(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
[電力管理システムの構成例]
図1は、本発明の実施形態における電力管理システムの構成例を示している。この図に示す電力管理システムは、1つの施設100において利用される電力を管理するもので、例えばHEMS(Home Energy Management System)といわれるものに対応する。
また、施設100は、例えば住宅、商業施設、産業施設、公共施設などのうちのいずれかである。
【0021】
図1に示す施設100においては、太陽電池101、パワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System)102、蓄電池103、インバータ104、電力経路切替部105、負荷106及び管理装置107を備える。
【0022】
太陽電池101は、光起電力効果により光エネルギーを電力に変換する電力発生装置(太陽光発電装置)である。太陽電池101は、例えば施設100の屋根などのように太陽光を効率的に受けられる場所に設置されることで、太陽光を電力に変換する。
パワーコンディショナ102は、太陽電池101から出力される直流の電力を交流に変換する。
【0023】
蓄電池103は、充電のために入力される電力を蓄積し、また、蓄積した電力を放電して出力する。この蓄電池103には、例えばリチウムイオン電池などを採用することができる。
【0024】
インバータ104は、複数の蓄電池103ごとに対応して備えられるもので、蓄電池103に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池103から放電により出力される電力の直流交流変換を行う。つまり、蓄電池103が入出力する電力の双方向変換を行う。
具体的に、蓄電池103に対する充電時には、商用電源ACまたはパワーコンディショナ102から電力経路切替部105を介して充電のための交流の電力がインバータ104に供給される。インバータ104は、このように供給される交流の電力を直流に変換し、蓄電池103に供給する。
また、蓄電池103の放電時には、蓄電池103から直流の電力が出力される。インバータ104は、このように蓄電池103から出力される直流の電力を交流に変換して電力経路切替部105に供給する。
【0025】
電力経路切替部105は、管理装置107の制御に応じて電力経路の切り替えを行う。
上記の制御に応じて、電力経路切替部105は、施設100において、商用電源ACを負荷106に供給するように電力経路を形成することができる。
【0026】
また、電力経路切替部105は、施設100において、太陽電池101により発生された電力をパワーコンディショナ102から負荷106に供給するように電力経路を形成することができる。
また、電力経路切替部105は、施設100において、商用電源ACと太陽電池101の一方または両方から供給される電力をインバータ104経由で蓄電池103に充電するように電力経路を形成することができる。
また、電力経路切替部105は、施設100において、蓄電池103から放電により出力させた電力を、インバータ104経由で負荷106に供給するように電力経路を形成することができる。
【0027】
負荷106は、施設100において自己が動作するために電力を消費する機器や設備などを一括して示したものである。
【0028】
管理装置107は、施設100における電力を管理する。このために、管理装置107は、施設100における電気設備(太陽電池101、パワーコンディショナ102、蓄電池103、インバータ104、電力経路切替部105、負荷106のすべてまたは一部)を制御する。
【0029】
そのうえで、本実施形態の管理装置107は、施設100において運用される蓄電池103の管理を行う蓄電池管理装置107Aとしての機能を含む。一例として、蓄電池管理装置107Aの機能は、蓄電池103の余寿命を推定することである。
【0030】
[蓄電池管理装置の構成例]
図2は、蓄電池管理装置107Aの構成例を示している。
この図に示す蓄電池管理装置107Aは、状態検出部201、運用履歴情報管理部202、運用履歴情報記憶部203、モデルデータ記憶部204、モデル部205、乖離判定部206、劣化要因推定部207、劣化要因データベース記憶部208、モデル変更部209、蓄電池情報生成部210及び情報出力部211を備える。
【0031】
状態検出部201は、蓄電池103についての所定の状態を検出する。状態検出部201は、所定の状態として、例えば、蓄電池103の放電容量または充電容量としての電池容量、蓄電池103の内部抵抗(インピーダンス)などを検出することができる。放電容量は、蓄電池103の仕様や運用等の条件に応じて定めた放電開始から放電終了までの間に蓄電池103から放出された電気量である。充電容量は、蓄電池103の仕様や運用等の条件に応じて定めた充電開始から充電終了までの間で充電するのに必要な電気量である。なお、以降において、電池容量は放電容量である場合を例に説明を行う。
あるいは、状態検出部201は、電池容量や内部抵抗の検出のほかに、蓄電池103の充放電曲線特性(一定電流による充電、放電を行った場合の電圧変化を示す特性)、蓄電池103の温度、蓄電池103の外形変化などの検出を行ってもよい。また、状態検出部201は、これらの状態のうちの2以上を組み合わせて検出してもよい。
