特許第6246525号(P6246525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6246525カテーテル電極の接触の判定における機械学習
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246525
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】カテーテル電極の接触の判定における機械学習
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-169484(P2013-169484)
(22)【出願日】2013年8月19日
(65)【公開番号】特開2014-36861(P2014-36861A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2016年6月22日
(31)【優先権主張番号】13/589,347
(32)【優先日】2012年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリニエル
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−518151(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0312521(US,A1)
【文献】 特開2013−138863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーション装置であって、
生存被験者の心臓内への挿入のために適合されており、前記心臓内の標的組織と接触させるための、遠位に配置されたアブレーション電極を有する可撓性カテーテルと、
前記標的組織をアブレーションするために、ある投与量のエネルギーを前記標的組織に印加するアブレーターと、
身体表面電極と前記アブレーション電極との間に電流を流すための第1の回路と、前記電流のインピーダンス位相を繰り返し判定するための第2の回路とを有する、前記被験者に取り付けられる前記身体表面電極を備えるインピーダンス測定サブシステムと、
前記インピーダンス測定サブシステムに連結されるプロセッサであって、
前記アブレーション電極と前記心臓の壁との間の接触状態の表示を、接触している状態と接触していない状態のうちの1つとして記憶する工程と、
前記電流のインピーダンス位相角の少なくとも3つの判定を行う工程と、
前記判定の中で、最大位相角と最小位相角を特定する工程と、
前記最小位相角と前記最大位相角との中間である数値として、バイナリ分類子を画定する工程と、
前記接触状態の前記表示が前記接触している状態の場合、別の他の前記判定が、少なくとも第1のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも小さいときに、前記表示を前記接触していない状態に変更する工程と、
前記接触状態の前記表示が前記接触していない状態の場合、前記他の前記判定が、少なくとも第2のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも大きいときに、前記表示を前記接触している状態に変更する工程と、を操作的に実行する、プロセッサと、
前記プロセッサに連結されるモニターであって、前記アブレーターの動作中に、前記アブレーション電極の前記接触状態の前記表示の可視的指示を操作的に表示する、モニターと、を備える、アブレーション装置。
【請求項2】
前記他の前記判定が、直近の判定である、請求項に記載のアブレーション装置。
【請求項3】
前記最小位相角と前記最大位相角との間の差が定義済みのノイズ閾値を超えることを判定する工程を更に含む、請求項に記載のアブレーション装置。
【請求項4】
前記バイナリ分類子の前記数値は、前記最小位相角と前記最大位相角との間の中間値である、請求項に記載のアブレーション装置。
【請求項5】
前記第1のヒステリシス係数は、前記第2のヒステリシス係数と等しい、請求項に記載のアブレーション装置。
【請求項6】
前記接触状態の前記表示が前記接触している状態であり、かつ前記他の前記判定が少なくとも前記第1のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも小さくない場合、又は前記接触状態の前記表示が前記接触していない状態であり、かつ前記他の前記判定が少なくとも前記第2のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも大きくない場合に、前記プロセッサが前記接触状態の未変更の表示を操作的に維持する、請求項に記載のアブレーション装置。
【請求項7】
電流を流すことが、10ミリワット未満の電力で実行される、請求項に記載のアブレーション装置。
【請求項8】
少なくとも3つの判定を行うことが、5〜50ワットの電力で実行される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記判定が、200ミリ秒の間隔で行われる、請求項に記載のアブレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織アブレーションシステムに関する。より詳細には、本発明は、侵襲的プローブと体内組織との間の接触のモニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の諸領域が、隣接組織に、電気信号を異常に伝導することによって、正常な心周期を遮断し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0003】
