(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
先ず、本発明の熱線反射フィルムについて説明する。本発明の熱線反射フィルムは、コレステリック液晶ポリマー層と、透明基材とを備えている。また、上記コレステリック液晶ポリマー層と上記透明基材との間に芳香環を含む樹脂層を備えている。
【0012】
上記構成とすることにより、本発明の熱線反射フィルムのコレステリック液晶ポリマー層と透明基材との接着性が向上し、例えば、本発明の熱線反射フィルムのコレステリック液晶ポリマー層側をガラスに貼り合わせて使用した場合、上記貼り合わせた熱線反射フィルムを新規フィルムに貼り替える際に剥がしても糊残りがなく、熱線反射フィルムの効率的なメンテナンスが可能となる。
【0013】
本発明は、いわゆる窓ガラス等に貼り合わせて利用される熱線反射フィルムである。このため、本発明の熱線反射フィルムは、可視光領域で透明であり、また反射させたい波長での反射率が高いことが必要である。このような特性を確保するには、熱線反射フィルムの作製時に、液晶化合物の配向を妨げない、即ちコレステリック液晶ポリマー層の配向性を乱さないことが必要である。本発明の目的は、コレステリック液晶ポリマー層と透明基材との接着性の向上であるが、接着性の向上と同時に液晶化合物の配向を乱さないことが重要である。
【0014】
従来、フィルム基材と塗膜との接着性を向上させるには、コロナ処理等で基材表面を改質する方法等が知られている。しかし、本発明者らが、熱線反射フィルム作製時に、透明基材にコロナ処理を適用して種々検討したところ、透明基材のコロナ処理では熱線反射フィルムのコレステリック液晶ポリマー層との接着性が十分に向上しないことが分かった。このため、透明基材にアンカーコート層を設けて接着性の向上を図ることを検討した。この場合、アンカーコート層には、前述のように液晶ポリマー層と基材との接着性と同時に液晶化合物の配向性への影響も検討する必要がある。このため、液晶化合物の配向への影響について検討を重ねたところ、コレステリック液晶ポリマー層の材料となる液晶化合物は芳香環を含む樹脂に対しては配向の乱れが少ないことが明らかとなった。
【0015】
更に検討を進めた結果、アンカーコート層の溶剤溶解性も液晶化合物の配向に影響していることが分かった。即ち、液晶化合物の塗布液に含まれる溶剤への溶解性が高い樹脂の場合、液晶化合物の配向が乱れやすいことが分かった。
【0016】
本発明は上記知見に基づき完成に至ったものである。即ち、本発明に用いられるアンカーコート層(樹脂層)に用いる樹脂は、芳香環を含み、液晶化合物の塗布液に含まれる溶剤への溶解性が低い樹脂であるため、コレステリック液晶ポリマー層と透明基材との接着性を向上できるとともに、液晶化合物の配向の乱れを生じさせないものである。
【0017】
また、従来、透明基材として広く用いられてきたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは、芳香環を含む樹脂であるため、液晶化合物の配向性が良好であり、熱線反射フィルムの好適な基材となっていると考えられる。しかし、PETフィルムではコレステリック液晶ポリマー層との接着性は低いものであった。これは、PETフィルムには、液晶化合物の塗布液に含まれる溶剤への溶解性が全くないか、若しくは極わずかであるためと考えられる。
【0018】
一方、芳香環を含む放射線硬化性樹脂を硬化処理して作製した樹脂をPETフィルム等の透明基材とコレステリック液晶ポリマー層との間に配置すると、コレステリック液晶ポリマー層の配向性を維持しながら高い接着性が得られることが分かった。これは、本発明で用いる芳香環を含む放射線硬化性樹脂を硬化処理して形成した樹脂層は、前述のように液晶化合物の塗布液に含まれる溶剤への溶解性が低い樹脂であるが、PETフィルムに比べて幾分か溶解性が高いため、PETフィルムのみに比べて、コレステリック液晶ポリマー層と透明基材との接着性が向上したものと考えられる。
【0019】
以下、本発明の熱線反射フィルムを図面に基づき説明する。
【0020】
図1は、本発明の熱線反射フィルムの一例を示す概略断面図である。
図1において、本発明の熱線反射フィルム10は、透明基材11と、コレステリック液晶ポリマー層12と、樹脂層13とを備えている。
【0021】
<コレステリック液晶ポリマー層>
本発明のコレステリック液晶ポリマー層は、重合性官能基を有する液晶化合物と、重合性官能基を有するキラル剤とを重合させて形成したものである。
【0022】