【0032】
運用履歴情報管理部202は、蓄電池103の運用に関する履歴を示す運用履歴情報を管理する。運用履歴情報管理部202は、蓄電池103が運用される状態を監視することにより、その運用実績から運用履歴情報を生成する。
運用履歴情報は、これまでの蓄電池103の運用において行われた充電、放電に関する各種の履歴を含む。
運用履歴情報管理部202は、上記のように生成した運用履歴情報を運用履歴情報記憶部203に記憶させる。運用履歴情報記憶部203は、運用履歴情報を記憶する。
【0033】
モデルデータ記憶部204は、基本モデルデータと劣化モデルデータとを記憶する。
図3は、モデルデータ記憶部204の記憶内容例を示している。
この図に示すように、モデルデータ記憶部204においては、基本モデルデータ301と劣化モデルデータ302が記憶される。
基本モデルデータ301は、蓄電池103の内部状態を推定するための基本モデルを示すデータである。
劣化モデルデータ302は、基本モデルに蓄電池の劣化機能を与える劣化モデルを示すデータである。
【0034】
また、本実施形態におけるモデルデータ記憶部204は、同じ
図3に示すように、劣化モデルデータ302として、サイクル劣化モデルデータ311と保存劣化モデルデータ312を記憶する。
サイクル劣化モデルデータ311は、サイクル劣化としての劣化機能を基本モデルに与えるデータである。サイクル劣化は、例えば充放電サイクルを繰り返すことによる蓄電池103の劣化であり、充放電サイクルの回数に依存する。
保存劣化モデルデータ312は、保存劣化としての劣化機能を基本モデルに与えるデータである。保存劣化は、例えば蓄電状態の蓄電池に発生する劣化であり、蓄電池103の充電が完了してから放電を開始するまでの保存時間に主に依存する。ただし、保存劣化は、充電中及び放電中においても進行することから、保存劣化モデルデータ312としては、充電中及び放電中の時間を考慮して構築されてよい。
【0035】
図2において、モデル部205は、運用履歴情報記憶部203が記憶する運用履歴情報に基づいて、基本モデルと劣化モデルとにしたがって蓄電池103の所定の状態を推定する。
この際、モデル部205は、モデルデータ記憶部204に記憶される基本モデルデータ301と劣化モデルデータ302(サイクル劣化モデルデータ311、保存劣化モデルデータ312)とを読み出す。そして、モデル部205は、読み出した基本モデルデータ301、サイクル劣化モデルデータ311、保存劣化モデルデータ312のそれぞれが示す基本モデル、サイクル劣化モデル、保存劣化モデルにしたがって蓄電池103の所定の状態を推定する。この際、モデル部205は、運用履歴情報に基づくことにより、現在における所定の状態を推定する。
なお、モデル部205が推定する所定の状態は、状態検出部201が検出する状態に対応したものであればよい。例えば、状態検出部201が電池容量を検出するのであれば、モデル部205も電池容量を推定すればよい。
【0036】
乖離判定部206は、状態検出部201により検出された所定の状態に基づく判定パラメータと、モデル部205により推定された判定パラメータとが、劣化モデルでは想定外の劣化要因による劣化の発生に応じた一定以上の乖離を示しているか否かについて判定する。
具体例の1つとして、乖離判定部206は、状態検出部201により検出された所定の状態に基づく判定パラメータとして、状態検出部201により検出された電池容量に基づいて求められる容量維持率を利用する。容量維持率は、蓄電池103の初期の電池容量に対する、初期以降における蓄電池103の電池容量である。電池容量は、蓄電池103の使用経過に応じた劣化の進行に伴って減少する。したがって、容量維持率は、初期時を100%として、以降の使用経過に応じて減少する。
なお、以降において、状態検出部201により検出された所定の状態に基づく判定パラメータについては実判定パラメータと呼び、モデル部205により推定された判定パラメータについては推定判定パラメータと呼ぶ。
【0037】
劣化要因推定部207は、実判定パラメータと推定判定パラメータとが一定以上の乖離を示していると乖離判定部206により判定された場合に蓄電池103の劣化要因を推定する。この際、劣化要因推定部207は、運用履歴情報記憶部203に記憶される運用履歴情報を、劣化要因データベース記憶部208に記憶される劣化要因データベースと照合する。
【0038】
劣化要因データベース記憶部208は、劣化要因データベースを記憶する。
図4は、劣化要因データベース記憶部208が記憶する劣化要因データベース400の内容例を示している。
劣化要因データベース400は、蓄電池において、サイクル劣化モデルデータ311、保存劣化モデルデータ312のいずれにも適用されていない劣化要因ごとに運用条件が対応付けられている。
同図に示される劣化要因は、「負極:Li析出」、「負極:集電体剥離」、「正極:集電体剥離1」、「正極:集電体剥離2」、「正極:集電体剥離3」、「負極:活物質割れ」、「正極:活物質割れ」、「電解液劣化」である。
