【実施例】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0023】
[第1実施例]
図1は、実施例に係る携帯端末の一例を示す。携帯端末100は、例えばスマートフォンなどとすることができる。
図2は、携帯端末100の充電に関する構成を示す。なお、
図2においては、電力供給線を実線で示し、制御信号線を破線で示す。
【0024】
図示のように、携帯端末100は、外部電力供給装置3と接続される。外部電力供給装置3は、車両のバッテリ、PCのUSB端子、商用AC電源などの電源から、例えば直流5Vといった安定化電圧を携帯端末100へ供給する。外部電力供給装置3は、携帯端末100の外部コネクタに着脱可能なコネクタをケーブルの先に備える。外部電力供給装置3のコネクタは、例えば車両のバッテリから電力を供給するためのシガーチャージャー、PCから電力を供給するためのUSB端子、商用AC電源から電力を供給するためのACアダプタなどである。
【0025】
携帯端末100は、バッテリ5と、電子回路10とを備える。バッテリ5は、例えばリチウムイオンバッテリ、ニッケル水素バッテリなどである。バッテリ5は、携帯端末100に対して着脱可能であり、携帯端末100との電気的接点を有する。
【0026】
電子回路10は、携帯端末100内部に設けられた回路である。電子回路10は、充電部11と、電圧変換部12と、切換制御部13と、スイッチ14と、温度検出部15と、被駆動回路16とを備える。電子回路10は、外部電力が供給されていない場合にはバッテリ5からの電力供給を受けて動作する。
【0027】
被駆動回路16は、携帯端末10の本来の動作を行うために設けられた回路であり、具体的にはCPU、メモリ、表示デバイスなどを含む。一方、被駆動回路16以外の部分、即ち、充電部11、電圧変換部12、切換制御部13、スイッチ14及び温度検出部15は、本実施例によるバッテリの充電制御のために動作する部分である。
【0028】
充電部11は、外部電力供給装置3から供給された電力を基にして、バッテリ5の充電電流を出力する。充電部11の出力端子は、バッテリ5の端子と、スイッチ14の入力端子T1に接続される。
【0029】
バッテリ5の充電方法の一例を
図3に示す。
図3において、グラフ31は充電電圧の時間変化を示し、グラフ32は充電電流の時間変化を示す。バッテリ5の充電電圧が所定値未満である場合、充電部11は、バッテリ5への充電電流が所定の電流値I1を超えないように電流に出力制限をかけながら充電電流を出力する。これにより、バッテリ5の充電電圧はグラフ31に示すように徐々に上昇する。こうして、時刻t1においてバッテリ5の充電電圧が所定電圧値V1に達すると、充電部11は、所定電圧値V1を維持して充電を継続する。なお、リチウムイオンバッテリの場合、所定電圧値V1は例えば4.0Vに設定される。これにより、グラフ32に示すように、充電電流は徐々に低下する。そして、充電部11は、充電電流が所定電流値I2以下となったときに充電を終了する。
図3に示すように、時刻0〜t1は定電流充電が行われ、時刻t1〜t2は定電圧充電が行われることになる。
【0030】
電圧変換部12は、外部電力供給装置3から供給された電圧を、バッテリ5の定格電圧近傍の電圧に変換し、スイッチ14の入力端子T2へ出力する。なお、リチウムイオンバッテリの場合の定格電圧は例えば4.0Vである。
【0031】
スイッチ14は、半導体スイッチなどにより構成され、被駆動回路16への電流供給経路を、バッテリ側と電圧変換部側との間で切換える。具体的に、スイッチ14は、入力端子T1、T2の一方を選択し、出力端子Toから被駆動回路16へ電力を供給する。なお、実際には、電子回路10内において電源線は共通となっており、被駆動回路16へ供給された電力は、充電部11、電源変換部12、切換制御部13、スイッチ14、温度検出部15へも同様に供給される。即ち、スイッチ14から供給された電力で電子回路10全体が動作する。
【0032】
温度検出部15は、バッテリ5の温度又はバッテリ5周辺の温度を検出し、検出温度を制御信号S15として切換制御部13へ供給する。温度検出部15は、携帯端末100のケース内において、バッテリ5と接触又は近接する位置に配置される。なお、バッテリ5自身にサーミスタなどの温度検出手段が内蔵されており、バッテリ5の接点を介して検出温度を出力できるように構成されている場合には、バッテリ5から出力される検出温度を切換制御部13に供給すればよい。この場合、温度検出部15は不要となる。
【0033】
切換制御部13は、温度検出部15から供給されたバッテリ5の検出温度に基づいてスイッチ14を制御し、被駆動回路16への電力供給経路を切換える。切換制御部13は、制御信号S11を送って充電部11の動作をオン、オフするとともに、制御信号S12を送って電圧変換部12の動作をオン、オフする。また、切換制御部13は、制御信号S14を送ってスイッチ14の切換えを制御する。
【0034】
具体的に、バッテリ5の検出温度が所定値未満の場合、切換制御部13は、充電部11を操作させてバッテリ5へ充電を行うとともに、電圧変換部12を停止させ、スイッチ14を入力端子T1側に切換える。これにより、外部電力供給装置3からの電力でバッテリ5が充電される。このモードを「充電モード」と呼ぶ。充電モードでは、バッテリ5の充電電力がスイッチ14を介して被駆動回路16へ供給されるので、バッテリ5の充電電力で電子回路10全体が動作する。
【0035】
