(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定値は、前記累積運転時間が予め定める所定の初期運転期間以内で適用される第一所定値よりも前記累積運転時間が前記初期運転期間を超える際に適用される第二所定値のほうが小さい請求項1または2に記載の電気掃除機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る電気掃除機の実施形態について、
図1から
図21を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在な管部3と、を備える。
【0016】
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の両側方にそれぞれ配置される一対の車輪6と、本体ケース5の後半部分に収容される電動送風機7と、本体ケース5の前半部分に配置される着脱自在な塵埃分離集塵部8と、主に電動送風機7を制御する本体制御部9と、電動送風機7に電力を導く電源コード11と、を備える。
【0017】
本体ケース5は、前端部分に本体接続口12を備える。本体接続口12は継手であり、管部3を着脱できる。掃除機本体2の流体的な入口であり、管部3と塵埃分離集塵部8とを流体的に接続する。
【0018】
電動送風機7は空気を吸い込んで負圧を生じさせる。この負圧は掃除機本体2の内部、塵埃分離集塵部8を経て管部3に作用する。
【0019】
塵埃分離集塵部8は、電動送風機7が生じさせる負圧によって流れ込む空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する。他方、塵埃分離集塵部8は、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機7へ送り込む。なお、塵埃を含んだ空気を「含塵空気」と呼ぶ。
【0020】
本体制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)、マイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備える。記憶装置は予め設定される複数の運転モードを記憶する。予め設定される複数の運転モードは、電動送風機7の運転出力の大小に関連するものであって、管部3で受け付ける使用者の操作に対応する。それぞれの運転モードは、互いに異なる入力値(電動送風機7の入力値)を記憶する。本体制御部9は、管部3で受け付けられる使用者の操作に応じ、その操作内容に対応する任意の運転モードを予め設定される複数の運転モードから択一的に選択して記憶部から読み出し、読み出した運転モードにしたがって電動送風機7を制御する。
【0021】
電源コード11は、配線用差込接続器(図示省略、所謂コンセント)から掃除機本体2へ電力を供給する。電源コード11は自由端部に差込プラグ14を備える。
【0022】
管部3は、掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込んで掃除機本体2へ案内する。管部3は、掃除機本体2の本体接続口12に着脱自在な継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続される集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続される手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に設けられる操作部24と、手元操作管22に着脱自在な延長管25と、延長管25に着脱自在な吸込口体26と、を備える。
【0023】
接続管19は、本体接続口12を通じて塵埃分離集塵部8に流体的に接続されている。
【0024】
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は接続管19に流体的に接続されている。集塵ホース21は、接続管19を通じて塵埃分離集塵部8に流体的に接続されている。
【0025】
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25とを連結させる。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に流体的に接続されている。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を順次に通じて塵埃分離集塵部8に流体的に接続されている。
【0026】
把持部23は、電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持できる部分である。把持部23は、使用者の手で容易に把持できる適宜の形状を呈して手元操作管22から突出する。
【0027】