「負極:Li析出」は、負極からのLi(リチウム)の析出であり、「負極:集電体剥離」は、集電体からの負極活物質の剥離である。また、「正極:集電体剥離1」、「正極:集電体剥離2」、「正極:集電体剥離3」は、それぞれ、集電体からの正極活物質の剥離に対応するが、「集電体からの正極活物質の剥離」としての同じ劣化要因を引き起こす可能性が高い運用条件として、それぞれ異なる運用条件に対応する。つまり、この場合における集電体からの正極活物質の剥離は、複数の運用条件の下で発生し得る。
運用条件は、対応の劣化要因を引き起こす可能性が高い運用の仕方を示している。ここでは、運用条件の例として、温度情報、温度環境該当時間、放電電流レート、放電時間、SOC(State Of Charge:ここでは運転時に設定されるSOCの範囲を示す)、SOC滞留時間(蓄電池の全使用時間において対応のSOCが維持される状態の時間比率)、容量減少率が示されている。
【0039】
具体的に、「負極:Li析出」の劣化要因の項目であれば、運用条件として、「温度環境」が10℃以下で、かつ、「温度環境該当時間」が30%以上であることが示されている。
これは、蓄電池103が10℃以下の温度環境におかれていた時間が、これまでの運用実績により示される総時間に対して30%以上という運用であった場合には、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因が負極のLiの析出であることを示す。
また、「負極:集電体剥離」の 項目は、「放電電流レート」が2C以上で、かつ、「放電時間」が20%以上であることが示されている。
これは、これまでの運用期間において2Cの放電電流レートにより放電を行った時間が、これまでの運用における総放電時間の20%以上という運用であった場合に、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因が負極の集電体の剥離によるものであることを示す。
【0040】
劣化要因推定部207は、運用履歴情報記憶部203に記憶される運用履歴情報に基づいて、劣化要因データベース400の運用条件と照合すべき照合情報(温度環境と温度環境該当時間との関係を示す情報、放電電流レートと放電時間の関係を示す情報、容量減少率など)を生成する。
そして、劣化要因推定部207は、生成した照合情報を劣化要因データベース400における運用条件と照合し、運用条件に適合した照合情報に対応付けられている劣化要因の項目を特定する。劣化要因推定部207は、このように特定した劣化要因の項目が示す劣化要因を推定結果として出力する。
【0041】
モデル変更部209は、劣化要因推定部207により推定された劣化要因に基づいて劣化モデルを変更する。このために、本実施形態のモデル変更部209は、モデルデータ記憶部204に記憶される劣化モデルデータ302を変更する。
【0042】
蓄電池情報生成部210は、モデル部205により推定された蓄電池103の所定の状態に基づいて、蓄電池103についての所定の情報を示す蓄電池情報を生成する。
一例として、蓄電池情報生成部210は、蓄電池103の余寿命を推定し、推定した余寿命を蓄電池情報として生成する。この場合、モデル部205は、蓄電池103についての現在以降の所定の状態の変化を推定する。蓄電池情報生成部210は、例えばこの推定結果に基づいて蓄電池103が寿命となるときを推定する。これにより、蓄電池情報生成部210は、現在から蓄電池103が寿命となるまでの期間である余寿命を推定できる。
【0043】
情報出力部211は、蓄電池情報生成部210が生成した蓄電池情報を出力する。例えば、情報出力部211は、蓄電池情報を表示により出力する。蓄電池情報が余寿命である場合、情報出力部211は、蓄電池103の余寿命を示す画像を所定の態様により表示する。
【0044】
[モデルに関する説明]
ここで、モデルデータ記憶部204に記憶されるモデルデータ(基本モデルデータ301、劣化モデルデータ302)によりモデル部205に適用されるモデルについて説明する。
【0045】
図5は、基本モデルに対応する一次元充放電モデル500を示す概念図である。
図5(a)は、蓄電池(リチウムイオン電池)の基本構成を示すイメージ図であり、
図5(b)は、それを一次元にモデル化したイメージ図である。
一次元充放電モデル500は、蓄電池103を、負極501と正極502とセパレータ503をそれぞれ面方向に均質化した一次元モデルとして扱う。負極501としての負極合材層には負極活物質511が存在し、正極502としての正極合材層には正極活物質512が存在する。
また、負極501、正極502、セパレータ503による一次元充放電モデル500は、固相と液相に分けられる。
【0046】
一次元充放電モデル500の負極501、正極502、セパレータ503の各領域における放電時におけるLiとLiイオンの放電時における輸送過程イメージは以下のようになる。
つまり、負極501の固相(活物質)では、Liは中心から表面への拡散フラックスが生じる。正極502の固相では、Liは表面から中心へと拡散する。
負極501の液相(空隙)では、界面反応によって固相から放出されたLiイオンがセパレータ503の方向に輸送される。ここで、セパレータ503は反応が無いため、Liイオンは正極502の方向に泳動しながら拡散していく。正極502の液相は、界面反応によって固相へLiイオンが吸収される。
【0047】
