特許第6246514号(P6246514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6246514小型の給電部を含むアンテナ及びマルチビームアンテナシステム、並びにそのようなアンテナを少なくとも1個含む衛星通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246514
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】小型の給電部を含むアンテナ及びマルチビームアンテナシステム、並びにそのようなアンテナを少なくとも1個含む衛星通信システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/02 20060101AFI20171204BHJP
   H01Q 19/17 20060101ALI20171204BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20171204BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01Q13/02
   H01Q19/17
   H01Q21/06
   H01Q3/26 Z
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-150720(P2013-150720)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-23163(P2014-23163A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2016年7月14日
(31)【優先権主張番号】1202060
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505157485
【氏名又は名称】テールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ボシャール、ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ルペルティエ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】プレサンセ、ジュディカエル
(72)【発明者】
【氏名】シャラ、ベルナール
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−207104(JP,A)
【文献】 特開平11−225017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/26
H01Q 13/02
H01Q 19/17
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ビーム当たり複数の給電部を有し、少なくとも1個の反射器(26)及び前記反射器(26)を照射する複数の給電部(10,10a,10b,10c,10d,10’a,10’c)の1個のアレイを含み、前記給電部(10,10a,10b,10c,10d,10’a,10’c)が、前記反射器の焦点に配置された平面の2方向X、Yにおいて互いにずらされた複数のグループ(G1,G2,G3,...,GN)に関連付けられていて、各グループが同数の給電部を含み、各給電部(10,10a,10b,10c,10d,10’a,10’c)が、放射素子(11)に結合された偏波器(12)及び各々が前記偏波器の2個の出力チャネル(13,14)に組み込まれた2個のダイプレクサ(15,18)を含み、各ダイプレクサが2個の出力ポート含んで前記給電部の4個のポート(16,17,19,20)を形成し、前記4個のポートが4種の異なる色で動作し、各色が周波数及び偏波値のペア(F1,P1)、(F1,P2)、(F2,P1)、(F2,P2)により定義されていること、及び同一グループ(G1〜GN)に属する全ての給電部が、互いに結合されて第1のビームを形成する同一の第1色(P1,F1)を有する第1ポート(16)または同一の第2色(P1,F2)を有する第2ポート(17)、及び互いに結合されて第2のビームを形成する同一の第3色(P2,F1)を有する第3ポート(19)または同一の第4色(P2,F2)を有する第4ポート(20)を含んでいることを特徴とするマルチビームアンテナ。