コレステリック液晶ポリマーは、棒状分子であるネマチック液晶化合物に少量の光学活性化合物(キラル剤)を添加することにより得ることができる。このコレステリック液晶ポリマーは、ネマチック液晶化合物が幾重にも重なる層状の構造を有している。この層内では、それぞれのネマチック液晶化合物が一定方向に配列しており、互いの層は液晶化合物の配列方向が螺旋状になるように集積している。そのため、コレステリック液晶ポリマーは、この螺旋のピッチに応じて、特定の波長の光を選択的に反射することができる。
【0023】
通常のコレステリック液晶ポリマーは、温度により螺旋のピッチが変わり、反射する光の波長が変わるという特徴がある。一方、重合性官能基を有する液晶化合物と、重合性官能基を有するキラル剤とを含有する組成物を、液晶状態で均一にさせた後、液晶状態を保持したまま紫外線等の活性エネルギー線を照射すると、液晶化合物の配向状態を半永久的に固定化したコレステリック液晶ポリマーを含有する層を作製することが可能となる。
【0024】
このようにして得られたコレステリック液晶ポリマー層は、温度によって反射する光の波長が変わることがなく半永久的に反射波長を固定化することが可能となる。また、このコレステリック液晶ポリマー層は、コレステリック液晶旋光性を有することから、円偏光の回転方向と波長が、液晶分子の回転方向と螺旋ピッチと等しい場合、その光を透過せずに反射する。通常、太陽光は、右螺旋と左螺旋の円偏光から合成されている。そのため、旋光性の向きが右螺旋のキラル剤を用いて特定の螺旋ピッチとしたコレステリック液晶ポリマー層と、旋光性の向きが左螺旋のキラル剤を用いて特定の螺旋ピッチとしたコレステリック液晶ポリマー層とを積層させることにより、選択反射波長での反射率をより高くすることができる。
【0025】
本発明における上記コレステリック液晶ポリマー層の厚みは、入射光を最大反射させる波長(最大反射率波長)の1.5倍以上4.0倍以下が好ましく、最大反射率波長の1.7倍以上3.0倍以下がより好ましい。コレステリック液晶ポリマー層の厚みが最大反射率波長の1.5倍を下回ると、コレステリック液晶ポリマー層の配向性を維持することが困難になり、熱線反射フィルムの光反射率が低下することがある。また、コレステリック液晶ポリマー層の厚みが最大反射率波長の4.0倍を超えると、コレステリック液晶ポリマー層の配向性と光反射率は良好に維持できるが、熱線反射フィルムの厚みが厚くなり過ぎることがある。コレステリック液晶ポリマー層の厚みは、例えば、0.5μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上10μm以下である。
【0026】
また、本発明における上記コレステリック液晶ポリマー層は、単層構造に限らず、複数層構造であってもよい。複数層構造の場合、それぞれの層が、異なる選択反射波長を有すれば、光を反射する波長領域を制御しやすくなり、好ましい。
【0027】
以下、本発明の熱線反射フィルムを構成するコレステリック液晶ポリマー層の形成材料について詳細に説明する。
【0028】
[重合性官能基を有する液晶化合物]
本発明におけるコレステリック液晶ポリマー層の形成には、重合性官能基を有する液晶化合物を用いる。上記液晶化合物としては、例えば、「液晶の基礎と応用」(松本正一、角田市良 共著;(株)工業調査会)第8章に記載されているような公知の化合物を用いることができる。また、上記液晶化合物は、一種類を単独で用いてもよいし、複数の種類を併用してもよい。
【0029】
上記液晶化合物の具体例としては、例えば、特開2012−6997号公報、特開2012−168514号公報、特開2008−217001号公報、WO95/22586号パンフレット、特開2000−281629号公報、特開2001−233837号公報、特表2001−519317号公報、特表2002−533742号公報、特開2002−308832号公報、特開2002−265421号公報、特開2005−309255号公報、特開2005−263789号公報、特開2008−291218号公報、特開2008−242349号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0030】
本発明におけるコレステリック液晶ポリマー層の形成に用いられる液晶化合物は、融点の異なる複数の液晶化合物を含んでいてもよく、例えば、高融点液晶化合物と低融点液晶化合物とを併用してもいい。この場合、高融点液晶化合物の融点と低融点液晶化合物の融点との差が、15℃以上30℃以下であることが好ましく、20℃以上30℃以下がより好ましい。上記融点の差が15℃を下回ると、液晶化合物の相溶性が低下し、その結果、コレステリック液晶ポリマー層の配向性が一部乱れ、ヘイズの上昇が生じることがある。一方、上記融点の差が30℃を超えると、透明基材のガラス転移温度以上で耐熱保存試験を行った場合での光反射率に変化が生じることがある。
