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセット補充方法及び装置に関する。特に、本発明は貨幣カセット補充装置及びその自動的な使用方法に関するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
媒体カセットは、多くのタイプのセルフサービス端末装置(SST)での自動取り出し及び払い出しのためにシート形態の媒体を保管するために使用される。例えば、媒体カセットの1つの具体的なタイプは、現金自動預払機(ATM)で使用できる貨幣カセットである。ATMは、各々がそれぞれの値を有する紙幣を保管する貨幣カセットの形態の複数の媒体カセットを含んでもよい。
【0003】
典型的な貨幣カセットは、数千枚の紙幣(銀行券とも呼ばれる)を整然とした配列で保管する。この銀行券の整然とした配列は、貨幣カセット内の整然とした配列が紙幣が1枚ずつカセットから取り出される際にピッキング領域に確実に接触しているように、ばね板(プッシャープレートと呼ばれる)によって貨幣カセットのピッキング領域側に付勢される。
【0004】
従来、貨幣カセットに紙幣を補充する場合、貨幣カセットの蓋を取外し、ばね板を後退させ、後退させたばね板とピッキング領域との間に新しい紙幣の配列が配置されていた。操作者が一人だけでばね板を後退させ、ばね板を後退位置に保持している間に新しい銀行券の配列を挿入することは極めて困難である。この場合、挿入された銀行券が不正確に装填されて、貨幣カセットからこれらの銀行券を取り出す際に問題が生じることがある。また、貨幣カセットの蓋を取外すには時間がかかる。
【0005】
閉鎖サイクルの現金管理のためのATMに関連付けられた最近の貨幣業界の動向として、顧客はオペレータが紙幣に触れることなくカセットを装置間で搭載し移動させる方法を探っている。これによって、オペレータのエラーが低減し、貨幣カセットへの現金の移送をモニタする別の保安要員の必要がなくなるであろう。今までのところ、この長年にわたる必要の好適な解決策は欠如していた。
【0006】
貨幣カセットは、水平の向きに動作するように設計され、ばね板は水平の紙幣スタックを取り出し窓(取り出し口とも呼ばれる)に付勢するように選択されたばね力を有するばねによって付勢される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、少なくとも部分的に上記の問題を未然に防止することである。
【0008】
本発明の他の目的は、閉鎖現金サイクル環境をサポートすることである。
【0009】
本発明の他の目的は、許可されたオペレータが装填プロセス中にカセット、ばね板及び紙幣に接触する必要をなくす、紙幣を貨幣カセットに装填する方法及び装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、装填プロセスの自動化を容易にするために、現在使用中の貨幣カセットの再設計が不要である従来の貨幣カセットの装填方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、貨幣カセットから蓋を取外す必要なしに、又は補充された貨幣カセットが使用される場所(銀行支店又は小売店場所など)から貨幣カセットを取外す必要なしに、従来の貨幣カセットの補充を現場で提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、貨幣カセットの蓋を取外すことなく、貨幣カセット内に少なくとも1枚の紙幣を装填する貨幣カセット補充装置であって、貨幣カセットを装填位置に配置し、貨幣カセットの取り出し口を開ける貨幣カセット支持体と、少なくとも1枚の紙幣に係合し、該係合された紙幣を取り出し口を通して貨幣カセット内に挿入するように動作可能な貨幣挿入装置と、を備え、前記貨幣カセット支持体は、貨幣カセットの対向する両側に係合するガイドレールを有し、貨幣カセットを傾斜させて保持することを特徴とする貨幣カセット補充装置が提供される。
【0013】
任意選択として、貨幣挿入装置はプランジャを備える。プランジャは、貨幣カセットの完全に外側の第1の位置から、取り出し口を通って、少なくとも部分的に貨幣カセット内にある第2の位置へ延在できる。
【0014】
任意選択として、貨幣カセット支持体は、貨幣カセットの対向する両側に係合するガイドレールを備える。あるいは、貨幣カセット支持体は、貨幣カセットが設置されるベース面を画定する。
【0015】
任意選択として、貨幣カセット支持体は、カセットの取り出し口端部が取り出し口端部の反対側のカセットのハンドル端部よりも低くなるように、例えば、貨幣カセットを傾斜させて保持するように構成できる。
【0016】
任意選択として、貨幣カセット補充装置は、個別の紙幣又は紙幣の束を装置内に挿入するための紙幣挿入アパーチャをさらに備える。
【0017】
