(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
原水中のカビ臭物質(例えば2−MIBおよびジェオスミン)の濃度が高い場合、沈殿池やろ過池において凝集沈殿工程やろ過工程を経ても、ろ過水にカビ臭が残る。そこでカビ臭を取り除く場合は、オゾン(O
3)をろ過水に注入する工程を設けることが知られている。
【0003】
オゾンをオゾン被処理水に注入する工程は、酸素(O
2)または酸素を含んだ空気に高電圧をかけて電極管内でオゾンガスを発生させ、発生させたオゾンガスをオゾン被処理水に溶け込ませる。その結果、溶け込んだオゾンガスとカビ臭物質が酸化反応を起こし、カビ臭物質が分解される。また、カビ臭物質を除去する他の方法としては、活性炭を用いて除去する方法が知られている。
【0004】
次に、オゾンによるカビ臭物質の酸化反応の良否は、連続して計測することが困難であるためガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)などを用いて、例えば、数日〜1ヶ月の周期で測定をしている。また、オゾンによる酸化反応の良否は間接的ではあるがオゾンにより分解される有機物濃度をUV値や蛍光強度をモニタリングすることで確認されることもある。
【0005】
なお、オゾンは強力な酸化剤であり、色度の低減、微量有機汚染物質の分解、病原性微生物およびウィルスの不活化などにも効果がある。
【0006】
ところが、オゾン被処理水には原水に含まれる一般的な浄水処理では除去できない臭化物イオンが含まれており、オゾンとの酸化反応により酸化副生成物質として臭素酸イオンが生成される。臭素酸イオンは発がん性物質であるため、水質基準が定められ、オゾンをオゾン被処理水に注入する工程を導入している浄水場では定期的に臭素酸イオン濃度を測定している。なお、オゾンをオゾン被処理水に注入する工程の後段に活性炭吸着設備を設けることが義務化されているが、臭素酸イオンを除去することは困難である。
【0007】
また、オゾンをオゾン被処理水に注入する工程においては、オゾンによる酸化反応だけではなく、オゾンの自己分解で生成するヒドロキシルラジカルなどのラジカルによる酸化反応によって、物質が分解される。オゾンは特定の物質に対して大きな反応速度係数を持ち、それらを集中的に酸化処理可能である一方で、ヒドロキシルラジカルは、被反応物の選択性が小さく、オゾンでは酸化できない物質も含め多くの物質を酸化することができる。目的に応じて、オゾンとヒドロキシルラジカルの比率を変化させて、効果的に処理を行う。オゾンとヒドロキシルラジカルの比率は、pHや過酸化水素(H
2O
2)の添加等によって調整する。pHの調整については、硫酸を用いて行う。
【0008】
過酸化水素の添加量は過少な場合だけでなく過多な場合にも十分な効果が得られないことが知られており、処理効率を最大にする最適値が存在する。また、過酸化水素は、臭素酸イオンの前駆体である次亜臭素酸を、臭化物イオンに還元する働きがあるため、過酸化水素を添加することで臭素酸イオンの生成抑制にも効果がある。
【0009】
オゾン処理は、カビ臭物質の分解に有効であるが、オゾン注入量が少ないとカビ臭物質が除去できず、オゾン注入量が多いと発がん性物質である臭素酸イオンを生成してしまうという問題がある。
【0010】
関連する技術として、活性炭吸着前のイオンクロマト分析結果を用いて、オゾン注入量またはオゾン注入率を制御し、酸化副生成物質の生成を抑制する水処理装置が知られている。特許文献1を参照。しかし、この水処理装置では制御対象はオゾン注入量またはオゾン注入率のみで、酸化副生成物質に対して使用される硫酸、過酸化水素などの薬品の注入量または注入率の制御には至っていない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
実施形態1について説明をする。
図1は、水処理システムの一実施例を示す図である。制御装置1(水処理制御装置)は水処理施設2におけるオゾン処理を含めた酸化処理を制御するための装置で、例えば、コンピュータなどの情報処理装置である。また、制御装置1はクラウドコンピューティングを提供するデータセンタに設けられている情報処理装置(1つ以上のサーバコンピュータから構成される装置)などでもよい。
【0019】
水処理施設2は、着水井4、薬品混和池5、フロック形成池6、沈殿池7、ろ過池8、オゾン接触槽9(酸化反応槽)、活性炭吸着槽10、オゾン発生器17を備えている。
【0020】
着水井4は、水処理施設2に取り入れた川やダムの水の水位や水量を調整して薬品混和池5に原水を送る。薬品混和池5は、着水井4から送られた水に凝集剤を水全体に行き渡るようにかき混ぜて、マイクロフロックを形成させる。フロック形成池6は、フロックを大きく成長させる。沈殿池7は、大きなフロックを沈め、フロックを沈めた水をろ過池8に送る。ろ過池8は、例えば、砂や砂利の層などを通して水をろ過する。ろ過池8は、膜ろ過装置でもよい。
【0021】
オゾン接触槽9は、オゾン発生器17で発生させたオゾンガスをろ過した水(オゾン被処理水)に溶け込ませ、溶け込んだオゾンガスとカビ臭物質とを酸化反応させることで、カビ臭物質を分解する。オゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度は制御装置1により制御される。
【0022】