操作部24は、それぞれの運転モードに対応付けられるスイッチを備える。具体的には、操作部24は、電動送風機7の運転停止操作に対応付けられる停止スイッチ24aと、電動送風機7の運転開始操作に対応付けられる起動スイッチ24bと、吸込口体26への電源供給に対応付けられるブラシスイッチ24cと、を備える。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、本体制御部9に電気的に接続される。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機7の運転モードを択一的に選択できる。起動スイッチ24bは、電動送風機7の運転中に、運転モードの選択スイッチとしても機能する。この場合、本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→………の順で切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、弱運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)および強運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
【0028】
延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状の管である。延長管25は、複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造を有する。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)と手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)とは着脱自在な継手構造を備える。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部8に流体的に接続されている。
【0029】
吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在あるいは滑走自在な構造を有するとともに、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。また、吸込口体26は、吸込口28に配置される回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を駆動させる電動機31と、を備える。吸込口体26の一方の端部(ここでは、後方の端部)と延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)とは着脱自在な継手構造を備える。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部8に流体的に接続されている。電動機31は、ブラシスイッチ24cから操作信号を受け取る度に運転開始と停止とを繰り返す。
【0030】
電気掃除機1は、起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると電動送風機7を始動させる。例えば、電気掃除機1は、電動送風機7が停止している状態で起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると、先ず電動送風機7を強運転モードで運転し、再び起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると電動送風機7を中運転モードで運転し、三度、起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると電動送風機7を弱運転モードで運転し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に電動送風機7に対する入力値が小さい。始動した電動送風機7は、塵埃分離集塵部8から空気を排気してその内部を負圧(吸込負圧)にする。
【0031】
塵埃分離集塵部8の負圧は、塵埃分離集塵部8、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22および延長管25を通じて吸込口体26の吸込口28に作用する。電気掃除機1は、吸込口28に作用する負圧で被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵部8は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する。他方、塵埃分離集塵部8は、含塵空気から分離した空気を電動送風機7へ送る。電動送風機7は塵埃分離集塵部8から吸い込んだ空気を掃除機本体2外へ排気する。
【0032】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の電動送風機を部分的に切り欠いて示す図である。
【0033】
図2に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の電動送風機7は、吸気口35を有する遠心ファン部36と、排気口37を有するモータ部38と、を備える。
