(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246587
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】マイクロ流体回路中の小滴形成方法
(51)【国際特許分類】
B01J 19/00 20060101AFI20171204BHJP
B81B 1/00 20060101ALI20171204BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
B01J19/00 321
B81B1/00
G01N37/00 101
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-501905(P2013-501905)
(86)(22)【出願日】2011年3月28日
(65)【公表番号】特表2013-523431(P2013-523431A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】FR2011050677
(87)【国際公開番号】WO2011121220
(87)【国際公開日】20111006
【審査請求日】2014年2月14日
【審判番号】不服2016-7345(P2016-7345/J1)
【審判請求日】2016年5月19日
(31)【優先権主張番号】10/01298
(32)【優先日】2010年3月30日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】503378028
【氏名又は名称】エコール・ポリテクニク
(73)【特許権者】
【識別番号】598125981
【氏名又は名称】サーントル・ナシヨナル・ドゥ・ラ・ルシェルシェ・シヤンティフィック
【氏名又は名称原語表記】Centre National de la Recherche Scientifique
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】バロー、シャルル
(72)【発明者】
【氏名】ダングラ、レミ
【合議体】
【審判長】
川端 修
【審判官】
國島 明弘
【審判官】
井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0051329(US,A1)
【文献】
国際公開第2009/048532(WO,A2)
【文献】
国際公開第2010/033200(WO,A2)
【文献】
特表2010−506136(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0098168(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J19/00〜19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体回路(1)中に収容されている第1流体の中に第2流体の小滴(14)を形成する方法であって、
前記第1流体を収容している室(3)の入口にマイクロ通路を介して前記第2流体をもたらすこと、ここで、前記室(3)の前記入口は、2つの対向壁(10,11)を備え、前記2つの対向壁の一方が、前記室(3)の前記入口とは反対側である前記室(3)の端に向かい進むにつれて前記2つの対向壁の他方から徐々に遠ざかる傾斜部分を有しており、及び
前記第2流体を前記室(3)の入口の中に付勢し、前記室(3)の中に突出している指であって、前記マイクロ通路の中に収容されている前記第2流体に付着していて表面張力による2つの対抗する力にさらされている前記第2流体の指を形成すること、を備え、
ここで、前記2つの対抗する力は、前記第2流体を前記マイクロ通路から排出させようとする表面エネルギーの勾配による第1の力と、前記第1の力とは反対に作用し、前記マイクロ通路の中に収容されている前記第2流体に前記指を付着させ続けようとする毛細管力に対応している第2の力であり、
前記指は、前記室(3)の前記入口に向いている前記指の上流端が前記第2流体の供給から分離されるまで、前記指は前記2つの対向壁の間で平坦にされており、前記第1の力が前記第2の力よりも大きくなったとき前記小滴を形成するために、前記室(3)の前記2つの対向壁(10,11)の間で徐々に大きくなっていき、
前記室(3)が小さな断面の区域とより大きな断面の区域とを有していて、前記小さな断面の区域においては、前記小滴(14)が平坦な形状になり、前記より大きな断面の区域に対しては、前記小滴(14)は、自然に引き付けられて、より球形であり、したがってより表面エネルギーの小さい形状を取ることを特徴とする、マイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項2】
前記室(3)の入口の前記第2流体の供給断面を調節することにより、及び、前記室(3)の前記2つの対向壁(10,11)の前記一方の前記傾斜部分を調節することにより、前記第2流体の前記小滴(14)の寸法を調節する工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項3】
レーザ光線加熱により又は前記マイクロ流体回路中に一体化されている電極を使用した加熱により前記表面張力を変化させることにより、前記第2流体の小滴(14)の寸法を調節する工程を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項4】