また、オゾン接触槽9には酸化反応により生成された酸化副生成物質を抑制するための薬品(過酸化水素、硫酸)と酸化反応を促進させる薬品(過酸化水素)とが薬品注入装置16から注入される。薬品注入装置16から注入される薬品それぞれの注入量または注入率は制御装置1により制御される。
【0023】
活性炭吸着槽10は、粒状の活性炭に水を通過させてオゾン処理水に含まれる酸化剤や有機物を吸着あるいは生物分解により除去する。しかし、酸化副生成物質である臭素酸イオンは吸着除去することが困難である。
【0024】
貯水施設3は、水処理施設2から送り出された水を一時貯めた後、給水をする。
なお、実施形態1では
図1に示す制御装置1、水処理施設2、貯水施設3を用いて説明をするが、
図1に示す水処理システムに限定されるものではなく、少なくともオゾン接触槽9に注入するオゾンガスを発生されるオゾン発生器17と、オゾン接触槽9に薬品を注入する薬品注入装置16と、を有する水処理システムに適用することができる。
【0025】
計測器について説明する。
計測器11(例えば、濁度計、温度計、pH計)は、原水の濁度、温度、pHなど、又はいずれかを連続または一定周期または決められた時間ごとに計測して制御装置1に計測データを送信する。計測器11の設置場所は着水井4が望ましいが、設置場所は限定されるものではない。また、濁度、温度、pHだけに限定されるものではない。
【0026】
計測器12は、オゾン被処理水の有機物濃度を連続または一定周期または決められた時間ごとに計測して制御装置1に計測データを送信する。有機物濃度の計測は、例えば、水中の有機物濃度と波長260nmの紫外線を吸収する度合いで水中の有機物濃度を表す紫外線吸光度(UV(E260))、蛍光強度、全有機炭素(Total Organic Carbon:TOC)量などを用いて計測することが考えられる。なお、計測器12の設置場所はろ過池8の直後が望ましいが、設置場所は上記に限定されるものではない。カビ臭濃度を計測してもよい。
【0027】
計測器13は、オゾン処理水または活性炭吸着槽10で処理されたオゾン活性炭処理水の有機物濃度を連続または一定周期または決められた時間ごとに計測し、制御装置1に計測データを送信する。例えば、紫外線吸光度、蛍光強度、全有機炭素量などを用いて計測することが考えられる。
【0028】
計測器14はオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水のカビ臭濃度を連続または一定周期または決められた時間ごとに計測し、制御装置1に計測データを送信する。
【0029】
計測器15はオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の臭素酸イオン濃度を連続または一定周期または決められた時間ごとに計測し、制御装置1に計測データを送信する。なお、計測器15は蛍光測定法を利用して臭素酸イオン濃度を計測するセンサを用いることが有効である。なお、計測器13、14、15の設置場所は活性炭吸着槽10の後段が望ましい。
【0030】
制御装置(水処理制御装置)について説明をする。
図2は、制御装置1の一実施例を示す図である。制御装置1は、記憶部201、推定部202、制御部203を有している。記憶部201は、例えばRead Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)などのメモリやハードディスクなどが考えられる。なお、記憶部201にはパラメータ値、変数値などのデータを記録してもよいし、実行時のワークエリアとして用いてもよい。なお、外部に設けたデータベースなどの記憶装置でもよい。
【0031】
推定部202は、水処理施設2で使用するオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸の注入量または注入率を示す複数の設定値と、水処理施設2に設けられた、オゾン処理を含めた酸化処理の前段における水の特性を計測する第1の計測器(計測器11、計測器12)から出力される計測値と、を組み合わせて入力データを生成する。
【0032】
例えば、オゾン接触槽9に注入するオゾン、過酸化水素、硫酸の注入量または注入率を示す複数の設定値は、例えば、オゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度の下限値、上限値、下限値と上限値の間の1つ以上の値、および過酸化水素、硫酸それぞれの注入量または注入率の下限値、上限値、下限値と上限値の間の1つ以上の値で、実験、シミュレーションなどにより決定することが考えられる。なお、設定値は記憶部201に予め生成して記憶しておいてもよい。なお、オゾン、過酸化水素、硫酸をすべて用いてもよいが、オゾンと過酸化水素あるいはオゾンと硫酸を用いるだけでもよい。
【0033】
計測値は、例えば、原水の濁度、温度、pHおよびオゾン被処理水の有機物濃度などが考えられる。入力データについては後述する
図3を参照。
【0034】
続いて、推定部202は、入力データを用いて、水処理施設2で処理されたオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質を表す水質値を、入力データそれぞれに対して推定する。推定する水質値(推定値)は、例えば、有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度である。
【0035】