不整脈治療の手順としては、不整脈の原因となっている信号源を外科的に遮断する工程、並びにそのような信号の伝達経路を遮断する工程が挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止する又は変更することが可能な場合がある。このアブレーション処理は、非導電性の損傷部位を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0004】
標的組織との物理的な電極の接触を実証することは、アブレーションエネルギーの送達を制御するために重要である。当該技術分野において、組織と電極との接触を実証する試みはこれまで広範に行われ、様々な技法が提案されてきた。例えば、米国特許第6,695,808号は、選択された患者の組織又は器官領域を処置するための装置を記載している。プローブは、その領域に押しつけられ得る接触面を有し、それにより接触圧を生じさせる。圧力変換器が接触圧を測定する。この構成は、接触力の存在及び大きさの指標となる情報を機器のユーザーに提供することにより、医療機器を、解剖学的表面と過剰には接触しないが、しっかりと定置しなければならないという、処置の必要性を満たすと言われている。
【0005】
別の例として、米国特許第6,241,724号は、分割された電極アセンブリを使用して、体内組織中に損傷部をつくるための方法を記載している。一実施形態では、カテーテルの電極アセンブリは圧力変換器を有し、これは組織との接触を感知して、圧力接触モジュールに信号を伝達する。モジュールは、圧力変換器信号と関連する電極要素を特定し、エネルギー生成機がこれらの要素に高周波エネルギーを伝達し、血液のみと接触する他の要素には伝達しないように指示する。
【0006】
米国特許第6,915,149号にも、更なる例が記載されている。この特許は、局所的な電気的活性を測定するための先端電極を有するカテーテルを使用して、心臓をマッピングするための方法を記載する。先端部と組織との接触不良から生じ得るアーチファクトを回避するために、先端部と組織との間の接触圧力が圧力センサーを使用して測定され、安定的な接触を確保する。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0100332号は、組織アブレーションのための、電極−組織間接触を評価するためのシステムと方法を記載している。カテーテルのシャフト内の電子機械的センサーは、カテーテルシャフトの遠位部分内の電極の運動量に対応する電気信号を生成する。出力機器は、電極と組織との間の接触のレベルを評価するために、この電気信号を受け取る。
【0008】
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,306,593号(Keidarらに発行)は、体内でプローブをアブレーションされるべき組織に接触させ、組織をアブレーションする前にプローブを使用してその位置の1つ又は2つ以上の局所パラメーターを測定することにより、器官内の組織をアブレーションするための方法を記載する。器官のマップが表示され、1つ又は2つ以上の局所パラメーターに基づき、その位置においてプローブを用いて印加される所定用量のエネルギーに関し、達成される組織のアブレーションの予測される範囲を示す。プローブを使用して組織をアブレーションするために所定用量のエネルギーが印加され、組織のアブレーションに続いて、プローブを使用してその位置におけるアブレーションの実際の範囲が測定される。測定されたアブレーションの実際の範囲が、予測された範囲との比較のためにマップ上に表示される。
【0009】
カテーテル−組織間接触を評価するためのインピーダンスに基づく方法は、当該技術分野において既知であり、通常、カテーテル上の電極と身体表面電極との間のインピーダンスの大きさの測定に依存する。その大きさがある閾値を下回るとき、電極は組織と接触していると考えられる。しかし、このような2要素の接触指標は信頼性がない場合があり、身体表面の電極と皮膚との間のインピーダンスの変化に対して敏感である。
【0010】
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0288038号及び同第2008/0275465号(いずれもSauaravらによる)は、電気エネルギーを印加するように適応された電極を含み得る電極カテーテルシステムを記載している。インピーダンスを測定するために適応された測定回路を、電極が標的組織に接近する際に、電極と地面との間に実装することができる。プロセッサ又は処理装置を実装して、測定回路によって測定されるインピーダンスのリアクタンスに少なくとも部分的に基づいて、標的組織に関しての接触状態を判定することができる。別の実施形態では、接触状態は、インピーダンスの位相角に基づく場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態により、心臓カテーテル法が提供され、これは、生存被験者の心臓内にプローブを挿入する工程、並びにプローブの電極と心臓の壁との間の接触状態の表示を、接触している状態及び接触していない状態のうちの1つとして記憶する工程によって実行される。この方法は更に、電極が壁に位置する間、この電極と別の電極との間に電流を流す工程、電流のインピーダンス位相角の少なくとも3つの判定を行う工程、この判定の中で、最大位相角及び最小位相角を特定する工程、並びに最大位相角と最小位相角との中間である数値として、バイナリ分類子を画定する工程によって実行される。この方法は更に、接触状態の表示が接触している状態の場合、別の他の判定が、少なくとも第1のヒステリシス係数だけバイナリ分類子よりも小さいときに、表示を接触していない状態に変更する工程によって実行される。この方法は更に、接触状態の表示が接触していない状態の場合、他の判定が、少なくとも第2のヒステリシス係数だけバイナリ分類子よりも大きいときに、表示を接触している状態に変更し、変更された表示を報告する工程によって実行される。
