特許第6246592号(P6246592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロッキード マーティン コーポレーションの特許一覧

特許6246592画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ
<>
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000009
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000010
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000011
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000012
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000013
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000014
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000015
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000016
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000017
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000018
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000019
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000020
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000021
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000022
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000023
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000024
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000025
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000026
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000027
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000028
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000029
  • 特許6246592-画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ 図000030
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246592
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】画素レンズを有するコリメーティングディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20171204BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G02B27/02 Z
   H04N5/64 511A
【請求項の数】9
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2013-544784(P2013-544784)
(86)(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公表番号】特表2014-505271(P2014-505271A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】US2011065201
(87)【国際公開番号】WO2012083042
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年12月11日
(31)【優先権主張番号】61/423,934
(32)【優先日】2010年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/424,162
(32)【優先日】2010年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/424,166
(32)【優先日】2010年12月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504242618
【氏名又は名称】ロッキード マーティン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン グレゴリー エー
(72)【発明者】
【氏名】スミス デービッド アラン
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−506998(JP,A)
【文献】 特開平05−303054(JP,A)
【文献】 米国特許第04026641(US,A)
【文献】 特開平10−206786(JP,A)
【文献】 特開2009−069364(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0204731(US,A1)
【文献】 特開2010−020065(JP,A)
【文献】 米国特許第06215593(US,B1)
【文献】 国際公開第2010/047212(WO,A1)
【文献】 特開2000−047138(JP,A)
【文献】 特開2006−039359(JP,A)
【文献】 特開2006−292883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 − 27/02
G02B 27/18
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭取付けディスプレイ装置であって、
ユーザの頭に取付けられるように構成されたフレームと、
ディスプレイアセンブリであって、
発光画素のアレイからなる発光表面を有する画像ディスプレイシステムと、
画素レンズのアレイと、
を備え、該ディスプレイアセンブリは、該フレームによって支持されるディスプレイアセンブリと、
該フレームによって支持された反射光学表面と、
該反射光学表面に面する画素レンズのアレイであって、該発光画素のアレイの各々の発光画素に対して一つの画素レンズを有し、前記一つの画素レンズは、その関連する発光画素と位置合わせされその発光画素からの光を受光するように構成される画素レンズのアレイと、
を備え、
該画素レンズのアレイは、単独又は該反射光学表面と組み合わさって、該発光画素のアレイから放射された光をコリメート又は実質的にコリメートするように構成され、
該ディスプレイアセンブリは、該反射光学表面に向かって凸状に湾曲して、該反射光学表面から該ユーザの目への光路の外側の位置で該フレームによって支持される、
ことを特徴とする頭取付けディスプレイ装置。
【請求項2】
該反射光学表面は、曲面であり、該画素レンズのアレイと前記反射光学表面とが組み合わさって該発光画素のアレイから放射された光をコリメート又は実質的にコリメートするように構成されることを特徴とする請求項1の頭取付けディスプレイ装置。
【請求項3】
該反射光学表面は、三次元デカルト座標系のいずれの座標軸を中心とする回転対称でもない連続表面であることを特徴とする請求項1の頭取付けディスプレイ装置。
【請求項4】
該反射光学表面及び該画素レンズのアレイは、該発光表面の空間分離された部分の異なる空間分離された仮想画像を生成し、該空間分離された仮想画像のうちの少なくとも一つは、該空間分離された仮想画像のうちの少なくとも他の一つから少なくとも100度の角度的な分離で角度的に分離され、前記角度的な分離は、該ユーザの目の回転中心から測定される、