前記室(3)中の前記第1流体の流量が所定の値に調節されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項5】
前記室(3)中の前記第1流体の流量が実質的に零であることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項6】
前記第1流体を収容していて前記2つの対向壁(10,11)により規定されており、前記2つの対向壁の一方が前記室の入口とは反対側の前記室の端に向かうのに伴い前記2つの対向壁の他方から徐々に遠ざかる傾斜部分を有している前記室(3)と、前記第2流体を収容していて前記室の入口から前記室の前記端に向かう方向に関する上流である前記室の区域中へと導かれている前記マイクロ通路(8)と、を備えていて、前記室(3)中への前記マイクロ通路(8)の出口が前記第2流体の為の流れ断面における増大を含んでいる装置を使用して行われることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項7】
前記室(3)が、前記2つの対向壁(10,11)間を延びている高さと、その高さに比べ長い長さとの実質的に長方形状の断面であることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項8】
マイクロ通路(8)からの出口での室(3)の高さが、形成される小滴(14)の直径よりも小さいことを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項9】
前記室(3)の前記2つの対向壁(10,11)の一方が、前記マイクロ通路の出口に段、凹形状部分、又は凸形状部分を含んでいることを特徴とする、請求項1乃至8の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項10】
前記2つの対向壁(10,11)の前記他方に対する前記一方の傾斜が、1%乃至4%の範囲にあることを特徴とする、請求項1乃至9の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項11】
前記第2流体の表面張力を部分的に変化させる工程を含んでいることを特徴とする、請求項1乃至10の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項12】
前記第2流体の表面張力を部分的に変化させる前記工程が、部分的に適用されるレーザ光線又は前記マイクロ流体回路中に組み込まれている電極を使用して、前記第2流体を加熱することを備えていることを特徴とする、請求項11に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項13】
前記マイクロ流体回路(1)が、前記室(3)中に導かれている複数のマイクロ通路を含むことを特徴とする、請求項1乃至12の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項14】
前記複数のマイクロ通路が実質的に相互に平行であって前記室(3)の共通の側中に導かれていることを特徴とする、請求項13に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項15】
前記室が環形状であり、前記複数のマイクロ通路が前記複数のマイクロ通路の共通の源(15)から放射状に延びていて前記環形状の前記室(3)の内周面中に導かれていることを特徴とする、請求項13に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項16】
前記マイクロ流体回路(1)が2つの部分で作り上げられている本体を備えていて、前記マイクロ通路(8)及び前記室(3)の夫々が前記2つの部分の一方により規定されている1つの壁及び他方の部分により規定されているもう1つの壁を有していることを特徴とする、請求項1乃至15の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【請求項17】
前記第2流体のみが前記室(3)の入口中に付勢されていることを特徴とする、請求項1乃至16の何れか1項に記載のマイクロ流体回路中の小滴形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、微小流体回路中で小滴を形成する為の
方法に関係しており、特に、数百ナノメータ乃至数百マイクロメータの範囲中に入る寸法のマイクロ小滴及びナノ小滴を形成する為の
方法に関係している。
【背景技術】
【0002】
このような小滴は幾つかの技術分野において使用されている。夫々の分野では、小滴を形成する方法は異なっている。
【0003】
第1の技術分野は、オン−チップ実験適用(on-chip laboratory applications)又は他のバイオテクノロジー(biotechnologies)に関係している。この分野においては、第1の着手が、「搬送(carrier)」流体としても知られている第1流体がその中を流れる少なくとも1つのマイクロ通路を有している装置を使用することから成り、マイクロ通路は、第1流体とは混和できない第2流体がその中を流れている少なくとも1つの第2マイクロ通路中に直角に導かれている。第1流体(一般には、油)が第2流体(生物学的な適用に於いては一般には水)をせん断して、第2流体の小滴を形成し、小滴は次に第1流体により移送される。2つの流体の流量及びマイクロ通路の形状は、所望の量で所望の寸法の小滴を形成するよう調節され、そこで寸法及び量はまた2つの流体の粘性にも従っている。