【0012】
この方法の一態様によると、他の判定は、直近の判定である。
【0013】
この方法の更に別の態様は、最小位相角と最大位相角との間の差が定義済みのノイズ閾値を超えることを判定する工程を含む。
【0014】
この方法の追加の態様によると、バイナリ分類子の数値は、最小位相角と最大位相角との間の中間値である。
【0015】
この方法の一態様によると、第1のヒステリシス係数は、第2のヒステリシス係数と等しい。
【0016】
この方法の更に別の態様は、接触状態の表示が接触している状態であり、かつ他の判定が少なくとも第1のヒステリシス係数だけバイナリ分類子よりも小さくない場合、又は接触状態の表示が接触していない状態であり、かつ他の判定が少なくとも第2のヒステリシス係数だけバイナリ分類子よりも大きくない場合に、未変更の表示を報告する工程を含む。
【0017】
この方法の更なる態様によると、電流を流すことは、10ミリワット未満の電力で実行される。
【0018】
この方法の更に別の態様によると、電流を流すことは、5〜50ワットの電力で実行される。
【0019】
この方法の更なる態様によると、判定は、200ミリ秒の間隔で行われる。
【0020】
更に、本発明の実施形態により、上述の方法を実行するためのアブレーション装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明をより深く理解するため、発明の詳細な説明を実例として参照するが、発明の詳細な説明は、同様の要素に同様の参照番号を付した以下の図面と併せ読むべきものである。
図1】本発明の一実施形態に従って構成され、動作する、生存被験者の心臓に対して診断的及び治療的処置を実行するためのシステムの模式図。
図2】カテーテルが本発明の一実施形態に従って心臓組織と接触するように移動する際に、カテーテルの電極を通って流れる電流の位相関係を示す複合図。
図3】本発明の一実施形態による、カテーテル電極と標的組織との間の接触を判定する方法の流れ図を含む複合図。
図4】本発明の一実施形態による、心臓カテーテル動作から取得されたインピーダンス位相測定値の確率分布を示す予測的例示。
図5】本発明の一実施形態による原理を図示する2つの状態図。
図6】参照方式での本発明の一実施形態による接触判定の相関を図示するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明では、本発明の様々な原理の深い理解を与えるため、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらの詳細は、必ずしも、本発明の実施のために常に全てが必要とされるものではない点は当業者には明らかであろう。この場合、一般的な概念を不要に曖昧にすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及び処理に対するコンピュータープログラム命令の詳細については詳しく示していない。
【0023】
本発明の態様は、典型的には、コンピューター可読媒体などの永久記憶装置内に維持される、ソフトウェアプログラミングコードの形態で具体化することができる。クライアント/サーバー環境において、このようなソフトウェアプログラミングコードは、クライアント又はサーバーに記憶され得る。ソフトウェアプログラミングコードは、ディスケット、ハードドライブ、電子媒体、又はCD−ROMなどの、データ処理システムと共に使用するための様々な既知の非一時的媒体のうちの、いずれかの上に具体化することができる。コードはこのような媒体上で配布でき、又は1つのコンピューターシステムのメモリー又は記憶装置からある種のネットワークを介して、他のコンピューターシステムのユーザーが使用するために、その他のシステム上の記憶装置に配布され得る。
【0024】
ここで図面を参照し、図1を最初に参照すると、この図1は、開示される本発明の実施形態に従って構築され、動作する、生存被験者の心臓12に対して診断的又は治療的処置を実行するためのシステム10の模式図である。このシステムは、患者の血管系を通じて、心臓12の室又は血管構造内に操作者16によって経皮的に挿入されるカテーテル14を備えている。一般的には医師である操作者16は、カテーテルの遠位先端部18を心臓壁のアブレーション標的部位と接触させる。必要に応じて、それらの開示内容を本明細書に援用するところの米国特許第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示される方法に基づいて、電気的活性マップを作製することができる。システム10の要素を具現化する1つの市販の製品は、Biosense Webster,Inc.(3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765)より入手可能な、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。このシステムは、本明細書に記載される本発明の原理を具現化するように、当業者によって変更されることができる。
