【実施例1】
【0027】
点滴用翼状針廃棄ケースC
1 は、
図1〜
図6に示されるように、射出成形による樹脂成形品であって、長方形の平面形状を有する深い箱形をなしている。当該ケースC
1 は、長方形の深い箱型をしたケース本体Bと、当該ケース本体Bの上端部の4辺のうち1辺の長辺部にヒンジ部1を介して連結されて当該ケース本体Bの開口2を閉塞する外蓋L
1 と、当該ケース本体Bの開口2に臨んだ状態で嵌着される内蓋L
2 とから成る。
【0028】
ケース本体Bは、底板部3と、対向配置された一対の第1側板部4と、当該一対の第1側板部4の対向方向に対して90°異なる方向に沿って対向配置された別の一対の第2側板部5との、計5枚の各板部が一体となった構成であって、一対の第1側板部4及び別の一対の第2側板部5の対向間隔は、いずれも底板部3から開口2に向けて漸次僅かに広くなることで、僅かに外方に傾斜している。一対の第1側板部4は、平面視で長方形状の部分の長辺部を構成しており、一対の第2側板部5は、同じく短辺部を構成している。一対の第1側板部5の内側面には、内蓋L
2 の支持と補強とを兼用した計4本の縦リブ6が、底面から高さ方向の途中まで対向して設けられ、一対の第2側板部4には、同様の計2本の縦リブ7が対向して設けられている。各縦リブ6,7の上端面には、ケース本体Bの開口2に嵌着される内蓋L
2 の下端面が当接するため、ケース本体Bにおける各縦リブ6,7の高さの範囲は、翼状針N
11或いは一般注射針類の第1及び第2の各廃棄収容空間V
1 ,V
2 となっていて、各廃棄収容空間V
1 ,V
2 は、仕切板8により仕切られている。
【0029】
図5に詳細に図示されているように、ケース本体Bの第1及び第2の各側板部4,5の上端部は、外側にのみ段差で形成されることで、全周に亘って薄肉に形成されて、当該薄肉部の上半部の外側には、外蓋L
1 を係止させる外蓋係止凸条11が前記ヒンジ部1を除く全周に亘って形成されることで、当該薄肉部の下半部には、外蓋係止凹条12が形成されている。なお、ケース本体Bの第1及び第2の各側板部4,5の上端部に、外蓋係止凸条11及び外蓋係止凹条12が形成されることで、外蓋L
1 の対応部分には、それぞれ被係止凹条13及び被係止凸条14が形成されている。外蓋L
1 におけるヒンジ部1と対向する長辺部の中央部には、ケース本体Bに対して外蓋L
1 が係止された状態で、当該係止を解除させるための係止解除片15が設けられている。
【0030】
内蓋L
2 は、本発明に係る翼状針廃棄ケースの主体となる部分であって、翼状針N
11(N
12)を投入して廃棄収容する翼状針投入部A
1 と、一般の注射針、注射液アンプル等を投入して廃棄収容する一般注射針類投入部A
2 とが、長手方向に沿って併設されている。
【0031】
翼状針には、
図7に示されるように、直角に折り曲げられた金属針21の基端部に一対の翼片22が一体に設けられていて、短チューブ23が接続されることで、当該金属針21が露出した翼状針N
11と、人体(静脈)に穿刺する前後において、金属針21の先端部が保護部24に収容保護される翼状針N
12とがあって、後述の突刺固定部D又は弾接保持部Eに引っ掛けられるのは、前者の翼状針N
11である。なお、
図7において、25は、短チューブ23を圧縮させて、当該短チューブ23を流れる薬液を止める薬液止具であり、26は、点滴装置の他のチューブに接続する接続具を示す。
【0032】
内蓋L
2 は、
図2に示されるように、平面視で方形状をなしていて、翼状針投入部A
1 の部分は、全体が方形枠状に形成され、一般注射針類投入部A
2 の部分は、方形枠部に、緩やかな逆角錐状の天板部51が設けられた形状となっている。即ち、翼状針投入部A
1 は、長方形枠の隣接する2辺の部分に、翼状針N
11を引っ掛けるための突刺固定部Dが形成され、残りの隣接する2辺の部分に、同様の弾接保持部Eが形成されて、中央部の開口は、翼状針N
11に接続している短チューブを挿通させる短チューブ挿通開口30となっている。
【0033】
突刺固定部Dは、長方形枠状をした翼状針投入部A
1 の連続する2辺の部分に設けられ、内蓋L
2 を構成する外縦板部31の内側に、所定間隔をおいて全体形状がL字形の第1内縦板部32が形成されて、上端の部分が、全体形状がL字形をした天板部33で覆われ、当該天板部33にL字状の針挿入溝34が形成され、前記外縦板部31、第1内縦板部32及び天板部33で形成される針挿入空間35に、当該針挿入空間35の下面開口からスポンジ体36が天板部33の部分まで挿入された構成である。スポンジ体36は、接着剤により外縦板部31及び第1内縦板部32の各内面に強固に固定されている。このため、スポンジ体36は、内蓋L