【0004】
この形式の装置は必然的に、2つの流体を流す為にポンプの如き強制手段を含む。小滴の寸法は個々の流体の流量の関数(function)であるので、流体流量を正確に調節することが必要であり、それによりこのような装置は使用が困難になっている。
【0005】
例えば、文献 US 2006/0051329は、細胞(cell)を含んでいる小滴をカプセル状に包む(encapsulating)為の装置を記載していて、この装置は、その下流部分に拡がり(flare)を提供していて(
図9参照)細胞を含んでいる流体の流れを供給する為の第1通路、及び、第1通路を直角に横切る油の流れを運搬する第2通路、の両方を有していて、油の流れが細胞を含んでいる流体の流れをせん断して小滴を形成する。同様な装置が、米国化学学会誌(Journal of the American Chemical Society),巻(Vol.)128,17号,4月5日,2006年,頁(pp.)5656〜5658の、Yung−Chieh Tan その他.による文献「脂質小胞中の細胞,タンパク質,そして小溶球の制御されたマイクロ流体カプセル状包み込み(Controlled microfluidic encapsulation of cells, proteins, and microbeads in lipid vesicles)」中に記載されている。
【0006】
文献WO 2009/048532もまた小滴を形成する為の装置を記載しており、装置は、ガスを供給する為の第1通路を備えていて、その中には2つの対向側通路が水を供給するよう導かれ水により包まれたガスの気泡(bubble)を形成し、そしてその中には2つの他の側通路が気泡(bubble)をカプセル状に包む(encapsulate)ことが出来るように油を供給するよう導かれている。気泡(bubble)は、もう1つの流体(水)の流れの助けで第1流体(ガス)の流れをせん断することにより形成されている。
【0007】
流体の流れをせん断することにより小滴を形成する為の他の装置は以下の文献により記載されており:
WO 2010/033200;WO 2007/133710;SPIEの手法(Proceedings of SPIE),巻(Vol.)7038,8月10日,2008年,頁(pp.)70381J−1の、M−L Cordero その他.による「小滴マイクロ流体のホログラフィック制御(Holographic control of droplet microfluidics)」;物理学レビューE.(Physical Review E.),巻(Vol.)80,4号,10月,2009年,頁(pp.)046303−1〜046303−9の、Michele Zagnoni その他.による「マイクロ流体流れ中の小滴の電気的に開始された上流合体カスケード(Electrically initiated upstream coalescence cascade of droplets in a microfluidic flow)」;そして、応用物理レター(Applied Physics Letter),巻(Vol.)93,3号,7月24日,2008年,頁(p.)34107の、M−L Cordero その他.による「ホログラフィック光線成形を使用した小滴の熱毛細管操作(Thermocapillary manipulation of droplets using holographic beam shaping):マイクロ流体ピンボール(microfluidic pin ball)」である。
【0008】
文献 US 2009/0098168は小滴を形成する為の装置を開示しており、この装置は、オリフィス(orifice)を介して膨張ノズル中に導かれた、流体流れを供給する為の通路を有している。ノズルは2つの拡散壁を有しているとともに、オリフィスから上流の通路中を流れている流体からは異なっている流体を含む。拡散している壁がエマルション(emulsion)が均一であることを確実にしている一方で、オリフィスにおける流体動力学的挟み込み(hydrodynamic pinching)のお蔭により、小滴が形成されている。このシステムは、オリフィスを介し第2室中へと、散乱された相の中央流れ及び2つの側覆い流れを強制し、液体を取り囲んでいる流れの収束がオリフィスにおける線を壊すのに貢献する。
【0009】
第2の取り組みは、いわゆる「デジタル(digital)」マイクロ流体のそれであり、ここにおいては、小滴が、小滴の異なった複数の部分に対し異なった電気的な電圧を適用することによる、電子濡れ(electrowetting)により典型的には形成されている。
【0010】
そのような技術を使用して形成された小滴は、ナノ小滴またはマイクロ小滴の寸法よりも遥かに大きい寸法である。そのような技術はまた、小滴間の汚染及び小滴蒸発の問題を生じさせる。
【0011】
最後に、高いエネルギーを伴って表面に対し衝突して飛び散らしを生じさせる小滴を創出している、インクジェットプリンタシステムとしばしば同様である装置の助けで針(needle)又は孔(hole)を介して液体を急速に排出することにより要求に応じて小滴を創出する幾つかの取り組みが存在している。