【0031】
上記液晶化合物について、高融点液晶化合物と低融点液晶化合物とを併用する場合、高融点液晶化合物の融点は、透明基材のガラス転移温度以上であることが好ましい。上記液晶化合物の融点が低い場合、キラル剤や溶剤との相溶性や溶解性に優れるが、融点が低すぎると作製した熱線反射フィルムの耐熱性に劣る。そのため、少なくとも高融点液晶化合物の融点を透明基材のガラス転移温度以上とするのがよい。
【0032】
上記融点の異なる液晶化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、ADEKA社製の商品名「PLC7700」(融点90℃)、「PLC8100」(融点65℃)、「PLC7500」(融点65℃)、DIC社製の商品名「UCL−017A」(融点96℃)、「UCL−017」(融点70℃)、BASF社製の商品名「パリオカラーLC242」(融点30℃)等が挙げられる。このような液晶化合物を先に示したように融点の差が好適となるように組み合わせて用いることができる。
【0033】
上記重合性官能基を有する液晶化合物を複数用いる場合は、それらの中で、最高の融点を有するものを高融点液晶化合物とし、最低の融点を有するものを低融点液晶化合物とする。
【0034】
上記融点の異なる液晶化合物を用いる場合は、上記高融点液晶化合物を全体の質量割合で90質量%以下の範囲で含むことが好ましい。上記高融点液晶化合物の割合が90質量%を超えると、上記液晶化合物の相溶性が低下する傾向があり、その結果、コレステリック液晶ポリマー層の配向性が一部乱れることにより、ヘイズの上昇が生じる場合がある。
【0035】
[重合性官能基を有するキラル剤]
本発明におけるコレステリック液晶ポリマー層の形成に用いられる重合性官能基を有するキラル剤としては、上記液晶化合物との相溶性が良好で、かつ、溶剤に溶解可能なものであれば、特に構造についての制限はなく、従来の重合性官能基を有するキラル剤を用いることができる。
【0036】
上記キラル剤の具体例としては、例えば、WO98/00428号パンフレット、特表平9−506088号公報、特表平10−509726号公報、特開2000−44451号公報、特表2000−506873号公報、特開2003−66214号公報、特開2003−313187号公報、米国特許第6468444号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。また、このようなキラル剤としては、市販品を用いることができ、例えば、メルク社製の商品名「S101」、「R811」、「CB15」;BASF社製の商品名「パリオカラー LC756」;ADEKA社製の商品名「CNL715」、「CNL716」等が挙げられる。
【0037】
上記コレステリック液晶ポリマー層の選択反射波長は、螺旋ピッチを調整することにより制御することができる。この螺旋ピッチは、上記液晶化合物及び上記キラル剤の配合量を調整することにより、調整することができる。例えば、上記キラル剤の濃度が高い場合、螺旋の捻じり力が増加するため、螺旋のピッチは小さくなり、コレステリック液晶ポリマー層の選択反射波長λは短波長側へシフトする。また、上記キラル剤の濃度が低い場合、螺旋の捻じり力が低下するため、螺旋のピッチは大きくなり、コレステリック液晶ポリマー層の選択反射波長λは長波長側へシフトする。よって、上記キラル剤の配合量としては、上記液晶化合物と上記キラル剤との合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.2質量部以上7.0質量部以下がより好ましい。上記キラル剤の配合量が0.1質量部以上10質量部以下であれば、得られるコレステリック液晶ポリマー層の選択反射波長を長波長域に制御することができる。
【0038】
上記のようにキラル剤の配合量を調整することにより、コレステリック液晶ポリマー層の選択反射波長を制御することができる。この選択反射波長を近赤外線領域に制御すれば、可視光領域に実質的に吸収がなく、即ち、可視光領域で透明で、かつ近赤外線領域の光を選択的に反射可能な熱線反射フィルムを得ることができる。例えば、上記熱線反射フィルムの最大反射率波長を800nm以上とすることができる。
【0039】