なお、水処理施設2では各部(着水井4、薬品混和池5、フロック形成池6、沈殿池7、ろ過池8、オゾン接触槽9、活性炭吸着槽10)で水処理に時間がかかるため(各部での水の滞留時間が長いため)、設置位置により第1の計測器(計測器11、計測器12)とオゾン処理の後段階における第2の計測器(計測器13、14、15)が計測する時間が異なる。従って、水が流れてくる時間に応じて計測値を取得する時間を調整することが望まれる。例えば、第1の計測器と第2の計測器ごとに、調整する時間を設定し記憶部201に記憶する。すなわち、推定部202は遅れ時間分遡って計測値を取得する。
【0036】
入力データについて説明する。
入力データは、設定値と計測値とを組み合わせて生成する。例えば、
図3の表301に示す組み合わせが考えられる。
図3は、入力データ、推定値、評価値の関係を示す図である。
【0037】
表301では設定値を、オゾン、過酸化水素、硫酸をオゾン接触槽9に注入する際の設定値として、オゾン注入率を1、2[mg/L]とし、過酸化水素注入率を2、4、6[mg/L]とし、硫酸注入率を2、3、4、5[mg/L]としている。そうすると、表301の薬品の組み合わせは24通り(「パターンNo.」1〜24)となる。
【0038】
計測値は、本例では第1の計測器(計測器11、12)が計測した原水の濁度、温度、pH、およびオゾン被処理水の有機物濃度を用いる。
【0039】
図3の表302には、24パターンの入力データごとに推定した水質値(推定値:z1〜z24)が示されている。例えば、推定値z1にはパターンNo.1を用いて推定したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度が示されている。
【0040】
なお、設定値のオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度と過酸化水素の注入量または注入率は、予め決められた範囲内の(H
2O
2/O
3)に基づいて決められる値を用いることが望ましい。これはラジカル反応理論に基づくもので予め決めた範囲のモル比を設定することで、組み合わせパターンを減らすことができる。予め決めた過酸化水素対オゾンのモル比範囲は、例えば、0.2≦モル比≦20.0とすることが考えられるが、1.0≦モル比≦10.0を設定することが望ましい。その理由はモル比が過小または過大な場合に、臭素酸イオンの生成を抑制する効果を十分に得られないためである。特に過酸化水素とオゾンのモル比が過小の場合には、臭素酸イオンの生成が却って多くなることもある。設定する過酸化水素対オゾンのモル比に2.8(質量比では2.0)を用いた場合について説明をする。
図4において表401の「パターンNo.」の「1」〜「8」に示されているオゾンと過酸化水素の注入率は、過酸化水素対オゾンのモル比が2.8(質量比では2.0)である8通りのパターンを設定値として用いていることを示している。その結果、推定部202は水質値(推定値)について
図3の表301に示したように24通りのパターンすべてについて演算をしなくてもよく、推定部202は
図4の表401に示したように8通りのパターンについてのみ推定値z1〜z8(
図4の402)を求めればよくなる。その結果、推定部202の推定演算時間を短縮することができる。また、外乱の影響を受け難くすることができる。
【0041】
推定方法について説明する。
推定方法としては、水質値それぞれに対して予測モデルとして神経回路網(ニューラルネットワーク)を用いることが考えられる。
図5では有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれを推定する3つの予測モデルを用意する。
図5は、神経回路網の一実施例を示す図である。
【0042】
神経回路網の入力層に入力データ(x1〜x7)が設定されると、有機物濃度用中間層501、カビ臭濃度用中間層502、臭素酸イオン濃度用中間層503それぞれに入力データが適宜入力されると、オゾン処理水または活性炭吸着槽10で処理されたオゾン活性炭処理水の水質値(有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれの推定値)が求められる。有機物濃度の推定は有機物濃度用中間層501(y11〜y17)と有機物濃度用出力層504を用いて行われ、カビ臭濃度の推定はカビ臭濃度用中間層502(y21〜y27)とカビ臭濃度用出力層505を用いて行われ、臭素酸イオン濃度用中間層503(y31〜y37)と臭素酸イオン濃度用出力層506を用いて行われる。続いて、有機物濃度用出力層504、カビ臭濃度用出力層505、臭素酸イオン濃度用出力層506の出力である有機物濃度の推定値、カビ臭濃度の推定値、臭素酸イオン濃度の推定値が、入力データごとに出力される。例えば、
図3、
図4に示す入力データがパターンNo.1の場合には、パターンNo.1の入力データを用いて求められた対応する推定値z1(有機物濃度の推定値、カビ臭濃度の推定値、臭素酸イオン濃度の推定値)が出力される。パターンNo.1以外のNo.n(nは正の整数)についても同様に推定値znに対応する有機物濃度の推定値、カビ臭濃度の推定値、臭素酸イオン濃度の推定値がそれぞれ出力される。また、神経回路網のノード間の結合強度は学習により更新される。なお、本例では各中間層を1層と7ノードで示したが層数とノード数は限定されるものではない。
【0043】