【請求項2】
前記グループが、前記方向Xにおいて第1のピッチL1分、及び前記方向Yにおいて第2のピッチL2分、等間隔が空けられていて、前記ピッチL1、L2は1個以上の給電部に対応し、2個の隣接するグループ(G1,G2)が前記方向Xにおいて少なくとも1個の給電部を共有することを特徴とする、請求項1に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項3】
前記方向Yにおける前記2個の隣接するグループ(G1,G3)が給電部を共有しないことを特徴とする、請求項2に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項4】
給電部の各グループ(G1〜GN)毎に、同一グループの全ての給電部を前記方向X、Yにおいて結合する分配回路(C1,C3,D1)、(C2,C4,D2)を含み、前記結合が、前記同一の第1色(P1,F1)を有する前記第1ポート(16)間及び前記同一の第3色(P2,F1)を有する前記第3ポート(19)間で、または前記同一の第2色(P1,F2)を有する前記第2ポート(17)間及び前記同一の第4色(P2,F2)を有する前記第4ポート(20)間で生成されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項5】
各ビームが、前記ビーム専用の分配回路により形成され、他の任意のビームの形成専用の分配回路から独立していることを特徴とする、請求項4に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項6】
前記給電部(10)が、前記方向X、Yにおいて4個の隣接する給電部(10a,10b,10c,10d)のグループに関連付けられていて、2個の連続的なグループ(G1,G2)、(G1,G3)が前記方向Xにおいて1個の給電部に対応する第1のピッチL1分の、及び前記方向Yにおいて2個の給電部に対応する第2のピッチL2分の間隔が空けられていて、
4個の隣接する給電部(10〜10d)の各グループ(G1〜GN)毎に、前記第1ポート(16a〜16d)または前記第2ポート(17a〜17d)が第1レベルの分配回路(C1,C3)により前記方向Xにおいてペアとして結合され、次いで第2レベルの分配回路(D1)により前記方向Yにおいてペアとして結合され、前記第3ポート(19a〜19d)または前記第4ポート(20a〜20d)が第1レベルの分配回路(C2,C4)により前記方向Xにおいてペアとして結合され、次いで第2レベルの分配回路(D2)により前記方向Yにおいてペアとして結合されていることを特徴とする、請求項3に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項7】
前記方向Xにおいて前記第1のピッチL1分の間隔が空けられた2個の隣接するグループ(G1,G2)が、2個の共通な給電部(10b、10d)を含んでいてよく、前記2個の隣接するグループの第1グループ(G1)において、前記第1グループ(G1)の前記給電部(10a〜10d)の前記第1ポート(16a〜16d)の各々と、前記第1グループ(G1)の前記給電部(10a〜10d)の前記第3ポート(19a〜19d)の各々が前記方向X、Yにおいて結合され、前記2個の隣接するグループの第2グループ(G2)において、前記第2グループ(G2)の前記給電部(10b,10’a,10d,10’c)の前記第2ポート(17b,17’a,20d,20’c)の各々と、前記第2グループ(G2)の前記給電部(10b,10’a,10d,10’c)の前記第4ポート(20b,20’a,20d,20’c)の各々が前記方向X、Yにおいて4個組として結合されていることを特徴とする、請求項6に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の第1のマルチビームアンテナ及び第2のマルチビームアンテナを含み、前記第1のアンテナが送信モードで動作し、前記第2のアンテナが受信モードで動作することを特徴とするマルチビーム送受信アンテナシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の少なくとも1個のアンテナを含むことを特徴とする衛星通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の給電部を含むアンテナ及び1ビーム当たり複数の給電部を有するMFPB(Multiple Feed Per Beam Antenna)からなるマルチビームアンテナシステム、及びそのようなアンテナシステムを少なくとも1個を含む衛星通信システムに関する。本発明は特に衛星通信の領域に、中でもいわゆる4色スキームにおける周波数再利用による衛星リソースの最適化に適用できる。