また、本発明のコレステリック液晶ポリマー層には、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を添加することにより、コレステリック液晶ポリマー層の透明性を向上させることができる。また、本発明のコレステリック液晶ポリマー層には、多官能アクリレート化合物及び多官能チオール化合物を含ませてもよい。これらの化合物を含ませることによりコレステリック液晶ポリマー層の耐熱性を向上できる。
【0040】
[界面活性剤]
上記界面活性剤としては、上記液晶化合物及び上記キラル剤との相溶性が良好で、コレステリック液晶ポリマー層の配向性を乱さないものであれば、適宜使用可能である。例えば、アクリル系、フッ素系、シリコン系等の化合物が挙げられる。具体的には、ビックケミー社製の表面調整剤:商品名「BYK−UV3500」、「UV3510」、「BYK−350」、「BYK−352」、「BYK−361N」、「BYK−340」、EVONIK社製の商品名「TEGO RAD−2100」、「TEGO RAD−2010」、「TEGO RAD−2011」、ネオス社製の商品名「フタージェント251」、「フタージェント222F」、「フタージェント208G」、「フタージェント228P」等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
上記界面活性剤は、コレステリック液晶ポリマー層の配向性が乱れない量で添加される。具体的には、上記界面活性剤の含有量は、上記液晶化合物と上記キラル剤との合計100質量部に対して0.5質量部以下であればよいが、好ましくは0.2質量部以下である。また、上記含有量は、0.005質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.01質量部以上である。上記含有量とすることで、コレステリック液晶ポリマー層の透明性に優れた熱線反射フィルムを実現できる。
【0042】
[多官能アクリレート化合物]
上記多官能アクリレート化合物としては、上記液晶化合物、上記キラル剤及び上記多官能チオール化合物との相溶性が良好で、コレステリック液晶ポリマー層の配向性を乱さないものであれば、適宜使用可能である。例えば、不飽和基を2つ以上有する多官能アクリル系樹脂モノマー等が挙げられる。具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサントリメタクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等のポリウレタンポリアクリレート;ポリエステルポリアクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とから生成されるエステル類;1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン等のビニルベンゼン及びその誘導体等が挙げられる。これらの多官能アクリレート化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
[多官能チオール化合物]
上記多官能チオール化合物としては、上記液晶化合物、上記キラル剤及び上記多官能アクリレート化合物との相溶性が良好で、コレステリック液晶ポリマー層の配向性を乱さないものであれば、適宜使用可能である。例えば、1分子中にチオール基を2官能基以上有する化合物等が挙げられる。具体的には、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート、テトラエチレングリコールビス−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。これらの多官能チオール化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
上記多官能アクリレート化合物及び上記多官能チオール化合物は、コレステリック液晶ポリマー層の配向性が乱れない量で添加される。具体的には、多官能アクリレート化合物及び多官能チオール化合物の含有量は、各々、上記液晶化合物と上記キラル剤との合計100質量部に対して、0.5質量部以上5質量部以下であればよいが、好ましくは1質量部以上3質量部以下である。これにより、耐熱性に優れた熱線反射フィルムを実現できる。
【0045】
<透明基材>