2 の上端面(天板部の33の上面)に対して、当該天板部の33の板厚分だけ下がった位置に配置されている。このように構成したのは、針挿入溝34を通して翼状針N
11をスポンジ体36に突刺・貫通させることで、当該スポンジ体36に翼状針N
11を引っ掛けて固定した状態で、翼状針N
11に含まれている血液が流出してスポンジ体36に付着された場合においても、当該血液の部分が内蓋L
2 の表面に露出して、廃棄ケースの取扱者に不快感を与えるのを防止するためである。
【0034】
弾接保持部Eは、長方形枠状をした翼状針投入部A
1 の残りの連続する2辺の部分に設けられ、平面視でL字状をした底板部41の上面に、翼状針N
11の一対の翼片22を上方に折り曲げて開放することで弾接する弾接板部42が一定の間隔をおいて設けられ、底板部41における隣接する弾接板部42の間には、翼状針N
11を挿通させる針挿通孔43が設けられた構成である。なお、上記した2辺のコーナー部の直交する弾接板部42で囲まれた部分は、翼状針N
11の翼片22を弾接させられない使用不能部である。
【0035】
内蓋L
2 の翼状針投入部A
1 に併設された一般注射針類投入部A
2 は、全体が方形枠状に形成された方形枠部に、緩やかな逆角錐状の天板部51が設けられ、最も低い中央の投入口52の部分は、他の部分よりも薄肉に形成されて、複数の切割53が放射方向に形成されることで複数の弾性片54が設けられ、各弾性片54を下方に弾性変形させることで、投入口52が形成され、非投入時には、当該投入口52は、複数の弾性片54で閉塞されている。また、特定の一つの切割53に接続して、一般の注射針N
2 の基端の鍔部N
2aを引っ掛けて注射筒から抜き取るための注射針抜取り溝55が放射方向に形成されている。
【0036】
長方形枠状の内蓋L
2 は、ケース本体Bの開口2に嵌着されて、内蓋L
2 の下端面は、各縦リブ6,7の上端面に当接することで、ケース本体Bに支持される。ケース本体Bの開口2に内蓋L
2 が嵌着された状態において、当該内蓋L
2 の上端面は、ケース本体Bの開口面よりも僅かに下がっていて、ケース本体Bの第1及び第2の各側板部4,5と内蓋L
2 との間には、所定の段差が形成されている。また、一般注射針類投入部A
2 は、上面開口が天板部51で閉塞された方形枠状に形成されていて、当該方形枠の3辺部は、内蓋L
2 を構成する外縦板部31で形成され、嵌着状態でケース本体Bの第2側板部5と平行に配置される残りの1辺部を構成する第2内縦板部37は、ケース本体Bの内部に設けられた仕切板8に当接する(
図4参照)。
【0037】
上記した翼状針廃棄ケースC
1 の大きさは、〔縦寸法(K
1 )×横寸法(K
2 )×高さ寸法(K
3 )〕=(155×80×125)mmであって(
図1参照)、携帯可能なサイズであり、自宅で人工透析等を行うことで発生した使用済の翼状針N
11,N
12を廃棄収容して、掛り付けの医療機関に持参することで、そのままの状態で焼却処分される。
【0038】
次に、
図7〜
図10を参照して、上記した翼状針廃棄ケースC
1 の使用方法について説明する。翼状針N
11を廃棄するに際して、当該翼状針N
11を引っ掛けて固定するには、突刺固定部D又は弾接保持部Eのいずれかを使用する。突刺固定部Dを使用する場合には、
図7及び
図8に示されるように、ケース本体Bの開口を覆蓋している外蓋L
1 を開いて、金属針から成って、ほぼ直角に折り曲げられている翼状針N
11に接続されている短チューブ23の部分を、翼状針投入部A
1 の短チューブ挿通開口30に挿通して、そのまま落下させることで、第1廃棄収容空間V
1 に収容させた状態で、当該翼状針N
11の先端部を、針挿入溝34から挿入してスポンジ体36を貫通させて、当該スポンジ体36に翼状針N
11を引っ掛ける。これにより、当該翼状針N
11の基端部、及び当該部分に接続された短チューブ23の短い長さの部分は、上方に突出することなく、ほぼ水平に保持されて、翼状針N
11及びこれに接続された短チューブ23が廃棄ケースC
1 に廃棄収容される。
【0039】
ここで、スポンジ体36は、内蓋L
