特許第6246569号(P6246569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246569
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置及びワーク搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20171204BHJP
   B65G 25/04 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B23Q7/00 C
   B65G25/04
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-239559(P2013-239559)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-98072(P2015-98072A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593118128
【氏名又は名称】コアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】光部 極人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 茂
【審査官】 永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−235227(JP,A)
【文献】 特開2016−055406(JP,A)
【文献】 特開平11−129174(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/070896(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/02
B23Q 7/00
B65G 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に並んで配置された複数のワーク保持治具と、
前記複数のワーク保持治具に保持されたワークを前記搬送方向の上流側のワーク保持治具から下流側のワーク保持治具に順番に受け渡して搬送する複数のワーク搬送腕と、
前記複数のワーク保持治具を、前記搬送方向と直交する上下方向に一次元駆動するワーク保持治具駆動機構と、
前記複数のワーク搬送腕を、前記搬送方向と平行をなす面内で直交二方向に二次元駆動するワーク搬送腕駆動機構と、
を備えることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載のワーク搬送装置において、
前記ワーク搬送腕駆動機構は、前記複数のワーク搬送腕を、前記複数のワーク保持治具と上下方向に重なる前進位置と重ならない後退位置との間で前後移動させ、且つ、この前進位置と後退位置において前記搬送方向と平行な方向に左右移動させるワーク搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のワーク搬送装置において、
前記ワーク保持治具駆動機構は、前記複数のワーク保持治具の上下方向の位置ないし上下方向への移動量を個別に変更可能であるワーク搬送装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載のワーク搬送装置において、
前記複数のワーク搬送腕は、前記複数のワーク保持治具を囲む二股形状をなしているワーク搬送装置。
【請求項5】
搬送方向に並んで配置された複数のワーク保持治具と、この複数のワーク保持治具に対応して前記搬送方向に並んで配置された複数のワーク搬送腕と、を備えたワーク搬送装置において、前記複数のワーク搬送腕により、前記複数のワーク保持治具に保持されたワークを前記搬送方向の上流側のワーク保持治具から下流側のワーク保持治具に順番に受け渡して搬送するワーク搬送方法であって、
前記複数のワーク保持治具に前記ワークを保持した状態で、前記複数のワーク搬送腕を、前記複数のワーク保持治具の下方に位置させる第1のステップと、
前記複数のワーク保持治具を前記複数のワーク搬送腕よりも下方に移動させることにより、前記複数のワーク保持治具に保持された前記ワークを前記複数のワーク搬送腕に引き渡す第2のステップと、
前記ワークが引き渡された前記複数のワーク搬送腕を、前記複数のワーク保持治具の上方位置において、前記搬送方向の下流側に向けて移動させる第3のステップと、
前記複数のワーク保持治具を前記複数のワーク搬送腕よりも上方に移動させることにより、前記複数のワーク搬送腕に引き渡された前記ワークを、前記第1のステップよりも下流側の前記複数のワーク保持治具に保持させる第4のステップと、