【0025】
例えば電気的活性マップの評価によって異常と判定された領域は、例えば心筋に高周波エネルギーを印加する遠位先端部18の1つ又は2つ以上の電極に、カテーテル内のワイヤーを通じて高周波電流を流すことなどにより熱エネルギーを印加することによってアブレーションすることができる。このエネルギーは組織に吸収され、組織が電気的興奮性を永久に失う点(一般的には約50℃)まで組織を加熱する。支障なく行われた場合、この手術によって心臓組織に非伝導性の損傷部位が形成され、この損傷部位が、不整脈を引き起こす異常な電気経路を遮断する。本発明の原理を異なる心臓の室に適用することによって、多くの異なる心不整脈を治療することができる。
【0026】
カテーテル14は通常、アブレーションを行うために操作者16が必要に応じてカテーテルの遠位端を方向転換、位置決め、及び方向決めすることを可能とする、適当な制御部を有するハンドル20を備えている。操作者16を補助するため、カテーテル14の遠位部分には、コンソール24内に配置された位置決めプロセッサ22に信号を供給する位置センサ(図示せず)が収容されている。
【0027】
アブレーションエネルギー及び電気信号を、遠位先端部18に又は遠位先端部18の付近に配置される、1つ又は2つ以上のアブレーション電極32を通じて、コンソール24に至るケーブル34を介し、心臓12へ/心臓12から、搬送することができる。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24から、ケーブル34及び電極32を通して、心臓12へと搬送することができる。感知電極33は、同様にコンソール24にも接続され、アブレーション電極32の間に配置されて、ケーブル34への結線を有する。
【0028】
コンソール24は、ワイヤー接続35によって身体表面電極30、及び位置決めサブシステムの他の構成要素と接続されている。電極32及び身体表面電極30は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,536,218号(Govariらに発行)に教示されるように、アブレーション部位での組織のインピーダンスを測定するために使用することができる。温度センサー(図示せず)は、典型的には、熱電対又はサーミスタを、電極32の各々の上に、又は電極32の各々の付近に載置することができる。
【0029】
コンソール24には通常、1つ又は2つ以上のアブレーション電力発生装置25が収容されている。カテーテル14は、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、及びレーザー生成光エネルギーなどの任意の周知のアブレーション技術を使用して、心臓にアブレーションエネルギーを伝導するように適合させることができる。このような方法は、本明細書に援用するところの本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0030】
位置決めプロセッサ22は、カテーテル14の位置及び方向座標を測定する、システム10における位置決めサブシステムの要素である。
【0031】
一実施形態では、この位置決めサブシステムは、磁場生成コイル28を使用して、既定の作業体積内に磁場を生成し、カテーテルでのこれらの磁場を感知することによって、カテーテル14の位置及び配向を判定する、磁気位置追跡の配置構成を含む。位置決めサブシステムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,756,576号、及び上記の米国特許第7,536,218号に教示されているインピーダンス測定を使用することができる。
【0032】
上述したように、カテーテル14はコンソール24に連結され、これにより操作者16がカテーテル14の機能を観察及び調節できるようになっている。コンソール24は、プロセッサ、好ましくは適当な信号処理回路を有するコンピューターを含む。プロセッサは、モニター29を駆動するように連結されている。信号処理回路は一般的に、カテーテル14の遠位側に配置された上述のセンサー及び複数の位置感知電極(図示せず)によって生成される信号を含むカテーテル14からの信号を、受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。デジタル化された信号はコンソール24及び位置決めシステムによって受信され、カテーテル14の位置及び配向を計算し、電極からの電気信号を分析するために使用される。
【0033】
簡略化のため図には示されていないが、通常、システム10には他の要素も含まれる。例えば、システム10は、1つ又は2つ以上の身体表面電極からの信号を受信して、ECG同期信号をコンソール24に供給するように連結された心電図(ECG)モニターを含んでもよい。また、上記に述べたように、システム10は通常、患者の身体の外側に取り付けられた外部から貼付された参照パッチ、又は心臓12に挿入され、心臓12に対して固定位置に維持された、体内に配置されたカテーテルのいずれかにおいて参照位置センサーをも含む。カテーテル14にアブレーション部位を冷却するための液体を通して循環させるための従来のポンプ及びラインが設けられている。
【0034】
上述の米国特許第7,306,593号で説明されたように、アブレーション電極32と心内膜組織との間のインピーダンス測定値は、アブレーションを予測しかつ制御する上で有用であることが見出された。
【0035】
