特許第6246519号(P6246519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246519
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】車両用自動変速機の油圧供給システム
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   F16H61/00
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-160499(P2013-160499)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2014-202358(P2014-202358A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年2月24日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0036028
(32)【優先日】2013年4月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、セ、ファン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウィ、テファン
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−82947(JP,A)
【文献】 特開2003−194198(JP,A)
【文献】 実開昭61−181151(JP,U)
【文献】 特表2008−510105(JP,A)
【文献】 米国特許第6196806(US,B1)
【文献】 特開2009−287688(JP,A)
【文献】 特開2010−249300(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0141302(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00− 61/12
F16H 61/16− 61/24
F16H 61/66− 61/70
F16H 63/40− 63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルパンに貯蔵されたオイルを用いて低圧の油圧および高圧の油圧を生成し、前記低圧の油圧と前記高圧の油圧をそれぞれ低圧部と高圧部に供給する車両用自動変速機の油圧供給システムにおいて、
前記オイルパンに貯蔵されたオイルを吸入流路を通じて吸入し、前記低圧の油圧を生成して第1低圧流路に吐出する低圧用オイルポンプと、
前記第1低圧流路を選択的に第2低圧流路に連結するまたは遮断する第1スイッチバルブと、
前記第1スイッチバルブから前記第2低圧流路を通じて供給される油圧を安定した油圧に制御し、制御された油圧を第3低圧流路を通じて前記低圧部に供給する低圧用レギュレータバルブと、
前記第1低圧流路を通じて前記低圧用オイルポンプから供給される油圧を昇圧させて前記高圧の油圧を生成し、前記高圧の油圧を高圧流路に吐出する高圧用オイルポンプと、
前記第1低圧流路を選択的に前記高圧流路に連結するまたは遮断する第2スイッチバルブと、
前記高圧流路上に配置されており、前記高圧用オイルポンプから供給される油圧と前記第2スイッチバルブから供給される油圧を安定した油圧に制御し、制御された油圧を前記高圧部に供給する高圧用レギュレータバルブと、
を含み、
前記第1スイッチバルブは、弾性部材の弾性力と、前記弾性部材の弾性力に対抗する前記高圧部の再循環油圧によって制御されることを特徴とする車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項2】
前記低圧用オイルポンプと前記高圧用オイルポンプは、一つの駆動モータによって駆動されることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項3】
前記第1スイッチバルブを迂回して前記第1低圧流路を前記第2低圧流路に連結するバイパス流路をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項4】
前記バイパス流路上には、第1オリフィスが備えられていることを特徴とする請求項に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項5】
前記低圧用レギュレータバルブは、前記第2低圧流路から供給される油圧の一部を第1再循環流路を通じて再循環させて前記第2低圧流路の油圧を安定するように調節し、前記制御された油圧を前記第3低圧流路に供給することを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項6】