【背景技術】
【0002】
考察するマルチビームアンテナは少なくとも1個の反射器、例えば放物面オフセットと呼ばれる、放射ビームに対する給電部のずれを有する非対称放物面、及び反射器の焦点に配置された一次給電部のアレイを含んでいる。各々の一次給電部は、例えばホーン型または他の任意の公知の種類の放射素子、及び放射素子に給電する無線周波数RFサブシステムからなる。
【0003】
従来の場合において、無線周波数サブシステムは2個の出力ポートを含み、焦点アレイの各給電部は、アンテナから放射された対応する細いビーム及びスポットと呼ばれる地上カバレッジ領域を有している。個々のビームが互いに分離されている場合、マルチビームによるアンテナからの放射を得ることが可能であり、この分離は空間的であってよく、あるいは2本の隣接するビーム間の直交偏波または異なる周波数を用いて得られる。幾何学的法則により、所望の地上カバレッジをアンテナの焦点面に射影して、各スポットに対応する各々の一次給電部の位相中心の正確な位置合わせが可能になる。カバレッジが地上で等間隔に配置されたスポットからなる場合、2個の隣接スポット間の差異が、焦点面内で2個の隣接する給電部を分離する空間を直接与える。
【0004】
多数の連続的な微細ビームの生成は、放物面反射器の焦点面に配置された多数の個別放射素子を含むアンテナの製造を伴う。1ビーム当たり1個の給電部に対応するSFPB(Single Feed Per Beam)構成における従来型アンテナの場合、円形二極化における送受信器能の司る役割を担う無線周波数RFサブシステムの配置用に割り当てられた体積は、放射素子の放射表面に囲まれている。
【0005】
伝達ポート及び受付ポートを含む無線周波数サブシステムに結合された放射素子からなる各給電部がビームを生成する上記構成において、形成された各ビームは、例えば個々の放射素子を構成する専用のホーンにより送信され、無線周波数サブシステムは、各ビーム毎に、ユーザーのニーズに応じて選択された周波数帯域において単一偏波モードにおける送信/受信機能を扱う。良好なスポット放射効率を得るために、放射アレイのホーンは、反射器の縁への照射を充分に低レベルにすることにより溢れ出しに起因する損失を抑制可能にすべく、放射アレイが充分指向性を発揮するのに充分な空間を有していなければならない。スポット同士は交互に配置されているため、アンテナの2個の給電部間の空間は、所望の無線周波数性能を実現するにはホーンの物理的寸法と整合していない場合がある。例えば、スポットサイズが1°未満の場合があてはまる。この問題を解決すべく、各々がカバレッジの3分の1または4分の1を受け持つ3または4個の異なるアンテナが一般的に選択される。従って、同一アンテナによりカバレッジの2個の隣接スポットが生じることはない。アンテナアレイのアレンジメントに制約が無い場合、この構成により一般に極めて有効なアンテナ性能が得られるようになる。しかし、ビームの直径が小さくなった場合、幾何学的な制約が増大し、3または4個のアンテナにまたがるカバレッジを共有するもかかわらず、各ホーンを設置するのに充分な空間を用意することができない。サイズが0.2°〜0.4°の範囲にある極めて狭いスポットの場合、焦点アレイの各給電部に割り当てられる空間が極めて小さくなり、焦点アレイの各給電部から見た反射器の位置が所定の角度よりも低いため、溢れ出し損失を回避するのに充分な指向性を給電部が発揮できない。
【0006】