推定したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の有機物濃度は紫外線吸光度、蛍光強度、全有機炭素量などを用いて表してもよい。推定したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水のカビ臭濃度はカビ臭物質である2−MIBおよびジェオスミンの濃度などを用いて表してもよい。
【0044】
なお、推定部202に予測モデルとして神経回路網を用いた場合の複数のノードに対する学習には、計測器13、14、15の計測したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度を用いて学習をさせる。
【0045】
ここで、計測器13、14、15はオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質を連続または一定周期または決められた時間で計測できる計測器を用いることで、従来に比べて多くの学習に用いる情報を取得することができるため、予測モデルの推定精度を向上させることができる。
【0046】
なお、予測モデルは神経回路網に限定されるものではなく、回帰分析などを用いた他の予測モデルを用いてもよい。
【0047】
制御部203は、推定部202で推定したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質(有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれの推定値)と、オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の所定の水質目標値(有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれの目標値)とを用いて、入力データそれぞれに対して、後述する方法に基づいて水質偏差を算出する。オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質目標値は、例えば、水質基準より水質が悪化していない数値で実験やシミュレーションなどにより決められる数値である。
【0048】
続いて、算出した水質偏差をオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質が悪化することにより発生する損失を表す数値に換算するための第1の係数と、設定値を評価関数で用いる数値に変換するための第2の係数と、を用いて評価値を求める評価関数に、水質偏差と設定値を入力する。そして、入力データごとに評価関数により評価値を算出する。算出した評価値のなかから決められた条件に一致する評価値を抽出し、抽出した決められた条件に一致する評価値に対応する入力データの設定値が示すオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸の注入量または注入率を取得する。
図3の表304、
図4の表404を参照。例えば、決められた条件は評価値が最小値であれば、最小の評価値に対応する入力データ(パターンNo.)のオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸の注入量または注入率を取得する。
【0049】
続いて、取得したオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸の注入量あるいは注入率に応じて、オゾン発生器17からオゾン接触槽9へ注入するオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度と、薬品注入装置16からオゾン接触槽9へ注入する過酸化水素、硫酸の注入量または注入率を、制御部203が制御する。
【0050】
水質偏差と評価値の求め方について説明する。
式1に示す条件である場合には、水質偏差を0とする。
オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の推定値
<オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質目標値(式1)
水質偏差=0
【0051】
式2に示す条件である場合には、水質偏差はオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の推定値とオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質目標値との差を2乗したものとする。
オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質目標値
<オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の推定値
<オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の上限値(水質基準)
水質偏差=(オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の推定値
−オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質目標値)^2)(式2)
【0052】
式3に示す条件である場合には、オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の推定値とオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質目標値との差を2乗した値にペナルティ値を加算した値を、水質偏差とする。ペナルティ値は、評価関数が、通常取りえる値よりも大きな数字になるように設定する。