負極501としての負極合材層と、正極502としての正極合材層は、それぞれ、固相におけるLi濃度と電位、液相における塩濃度と電位が算出される。セパレータは、塩濃度と電位が算出される。
このような、基本モデルは、例えば以下の文献に記載されている。
“Journal of The Electrochemical Society,141(1),1-10(1994)”
【0048】
また、劣化モデルのうちサイクル劣化モデルは、前述もしたように、充放電サイクルを繰り返すことによる蓄電池103の劣化である。サイクル劣化モデルでは、充放電が行われるのに応じて負極活物質511の表面に不働態SEI(Solid Electrolyte Interface)膜が形成され、この不働態SEI膜が成長していくことにより電池容量の低下やインピーダンス(内部抵抗)の増加などの劣化をもたらすものとしている。サイクル劣化モデルは、不働態SEI膜の成長による状態変化をモデル化したものである。
【0049】
また、劣化モデルのうち保存劣化モデルは、前述のように蓄電状態の蓄電池に発生する劣化である。保存劣化モデルも、例えば、保存時間の経過に応じた特定の活物質の特性変化や特定の構造の変化などが劣化をもたらすものとして、このような劣化要因の変化による蓄電池の状態変化をモデル化したものである。
なお、本実施形態において述べたサイクル劣化モデルについては、例えば以下の文献に記載されている。
“Journal of The Electrochemical Society,151(2),A196-A203(2004)”
【0050】
図6は、サイクル劣化モデルを求めるための手順例を示している。本実施形態では、例えば予め試験を行うことで、
図6に示す手順にしたがって、サイクル劣化モデルを求めておく。そして、
図6の手順によって求められたサイクル劣化モデルのデータ(例えばファイル)をサイクル劣化モデルデータ311としてモデルデータ記憶部204に記憶させておくものである。なお、この図に示す手順は、例えばサイクル劣化モデルを求めるための数値計算用のプログラムを実行するコンピュータにより実現できる。
【0051】
まず、コンピュータは、記憶装置に記憶されている初期条件設定データを読み出し、この読み出した初期条件設定データにより初期条件を設定する(ステップS101)。
次に、コンピュータは、基本モデルにより放電解析を行うことで今回のサイクルの放電に応じた蓄電池103の状態を求める(ステップS102)。
次に、コンピュータは、基本モデルにより充電解析を行うことで今回のサイクルの充電に応じた蓄電池103の状態を求める(ステップS103)。
次に、コンピュータは、例えば今回のステップS102とS103の解析結果と、前回までのステップS102とS103の解析結果とに基づいて、劣化計算を行う(ステップS104)。これにより、今回までの充放電サイクル回数に応じた電池容量、インピーダンス(抵抗)などの劣化状態が求められる。また、ステップS104による劣化計算の結果が試験結果と一致するように、サイクル劣化モデルデータ311において使用されるパラメータが最適化される。
【0052】
ステップS102〜S104は、1回の充放電サイクルに応じた処理である。そこで、コンピュータは、例えば試験時に行った充放電サイクル回数に応じた規定の充放電サイクル回数によるステップS102〜S104の処理を繰り返し実行したか否かについて判定する(ステップS105)。
ここで、規定の充放電サイクルに応じた回数のステップS102〜S104の処理を実行していないと判定した場合(ステップS105−NO)、コンピュータは、ステップS102に処理を戻す。これにより、次の充放電サイクルに応じたステップS102〜S104の処理が実行される。
一方、規定の充放電サイクルに応じた回数のステップS102〜S104の処理を実行したと判定した場合(ステップS105−YES)、コンピュータは、これまでの処理により求められたサイクルごとの劣化の状態に基づいてサイクル劣化モデルを生成する。そして、コンピュータは、生成したサイクル劣化モデルを出力する(ステップS106)。
【0053】
なお、サイクル劣化モデルを生成するための試験における充放電サイクル回数は、ある程度の劣化状態を出現させればよく、例えば数百回程度である。また、保存劣化モデルを生成するための試験における保存時間は例えば数ヶ月程度である。
【0054】
[乖離判定部、劣化要因推定部、モデル変更部の処理の具体例]
図7を参照して、乖離判定部206による判定手法の一具体例について説明する。この説明にあたり、実判定パラメータと推定判定パラメータはそれぞれ容量維持率により表されるものとする。これまでの説明から理解されるように、蓄電池103は劣化の進行に応じて容量維持率が減少する。
【0055】
図7における曲線f1は、モデルデータ記憶部204が記憶する基本モデルデータ301と劣化モデルデータ302に基づいて推定される、充放電サイクル回数(横軸)に応じた容量維持率(縦軸)の変化を示している。
また、曲線f2は、状態検出部201により検出された電池容量に基づく実判定パラメータである容量維持率についての充放電サイクル回数に応じた変化を示している。
なお、下限許容値limは、蓄電池103が寿命に至ったとする状態に対応する容量維持率の値である。
また、横軸は、充放電サイクル回数に代えて、例えば蓄電池103の稼働時間などとしてもよい。