【0012】
第2の技術分野は材料科学に関係しており、ここにおいては、泡(foam)又はエマルション(emulsion)、そして従って気泡(bubble)又は小滴の集団、を創出する為に幾つかの取り組みが開発されている。適用は様々であり、そして特に食品工業及び化粧品工業に関係している。
【0013】
他の取り組みは、他の小滴中に小滴をカプセル状に包む(encapsulating)ことからなる。例えば、水小滴は、それ自身が水中に含まれている、油小滴中にカプセル状に包まれる(encapsulating)ことが出来る。これらの取り組みの全ては、提供することが困難な高価な強制手段の使用を要求する。
【0014】
さらには、そして一般的には、小滴又は気泡(bubble)が単一分散形状で得られる、即ち、一定で制御されている寸法を提供する、とともに、小滴が創出される量を増大させることが望まれている。
【発明の概要】
【0015】
この発明の特定の目的は、簡易で、効率的で、そして高くない、これらの問題に対する解決を提供することである。
【0016】
マイクロ流体回路(microfluidic circuit)中に小滴を形成する為の装
置は、第1流体を収容していて少なくとも1つの所定の方向に向かうのに伴い互いに拡散する2つの対向壁により規定されている室と、そして、第2流体を収容しいて前記所定の方向に関する上流である前記室の区域中へと導かれているマイクロ通路(microchannel)と、を備えていて、室中へのマイクロ通路の出口は第2流体の為の流れ断面の増大を含んでおり、この増大が、マイクロ通路中に収容されている第2流体から分離され形成されている第2流体の小滴を形成させる、ことを特徴としている。
【0017】
この装置においては、マイクロ通路から室中への出口における第2流体は表面張力による2つの対向力にさらされる。第1の力は、それが形成される時の小滴の表面積変化のお蔭による表面エネルギー勾配(surface energy gradient)であり、そして、マイクロ通路から第2流体を抽出して、室中に突出しマイクロ通路中に含まれている第2流体に連結されている第2流体の「指(finger)」を形成し、そして次には、マイクロ通路中に収容されている第2流体から指を分離させることにより小滴を形成する、傾向にある。
【0018】
第1の力とは反対の方向に作用し毛管力に対応している第2の力は、マイクロ通路中に収容されている第2流体に対し第2流体の指を付着させておく、傾向にある。
【0019】
上述した指は、第1の力が第2の力よりも大きくなった時にマイクロ通路中に収容されている第2流体から分離される。マイクロ通路の、及び室の、所定の形状の為に、第1の力は、特に、第2流体の指の容積(volume)の関数(function)である。従って、動作においては、指の容積は第1の力が第2の力よりも大きくなるまで順次増大し、第2の指が小滴を形成するよう分離されるようになる。
【0020】
小滴は次に、室の断面における増大により上流から下流に向かい移送される。
【0021】
第1及び第2流体が流れる必要は無く、重要なことは第2流体がマイクロ通路の出口に向かい室中へと供給されることのみである、ことが分からなければならない。従って、種々の流体を強制する為の手段を提供することは必要がない。室内の第2流体の小滴の移送は流れ断面における増大からの結果となる。そこではそれが平坦にされている形状を有している小さな断面の区域中に位置している小滴が、そこではそれがより球の形状を取ることが出来るより大きな断面の区域により自然に引かれている。
【0022】
さらには、小滴の寸法は第2流体の流量とは実質的に独立している。それは室に対する入口における第2流体供給断面及び室の前記対向壁の収束の実質的な関数であり、即ち、それは固定されている幾何学的なパラメータの関数であり、そして、時間とともに変化せず、小滴の寸法は従って正確に決められている。
【0023】
さらには、同じ表面張力が小滴を分離することとそれを維持することの両方に作用するので、小滴の寸法は表面張力に依存しない。このような方法においては、小滴寸法は、流体の厳密な性質又はそれらが被るかもしれない如何なる汚染とは独立していて、そして、それは流体の粘度にのみ非常に僅かな程度に依存している。
【0024】
最後に、小滴の寸法はまた、マイクロ通路の出口からのある距離に位置している壁の形状により影響されず、従って種々の室形状を使用することが可能である。
【0025】
一例としては、使用される前記室が、2つの拡散している(diverging)対向壁の間を延びている高さとその高さに比べ長い長さとの実質的に長方形状の断面を有する。
【0026】
一例としては、その長さはその高さの10倍以上大きくて良い。
【0027】
当然ながら、前記室は他の形状を提供して良い。特に、前記室の壁は一方向以上に拡散して良い。一例としては、前記室は球又は卵形状であって良い。
【0028】
好ましいやり方では、マイクロ通路からの出口における前記室の高さは形成される小滴の直径よりも小さい。
【0029】
変形例においては、前記室の前記壁の1つが、マイクロ通路の出口に、段,凹形状部分,又は凸形状部分を含む。
【0030】
前記室の入口の形状におけるこれらの変化は、小滴の寸法及び移動速度を制御するのに寄与する。従って、段の存在はより小さな小滴が形成されることを可能にし、凹形状部分は小滴が形成された後の小滴の移動速度を減少させることを可能にし、そして凸形状部分は小滴寸法をより良く決めることを可能にする。
