(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の水中油型皮膚化粧料は、成分(A)として、非イオン界面活性剤を含有する。かかる成分(A)を含有することにより、各成分を安定的に分散させつつ、さらに後述する成分(C)のl−メントール又はその誘導体との質量比が特定の範囲であることにより、冷涼感の持続性を高め、また使用感の向上も図ることができる。
【0011】
成分(A)の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これら成分(A)のなかでも、後述する成分(C)の皮膚への吸着性を確保しつつ、冷涼感の持続性を高める観点から、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
【0012】
ポリエーテル変性シリコーンのシリコーン鎖は、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよく、例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖・シリコーン鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらポリエーテル変性シリコーンのなかでも、冷涼感の持続性を高める観点から、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体が好ましい。
【0013】
また、成分(A)のHLBは、成分(C)等の皮膚への吸着性や冷涼感の持続性を高める観点から、12〜20が好ましく、13〜18がより好ましい。なお、HLBとは、Griffinの式により求められる値である。
【0014】
成分(A)の含有量は、各成分の分散性や冷涼感の持続性を確保する観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.008質量%以上であり、さらに好ましくは0.01質量%以上である。成分(A)の含有量は、冷涼感を高めつつ、良好な使用感を保持する観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.08質量%以下であり、さらに好ましくは0.07質量%以下である。また、成分(A)の含有量は、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは0.005〜0.1質量%であり、より好ましくは0.008〜0.08質量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.07質量%である。
成分(A)以外の界面活性剤であるアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤は含有しても良いが、塗布性の点から、実質的に含有しないことが好ましい。なお、これらの界面活性剤を実質的に含有しないとは、不可避的に混入する場合を除き、これらの界面活性剤を含有しないことを意味する。
【0015】
本発明の水中油型皮膚化粧料は、成分(B)として、成分(A)以外のシリコーン油を含有する。かかる成分(B)を含有することにより、素早く均一な塗れ広がりをもたらす良好な塗布性を確保しつつ、成分(C)の皮膚上での吸着性を高めて、即効性かつ持続性のある冷涼感をもたらし、さらにべたつきのない良好なさらさら感をも付与することができる。
【0016】
成分(B)のシリコーン油としては、成分(A)以外の界面活性能を有さないシリコーン油である、直鎖状シリコーン油、及び環状シリコーン油である非変性シリコーン油が好ましく、具体的には、例えば、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これら成分(B)のなかでも、良好な塗布性や使用感を確保する観点から、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ジメチルポリシロキサン、及びデカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
【0017】
成分(B)の含有量は、即効性かつ持続性のある冷涼感をもたらす観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上である。成分(B)の含有量は、良好な冷涼感の発現と、さらさら感やべたつき感のなさ等の使用感との両立を図る観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。また、成分(B)の含有量は、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは0.5〜35質量%であり、より好ましくは1〜25質量%であり、さらに好ましくは2〜10質量%である。
【0018】
本発明の水中油型皮膚化粧料は、成分(C)として、l−メントール又はその誘導体を0.01質量%以上2.5質量%以下含有する。かかる成分(C)を含有することにより、良好な冷涼感を付与することができる。l−メントールの誘導体としては、例えば、乳酸メンチル、酢酸メンチル、メントン等が挙げられる。これら成分(C)のl−メントール又はその誘導体は、1種又は2種以上用いることができ、なかでもl−メントールが好ましい。
【0019】
成分(C)の含有量は、即効性及び持続性のある冷涼感を良好にもたらす観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、0.01質量%以上であって、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.07質量%以上である。成分(C)の含有量は、良好な使用感を確保する観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、2.5質量%以下であって、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。また、成分(C)の含有量は、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、0.01〜2.5質量%であって、好ましくは0.05〜1.5質量%であり、より好ましくは0.07〜1質量%である。
【0020】
成分(A)と成分(C)の質量比((C)/(A))は、即効性及び持続性のある冷涼感をもたらしつつ、良好なさらさら感やべたつき感のなさを付与する観点から、10以上であって、好ましくは20以上であり、より好ましくは30以上であり、好ましくは200以下であり、より好ましくは150以下であり、さらに好ましくは100以下である。