前記複数のワーク搬送腕を、前記複数のワーク保持治具と上下方向に重ならない位置に後退させる第5のステップと、
前記複数のワーク搬送腕を、前記後退位置において、前記搬送方向の上流側に向けて移動させる第6のステップと、
前記複数のワーク搬送腕を前進させて、前記複数のワーク保持治具の下方の前進位置に位置させることにより、前記第1のステップに復帰する第7のステップと、
をこの順番で繰り返して実行することを特徴とするワーク搬送方法。
【請求項6】
請求項5記載のワーク搬送方法において、
前記第2のステップ及び前記第4のステップでは、前記複数のワーク保持治具の上下方向の位置ないし上下方向への移動量を個別に異ならせるワーク搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送装置及びワーク搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ワーク搬送装置として、搬送方向に並んで配置された複数のワーク保持治具と、この複数のワーク保持治具に保持されたワークを搬送方向の上流側のワーク保持治具から下流側のワーク保持治具に順番に受け渡して搬送する複数のワーク搬送腕と、を備えたものが知られている。このワーク搬送装置では、ワーク保持治具によるワーク保持動作とワーク搬送腕によるワーク搬送動作が交互にかつ間欠的に繰り返され、ワーク保持治具がワークを保持している間に、ワークの加工工程やワークへの部品組付工程が行われることがある。
【0003】
このようなワーク搬送装置は、その性質上、ワークを、その搬送方向と直交する上下方向と、その搬送方向と平行をなす面内における直交二方向(前後方向、左右方向)とを含む三次元空間内で駆動させることが必須である。従来品のワーク搬送装置は、この三次元駆動を可能にするために、複数のワーク保持治具の位置を固定した上で、複数のワーク搬送腕を固定の複数のワーク保持治具に対して、上下方向、前後方向、及び左右方向に三次元駆動するのが技術常識であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−216865号公報
【特許文献2】特開2002−284330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来品のワーク搬送装置にあっては、複数のワーク搬送腕を三次元駆動するための搬送駆動機構(三次元駆動機構)の剛性の確保の要請に応えるべく、搬送駆動機構の大型化、高コスト化、構造の複雑化及び部品点数の増加が避けられない。
【0006】
一方、複数のワーク保持治具において行われるワークの加工工程やワークへの部品組付工程は、ワーク保持治具毎にその内容が異なるものであるため、複数のワーク保持治具の上下方向の固定位置には高低差が生じるのが普通である。ところが、従来品のワーク搬送装置は、搬送駆動機構の構成上、このように高低差のある複数のワーク保持治具のそれぞれに対して好適なワークの受け渡しを行うには、搬送駆動機構に、高低差のある複数のワーク保持治具に対して複数のワーク搬送腕の上下方向位置を個別に調整可能なアクチュエータを搭載しなければならず、やはり、搬送駆動機構の大型化、高コスト化、構造の複雑化及び部品点数の増加を招いてしまう。
【0007】
本発明は、以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、搬送駆動機構の小型化、低コスト化、構造の簡単化及び部品点数の削減を図るとともに、複数のワーク保持治具のそれぞれに対して好適なワークの受け渡しを行うことができるワーク搬送装置及びワーク搬送方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のワーク搬送装置は、搬送方向に並んで配置された複数のワーク保持治具と、前記複数のワーク保持治具に保持されたワークを前記搬送方向の上流側のワーク保持治具から下流側のワーク保持治具に順番に受け渡して搬送する複数のワーク搬送腕と、前記複数のワーク保持治具を、前記搬送方向と直交する上下方向に一次元駆動するワーク保持治具駆動機構と、前記複数のワーク搬送腕を、前記搬送方向と平行をなす面内で直交二方向に二次元駆動するワーク搬送腕駆動機構と、を備えることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
前記ワーク搬送腕駆動機構は、前記複数のワーク搬送腕を、前記複数のワーク保持治具と上下方向に重なる前進位置と重ならない後退位置との間で前後移動させ、且つ、この前進位置と後退位置において前記搬送方向と平行な方向に左右移動させることが好ましい(請求項2)。
【0010】
前記ワーク保持治具駆動機構は、前記複数のワーク保持治具の上下方向の位置ないし上下方向への移動量を個別に変更可能であることが好ましい(請求項3)。
【0011】