【0031】
第1実施形態においては、前記室中の第1流体の流量が実質的に零である。
【0032】
別の実施形態においては、前記室中の第1流体の流量が所定の値に調節されている。
【0033】
一例としては、前記室の前記2つの対向壁の拡散が、概略的に1%乃至4%の範囲に或る他方に関する前記2つの壁の一方の傾斜に対応している。
【0034】
当然、これらの値は一例として純粋に与えられていて、そして、前記傾斜は微小(infinitesimal)である値又は100%の値、即ち、水平壁に対し垂直である壁に対応している、を有して良い。
【0035】
この発明のもう1つの特徴に従えば、前記装置は第2流体の表面張力を部分的に変化させるための手段を含む。
【0036】
これは、特に、表面張力が変化されないことによりそれらが有する寸法に比較して、創出された小滴の寸法を調節することを可能にする。
【0037】
この発明の一実施形態においては、第2流体の表面張力を変化させるための手段が、例えば、部分的に適用されるレーザ光線又はマイクロ流体回路中に組み込まれている電極を使用して又は他の温度制御手段を使用することにより、第2流体を加熱する為の手段を備えている。
【0038】
マイクロ通路の出口から直ぐの上流に位置されている区域が加熱されたならば、マイクロ通路中に第2流体を保持する傾向にある表面張力が減少され、そして、第2流体の小滴をマイクロ通路から引き離すのに必要な力がより小さくなる。上流から出口を直接加熱することは、それ故に、小滴の寸法を減少させる傾向にある。
【0039】
逆に、マイクロ通路の出口から直ぐの下流に位置している区域が加熱されたならば、その時は、マイクロ通路から第2流体を抽出する傾向にある表面張力が減少される。出口から直ぐの下流を加熱することは、それ故に、小滴の寸法を増大させる傾向にある。
【0040】
一般には、加熱は、小滴形成及び分離に関して、マイクロ通路の出口の断面を増大させるのと同じ効果を創出する。
【0041】
この発明のもう1つの特徴に従えば、前記装置は、前記室中に導かれている複数のマイクロ通路を含む。これ等のマイクロ通路は独立している複数の流体を収容して良く、又はこれ等は複数のマイクロ通路から上流に位置されている共通の通路から生じている分岐の形状であって良い。
【0042】
第1の変形においては、前記複数のマイクロ通路が実質的に相互に平行であって前記室の共通の側中に導かれている。
【0043】
第2の変形においては、前記室が環形状であり、前記複数のマイクロ通路が星形状に配置されていて前記室の内周面中に導かれている。
【0044】
この発明の特定の実施形態においては、前記装置は2つの部分で作り上げられている本体を備えていて、前記マイクロ通路及び前記室の夫々がこれら2つの部分の一方により規定されている1つの壁及びこれら2つの部分の他方により規定されたもう1つの壁を有している。
【0045】
このようにして、小滴の複数の性質(寸法,速度,その他)を、単に2つの上述した部分の一方又は他方を変化させることにより、変化させることが可能である。
【0046】
これはまた、小さな高さのマイクロ通路を有し、そして、従って、単一部品として形成されている本体を使用したのと比べ、非常に小さな(例えば、10マイクロメータ(μm)以下)である小滴を形成することを可能にしている。
【0047】
この発明は、マイクロ流体回路中に収容されている第1流体中に第2流体の小滴を形成する方法を提供し、この方法は、
前記第1流体を収容している室
の入口が2つの対向壁を備えていて、
前記2つの対向壁の一方が前記室の入口とは反対側の前記室の端に向かうのに伴い前記2つの対向壁の他方から徐々に遠ざかる傾斜部分を有しており、前記室の入口にマイクロ通路を介し
前記第2流体をもたらすこ
と、前記第2流体を
前記室の入口中に付勢して
前記室
中に突出しているとともに前記マイクロ通路中に収容されている前記第2流体に付着していて表面張力による2つの正反対の力にさらされている前記第2流体の指形を形成すること、
前記第2流体を前記マイクロ通路から排出させようとする表面エネルギーの勾配による第1の力と、前記第1の力とは反対に作用し前記マイクロ通路中に収容されている前記第2流体に前記指形を付着させ続けようとする毛細管力に対応している第2の力と、から成り、前記指形は、
前記第1の力が前記第2の力よりも大きくなって、前記室の入口に向いている前記指形の上流端が
前記第2流体の供給から分離
し小滴を形成するまで
、前記室の前記2つの対向壁の間で徐々に大きくなっていくとともに前記2つの対向壁の間で平坦にされてい
く、ことを特徴としている。
【0048】
好適なやり方では、この方法は、前記室の入口の第2流体の供給断面を調節することにより、及び、前記室の前記対向壁の拡散を調節することにより、及び/又はレーザ光線加熱により又はマイクロ流体回路中に一体化されている電極を使用した加熱により表面張力を変化させることにより、第2流体の小滴の寸法を調節することから成る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
この発明は、限定されない例によりなされている以下の記載を読み、添付の図面を参照することにより、より良く理解されることが出来るし、そしてこの発明の他の詳細,特徴,及び利点が明らかになる。
【
図1】
図1は、この発明の
マイクロ流体回路中の小滴形成方法の為の装置の長手方向断面図である。
【
図2】