多数の連続的な微細ビームの形成を可能にする第2のアンテナ構成は、1ビーム当たり複数の給電部を用いるMFPB(Multiple Feed Per Beam)構成による2つのアンテナのシステムを用いる。一般に、第1アンテナTxが送信器として動作し、第2のアンテナRxが受信器として動作し、各アンテナ毎に、複数の隣接する給電部が発した信号を結合することにより各ビームが形成され、これらの給電部のいくつかを再利用して連続的なビームを形成する。給電部を再利用することで満足すべき放射効率が得られ、これは複数のビームの形成に寄与し、各ビームに割り当てられる放射表面を拡大すると共に溢れ出し損失の減少を可能にする。同一周波数及び偏波を有する複数のビーム間で給電部を共有する場合、いわゆる直交則を成立させることにより放射素子を共有するビーム同士が独立している状態を生起することが可能である。直交性は、同一放射素子を共有するビーム形成ネットワークBFNの分配回路を2対2に分離する指向性カプラを用いて実現される。しかし、直交制約は、アンテナの放射パターンの変形及び分配回路の複雑さに関係する再結合回路の抵抗損失の増大をもたらす。累積損失は往々にして顕著、すなわち1dBのオーダーである。更に、ビーム形成器の複雑さを、1スポット当たり2放射素子の再利用率に制限することが必要である。これは、2本の隣接するビームの結合回路を2個の隣接する放射素子に対応する距離だけ物理的に分離することにつながる。0.2°〜0.3°の範囲の角度的な差異を有するスポットの場合、見かけの焦点距離が、極めて大きく、例えば10メートルのオーダーになり得る。最後に、2本の隣接するビームを形成する際の給電部の再利用には、結合回路の嵩高、ビーム形成器の重量、及び各アンテナ毎に振幅及び位相法則を成立させる複雑さに関する重大な短所がある。実際、1偏波当たり2個の給電部を再利用する場合、無線周波数RFサブシステムの数が、形成されるスポットの数の4倍超に増える。従って、100個のスポットの場合、400個の放射素子を超えるRFサブシステムの数が必要となり、500mm×500mmのオーダーの焦点面の表面を必要とする。ビーム形成器の重量と体積は従って扱い難くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、小型の給電部からなるアレイを含むMFPB構成の新規なマルチビームアンテナを提供することであり、当該アンテナは既存のアンテナの短所を克服して、隣接するビームの形成に直交BFNを用いる必要をなくすと共に、各ビームに対応するスポットと呼ばれる地上カバレッジ領域の良好な重なりを得ながら、0.2°〜0.4°の範囲に角度カバレッジを有する多数の連続的な微細ビームが得られるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明は、1ビーム当たり複数の給電部を有し、少なくとも1個の反射器及び当該反射器を照射する複数の給電部の1個のアレイを含み、当該給電部は反射器の焦点に配置された平面の2方向X、Yにおいて互いにずらされた複数のグループに関連付けられていて、各グループは同数の給電部を含んでいるマルチビームアンテナに関する。各給電部は、放射素子に結合された偏波器及び各々が当該偏波器の2個の出力チャネルに組み込まれた2個のダイプレクサを含み、当該2個のダイプレクサが各々2個の出力ポート含んで給電部の4個のポートを形成し、当該4個のポートは4種の異なる色で動作し、各色は周波数及び偏波値のペアにより定義されている。同一グループに属する全ての給電部は、互いに結合されて第1のビームを形成する同一の第1色を有する第1ポートまたは同一の第2色を有する第2ポート、及び互いに結合されて第2のビームを形成する同一の第3色を有する第3ポートまたは同一の第4色を有する第4ポートを含んでいる。
【0009】
有利な点として、これらのグループは、方向Xにおいて第1のピッチL1分、及び方向Yにおいて第2のピッチL2分、等間隔が空けられていて、ピッチL1、L2は1個以上の給電部に対応し、2個の隣接するグループが方向Xにおいて少なくとも1個の給電部を共有する。
【0010】
有利な点として、方向Yにおける2個の隣接するグループは給電部を共有しない。
【0011】
有利な点として、アンテナは、給電部の各グループ毎に、同一グループの全ての給電部を方向X、Yにおいて結合する分配回路を含み、この結合は、同一の第1色を有する第1ポート間及び同一の第3色を有する第3ポート間で、または同一の第2色を有する第2ポート間及び同一の第4色を有する第4ポート間で生成される。
【0012】
有利な点として、各ビームは、当該ビーム専用の分配回路により形成され、他の任意のビームの形成専用の分配回路から独立している。