前記複数のワーク搬送腕は、前記複数のワーク保持治具を囲む二股形状をなしていることが好ましい(請求項4)。
【0012】
本発明のワーク搬送方法は、搬送方向に並んで配置された複数のワーク保持治具と、この複数のワーク保持治具に対応して前記搬送方向に並んで配置された複数のワーク搬送腕と、を備えたワーク搬送装置において、前記複数のワーク搬送腕により、前記複数のワーク保持治具に保持されたワークを前記搬送方向の上流側のワーク保持治具から下流側のワーク保持治具に順番に受け渡して搬送するワーク搬送方法であって、前記複数のワーク保持治具に前記ワークを保持した状態で、前記複数のワーク搬送腕を、前記複数のワーク保持治具の下方に位置させる第1のステップと、前記複数のワーク保持治具を前記複数のワーク搬送腕よりも下方に移動させることにより、前記複数のワーク保持治具に保持された前記ワークを前記複数のワーク搬送腕に引き渡す第2のステップと、前記ワークが引き渡された前記複数のワーク搬送腕を、前記複数のワーク保持治具の上方位置において、前記搬送方向の下流側に向けて移動させる第3のステップと、前記複数のワーク保持治具を前記複数のワーク搬送腕よりも上方に移動させることにより、前記複数のワーク搬送腕に引き渡された前記ワークを、前記第1のステップよりも下流側の前記複数のワーク保持治具に保持させる第4のステップと、前記複数のワーク搬送腕を、前記複数のワーク保持治具と上下方向に重ならない位置に後退させる第5のステップと、前記複数のワーク搬送腕を、前記後退位置において、前記搬送方向の上流側に向けて移動させる第6のステップと、前記複数のワーク搬送腕を前進させて、前記複数のワーク保持治具の下方の前進位置に位置させることにより、前記第1のステップに復帰する第7のステップと、をこの順番で繰り返して実行することを特徴としている(請求項5)。
【0013】
前記第2のステップ及び前記第4のステップでは、前記複数のワーク保持治具の上下方向の位置ないし上下方向への移動量を個別に異ならせることが好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、複数のワーク保持治具と複数のワーク搬送腕を相対的に三次元駆動するための搬送駆動機構(三次元駆動機構)を、複数のワーク保持治具を上下方向に一次元駆動するワーク保持治具駆動機構と、複数のワーク搬送腕を直交二方向(前後方向、左右方向)に二次元駆動するワーク搬送腕駆動機構とから構成しているので、搬送駆動機構(特にワーク搬送腕駆動機構)に対して過剰に高い剛性レベルを確保する必要がなくなり、その結果、搬送駆動機構の小型化、低コスト化、構造の簡単化及び部品点数の削減を図ることができる。また、ワーク保持治具駆動機構によって複数のワーク保持治具の上下方向位置を調整することにより、複数のワーク保持治具のそれぞれに対して好適なワークの受け渡しを行うことができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、ワーク保持治具駆動機構による複数のワーク保持治具の上下方向への一次元駆動と絶妙のコンビネーションでもって、ワーク搬送腕駆動機構によって複数のワーク搬送腕を直交二方向(前後方向、左右方向)に二次元駆動することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、ワーク保持治具駆動機構によって複数のワーク保持治具の上下方向位置を個別にかつ所望の高低差をもって調整することにより、高低差のある複数のワーク保持治具のそれぞれに対して好適なワークの受け渡しを行うことができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、たとえ複数のワーク保持治具と複数のワーク搬送腕が上下方向に重なっていたとしても、複数のワーク保持治具と複数のワーク搬送腕が干渉するのを防止して、ワークの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、複数のワーク保持治具によるワーク保持動作と複数のワーク搬送腕によるワーク搬送動作を一連の流れの中で交互にかつ間欠的に繰り返すことで、円滑かつ高精度なワーク搬送を実現することができる。また、請求項5に係るワーク搬送方法の発明をワーク搬送装置として実現したときには、請求項1に係るワーク搬送装置の発明と同様に、搬送駆動機構の小型化、低コスト化、構造の簡単化及び部品点数の削減を図るとともに、複数のワーク保持治具のそれぞれに対して好適なワークの受け渡しを行うことができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、複数のワーク保持治具の上下方向位置を個別にかつ所望の高低差をもって調整することにより、高低差のある複数のワーク保持治具のそれぞれに対して好適なワークの受け渡しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1(A)と図1(B)は、本発明によるワーク搬送装置の構成を示す平面図と側面図である。