ことを特徴とする請求項1の頭取付けディスプレイ装置。
【請求項5】
該空間分離された仮想画像のうちの該少なくとも一つは、該空間分離された仮想画像のうちの該少なくとも他の一つから少なくとも150度で角度的に分離される、
ことを特徴とする請求項の頭取付けディスプレイ装置。
【請求項6】
該空間分離された仮想画像のうち少なくとも一つは、該空間分離された仮想画像のうち少なくとも他の一つから少なくとも200度で角度的に分離される、
ことを特徴とする請求項の頭取付けディスプレイ装置。
【請求項7】
該反射光学表面は、半透明であることを特徴とする請求項1の頭取付けディスプレイ装置。
【請求項8】
発光画素のアレイからなる発光表面を有する画像ディスプレイシステムと、画素レンズのアレイと、を備えるディスプレイアセンブリであって、該ディスプレイアセンブリは、反射光学表面に向かって凸状に湾曲して、該反射光学表面からユーザの目への光路の外側の位置でフレームによって支持されるディスプレイアセンブリによって画像を生成するステップと、
該画素レンズのアレイの画素レンズの夫々が、該発光画素のアレイと位置合わせされることによって、該発光画素のアレイの各発光画素からの光を独立してコリメート又は実質的にコリメートするステップと、
該画素レンズのアレイからの該コリメートされた又は実質的にコリメートされた光を該ユーザの該目に対して位置決めされた該反射光学表面に提供するステップと、
該コリメートされた又は実質的にコリメートされた光を該反射光学表面から該ユーザの該目に向かって反射するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
該反射光学表面は、ビームスプリッターを備え、該方法は、該反射光学表面の外側の環境の光景を該ユーザの該目に提供するために外側からの光を該反射光学表面に通過させるステップを更に備えることを特徴とする請求項の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第61/423,934号(2010年12月16日に出願されCOLLIMATING DISPLAY WITH PIXEL LENSESと題する)、米国仮出願第61/424,162号(2010年12月17日に出願されPIXEL LENS APPROACH TO AUGMENTED REALITY HEAD MOUNT DISPLAYと題する)、及び米国仮出願第61/424,166号(2010年12月17日に出願されPIXEL LENS APPROACH TO IMMERSIVE HEAD MOUNT DISPLAYと題する)に対する優先権を主張し、その開示内容全体が参考として本明細書で援用される。
【0002】
技術分野
本開示は、頭取付けディスプレイ装置に関し、特に、画素化画像表示システムから出射された光をコリメート又は部分的にコリメートするレンズのアレイ(このアレイのレンズを本明細書では“画素レンズ”と呼ぶ)を採用した頭取付けディスプレイ装置に関する。ある実施形態では、本装置は、一つ以上の反射光学表面、例えば、一つ以上の自由空間超広角反射光学表面(以下、“FS/UWA/RO表面”と略す)も採用する。ある実施形態において、全体の光学システムは、非瞳孔形成システムであり、即ち、全体のシステムの制御開口(開口絞り)は、ユーザの目の瞳孔である。
【0003】
画素レンズ及び、画素レンズを使用する場合、一つ以上の反射表面(例えば、一つ以上のFS/UWA/RO表面)が採用され、ユーザの目に極近接して保持された発光ディスプレイシステムからの画像を表示する。
【背景技術】
【0004】
背景技術
ヘルメット取付けディスプレイやメガネ取付けディスプレイのような頭取付けディスプレイ(ここでは、“HMD”と略す)は、ユーザの片目、より一般的には、両目近くに位置する一つ以上の小さなディスプレイデバイスを有する個人の頭に装着されるディスプレイデバイスである。
【0005】
幾つかのHMDは、実世界画像とは対照的に、シミュレート(コンピュータ発生)画像のみを表示し、従って、それらは、しばしは、“仮想現実”或いは没入型HMDと呼ばれる。他のHMDは、シミュレート画像を非シミュレートの実世界画像に重ねる(組み合わせる)。非シミュレート画像とシミュレート画像の組み合わせによって、HMDユーザは、バイザーやアイピースを介して、例えば、実行されるタスクに関連する追加のデータがユーザの前方視界(FOV)に重ね合わされる世界を見ることができる。この重ね合わせは、時として、“拡張現実”或いは“混合現実“と呼ばれる。
【0006】
非シミュレートの実世界ビューとシミュレート画像との組合せは、部分的に反射され/部分的に透過する光学表面(“ビームスプリッター”)を使用して達成することができ、表面の反射性が使用されて仮想画像(光学的意味で)としてシミュレート画像を表示し、且つ表面の透過性が使用されてユーザが直接に実世界を見ることができる(“光学的透過システム”と呼ばれる)。実世界ビューとシミュレート画像との組み合わせは、実世界ビューのビデオをカメラから受け取りコンバイナーを使用して、それをシミュレート画像と電子的に混合することによっても行うことができる(“ビデオ透過システム”と呼ばれる)。次に、組み合わされた画像は、反射光学表面によって仮想画像(光学的意味で)としてユーザに提示することができる(この場合、その表面は、透過特性を有する必要はない)。
【0007】
前述から、反射光学表面が、ユーザに(i)シミュレート画像と非シミュレートの実世界画像との組み合わせ;(ii)シミュレート画像と実世界のビデオ画像との組み合わせ;(iii)純粋にシミュレートされた画像を提供するHMDにおいて使用され得ると理解することができる。(最後の場合は、しばしば“没入型”システムと呼ばれる。)これらの場合の各々において、反射光学表面は、ユーザが見る仮想画像(光学的意味で)を生成する。歴史的に、そのような反射光学表面は、射出瞳がユーザによって利用可能な動的視野のみならず静的視野をも実質的に制限する光学システムの部分であった。具体的には、光学システムによって生成される画像を見るために、ユーザは、ユーザの目を光学システムの射出瞳に合わせ、その状態を保つ必要があった。その場合でも、ユーザに見える画像はユーザの全静的視野を覆わない。即ち、反射光学表面を使用したHMDで使用される従来の光学システムは、瞳孔形成システムの一部であり、従って、射出瞳で制限されている。
【0008】
システムがそのように制限されているのは、人間の視野が顕著に大きいという基本的な事実に因る。目の中心視野と周辺視野の両方を含む、人間の目の静的視野は、水平方向で〜150°、垂直方向で〜130°である。(本開示の目的のために、150°を名目上の人間の目の正面の静的視野とする。)そのように大きな静的視野に適合可能な射出瞳を有する良好に較正された光学システムは極まれであり、あっても、高価且つ嵩高となる。
【0009】
更に、人間の目の動作視野(動的視野)は非常に大きい。なぜなら人間の目は、その回転中心回りに回転することができる、即ち、人間の脳は、目の凝視の方向を変えることによって異なる方向へ人間の目の中心+周辺視野を向けることができるからである。名目上では目に対して、運動の垂直方向範囲は、上方に〜40°、下方に〜60°であり、運動の水平方向範囲は、正面から±〜50°である。HMDで以前に使用された光学システムのタイプによって生成されるサイズの射出瞳では、目の小さな回転でさえ、目の静的視野と射出瞳との重なりが実質的に減少し、より大きな回転によって画像が完全に見えなくなった。理論的には可能であるけれども、ユーザの目と同調して動く射出瞳は、非実用的であり、極めて高価である。
【0010】
人間の目のこうした性質に鑑み、ユーザが自然の世界を見るのと同じ様に画像ディスプレイシステムによって発生した画像を見ることができる光学システムを提供することに関して関連する三つの視野がある。三つの視野の内最も小さいものは、ユーザの目を回転する、従って、外界にわたってユーザの中心視野を走査するユーザの能力によって定義されるものである。最大の回転は、正面から約±50°であり、この視野(中心動的視野)は約100°である。三つの視野の内中間のものは、正面の静的視野であり、ユーザの中心視野と周辺視野の両方を含む。上で論じたように、この視野(中心+周辺の静的視野)は、約150°、例えば〜168°、である。三つの視野の内最大のものは、ユーザの目を回転する、従って、外界にわたってユーザの中心視野と周辺視野を走査するユーザの能力によって定義されるものである。約±50°の最大回転と約150°の中心+周辺静的視野に基づき、この最大視野(中心+周辺動的視野)は、約200°である。少なくとも100°から少なくとも150°までのそして少なくとも200°までの視野のスケールのこの増加は、直感的で自然な方法で画像ディスプレイシステムによって発生する画像を見るユーザの能力に関してユーザに対応する利益を提供する。