【0013】
特定の実施形態によれば、給電部は、方向X、Yにおいて4個の隣接する給電部のグループに関連付けることができ、2個の連続的なグループは方向Xにおいて1個の給電部に対応する第1のピッチL1分の、及び方向Yにおいて2個の給電部に対応する第2のピッチL2分の間隔が空けられていてよい。この場合、4個の隣接する給電部の各グループ毎に、第1ポートまたは第2ポートが第1レベルの分配回路により方向Xにおいてペアとして結合され、次いで第2レベルの分配回路により方向Yにおいてペアとして結合され、第3ポートまたは第4ポートが第1レベルの分配回路により方向Xにおいてペアとして結合され、次いで第2レベルの分配回路により方向Yにおいてペアとして結合されている。
【0014】
有利な点として、方向Xにおいて第1のピッチL1分の間隔が空けられた2個の隣接するグループは、2個の共通な給電部を含んでいてよく、この場合、2個の隣接するグループの第1グループにおいて、第1グループの給電部の第1ポートの各々と、第1グループの給電部の第3ポートの各々が方向X、Yにおいて4個組として結合され、2個の隣接するグループの第2グループにおいて、第2グループの給電部の第2ポートの各々と、第2グループの給電部の第4ポートの各々が方向X、Yにおいて4個組として結合されている。
【0015】
本発明はまた、1ビーム当たり複数の給電部を有し、第1のアンテナが送信モードで動作し、第2のアンテナが受信モードで動作する2個のマルチビームアンテナのシステムに関する。
【0016】
最後に、本発明は、1ビーム当たり複数の給電部を有する少なくとも1個のそのようなマルチビームアンテナを含む衛星通信システムに関する。
【0017】
本発明の他の具体的な特徴及び利点は、添付の模式的図面を参照しながら、完全に説明目的であって非限定的な例として以下に与える記述から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による、4種の異なる色に対応する4個のポートを有する例示的な小型の無線周波数給電部の長手方向断面図である。
図2a-2b】本発明による、MFPB構成の例示的なマルチビームアンテナの各々透視図及び断面図である。
図3】本発明による、マルチビームアンテナにより得られる例示的な地上カバレッジの模式図である。
図4a】本発明による、放射アレイの給電部を例示的に7個のグループにグループ化し、各グループがビームの生成に寄与している模式図である。
図4b】本発明による、放射アレイの給電部を例示的に4個のグループにグループ化し、各グループがビームの生成に寄与していて、図面簡素化のため給電部を示していない模式図である。
図5】本発明によるアンテナの給電部のポートの第1レベルの組合せを示す模式図である。
図6】本発明によるアンテナの給電部のポートの第2レベルの組合せを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に、本発明による、4種の異なる色に対応する4個のポートを有する例示的な小型の無線周波数給電部の長手方向断面図を示す。給電部10は、例えばホーン型の放射素子11及びホーン11に接続された無線周波数サブシステムからなる。無線周波数サブシステムは、給電部10のホーン11に接続された偏波器12を含み、偏波器12は、互いに直交する偏波P1、P2を有していて同一周波数帯域DFで動作する第1出力チャネル13及び第2出力チャネル14を有している。偏波P1、P2は例えば、線形または円形であってよい。偏波器12の第1出力チャネル13は、偏波器12の第1出力チャネル13内に搭載された第1の小型ダイプレクサ15に接続され、第1ダイプレクサ15は、同一偏波を有していると共に2種の異なる色で動作すべく周波数分離された2個の出力ポート16、17を含み、色は一対の周波数及び偏波値により定義されている。同様に、偏波器12の第2出力チャネル14は、偏波器12の第2の出力チャネル14内に搭載された第2の小型ダイプレクサ18に接続されていて、第2のダイプレクサ18は、第1ダイプレクサの2個の出力ポート16、17の偏波に直交する同一偏波を有していると共に2個の異なる色で動作すべく周波数分離された2個の出力ポート19、20を含んでいる。第1ダイプレクサ15の2個の出力ポート16、17、及び第2のダイプレクサ18の2個の出力ポート19、20は、4種の異なる色に対応する無線周波数給電部10の4個のポートを形成する。