任意選択として、貨幣カセット補充装置は、受領した紙幣の束を、紙幣挿入アパーチャから取り出し口に隣接する、受領した束を貨幣カセット内の任意の紙幣の向きに合った向きに維持するプレステージホルダへ搬送する搬送装置をさらに備える。
【0018】
任意選択として、プレステージホルダは、取り出し口に整列した1対のドライブスルーアパーチャを画定する。ドライブスルーアパーチャ(又は少なくともプランジャ側のドライブスルーアパーチャ)は、取り出し口よりも寸法が小さくてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1枚の紙幣を貨幣カセット内に装填する方法であって、貨幣カセットを装填位置に配置し、貨幣カセットの取り出し口を開ける貨幣カセット支持体を有し、この貨幣カセット支持体は、貨幣カセットの対向する両側に係合するガイドレールを有して、貨幣カセットを傾斜させて保持するステップと、少なくとも1枚の紙幣を貨幣カセットの取り出し口に隣接する位置にあるプレステージホルダで支持するステップと、プレステージホルダと取り出し口とを通して、プランジャを少なくとも部分的に貨幣カセット内へ延在させて、プレステージホルダで支持された少なくとも1枚の紙幣を貨幣カセット内のスタックされた構成に付勢するステップと、の各ステップを含む方法が提供される。
【0020】
好適には、上記方法は、
プランジャを後退位置へ後退させるステップと、
紙幣又は紙幣の束をプレステージホルダへ搬送するステップと、
搬送された紙幣又は紙幣の束を貨幣カセット内のスタックされた構成に付勢する延在ステップを繰り返すステップと、
の各ステップをさらに含む。
【0021】
好適には、上記方法は、紙幣をセキュアな制御ゾーンから提供し、自動的に紙幣をプレステージホルダに配置して、続いてカセット内に配置するステップをさらに含む。
【0022】
任意選択として、上記方法は、紙幣インターフェイスから紙幣を受領するステップと、受領した紙幣の妥当性検査を行うステップと、受領した紙幣をプレステージホルダへ搬送するステップとをさらに含む。
【0023】
任意選択として、プレステージホルダは、装填口を画定してもよい。
【0024】
好適には、上記方法は、1枚又は複数枚の紙幣がカセット内にある状態で、カセットの付勢された付勢板部材によって投入紙幣又は紙幣の束を支持するステップをさらに含む。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、貨幣カセット内に少なくとも1枚の紙幣を装填する貨幣カセット補充装置(CCRT)であって、
貨幣カセットを装填位置に配置する貨幣カセット支持体と、
上記装填位置に配置された貨幣カセットの取り出し口に対応する位置に配置された少なくとも1つの装填口を備える紙幣支持体と、
装填口の第1の側に配置され、装填口を通して、後退位置から貨幣カセット内の延在位置へ移動可能なプランジャと、
を備える貨幣カセット補充装置(CCRT)が提供される。
【0026】
好適には、取り出し口及び装填口は、サイズと形状が実質的に同様で、カセットが装填位置にあるときに対向した並列関係に配置される。
【0027】
好適には、紙幣支持体は、一方の側壁が装填口を画定し、残りの側壁がドライブスルーアパーチャを画定する離間した1対の側壁と、側壁間に1枚又は複数枚の紙幣を支持する支持面を有するベースとを備える。
【0028】
好適には、紙幣支持体は、1枚又は複数枚の紙幣を搬送路から受領する、離間した側壁間の開口区域を画定する。
【0029】
好適には、CCRTは、搬送路と紙幣のスタックを紙幣支持体内に配置される上記紙幣支持体との間にバリスティックスタッカをさらに備える。
【0030】
好適には、プランジャは、ドライブスルーアパーチャ又は装填口のいずれかよりも小さい表面積を有する当接面を画定し、装填口から離間してプランジャが後退位置にあるときに紙幣又は紙幣の束を装填口に配置できるプランジャ本体を備える。
【0031】
好適には、CCRTは、プランジャを後退位置と延在位置との間で選択的に移動させてプランジャを貨幣カセット内の内部空間に関してそれぞれの外部又は内部位置に配置する駆動モジュールをさらに備える。
【0032】
好適には、駆動モジュールは、モータ又はソレノイドなどを備える。
【0033】
好適には、プランジャが延在位置へ移動しているときに、プランジャは、紙幣又は紙幣の束を紙幣支持体の装填口位置からカセットのプッシャープレート又はプッシャープレートによってカセット内で支持されている少なくとも1枚の紙幣に対してカセット内に付勢する。
【0034】
好適には、貨幣カセット支持体は、カセット支持面と、装填位置に配置された貨幣カセットのそれぞれのチャネルに位置して、それによりカセットの取り出し口を開ける複数の細長いタインとを有する。
【0035】
好適には、細長いタインは、上記チャネル内にあるときに貨幣カセット内の摺動シャッタを開けるように配置される。