【0011】
人間の目がその目の10インチ以内にあるディスプレイに容易に焦点を合わせるために、コリメーションの形態がディスプレイから放射される光線に提供される必要がある。このコリメーションは、あたかも光線が目とディスプレイの間の実際の距離よりも大きな距離から発生するように現れるように働く。一方、より大きな見掛けの距離によって、目はディスプレイの画像に容易に焦点を合わせることができる。幾つかの頭取付けディスプレイは、ディスプレイからの光をコリメートしようとして複数の総レベルミラー、レンズ、又はプリズムを使用している。これらの方法は、容量と重量を増すことになり、そのような頭取付けディスプレイを希望のものよりも煩雑かつ重くする。また、これらの方法は、全画素からの光をまとめてコリメートしようとするため、両方とも、画素毎のコリメーションを制御する能力に欠け、結果として生じるコリメートされた光線に光学収差を導入する傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、合焦点能力に並びに人間の目の少なくとも中心の動的視野に適合する頭取付けディスプレイが必要とされている。本開示は、これらの必要性に関するものであり、広い視野全体にわたるコリメート(又は実質的なコリメート)光を生成する頭取付けディスプレイを提供する。
定義
【0013】
本開示の残りの部分と請求項において、フレーズ“仮想画像”は、光学的意味で使用され、即ち、仮想画像は、特定の場所、実際には、認識される光がその特定の場所を起源としていないのだが、その特定の場所から来ていると認識される画像である。
【0014】
本開示全体を通して、以下のフレーズ/用語は、以下の意味/範囲を有するものとする。
(1)フレーズ“反射光学表面”(本明細書では“反射表面”又は“反射器”とも呼ぶ)は、反射性のみである表面(平面、曲面、連続面、又は空間分離された部分から成る面)並びに反射性且つ透過性の両方である表面を含む。いずれの場合においても、反射性は部分的でよく、即ち、入射光の一部がその表面を通して透過され得る。同様に、その表面が反射性と透過性の両方を備える場合、反射性及び/又は透過性は部分的であってもよい。以下で論じられるように、ある実施形態では、単一の反射性光学表面を両眼に使用することができ、また各目は、自己の個別の反射光学表面を有することができる。他のバリエーションは、両眼に対して又は各目に対して個別に複数の反射光学表面を使用することを含む。ミックス(混合)と一致の組み合わせも使用することができ、例えば、単一の反射光学表面は片目に使用することができ、複数の反射光学表面は他方の目に使用することができる。或いは、一つ以上の反射光学表面は、ユーザの片目のみに提供されてもよい。以下で記述される請求項は、これら及びその他の反射光学表面構成をカバーすることを意図している。特に、反射光学表面を求める各請求項は、少なくとも一つのこのような表面を含む頭取付けディスプレイ装置をカバーすることを意図する。
(2)“発光画素のアレイからなる発光表面を有する画像ディスプレイシステム”(本明細書では“画像ディスプレイシステム”又は“ディスプレイシステム”とも呼ぶ)というフレーズは、一般的に、表面を通過する光の透過、表面での光の発生(例えば、LEDのアレイによる)、又は他の光源からの光の表面での反射等のいずれかによって人間が知覚可能な画像を形成する光を放射する画素化表面(平面、曲面、連続面、又は空間分離された部分から成る面)を有するあらゆるシステムを意味するために使用する。このシステムは、一つ以上の画像ディスプレイデバイス、例えば、一つ以上のLED、OLED及び/又はLCDアレイを使用することができる。反射光学表面と同様に、両目に対して一つの画像ディスプレイシステムを使用してもよく、各目が夫々個別の画像ディスプレイシステムを有してもよい。その他のバリエーションとしては、両目又は個々の目夫々に対して複数の画像ディスプレイシステムを使用することが挙げられる。例えば、片目に対して一つの画像ディスプレイシステムを使用し、もう片方の目に対して複数の画像ディスプレイシステムを使用することもできるなど、適宜組み合わせることもできる。或いは、ユーザの片目に対してのみ一つ以上の画像ディスプレイシステムを設けることもできる。以下に記述される請求項は、これら及びその他の画像ディスプレイシステム構成をカバーすることを意図している。特に、発光画素のアレイからなる発光表面を有する画像ディスプレイシステムを求める以下に記述の請求項の各々は、少なくとも一つのこのようなシステムを含む頭取付けディスプレイ装置をカバーすることを意図している。
(3)“ディスプレイアセンブリ”というフレーズは、画像ディスプレイシステムと画像ディスプレイシステムの発光側画素レンズアレイとの組み合わせを指す。
(4)“双眼鏡”というフレーズは、各目に対して少なくとも一つの分離光学要素(例えば、一つのディスプレイデバイス及び/又は一つの反射光学表面)を含む装置を意味する。
(5)“視野”というフレーズ及びその略記FOVは、オブジェクト(即ち、ディスプレイ)空間における“実”視野とは対照的な画像(目)空間における“見掛けの”視野を指す。
(6)“実質的にコリメートされた”というフレーズは、本明細書に開示された技術の具体的な適用法にもよるが、一般的な言い方をすれば、発光画素からの光のユーザの目の地点での輻輳が−1.0ジオプター超であれば、その光は“実質的にコリメートされ”ている。参考までに、25メートル地点の点光源の輻輳は−0.04ジオプターであり、従って、画素レンズ、又は画素レンズと湾曲反射光学表面(使用時)の組み合わせによって、画素からの光が、ユーザには、25メートルの距離から出射するように見える場合、このような光のユーザの目の地点での輻輳は−0.04ジオプターであり、−1.0よりも大きい、即ち、−1.0より負でなく、従って、このような光は実質的にコリメートされているとみなす。更に参考までに、コリメーション無しに画像ディスプレイシステムから放射された光は、約3センチメートル地点に約−33ジオプターの輻輳を有する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第一の態様によれば、頭取付けディスプレイ装置であって、
(I)ユーザの頭に取付けられるように構成されたフレームと、
(II)発光画素のアレイからなる発光表面を有する、該フレームによって支持された画像ディスプレイシステム(例えば、頭取付けディスプレイの使用中、ユーザの視野の外にある固定位置において前記フレームが前記画像ディスプレイシステムを支持する)と、
(III)該フレームによって支持された反射光学表面(例えば、前記反射光学表面が三次元デカルト座標系のいずれの座標軸を中心とする回転対称でもない(回転面ではない)連続表面とすることができ、例えば、前記反射光学表面が、任意の原点を有する三次元デカルト座標系のx軸、y軸、又はz軸を中心とする回転対称ではない自由空間超広角反射光学表面とすることができる)と、
を備え、
(a)該装置は、該発光画素の各々に対して一つの画素レンズを有する、該発光画素のアレイと該反射光学表面との間に位置する画素レンズのアレイを備え、前記一つの画素レンズは、該装置の使用中にその関連する発光画素と位置合わせされその発光画素からの光を受光し、且つ
(b)該画素レンズのアレイは、単独又は該反射光学表面と組み合わさって、該装置の使用中に該発光画素のアレイから放射された光をコリメート又は実質的にコリメートする、
ことを特徴とする頭取付けディスプレイ装置が開示される。
【0016】
第二の態様によれば、頭取付けディスプレイ装置であって、
(I)ユーザの頭に取付けられるように構成されたフレームと、
(II)発光画素のアレイからなる発光表面を有する、該フレームに支持された画像ディスプレイシステムと、
(III)該フレームによって支持された自由空間超広角反射光学表面と、
を備え、
(a)該装置が、該発光画素の各々に対して一つの画素レンズを有する、該発光画素のアレイと該自由空間超広角反射光学表面との間に位置する画素レンズのアレイを備え、前記一つの画素レンズが、該装置の使用中にその関連する発光画素と位置合わせされその発光画素からの光を受光し、且つ
(b)該装置の使用中、該自由空間超広角反射光学表面及び該画素レンズのアレイは、該発光表面の空間分離された部分の空間分離された仮想画像を生成し、該空間分離された仮想画像のうち少なくとも一つが、該空間分離された仮想画像のうち少なくとも他の一つから少なくとも100度(実施形態によっては少なくとも150度、他の実施形態では少なくとも200度)で角度的に分離され、前記角度的な分離は、名目上のユーザの目の回転中心から測定される、