本発明の熱線反射フィルムを構成する透明基材としては、透光性を有する材料で形成されていれば特に限定されない。上記透明基材としては、例えば、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート等)、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、セルロース系樹脂(例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等)、ノルボルネン系樹脂等の樹脂を、フィルム状又はシート状に加工したものを用いることができる。上記樹脂をフィルム状又はシート状に加工する方法としては、押し出し成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、射出成形法、上記樹脂を溶剤に溶解させてキャスティングする方法等が挙げられる。上記樹脂には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤等の添加剤を添加してもよい。上記透明基材の厚みは、例えば、10〜500μmである。
【0046】
<芳香環を含む樹脂層>
本発明に用いられる芳香環を含む樹脂層は、芳香環を含む放射線硬化性樹脂を硬化処理して形成したものが好ましい。特に、芳香環を含む放射線硬化性樹脂は、芳香環を含むアクリレート又はメタクリレートが好ましい。このような放射線硬化性樹脂を硬化処理して形成した樹脂層は、前述のとおり溶剤への溶解性が低いため、コレステリック液晶ポリマー層の配向性を乱さないとともに、従来のPETフィルムに比べて多少の溶剤溶解性があるため、コレステリック液晶ポリマーと透明基材との接着性を向上させることができる。
【0047】
上記芳香環を含む放射線硬化性樹脂としては、例えば、下記化学式(1)〜(13)で示される化合物を用いることができる。これらの化合物は、単独でも、あるいは複数種混合して用いてもよい。
【0061】
但し、上記化学式(1)〜(13)の中で、pは1〜10の自然数、m、nはそれぞれ自然数でm+nは1〜30であり、R、R
1及びR
2は、下記化学式(14)又は(15)を示し、R
1及びR
2は同じでも異なっていてもよい。
【0064】
上記化学式(1)〜(5)、(7)及び(8)で示される化合物はいわゆる単官能樹脂であり、上記化学式(6)及び(9)〜(13)で示される化合物は多官能樹脂である。単官能樹脂のみでは硬化性に劣る傾向があり、コレステリック液晶ポリマー層の配向性に影響することがある。このため、上記単官能樹脂を用いる場合、芳香環を含む多官能の放射線硬化性樹脂、あるいはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の芳香環を含まない多官能の放射線硬化性樹脂を合せて用いることが好ましい。
【0065】
上記放射線硬化性樹脂の硬化処理には、紫外線、電子線、β線等の放射線を用いてもよいが、中でも簡便に利用できるため、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線LEDランプ等を使用できる。また、上記硬化処理に紫外線を用いる場合、紫外線重合開始剤を用いることが好ましい。
【0066】
<熱線反射フィルム>
本発明の熱線反射フィルムは、日本工業規格(JIS)A5759による日射透過率を70%以上とでき、また、JIS K7105によるヘイズを2.0%以下、好ましくは1.5%以下とでき、最大反射率波長における光反射率を40%以上、好ましくは45%以上とすることができる。このような特性を有する熱線反射フィルムは、可視光領域で高い透過率を有し、ヘイズが低く、光反射率が高いため、反射波長が大きくなって膜厚が増加してもコレステリック液晶ポリマー層の配向性の乱れが生じない。
【0067】
本発明の熱線反射フィルムは、シート状熱線反射部材も含む概念である。
【0068】
次に、本発明の熱線反射フィルムの製造方法の一例を
図1を参照しながら説明する。
【0069】
先ず、芳香環を含む放射線硬化性樹脂と、必要に応じて重合開始剤とを溶剤に溶解させて樹脂層形成用塗布液を調製する。次に、上記樹脂層形成用塗布液を透明基材11に塗布して乾燥して樹脂層前駆体を形成する。次に、上記樹脂層前駆体に紫外線等の放射線を照射させて上記放射線硬化性樹脂を重合させて硬化処理し、上記透明基材11の上に樹脂層13を形成する。
【0070】
続いて、重合性官能基を有する液晶化合物と、重合性官能基を有するキラル剤と、重合開始剤と、更に必要に応じて界面活性剤、多官能アクリレート化合物、多官能チオール化合物、配向調整剤等とを溶剤に溶解させてコレステリック液晶ポリマー層形成用塗布液を調製する。次に、上記コレステリック液晶ポリマー層形成用塗布液を、樹脂層13の上に塗布して乾燥してコレステリック液晶ポリマー層前駆体を形成する。次に、上記コレステリック液晶ポリマー層前駆体に例えば紫外線を照射することにより、上記液晶化合物と上記キラル剤とを重合させて、樹脂層13の上にコレステリック液晶ポリマー層12を形成し、熱線反射フィルム10が得られる。