給電部10の4個のポート16、17、19、20は、放射ホーン11の直径に対応するメッシュに組み込まれている。有利な点として、第1ダイプレクサ15は、偏波器12の第1出力チャネル13の周波数帯域DFを同一幅であって各々2個の異なる動作周波数F1、F2に中心が置かれた2個の別々の周波数副帯域DF1、DF2に分割する2個の帯域フィルタ21、22を含んでいる。2周波数帯域DF1、DF2は各々第1のダイプレクサ15の2個の出力ポート16、17へ送信され、従って当該出力ポートはこれら2個の異なる周波数F1、F2で動作する。2個の周波数副帯域DF1、DF2は、第1ダイプレクサ15の2個の出力ポート16、17を周波数分離すべく保護帯域DGにより分離される。その結果、周波数帯域DFは、帯域の和DF1+DF2+DGに等しい。
【0020】
同様に、第2のダイプレクサ18は、同一の動作周波数F1、F2に中心が置かれていて同一の周波数帯域DF1、DF2を第1ダイプレクサ15の2個の帯域フィルタ21、22としてフィルタリングする2個の帯域フィルタ23、24を含んでいる。2個の周波数帯域DF1、DF2は各々第2のダイプレクサ18の2個の出力ポート19、20に送信され、これらは従って、2個の異なる周波数F1、F2で動作するため、周波数分離される。第1ダイプレクサ15の2個のポート16、17は従って、偏波P1及び周波数F1、F2の各々で動作し、第2のダイプレクサ18の2個のポート19、20は偏波P2及び周波数F1、F2の各々で動作する。給電部10の4個のポート16、17、19、20は従って、以下の4対の周波数及び偏波値(F1、P1)、(F2、P1)、(F1、P2)、(F2、P2)に対応する4種の異なる色で各々動作し、例えばホーン型の放射素子の直径に対応するメッシュに組み込まれる。アンテナに用いられるこの小型の給電部により、各色、従って各ビームに専用の独立した分配回路を用いてビーム形成則の直交性の制約を除去することが可能になる。
【0021】
図2a、2bに、本発明による、MFPB構成の例示的なマルチビームアンテナの各々透視図及び断面図を示す。アンテナの異なる光学的構成、例えばグレゴリアン、カセグレン等が可能であり、アンテナは特に放射アレイに関連付けられた1または2個の反射器を含んでいてよい。図2a、2bにおいて、アンテナは反射器26及び反射器26の焦点面に配置された放射アレイ25を含み、放射アレイ25は、平面の2方向X、Yに編成された例えばホーン型の複数の無線周波数給電部10を含んでいる。各無線周波数給電部は、図1に関して述べたように、異なる色の4個のポートを有する小型の給電部である。アンテナは、地上カバレッジの選択された領域、例えばある地方、国、いくつかの国のグループ、大陸、または他の地域に向けて、指示方向27を指向する。当該アンテナは連続的な微細ビーム30の送信、または連続的な微細ビーム30の受信のいずれか専用であってよく、空間の2次元U、Vにおける送信または受信に際して、所望のカバレッジ全体を保証可能にする。例えば送信モードで動作する1個のアンテナにより、空間の2次元U、Vにおける完全なカバレッジが保証可能になる。送受信機能を実行するために、MFPB構成の2個のアンテナ、すなわち送信モードで動作する第1のアンテナ及び受信モードで動作する第2のアンテナのシステムを用いる必要がある。
【0022】
非限定的な例として、図3に、本発明によるアンテナにより得られる例示的なカバレッジを示す。同図は、空間の方向U、Vにおいて、アンテナにより地上で得られるスポット1が、2個の隣接するスポット1と僅かに重なり合って接触し、カバレッジの穴が一切存在しないことを示す。地上のスポット1に対応する、アンテナにより送信または受信された各ビーム30は、複数の隣接する給電部10、例えば2×2マトリクスに配置された隣接する4または7個の給電部のグループからの信号の組合せにより形成されている。2個の隣接する連続的なグループは、少なくとも1個の給電部を共有し、各給電部は従って複数のビームの生成に寄与する。図2bにおいて、給電部10は7個ずつ2個の隣接するグループ28、29にグループ化され、当該グループ28、29は給電部1個に対応するピッチL分ずらされていて4個の給電部を共有する。図4aに、放射アレイの給電部10を7個の給電部10のグループ31、32、33に分ける第2の例示的なグループ化を示し、各グループがビームを形成し、2個の隣接するグループ31、32が方向Xにおいて2個の給電部に対応するピッチL分ずらされている。2個の隣接する連続的なグループ31、32は、給電部5を共有し、2個の隣接する連続的なグループ32、33は給電部6を共有する。