【0036】
好適には、貨幣カセット支持体は、貨幣カセットを水平面に対してある角度に配置する傾斜支持面を含む。傾斜支持面は、カセットを10°〜70°の範囲内の角度に支持できる。プッシャープレートは水平面に対して大きすぎる角度では動作できないばねによって付勢されるため、傾斜支持面の角度は10°〜40°、又は15°〜30°の範囲内であってもよい。
【0037】
本発明の第4の態様によれば、貨幣カセット内に紙幣を確実に配置する方法であって、
貨幣カセットの取り出し口を通して紙幣を自動的に配置して、続いて投入するステップを含む方法が提供される。
【0038】
本発明の第5の態様によれば、媒体アイテムを媒体カセット内に安全に配置する方法であって、
媒体カセットの取り出し口を通して媒体アイテムを自動的に配置して、続いて投入するステップを含む方法が提供される。
【0039】
本発明の第6の態様によれば、少なくとも1つの媒体アイテムを媒体カセット内に装填する媒体カセット補充装置であって、
媒体カセットを装填位置に配置する媒体カセット支持体と、
上記装填位置に配置された媒体カセットの取り出し口に対応する位置に配置された少なくとも1つの装填口を備える媒体アイテム支持体と、
装填口の第1の側に配置され、装填口を通して、後退位置から媒体カセット内の延在位置へ移動可能なプランジャと、
を備える媒体カセット補充装置が提供される。
【0040】
本発明は、貨幣カセットのばね荷重の性質を利用して、カセット自体に実質的な設計変更を加えることなく従来のカセット設計を搭載することを可能にする。
【0041】
また本発明は、貨幣カセットに媒体アイテムを自動的に装填/補充できるという利点を提供する。
【0042】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら以下に説明するが、これは単なる例示としてのものにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】貨幣カセットの形態の媒体カセットの概略斜視図である。
図2図1に示す貨幣カセット本体部の蓋を取った状態の概略図である。
図3図1及び図2に示すカセットの本体部の簡略化された側断面図である。
図4図1図3に示すタイプの貨幣カセット内に紙幣を補充するための本発明の一実施形態による貨幣カセット補充装置を示す図である。
図5図4の装置の一部(紙幣支持体)の詳細図である。
【0044】
図面で、同様の参照番号は同様の部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、紙幣(銀行券と呼ばれることもある)を保管するポリカーボネート製の貨幣カセットの形態の媒体カセット100を示す。図1に示すカセット100は、ラッチ130によって本体120に固定された蓋110を有する。カセット本体120は、カセット100の遠端部150(「ピッキング端部」と呼ばれる)から離間した第1の端部145(「ハンドル端部」と呼ばれる)にハンドル140を有する。ハンドル端部145は、「非ピッキング端部」とも呼ばれる。閉じた取り出し窓(図2に詳細に示す)がピッキング端部150に配置される。
【0046】
図1に示すカセット100の蓋110を取った状態を示す図2に示すように、ピッキング端部150は、貨幣カセット100の搬送時に取り出し窓210(取り出し口とも呼ばれる)を覆うローラシャッタ200を含む。貨幣カセット100が貨幣ディスペンサ(図示せず)、例えば、現金自動預払機(ATM)内に挿入されると、貨幣ディスペンサ(図示せず)内のタイン(図示せず)が本体120内に画定されたチャネル(図2には図示せず)内に装着されたブロック(図示せず)に係合してローラシャッタ200を上昇させ、取り出し窓210を開ける。図2はまた、プッシャープレート240が貨幣カセット100内に配置されて紙幣の束を貨幣カセット100のピッキング端部150側へ付勢する様子を示す。
【0047】
図3は、非ピッキング端部145からピッキング端部150へ向かってカセット100の全長にわたって長手方向に延在する中央レール310がその下に提供された床300を含む様子を示す。付勢されたプッシャープレート240は、中央レール310上に摺動可能に装着され、ラチェット機構(図示せず)によってそこに連結される。プッシャープレート240は、床300の下に位置するコイルばね(図示せず)によってピッキング端部150側へ付勢される。プッシャープレート240は、紙幣の束(配列とも呼ばれる)を押し込み、それにより紙幣を取り出し窓210側へ付勢し、そのため、取り出し窓210が開いているときには、貨幣ディスペンサ(図示せず)によって取り出し窓210を通して紙幣を取り出すことができる。
【0048】