【0053】
オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の推定値
>オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の上限値(水質基準)
水質偏差=((オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の推定値
−オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質目標値)^2)
+ペナルティ値(式3)
なお、上記「^2」は2乗を示す。
上述のように、有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度ごとに、有機物濃度の水質偏差H1、カビ臭濃度の水質偏差H2、臭素酸イオン濃度の水質偏差H3を求める。
【0054】
続いて、算出した水質偏差H1、H2、H3と、オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質が悪化することにより発生する損失を表す数値に換算する、水質偏差H1、H2、H3それぞれに対応する係数b1、b2、b3(第1の係数)と、を用いて入力データそれぞれに対して評価値それぞれを、評価関数式4を用いて算出する。また、係数b1はオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の有機物濃度が上昇することにより発生する損失を表す数値に換算する係数で、係数b2はオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水のカビ臭濃度が上昇することにより発生する損失を表す数値に換算する係数で、係数b3はオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の臭素酸イオン濃度が上昇することにより発生する損失を表す数値に換算する係数である。
【0055】
評価値F= 薬品費C
+有機物濃度の係数b1×有機物濃度の水質偏差H1
+カビ臭濃度の係数b2×カビ臭濃度の水質偏差H2
+臭素酸イオン濃度の係数b3×臭素酸イオン濃度の水質偏差H3(式4)
図3の表303には、24パターンの入力データごとに評価した評価値(F1〜F24)が示されている。例えば、評価値F1であれば入力データNo.1を用いて導かれた評価値である。
【0056】
薬品費Cはオゾンと薬品の単価と、オゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度と薬品の注入量または注入率とを用いて式5により求める。式5を参照。
薬品費C= オゾンの係数a1×オゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度
+過酸化水素の係数a2×過酸化水素の注入量または注入率
+硫酸の係数a3×硫酸の注入量または注入率(式5)
【0057】
係数a1、a2、a3(第2の係数)は、評価における薬品のバランスを取るためのものである。また、係数a1はオゾン生成に必要な電力単価を使用しても良いし、オゾンの注入量あるいは注入率による電力料金を考慮した係数および経験から決定する重みを使用してもよい。係数a2は過酸化水素の購入単価を使用しても良いし、過酸化水素の注入量あるいは注入率による薬品費を考慮した係数および経験から決定する重みを使用してもよい。係数a3は硫酸の購入単価を使用してもよいし、硫酸の注入量あるいは注入率による薬品費を考慮した係数および経験から決定する重みを使用してもよい。
【0058】
なお、
図3の表303の評価値F1〜F24は24パターンの入力データごとに式4、式5を用いて求めた評価値である。なお、
図4の表401に示した8パターンの入力データを用いて評価値F1〜F8(
図4の表403)を用いることで評価値の演算時間を短縮することができる。
【0059】
実施形態1によれば、水処理施設2のような水の滞留時間が長い場合に、推定部202と制御部203で説明したフィードフォワード制御をすることで、オゾン接触槽9に注入するオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度と薬品の注入量または注入率を最適な値に制御しつつ、カビ臭物質を分解し、人体に影響する酸化副生成物質を抑制できる。また、オゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度と薬品(過酸化水素、硫酸)の注入率量または注入率とを同時に制御することによって、オゾンの酸化能力を最大に発揮させる条件を保ちつつ、オゾンの使用量を抑えながら、水質の目標値に達した処理水を得ることを確保できる。
【0060】
さらに、従来のようにイオンクロマト分析結果を用いないためイニシャルコストやランニングコストが高額にならない。また、メンテナンスや装置操作が煩雑にならない。
【0061】
実施形態1の動作について説明をする。
図6は、制御装置の動作の一実施例を示すフロー図である。ステップS601では、制御装置1が記憶部201に記憶されている第1の計測器と第2の計測器の計測した計測値を取得する。例えば、濁度計、温度計、pH計、有機物濃度を計測する計測器などが計測した原水の濁度、温度、pHおよびオゾン被処理水の有機物濃度、カビ臭濃度などを遅れ時間分を遡って取得する。