【0023】
図4bに、給電部10を4個ずつグループ化する第3の例示的なグループ化を示す。各グループG1、G2、G3、G4、...、GNは、図を簡素化すべく図4bには示さない4個の給電部10からなり、2個の隣接するグループG1、G2は、アンテナの第1の方向Xにおいて1個の給電部の大きさに対応する第1のピッチL1分ずらされ、2個の隣接するグループG1、G3は、アンテナの第2の方向Yにおいて2個の給電部10の大きさに対応する第2のピッチL2分ずらされている。図4bの例において、ピッチL1は無線周波数給電部10の直径Dに等しく、ピッチ2は2個の無線周波数給電部の直径2Dに等しい。従って、方向Xにおいて、隣接するビームの形成に寄与する4個の無線周波数給電部の2個のグループG1、G2は2個の給電部を共有するのに対し、方向Yにおいて、隣接するビームの形成に寄与する4個の無線周波数給電部の2個のグループG1、G3は共通の給電部を一切含んでいない。本発明の当該例示的な実施形態において、2個の隣接するグループ間での無線周波数給電部の共有は従って、アンテナの単一方向Xだけでなされる。他の給電部のグループ化モードも可能である。同様に、共有モードにおける給電部の数は、方向X、Yにおいて異なっていてよい。
【0024】
アンテナにより形成されるビームは、給電部の各グループ毎に、第1のビームを形成すべく同一の第1色、すなわち同一周波数及び同一偏波を有するポート、及び第2ビームを形成すべく同一の第3色を有するポートを結合する分配回路を含むビーム形成器により生成される。給電部の各グループ従って、2本の異なるビームの形成に寄与する。従って、無線周波数給電部の各グループ毎に、ビーム形成装置は、2レベルに分配された分配回路C1〜C4、D1、D2を含み、各ビームは専用の分配回路により形成される。異なるビームの形成に専用の分配回路は、他の任意のビームの形成に専用の分配回路から独立している。各レベルの分配回路は、アンテナが送信アンテナまたは受信アンテナのいずれであるかに応じて信号合成器または信号分割器として動作する導波管だけを含んでいる。カプラは一切必要でない。第1分配レベルの例を図5に示す。本例において、第1分配レベルは、4個の無線周波数給電部の各グループ毎に、方向Xにおいて2個の隣接する無線周波数給電部10a、10bを結合する2個の第1分配回路C1、C2、及び方向Xにおいて2個の隣接する無線周波数給電部10c、10dを結合する2個の第1分配回路C3、C4、すなわち4個の無線周波数給電部10a、10b、10c、10dのグループに4個の第1分配回路C1〜C4を含んでいる。第1分配回路C1、C2は、4個の給電部の同一グループG1の2個の隣接する第1及び第2給電部10a、10bの2個の第1ポート16a、16b及び2個の第3ポート19a、19bを方向Xにおいてペアとして結合する。結合された2個の第1ポート16a、16bは同一偏波P1及び同一動作周波数F1、従って同一色を有し、結合された2個の第3ポート19a、19bは同一偏波P2及び同一動作周波数F1、従って同一色を有している。同様に、第1分配回路C3、C4は、4個の給電部の同一グループG1の第3及び第4の2個の隣接する給電部10c、10dの2個の第1ポート16c、16d及び2個の第3ポート19c、19dを方向Xにおいてペアとして結合する。結合された2個の第1ポート16c,16dは同一偏波P1及び同一動作周波数F1、従って同一色を有し、結合された2個の第3ポート19c、19dは同一偏波P2及び同一動作周波数F1、従って同一色を有している。
【0025】