【0021】
成分(A)と成分(B)の質量比((B)/(A))は、各成分の良好な分散性を確保しつつ塗布性を高めて優れた冷涼感を発揮する観点から、好ましくは50以上であり、より好ましくは100以上、さらに好ましくは200以上である。成分(A)と成分(B)の質量比((B)/(A))は、成分(C)等の皮膚への吸着性を確保して優れた冷涼感を発揮する観点から、好ましくは1000以下であり、より好ましくは800以下、さらに好ましくは600以下である。
【0022】
本発明の水中油型皮膚化粧料は、皮膚に塗布した際に、他の成分の作用とも相まって成分(C)のl−メントール又はその誘導体とともに皮膚上に良好に吸着され、肌にさらさら感をもたらしつつ成分(C)によってもたらされる冷涼感を良好に持続させる観点から、さらに成分(D)として、水不溶性粉体を含有することが好ましい。
【0023】
成分(D)の水不溶性粉体としては、具体的には、水不溶性有機粉体、及び水不溶性無機粉体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。かかる水不溶性有機粉体、すなわち水不溶性の有機粉体としては、例えば、シリコーンパウダー、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸又はアクリル酸エステル重合体、メタクリル酸又はメタクリル酸エステル重合体、アクリル酸/スチレン共重合体、及びスチレン/ジビニルベンゼン共重合体等の粉体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これら水不溶性有機粉体のなかでも、皮膚上での吸着性を高める観点、及びさらさら感を付与する観点から、シリコーンパウダーが好ましい。
【0024】
シリコーンパウダーとは、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムを粉末化したものであり、シリコーン樹脂及びシリコーンゴムを形成するオルガノポリシロキサンの種類、充填剤、硬化剤、有機基とケイ素のモル比等に制限されない。かかるシリコーンパウダーの形状としては、略球状が好ましい。シリコーンパウダーの市販品としては、シリコーンパウダー(信越化学工業(株)製)、トスパール(東芝シリコーン(株)製)、トレフィル(東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
【0025】
また、水不溶性無機粉体、すなわち水不溶性の無機粉体としては、例えば、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、珪藻土、シリカ(ケイ酸、無水ケイ酸)、ケイ酸マグネシウム、雲母、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ミョウバン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム等の粉体、及びこれらの粉体表面をシランカップリング剤等で化学的に改質したものから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これら水不溶性無機粉体のなかでも、原料入手の観点から、表面を改質していない粉体が好ましく、タルク、カオリン及びシリカから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、タルクがさらに好ましい。
【0026】
成分(D)の形状は特に限定されず、板状、塊状、鱗片状、球状等のいずれであってもよく、皮膚感触を高める観点から、板状、鱗片状、球状等の粉体がより好ましく、球状であることがさらに好ましい。
成分(D)の大きさは、塗布性を高めて良好な冷涼感をもたらす観点、及びさらさら感等の使用感を高める観点から、平均粒径が0.1〜50μmのものが好ましく、平均粒径が1〜20μmの粉体がより好ましい。
【0027】
成分(D)の含有量は、皮膚上での良好な吸着性を確保して冷涼感を高めつつ、さらさら感等の使用感を高める観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは1.5質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上である。成分(D)の含有量は、化粧料中における良好な分散性を保持する観点、及び皮膚上での塗れ広がり性等の塗布性を確保して冷涼感を高める観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。また、成分(D)の含有量は、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは1.5〜40質量%であり、より好ましくは2〜30質量%であり、さらに好ましくは3〜20質量%である。
【0028】
本発明の水中油型皮膚化粧料は、皮膚上で素早く塗れ広がる良好な塗布性を確保して冷涼感を高めつつ、べたつきのない良好なさらさら感をもたらす観点から、さらに成分(E)として、25℃で液状の極性油を含有することが好ましい。なお、液状とは、流動性を示すもので、クリーム状やペースト状のものをも含む意味である。
【0029】
成分(E)の25℃で液状の極性油としては、高級アルコール、高級脂肪酸及びエステル油から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。かかる高級アルコールとしては、具体的には、炭素数12〜28の高級アルコールが好ましく、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。高級脂肪酸としては、具体的には、炭素数12〜28の高級脂肪酸が好ましく、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソミリスチン酸、リノレン酸、リノール酸、リシノール酸、オキシステアリン酸等が挙げられる。エステル油としては、具体的には、炭素数8以上の高級脂肪酸とアルコールのエステルが好ましく、例えば、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ラウリン酸ヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、コレステリルエステル、モノイソステアリルグリセリルエーテル、オレイン酸モノグリセライド、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノオレエート等が挙げられる。
【0030】