【0056】
乖離判定部206は、例えば状態検出部201により電池容量が検出されるごとに、検出された電池容量に基づいて、実判定パラメータとしての容量維持率(実容量維持率)を求める。乖離判定部206は、求めた実容量維持率と、現在の充放電サイクル回数に対応して曲線f1により示される推定判定パラメータとしての容量維持率(推定容量維持率)とが一定以上に乖離している否かについて判定する。
【0057】
つまり、本実施形態においては、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上に乖離している状態が、蓄電池103において想定外の劣化要因による劣化が発生している状態に相当する。一方、実容量維持率と推定容量維持率との乖離が一定未満の状態は、蓄電池103において想定外の劣化要因による劣化は発生しておらず、想定内の劣化要因による劣化のみが発生している状態に相当する。
【0058】
本実施形態において、想定内の劣化要因による劣化は、
図7との対応では、曲線f1が示す充放電サイクル回数に応じた容量維持率の変化として示される。
前述のように、
図7の曲線f1は、モデルデータ記憶部204が記憶する基本モデルデータ301と劣化モデルデータ302(サイクル劣化モデルデータ311、保存劣化モデルデータ312)に基づく容量維持率についての推定結果である。
【0059】
一例として、劣化モデルデータ302におけるサイクル劣化モデルデータ311に適用されるサイクル劣化モデルは、ルート則、負極の不働態SEI膜の成長、正極の構造転移(表面相転移層の進展)に対応する劣化モデルを含んだものである。なお、ここでのルート則は、蓄電池の容量維持率の低下が充放電サイクル回数(または稼働時間)の平方根に比例するとの考え方に基づいて、充放電サイクル回数に応じた容量維持率の変化を表したものである。
また、劣化モデルデータ302における保存劣化モデルデータ312に適用される保存劣化モデルは、保存時間及び充放電中の時間の負極の不働態SEI膜の成長に対応する劣化モデルを含む。
【0060】
ここで、蓄電池の劣化要因としては、上記のルート則、負極の不働態SEI膜の成長、正極の構造転移に該当しないものが存在する。例えば、
図4の劣化要因データベース400において示した、負極におけるリチウムの析出、負極の集電体からの剥離、正極の集電体からの剥離、正極における活物質割れ、負極における活物質割れ、電解液劣化などである。
【0061】
従って、一具体例として、本実施形態における想定内の劣化要因による劣化とは、ルート則の前提となる劣化要因、負極の不働態SEI膜の成長、正極の構造転移の少なくともいずれか1つによる劣化である。
一方、想定外の劣化要因による劣化は、上記したように、負極におけるリチウムの析出、負極の集電体からの剥離(負極集電体剥離)、正極の集電体からの剥離(正極集電体剥離)、正極における活物質割れ、負極における活物質割れ、電解液劣化などにおける少なくともいずれか1つによる劣化である。
【0062】
図7においては、曲線f2により示される実容量維持率の充放電サイクル回数に応じた変化が、充放電サイクル回数N1以降において、曲線f1が示す推定容量維持率から乖離しはじめ、徐々に乖離の度合い大きくなっていく状態が示されている。
つまり、曲線f2により示される実容量維持率の変化は、充放電サイクル回数N1以降において、蓄電池103に想定外の劣化要因による劣化が発生していることを示している。
【0063】
上記のように曲線f2により示される実容量維持率が、曲線f1により示される推定容量維持率から乖離していく度合いが大きくなっていく過程において、乖離判定部206は、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示しているか否かについて判定する。
【0064】
上記の乖離判定の手法として3つの例を挙げて説明する。まず、乖離判定手法の第1例について、同じく
図7を参照して説明する。
第1例の乖離判定部206は、推定容量維持率z1と実容量維持率z2との差分の絶対値の推定容量維持率z1に対する比率が一定以上になったときに、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定する。
つまり、乖離判定部206は、推定容量維持率z1と実容量維持率z2との差分の絶対値の推定容量維持率z1に対する比率α(判定対象値)について下記の式により求める。
α=|(z1−z2)|/z1
乖離判定部206は、上記のように求めた比率αと予め定めた閾値とを比較し、比率αが閾値以上であれば、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定する。
【0065】
図7では、充放電サイクル回数N2のときに、推定容量維持率z1と実容量維持率z2との差分Δzに応じた比率αが閾値以上となり、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定された場合を示している。
なお、第1例における変形例として、乖離判定部206は、推定容量維持率z1と実容量維持率z2との差分Δzの絶対値が予め定めた閾値以上となった場合に、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定するようにしてもよい。