【0062】
ステップS602では、記憶部201に記憶されているオゾンと薬品の設定値とステップS601で取得した計測値とを用いて、制御装置1が入力データを生成する。
図3の表301、
図4の表401を参照。
【0063】
ステップS603では、水質値(有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度)ごとに用意された制御装置1の予測モデルに入力データを入力する。例えば、神経回路網の入力層に入力データを設定する。
【0064】
ステップS604では制御装置1が推定処理を行い、水質値(有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度)ごとに推定値を算出する。例えば、
図3の表302の推定値z1〜z24、
図4の表402の推定値z1〜z8を参照。また、神経回路網を用いた場合であれば中間層で処理を実行して、出力層に処理結果である推定値を記憶する。
【0065】
ステップS605では制御装置1がオゾンと薬品の費用を算出する。式5を参照。ステップS606では、推定値と計測した水質値(有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度)ごとに事前に決められた水質目標値と、を用いて、入力データ各々に対して制御装置1が水質偏差それぞれを算出する。式1、式2、式3の条件と、式1、式2、式3の条件ごとの水質偏差の算出式を参照。
【0066】
ステップS607では、算出した水質偏差と水質偏差ごとに決められる水質が良好であるかを判定するための係数とを用いて、入力データ各々に対して評価値を制御装置1が算出する。式4を参照。また、
図3の表303の評価値F1〜F24、
図4の表403の評価値F1〜F8を参照。
【0067】
ここで、ステップS603〜S607の処理は、入力データそれぞれに対して並列に処理をして評価値を算出してもよい。または、入力データそれぞれを順次処理をして評価値を算出してもよい。
【0068】
ステップS608では、制御装置1がステップS607で算出した評価値のなかから決められた条件に一致する評価値を抽出し、抽出した決められた条件に一致する評価値に対応する入力データを抽出する。
図3の表304、
図4の表404のFを参照。例えば、決められた条件例えば、決められた条件は評価値が最小値であれば、最小の評価値に対応する入力データ(パターンNo.)のオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸の注入量または注入率を取得する。
【0069】
ステップS609では、制御装置1が抽出した入力データのオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度と過酸化水素、硫酸の注入量または注入率を抽出する。その後、抽出したオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸の注入量または注入率に従い、制御装置1がオゾン発生器17と薬品注入装置16を制御してオゾン接触槽9にオゾン、過酸化水素、硫酸を注入させる。
【0070】
なお、実施形態1ではオゾン、過酸化水素、硫酸をすべて用いてもよいが、オゾンと過酸化水素あるいはオゾンと硫酸を用いるだけでもよい。このように、水処理施設2のように水の滞留時間が長い場合に、実施形態1で説明したフィードフォワード制御をすることで、オゾン接触槽9に注入するオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度と薬品の注入量または注入率を最適な値に制御しつつ、カビ臭物質を分解し、酸化副生成物質を抑制することができる。また、オゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度と薬品(過酸化水素、硫酸)の注入率量または注入率とを同時に制御することによって、オゾンの酸化能力を最大に発揮させる条件を保ちつつ、オゾンの使用量を抑えながら、水質の目標値に達した処理水を得ることを確保できる。
【0071】
さらに、従来のようにイオンクロマト分析結果を用いないためイニシャルコストやランニングコストが高額にならない。また、メンテナンスや装置操作が煩雑にならない。
【0072】
なお、コストのバランスが悪い場合、評価値は大きくなり、各コスト全体のバランスが取れると評価値が小さくなるため、評価値が最小になる場合のオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度および薬品の注入量または注入率を最適に決定することが望ましい。
【0073】
実施形態2について説明をする。
実施形態2は、予測モデルで推定した水質値(推定値)と、第2の計測器(計測器13、14、15)で計測した計測値と、の偏差が、決められる閾値より大きい場合に、フィードバック制御をすることで、制御の安定性を高める。
【0074】
本例では、有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度を用いた、オゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸の注入量または注入率のフィードバック制御について説明する。