図2は、形成された小滴が示されていない前記装置の横断面図である。
【
図3】
図3は、第2流体の流量の関数として創出された小滴の寸法を記した図表である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態
の前記装置の概略的な横断面図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態
の前記装置の概略的な横断面図である。
【
図6】
図6は、第3の実施形態
の前記装置の概略的な横断面図である。
【
図7】
図7は、2つの部分で形成されている装置を示している、
図2に対応している図である。
【
図8】
図8は、異なった実施形態における装置の長手方向断面図である。
【
図9】
図9は、複数のマイクロ通路が平行に配置されていて室中に導かれている異なった実施形態の概略図である。
【
図10】
図10は、複数のマイクロ通路が室中に導かれている分岐を形成しているもう1つの異なった実施形態の概略図である。
【
図11】
図11は、室が環状であり複数のマイクロ通路が
放射状に配置されている、もう1つの異なった実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1及び
図2は、マイクロ流体回路中で小滴を形成する為の装置1を示しており、この装置は、2つの平行で対向した側壁4及び2つの対向した長手方向壁10及び11により規定されている室3をその中に形成されている本体2を備えている。室3の幅L、即ち、2つの側壁4間の距離、は、例えば2ミリメータ(mm)である。室3はまた、室3の正反対の端7に向かっている先端6の形状の端壁5を有している。
【0051】
本体2はまた、詳細には注射器又はピペットに連結する為の連結オリフィス9に連結された一端及び端壁5の先端6を介して室3中に導かれている他端を伴っているマイクロ通路8を有している。
【0052】
前記室の底の長手方向壁10は平坦な壁であり、そして上の長手方向壁11は室3の正反対の端7に向かい進むにつれて底の長手方向壁10から順次遠ざかる傾斜部12を提供している。一例として、室3の2つの対向壁10及び11間の拡散は、前記2つの対向壁の一方が他方に対して略1%乃至4%の範囲内にある傾斜に対応して良い。
【0053】
このようにして、室3の断面は、マイクロ通路8が正反対の端7に向かい進んで導かれている区域から順次増加している。室3の最小の高さh1、即ち、マイクロ通路8の出口13における室3の高さ、は、10μm乃至100μmの範囲であり、そして、室3の最大高さh2、即ち、その開口端7における室3の高さ、は、20μm乃至1000μmの範囲である。
【0054】
装置1には第2流体の表面張力を部分的に変化させる為の手段が設けられていて良く、これは、例えば、マイクロ回路中に一体化されている電極を使用することにより、又は、外部温度制御を使用することにより、第2流体を加熱する為の手段を備えることを意味している。表面張力は温度に伴い直線状に減少し、その結果として、一定の面積では、電極を使用することによる加熱により(表面張力により掛け合わされた全面積の積に等しい)表面エネルギーを変化させることが出来、マイクロ通路8の出口の断面を増加させることと同じ効果を創出する為には、出口における温度傾斜の減少を伴う。
【0055】
この発明の1つの異なった実施形態が
図9中に示されている。この実施形態においては、室3は長方形状であり、そして、それは全てが室3の共通の側に導かれている複数の実質的に平行なマイクロ通路8に連結されている。
【0056】
もう1つの異なった実施形態が
図10中に示されていて、ここにおいては、装置が分岐を構成しているマイクロ通路8の配列を有しており、個々の分岐は上流に位置されている単一の最初の通路から来ている。種々の分岐が室3の共通の側中に導かれている。
【0057】
最後の異なった実施形態が
図11中に示されている。この異なった実施形態においては、通路3は環形状であり、そして装置は星形状に配置された複数のマイクロ通路8を有していて、複数のマイクロ通路8は共通の源15から放射状に延出しているとともに室3の内周面中に導かれている。
【0058】
これらの異なった実施形態は、単一の室内に小滴の複数の流れが同時に形成されることを可能にしている。これは特に、例えば異なった成分(ingredient)を含んでいる小滴の集団を創出することが望まれている時に、役立つ。要求に従い、このようにして形成された如き小滴は、泡(foam)又はエマルション(emulsion)の形状で取り扱かわれるか又は装置から抽出されて良い。
【0059】
この小滴−形成装置の動作は、以下に詳細に記載される。
【0060】
室3は第1流体、例えば油、で満たされている。第2流体、例えば水、を収容している注射器が次に連結オリフィス9に連結されて、そして、水がマイクロ通路8の出口13に到達するまでマイクロ通路8中に注入される。
【0061】
上述した如く、マイクロ通路8の出口13に位置している水は、表面張力のお蔭により2つの対向している力にさらされている。第1の張力は、マイクロ通路8から水を抽出する傾向にある表面エネルギー傾斜のお蔭であり、室3中に突出しているとともにマイクロ通路8中に収容されている水に対し付着されている指14aを形成している。
【0062】
第1の力とは正反対であるとともに毛管力に対応している第2の力は、指14aをマイクロ通路8中に収容されている水に付着させておく傾向がある。