ここで図2を参照すると、この図2は、本発明の一実施形態に従ってカテーテル14が移動する又は心臓12(図1)の壁37と接触するように移動する際に、身体表面電極30とカテーテル14の電極を通って流れる電流の位相関係を示す複合図である。この目的のために、基準電極39が所望により提供される。基準電極39は壁37と接触していない。それらの電極は、その組織を通過して身体表面電極30(図1)又は他のある種の受信電極によって受信される、既知の周波数の信号によって駆動される。図2の右側の波形は、上から下へ向かって順に、基準電極39から取得された基準波形41、アブレーション電極32が壁37と接触していないときに得られた、アブレーション電極32から取得された接触前の波形43、及びアブレーション電極32が壁37と機械的に接触しているときに得られた接触中の波形45を含む。かかる位相関係の重要性に関する更なる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、「Contact Assessment Based on Phase Measurement」と題された、本願と同一譲受人に譲渡された同時係属中の米国特許出願第13/343,024号に記載される。
【0036】
インピーダンス位相変化は、接触前の波形43及び接触中の波形45のそれぞれ対応する最大値レベルを通って引かれた縦線49、51の変位によって示される。この位相変化は、アブレーション電極32又は感知電極33(図1)が壁37と接触させられる場合に起こる。この種の位相測定は、組織接触を実証するためばかりでなく、アブレーションの進捗度をチェックするためにも使用され得る。アブレーション電極32と組織との間を流れる電流の位相角は、マルチチャンネル高周波発生器及び上述のCARTO 3システムと組みわせて、nMARQ(商標)カテーテルを使用して判定され得る。あるいは、この位相は、参照により本明細書に組み込まれる、上述の米国特許出願公開第2008/0288038号及び同第2008/0275465号に記載されるいずれかの位相判定によって判定されてもよい。
【0037】
ここで図3を参照すると、この図3は、本発明の一実施形態による、カテーテル電極と標的組織との間の接触を判定する方法の流れ図を含む複合図である。この図は、マルコフ連鎖を示し、これは、可能な状態の有限数又は可算数の中で転移を起こす数学的システムである。これは、無記憶として特徴付けられるランダムなプロセスであり、この中で、後続の状態は現行の状態に依存し、事象の順序又はこれに先行した状態の変更に依存しない。この特定の種類の「無記憶性」が、マルコフ特性と呼ばれる。マルコフ連鎖は、即ち、現行の状態、将来及び過去の状態が独立していると想定すれば、マルコフ特性を有するランダム変数X1、X2、X3の順序である。形式上:
【数1】
の可能な値は、連鎖の状態空間と呼ばれる可算集合Sを形成する。図3の例では、2つの状態「E」及び「A」が示される。事象後にある状態である確率は、現行の状態に依存する。現行の状態が状態Eである場合、状態Eで留まる確率は0.3であり、一方現行の状態が状態Aである場合、状態Eに転移する確率は0.4である。
【0038】
心臓カテーテル電極の接触状態又は非接触状態の測定は、バイナリ状態を有するマルコフ状態マシンを使用して達成することができ、「1」は、電極と心内膜との間の有用な接触を表し、「0」は接触していない状態、すなわち、電極と心内膜との間に有用な接触がない状態を表す。用語「有用な接触」とは、便宜上、目的とした対象、例えばアブレーション又はマッピングを完成するための電極と心内膜との間の十分にしっかり固定した接触を指す。
【0039】
マルコフ状態マシンは、以下のように定義され得る:
P1=最後の指示が1であった場合の1の確率。
P2=最後の指示が0であった場合の1の確率。
P3=最後の指示が1であった場合の0の確率。
P4=最後の指示が0であった場合の0の確率。
【0040】
P1、P2、P3、P4の推定値は、以下に記載のプロセスを使用して達成され得る。そのプロセス工程は、提示の明瞭性のために、図3では特定の線形順序で示される。しかしながら、それらのプロセス工程の多くは、並列的に、非同期的に、又は異なる順序で実行し得ることが明白であろう。当業者であれば、プロセスは、別の方法としては、例えば、状態図において、相互関連状態又は事象の数として表現され得ることが理解されるであろう。更には、図示される全てのプロセス工程が、このプロセスを実装するために必要とされるとは限らない場合がある。
【0041】
このプロセスは、標的組織を通って延びるカテーテルと被験者の身体との間の電気経路の複数のインピーダンス位相測定値の解析を伴う。広くは、交流に対するインピーダンスは、以下の極化形式によって表され得る:
【数2】
【0042】
図3を参照して説明されるプロセスは、主として偏角θに関し、この偏角は、電圧・電流位相差を提供する。この目的は、2つの可能な接触状態のどちらかがカテーテル電極と心内膜との間に存在するか、すなわち接触している状態及び接触していない状態を判定することである。概して、この手順は、電極が接触していない仮定の下で開始し、この場合には、心臓周期中の心臓の動作は、幾つかの読取り値が取得される場合、電極を心内膜と接触させることが予想され得る。あるいは、電極の初期接触状態が接触していると仮定される場合、今度は、心臓周期中の心臓の動作は、電極を心内膜と接触していない関係に定置することが予想され得る。いずれにせよ、読取り中に接触状態が時々変動することが予想される。
【0043】