【0034】
モータ部38は整流子電動機である。モータ部38は、排気口37を有するモータハウジング39と、モータハウジング39の内周面39aに設けられる固定子41と、モータハウジング39内に回転自在に支持される回転子42と、モータハウジング39に設けられて回転子42に電気的に接続される一対のブラシ機構43と、を備える。
【0035】
回転子42は、固定子41の内側に配置されている。回転子42は、回転中心線となるロータ軸45と、ロータ軸45に設けられる回転子鉄心46と、回転子鉄心46に巻き付けられるフィールド巻線47と、ロータ軸45に設けられてフィールド巻線47に電気的に接続される整流子48と、を備える。
【0036】
ブラシ機構43は、ブラシホルダ固定部49を貫いて固定されるブラシホルダ50と、ブラシホルダ50内をスライド自在に収容されるブラシ51と、ブラシ51を整流子48に押さえ付けるコイルバネ52と、を備える。
【0038】
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機を示すブロック図である。
【0039】
図3に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、差込プラグ14を介して商用交流電源Eに電気的に接続される本体制御回路55を備える。
【0040】
本体制御回路55は、電動送風機7を運転制御する。本体制御回路55は、商用交流電源Eへ直列に接続される電動送風機7と、商用交流電源Eと電動送風機7とを接続する電路を開閉するスイッチング素子56と、商用交流電源Eを変換して本体制御部9へ動作電力を供給する本体電源部57と、整流子48とブラシ51との摩擦によって発生する火花の大きさを検知する火花検知部58と、電動送風機7を運転制御する本体制御部9と、を備える。
【0041】
スイッチング素子56は、本体制御部9に接続されるゲートを備える。スイッチング素子56は、ゲート電流の変化に応じて電動送風機7の入力を変える。スイッチング素子56は双方向サイリスタや逆阻止3端子サイリスタなどの素子である。
【0042】
本体電源部57は、本体制御部9の制御電源を発生させる電源回路である。
【0043】
火花検知部58は、整流子48とブラシ51との摩擦によって発生する火花の大きさを検知する。火花検知部58は、例えばカレントトランスであり、電動送風機7に流れる電流を検知する。火花検知部58は、整流子48とブラシ51との摩擦によって発生する火花の光を検知する光センサでも良い。火花検知部58は検知した電流値を電圧値に変換して本体制御部9へ出力する。火花検知部58の電源は、例えば商用電源定格100Vを用いる。なお、整流子48とブラシ51との摩擦によって火花が発生すると、火花検知部58が検知する電流値が低下する傾向にある。
【0044】
本体制御部9は、マイクロコンピュータからなり、中央処理部(図示省略)、記憶部59、I/O部(図示省略)およびタイマ(図示省略)を備える。記憶部59は、中央処理部が実行する制御プログラムや、制御プログラムの実行に必要な定数などのデータを予め記憶する。このデータは、予め設定された各運転モードに対応する入力値を示す定数を含む。また、記憶部59は、中央処理部の演算データなどを一時記憶しておくデータ記憶領域および作業領域である。
【0045】
また、本体制御部9は、操作部24が出力する操作信号と、ゼロクロス検出器(図示省略)が検出する商用交流電源Eのゼロクロスタイミングと、を周期的に読み取り、選択された運転モードにしたがってスイッチング素子56のスイッチング制御(位相制御)を行い電動送風機7の入力を制御する。
【0046】
さらに、本体制御部9は、例えば、弱、中および強からなる3つの運転モードに応じて電動送風機7の入力を制御する。本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る都度、運転モードを順次に切り換えてスイッチング素子56のスイッチング制御を行う。
【0047】
さらにまた、本体制御部9は、火花検知部58から入力される火花の検知結果に基づいて電動送風機7を制御する。本体制御部9は、火花検知部58がサンプリングする検知結果の前回実測値Ia(前回値)と今回実測値Ib(今回値)との差から予測値Ine(予測次回値)を算出し、この予測値Ineと火花検知部58がサンプリングする検知結果の実測値In(実次回値)との差の絶対値が予め定める所定値Isより大きい場合、この絶対値が所定値Is以下になるまで電動送風機7の入力を段階的に低減させる。
【0048】
また、本体制御部9は、タイマによって電動送風機7の運転時間を計時する運転時間計時部61を備える。本体制御部9は、運転時間計時部61の計時する運転時間を累計して電動送風機7の累積運転時間を記憶部59に記憶する。
【0049】
ここで、先ず、本体制御部9による火花検知について説明する。
【0050】
(火花検知の第1実施例)