図2図2(A)と図2(B)は、本発明によるワーク搬送装置を用いたワーク搬送方法の第1ステップを示す平面図と側面図である。
図3図3(A)と図3(B)は、本発明によるワーク搬送装置を用いたワーク搬送方法の第2ステップを示す平面図と側面図である。
図4図4(A)と図4(B)は、本発明によるワーク搬送装置を用いたワーク搬送方法の第3ステップを示す平面図と側面図である。
図5図5(A)と図5(B)は、本発明によるワーク搬送装置を用いたワーク搬送方法の第4ステップを示す平面図と側面図である。
図6図6(A)と図6(B)は、本発明によるワーク搬送装置を用いたワーク搬送方法の第5ステップを示す平面図と側面図である。
図7図7(A)と図7(B)は、本発明によるワーク搬送装置を用いたワーク搬送方法の第6ステップを示す平面図と側面図である。
図8図8(A)と図8(B)は、本発明によるワーク搬送装置を用いたワーク搬送方法の第7ステップを示す平面図と側面図である。
図9図9は、本発明によるワーク搬送装置を用いて、ラウンドリクライニング装置の構成部品であるベースプレートをワークとしてこれを搬送しながら、該ベースプレートに3つのポールと1つのカムを順次組み付けていく工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図9を参照して、本発明によるワーク搬送装置及びワーク搬送方法について説明する。以下の説明中の「上下方向」、「前後方向」及び「左右方向」は、図1図9中記載した矢線方向を基準とする。また図1図9中の「左方向」が「搬送方向」に対応する。
【0022】
図1に示すように、ワーク搬送装置10は、搬送方向の上流側から下流側に向かって順に(右方向から左方向に向かって順に)並んで配置された4つのワーク保持治具20、30、40、50を有している。ワーク保持治具20、30、40、50は、上下方向に長い円筒状部材からなり、その上面に、ワークを吸着保持する吸着保持面21、31、41、51を有している。ワーク保持治具20、30、40、50の下面には、エアシリンダ22、32、42、52が結合されており、このエアシリンダ22、32、42、52のシリンダロッド23、33、43、53が上下方向に伸縮駆動されるようになっている。すなわち、エアシリンダ22、32、42、52は、ワーク保持治具20、30、40、50を、搬送方向と直交する上下方向に一次元駆動する「ワーク保持治具駆動機構」として機能する。
【0023】
エアシリンダ22〜52(ワーク保持治具駆動機構)は、ワーク保持治具20〜50の上下方向の位置及び上下方向の移動量を個別に変更可能である。本実施形態では、ワーク保持治具20〜40の上下方向の位置及び上下方向の移動量が同一となるように設定されており、ワーク保持治具50の上下方向の位置及び上下方向の移動量がワーク保持治具20〜40の上下方向の位置及び上下方向の移動量とは異なるように設定されている。
【0024】
また図示は省略しているが、ワーク搬送装置10は、ワーク保持治具20〜50の回転角度位置を調整する回転角度位置調整機構を有している。
【0025】
ワーク搬送装置10は、4つのワーク保持治具20、30、40、50に対応させて、搬送方向の上流側から下流側に向かって順に(右方向から左方向に向かって順に)並んで配置された4つのワーク搬送腕60、70、80、90を有している。ワーク搬送腕60、70、80、90は、ワーク保持治具20、30、40、50を囲む二股形状をなしている。これにより、ワーク保持治具20〜50とワーク搬送腕60〜90が干渉するのを防止して、両部材の間のワークの引き渡しをスムーズに行うことができる。
【0026】
ワーク搬送腕60〜90は、左右方向移動ステージ100に固定されている。左右方向移動ステージ100は、左右方向リニアガイド機構110を介して、前後方向移動ステージ120に対して、左右方向(搬送方向)に移動可能に支持されている。前後方向移動ステージ120は、前後方向リニアガイド機構130を介して、固定支持部材140に対して、前後方向に移動可能に支持されている。
【0027】
左右方向リニアガイド機構110は、左右方向移動ステージ100の下面に固定された2つのガイド部材112、並びに前後方向移動ステージ120の上面に固定された各1つのガイドシャフト114及びエアシリンダ116を有している。エアシリンダ116のシリンダロッド118(図4図5図6)の先端部は、接続部材119を介して、左右方向移動ステージ100に固定されている。前後方向移動ステージ120のガイドシャフト114に左右方向移動ステージ100の2つのガイド部材112をガイドした状態で、エアシリンダ116のシリンダロッド118を左右方向(搬送方向)に伸縮駆動することにより、左右方向移動ステージ100(ワーク搬送腕60〜90)を、前後方向移動ステージ120に対して、左右方向(搬送方向)に移動させることができる。