ことを特徴とする頭取付けディスプレイ装置が開示される。
【0017】
第三の態様によれば、頭取付けディスプレイ装置であって、
(I)ユーザの頭に取付けられるように構成されたフレームと、
(II)該フレームによって支持されるディスプレイアセンブリと、
を備え、前記ディスプレイアセンブリは、
(a)発光画素のアレイからなる発光表面を有する画像ディスプレイシステムと、
(b)該発光画素の各々に対して一つの画素レンズを有する画素レンズのアレイを備え、該一つの画素レンズは、該装置の使用中にその関連する発光画素と位置合わせされその発光画素からの光を受光し、
該装置の使用中、該画素レンズのアレイは、該発光表面とユーザの目との間の屈折力を有する該装置の唯一のコンポーネントである、
ことを特徴とする頭取付けディスプレイ装置が開示される。
【0018】
第四の態様によれば、頭取付けディスプレイ装置であって、
(I)ユーザの頭部に取付けられるように構成されたフレームと、
(II)該フレームに支持された画像ディスプレイシステムと、
を備え、
(a)該画像ディスプレイシステムは、発光画素のアレイからなる発光表面を備え、
(b)該装置は、該発光画素の各々に対して一つの球状画素レンズを有する球状画素レンズのアレイを備え、前記球状画素レンズのアレイが、該装置の使用中、該発光画素のアレイとユーザの目との間に位置することを特徴とする頭取付けディスプレイ装置が開示される。
【0019】
第五の態様によれば、
発光画素のアレイからなる発光表面を有する画像ディスプレイシステムによって画像を生成するステップと、
画素レンズのアレイの画素レンズの夫々が、該発光画素のアレイと位置合わせされることによって、該発光画素のアレイの各発光画素からの光を独立してコリメート又は実質的にコリメートするステップと、
該画素レンズのアレイからの該コリメートされた又は実質的にコリメートされた光をユーザの目に対して位置決めされた反射器に提供するステップと、
該コリメートされた又は実質的にコリメートされた光を該反射器から該ユーザの目に向かって反射するステップと、
を備えることを特徴とする方法が開示される。
【0020】
第六の態様によれば、
(a)発光画素のアレイから光を生成するステップと、
(b)該発光画素のアレイが、画素レンズのアレイにおいて、各発光画素からの光が画素レンズのアレイのうちの対応する画素レンズによってコリメート又は実質的にコリメートされるように位置決めされることによって生成された光を受光するステップと、
(c)該コリメート又は実質的にコリメートされた光をユーザの目に直接提供するステップと、
を備えることを特徴とする方法が開示される。
【0021】
様々な実施形態において、装置及び方法は、(i)前記反射光学表面(使用される場合)及び前記画素レンズのアレイが、前記発光表面の空間分離された部分の空間分離された仮想画像を生成し、前記空間分離された仮想画像のうち少なくとも一つが、前記空間分離された仮想画像のうち少なくとも他の一つから少なくとも100度(実施形態によっては少なくとも150度、他の実施形態では少なくとも200度)で角度的に分離し、前記角度的な分離が名目上のユーザの目の回転中心から測定され、且つ(ii)前記反射光学表面の少なくとも一つのポイントが、前記反射光学表面の少なくとも他の一つのポイントから少なくとも100度(実施形態によっては少なくとも150度、他の実施形態では少なくとも200度)で角度的に分離され、前記角度分的な離が名目上のユーザの目の回転中心から測定されるという点を特徴とする。これらの実施形態に関して、使用中、前記空間分離されたた仮想画像のうち少なくとも一つは、前記反射光学表面の少なくとも一つのポイントを通過する凝視方向に沿って配置することができ、前記空間分離された仮想画像のうち少なくとも他の一つのポイントは前記反射光学表面の少なくとも他の一つのポイントを通過する凝視方向に沿って配置される。
【0022】
様々な実施形態では、ユーザの各目に対して別々の画素レンズのアレイ、別々の画像ディスプレイシステム、及び/又は別々の反射光学表面(使用される場合)を採用することができる。他の実施形態では、反射光学表面(使用される場合)は、画素レンズのアレイによって提供される画像ディスプレイシステムからの光のコリメーション(実質的コリメーション)に寄与し、このようなコリメーション(実質的コリメーション)への寄与は、表面の局所曲率半径を介して達成される。
【0023】
種々の実施形態では、HMD装置は、両眼非瞳孔形成システムであってもよく、このシステムにおいて、目は、その通常得られる角度範囲全体にわたって外部瞳孔を通して見えることが制限されることなくその回転中心回りに自由に動く。従来のHMDデバイスは、広い視野を提供している、或いは、提供することができると主張しているが、これらのデバイスは、目が見通さなければならない外部瞳孔を含んでいる。目に提供される広い範囲の情報が有るが、目が回転すると、その情報がなくなってしまう。これは、瞳孔形成システムに関連する基本的な問題であり、反射表面及び特にFS/UWA/RO表面を使用する本開示の実施形態において回避される。
【0024】
当然のことながら、上記の概要及び以下の詳細な記述は、単に本発明の例示であり、本発明の性質及び性格を理解するための外観及び骨格を提供することを意図している。本発明の更なる特徴及び利点は、続く詳細な記述で述べられ、一部は、その記述から当業者には容易に明らかになり、又は本明細書での記述によって例示されるように本発明を実施することによって認識される。添付の図面は、本発明の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれると共にその一部を構成する。当然のことながら、本明細書及び図面に開示される発明の種々の特徴は任意に及び組み合わせて使用され得る。同様に、特許請求の範囲の様々な制限事項は任意の及び全ての組み合わせにおいて使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施形態に従う各画素のコリメーティング画素レンズを含むディスプレイアセンブリの部分ブロック図である。
図2図2は、実施形態に従う各画素のコリメーティング画素レンズを含むディスプレイアセンブリのブロック図である。
図3図3は、実施形態に従う各画素のコリメーティング画素レンズを含むディスプレイアセンブリの斜視図である。
図4図4は、実施形態に従う画素レンズによってコリメートされた光の(光)線の図である。
図5図5は、実施形態に従う別の画素レンズによってコリメートされた光の(光)線の図である。
図6図6は、実施形態に従う画素レンズを有する拡張現実頭取付けディスプレイ装置の側面図である。
図7図7は、図6の拡張現実頭取付けディスプレイ装置を装着しているユーザの正面図である。
図8図8は、図6及び図7の拡張現実頭取付けディスプレイ装置の光路を描く図である。
図9図9は、実施形態に従う画素レンズを有する拡張現実頭取付けディスプレイ装置の光線を描く(光)線の図である。
図10図10は、実施形態に従う眼球に入射する光線を描く(光)線の図である。
図11図11は、実施形態に従うユーザの両目に対応する二つの湾曲反射光学表面の使用を描く頭取付けディスプレイ装置の平面図である。
図12図12は、真っ直ぐ前方を凝視する名目上の人間の目の静的視野を描く概略図である。
図13図13は、実施形態に従うFS/UWA/RO表面と図12の静的視野との相互作用を描く概略図である。図13の矢印は光の伝播方向を描いている。
図14図14は、実施形態に従う目に向かって反射する場合のディスプレイ上の所与の画素からの光路を描く(光)線の図である。
図15図15は、実施形態に従う反射表面に対する局所法線を計算するための形状を描く概略図である。
図16図16は、実施形態に従う目に向かって反射する場合のディスプレイ上の二つの画素からの光路を描く(光)線の図である。
図17図17は、実施形態に従う反射器の局所法線の方向の選択に使用される変数を描く図である。
図18図18は、実施形態に従う光路とともに湾曲反射器を示す図である。
図19図19は、実施形態に従う画素レンズを有する別の拡張現実頭取付けディスプレイ装置の側面図である。
図20図20は、実施形態に従う画素レンズを有する没入型頭取付けディスプレイ装置の側面図である。
図21図21は、実施形態に従う画素レンズを有する没入型頭取付けディスプレイ装置の光路を描く(光)線の図である。
図22図22は、実施形態に従う画素レンズを有する没入型頭取付けディスプレイ装置の光路を描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