図4は、本実施形態に係る電気掃除機の火花検知の第1実施例を示すフローチャートである。
【0051】
図5は、本実施形態に係る電気掃除機の火花検知の第1実施例のサンプリング方法を示す概念図である。
【0052】
図4および
図5に示すように、本実施形態に係る本体制御部9は、操作部24の起動スイッチ24bが操作されると電動送風機7の運転を開始するとともに火花検知を開始する。
【0053】
本体制御部9は、等時間間隔で継続的に火花検知部58の検知結果(つまり、火花検知部58の出力電圧)をサンプリングする(S1)。このサンプリングは、例えば、50Hzの半周期当たり(10msec当たり)に100ポイントのサンプリング(つまり、0.1msec毎のサンプリング)を行う。位相制御が行われている場合は、電流が流れている間だけ、サンプリングする。
【0054】
次いで、本体制御部9は、(n−2)回目のサンプリング結果を前回実測値Ia(前回値)として記憶部59に記憶する(S2)。
【0055】
さらに、本体制御部9は、(n−1)回目のサンプリング結果を今回実測値Ib(今回値)として記憶部59に記憶する(S3)。
【0056】
次いで、本体制御部9は、予測値Ineを演算する(S4)。予測値Ineは前回実測値Iaと今回実測値Ibとから予測される。具体的には、予測値Ineは前回実測値Iaと今回実測値Ibとの差に今回実測値Ibを加えたもの、Ine=(Ib−Ia)+Ib=2Ib−Iaである。
【0057】
次いで、本体制御部9は、予測値Ineと実測値Inの差の絶対値|In−Ine|が、予め定める所定値Isより大きいか否か、すなわち、|In−Ine|>Isを判断する(S5)。n回目のサンプリング結果を実測値Inとして使用する。予め定める所定値Isは予め実験によって求められ、ブラシ51が正常な状態の値である。予測値Ineと実測値Inとの差の絶対値|In−Ine|が、所定値Isより大きい場合、本体制御部9は火花の過大発生を判断する。その他の場合、本体制御部9はS1に戻って火花検知制御を繰り返し、継続する。
【0058】
ところで、
図5は、正弦波状に観測される火花検知部58の検知結果において、位相角0度から90度まで、または位相角270度から360度まで、つまり電流値が上り調子になる位相角の任意の一部を切り出したものである。
図5中の小さな波は、電源に重畳するノイズ成分である。
【0059】
そして、n−2回目、n−1回目のサンプリングでは火花が大きく発生しているため、当該位相角における振幅が低下している。つまり、前回実測値Ia、今回実測値Ibは、火花が発生していない際における電流値よりも小さく観測されている。他方、n回目のサンプリングにおける実測値Inは、火花の発生が小さく、当該位相角における本来の振幅(電流値)に回復している。そして、前回実測値Iaおよび今回実測値Ibに基づく予測値Ineは、実測値Inよりも小さく予測されている。
【0060】
仮に、n−2回目、n−1回目のサンプリングでは火花が発生していない場合、当該位相角における本来の振幅は大きくなる。他方、n回目のサンプリングでは火花が発生している場合、当該位相角における振幅は小さくなる。このケースでは、
図5とは異なり、n回目のサンプリングにおける予測値Ineは、火花が発生している際における電流値、つまり実測値Inよりも大きく予測される。このケースでは、予測値Ineと実測値Inとの上下位置関係は
図5のケースに対して逆転する。このケースであっても、Ine−In|>Isを判断することによって火花異常を判定できる。
【0061】
また、火花検知部58の検知結果が下り調子、つまり位相角90度から270度の区間で予測値Ineを求めるのであっても、予測値Ine=Ib−|Ib−Ia|=Ib−(Ia−Ib)=2×Ib−Iaで求められる。
【0062】
以上のように、火花検知の第1実施例では、本体制御部9は、予測値Ineと実測値Inとの差の絶対値|In−Ine|が、予め定める所定値Isより大きい場合、電動送風機7の整流子48とブラシ51との摩擦による火花の過大な発生を推測する。他方、本体制御部9は、予測値Ineと実測値Inとの差の絶対値|In−Ine|が、所定値Isより大きくない場合、電動送風機7の整流子48とブラシ51との摩擦による火花の過大な発生がないことを推測して電動送風機7の運転を継続する。
【0063】
(火花検知の第2実施例)
本体制御部9は、第1実施例の火花検知に代えて第2実施例の火花検知を実行することもできる。
【0064】
図6は、本実施形態に係る電気掃除機の火花検知の第2実施例を示すフローチャートである。
【0065】
図7は、本実施形態に係る電気掃除機の火花検知の第2実施例のサンプリング方法を示す概念図である。
【0066】
図6および
図7に示すように、本実施形態に係る本体制御部9は、第1実施例のS1からS4を、同じ周波数で複数回(具体的にはn−2回)繰り返す(S11、S1からS4、S12、S13)。整数nは予め定める整数である。
【0067】