図4は、本発明の一実施形態による貨幣カセット補充装置(CCRT)400を示す。CCRT400は、図示の貨幣カセット100などの容器内に紙幣を装填するセキュアシステムを提供する。CCRT400は、アクセスドア415を介して許可された人員だけがアクセス可能な堅固なハウジング410を有する装置である。ドア415が図4では閉鎖位置で示されているが、ドア415は紙幣を空の又は部分的に空の貨幣カセット100内に装填するときにはいつでも開けて安全にロックすることができることを理解されたい。ドア415を開けて装置400内の空の(又はほぼ空の)カセット100に補充するか、又は補充されたカセット100を取外す。
【0049】
ドア415が開いた状態では、許可者は貨幣カセット100を貨幣カセット支持体420上の装填位置へ摺動させることができる。本発明の他の実施形態では、貨幣カセットを配置する別の機構を利用してもよい。人物がカセット100を貨幣カセット支持体420上に摺動させるにつれて、支持体420に固定された1対のタイン425がカセット100内に延在してシャッタ200を開けて(図4には図示せず)、取り出し窓210のアパーチャを露出させる。支持体420は、ピッキング端部150をハンドル端部145よりも下げた状態で貨幣カセット100を非垂直の向きに配置して支持する。これによって、プッシャープレート240は、装填された紙幣を取り出し窓210側へ付勢する際に重力によって確実に支援される。この実施形態では、支持体420は、水平面に対して約25°の角度に保管貨幣カセット100を配置し支持する。その他の実施形態では、支持体420は、水平面に対して約15°〜60°の角度に貨幣カセット支持し配置することができる。支持体420は、貨幣カセット100の対向する側上の補完構成体、貨幣カセット100が載っている支持面などに係合するガイドレールを備える。
【0050】
また、CCRT400は、許可された人員が紙幣の束を装置400に導入することができる紙幣挿入アパーチャ430を含む。紙幣挿入アパーチャ430は、スロットタイプ又はポケットタイプの入力機構であってもよい。紙幣の束は、補充主体(人間であってもよく、又はCCRT400に連結された払い出し装置であってもよい)によって挿入アパーチャ430内に挿入される。次に、紙幣の束は紙幣束搬送装置436の対向するベルト432、434の間に締め付けられ、紙幣の束は搬送路440に沿って搬送されてプレステージホルダの形態の紙幣支持体442内に下方へ駆動される。
【0051】
プレステージホルダ442はその詳細が図5に示され、駆動システム450によって駆動されるメカニカルラム(又はプランジャ)448及び取り出し窓210に整列した1対のドライブスルーアパーチャ540、550を含む。メカニカルラム448に最も近いドライブスルーアパーチャ540は、ラム側ドライブスルーアパーチャと呼ばれる。取り出し窓210に最も近いドライブスルーアパーチャ550は、取り出し側ドライブスルーアパーチャ(又は装填口)と呼ばれる。
【0052】
図5に示すように、プレステージホルダ442は、テーパし離間した側壁505、510を含み、紙幣の束を収容し、紙幣の束を整然とした配列として維持して貨幣カセット100への装填に備える寸法を有する。側壁505、510は、テーパした縁部壁515、520によって離間し、一方の端部530でベース525によって閉止される。プレステージホルダ442は、ベース525の反対側の開いた端部535を画定する。開いた端部535は開口区域と呼ばれる。紙幣は、この開口区域535を通して紙幣束搬送装置436からプレステージホルダ442内に導入できる。プランジャ448に対向する側壁505は、ラム側ドライブスルーアパーチャ540を画定する。カセット100に対向する側壁510は(カセット100がCCRT400内に装着されているときに)、取り出し側ドライブスルーアパーチャ550(装填口550)を画定する。プレステージホルダ442は、カセット100内にいつでも自動的に投入できる所望の場所にある1枚又は複数枚の紙幣を支持する紙幣支持体の一例である。
【0053】
ドライブスルーアパーチャ540,550は貨幣カセット100内に装填される最小の紙幣の面積よりも小さいが、補充動作時に紙幣を取り出し側ドライブスルーアパーチャ550を通して押し出すには十分な大きさである。また、ラム側ドライブスルーアパーチャ540は、取り出し側ドライブスルーアパーチャ550より小さくてもよい。
【0054】
動作中、メカニカルラム448は起動され、ラム側ドライブスルーアパーチャ540を通して直線的に延在し、その当接面560(図4を参照)はプレステージホルダ442内に位置する紙幣の束に係合し、紙幣の束を取り出し側ドライブスルーアパーチャ550を通して貨幣カセット100内に駆動する。
【0055】
メカニカルラム448が後退したとき、取り出し窓210が各紙幣よりも小さいので紙幣の束はカセット100内に残っていて、そのため、ピッキング端部150は、紙幣が貨幣カセット100から排出されることを防止する。
【0056】