【0063】
第1の力が第2の力よりも大きくなった時に指14aは分離する。マイクロ通路8及び室3の所定の形状の為に、この第1の力は指14aの容積の関数である。従って、動作中には、指14aの容積が、第1の力が第2の力よりも大きくなるとともに前記指が小滴14bを形成するよう分離するまで、順次増大する。
【0064】
マイクロ通路8の寸法及び室3の断面の拡大は、所定の寸法の小滴14を得るように決定されている。特に、前記マイクロ通路の出口における室3の高さh1は、形成される小滴14の直径よりも小さくなければならない。
【0065】
水がマイクロ通路8の出口13へと供給される間に、水小滴14bは従って前記室中に連続して形成される。
【0066】
要求に従い、油の流れが室3中で付加されて良い。
【0067】
前記室中でそれ等に適用可能な増大している流れ断面のお蔭で、マイクロ通路8の出口13において形成された小滴14bは室3の正反対の端7に向かい自然に移送される。上述した如く、そこでは平坦な形状を取っている小さな断面の区域中に位置している小滴14bは、その中ではそれがより球形状であり、そして従ってより少なく抑制される形状を取ることが出来るより大きな断面の区域へと自然にひかれる。
図1中に見ることが出来るように、地点6に近い小滴14bは、壁10及び12間で平坦にされている結果として、第2端7に近い小滴14bの外見上の直径d2よりも大きな外見上の直径d1を示す。
【0068】
図3は、マイクロ通路8を介して到着した水の流量の関数として、所定の位置で測定された時の小滴14bの直径における変化を記した図表(graph)である。この変化は適用される流量の非常に大きな変化の間でさえ実際上は零であることが見て取れ、それによりこの発明が動作状況とは無関係に厳正な寸法の小滴14を得ることが出来ることを明示しており、それによりこの小滴−形成装置をより簡単に動作させることが出来る。
図3中に示されている例においては、小滴14の寸法は数百マイクロメーターの範囲であり、しかしながら装置1の寸法を減少させることは、その動作を大きく変更させることなく、数百ナノメーターの寸法を有している小滴14を得ることを可能にしている。
【0069】
その装置の動作は、詳細には、流体(ガス又は液体)の性質及び表面張力の値からは独立している。
【0070】
図4中に示されている異なった実施形態においては、室3中へのマイクロ通路8の出口13が段16、即ち、前記マイクロ通路の断面における突然の変化、を含んでいる。この段16は、上壁11中に形成されている。前記上壁は従って、マイクロ通路に対し直角であり前記段を形成しているとともに、前述したのと同様に、底壁10に対して或る角度を形成している傾斜部分12により延出されている部分16を有している。このような段16は、所定の傾斜の為により小さな寸法の小滴を形成するのに使用されて良い。
【0071】
図5は、もう1つの異なった実施形態を示しており、ここにおいては前記段が上壁11の凹形状連結区域17により置き換えられていて、この区域はマイクロ通路8の出口13を傾斜部分12に連結している。
【0072】
これは、
図2の装置で形成された小滴又は気泡(bubble)の速度よりも遅い速度で移動する小滴又は気泡(bubble)を形成することを可能にしている。
【0073】
図6はさらなるもう1つの異なった実施形態を示しており、ここにおいては上壁11の連結区域18が凸形状である。これは、より良く厳密にされている寸法の小滴を形成することを可能にしている。
【0074】
図7は、
図2のものと同様なこの発明の一実施形態を示しており、そしてそこにおいては本体2は2つの部分、上部分2a及び底部分2bの夫々、により作り上げられている。室3の上壁11の傾斜部分12は、例えば、フライス削り(milling)により又は如何なる他の適切な方法により、上部分2a中に作成されている。底部分12bは、フォトリソグラフィー(photolithography)により,プラスチック成形により(plastic forming),又は如何なる他の適切な方法により作成された、マイクロ通路8を含む。
【0075】
このようであれば、部分2a,2bの一方又は他方を変えることのみにより小滴の特性(寸法,速度)を変化させることが可能である。
【0076】
これはまた、小さな高さのマイクロ通路を有し、そして従って、単一部材の本体と比較して、非常に小さな(例えば、10μm以下)小滴を形成することを可能にする。
【0077】
部分2a及び2bの為に使用された材料は、異なっていて良いし、又は同じであって良い。さらには、部分2a及び2bは、同じ寸法の小滴を創出する為の装置を形成するよう分離できない方法で互いに積層されて良い。逆に、それらは、それらの部分の一方又は他方を交換することにより小滴の寸法を変化させることを可能にするよう分離可能な方法で互いに固定されて良い。
【0078】
図8は、前記マイクロ通路がより小さな幅、即ち収縮(constriction)、の区域19を含んでいる実施形態を示している。異なったものにおいては、この区域は局所的な拡大(enlargement)(示されていない)であることが出来る。このようであれば、小滴14は、収縮又は拡大の位置において、選択されたそして制御された方法で、マイクロ通路8中に収容されている流体の残りから離れるようになり、それにより、創出された小滴の寸法にわたるより良い制御を得ることを可能にしている。
なおこの明細書の記載には以下の発明が含まれている。
[1].