前記第1再循環流路は、前記吸入流路と連結されることを特徴とする請求項に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項7】
前記第1再循環流路は、前記オイルパンに連結されることを特徴とする請求項に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項8】
前記低圧用レギュレータバルブは、第1ソレノイドバルブの制御圧および弾性部材の弾性力と、前記第1ソレノイドバルブの制御圧および前記弾性部材の弾性力に対抗する前記第3低圧流路の油圧によって制御されることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項9】
前記第2スイッチバルブは、前記高圧流路の油圧および弾性部材の弾性力と、前記高圧流路の油圧および前記弾性部材の弾性力に対抗する前記第1低圧流路の油圧によって制御されることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項10】
前記高圧用レギュレータバルブは、前記高圧流路の油圧の一部を第2再循環流路を通じて前記第2低圧流路に排出すると同時に、前記第1スイッチバルブの制御圧として供給しながら前記高圧流路の油圧を安定するように調節することを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項11】
前記第2再循環流路は、前記第2低圧流路に近くに第2オリフィスが備えられ、前記第2オリフィスと前記高圧用レギュレータバルブの間には、圧力センサーが設置され、前記第2再循環流路の支部流路(branch line)は、前記第2オリフィスと前記圧力センサーの間で分岐されて前記第1スイッチバルブと連結されていることを特徴とする請求項10に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項12】
前記高圧用レギュレータバルブは、第2ソレノイドバルブの制御圧および弾性部材の弾性力と、前記第2ソレノイドバルブの制御圧および前記弾性部材の弾性力に対抗する前記高圧流路の油圧によって制御されることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項13】
低圧用オイルポンプで生成された低圧の油圧を低圧用レギュレータバルブを経て低圧部に供給し、前記低圧の油圧の一部を高圧用オイルポンプに供給し、前記高圧用オイルポンプで生成された高圧の油圧を高圧用レギュレータバルブを経て高圧部に供給する車両用自動変速機の油圧供給システムにおいて、
前記低圧用オイルポンプと前記低圧用レギュレータバルブを連結する低圧流路上に設置され、前記低圧流路を選択的に開閉する第1スイッチバルブと、
前記低圧流路と、前記高圧用オイルポンプと前記高圧用レギュレータバルブを連結する高圧流路の間に設置され、前記低圧流路と前記高圧流路を選択的に連結するまたは遮断する第2スイッチバルブと、
を含むことを特徴とする車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項14】
前記低圧用オイルポンプと前記高圧用オイルポンプは、一つの駆動モータによって駆動されることを特徴とする請求項13に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項15】
前記第1スイッチバルブの下流の前記低圧流路で分岐されて前記第1スイッチバルブの上流の前記低圧流路で合わせられるバイパス流路をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項16】
前記バイパス流路上には、第1オリフィスが備えられていることを特徴とする請求項15に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項17】
前記低圧用レギュレータバルブは、前記低圧用オイルポンプから供給される油圧の一部を第1再循環流路を通じて再循環させて安定した前記低圧の油圧を前記低圧部に供給することを特徴とする請求項13に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項18】
前記高圧用レギュレータバルブは、前記高圧流路の油圧の一部を第2再循環流路を通じて前記低圧流路に排出すると同時に、前記第1スイッチバルブの制御圧として供給しながら前記高圧流路の油圧を安定するように調節することを特徴とする請求項14に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項19】