これら成分(E)のなかでも、良好な塗布性を確保して成分(C)等の皮膚への吸着性をも高め、優れた冷涼感をもたらす観点から、高級アルコールが好ましく、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコールから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、オレイルアルコールがさらに好ましい。
【0031】
成分(E)の含有量は、良好な塗布性を確保して冷涼感を高める観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.015質量%以上であり、さらに好ましくは0.02質量%以上である。成分(E)の含有量は、さらさら感やべたつき感のなさ等の使用感を良好に保持する観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。また、成分(E)の含有量は、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは0.01〜15質量%であり、より好ましくは0.015〜10質量%であり、さらに好ましくは0.02〜5質量%である。
【0032】
本発明の水中油型皮膚化粧料は、適度な粘度を発揮するゲル相を形成して成分(C)を有効に包埋する一方、塗布時にはゲル相が素早く崩壊して均一に塗れ広がりつつ成分(C)を放出して、成分(C)を塗布した領域の隅々まで行き渡らせ、冷涼感の即効性及び持続性をともに高める観点から、さらに成分(F)の水溶性高分子を含有することが好ましい。
【0033】
成分(F)としては、アルキル変性カルボキシビニルポリマー及びカルボキシビニルポリマーから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。アルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が挙げられ、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が好ましい。かかるアルキル変性カルボキシビニルポリマーとして、例えば、アキュリン33(ローム・アンド・ハース・ジャパン社)等のアクリル酸アルキル共重合体;ペムレンTR−1、ペムレンTR−2、カーボポール1382、カーボポールETD2020等(Lubrizol社)等のアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体のような市販品を使用することができる。
【0034】
カルボキシビニルポリマーとしては、重量平均分子量が10万〜1000万であるものが好ましく、50万〜500万であるものがより好ましい。かかるカルボキシビニルポリマーとして、例えば、カーボポール980、カーボポール981、カーボポール934(以上、Lubrizol社製)等の市販品を使用することができる。
【0035】
これらのなかでも、成分(F)としては、濡れ肌への塗布性をも良好にする観点、及び即効性及び持続性のある冷涼感をもたらす観点から、アルキル変性カルボキシビニルポリマーが好ましく、またアルキル変性カルボキシビニルポリマーとカルボキシビニルポリマーを併用するのがより好ましい。
【0036】
成分(F)の含有量は、塗布性を高め、即効性及び持続性のある冷涼感をもたらす観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上である。成分(F)の含有量は、適度な粘度を保持して良好な塗布性を確保する観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。また、成分(F)の含有量は、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜7質量%であり、さらに好ましくは0.05〜5質量%である。
【0037】
本発明の水中油型皮膚化粧料は、良好な塗布性を付与し、即効性及び持続性のある冷涼感を確保する観点から、25℃での粘度が、好ましくは5000〜40000mPa・sであり、より好ましくは7500〜35000mPa・sであり、さらに好ましくは10000〜30000mPa・sである。
なお、水中油型皮膚化粧料の粘度は、B型のデジタル粘度計を用いて、25℃、回転速度12rpm、保持時間60s、ローターNo.M4の条件で測定することができる。
【0038】
本発明の水中油型皮膚化粧料は、上記各成分を良好に分散させる観点から、溶媒を含有するのが好ましい。溶媒としては水が好ましく、エタノール等の低級アルコールを含有しても良い。水の含有量は、各成分の均一な分散を確保して良好な塗布性を付与する観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは23質量%以上であり、より好ましくは35質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上である。水の含有量は、さらさら感等の良好な使用感を確保する観点から、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下であり、さらに好ましくは85質量%以下である。また、水の含有量は、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは23〜95質量%であり、より好ましくは35〜90質量%であり、さらに好ましくは50〜85質量%である。溶媒としてエタノールを用いる場合は、エタノールの含有量は、本発明の水中油型皮膚化粧料中に、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.7〜30質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0039】
さらに、本発明の水中油型皮膚化粧料は、本発明の効果を害さない範囲で、保湿成分、抗炎症剤、美白剤、UVケア剤、殺菌剤、防腐剤、制汗剤、香料等を含有することもできる。また、本発明の水中油型皮膚化粧料は、成分(A)、(B)、(C)及び(E)以外の油性成分を含有しても良いが、冷涼感の持続性を高める観点から、油脂類、ロウ類を実質的に含有しないことが好ましい。油脂類とは、植物油、動物油等のトリアシルグリセロール又はジアシルグリセロールをいい、ロウ類とは、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン等のことをいう。なお、これら油脂類、ロウ類を実質的に含有しないとは、不可避的に混入する場合を除き、これら油脂類、ロウ類を含有しないことを意味する。
【0040】
本発明の水中油型皮膚化粧料剤は、常法に従って上記成分を混合することにより製造することができる。
【0041】