【0066】
次に、
図8を参照して、乖離判定手法の第2例について説明する。なお、
図8に示される曲線f1、f2は
図7と同様である。
第1例の乖離判定部206は、状態検出部201による電池容量の検出に応じて実容量維持率を求めるごとに、曲線f1上で、今回求めた実容量維持率と同じ値の推定容量維持率が得られる充放電サイクル回数を求める。
例えば、
図8の充放電サイクル回数N3において、乖離判定部206が実容量維持率を求めた場合、このときに求められた実容量維持率と同じ値の推定容量維持率が得られる充放電サイクル回数として、充放電サイクル回数N4を求める。
乖離判定部206は、今回の実容量維持率を求めた充放電サイクル回数N3と、実容量維持率と同じ値の推定容量維持率が得られる充放電サイクル回数N4との差分ΔNの絶対値の充放電サイクル回数N3に対する比率が一定以上になったときに、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定する。
つまり、乖離判定部206は、充放電サイクル回数N3と充放電サイクル回数N4との差分の絶対値ΔNの充放電サイクル回数N3に対する比率β(判定対象値)について下記の式により求める。
β=|(N3−N4)|/N3
乖離判定部206は、上記のように求めた比率βと予め定めた閾値とを比較し、比率βが閾値以上であれば、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定する。
なお、第2例における変形例として、乖離判定部206は、充放電サイクル回数N3と充放電サイクル回数N4との差分ΔNの絶対値が予め定めた閾値以上となった場合に、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定するようにしてもよい。
【0067】
次に、
図9を参照して、乖離判定手法の第3例について説明する。なお、
図9に示される曲線f1、f2は
図7と同様である。
例えば、
図9において曲線f1として示す推定容量維持率は、初期から充放電サイクル回数N6までの間は、充放電回数サイクル回数の増加に応じて減少する割合が小さくなっていくように変化し、充放電サイクル回数N6を越えて寿命が近づくにつれて、大きく低下するような特性である。このような特性では、初期から充放電サイクル回数N6までの区間の曲線f1において変曲点は出現しない。
【0068】
一方、初期から充放電サイクル回数N6までの期間において、実容量維持率が推定容量維持率よりも低下するように乖離する状態がはじまるとき、曲線f2には変曲点ipが出現する。そこで、乖離判定部206は、実容量維持率の変化を監視し、実容量維持率を示す曲線f2に変曲点ipが出現したときに、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定する。
【0069】
なお、第3例における変形例として、乖離判定部206は、曲線f1の曲率と曲線f2の曲率との差分、あるいは曲率の差分に基づく比率が一定以上となるのに応じて、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定するようにしてもよい。
【0070】
また、
図7〜
図9により説明した乖離判定は、横軸が充放電サイクル回数に代えて蓄電池103の稼働時間である場合にも、同様に行うことができる。
【0071】
ここで、上記のように推定蓄電量と実蓄電量とが一定以上の乖離を示すこととなった場合には、これまでの劣化モデルでは適切な状態推定を行えないことになる。これに伴い、蓄電池情報生成部210が推定する蓄電池103の余寿命についても大きな誤差を生じる可能性がある。
【0072】
そこで、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因が反映される劣化モデルを得るために、劣化要因推定部207とモデル変更部209は、例えば以下のように処理を実行する。
【0073】
まず、劣化要因推定部207は、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因を推定する。このために、前述もしたように、劣化要因推定部207は、運用履歴情報記憶部203に記憶されている運用履歴情報を基に照合情報を生成し、この照合情報と、劣化要因データベース400における運用条件とを照合する。
【0074】
具体例として、照合情報により、蓄電池103が10℃以下となる低温の温度環境となる時間(温度環境該当時間)が、これまでの運用期間における40%以上であることが示されているとする。また、照合情報により、100サイクルあたりの容量減少率が40%以上であったことが示されているとする。また、照合情報により、放電電流レートが0.5Cで100%の時間にわたって運用したことが示されているとする。
【0075】
この照合状態と
図4の劣化要因データベース400の運用条件とを照合した場合、まず、「負極:集電体剥離」の劣化要因に対応する容量減少率は100サイクルあたり30%以上である。この条件には、100サイクルあたりの容量の低下率が40%以上という照合情報が該当する。しかし、「負極:集電体剥離」の劣化要因に対応する放電電流レートが2C以上であるのに対して、照合情報の放電電流レートは0.5Cであるため、放電電流レートについては運用条件に該当しない。したがって、劣化要因推定部207は、「負極:集電体剥離」は、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因ではないと判定する。