前記第2再循環流路は、前記低圧流路側に近くに第2オリフィスが備えられ、前記第2オリフィスと前記高圧用レギュレータバルブの間には、圧力センサーが設置され、前記第2再循環流路の支部流路(branch line)は、前記第2オリフィスと前記圧力センサーの間で分岐されて前記第1スイッチバルブと連結されていることを特徴とする請求項18に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用自動変速機の油圧供給システムに係り、より詳しくは、始動初期または変速イベント発生のように高圧部に瞬間的に多くの流量が必要である時に、低圧用オイルポンプおよび高圧用オイルポンプで生成された流量を全て高圧部に供給されるようにした車両用自動変速機の油圧供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、世界的な原油高と排気ガス排出規制強化に伴って、自動車メーカーは燃費向上のできる技術開発に総力を傾けている。
【0003】
自動変速機における燃費の改善は、動力伝達効率の向上を通じて達成でき、前記動力伝達効率の向上は、オイルポンプの不必要な消費動力を最少化することによって実現される。
【0004】
燃費改善のために、最近は自動変速機に低圧用オイルポンプと高圧用オイルポンプを別途に備え、前記低圧用オイルポンプで生成された油圧は低圧部(トルクコンバータ、冷却、潤滑)に供給されるようにし、前記高圧用オイルポンプで生成された油圧は高圧部(変速時選択的に作動する摩擦部材)に供給されるようにしている。
【0005】
より具体的には、自動変速機の通常の油圧は低圧用オイルポンプで前記低圧部が要求する油圧を基準に生成し、高圧用オイルポンプで高圧部が要求する油圧のみを生成して高圧部に供給するようになっている。
【0006】
これによりオイルポンプの駆動のための消費動力を最少化することによって、燃費を向上させ、これとともにオイルポンプにかかる負荷を減少させて騒音および振動減少と耐久性向上を図ることができる。
【0007】
しかし、従来の油圧供給システムでは、低圧用オイルポンプで生成された油圧が高圧用オイルポンプに供給された後、高圧用オイルポンプで高圧の油圧が生成される。したがって、初期始動または変速イベント発生時にオイルポンプのRPM上昇遅延によって高圧部に供給される流量が瞬間的に不足して応答性が低下したり高圧部摩擦部材(即ち、クラッチまたはブレーキ)の損傷を招くという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、初期始動または変速イベント発生時に、高圧部に流量を優先供給して高圧部の応答性を向上させ摩擦部材の損傷を防止する車両用自動変速機の油圧供給システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態による車両用自動変速機の油圧供給システムは、オイルパンに貯蔵されたオイルを用いて低圧の油圧および高圧の油圧を生成し、前記低圧の油圧と前記高圧の油圧をそれぞれ低圧部と高圧部に供給するようになっている。
【0010】
前記油圧供給システムは、前記オイルパンに貯蔵されたオイルを吸入流路を通じて吸入し、前記低圧の油圧を生成して第1低圧流路に吐出する低圧用オイルポンプと、前記第1低圧流路を選択的に第2低圧流路に連結するまたは遮断する第1スイッチバルブと、前記第1スイッチバルブから前記第2低圧流路を通じて供給される油圧を安定した油圧に制御し、制御された油圧を第3低圧流路を通じて前記低圧部に供給する低圧用レギュレータバルブと、前記第1低圧流路を通じて前記低圧用オイルポンプから供給される油圧を昇圧させて前記高圧の油圧を生成し、前記高圧の油圧を高圧流路に吐出する高圧用オイルポンプと、前記第1低圧流路を選択的に前記高圧流路に連結するまたは遮断する第2スイッチバルブと、前記高圧流路上に配置されており、前記高圧用オイルポンプから供給される油圧と前記第2スイッチバルブから供給される油圧を安定した油圧に制御し、制御された油圧を前記高圧部に供給する高圧用レギュレータバルブと、を含むことができる。
【0011】
前記低圧用オイルポンプと前記高圧用オイルポンプは、一つの駆動モータによって駆動され得る。
【0012】
前記第1スイッチバルブは、弾性部材の弾性力と、前記弾性部材の弾性力に対抗する前記高圧部の再循環油圧によって制御され得る。
【0013】
前記油圧供給システムは、前記第1スイッチバルブを迂回して前記第1低圧流路を前記第2低圧流路に連結するバイパス流路をさらに含むことができる。
【0014】
前記バイパス流路上には、第1オリフィスが備えられ得る。
【0015】
前記低圧用レギュレータバルブは、前記第2低圧流路から供給される油圧の一部を第1再循環流路を通じて再循環させて前記第2低圧流路の油圧を安定するように調節し、前記制御された油圧を前記第3低圧流路に供給することができる。
【0016】
前記第1再循環流路は、前記吸入流路と連結され得る。
【0017】
前記第1再循環流路は、前記オイルパンに連結され得る。
【0018】
前記低圧用レギュレータバルブは、第1ソレノイドバルブの制御圧および弾性部材の弾性力と、前記第1ソレノイドバルブの制御圧および前記弾性部材の弾性力に対抗する前記第3低圧流路の油圧によって制御され得る。