本発明の水中油型皮膚化粧料は、皮膚、好ましくは頭以外の身体の皮膚に塗布した後にすすいで用いるための化粧料、例えば、塗布後にシャワー水や浴水などで軽くすすぐ、ボディーリンス剤として使用することができる。したがって、濡れ肌用ボディーリンス剤としても、好適に用いることができる。
【0042】
本発明の水中油型皮膚化粧料のボディーリンス剤としての使用法としては、肌に塗布後、浴水やシャワー水などの水ですすぎ、タオルドライする方法が好ましい。直接乾いた肌に塗布しても良いが、シャワー後や入浴後の濡れた肌に塗布すればボディーリンス剤がムラになりにくく、くまなく肌によく塗れ広がり、少量でもすすぎ後十分な冷涼感が得られるため、より好ましい。塗布方法としては、本発明の水中油型皮膚化粧料を乾いた肌又は水で濡れた肌に手または冶具により直接塗布してよく伸ばしても良いし、肌の一部分に塗布してからシャワー水や浴水などの水をかけることで広がらせてもよい。
【0043】
本発明の水中油型皮膚化粧料を肌に適用した場合には、肌によく濡れ広がり浴水やシャワー水などですすいでも十分な量で上記成分(C)が肌に残存し、良好な冷涼感を瞬時にかつ長時間に亘って皮膚に与えることができる。
【0044】
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の水中油型皮膚化粧料を開示する。
[1]次の成分(A)〜(C):
(A)非イオン界面活性剤、
(B)成分(A)以外のシリコーン油、及び
(C)l−メントール又はその誘導体 0.01質量%以上2.5質量%以下
を含有し、成分(A)と成分(C)の質量比((C)/(A))が10以上である水中油型皮膚化粧料。
[2]成分(A)が、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはポリオキシエチレン硬化ひまし油又はポリエーテル変性シリコーンである上記[1]の水中油型皮膚化粧料。
[3]成分(A)のHLBが、好ましくは12〜20であり、より好ましくは13〜18である上記[1]又は[2]の水中油型皮膚化粧料。
[4]成分(A)が、好ましくはポリエーテル変性シリコーンであり、より好ましくはポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖・シリコーン鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体から選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体である上記[1]〜[3]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[5]成分(A)の含有量は、好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.008質量%以上であり、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.08質量%以下であり、さらに好ましくは0.07質量%以下である上記[1]〜[4]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
【0045】
[6]成分(B)が、好ましくは成分(A)以外の、直鎖状シリコーン油、及び環状シリコーン油である非変性シリコーン油であり、より好ましくはメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種又は2種以上であり、またさらに好ましくはジメチルポリシロキサン、及びデカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[5]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[7]成分(B)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.6質量%以上であり、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である上記[1]〜[6]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[8]成分(A)と成分(B)の質量比((B)/(A))は、好ましくは50以上であり、より好ましくは100以上であり、さらに好ましくは200以上であり、好ましくは1000以下であり、より好ましくは800以下であり、さらに好ましくは600以下である上記[1]〜[7]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
【0046】
[9]成分(C)が、好ましくはl−メントール、乳酸メンチル、酢酸メンチル、メントンから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはl−メントールである上記[1]〜[8]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[10]成分(C)の含有量は、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.07質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である上記[1]〜[9]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[11]成分(A)と成分(C)の質量比((C)/(A))は、好ましくは20以上であり、より好ましくは30以上であり、好ましくは200以下であり、より好ましくは150以下であり、さらに好ましくは100以下である上記[1]〜[10]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
【0047】
[12]さらに、成分(D)の水不溶性粉体を含有することが好ましく、成分(D)が、好ましくはシリコーンパウダー、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸又はアクリル酸エステル重合体、メタクリル酸又はメタクリル酸エステル重合体、アクリル酸/スチレン共重合体、及びスチレン/ジビニルベンゼン共重合体、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、珪藻土、シリカ(ケイ酸、無水ケイ酸)、ケイ酸マグネシウム、雲母、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ミョウバン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム等の粉体、及びこれらの粉体表面をシランカップリング剤等で化学的に改質したものから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはシリコーンパウダーである上記[1]〜[11]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[13]成分(D)の含有量は、好ましくは1.5質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以下である上記[12]の水中油型皮膚化粧料。