ここで図4を参照すると、この図4は、本発明の実施形態による心臓カテーテル動作から取得されたインピーダンス位相測定値の確率分布の予測例である。分布曲線53、55は、電極が接触している状態及び接触していない状態にある場合にそれぞれ相当する。2つの状態に関する最適なバイナリ分類子が、破断縦線57として示され、これは135度のインピーダンス位相に相当する。
【0044】
図3に戻ると、インピーダンス読取り値は、典型的には200msの間隔で取得され、インピーダンス判定のための上述のいずれかの方法が使用され得る。初期工程59において、新しいインピーダンス読取り値が得られ、周期的なバッファ内に記憶される。位相角の読み取り値を得るための電力要件は、アブレーターがアイドル状態の場合は10ミリワット未満である。アブレーターが稼働中の場合は5〜50ワットが必要である。
【0045】
次に、決定工程61において、周期的なバッファが満タンであるかどうかが判定される。典型的には、100個の読取り値が記憶される。判定が否定の場合、次いで制御が初期工程59に戻す。一般的に、バッファが満たされている間、操縦者がカテーテルを調整する必要はない。
【0046】
決定工程61における判定が肯定の場合、制御は工程63に進む。本質的に、インピーダンスデータのヒストグラムを構成するためのテンプレートは、測定された位相に適応するよう準備される。バッファがスキャンされ、極端に高い及び低い位相値が、位相角の感動幅の限界を画定するよう特定される。この幅が、ヒストグラムのためのビンに細分される。12個のビンが好適であるが、異なる粒度が望ましい場合、他の数値が使用されてもよい。次いで、バッファ内の数値が、今度はビンに配分され、ヒストグラムを構築する。必要に応じて、ヒストグラムはグラフィック的に表示されてもよい。
【0047】
次に、工程65で、更なる考慮から所定のノイズ閾値よりも少ない読取り値を有するこれらビンを排除することによって、ノイズをフィルタリングするために、それぞれのビンにおける読取り値の数が評価される。次いで、工程67において、残りのビンがスキャンされ、データ点の最大数(MaxBin)と最小数(MinBin)を有する2つのビンを特定する。あるいは、工程65、67は、ビンにおけるデータ点の最大数及び最小数を判定する場合、ノイズ閾値を単純に減算することによって組み合わされてもよい。
【0048】
次に、決定工程69において、工程67で特定された2つのビンにおけるデータ点の数の間に有意差があるかどうかが判定される。これは、不等式:
Abs(MaxBin−MinBin)>Noise
を使用して行うことができ、
ここで、Noiseはノイズ閾値である。
【0049】
追加的に又は別の方法として、決定工程69は、読取り値の現行集合の分布の分散を測定することによって実行され得る。分散が低い場合、典型的には2.5度以下である場合、今度は読取り値の集合中に接触状態が変更しないことが予想され得、現行の集合によってもたらされる情報は決定的ではない。
【0050】
ここで図5を参照すると、この図5は、2つの状態図を示し、これは本発明の一実施形態が根拠とする原理を理解する上で有効である。上方の図71は、接触状態が接触していない状態であり、かつ未変更である可能性を図示する。接触している状態への転移の可能性はない。下方の図73で示すように、接触状態を予測したように変更する場合、インピーダンス読取り値の分散は、比較的大きく、対応する状態マシンは、示すような例示の確率で転移を有する。
【0051】
図3に戻ると、決定工程69における判定が否定の場合、今度は読取り値の現行集合は、電極の非接触状態と接触状態との間でなされる区別を可能にしないことが結論付けられる。制御は工程75に進み、ここで周期的なバッファが消去される。次いで制御は初期工程59に戻り、読取り値の別の集合を得る。
【0052】
決定工程69における判定が肯定の場合、制御は工程77に進む。バイナリ分類子(T)が確立され、これは、
T=(MaxBin+MinBin)/2
のように算定される。
【0053】
分類子Tの数値は、インピーダンス読取り値の現行の集合に順応することは明白であろう。分類子Tの数値は、異なる被験者、及び特定の被験者の心臓内の異なる場所における事象の若干の範囲の中で変動することが予測される。したがって、バイナリ分類子が正確に画定されたままであることを保証するために、この方法は、操縦者が心臓内の異なる場所にカテーテルを移動する際に、時々繰り返され得る。
【0054】
接触していない状態と接触している状態の間の転移(又は逆もまた同様)を正確にモデル化するために、ヒステリシスを読取り値に賦課することが望ましいことが見出されている。次の工程において、接触状態変更が起こったかどうかを判定するために、分類子Tが試験読取り値の位相角と比較され、1つ又は2つ以上のヒステリシス係数にさらす。ヒステリシス係数に関して1.5度の数値が典型的である。極値によって画定される10%のダイナミックレンジの数値が好適である。しかしながら、特に相当量の力が焦点的に印加され得るカテーテルの場合には、以下に記載されるヒステリシス係数は異なる場合がある。
【0055】
最適な試験読取り値は、最後の読取り値、すなわち、読取り値の現行の集合内で取得された直近の読取り値である。あるいは、他の読取り値の1つが、例えば、ランダムな選択ないしは別の方法によって、試験読取り値として選択されてもよい。
【0056】
次に、決定工程79において、電極が心内膜と接触しているかどうかが判定される。この方法の第1の繰り返しにおいて、接触状態が想定され得る。別の方法では、接触状態は、方法の前の繰り返しから既知である。
【0057】
決定工程79における判定が肯定の場合、次いで決定工程81において、試験読取り値の位相がバイナリ分類子と比較される。試験読取り値が、第1のヒステリシス係数:
TV<=T−HF1によって調整されるバイナリ分類子以下であるかどうかが判定され、
ここで、TVは試験数値であり、Tは工程77において算定された分類子であり、HF1はヒステリシス係数である。決定工程79における判定が否定である場合が、以下に記載される。
【0058】
決定工程81における判定が肯定の場合、制御は最終工程83に進む。接触している状態から接触していない状態に状態転移が起こった。接触していない状態が報告される。
【0059】
決定工程81における判定が否定の場合、制御は最終工程85に進む。接触状態転移が起こっていないことが結論付けられる。電極は心内膜と接触したままである。接触している状態が報告される。
【0060】
決定工程79の説明に戻ると、決定工程79における判定が否定の場合、次いで決定工程87において、試験読取り値が第2のヒステリシス係数:
TV>=T+HF2によって調整されるバイナリ分類子以上であるかどうかが判定決定され、
ここで、TVは試験数値であり、Tは工程77において算定された分類子であり、HF2は第2のヒステリシス係数である。このヒステリシス係数HF2は、典型的には、ヒステリシス係数HF1と同一であるが、これは必ずしも事実というわけではない。
【0061】
決定工程87における判定が肯定の場合、制御は最終工程85に進む。接触していない状態から接触している状態までの転移が起こった。接触している状態が報告される。
【0062】
決定工程87における判定が否定の場合、制御は最終工程83に進む。電極は心内膜と接触していない状態のままである。接触していない状態が報告される。
【0063】
上記の方法が適用される場合、接触状態の指示が、時間がかかる位相校正処置に頼ることなく達成され得ることが理解されよう。むしろ、状態の分類は、電気特性における局所的かつ被験者に特定の変動に順応性である。この手順は、十分に信頼性が高く、電極が心内膜と接触していない状態でアブレーション電極が送達される恐れなく、アブレーションが進められることを可能にする。
【0064】
リスト1は、上記記載の方法を実行するための擬似コードにおける計算機プログラムを提示する。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
表1は、図3のプロセスの基盤となる原理を示す数値例を示す。
【表1】
【0066】
(実施例2)
ここで図6を参照すると、この図6は、参照法としてCARTO 3システムによる従来の接触力カテーテルを使用する測定を伴い、図3を参照して説明された方法を使用する接触判定の相関性を図示するグラフ89である。Biosense Webster,Inc.から入手可能なThermoCool(登録商標)SmartTouch(商標)Contact Force Sensing Catheterが好適である。図6では、接触力閾値が、精度に対してプロットされる。6の接触力閾値は、本発明の方法の最高精度に関連する。
【0067】
当業者であれば、本発明は、上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は認識されるところであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記に述べた異なる特性の組み合わせ及び一部の組み合わせ、並びに上記の説明文を読むことで当業者には想到されるであろう、先行技術ではない変形及び改変をも含むものである。
【0068】
計算機プログラムリスト
リスト1
[n1 n2]=hist(B(end−hist_depth:end,1),number_of_bins);
//n1−各ビンにおける点の数、n2−各ビンの範囲
For j=1:長さ(n1)
if n1(j)>=minimal_points_for_setting_threshold
min=n2(j);
ブレーク
終了
終了
for j=長さ(n1):−1:1
if n1(j)>=minimal_points_for_setting_threshold//usually 3
max=n2(j);
ブレーク
終了
終了
threshold=(max+min)/2;
if abs(max−min)>=noise_var//noise_varは実験的に事前設定する定数
if(B(end,1)>=threshold+hyst_width)
接触=1;
elseif(B(end,1)<threshold−hyst_width)
//hyst_width−事前設定定数−通常2度。
接触=0;
終了
終了
【0069】
〔実施の態様〕
(1) 心臓カテーテル法であって、
生存被験者の心臓内にプローブを挿入する工程であって、前記プローブが電極を有する、工程と、
前記電極と前記心臓の壁との間の接触状態の表示を、接触している状態と接触していない状態のうちの1つとして記憶する工程と、
前記電極が前記壁に位置する間に、前記プローブの前記電極と別の電極との間に電流を流す工程と、
前記電流のインピーダンス位相角の少なくとも3つの判定を行う工程と、
前記判定の中で、最大位相角及び最小位相角を特定する工程と、
前記最小位相角と前記最大位相角との中間である数値として、バイナリ分類子を画定する工程と、
前記接触状態の前記表示が前記接触している状態の場合、別の他の前記判定が、少なくとも第1のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも小さいときに、前記表示を前記接触していない状態に変更する工程と、