【0076】
一方、「負極:Li析出」の劣化要因に対応する容量減少率は100サイクルあたり40%以上であり、照合情報が示す100サイクルあたりの容量減少率も40%以上であるから、この照合情報は、「負極:Li析出」の劣化要因の運用条件に該当する。
また、「負極:Li析出」の劣化要因に対応する温度環境と温度環境該当時間は10℃以下、30%以上であり、照合情報が示す温度環境と温度環境該当時間は10℃以下、40%以上であるから、この照合情報も「負極:Li析出」の劣化要因の運用条件に該当する。そこで、劣化要因推定部207は、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因は、「負極:Li析出」であると推定する。
【0077】
モデル変更部209は、劣化モデルデータ302を変更するにあたり、推定された劣化要因に基づいて抵抗成分を設定する。なお、モデル変更部209は、抵抗成分を設定するにあたり、例えば時間などについての所定の関数を利用した演算により抵抗成分を求める。ここで、「負極:Li析出」の劣化要因に応じて求められた抵抗成分をRnとする。
モデル変更部209は、抵抗成分Rnを付加するように劣化モデルを変更する。この際、モデル変更部209は、抵抗成分Rnが付加された劣化モデルとなるように、劣化モデルデータ302を変更する。
モデル変更部209は、劣化モデルデータ302を変更するにあたり、サイクル劣化モデルデータ311と保存劣化モデルデータ312を変更すればよい。あるいは、モデル変更部209は、劣化要因推定部207により推定された劣化要因に応じて、サイクル劣化モデルデータ311と保存劣化モデルデータ312のうちでいずれか適切な方を変更してもよい。
【0078】
このように劣化モデルデータ302が変更されるのに応じて、この劣化モデルデータ302を利用してモデル部205が出力する蓄電池103の状態についての推定結果が
図7〜
図9などと異なってくる。
図10において、曲線f3は、抵抗成分Rnを付加したことにより変更された劣化モデルに基づく充放電サイクル回数に応じた容量維持率の変化を示している。なお、この図においては、
図9の第3例の乖離判定結果に応じて劣化モデルを変更した例を示している。
【0079】
曲線f3と曲線f2とを比較して分かるように、曲線f3は、曲線f2に近似したものとなっている。つまり、蓄電池103に生じた劣化についての劣化要因が劣化モデルに反映されたことにより、予測される劣化状態が実際の劣化状態に近いものとなっている。
【0080】
これにより、蓄電池情報生成部210が行う寿命の推定についてもその精度の低下を抑制できる。
具体的に、
図7〜
図10のようにモデル部205により充放電サイクル回数に応じた容量維持率が推定される場合、蓄電池情報生成部210は以下のように寿命推定を行うことができる。
例えば、
図7〜
図10に示した曲線f1、f3によっては、容量維持率が下限許容値limとなるときの充放電サイクル回数を予測できる。この容量維持率が下限許容値limとなるときの充放電サイクル回数とは、すなわち、蓄電池103が寿命となるときの充放電サイクル回数である。
【0081】
そこで、蓄電池情報生成部210は、劣化モデルを利用して、例えば蓄電池103が寿命となるときの充放電サイクル回数を予測する。そして、この予測された充放電サイクル回数から、運用履歴情報が示す現在の充放電サイクル回数を減算すれば、蓄電池103が寿命となるまでの充放電サイクル回数を予測することができる。つまり、蓄電池103の余寿命が予測される。
【0082】
ここで、想定外の劣化要因による劣化が生じた場合には、蓄電池103の余寿命は短くなる可能性が高い。しかし、劣化モデルが変更されないとすると、蓄電池情報生成部210は、充放電サイクル回数がN回目のときにおける蓄電池103の余寿命Lfを、
図7の曲線f1に基づいて予測することになる。このように予測される蓄電池103の余寿命Lfは、実際よりも長いものとなってしまい、大きな誤差を生じる。
これに対して、
図10のように劣化モデルが変更された場合、蓄電池情報生成部210が予測する蓄電池の余寿命Lfは、
図7〜
図9と比較して大幅に短縮されている。このように、劣化モデルが変更されることで、蓄電池情報生成部210は、想定外の劣化要因による劣化が生じたことによって短縮した余寿命を高い精度で推定することができる。
これにより、本実施形態によっては、例えば余寿命などの蓄電池103についての劣化状態を推定するにあたり、想定外の劣化要因による劣化が発生した場合における推定精度の低下を有効に抑制できるものである。
【0083】
[処理手順例]
図11は、劣化モデルを変更するために蓄電池管理装置107Aが実行する処理手順例を示している。
蓄電池管理装置107Aにおいて、乖離判定部206は、状態検出部201が検出した蓄電池103の電池容量を利用して、蓄電池103についての判定パラメータである実容量維持率を求める。(ステップS201)。