【0028】
前後方向リニアガイド機構130は、前後方向移動ステージ120の下面に固定された2つのガイド部材132、並びに固定支持部材140の上面に固定された2つのガイドシャフト134及び1つのエアシリンダ136を有している。エアシリンダ136のシリンダロッド138の先端部は、接続部材139を介して、前後方向移動ステージ120に固定されている。固定支持部材140の2つのガイドシャフト134に前後方向移動ステージ120の2つのガイド部材132をそれぞれガイドした状態で、エアシリンダ136のシリンダロッド138を前後方向に伸縮駆動することにより、前後方向移動ステージ120(左右方向移動ステージ100(ワーク搬送腕60〜90))を、固定支持部材140に対して、前後方向に移動させることができる。
【0029】
以上の構成により、左右方向リニアガイド機構110と前後方向リニアガイド機構130は、ワーク搬送腕60〜90を、搬送方向と平行をなす面内で直交二方向(前後方向、左右方向)に二次元駆動する「ワーク搬送腕駆動機構」として機能する。
【0030】
より具体的に、左右方向リニアガイド機構110と前後方向リニアガイド機構130(ワーク搬送腕駆動機構)は、ワーク搬送腕60〜90を、ワーク保持治具20〜50と上下方向に重なる前進位置と重ならない後退位置との間で前後移動させ、且つ、この前進位置と後退位置において搬送方向と平行な方向に左右移動させることができる。これにより、ワーク搬送腕60〜90により、ワーク保持治具20〜50に保持されたワークを搬送方向の上流側のワーク保持治具から下流側のワーク保持治具に順番に受け渡して搬送することができる。
【0031】
続いて、図2図9を参照して、本発明によるワーク搬送装置10を用いたワーク搬送方法について説明する。ここでは、ラウンドリクライニング装置の構成部品であるベースプレート150をワークとしてこれを搬送しながら、該ベースプレート150に3つのポール152、154、156と1つのカム158を順次組み付けていく工程を例示して説明する。
【0032】
図2図9では、発明の理解を容易にするため、初期状態において、最も上流側のワーク保持治具20に保持されたベースプレート150並びにその搬送工程及び組付工程のみを描いてこれに対応する説明を行っている。しかし実際には、ワーク保持治具20より下流側のワーク保持治具30、40、50にもそれぞれベースプレート150が保持されており、各搬送工程及び各組付工程を経由しながら順番に下流側に導かれていく。
【0033】
[第1のステップ]
まず、図2に示すように、前後方向リニアガイド機構130(ワーク搬送腕駆動機構)を介して、ワーク搬送腕60〜90を、ワーク保持治具20〜50と上下方向に重なる前進位置に移動させることにより、最も上流側のワーク保持治具20にベースプレート150を保持した状態で、最も上流側のワーク搬送腕60を、ワーク保持治具20の下方に位置させる。
【0034】
[第2のステップ]
次いで、図3に示すように、エアシリンダ22〜52(ワーク保持治具駆動機構)を介して、ワーク保持治具20〜50を、ワーク搬送腕60〜90よりも下方に移動させることにより、ワーク保持治具20に保持されたベースプレート150をワーク搬送腕60に引き渡す。このとき、ワーク保持治具50の上下方向の移動量がワーク保持治具20〜40の上下方向の移動量とは異なるように設定されている。
【0035】
[第3のステップ]
次いで、図4に示すように、左右方向リニアガイド機構110(ワーク搬送腕駆動機構)を介して、ベースプレート150が引き渡されたワーク搬送腕60を含むワーク搬送腕60〜90を、ワーク保持治具20〜50の上方位置において、搬送方向の下流側に向けて移動させる。
【0036】
[第4のステップ]
次いで、図5に示すように、エアシリンダ22〜52(ワーク保持治具駆動機構)を介して、ワーク保持治具20〜50を、ワーク搬送腕60〜90よりも上方に移動させることにより、ワーク搬送腕60に引き渡されたベースプレート150を、[第1のステップ]の初期状態のワーク保持治具20より1つ下流側のワーク保持治具30に保持させる。このとき、ワーク保持治具50の上下方向の位置及び上下方向の移動量がワーク保持治具20〜40の上下方向の位置及び上下方向の移動量とは異なるように設定されている。
【0037】
[第5のステップ]
次いで、図6に示すように、前後方向リニアガイド機構130(ワーク搬送腕駆動機構)を介して、ワーク搬送腕60〜90を、ワーク保持治具20〜50と上下方向に重ならない後退位置に移動させる。
【0038】
[第6のステップ]
次いで、図7に示すように、左右方向リニアガイド機構110(ワーク搬送腕駆動機構)を介して、ワーク搬送腕60〜90を、その後退位置において、搬送方向の上流側に向けて移動させる。