【0019】
前記第2スイッチバルブは、前記高圧流路の油圧および弾性部材の弾性力と、前記高圧流路の油圧および前記弾性部材の弾性力に対抗する前記第1低圧流路の油圧によって制御され得る。
【0020】
前記高圧用レギュレータバルブは、前記高圧流路の油圧の一部を第2再循環流路を通じて前記第2低圧流路に排出すると同時に、前記第1スイッチバルブの制御圧として供給しながら前記高圧流路の油圧を安定するように調節することができる。
【0021】
前記第2再循環流路は、前記第2低圧流路に近くに第2オリフィスが備えられ、前記第2オリフィスと前記高圧用レギュレータバルブの間には、圧力センサーが設置され、前記第2再循環流路の支部流路(branch line)は、前記第2オリフィスと前記圧力センサーの間で分岐されて前記第1スイッチバルブと連結され得る。
【0022】
前記高圧用レギュレータバルブは、第2ソレノイドバルブの制御圧および弾性部材の弾性力と、前記第2ソレノイドバルブの制御圧および前記弾性部材の弾性力に対抗する前記高圧流路の油圧によって制御され得る。
【0023】
本発明の他の実施形態による車両用自動変速機の油圧供給システムは、低圧用オイルポンプで生成された低圧の油圧を低圧用レギュレータバルブを経て低圧部に供給し、前記低圧の油圧の一部を高圧用オイルポンプに供給し、前記高圧用オイルポンプで生成された高圧の油圧を高圧用レギュレータバルブを経て高圧部に供給するようになっている。
【0024】
前記油圧供給システムは、前記低圧用オイルポンプと前記低圧用レギュレータバルブを連結する低圧流路上に設置され、前記低圧流路を選択的に開閉する第1スイッチバルブと、前記低圧流路と、前記高圧用オイルポンプと前記高圧用レギュレータバルブを連結する高圧流路の間に設置され、前記低圧流路と前記高圧流路を選択的に連結するまたは遮断する第2スイッチバルブとを含むことができる。
【0025】
前記低圧用オイルポンプと前記高圧用オイルポンプは、一つの駆動モータによって駆動され得る。
【0026】
前記油圧供給システムは、前記第1スイッチバルブの下流の前記低圧流路で分岐されて前記第1スイッチバルブの上流の前記低圧流路で合わせられるバイパス流路をさらに含むことができる。
【0027】
前記バイパス流路上には、第1オリフィスが備えられ得る。
【0028】
前記低圧用レギュレータバルブは、前記低圧用オイルポンプから供給される油圧の一部を第1再循環流路を通じて再循環させて安定した前記低圧の油圧を前記低圧部に供給することができる。
【0029】
前記高圧用レギュレータバルブは、前記高圧流路の油圧の一部を第2再循環流路を通じて前記低圧流路に排出すると同時に、前記第1スイッチバルブの制御圧として供給しながら前記高圧流路の油圧を安定するように調節することができる。
【0030】
前記第2再循環流路は、前記低圧流路側に近くに第2オリフィスが備えられ、前記第2オリフィスと前記高圧用レギュレータバルブの間には、圧力センサーが設置され、前記第2再循環流路の支部流路(branch line)は、前記第2オリフィスと前記圧力センサーの間で分岐されて前記第1スイッチバルブと連結され得る。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施形態によれば、前記低圧用オイルポンプは低圧の油圧を生成し、前記高圧用オイルポンプは前記低圧用オイルポンプから供給される油圧の一部を高圧に昇圧して高圧の油圧を生成することによって、オイルポンプ全体に対する動力損失を最少化し、耐久性が向上し、オイルポンプの騒音および振動を低減することができる。
【0032】
そして、初期始動または変速イベント発生時に、第1スイッチバルブと第2スイッチバルブの制御によって低圧用オイルポンプと高圧用オイルポンプで生成された流量を優先的に高圧部に供給することによって、変速応答性を高め高圧部摩擦部材の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態による油圧供給システムで高圧部に流量が優先供給される状態を示した構成図である。
図2】本発明の実施形態による油圧供給システムで正常的な運転状態を示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
但し、本発明の実施形態を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付与して説明する。
【0036】
下記の説明で、構成の名称を第1、第2などに区分したことはその構成の名称が同一でこれを区分するためであり、必ずしもその順序に限定されるのではない。
【0037】
図1は、本発明の実施形態による油圧供給システムで高圧部に流量が優先供給される状態を示した構成図である。
【0038】