I.序文
上記のように、本開示は画素レンズを使用してユーザにコリメートされた(又は実質的にコリメートされた)画像を提供するHMDディスプレイに関する。画素レンズは、この光学システムにおいてコリメーションの唯一の光源であってもよく、また、湾曲反射光学表面、例えばFS/UWA/RO表面を採用する実施形態では、画素レンズによるコリメーションが湾曲反射光学表面が寄与するコリメーションと組み合わされてもよい。
【0027】
一般的な言い方をすれば、ある実施形態において、HMD画像ディスプレイシステムは、没入型ディスプレイデバイスとして使用するために直接目の前に設置される。他の実施形態では、HMDは、拡張現実ディスプレイデバイスを製造するために画像ディスプレイシステムからの照射を反射する平らな又は湾曲したビームスプリッターを含む。必要に応じて、この反射性の実施形態を用いて、反射表面を非透過性にすることによって没入型ディスプレイデバイスを製造することができる。
【0028】
以下の記述は、本明細書に開示されるHMDにおいて使用可能な画素レンズの実施形態の非制限例の記述から始まり(第II節)、続いて、少なくとも一つのFS/UWA/RO表面を採用するHMDを含む、少なくとも一つの湾曲反射光学表面を採用するHMDの記述に進む(第III節)。第III節は、画素レンズを含む光学システムにおいて使用されるFS/UWA/RO表面の設計プロセスの記述も含む。第III節に続いて、湾曲していない反射光学表面を採用する実施形態を記述し(第IV節)、続いて、反射表面を使用せずに直接画像ディスプレイシステムを見る実施形態を記述する(第V節)。最後に、本明細書に開示される様々な実施形態に適用可能な一般的な記述を提示する(第VI節)。
【0029】
当然のことながら、以下の説明における特定の節に登場するHMDの様々なコンポーネントの記述は、その節の実施形態に制限されるものではなく、本明細書に開示された全実施形態に一般的に適用可能なものである。一例として、第II節及び第III節に登場するHMDで使用可能な画素レンズ及び画像ディスプレイシステムの種類の記述は、本明細書に開示された全実施形態に適用可能である。
【0030】
II.画素レンズ
上記及び以下により詳細に記述するように、画素レンズは、HMDに実質的な容量及び重量を付加することなくユーザの目近くに設置された場合に画像ディスプレイシステムを見ることができるように画像ディスプレイシステムが発する光のコリメーション(又は部分的コリメーション)を行う。画素毎に一つのレンズを有することによって、必要なディスプレイ光学系が小さくなり、大きなミラー又はレンズを一つだけ使用してコリメーションを行うことによって生じる歪みが取り除かれる。特に、画素レンズは、一度に一つの画素しか処理しないため、ディスプレイが生成する画像において広視野の収差を生じない。更に、大きなアレイの画素レンズを設けてユーザにとって望ましい広さの視野を可能にすることもできる。特に、ある実施形態では、画素レンズ技術によって、反射表面に極近接するが反射表面全体にわたる、携帯電話のディスプレイのようなスクリーン等のディスプレイスクリーンを見ることができるようになる。必要に応じて、各画素レンズは、その関連する一つの画素のユーザの目に対する位置に基づいて独立して変動してもよい。
【0031】
図1は、一実施形態に従う画像ディスプレイシステム10とその関連する画素レンズアレイ15の部分ブロック図である。画像ディスプレイシステム10は、コンピュータ出力又は投影表面25及び、本実施形態では、画像投影アセンブリ40からなる。表面25は、複数又はアレイの発光画素(例えば、図2及び図3の画素120)を含む。画像ディスプレイシステム10は、人間の目が知覚可能なテキスト、図形、又はビデオ画像(以下“画像”と呼ぶ)を生成する。複数又はアレイの発光画素及び画像投影アセンブリ40は、液晶ディスプレイ(LCD)技術、発光ダイオード(LED)技術、有機発光ダイオード(OLED)技術、気体プラズマ技術、光ファイバー束技術、又は現在既知の又は後に開発されるその他の画像投影技術を使用して製造され得る。基板30上又は内における複数又はアレイの画素レンズ15が画像ディスプレイシステム10に関連する。各画素レンズ15は小さく、例えば、マイクロメートル(μm)範囲であり、画素から放射された光がコリメート又は部分的にコリメートされて近距離にある画像ディスプレイシステムが形成する画像を容易に見ることができるように画像ディスプレイシステムの単独の発光画素と位置合わせされるように構成されている。
【0032】
画像ディスプレイシステム10の詳細にもよるが、このシステムは、既に確立されているように、一般的に、フィルタ、エミッタ等を有する多数の層、フィルム、及び/又は基板を含み、ユーザが見るようにシステムの発光表面(システムのスクリーン)上に表示画像を生成する。一実施形態では、各発光画素が、個別の画素の色強度に対応する赤、緑、及び青(RGB)データ等の画素制御情報によって制御される。画像ディスプレイシステム10は、グラフィックスソース(例えば、図6のカメラ540)からのRGB入力データ又はその他の画像情報を受信することができる。RGBデータは、行列ドライバ回路又はその他の人間の目が観察可能な方法で画像を表示するように画素を制御する方法を駆動するために使用される。一実施形態では、画像ディスプレイシステム10は、フラットパネルディスプレイスクリーンを含むことができる。その他の実施形態では、画像ディスプレイシステムは、曲面状のディスプレイスクリーンを含むことができる。
【0033】
動作中、画像ディスプレイシステムは、画素レベルで光を制御するように構成される。特に、各発光画素の強度は、目に対するその位置及び/又はその関連する画素レンズに基づいて独立して変動してもよい。このようにして、このディスプレイシステムによって生成された画像は、目に近い位置を見ている間の視野全体で略均一な強度を有することができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、画素レンズの使用によって、頭取付けディスプレイ装置に使用されるその他の光学系が単純化される。例えば、幾つかの実施形態では、画素レンズを使用しない場合にはコリメーションのために使用されるレンズ又はミラー構造が必要なくなる。その結果、残りの光学系は全て、たとえその他に更なる光学系が必要となっても、ユーザに所望の視野を提供するのに適切な視野全体に利用可能なコリメートされた画素ビームを分配することにのみ関与する。拡張現実の場合には更なる光学系が必要となり得るが、その場合、コリメーションを提供する必要はなく、光線を分配すればよい。何れの場合も、一つのレンズで全画素を処理する総反射性レンズにディスプレイからの光を通過させなければならないことから生じる色収差が非常に減少されている又は全く存在せず、色収差が反射器に生じない。
【0035】
図2及び図3は、画像ディスプレイシステムの画素120毎に画素レンズ115を含むディスプレイアセンブリ100の部分図を示す。一度に一つの画素のコリメーションを調節することによって、一群のコリメートされた又は部分的にコリメートされた光線がディスプレイアセンブリ100によって提供される。その後、ディスプレイアセンブリ100は、ジオプター又はコリメーション特性を調整する必要なしに(或いは必要とされるジオプター又はコリメーション特性をあまり調整することなく)異なる光透過及び/又は反射デバイスを用いて操作されてもよく、目に近いディスプレイシステムの構造を容易になる。以下により詳細に記述するが、目に近いディスプレイシステムは、目から1、2、又は3インチの距離に取付けることができ、或いは、システムによって表示された画像は、目から1、2、又は3インチの距離にある表面で反射され得る。各画素レンズ115は、目からディスプレイアセンブリ100を保持する場所までの距離に合わせて適切にコリメートするように構成される。全画素レンズの集塊は、一発光画素当たり一レンズの画素レンズのアレイになり、一つのアレイとなった場合、画像を形成するように結合している。このアレイは、一般的に、何億又は何十億の画素レンズといった、図1図3に示す数よりも多くの画素レンズを有する。
【0036】
図2及び図3に描く実施形態では、画素120が基板125上に支持されている。画素レンズ115は、光が少なくとも画素レンズ115を支持する領域内を通過できるようにした基板130上に支持又はその基板130内に形成されてもよい。一実施形態では、基板130及び対応する画素レンズ115は、基板125及び画素120から所定の距離離して支持される。図2では、スペーサ121を使用して画素レンズと画素との間の所望の間隔を達成している。図3は、他の実施形態を示し、基板130は、基板125と一体形成されており、画素120と画素レンズ115との間に所望の間隔を置くのに十分な厚さを有する。