【0071】
上記樹脂層形成用塗布液及び上記コレステリック液晶ポリマー層形成用塗布液を塗布する方法は特に制限されず、例えば、バーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、マイクログラビアコート等の塗工法、又はグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法等を適宜用いることができる。
【0072】
また、上記いずれの乾燥工程も、通常は60〜120℃の範囲で行われる。
【0073】
上記重合開始剤としては、例えば、紫外線重合開始剤が挙げられる。上記紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル系開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α'−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等の芳香族ケトン系開始剤;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系開始剤;ベンジルジメチルケタール等の芳香族ケタール系開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;ベンジル等のベンジル系開始剤;ベンゾイン等のベンゾイン系開始剤;2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン等のα−ケトール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;カンファーキノン系化合物;ハロゲン化ケトン系化合物;アシルホスフィノキシド系化合物;アシルホスフォナート系化合物等が挙げられる。
【0074】
上記紫外線重合開始剤としては、市販の光重合開始剤を用いることもでき、例えば、BASF社製のイルガキュア(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、イルガキュア(登録商標)651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、イルガキュア(登録商標)369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1)、イルガキュア(登録商標)819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)、イルガキュア(登録商標)907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)、イルガキュア(登録商標)500、イルガキュア(登録商標)1000、イルガキュア(登録商標)1700、イルガキュア(登録商標)1800、イルガキュア(登録商標)1850;メルク社製のダロキュア(登録商標)1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン);旭電化工業社製のN−1717;黒金化成社製の2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
上記樹脂層形成用塗布液に上記紫外線重合開始剤を使用する場合には、上記紫外線重合開始剤の配合量は、上記放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましい。
【0076】
また、上記コレステリック液晶ポリマー層形成用塗布液に上記紫外線重合開始剤を使用する場合には、上記紫外線重合開始剤の配合量は、上記液晶化合物と上記キラル剤との合計100質量部に対して、0.05〜5質量部が好ましい。また、上記コレステリック液晶ポリマー層形成用塗布液における他の各成分の配合量は、前述のとおりである。
【0077】
上記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。照射する紫外線の波長は、例えば、160〜380nmであり、250〜380nmが好ましい。紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト等)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ等)等を用いることができる。紫外線の全光量としては、樹脂層13を形成する場合には、例えば100〜2000mJ/cm