次に、モデル部205は、基本モデルデータ301が示す基本モデルと、劣化モデルデータ302が示す劣化モデルとにしたがって蓄電池103の推定容量維持率を求める(ステップS202)。
【0084】
乖離判定部206は、ステップS201により求められた実容量維持率と、ステップS202により求められた推定容量維持率とに基づいて、例えば
図7〜
図9により説明した乖離判定手法のいずれかにより乖離判定を行う(ステップS203)。そして、乖離判定部206は、ステップS203により実容量維持率と推定容量維持率とについて一定以上の乖離を示しているとの判定結果が得られたか否かについて判定する(ステップS204)。
【0085】
実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していない場合には(ステップS204−NO)、同図に示す処理を終了する。
これに対して、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示している場合(ステップS204−YES)、劣化要因推定部207は、運用履歴情報から生成した照合情報を劣化要因データベース400と照合することにより、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因を推定する(ステップS205)。
【0086】
モデル変更部209は、例えば前述のように、ステップS205により推定された劣化要因に応じた抵抗成分が劣化モデルに付加されるように劣化モデルデータ302を変更する(ステップS206)。
【0087】
なお、図示は省略するが、本実施形態の蓄電池管理装置107Aは、劣化抑制制御部をさらに備えてもよい。劣化抑制制御部は、劣化要因推定部207により推定された劣化要因による劣化が抑制されるように蓄電池103の運転を制御する。
劣化抑制制御部を備えるのに応じて、蓄電池管理装置107Aは、制御パターンテーブルを記憶すればよい。制御パターンテーブルは、例えば
図4の劣化要因データベースにおいて示される劣化要因ごとに、その劣化要因による蓄電池103の劣化を抑制するように劣化抑制制御部が実行すべき制御内容を示したテーブルである。
劣化抑制制御部は、劣化要因推定部207により推定された劣化要因に応じた制御内容を制御パターンテーブルから取得し、取得した制御内容に従って蓄電池103の運転を制御する。これにより、劣化要因推定部207により推定された劣化要因による蓄電池103の劣化の進行を抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態の蓄電池管理装置107Aは、これまでの説明のように施設100ごとに備えられてもよいし、複数の施設100に対して共通に備えられるようにしてもよい。
複数の施設100に対して1つの蓄電池管理装置107Aが共通に備えられる場合、施設100の各々と蓄電池管理装置107Aとをネットワーク経由で通信可能に接続する。そのうえで、各施設100が電池容量などの所定の状態を検出するとともに運用履歴情報を管理し、蓄電池103についての状態検出結果と運用履歴情報とを蓄電池管理装置107Aに送信する。そして、蓄電池管理装置107Aは、各施設100において検出された電池容量などの状態と運用履歴情報とを利用して、各施設100における蓄電池103の劣化推定を行う。また、蓄電池管理装置107Aは、施設100における蓄電池103ごとに乖離判定を行い、或る施設100において一定以上の乖離が生じていると判定した場合には劣化要因を推定し、推定した劣化要因に基づいて、該当の施設100における劣化モデルデータ302を変更する。さらに、蓄電池管理装置107Aは、推定した劣化要因による劣化が進行しないように、該当の施設100における蓄電池103の運転を制御してもよい。
【0089】
また、
図11に示す劣化モデルの変更のための処理は、例えば、蓄電池103の運用過程において、一定回数の充放電サイクルが行われるごとに実行すればよい。あるいは、一定時間が経過するごとに実行してもよい。
また、例えばユーザからの指示などにより、余寿命などを示す蓄電池情報を生成する必要のあるときに、蓄電池情報の生成に先立って劣化モデルの変更のための処理を実行すれば、より高い精度の推定結果を示す蓄電池情報が得られる。
また、蓄電池情報生成部210が生成する蓄電池情報は、余寿命を示す情報以外であってもよい。例えば、蓄電池103の劣化状態に応じて最も適切とされる充電率などを推定してもよい。
また、例えば
図1に示す構成は、蓄電池103の劣化状態を推定する蓄電池管理装置107Aを管理装置107が備えるものとしているが、管理装置107と蓄電池管理装置107Aとをそれぞれ個別の装置として構成してもよい。
【0090】
また、
図2における各機能部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりモデルの変更を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0091】
また、「コンピュータシステム」は、WWWなどのネットワークを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0092】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。