【0037】
図1図3では平面で示されているが、ディスプレイアセンブリは曲面にすることができる。例えば、直視型HMDの場合、ディスプレイアセンブリは、ユーザの目に向かって凹面にすることができる。他の例として、反射表面を採用するHMDの場合、ディスプレイアセンブリは、より広いアレイに個々の画素ビームを拡散することによってより広い視野を提供するために反射表面に向かって凸面、例えば、円柱状にすることができる。
【0038】
光が画素レンズ115によって完全にコリメートされた場合、画素120からの光子放射は、画素120とほぼ同じ直径の細い光線束状に目に移動する。これにより、観察者内部への迷光が減少し、画像がより明るくなり、画像ディスプレイシステムからの光又は外界から透過する光を容易に見ることができるようになる。具体的に、画素レンズを採用する頭取付けディスプレイ装置の一実施形態では、目の回転中心が、所与の画素120に対して特定の位置に配置され、画素レンズの使用によって、画素120が一方向に光を放ち、目が画素120を直接的に見る必要性又は目が異なる方向を向いている場合により広い視野の一部として画素の光を吸収する必要性を満足する。他の見方をすれば、各画素120からの光がコリメートされる又は実質的にコリメートされるので、ユーザに対して同量の光を表示するために必要な電力量が、画素レンズを使用しないシステムに必要な電力量よりも減少する。画素レンズを使用しないシステムの場合、画素が、ユーザの目に進入しない多くの方向に分散される光を生じ、その迷光が吸収されない限り、その迷光は頭取付けディスプレイ装置内の光学環境に干渉する内部“光のノイズ”になる。要するに、画素レンズは、一群のコリメートされた(又は実質的にコリメートされた)細いビームになるよう集光するように構成され、迷放射を減少し、無関係の使用されない放射を生じるのに要する余分な電力を必要としない。
【0039】
幾つかの実施形態では、特に、画素レンズ115が発光画素から放射された光を完全にコリメートするように構成されている場合、目とは所定の関係性を必要とせず、その場合、画素及び画素レンズを目で見ることのできる位置ならどこでも配置することができる。部分的にコリメートされたシステムであれば、ユーザの目が実質的に調節することによって又は実質的に調節することなく、表示された画像、テキスト、ビデオ、又はその他の図形情報に焦点を合わせてユーザが見ることのできる距離だけ目から離してもよい。例えば、無限遠とは反対の、例えば30メートルの有限距離に画像を有することによって、画像を見る際に目をよりリラックスさせる(あまり調節させない)ことができる。
【0040】
一実施形態では、テレビ形式のディスプレイシステムをユーザに提供することもでき、光波はコリメートされ、例えば、目の焦点を合わせ直す必要なしに風景を通り抜けるので、ユーザはビデオ画像をあたかも遠くから発せられるような画像として見ることができる。このテレビディスプレイシステムは、ユーザの視野のどこにでも配置させることができる。例えば、このディスプレイが、例えば目に非常に近いためにユーザの全視野をカバーする場合、このディスプレイはユーザが見ることができるものを制御し、物体を近くに、遠くに、又は中間地点に現れるようにすることができる。他の実施形態では、このディスプレイシステムが拡張現実視覚システムにおいて使用される場合、このディスプレイシステムは、拡張現実システムが画像を現わすように設計された現実に画像が現れるように位置決めされる。
【0041】
幾つかの実施形態では、全画素を収容するレンズ構造を通してディスプレイからの光を処理する従来のデバイスで発生するような画像の非近軸歪みがない。これらの画素はユーザに提示される最小表示単位に既に離散化されているため、ジオプター補正レンズ(即ち、画素レンズ115)をこの最小単位に適用するだけで、本来ならばレンズに関連するはずのあらゆる非近軸収差及び歪みが回避される。また、光がコリメートされるので、ミラーがコリメーション機能まで果たす必要がなくなり、ミラーアセンブリによって光路を容易に屈曲させ方向付けることができる。
【0042】
一実施形態では、各画素レンズ115のジオプターの処方は、カスタムレベルに設定することができる。他の実施形態では、ディスプレイアセンブリ100を曲面に構成し、各画素レンズ115の出力がミラーに接触すると特定の方向に反射するようにこの出力の焦点を合わせることができる。一つの画素120に正確に対応する一つの画素レンズ115を使用することによって、目のすぐ近くに配置され明瞭に見ることのできる小型ディスプレイを製作することができようになる。画素レンズ115は、画素120と直接連携して各画素120のジオプターを補正する。
【0043】
図4は、画素315から放射して画素レンズ320に入射する大きな輻輳を有する(光)線310を示し、画素レンズ320の支持基板130は画素315から距離D1を置いて位置し、距離D1は例えば約8μmである。画素レンズ320は、中実な略ドーム形断面を有する。言い換えれば、画素レンズ320の出射表面が曲面であり、入射表面が基本的に平面であり基板130と一体である。画素レンズ320の平面側は直径D2を有し、D2は例えば約8μmである。この実施形態では、レンズ320の曲面部分の曲率半径を、例えば5.45μmにすることができる。曲面の出射表面からレンズ320を出射するのはコリメートされた光波325であり、人間の目が近接して見るには適している。他の実施形態では、基板130から画素315までの距離D1と、レンズ320と画素315の大きさは、要望通り光をコリメートするために対応するレンズの曲率によって変えることができる。画素レンズの寸法及び曲率は様々な方法で決定することができ、便利な方法としては、ZEMAX等の光学系モデル化プログラムの使用が挙げられ、所望のコリメーションレベルまでパラメータを調整することができる。
【0044】
図5は、一実施形態に従う他の画素レンズ420によってコリメートされた光の(光)線図である。画素415から放射し、その距離では大きな輻輳を有する(光)線410は、画素415から例えば約3.3μmの距離D3に位置する球状の画素レンズ420に入射する。この場合、レンズ420の直径D4を、例えば、約8.7μmにすることができる。レンズ420を出射するのはコリメートされた光波425であり、近接して見るのに適している。一実施形態におけるディスプレイアセンブリは、このような画素415のアレイと球状レンズ420から構成される。画素レンズ420は、通常、本質的に中実である。このようなレンズは、実施形態によっては、例えば、基板との一体的なユニットとして製造が容易である。一実施形態では、レンズ420は、レンズ420が画素から放射された(光)線410の光路に対称的に配置されるように画素415と一直線になった中央平面401の中央に中心を有する。アレイの上記球状レンズは、互いに隣接した状態で形成され、各レンズが一つの画素と一直線上に中心Cを有する。図4の画素レンズと同様、図5の画素レンズは、様々な方法で設計することができ、便利な方法としては、光学系ソフトウェアプログラムを使用して、所望のレベルのコリメーションを達成するまでディスプレイアセンブリの一つ以上のパラメータ、例えば画素415に対する球状レンズの位置を変更する方法がある。
【0045】
図4及び図5は、使用可能な二つの模範的な画素レンズを描いている。更なる実施形態では、このようなレンズのパラメータを大きく変更して、それに従って画素からの距離を調整してもよい。画素及び対応するレンズの密度は、ディスプレイの所望の解像度によっては大幅に変更してもよい。
【0046】
画素レンズアレイは、様々なナノ及びマイクロ製造技術の使用等、様々な方法で生成することができる。レンズは、透明媒体に直接エッチングを施してもよいし、ナノ研磨機械によって作製してもよい。実施形態によっては、ホットエンボス加工によるマイクロ複製を使用することができる。類似の方法としては、マイクロ射出成形、マイクロ熱成形、ナノインプリンティングが挙げられる。実施形態によっては薄膜技術を使用してレンズを製造してもよい。例えば、画素レンズは、特に薄膜半導体技術を使用して制御且つ塗布された光透過性材料堆積半導体から作製することができる。更なる実施形態では、射出成形を使用してもよい。半導体に施される直接化学光学エッチングを採用してもよい。ナノマシンレンズポリッシャーを使用してアレイの各レンズを作製してもよい。カスタム研磨仕様を画素レンズ群及び/又は個々のレンズに適用することができる。一般的な言い方をすれば、画素レンズは、ディスプレイデバイスの作製方法と同じタイプの製作方法、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、又はその他の画像投影デバイスの製造に用いられるタイプの製作方法を用いて形成することができる。このような技術を用いて、要望通りの高精細度ディスプレイ又はより低解像度のディスプレイのためにレンズの密度を調節してもよい。