図7は、実施形態2の制御装置1の一実施例を示す図である。制御装置1(水処理制御装置)は、記憶部201、推定部202、制御部701、を有している。
【0075】
制御部701は、オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の水質を計測する第2の計測器が計測した計測値と推定部202で推定した水質値(推定値)との偏差を算出し、算出した偏差に応じて、オゾン接触槽9へのオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度と薬品の注入量または注入率を決定する。また、制御部701は後述するフィードバック制御をする。
【0076】
実施形態2の制御装置の動作について説明する。
図8は、実施形態2の制御装置の動作の一実施例を示すフロー図である。ステップS801では、制御装置1が記憶部201に記憶されている第1の計測器と第2の計測器が計測した計測値を取得する。例えば、濁度計、温度計、pH計、有機物濃度を計測する計測器などの第1計測器が計測した原水の濁度、温度、pHおよびオゾン被処理水の有機物濃度などと、第2の計測器が計測したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の計測値(有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度などの計測値)を取得する。
図8に示すステップS602〜S604で行う処理は、実施形態1と同じであるので説明を省略する。
【0077】
ステップS802では制御装置1が推定値と計測値の偏差を算出する。すなわち、推定したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の有機物濃度と実測したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の有機物濃度との偏差を求める。また、推定したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水のカビ臭濃度と実測したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水のカビ臭濃度との偏差を求める。また、推定したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の臭素酸イオン濃度と実測したオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の臭素酸イオン濃度との偏差を求める。
【0078】
ステップS803では制御装置1がステップS802で算出した偏差が決められた閾値より大きいか否かを判定し、閾値より大きい場合(Yes)にはステップS804に移行し、閾値以下の場合(No)にはステップS605に移行する。大きいか否かの判定は、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差と、有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれで決められた有機物濃度の閾値、カビ臭濃度の閾値、臭素酸イオン濃度の閾値と、を用いて、判定をする。閾値それぞれは、実験またはシミュレーションにより決めることが考えられる。
【0079】
また、判定方法は、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差のうちの何れか1つが、対応する閾値より大きい場合に水質が悪化したと判定することが考えられる。または、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差のうち少なくとも2つが、対応する閾値より大きい場合に水質が悪化したと判定することが考えられる。または、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差すべてが、対応する3つ閾値より大きい場合に水質が悪化したと判定することも考えられる。
【0080】
図8に示すステップS605〜S609で行う処理は、実施形態1と同じであるので説明を省略する。
【0081】
ステップS804では、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差を用いて、制御装置1が注入情報を参照し、オゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸の注入量または注入率を選択する。その後、選択したオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸の注入量または注入率に従い、制御装置1がオゾン発生器17と薬品注入装置16を制御してオゾン接触槽9にオゾン、過酸化水素、硫酸を注入させる。
【0082】
注入情報は、例えば、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差のうちの1つ以上を選択することにより、オゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸それぞれの注入量または注入率を選択できる構造の情報で、記憶部に記憶されている。なお、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差を用いて計算によりオゾンの注入量または注入率または溶存オゾン濃度、および過酸化水素、硫酸それぞれの注入量または注入率を求めてもよい。