したがって、この実施形態は、紙幣を貨幣カセット100内に「詰め込んで」、束ごとにカセットに補充するシーケンスを提供する。このシーケンスは、貨幣カセット100を装填ノードの装填位置に配置し、カセット100内のシャッタ200を開けて標準キープレート(タイン425を含む)を介して取り出し領域210を露出させる。紙幣又は紙幣の束は、ホルダ442へ搬送される。この位置で、紙幣は「留め置かれ」、カセット100内の紙幣のスタックに整列する。スタッファ「シュー」とも呼ばれるプランジャ448(又はラム)は下方に駆動され、紙幣の中央をホルダ442の開口550を通して、カセット100内にすでに存在する紙幣の表面に(又はカセット100が空の場合、プッシャープレート240に)押し付ける。プランジャ448は、紙幣の縁部がホルダ442内のアパーチャ550の縁部とカセット100の前面の周囲に反転するまでばね式プッシャープレート240の反作用の運動によって内部に進入して収容される。したがって、紙幣は、カセット100のスタック内に固定される。その後、プランジャ448を後退させて次の紙幣又は束のために搬送装置を空にすることができる。
【0057】
本発明の実施形態では、1つ又は複数の負圧吸引素子を用いてスタッファシュー/プランジャ/ラムに紙幣を解放可能に固定することができる。これによって、投入紙幣の整列が容易になり、装填不良又は投入紙幣の斜行のリスクが低減される。
【0058】
別の実施形態では、プレステージホルダ442は、プランジャ448が紙幣の束に係合する前に紙幣の束を所定位置に締め付ける1つ又は複数の解放可能クランプを含んでもよい。プランジャ448が紙幣の束に係合すると、クランプは解放されて束をカセット100へ搬送することができる。
【0059】
別の実施形態では、紙幣挿入アパーチャ430から紙幣支持体442への搬送は、垂直の(又はほぼ垂直の)落下で終わらなくてもよい。上記実施形態では、バリスティックスタッカを使用して、紙幣が紙幣支持体442に正確に確実に送達されるようにできる。
【0060】
別の実施形態では、プレステージホルダを非垂直の向きに(例えば、一般に水平の向きに)配置して紙幣の束のプレステージホルダへの搬送を容易にすることができる。次に、プレステージホルダは、非垂直の向きから垂直の向きへ枢動できる。その後、上記実施形態で説明したように、プランジャ148を延在させ、次に後退させることで、プレステージホルダから貨幣カセットへの紙幣の束の装填が実行される。
【0061】
別の実施形態では、貨幣カセット以外の媒体カセットの補充ができる。例えば、チケット又はクーポンを含む媒体カセットの補充が可能である。
【0062】
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通して、「備える」及び「含む」という用語とその変形は、「含むが、これに限定されない」という意味であり、その他の部分、付加物、構成要素、整数又はステップを除外するよう意図されていない(且つ除外しない)。本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通して、単数は文脈上そうでないことが要求されない限り複数を含む。特に、不定冠詞を用いる場合、本明細書は、文脈上そうでないことが要求されない限り、単数だけでなく複数も意図すると理解すべきである。
【0063】
本発明の特定の態様、実施形態又は実施例に関連して説明した特徴、整数、特性又はグループは、互換性がない場合を除き、本明細書に記載する他のいかなる態様、実施形態又は実施例にも適用可能であると理解すべきである。本明細書で開示されたすべての特徴(任意の添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)、及び/又は開示された任意の方法又はプロセスのすべてのステップは、特徴及び/又はステップの少なくとも幾つかが相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せに組み合わせることができる。本発明は、上記実施形態のいかなる詳細内容にも限定されない。本発明を、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)で開示された任意の新規の特徴又はその組合せに、あるいは開示された方法又はプロセスの任意の新規のステップ又はその組合せに発展させることができる。
【0064】
本出願に関連し、本明細書と共に公開されている本明細書と同時に、又はそれ以前に出願されたすべての書類及び文献に留意されたい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、現金自動預け払い機(ATM又はSST)における貨幣カセットの補充装置に関するものであって、産業上の利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5