一方、バッテリ5の検出温度が所定値以上の場合、切換制御部13は、充電部11を停止させてバッテリ5への充電を停止するとともに、電圧変換部12を動作させ、スイッチ14を入力端子T2側に切換える。これにより、バッテリ5への充電は行われず、外部電力供給装置3からの電力が被駆動回路16に供給される。このモードを「非充電モード」と呼ぶ。非充電モードでは、外部電力供給装置3からの電力がスイッチ14を介して被駆動回路16へ供給されるので、外部電力供給装置3からの電力で電子回路10全体が動作する。
【0036】
以上のように、本実施例では、バッテリ5の温度が高い場合には非充電モードとしてバッテリ5への充電を行わず、バッテリ5の温度が低い場合には充電モードとしてバッテリ5への充電を行う。よって、バッテリ5への支障がない範囲で効率的にバッテリ5の充電を行うことができる。
【0037】
(変形例1)
上記の実施例の制御に加えて、バッテリ5の充電率が所定値以上(例えば80%以上)である場合には、バッテリ5の温度に拘わらず、携帯端末100を非充電モードとしてもよい。これにより、バッテリ5の無駄な繰り返し充電を防止することができ、バッテリの寿命を延ばすことができる。なお、バッテリ5の充電率は、バッテリ5の充電電流値に基づいて決定することができる。例えば、
図3のグラフ32の例では、バッテリ5の充電電流が所定電流値I2であるときが充電率100%であるので、充電率80%に相当する充電電流値を予め決定し、充電電流がその充電電流値になったときに充電率が80%になったと判定すればよい。
【0038】
(変形例2)
上記の実施例の制御に加えて、電子回路10の消費電流が所定値以上である場合、バッテリ5の温度に拘わらず、携帯端末100を非充電モードとしてもよい。例えば、ナビゲーションアプリケーションのように消費電力が大きいアプリケーションを携帯端末100が実行している場合、バッテリ5へ充電しようとしても、電力消費が大きいために充電が進まないことがある。このような場合は、バッテリ5の温度が無駄に上昇してしまい、バッテリ5の寿命を縮めてしまうことがある。よって、バッテリ5への充電を行わず、外部電力供給装置3からの電力で携帯端末100を動作させることが好ましい。
【0039】
なお、消費電流の検出方法としては、電子回路10が消費している電流を検出する電流測定手段を携帯端末100に設ければよい。もしくは、アプリケーション毎に消費電流の標準値が設定されている場合には、消費電流の標準値の参照テーブルなどを参照して、アプリケーションの起動中にそのアプリケーションに対応する消費電流値を予測することとしてもよい。
【0040】
[第2実施例]
第1実施例は、バッテリ5の温度に基づいて充電モードと非充電モードの切換えを行っている。その代わりに、バッテリ5の温度上昇率に基づいて充電モードと非充電モードとの切換えを行ってもよい。温度上昇率を見ることで、実際にバッテリ5の温度が限界温度近くまで上昇する前にバッテリ5への充電を停止することができ、バッテリ5へのダメージを減らすことができる。具体的には、温度検出部15からの検出温度の時間変化として温度上昇率を算出し、これが所定の温度上昇率を超えた場合に充電モードから非充電モードへの切換えを行えばよい。
【0041】
[第3実施例]
第1実施例の制御に代えて、バッテリ5の温度に応じて、単位時間内の充電モードと非充電モードの時間的割合を変更することとしてもよい。例えば、バッテリ5の温度をいくつかの温度範囲に分類し、温度範囲毎に充電モードと非充電モードの時間的割合を制御する。
【0042】
図4は、第3実施例における時間割合の一例を示す。この例では、バッテリ5の温度を4つの温度範囲に分類し、温度範囲毎に充電モードと非充電モードの時間的割合を設定している。例えば、バッテリ5の温度が35℃未満の場合には全時間でバッテリ5を充電し、35℃〜40℃の場合は充電モードの時間を70%とし、40℃〜45℃の場合は充電モードの時間を30%とし、45℃以上である場合は全時間を非充電モードとする。これにより、バッテリ5の温度上昇を緩和しつつ、バッテリ5の充電を進めることができる。
【0043】
[第4実施例]
第1実施例では、全ての環境で第1実施例の制御を行うこととしている。その代わりに、携帯端末100が車両に搭載されている間だけ第1実施例の制御を行うこととしてもよい即ち、携帯端末100が車両に搭載されている場合には、第1実施例のように、バッテリ5の温度に基づいて充電モードと非充電モードとを切換える。一方、携帯端末100が車両に搭載されていない場合には、基本的に充電モードとし、バッテリ5の充電を実行する。
【0044】
本実施例において携帯端末100を車両に搭載する際に使用するクレードルの例を
図5に示す。クレードル200は、車両のダッシュボードやフロンドガラスなどに取り付けられ、ベース部214と一対のアーム215により携帯端末100を保持する。クレードル200にはNFC(Near Field Communication)タグ210が取り付けられる。NFCタグ210には例えばユニークな文字列が書き込まれる。携帯端末100をクレードル200に装着すると、携帯端末100はNFCタグからその文字列を読み取り、携帯端末100が車両に搭載されている(車内で使用されている)と判断する。それ以外の場合、携帯端末100は車両に搭載されていないと判断する。
【0045】
車載用クレードルを使用して携帯端末100が車内に設置される場合、通常、携帯端末100は直射日光の当たるダッシュボード付近へ設置される。このような状況では、バッテリの温度が上がりやすい。よって、第1実施例の制御を行うことにより、バッテリの温度上昇を防止しつつバッテリを充電することが可能となる。