図1に示す通り、本発明の実施形態による油圧供給システムは、低圧用オイルポンプ2で生成された低圧の油圧をトルクコンバータT/C、冷却部、潤滑部などのような低圧部4に供給し、高圧用オイルポンプ6で生成された高圧の油圧を変速に関係する摩擦部材を作動させるための高圧部8に供給するように構成されている。
【0039】
前記の低圧の油圧は、トルクコンバータT/Cの作動と冷却および潤滑を円滑にする程度の低い圧力に制御されて供給される油圧を意味し、前記の高圧の油圧は、変速時に選択的に作動する複数の摩擦部材を円滑に作動させることができる程度の相対的に高い圧力に制御されて供給される油圧を意味する。
【0040】
前記低圧の油圧は、低圧用オイルポンプ2で生成されて第1スイッチバルブV1と低圧用レギュレータバルブ12を通じて低圧部4に供給される。
【0041】
前記低圧用オイルポンプ2は、吸入流路14を通じてオイルパンPと連結され、前記低圧用オイルポンプ2によって生成された低圧の油圧は、第1低圧流路16に吐出される。
【0042】
前記第1スイッチバルブV1は、スプールバルブからなり、高圧部8の再循環油圧と、前記再循環油圧に対抗する弾性部材18の弾性力によって制御されながら前記第1低圧流路16の油圧を選択的に前記低圧用レギュレータバルブ12に伝達するまたは遮断する。
【0043】
つまり、高圧部8から供給される再循環油圧が前記弾性部材18の弾性力を克服することができれば、前記第1スイッチバルブV1は、前記第1低圧流路16の油圧を第2低圧流路20を通じて前記低圧用レギュレータバルブ12に供給し、前記高圧部8から供給される再循環油圧が前記弾性部材18の弾性力を克服することができなければ、前記第1低圧流路16と第2低圧流路20を遮断する。
【0044】
そして、前記第1スイッチバルブV1の上流に位置する第1低圧流路16と、前記第1スイッチバルブV1の下流に位置する第2低圧流路20は、バイパス流路22によって相互連結され、前記バイパス流路22上には第1オリフィスOR1が構成されている。
【0045】
これにより、前記第1スイッチバルブV1が第1低圧流路16と第2低圧流路20を遮断しても最小の油圧が第1低圧流路16から第2低圧流路20に供給される。
【0046】
前記低圧用レギュレータバルブ12は、前記第2低圧流路20を通じて前記スイッチバルブV1と連結され、第1再循環流路24を通じて前記オイルパンPと連結される。したがって、前記低圧用レギュレータバルブ12は、前記第1スイッチバルブV1から供給される油圧の一部を前記第1再循環流路24を通じてオイルパンPに再循環させながら油圧を調節する。前記低圧用レギュレータバルブ12で調節された油圧は、第3低圧流路26を通じて低圧部4に供給される。
【0047】
このために、前記低圧用レギュレータバルブ12は、通常のスプールバルブからなり、第1ソレノイドバルブSOL1の制御圧および弾性部材28の弾性力と、第3低圧流路26の油圧によって制御されるようになっている。前記弾性部材28の弾性力は、第3低圧流路26に要求される圧力によって設定される。また、前記第1ソレノイドバルブSOL1は、比例制御ソレノイドバルブであり得る。
【0048】
そして、前記第1低圧流路16と連結された第2スイッチバルブV2は、前記第1低圧流路16の油圧を選択的に高圧流路30に伝達する。
【0049】
このために、前記第2スイッチバルブV2は、通常のスプールバルブからなり、前記第1低圧流路16の油圧と、高圧流路30の油圧および弾性部材32の弾性力によって制御されるように構成されている。
【0050】
つまり、前記第2スイッチバルブV2は、前記第1低圧流路16の油圧が高圧流路30の油圧より大きい場合には、第1低圧流路16の油圧を高圧流路30に伝達する。そして前記とは反対に、前記高圧流路30の油圧が前記第1低圧流路16の油圧より大きい場合には、前記第2スイッチバルブV2を通じて高圧流路30から第1低圧流路16にオイルが逆流することを防止する。
【0051】
前記高圧用オイルポンプ6は、前記第1低圧流路16を通じて供給される低圧の油圧を高圧に昇圧させて前記高圧流路30に吐出する。
【0052】
また、前記高圧用オイルポンプ6から高圧流路30に吐出された油圧は、高圧用レギュレータバルブ34で安定した高圧の油圧に制御されて高圧部8に供給される。
【0053】
前記高圧用レギュレータバルブ34は、高圧流路30上に配置され、第2再循環流路36を通じて前記第2低圧流路20と連結されると同時に、前記第1スイッチバルブV1と連結されている。
【0054】
これにより、前記高圧用レギュレータバルブ34は、前記高圧流路30を通じて供給される油圧の一部を前記第2再循環流路36を通じて第2低圧流路20に排出すると同時に、前記第1スイッチバルブV1の制御圧として供給する。
【0055】