本体制御部9は、等時間間隔で継続的に火花検知部58の検知結果のサンプリングを複数回(具体的にはn−2回)繰り返し、実測値Inと予測値Ineの差の絶対値|In−Ine|のn−2回分の絶対値総和Σ|In−Ine|が、所定値Isより大きいか否か、すなわち、Σ|In−Ine|>Isを判断する(S14)。
【0068】
以上のように、火花検知の第2実施例では、本体制御部9は、予測値Ineと実測値Inとの差の絶対値|In−Ine|のn−2回分の絶対値総和Σ|In−Ine|が、予め定める所定値Isより大きい場合、電動送風機7の整流子48とブラシ51との摩擦による火花の過大な発生を推測する。他方、本体制御部9は、予測値Ineと実測値Inとの差の絶対値|In−Ine|のn−2回分の絶対値総和Σ|In−Ine|が、所定値Isより大きくない場合、電動送風機7の整流子48とブラシ51との摩擦による火花の過大な発生がないことを推測して電動送風機7の運転を継続する。
【0069】
(火花検知の第3実施例)
また、本体制御部9は、第1実施例、第2実施例の火花検知に代えて第3実施例の火花検知を実行することもできる。
【0070】
図8は、本実施形態に係る電気掃除機の火花検知の第3実施例を示すフローチャートである。
【0071】
図9は、本実施形態に係る電気掃除機の火花検知の第3実施例のサンプリング方法を示す概念図である。
【0072】
図8および
図9に示すように、本実施形態に係る本体制御部9は、第2実施例のS11、S1からS4、S12を、予め定める周期C毎に複数回(具体的にはN回)繰り返す(S21、S22、S11、S1からS4、S12、S13、S14、S24、S25)。予め定める周期Cは電動送風機7の電源周期またはその整数倍である。整数Nは予め定める整数である。各周期Cにおいて、本体制御部9は、等時間間隔で継続的に火花検知部58の検知結果のサンプリングを複数回(具体的にはn−2回)繰り返し、実測値Inと予測値Ineの差の絶対値|In−Ine|のn−2回分の絶対値総和Σ|In−Ine|を求め、記憶部59に一時的に記憶する(S13)。なお、各周期Cにおける絶対値総和Σ|In−Ine|をΣ1、Σ2、…、ΣNと表記する。
【0073】
次いで、本体制御部9は、周期C毎の絶対値総和Σ1、Σ2、…、ΣNの総和Σ(Σ1+Σ2+…+ΣN)を整数Nで平均し(つまり、実測値Inと予測値Ineの差の絶対値|In−Ine|のn−2回分の絶対値総和Σ|In−Ine|に関する平均的な値を求め)、所定値Isより大きいか否か、つまりΣ(Σ1+Σ2+…+ΣN)/N>Isを判断する(S26)。例えば、周期C=1/50Hz、整数N=50にすれば1秒間の平均的絶対値総和Σ(Σ1+Σ2+…+ΣN)/Nが求められる。
【0074】
以上のように、火花検知の第3実施例では、本体制御部9は、周期C毎に実測値Inと予測値Ineの差の絶対値|In−Ine|のn−2回分の絶対値総和Σ|In−Ine|を求め、平均的絶対値総和Σ(Σ1+Σ2+…+ΣN)/Nが、予め定める所定値Isより大きい場合、電動送風機7の整流子48とブラシ51との摩擦による火花の過大な発生を推測する。他方、本体制御部9は、平均的絶対値総和Σ(Σ1+Σ2+…+ΣN)/Nが、所定値Isより大きくない場合、電動送風機7の整流子48とブラシ51との摩擦による火花の過大な発生がないことを推測して電動送風機7の運転を継続する。
【0075】
火花検知の第3実施例では、平均的絶対値総和Σ(Σ1+Σ2+…+ΣN)/Nを求めることで、突発的な火花の発生に対する感受性、応答性を抑制し、電動送風機7の整流子48とブラシ51との摩擦による火花の過大な発生の推測を安定化する。
【0076】
(火花検知の第4実施例)
火花検知の第4実施例は、火花検知の第1実施例から第3実施例に対し電動送風機7に供給される電源電圧の変化(定格に対する実測)に応じて所定値Isを変える。
【0077】
図10は、本実施形態に係る電気掃除機の電動送風機に対する電源電圧・周波数・運転モードによる平均的絶対値総和の違いを示す図表である。
【0078】
図10(a)は強運転モードの場合を示し、
図10(b)は中運転モードの場合を示す。
【0079】
図11は、本実施形態に係る電気掃除機の周波数50Hz、強運転モードにおける電源電圧と平均的絶対値総和の相関を示す線図である。
【0080】
図12は、本実施形態に係る電気掃除機の周波数50Hz、中運転モードにおける電源電圧と平均的絶対値総和の相関を示す線図である。
【0081】
図13は、本実施形態に係る電気掃除機の周波数60Hz、強運転モードにおける電源電圧と平均的絶対値総和の相関を示す線図である。
【0082】
図10から
図13に示すように、周波数50Hzと周波数60Hzともに、電源電圧(実測)が増加すると、平均的絶対値総和Σ(Σ1+Σ2+…+ΣN)/Nも増加し、50Hzと60Hzでは、いずれの電源電圧(実測)においても、周波数60Hzが周波数50Hzに比べて平均的絶対値総和Σ(Σ1+Σ2+…+ΣN)/Nが大きいことがわかる。
【0083】
他方、周波数50Hzにおいて、強運転モードと中運転モードの平均的絶対値総和Σ(Σ1+Σ2+…+ΣN)/Nは、電源電圧(実測)によっては大小関係が反転する。