マイクロ流体回路中に小滴(14)を形成する為の装置(1)であって、第1流体を収容していて少なくとも1つの所定の方向において互いに拡散する2つの対向壁(10,11)により規定されている室(3)と、そして、第2流体を収容していて前記所定の方向に関する上流である前記室(3)の区域中へと導かれているマイクロ通路(8)と、を備えていて、室(3)中へのマイクロ通路(8)の出口(13)は第2流体の為の流れ断面の増大を含んでおり、この増大が、第1流体及び/又は第2流体の流量とは独立して、マイクロ通路中に収容されている第2流体から分離され形成されている第2流体の小滴(14)を形成させる、ことを特徴とする装置。
[2].
前記室(3)が、2つの拡散している対向壁(10,11)の間を延びている高さとその高さに比べ長い長さとの実質的に長方形状の断面である、ことを特徴とする前記[1].に従っている装置。
[3].
マイクロ通路(8)からの出口(13)における室(3)の高さ(h1)が、形成される小滴(14)の直径よりも小さい、ことを特徴とする前記[1].又は[2].に従っている装置。
[4].
前記室の前記壁(10,11)の1つが、マイクロ通路(8)の出口(13)に、段(16),凹形状部分(17),又は凸形状部分(18)を含む、ことを特徴とする前記[1].乃至[3].の何れか1つに従っている装置。
[5].
前記室中の第1流体の流量が実質的に零である、ことを特徴とする前記[1].乃至[4].の何れか1つに従っている装置。
[6].
前記室(3)中の第1流体の流量が所定の値に調節されている、ことを特徴とする前記[1].乃至[4].の何れか1つに従っている装置。
[7].
前記室(3)の前記2つの対向壁(10,11)の拡散が、概略的に1%乃至4%の範囲に或る他方に関する前記2つの壁の一方の傾斜に対応している、ことを特徴とする前記[1].乃至[6].の何れか1つに従っている装置。
[8].
第2流体の表面張力を部分的に変化させるための手段を含む、ことを特徴とする前記[1].乃至[7].の何れか1つに従っている装置。
[9].
第2流体の表面張力を変化させるための手段が、例えば、部分的に適用されるレーザ光線又はマイクロ流体回路中に組み込まれている電極を使用して、第2流体を加熱する為の手段を備えている、前記[8].に従っている装置。
[10].
前記室中に導かれている複数のマイクロ通路(8)を含む、ことを特徴とする前記[1].乃至[9].の何れか1つに従っている装置。
[11].
前記複数のマイクロ通路(8)が、実質的に相互に平行であって前記室(3)の共通の側中に導かれている、ことを特徴とする前記[10].に従っている装置。
[12].
前記室(13)が環形状であり、前記複数のマイクロ通路(8)が星形状に配置されていて前記室(3)の内周面中に導かれている、ことを特徴とする前記[10].に従っている装置。
[13].
2つの部分(2a,2b)で作り上げられている本体(2)を備えていて、マイクロ通路(8)及び室(3)の夫々が2つの部分の一方(2a)により規定されている1つの壁及び他方の部分(2b)により規定されたもう1つの壁を有している、ことを特徴とする前記[1].乃至[12].の何れか1つに従っている装置。
[14].
マイクロ流体回路中に収容されている第1流体中に第2流体の小滴(14)を形成する方法であって、その内側で拡散する2つの対向壁(10,11)を備えていて第1流体を収容している室(3)の入口に第2流体をもたらすこと、及び、第2流体を室(3)の入口中に付勢して室(3)に内側に第2流体の小滴(14)を形成すること、から成り、前記小滴は、第1流体及び/又は第2流体の流量とは独立して、それがその上流端が第2流体の供給から分離するようになるまで室(3)の2つの対向拡散壁(10,11)の間で徐々に大きくなっていく、ことを特徴とする方法。
[15].
室(3)の入口の第2流体の供給断面を調節することにより、及び、室(3)の前記対向壁(10,11)の拡散を調節することにより、及び/又はレーザ光線加熱により又はマイクロ流体回路中に一体化されている電極を使用した加熱により表面張力を変化させることにより、第2流体の小滴(14)の寸法を調節することから成る、ことを特徴とする前記[14].に従っている方法。