第1ポート16a、16b及び第3ポート19a、19bの各々の間で実行された結合が完了したならば、各給電部10a〜10cが、4個の給電部の第1グループG1の2個の隣接する給電部10a、10bに結合された4個のポートを含んでいるため、2個の給電部10a、10bは各々、自由な第2ポート17a、17b及び第4ポート20a、20bを含んでいて、これらのポートは各々方向Xにおいて、第1グループG1から給電部1個に対応するピッチL1分ずらされた4個の給電部の第2のグループG2に属する隣接給電部の第2ポート及び第4ポートに結合可能である。例えば図5において、第2グループG2の4個の給電部は、給電部10b、10’a、10d、10’cである。給電部10bの第2及び第4ポート17b、20bは各々、給電部10’aの第2及び第4ポート17’a、20’aに結合され、給電部10dの第2及び第4ポート17d、20dは各々、給電部10’cの第2及び第4ポート17’c、20’cに結合されている。2個の隣接する給電部の各ポート間の結合は、放射アレイの縁まで、4個の給電部の全てのグループについて同様になされる。アンテナの放射アレイの縁に配置された給電部は、隣接する給電部を1個だけ有し、各々が2個のポート17a、20aを含んでいてこれらは自由なままである。
【0026】
例示的な第2の分配レベルを図6に示す。第2の分配レベルは、第2の分配回路D1、D2を含み、その各々が、4個の無線周波数給電部10a、10b、10c、10dの各グループG1毎に、X方向において結合された第3及び第4の無線周波数給電部の2個の第1ポート16c、16dと方向Xにおいて結合された第1及び第2給電部10a、10bの2個の第1ポート16a、16bを一方とし、方向Xにおいて結合された第3及び第4の無線周波数給電部10c、10dの2個の第3ポート19c、19dと方向Xにおいて結合された第1及び第2の無線周波数給電部10a、10bの2個の第3ポート19a、19bを他方として、方向Yにおいてペアとして結合する。ディストリビュータD1の出力は周波数F1及び偏波P1のスポットを形成するポートであり、ディストリビュータD2の出力は周波数F1及び偏波P2のスポットを形成するポートである。同様に、4個の給電部の各グループ毎に、第1分配レベルの第1のディストリビュータによりペアとして結合された同一周波数及び同一偏波の全てのポートは、アンテナの全てのスポットを生成すべく第2レベルのディストリビュータにより互いに結合される。
【0027】
このアンテナ構成により、同一グループの給電部を2通りの異なる仕方で結合することが可能になるため、給電部の各グループ毎に2本の隣接するビームを2個の異なる色で生成し、従って同一アンテナにより生じるビームの数を2倍にすることが可能になる。これにより、1個のアンテナを用いて、地上で生じる対応スポットの良好な重なりを得ることが可能になる。更に、各ビームの生成は単に、他のビームの形成に用いる分配回路から独立した専用の分配回路によりなされる。
【0028】
同一寸法の2個のアンテナ、すなわち送信モードで動作する第1のアンテナ及び受信モードで動作する第2のアンテナのシステムを用いることにより、送受信モードにおける完全なカバレッジが得られる。
【0029】
本発明について特定の実施形態との関連で記述しできたが、本発明はこれらに一切限定されず、記述した手段並びに本発明の範囲に含まれるならばそれらの組合せの全ての技術的等価物が含まれることは明らかである。特に、1ビーム当たりの給電部の数、及び2本の隣接するビーム間で共有される給電部の数は、例示的な実施形態に明示的に記述した数とは異なっていてよい。
【符号の説明】
【0030】
10 給電部
10a−10d 給電部
10’a 給電部
10’c 給電部
11 放射素子
12 偏波器
13 出力チャネル
14 出力チャネル
15 ダイプレクサ
16 ポート
16a−16d ポート
17 ポート
17a ポート
17b ポート
17’a ポート
17’c ポート
18 ダイプレクサ
19 ポート
19a−19d ポート
20 ポート
20a ポート
20b ポート
20’a ポート
20d ポート
20’c ポート
21 帯域フィルタ
22 帯域フィルタ
23 帯域フィルタ
24 帯域フィルタ
25 放射アレイ
26 反射器
27 指示方向
28 グループ
29 グループ
30 微細ビーム
31 グループ
32 グループ
33 グループ
F1 動作周波数
F2 動作周波数
C1−C4 分配回路
D1 分配回路
D2 分配回路
2D 直径
G1−GN グループ
L ピッチ
L1 ピッチ
L2 ピッチ
P1 偏波
P2 偏波
U 方向
V 方向
X 方向
Y 方向
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6