【0083】
実施形態2によれば、予測モデルで推定した水質値(推定値)と、第2の計測器(計測器13、14、15)で計測した計測値と、の偏差が、決められる閾値より大きい場合に、フィードバック制御を利用することで、制御の安定性を高めることができる。
【0084】
実施形態3について説明をする。
実施形態3では、予測モデルで推定した水質値(推定値)と、第2の計測器(計測器13、14、15)で計測した計測値と、の偏差が、決められる閾値より大きい場合に、実施形態1のフィードフォワード制御に実施形態3で用いるフィードバック制御を組み合わせることで、制御の安定性を高める。
【0085】
実施形態3のフィードバック制御では
図9のフロー図に示すように、制御部701が評価値における目標値を補正する。ただし、フィードバック制御は後述する水質目標値を補正するフィードバック制御を行う。
【0086】
オゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれの推定値と、有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれの水質目標値と、の偏差が、
閾値以上であるか否かを判定する。有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度の
偏差の何れかが
閾値以上である場合、
閾値以上と判定された有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度の水質目標値を小さくするように、制御装置1がオゾン処理水またはオゾン活性炭処理水の有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれの偏差の所定割合に応じて水質目標値を補正する。所定割合は、例えば0〜1.0の間の値が考えられる。
【0087】
有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれの水質目標値の補正値それぞれは、例えば式6を用いて計算することが考えられる。
水質目標値
の補正値=水質目標値−(水質計測値−水質推定値)×水質所定割合(式6)
水質目標値:有機物濃度目標値、カビ臭濃度目標値、臭素酸イオン濃度目標値
水質計測値:有機物濃度計測値、カビ臭濃度計測値、臭素酸イオン濃度計測値
水質推定値:有機物濃度推定値、カビ臭濃度推定値、臭素酸イオン濃度推定値
水質所定割合:有機物濃度所定割合、カビ臭濃度所定割合、臭素酸イオン濃度所定割合
水質目標値それぞれを補正することで注入量または注入率などが変更となり、水質基準を守り(当初の水質目標値に近づける)運転が可能となる。
【0088】
実施形態3の制御装置の動作について説明する。
図9は、実施形態3の制御装置の動作の一実施例を示すフロー図である。
図9のステップS801、ステップS602〜S604、ステップS802で行う処理は、実施形態1または実施形態2で説明した処理と同じであるので説明を省略する。
【0089】
ステップS901では制御装置1(水処理制御装置)がステップS802で算出した偏差が決められた閾値より大きいか否かを判定し、閾値より大きい場合(Yes)にはステップS902に移行し、閾値以下の場合(No)にはステップS605に移行する。大きいか否かの判定は、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差を用いて、有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれで決められた有機物濃度の閾値、カビ臭濃度の閾値、臭素酸イオン濃度の閾値を用いて、判定をする。閾値それぞれは、実験またはシミュレーションにより決めることが考えられる。
【0090】
また、判定方法は、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差のうちの何れか1つが、対応する閾値より大きい場合に水質が悪化したと判定することが考えられる。または、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差のうち少なくとも2つが、対応する閾値より大きい場合に水質が悪化したと判定することが考えられる。または、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差すべてが、対応する3つ閾値より大きい場合に水質が悪化したと判定することも考えられる。
【0091】
図9に示すステップS605〜S609で行う処理は、実施形態1と同じであるので説明を省略する。
【0092】
ステップS902では、有機物濃度の偏差、カビ臭濃度の偏差、臭素酸イオン濃度の偏差を用いて、制御装置1が式6により有機物濃度、カビ臭濃度、臭素酸イオン濃度それぞれの目標値を補正する。
【0093】
実施形態3によれば、予測モデルで推定した水質値(推定値)と、第2の計測器(計測器13、14、15)で実際に計測した計測値と、の偏差が、決められる閾値より大きい場合に、フィードバック制御を利用した制御をすることで、制御の安定性を高めることができる。
【0094】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。