【0047】
一実施形態では、ダイヤモンド切削されたプロトタイプ部品用のアクリル(プレキシガラス)プラスチックを使用することができる。成形部品に関して、一例として、アクリル又はポリカーボネート材料を使用することができる。一般的な言い方をすれば、小さな画素レンズは、同じような大きさの外観を有するフレネルレンズの作製に用いられるのと同じ種類の材料から作製することができる。
【0048】
以下の節で説明するように、様々な実施形態において、アレイの画素レンズ及びアレイの発光画素の組み合わせは、例えば、眼鏡形状、ゴーグル形状、又はその他のユーザの片目又は両目と所定の関係においてディスプレイ装置を保持するのに適した形状で頭取付けディスプレイ装置に一体化することができる。
【0049】
III.湾曲反射光学表面を採用するHMD
上記のように、反射光学表面、及び特に湾曲反射光学表面を採用するHMDは、例えば、拡張現実型にすることができる。このような実施形態では、反射光学表面は、画像ディスプレイシステムによって形成された画像をユーザの目の中に反射し、外界からの光をユーザの目に入射させることもできるビームスプリッターレンズシステムとして機能する。コンピュータが生成した映像の適切なローカリゼーション装置及びソフトウェア操作を使用することによって二つの画像を位置合わせし、ユーザが見る外部環境に視覚画像を見掛け上配置させることができる。
【0050】
一実施形態では、ビームスプリッターレンズシステムは、外部環境における物体に対する方向性を有するビームスプリッターレンズシステム上の位置の制御マッピングを有する。このようなマッピングは、画素まで行われ、高速で外部環境と位置合わせして登録する。従って、外部環境に対するユーザの頭部の様々な方位への動きによって、外部環境を正確に拡張する映像が生成及び表示され、この映像は、ビームスプリッターレンズシステム上の正確な反射位置を照射することによって、外部環境において正確な見掛け上の位置に表示される。
【0051】
画素レンズによるジオプターシフトに対するディスプレイシステムの表面及び曲率を操作して、ディスプレイから目に入射する映像に関する全方向に約0ジオプターを達成することができる。各画素レンズ及びビームスプリッターレンズシステムの反射器におけるジオプター変化量は、頭取付けディスプレイ設計を支援するように適切に調整することもできる。平面反射器は、ディスプレイシステムのスクリーン及び距離によってのみジオプターが変化する目からの距離に関することを除いてジオプターが変化しない、即ち、光源からの距離が遠いほど、光源の効果的な発散が小さくなり、従って、距離だけがディスプレイスクリーンから放射される光の効果的なジオプターを変化することができる。従って、反射器から目及びディスプレイシステムまでの距離を調節して、頭取付けディスプレイデバイスによって表示される画像の鮮明度を最適化することもできる。
【0052】
図6及び図7を参照すると、これらの図面は、夫々、ユーザ505が装着した状態を示す頭取付けディスプレイ装置500の側面図及び正面図を示す。頭取付けディスプレイ装置は、湾曲反射光学表面、例えば、FS/UWA/RO表面520を採用する。
【0053】
一実施形態では、頭取付けディスプレイ装置500は、例えば、光透過拡張現実双眼鏡とすることができる。光透過拡張現実双眼鏡は、一般的に、最も複雑な形状のHMDであり、本開示は、主にこのタイプの実施形態について記述するが、当然のことながら、本明細書で記述される原理は光透過拡張現実単眼鏡、ビデオ透過拡張現実双眼鏡と単眼鏡、及び双眼と単眼“仮想現実”システムにも等しく適用可能である。
【0054】
図6及び図7に示すように、頭取付けディスプレイ装置500は、ユーザによって装着されるのに適し、眼鏡の装着と同様、ユーザの鼻と耳によって支持されるフレーム510を含む。図6図7の実施形態において、並びにここで開示される他の実施形態において、頭取付けディスプレイ装置は、種々の構成を持つことができ、例えば、従来のゴーグル、眼鏡、ヘルメット等に似ていてよい。図6では、要素550及び555は様々な形状の支持部を表しており、実施形態によってはユーザの目に対する所望の位置においてHMDのフレーム支持するために使用することができる。この支持部は、例えば、実施形態によっては調節可能なバンド又はコードとすることができる。一般論として、HMDパッケージの外側表面は、ユーザの目に対して要求される方向に光学システムを保持する任意の形態を取ることができる。
【0055】
図6及び図7に示すように、頭取付けディスプレイ装置500は、(a)画像ディスプレイシステム及び画素レンズのアレイを含む少なくとも一つの画像ディスプレイアセンブリ515、及び(b)一実施形態では、必要に応じて湾曲される自由空間超広角反射光学表面520、即ち、FS/UWA/RO表面520を含む。表面520は、純粋に反射性であってもよいし、或いは反射特性と透過特性の両方を有することができ、その場合、
“ビームスプリッター”の一タイプと考えられる。
【0056】
表面520は、ここでは、“自由空間”表面と称される。なぜなら、その局所空間位置、局所表面曲率及び局所表面配向がx−y平面のような特定の基板に縛られず、むしろ、表面設計中に、三次元空間に適用される基本的光学原理(例えば、フェルマーとヒーローの最小時間の原理)を使用して決定されるからである。表面520は、“超広角”表面と呼ばれる。なぜなら、使用中、少なくとも、FS/UWA/RO表面が名目上のユーザの目の動的中心視野を制限しないからである。そのため、FS/UWA/RO表面が使用されるディスプレイアセンブリの光学特性によっては、HMDの全体的な光学システムは、非瞳孔形成的、即ち、ユーザの視野を制限する射出瞳を有する従来の光学システムとは異なるものとすることができ、本明細書に開示される光学システムの様々な実施形態の動作瞳は、外部の光学システムと関連するユーザの目とは反対のユーザの目の入射瞳である。同時に、これらの実施形態に関して、ユーザに提供される視野は、従来の光学システムよりもはるかに大きい。従来の光学システムでは、外部の光学システムの出射瞳に対してユーザの目がわずかにずれるだけでユーザが利用可能な情報内容が大幅に減少し、大きなずれでは全画像が見えなくなってしまうこともある。
【0057】
FU/UWA/RO表面520は、ディスプレイアセンブリ515だけではなく、一方又は両方の目完全に囲んでもよい。特に、その表面は、利用可能水平方向視野を拡張するように目の両側周りに顔の両側に向かって湾曲させてもよい。一実施形態では、FS/UWA/RO表面520は、180°以上(例えば200°超)まで広げてもよい。図7に描かれているように、HMDは、ユーザの二つの目に対して二つの分離したFS/UWA/RO表面520R及び520Lを含むことができ、夫々別々にフレーム及び/堤ピース710によって支持される。或いは、HMDは、単一構造を有する両眼のための単一のFS/UWA/RO表面を採用してもよく、その構造の幾つかの部分は両目で見ることができ、残りの部分は片目のみで見ることができる。
【0058】
直前に述べたように、また図7に描かれているように、頭取付けディスプレイ装置100は、堤ピース710を含むことができる。堤ピースは、夫々がユーザの各目に対応する二つのFS/UWA/RO表面間を分離させる垂直バー又は壁とすることができる。堤ピース710は、ユーザの二つの目の視野を分離させることもできる。このようにして、第1のディスプレイアセンブリ515R及び第1のFS/UWA/RO表面520Rを介してユーザの右目に第1の画像を表示することによって、環境において三次元の物理的実体の第1の表示を示す一方、第2のディスプレイアセンブリ515L及び第2のFS/UWA/RO表面520Lを介してユーザの左目に第2の画像を表示することによって、環境において三次元の物理的実体の第2の表示を示すことができる。分離したディスプレイアセンブリ/反射表面の組み合わせが、このようにユーザの各目に働いて、各目が、その環境で三次元物理的実体に対するその位置の正確な画像を見る。ユーザの二つの目を分離することによって、堤ピース710は、各目に対して適用される画像を他方の目から独立して最適化できる。一実施形態では、堤ピースの垂直壁は、一方の側に一つ割り当てられる二つの反射器を含み、ユーザが、目を鼻を介してユーザの目を左へ又は右へ回して画像を見ることができるようにする。曲面状のビームスプリッターの場合に説明するが、堤ピースは、非曲面状(平面状)ビームスプリッターを採用する実施形態とともに使用することもできる。