2 の表面(天板部33の表面)よりも下がった部分に配置され、しかも幅の狭い針挿入溝34を通してのみ視認される構成であるので、翼状針N
11を構成する金属針21又は短チューブ23に含まれていた血液又は薬液、特に血液が流出して、スポンジ体36に付着したとしても、当該血液は、殆ど視認されない。よって、廃棄ケースC
1 の外蓋L
1 が開いている状態において、他人の血液が視認される不快感がなくなる。
【0040】
一方、弾接保持部Eを使用する場合には、
図7〜
図9に示されるように、短チューブ23を第1廃棄収容空間V
1 に収容した状態で、翼状針N
11の基端部に設けられた一対の翼片22を上方に折り曲げた状態で、弾接保持部Eを構成する底板部41に設けられた針挿通孔43に翼状針N
11を挿通させて、折り曲げられた一対の翼片22を開放させると、当該一対の翼片22は、その弾性復元力により、隣接する一対の弾接板部42に弾接されて、底板部41の針挿通孔43に翼状針N
11が引っ掛けられた状態が保持される。
【0041】
このようにして、使用済の多数本の翼状針N
11の金属針21の部分を、内蓋L
2 に設けられた突刺固定部D又は弾接保持部Eに引っ掛けて固定して、短チューブ23の部分のみを短チューブ挿通開口30を通して第1廃棄収容空間V
1 に収容することで、多数本の翼状針N
11を廃棄収容する際に、当該翼状針N
11の金属針21の部分が自身の、又は他の翼状針N
11の短チューブ23に絡み付くことなく、整然と廃棄収容できる。なお、翼状針N
12の金属針21は、使用後において保護部24に部分収容されて露出していないので、短チューブ挿通開口30を通して、翼状針N
12の全体を、そのまま第1廃棄収容空間V
1 に廃棄収容する。
【0042】
一方、在宅においても、一般の注射器を使用して皮下注射することがあり、これに使用された一般注射針N
2 、注射液の入ったアンプル62等を廃棄処分したい場合があり、この場合には、内蓋L
2 の翼状針投入部A
1 に併設された一般注射針類投入部A
2 を用いて、一般注射針N
2 等の廃棄処分を行う。
【0043】
注射液のアンプル62を廃棄する場合には、一般注射針類投入部A
2 の投入口52の部分にアンプル62を押し付けて、各弾性片54を下方に弾性変形させて、投入口52を形成することで、当該アンプル62は、投入口52を通って第2廃棄収容空間V
2 に収容される。
【0044】
また、一般注射針N
2 を廃棄する場合には、
図10に示されるように、注射筒61に取付けられた一般注射針N
2 を投入口52に挿入して、注射針抜取り溝55に接続する切割53の両側の弾性片54を下方に弾性変形させることで、当該一般注射針N
2 の基端部の鍔部N
2aを注射針抜取り溝55の下方に配置させ、この状態で、注射筒61を上方に引き上げると、当該注射筒61から一般注射針N
2 が外されて、第2廃棄収容空間V
2 に落下して収容される。
【0045】
注射液のアンプル62、一般注射針N
2 等の翼状針N
11,N
12以外の一般注射針類が第2廃棄収容空間V
2 に収容されると、複数の弾性片54が原形状に復帰して投入口52を閉塞するため、廃棄ケースC
1 が転倒しても、収容されている一般注射針類が投入口52を通って外部に出されることがないと共に、第2廃棄収容空間V
2 に収容されている一般注射針類は、外部からは視認できない。
【0046】
このように、翼状針廃棄ケースC
1 は、翼状針投入部A
1 と一般注射針類投入部A
2 との2種類の異なる構造の投入部を備えていて、翼状針N
11,N
12と、一般注射針類とを分別して廃棄収容できるため、翼状針N
11,N
12と一般注射針N
2 とが絡み付いたりして、後の翼状針N
11,N
12の廃棄投入に支障を来すことがなくなり、しかも外蓋L
1 が開いた状態で廃棄ケースC
1 が転倒しても、一般注射針類が飛び出ない利点がある。
【0047】
また、突刺固定部Dの上記構造では、スポンジ体36は、ケース本体Bを構成する外縦板部31と第1内縦板部32との間に接着剤により固定するものであるが、
図11に示されるように、外縦板部31及び第1内縦板部32におけるスポンジ体36の配置部に段差部31a,32aを設けて、当該段差部31a,32aと接着力との双方によりスポンジ体36を支持固定する構造にしてもよい。この構造では、天板部33’は、スポンジ体36の配置後において、外縦板部31及び第1内縦板部32に対して接着剤等により固定する必要がある。