【0039】
[第7のステップ]
最後に、図8に示すように、前後方向リニアガイド機構130(ワーク搬送腕駆動機構)を介して、ワーク搬送腕60〜90を前進させて、ワーク保持治具20〜50の下方の前進位置に位置させることにより、[第1のステップ]に復帰する。
【0040】
以上の[第1のステップ]〜[第7のステップ]をこの順番で繰り返して実行することで、ワーク搬送腕60〜90により、ワーク保持治具20〜50に保持されたベースプレート150を搬送方向の上流側のワーク保持治具から下流側のワーク保持治具に順番に受け渡して搬送することができる。
【0041】
図9に示すように、ベースプレート150がワーク搬送腕70の上方に位置するワーク保持治具30に保持されている間に、ベースプレート150に1つ目のポール152が組み付けられる。また、ベースプレート150がワーク搬送腕80の上方に位置するワーク保持治具40に保持されている期間を利用して、ベースプレート150に2つ目のポール154と3つ目のポール156が組み付けられる。さらに、ベースプレート150がワーク搬送腕90の上方に位置するワーク保持治具50に保持されている期間を利用して、ベースプレート150にカム158が組み付けられる。ベースプレート150に各構成部品152、154、156、158を組み付けるに際し、ワーク保持治具20〜50は、図示しない回転角度位置調整機構によって、その回転角度位置が調整される。
【0042】
このように、本実施形態のワーク搬送装置及びワーク搬送方法によれば、複数のワーク保持治具(20、30、40、50)と複数のワーク搬送腕(60、70、80、90)を相対的に三次元駆動するための搬送駆動機構(三次元駆動機構)を、複数のワーク保持治具(20、30、40、50)を上下方向に一次元駆動するワーク保持治具駆動機構(22、32、42、52)と、複数のワーク搬送腕(60、70、80、90)を直交二方向(前後方向、左右方向)に二次元駆動するワーク搬送腕駆動機構(110、130)とから構成しているので、搬送駆動機構(特にワーク搬送腕駆動機構)に対して過剰に高い剛性レベルを確保する必要がなくなり、その結果、搬送駆動機構の小型化、低コスト化、構造の簡単化及び部品点数の削減を図ることができる。
【0043】
また、複数のワーク保持治具(20、30、40、50)によるワーク保持動作と複数のワーク搬送腕(60、70、80、90)によるワーク搬送動作を一連の流れの中で交互にかつ間欠的に繰り返すことで、円滑かつ高精度なワーク搬送を実現することができる。
【0044】
さらに、ワーク保持治具駆動機構(22、32、42、52)によって複数のワーク保持治具(20、30、40、50)の上下方向位置を個別にかつ所望の高低差をもって調整することにより、高低差のある複数のワーク保持治具(20、30、40、50)のそれぞれに対して好適なワークの受け渡しを行うことができる。
【0045】
以上の実施形態では、搬送方向の上流側から下流側に向かって順に、4つのワーク保持治具20、30、40、50と4つのワーク搬送腕60、70、80、90を並んで配置した場合を例示して説明したが、ワーク保持治具とワーク搬送腕の数は、これに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能である。
【0046】
以上の実施形態では、ワーク保持治具20〜40の上下方向の位置及び上下方向の移動量が同一となるように設定されており、ワーク保持治具50の上下方向の位置及び上下方向の移動量がワーク保持治具20〜40の上下方向の位置及び上下方向の移動量とは異なるように設定されている場合を例示して説明した。しかし、ワーク保持治具20〜50の上下方向の位置及び上下方向の移動量を全て異なるように設定する態様も可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 ワーク搬送装置
20 30 40 50 ワーク保持治具
21 31 41 51 吸着保持面
22 32 42 52 エアシリンダ(ワーク保持治具駆動機構)
23 33 43 53 シリンダロッド
60 70 80 90 ワーク搬送腕
100 左右方向移動ステージ
110 左右方向リニアガイド機構(ワーク搬送腕駆動機構)
112 ガイド部材
114 ガイドシャフト
116 エアシリンダ
118 シリンダロッド
119 接続部材
120 前後方向移動ステージ
130 前後方向リニアガイド機構(ワーク搬送腕駆動機構)
132 ガイド部材
134 ガイドシャフト
136 エアシリンダ
138 シリンダロッド
139 接続部材
140 固定支持部材
150 ベースプレート(ワーク)
152 154 156 ポール
158 カム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9