前記接触状態の前記表示が前記接触していない状態の場合、前記他の前記判定が、少なくとも第2のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも大きいときに、前記表示を前記接触している状態に変更する工程と、
前記変更された表示を報告する工程と、を含む、方法。
(2) 前記他の前記判定が、直近の判定である、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記最小位相角と前記最大位相角との間の差が定義済みのノイズ閾値を超えることを判定する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記バイナリ分類子の前記数値は、前記最小位相角と前記最大位相角との間の中間値である、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記第1のヒステリシス係数は、前記第2のヒステリシス係数と等しい、実施態様1に記載の方法。
【0070】
(6) 前記接触状態の前記表示が前記接触している状態であり、かつ前記他の前記判定が少なくとも前記第1のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも小さくない場合、又は前記接触状態の前記表示が前記接触していない状態であり、かつ前記他の前記判定が少なくとも前記第2のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも大きくない場合に、未変更の表示を報告する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 電流を流すことが、10ミリワット未満の電力で実行される、実施態様1に記載の方法。
(8) 電流を流すことが、5〜50ワットの電力で実行される、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記判定が、200ミリ秒の間隔で行われる、実施態様1に記載の方法。
(10) アブレーション装置であって、
生存被験者の心臓内への挿入のために適合されており、前記心臓内の標的組織と接触させるための、遠位に配置されたアブレーション電極を有する可撓性カテーテルと、
前記標的組織をアブレーションするために、ある投与量のエネルギーを前記標的組織に印加するアブレーターと、
身体表面電極と前記アブレーション電極との間に電流を流すための第1の回路と、前記電流のインピーダンス位相を繰り返し判定するための第2の回路とを有する、前記被験者に取り付けられる前記身体表面電極を備えるインピーダンス測定サブシステムと、
前記インピーダンス測定サブシステムに連結されるプロセッサであって、
前記アブレーション電極と前記心臓の壁との間の接触状態の表示を、接触している状態と接触していない状態のうちの1つとして記憶する工程と、
前記電流のインピーダンス位相角の少なくとも3つの判定を行う工程と、
前記判定の中で、最大位相角と最小位相角を特定する工程と、
前記最小位相角と前記最大位相角との中間である数値として、バイナリ分類子を画定する工程と、
前記接触状態の前記表示が前記接触している状態の場合、別の他の前記判定が、少なくとも第1のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも小さいときに、前記表示を前記接触していない状態に変更する工程と、
前記接触状態の前記表示が前記接触していない状態の場合、前記他の前記判定が、少なくとも第2のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも大きいときに、前記表示を前記接触している状態に変更する工程と、を操作的に実行する、プロセッサと、
前記プロセッサに連結されるモニターであって、前記アブレーターの動作中に、前記アブレーション電極の前記接触状態の前記表示の可視的指示を操作的に表示する、モニターと、を備える、アブレーション装置。
【0071】
(11) 前記他の前記判定が、直近の判定である、実施態様10に記載のアブレーション装置。
(12) 前記最小位相角と前記最大位相角との間の差が定義済みのノイズ閾値を超えることを判定する工程を更に含む、実施態様10に記載のアブレーション装置。
(13) 前記バイナリ分類子の前記数値は、前記最小位相角と前記最大位相角との間の中間値である、実施態様10に記載のアブレーション装置。
(14) 前記第1のヒステリシス係数は、前記第2のヒステリシス係数と等しい、実施態様10に記載のアブレーション装置。
(15) 前記接触状態の前記表示が前記接触している状態であり、かつ前記他の前記判定が少なくとも前記第1のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも小さくない場合、又は前記接触状態の前記表示が前記接触していない状態であり、かつ前記他の前記判定が少なくとも前記第2のヒステリシス係数だけ前記バイナリ分類子よりも大きくない場合に、前記プロセッサが前記接触状態の未変更の表示を操作的に維持する、実施態様10に記載のアブレーション装置。
【0072】
(16) 電流を流すことが、10ミリワット未満の電力で実行される、実施態様10に記載のアブレーション装置。
(17) 少なくとも3つの判定を行うことが、5〜50ワットの電力で実行される、実施態様10に記載の装置。
(18) 前記判定が、200ミリ秒の間隔で行われる、実施態様10に記載のアブレーション装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6