【0048】
[14]さらに、成分(E)の25℃で液状の極性油を含有することが好ましく、成分(E)が、好ましくは高級アルコール、高級脂肪酸及びエステル油から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは炭素数12〜28の高級アルコール、炭素数12〜28の高級脂肪酸及び炭素数8以上の高級脂肪酸とアルコールのエステルから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくは高級アルコールである上記[1]〜[13]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[15]成分(E)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.015質量%以上であり、さらに好ましくは0.02質量%以上であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である上記[14]の水中油型皮膚化粧料。
【0049】
[16]さらに、成分(F)の水溶性高分子を含有することが好ましく、成分(F)が好ましくはアルキル変性カルボキシビニルポリマー及びカルボキシビニルポリマーから選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[15]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[17]アルキル変性カルボキシビニルポリマーが、好ましくはアクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体であり、より好ましくはアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体である上記[16]の水中油型皮膚化粧料。
[18]カルボキシビニルポリマーが、好ましくは重量平均分子量が10万〜1000万のものであり、より好ましくは50万〜500万のものである上記[16]又は[17]の水中油型皮膚化粧料。
[19]成分(F)の水溶性高分子が、好ましくはアルキル変性カルボキシビニルポリマーとカルボキシビニルポリマーの併用である上記[16]〜[18]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[20]成分(F)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である上記[16]〜[19]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
【0050】
[21]25℃での粘度が、好ましくは5000〜40000mPa・sであり、より好ましくは7500〜35000mPa・sであり、さらに好ましくは10000〜30000mPa・sである上記[1]〜[20]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[22]水の含有量は、好ましくは23質量%以上であり、より好ましくは35質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下であり、さらに好ましくは85質量%以下である上記[1]〜[21]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
【0051】
[23]皮膚に塗布した後にすすいで用いるための上記[1]〜[22]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[24]濡れた皮膚に塗布した後にすすいで用いるための上記[1]〜[23]いずれか1の水中油型皮膚化粧料。
[25]濡れた皮膚に上記[1]〜[24]いずれか1の水中油型皮膚化粧料を塗布し、その後水ですすぐ冷涼感付与方法。
[26]次の成分(A)〜(C):
(A)非イオン界面活性剤、
(B)成分(A)以外のシリコーン油、及び
(C)l−メントール又はその誘導体 0.01質量%以上2.5質量%以下
を含有し、成分(A)と成分(C)の質量比((C)/(A))が10以上である濡れ肌用ボディーリンス剤。
【実施例】
【0052】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0053】
[実施例1〜10、比較例1〜3]
表1に示す処方にしたがって各化粧料を調製し、下記の方法により測定及び評価を行った。
結果を表1に示す。
【0054】
《25℃における粘度》
得られた化粧料の粘度は、B型のデジタル粘度計(TOKI SANGYO)を用い、25℃、ロータM4、回転速度12rpm、保持時間60sの条件下で測定した。
【0055】
《冷涼感》
専門パネル3名にて、得られた化粧料1gを手に取り、シャワー後の濡れた前腕に塗布した後に40℃の温水ですすぎ、すすぎ後10分経過した時点で、肌で感じられる冷涼感を下記基準にしたがって評価し、3名の平均値をもって評価値とした。次いで、肌で感じられるさらさら感、べたつきのなさ及び塗布性についても、下記基準にしたがって同様に評価した。
4:非常に心地よい冷涼感を感じる
3:心地よい冷涼感を感じる
2:あまり冷涼感を感じない
1:冷涼感を感じない、又は冷涼感が強すぎて心地よくない
【0056】
《さらさら感》
4:非常に心地よいさらさら感を感じる
3:心地よいさらさら感を感じる
2:ややさらさら感を感じる
1:ほとんどさらさら感を感じない
【0057】
《べたつきのなさ》
4:全くべたつかない
3:ほとんどべたつかない
2:べたつかない
1:ややべたつきを感じる
【0058】
《塗布性》
得られた化粧料1gを手に取り、シャワー後の濡れた前腕に塗布した際における塗布性を下記基準にしたがって評価した。
4:非常に滑らかに塗れ広がりやすい
3:滑らかに塗れ広がりやすい
2:適度に塗れ広がりやすい
1:塗れ広がりやすさを感じない
【0059】
【表1】
【0060】
表1の結果によれば、実施例の化粧料は、比較例のものに比して、皮膚に塗布して洗い流した後においても十分な冷涼感を発揮できることがわかる。