2が好ましく、150〜1000mJ/cm
2がより好ましく、コレステリック液晶ポリマー層を形成する場合には、例えば100〜600mJ/cm
2が好ましく、200〜500mJ/cm
2がより好ましい。
【0078】
上記溶剤としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルコール類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が使用できる。これらの溶剤は、単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。
【0079】
次に、本発明の熱線反射フィルムの使用態様について説明する。本発明の熱線反射フィルムの使用態様には、前述のように窓貼り用フィルム、合わせガラスへの適用が挙げられる。
【0080】
上記窓貼り用フィルムは、本発明のコレステリック液晶ポリマー層上に、コンマコーター等を用いて粘着層を塗工し、必要に応じて乾燥することで作製することができる。また、上記窓貼り用フィルムは、本発明のコレステリック液晶ポリマー層上に、光学用透明粘着フィルムを貼り合わせることにより粘着層を設けて作製することができる。
【0081】
また、上記合わせガラス体は、第1のガラス基板と、第1の樹脂フィルムと、本発明の熱線反射フィルムと、第2の樹脂フィルムと、第2のガラス基板とをこの順番に積層し熱圧着して形成することができる。
【0082】
上記合わせガラス体は、上記本発明の熱線反射フィルムを用いているため、上記熱線反射フィルムのコレステリック液晶ポリマー層と上記透明基材との接着強度を向上でき、上記合わせガラス体の耐久性を向上できる。
【0083】
また、上記第1の樹脂フィルム及び上記第2の樹脂フィルムの材質は、合わせガラス体の中間膜として使用できる柔軟な樹脂であればよく、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等の樹脂が用いられる。特に、上記第1の樹脂フィルム及び上記第2の樹脂フィルムがPVBを含むことが好ましい。上記熱線反射フィルムのコレステリック液晶ポリマー層と上記PVBを含む樹脂フィルムとの接着強度が特に大きいからである。上記第1の樹脂フィルム及び上記第2の樹脂フィルムの厚さに特に制限はないが、通常0.2〜3mmである。
【0084】
上記第1のガラス基板及び上記第2のガラス基板としては特に制限はなく、例えば、フロートガラス基板、強化ガラス基板等を使用できる。上記第1のガラス基板及び上記第2のガラス基板の厚さも特に制限はなく、合わせガラス体の用途に応じて適宜設定できる。
【0085】
次に、上記合わせガラス体を図面に基づき説明する。
図2は、合わせガラス体の一例を示す概略断面図であり、
図1と同一の部材には同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。
図2において、合わせガラス体20は、第1のガラス基板21aと、第1の樹脂フィルム22aと、本発明の熱線反射フィルム10と、第2の樹脂フィルム22bと、第2のガラス基板21bとをこの順番に積層して形成されている。また、本発明の熱線反射フィルム10は、透明基材11、コレステリック液晶ポリマー層12及び樹脂層13から形成されている。
【実施例】
【0086】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特に指摘がない場合、下記において、「部」は「質量部」を意味する。
【0087】
(実施例1)
先ず、下記材料をそれぞれ攪拌して混合し、樹脂層形成用塗布液及びコレステリック液晶ポリマー層形成用塗布液を調製した。
【0088】
<樹脂層形成用塗布液>
(1)芳香環を含む放射線硬化性樹脂(日本化薬社製、商品名「KAYARAD R551」:前述の化学式(9)で示される化合物):10部
(2)紫外線重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア907」):0.3部
(3)溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル):200部
【0089】
<コレステリック液晶ポリマー層形成用塗布液>
(1)重合性官能基を有する液晶化合物(ADEKA社製、高融点液晶化合物、商品名「PLC−7700」、融点:90℃):86.8部
(2)重合性官能基を有する液晶化合物(ADEKA社製、低融点液晶化合物、商品名「PLC−8100」、融点:65℃):9.7部
(3)キラル剤(ADEKA社製、右旋光性キラル剤、商品名「CNL−715」):3.5部