【0084】
したがって、電源電圧の変化、周波数の変化に応じて所定値Isを変更する必要が有る。
【0085】
例えば、先ず、電動送風機7に供給される電源電圧(実測)毎、運転モード毎に複数の所定値Isを記憶部59に記憶しておく。そして、電動送風機7に供給される電源電圧を検知し、この検知電圧(電源電圧の実測値)を本体制御部9で読み取り、選択中の運転モードと組み合わせて最適な所定値Isを選択する。具体的な一例として、電源電圧が定格100Vの場合、検知電圧と所定値Isの関係は
図14のように設定される。
【0086】
図14は、本実施形態に係る電気掃除機において電動送風機の電源電圧が定格100Vの場合の検知電圧と所定値との相関関係を示す図表である。
【0087】
図14に示すように、検知電圧<80Vの場合の所定値IsはA値、80V≦検知電圧<90Vの場合の所定値IsはB値、90V≦検知電圧<100Vの場合の所定値IsはC値、100V≦検知電圧の場合の所定値IsはD値である。このように所定値Isは10V単位で書き換えられる。
【0088】
火花検知の第4実施例では、火花検知の第1実施例から第3実施例による火花検知に加えて、電源電圧(実測)に応じて所定値Isを変えることで、整流子48とブラシ51との摩擦によって発生する火花を誤検出なく正確に検出できる。
【0089】
さて、次いで、電動送風機7の累積動作時間の経過にともなって所定値Isを変更する閾値変更制御について説明する。
【0090】
(閾値変更制御の第1実施例)
ここで、先ず、電動送風機7の累積運転時間と、予測値Ineと実測値Inとの差の絶対値|In−Ine|との関係を説明する。
【0091】
図15は、本実施形態に係る電動送風機の累積運転時間と火花予測差との関係を示す図である。
【0092】
火花予測差とは、火花検知部58がサンプリングする検知結果の前回実測値Iaと今回実測値Ibとの差を予測値Ineとし、この予測値Ineと火花検知部58がサンプリングする検知結果の実測値Inとの差の絶対値|In−Ine|である。
【0093】
図15に示すように、本実施形態に係る電動送風機7は、予想寿命を大きく初期、中期および終期の3期間に分けることができる。ところで、電動送風機7の実寿命は、電気掃除機1の使用環境や使用条件次第で予想寿命よりも伸縮してしまうため、ここでは設計寿命を予想寿命として説明する。
【0094】
電動送風機7の整流子48とブラシ51との接触状態、所謂「あたり」が完成の当初から良好な場合、火花予測差=|In−Ine|は、破線Aで示すように初期から中期前半に渡って略一定に安定する。一方、中期後半から終期では、ブラシ51の摩耗量が大きくなってブラシ51を整流子48に押さえ付けるコイルバネ52が徐々に自然長に近づき、ひいてはブラシ51を整流子48に押さえ付ける力が徐々に弱まる。これによって、徐々に整流子48とブラシ51との接触状態が不安定になるため、中期後半では火花予測差=|In−Ine|が徐々に増加し始め、終期では急激に増大して寿命に達する。
【0095】
他方、火花予測差=|In−Ine|は、電動送風機7の整流子48とブラシ51との接触状態が完成の当初に不安定な場合、火花予測差=|In−Ine|は、実線Bで示すように完成直後に破線Aよりも高くなる場合がある。このような場合であっても、例えば数時間から数百時間程度の連続運転を行うことによって、火花予測差=|In−Ine|は、初期期間中に安定して破線Aと同程度になる。
【0096】
なお、
図15では、寿命の初期と終期とを同程度の期間として表現しているが、実際には、初期は終期に比べて極めて短い期間であるために、実線Bのような火花の発生によって発煙や発火などに至ることはない。
【0097】
ここで、従来の電気掃除機では、終期で急増する火花予測差=|In−Ine|を検出する一方で、初期から中期に渡る安定的な火花予測差=|In−Ine|を若干超えるように全寿命期間で一定な所定値Is_oldを設定している。つまり、従来の電気掃除機は、整流子48とブラシ51との接触状態が完成の当初に不安定な電動送風機7を搭載していた場合、完成の直後から火花異常を判定して電動送風機7を停止させてしまうことになる。
【0098】
そこで、本実施形態に係る電気掃除機1の本体制御部9は、電動送風機7の予想寿命の初期段階において、電動送風機7の運転時間の累計の進行にともなって小さくなる所定値Isを記憶している。
【0099】
図16は、本実施形態に係る電気掃除機の閾値変更制御の第1実施例を示すフローチャートである。
【0100】
図17は、本実施形態に係る電気掃除機の閾値変更制御の第1実施例を示す概念図である。
【0101】
図16および
図17に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の所定値Isは、電動送風機7の運転時間の累計の進行にともなって段階的に小さくなる(第一所定値Is1>第三所定値Is3>第二所定値Is2)。具体的には、所定値Isは、電動送風機7の運転時間の累計が予め定める所定の初期運転期間以内で適用される第一所定値Is1よりも運転時間の累計が初期運転期間を超える際に適用される第二所定値Is2のほうが小さい。