このために、前記高圧用レギュレータバルブ34は、通常のスプールバルブからなる。また、前記高圧用レギュレータバルブ34は、第2ソレノイドバルブSOL2の制御圧および弾性部材38の弾性力と、高圧流路30の油圧によって制御されるように構成されている。前記弾性部材38の弾性力は、高圧流路30に要求される圧力によって設定される。また、第2ソレノイドバルブSOL2は、比例制御ソレノイドバルブであり得る。
【0056】
前記第2再循環流路36は、前記高圧用レギュレータバルブ34と前記第2低圧流路20を連結し、前記第2再循環流路36上には第2オリフィスOR2が配置され、前記第2オリフィスOR2と前記高圧用レギュレータバルブ34の間には圧力センサーSが配置されている。
【0057】
そして、前記第2再循環流路36の支部流路(branch line)は、前記第2オリフィスOR2と圧力センサーSの間で分岐されて前記第1スイッチバルブV1と連結されている。
【0058】
前記第2再循環流路36を通じて第2低圧流路20に再循環される流量が第2オリフィスOR2によって一定に制御されることによって、第2低圧流路20の流量が大きく変化せず安定するようになる。
【0059】
また、前記第2再循環流路36の流量も大きい変化なく一定に維持され、前記圧力センサーSは、第2再循環流路36の安定した流量による油圧を検出してトランスミッション制御ユニットTCUに伝達する。
【0060】
そうすると、前記トランスミッション制御ユニットTCUは、前記圧力センサーSで検出された圧力情報によって低圧用オイルポンプ2および高圧用オイルポンプ6を駆動する駆動モータMの回転数を制御する。
【0061】
前記第1、第2ソレノイドバルブSOL1、SOL2は、前記高圧流路30と連結されたリデューシングバルブ40によって制御圧の供給を受けることができる。
【0062】
本発明の実施形態による油圧供給システムは、初期始動または変速イベント発生時には、図1のように、前記第1スイッチバルブV1が弾性部材18の弾性力によってブロッキング(Blocking)状態に制御されて第1低圧流路16と第2低圧流路20を遮断する。
【0063】
そうすると、前記低圧用オイルポンプ2によって生成されて第1低圧流路16に供給された油圧が高圧用オイルポンプ6に供給されると同時に、前記第2スイッチバルブV2に供給される。
【0064】
前記高圧用オイルポンプ6で生成された高圧の油圧が高圧流路30に供給され、前記第2スイッチバルブV2に供給される前記低圧流路16の油圧が第2スイッチバルブV2の制御圧として作動しながら、第1低圧流路16と高圧流路30が連結され、第1低圧流路16の油圧が高圧流路30に供給される。
【0065】
これにより、低圧用オイルポンプ2と高圧用オイルポンプ6で生成された油圧が全て高圧部8に供給されることによって、高圧部8の応答が速やかに行われ、これによって高圧部8の摩擦部材の損傷を防止することができる。
【0066】
図2は、本発明の実施形態による油圧供給システムで正常的な運転状態を示した構成図である。
【0067】
図2に示す通り、前記図1に示されているように低圧用オイルポンプ2と高圧用オイルポンプ6で生成された油圧が全て高圧部8に供給され高圧部8の圧力が目標値に到達すると、高圧用レギュレータバルブ34の作動によって高圧流路30の油圧が第2再循環流路36に排出される。
【0068】
そうすると、前記第2再循環流路36の油圧は、前記第1スイッチバルブV1の制御圧としても供給されると同時に、第2オリフィスOR2によって安定的に調節された後に第2低圧流路20に供給される。
【0069】
これにより、前記第1スイッチバルブV1は、前記第2再循環流路36の油圧によって第1低圧流路16と第2低圧流路20を連結し、第1低圧流路16の油圧が第2低圧流路20を通じて低圧用レギュレータバルブ12に供給される。また、前記低圧用レギュレータバルブ12に供給された油圧は、第3低圧流路26を通じて低圧部4に供給される。
【0070】
前記のように低圧用オイルポンプ2で生成された油圧が低圧部4に供給され、高圧用オイルポンプ6で生成された油圧が高圧部8に供給されると、正常的な油圧供給状態になるのである。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の実施形態から当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって容易に変更されて均等であると認められる範囲のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0072】
2:低圧用オイルポンプ
4:低圧部
6:高圧用オイルポンプ
8:高圧部
V1、V2:第1、第2スイッチバルブ
12:低圧用レギュレータバルブ
14:吸入流路
16、20、26:第1、第2、第3低圧流路
18、28、32、38:弾性部材
22:バイパス流路
24、36:第1、第2再循環流路
30:高圧流路
34:高圧用レギュレータバルブ
OR1、OR2:第1、第2オリフィス
SOL1、SOL2:第1、第2ソレノイドバルブ
S:圧力センサー
図1
図2