(4)紫外線重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア907」):3.0部
(5)溶剤(シクロヘキサノン):400部
【0090】
次に、上記樹脂層形成用塗布液を、バーコータを用いてPETフィルム上に塗布し、100℃で乾燥させて塗膜を形成した。その塗膜に紫外線(波長:最大波長365nm、光源:高圧水銀ランプ)を全光量:300mJ/cm
2となるように照射して塗膜を硬化させ、樹脂層(厚さ:0.1μm)を形成した。
【0091】
続いて、上記コレステリック液晶ポリマー層形成用塗布液を、バーコータを用いて上記PETフィルムの樹脂層上に塗布し、100℃で乾燥させて塗膜を形成した。その塗膜に紫外線(波長:最大波長365nm、光源:高圧水銀ランプ)を全光量:300mJ/cm
2となるように照射して塗膜を硬化させ、コレステリック液晶ポリマー層(厚さ:2.1μm)を形成し、実施例1の熱線反射フィルムを作製した。
【0092】
(実施例2)
樹脂層形成用塗布液及びコレステリック液晶ポリマー層形成用塗布液のそれぞれを下記組成とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱線反射フィルムを作製した。
【0093】
<樹脂層形成用塗布液>
(1)芳香環を含む放射線硬化性樹脂(日本化薬社製、商品名「KAYARAD R712」:前述の化学式(10)で示される化合物):10部
(2)紫外線重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア907」):0.3部
(3)溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル):200部
【0094】
<コレステリック液晶ポリマー層形成用塗布液>
(1)重合性官能基を有する液晶化合物(BASF社製、商品名「パリオカラー LC242」):97.3部
(2)キラル剤(BASF社製、右旋光性キラル剤、商品名「パリオカラー LC−756」):2.7部
(3)紫外線重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア907」):3.0部
(4)溶剤(シクロヘキサノン):412部
【0095】
(実施例3)
樹脂層形成用塗布液を下記組成とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱線反射フィルムを作製した。
【0096】
<樹脂層形成用塗布液>
(1)芳香環を含む放射線硬化性樹脂(共栄社化学社製、商品名「ライトアクリレート POB−A」:前述の化学式(8)で示される化合物):8部
(2)芳香環を含む放射線硬化性樹脂(共栄社化学社製、商品名「エポキシエステル 3000A」:前述の化学式(12)で示される化合物):2部
(3)紫外線重合開始剤(BASF社製、「イルガキュア907」):0.3部
(4)溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル):200部
【0097】
(比較例1)
樹脂層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱線反射フィルムを作製した。
【0098】
<接着性評価>
実施例1〜3及び比較例1で作製した熱線反射フィルムについて、下記のとおりコレステリック液晶ポリマー層と透明基材との接着性をセロハンテープ剥離試験で評価した。
【0099】
先ず、上記で作製した熱線反射フィルムのコレステリック液晶ポリマー層側に、セロハンテープ(登録商標)を指の腹でこすり貼り付けた。次に、セロハンテープが密着していることを確認し、セロハンテープの端部を熱線反射フィルムと60°の角度をなす方向に引っ張り、熱線反射フィルムから引き剥がした。その後、熱線反射フィルム上のポリマー層の剥がれを目視で確認した。その結果、ポリマー層の剥がれた面積が貼り付け面の面積に対しての10%未満のものをA(最良)、10〜70%のものをB(良好)、70%を超えるものをC(不良)として評価した。その結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
表1に示すように、実施例1〜3の熱線反射フィルムは、コレステリック液晶ポリマー層と透明基材との間に芳香環を含む樹脂層を設けたので、コレステリック液晶ポリマー層と透明基材との接着性が良好であることが分かる。一方、上記樹脂層を設けていない比較例1の熱線反射フィルムは、上記接着性が劣っていることが分かる。