【0102】
所定の初期運転期間以内で適用される第一所定値Is1は、運転初期において高めに観測される火花予測差=|In−Ine|を若干超えている。
【0103】
所定の初期運転期間は、数時間から数十時間程度、例えば50時間に設定される。
【0104】
具体的には、本体制御部9は、操作部24の起動スイッチ24bが操作されると電動送風機7の運転を開始するとともに閾値変更制御を開始する。
【0105】
本体制御部9は、タイマによる計時を開始し(S31)、電動送風機7の累積運転時間を算出する(S32)。このとき、本体制御部9は、記憶部59に記憶された電動送風機7の累積運転時間を更新する(S33)。
【0106】
本体制御部9は、S33の後、電動送風機7の累積運転時間と予め定める初期運転期間とを比較し、電動送風機7の累積運転時間が予め定める初期運転期間を超えたか否か、すなわち、累積運転時間>初期運転期間を判断する(S34)。電動送風機7の累積運転時間が予め定める初期運転期間を超えている場合(S34 YES)、本体制御部9は、所定値Isを第二所定値Is2に設定する(S35)。その他の場合、本体制御部9は、所定値Isを第一所定値Is1に設定する(S36)。
【0107】
本体制御部9は、所定値Isに第二所定値Is2(S35)および第一所定値Is1(S36)のいずれかを設定した後、火花検知を実行する(S37)。火花検知(S37)には、火花検知の第1実施例から第3実施例のいずれか、または火花検知の第1実施例から第3実施例のいずれかの火花検知に第4実施例を組み合わせた制御が適用される。
【0108】
本体制御部9は、火花検知(S37)を通じて電動送風機7の整流子48とブラシ51との摩擦による火花の過大な発生を推測した場合には(S37 火花異常、つまりS5 YES、S14 YESおよびS26 YESのいずれかに相当する。)、電動送風機7を停止させる(S38)。本体制御部9は、電動送風機7を停止させる代わりに電動送風機7の入力を所定の入力低減量だけ繰り返し低減させても良い。他方、本体制御部9は、火花検知(S37)を通じて電動送風機7の整流子48とブラシ51との摩擦による火花の過大な発生を推測しなかった場合には(S37 火花正常、つまりS5 NO、S14 NOおよびS26 NOのいずれかに相当する。)、S32に戻って閾値変更制御を繰り返す。
【0109】
このようにして、本体制御部9は、電動送風機7の累積運転時間の進行に合わせて所定値Isを変更する。
【0110】
(閾値変更制御の第2実施例)
本体制御部9は、閾値変更制御の第1実施例に代えて閾値変更制御の第2実施例を実行することもできる。
【0111】
図18は、本実施形態に係る電気掃除機の閾値変更制御の第2実施例を示すフローチャートである。
【0112】
図19は、本実施形態に係る電気掃除機の閾値変更制御の第2実施例を示す概念図である。
【0113】
図20は、本実施形態に係る電気掃除機の閾値変更制御の第2実施例を示す概念図である。
【0114】
図18から
図20に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の所定値Isは、電動送風機7の運転時間の累計の進行にともなって比例的に小さくなる。具体的には、所定値Isは、電動送風機7の運転時間の累計が予め定める所定の初期運転期間以内で
図19に示すような線形に小さくなるよう設定されたり、
図20に示すように多項式や指数関数に比例して小さくなるよう設定されたりする。
【0115】
具体的には、本体制御部9は、操作部24の起動スイッチ24bが操作されると電動送風機7の運転を開始するとともに閾値変更制御を開始する。
【0116】
本体制御部9は、S33の後、
図19や
図20の関係を表す関数によって電動送風機7の累積運転時間に対応する所定値Isを算出して設定し(S41)、S37、S38を継続する。
【0117】
このようにして、本体制御部9は、電動送風機7の累積運転時間の進行に合わせて所定値Isを変更する。
【0118】
このように、本実施形態に係る電気掃除機1は、電動送風機7の寿命初期における整流子48とブラシ51との「なじみ」にともなう大きな火花の発生を許容して誤検知を防ぐ一方、整流子48とブラシ51との「なじみ」が進行した後には火花の大きさを適切に監視して、過大な火花にともなう発煙や発火を防ぐ。
【0119】
したがって、本発明に係る電気掃除機1によれば、製品寿命の初期から中期に渡って、整流子48とブラシ51との摩擦に基づく電動送風機7の発煙・発火を未然、かつ適切に防ぎつつ運転を継続できる。
【0120】
なお、本実施形態に係る電気掃除機1は、キャニスタ型のものに限らず、アップライト型、スティック型、あるいはハンディ型などのものであってもよい。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。