【0059】
前記少なくとも一つのディスプレイアセンブリ515は、FS/UWA/RO表面520の内側に取り付けられ、水平に配置されてもよいし水平線から僅かに角度をつけて配置されてもよい。或いは、少なくとも一つのディスプレアセンブリは、FS/UWA/RO表面の直ぐ外側に配置されてもよい。ディスプレイアセンブリ515、より具体的には、その少なくとも一つの発光表面の傾き又は角度は、一般的に、表面520で反射する画素、画像、及び/又は表示情報の位置の関数である。ディスプレイアセンブリを何れの角度で取付けても、画素光はミラーの方角を向く必要がある。なぜなら、画素光は絞られたビームであり、中心軸を外れたビーム出力が低いためである。
【0060】
ある実施形態では、頭取付けディスプレイ装置500は、内部空間を作るように構成され、FS/UWA/RO表面は、この空間内の内側へ反射する。透過特性を有するFS/UWA/RO表面の場合、少なくとも一つのディスプレイアセンブリからの画像又は表示情報は、その空間内に反射され、その表面からユーザの目に反射されると同時に、光は、その空間内に入り、反射表面を通過することによって外部世界からユーザの目に入る。
【0061】
頭取付けディスプレイ装置は、少なくとも一つのディスプレイアセンブリ515によって表示される画像を制御するエレクトロニクスパッケージ525を含むことができる。一実施形態では、エレクトロニクスパッケージ525は、少なくとも一つのディスプレイアセンブリ515からの画像をユーザの活動と同期するために必要なロケーション、方位及び位置情報を提供する加速度計及びジャイロスコープを含む。頭取付けディスプレイ装置500への及びそれからの電力及びビデオは、エレクトロニクスパッケージ525へ連結された送信ケーブル530を介して提供することができる。ビデオ及びその他の情報は、ワイヤレス媒体を介して提供してもよく、エレクトロニクスパッケージ525がトランシーバを提供する。
【0062】
一組のカメラ540を頭取付けディスプレイ装置500の両側に設置し、エレクトロニクスパッケージ、例えば、エレクトロニクスパッケージ内のソフトウェア又はファームウェアに入力し、例えば“拡張現実”のシーンのコンピュータによる生成の制御を支援することができる。この一組のカメラ540をエレクトロニクスパッケージ525に結合し、電力を受け取り且つ信号を制御してもよく、また、エレクトロニクスパッケージのソフトウェアにビデオ入力してもよい。
【0063】
作動中、加速度計及び/又はジャイロスコープ、及び場合によりグローバルポジショニングシステム(GPS)モジュールを含むエレクトロニクスパッケージ525は、ロケーション、方位及び位置情報を提供し、少なくとも一つのディスプレイアセンブリ515上の画像をユーザの活動に同期させることができる。エレクトロニクスパッケージ525はこの情報を用いて物理的実体のどこにデバイスフレーム510があるかを登録し、その画像を外部の視界に重ね合わせる。幾つかの実施形態において、見られている現実に表示画像を同期させるために、カメラ540からのフィードバックをエレクトロニクスパッケージ525で使用することができる。これは、カメラ540によって提供される現実に発生する地形、又は明示的に位置決められたターゲットを、保存された地形及びこの保存された地形に対する表示画像の既知の位置に位置合わせさせることによって達成できる。一旦地形が位置合わせされると、画像は、視界に含まれ意図したように現実の地形に現れるように表示スクリーン上に表示されることができる。
【0064】
上記のように、頭取付けディスプレイ装置に使用された画像ディスプレイシステムは、現在公知の或いは今後開発される多くの形態を採ることができる。例えば、このシステムは、小型の高解像度液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、及び/又は、フレキシブル有機発光ダイオード(OLED)スクリーンを含む、OLEDディスプレイを採用することができる。特に、この画像ディスプレイシステムは、高画素密度を有する高精細度スモールフォームファクタディスプレイデバイスを採用することができ、その例は携帯電話産業に見られる。画像ディスプレイシステムには光ファイバー束を使用することもできる。種々の実施形態において、画像ディスプレイシステムは、小型スクリーンテレビジョンとして機能すると考えられる。画像ディスプレイシステムが偏光を生成する場合(例えば、画像ディスプレイシステムが、すべての色が同じ方向へ線形に偏光される液晶ディスプレイを使用する場合)及びFS/UWA/RO表面がディスプレイが出射する光に対して直交するよう偏光される場合、光がFS/UWA/RO表面から漏れることはない。従って、表示された情報及び光源自体は、HMDの外側では見えない。
【0065】
本開示に従って構成された光学システムの模範的な実施形態、具体的には、“拡張現実”型HMDのための光学システムの全体の動作は、図6のレイトレーシング、具体的には、光線560、565、570によって描かれている。本実施形態において、FS/UWA/RO表面520は、反射特性と透過特性の両方を備えている。表面520の透過特性を使用して、光線570は、環境からその表面を介して入射し、ユーザの目に向かって進む。表面520の同じ領域から、光線560は、その表面で(表面の反射特性を使用して)反射され、光線570と結合してユーザがポイント580の方向を見た時、即ち、ユーザの凝視の方向がポイント580の方向である時、ユーザの目に入射する組み合わせ光線565を生成する。このように見ている間、ユーザの周辺視野能力によって、ユーザは、その表面520の透過特性を使用して表面を通過する環境内の他のポイントからの光を見ることができるようになる。特に、ユーザの周辺視野能力によって、ビームスプリッターレンズシステム520の表面を越えてポイント580の直ぐそばから水平方向及び垂直方向に離れた光を見ることができるようになる。
【0066】
図8から分かるように、図8では図5図6図7の要素と類似の要素には同一の参照番号が付されているが、視覚システムは3つの部分、即ち、ディスプレイアセンブリ515、ビームスプリッターレンズシステム520、及び目810から構成されている。ディスプレイアセンブリに関して、ビームスプリッターレンズシステム520は、反射器として機能する。目810は内部レンズ820を有している。光線560は、アセンブリ515の少なくとも一つのディスプレイシステム上の画素から放出され、このアセンブリの関連する画素レンズによってコリメート(又は部分的にコリメート)される。光線560は、ビームスプリッターレンズシステム520で反射した後、目の網膜上の一点に現れ、光線565及び830として描かれている。光線という用語は、ここでは、光源から放射され、エミッタから検出器、この場合は網膜、までの最短の光路をとる光の波面に対する表面法線を意味する。しかし、目が見るものは、ベクトル840及び850によって表される距離で、目の前方の空間に出現する仮想画像である。無限遠860における仮想画像に関して、光線距離は、ベクトル840と850の合計である。ビームスプリッターレンズシステム520のミラー/ビームスプリッターは、図8では湾曲して示されているが、平らでもよい。ミラーが湾曲している場合、ミラーによるジオプター補正は、目が画像に焦点を合わせることができるように、画素レンズによるジオプター補正から減算される。
【0067】
図9のレイトレーシングは、ディスプレイアセンブリ905を出る前にコリメートされ反射ミラー又はビームスプリッター915に0(ゼロ)ジオプター光910として放射されるこのディスプレイアセンブリの画素から放射された光の発散波面を描いている。このポイントでは、また反射ビーム920においても、発散がない、或いは非常に発散が小さい。また、光線は、目930に直接入射することもでき、このポイントで焦点が結ばれる。ここで示す実施形態では、反射ビーム920は、反射ミラー又はビームスプリッター915で反射され、目の瞳孔に向かって進む。これは、線925で表された本質的に無限遠にあるポイントから発する光と等価であり、光の波面は平面であり、結果的に、入射瞳を介して目930へ向かう、反射ビーム920として示す、波面に対して平行な表面法線となる。
【0068】
図10は、瞳孔1005を通って目930に入射し、最高視力が発生する個所である網膜1015の中心窩上のポイント1010に焦点を結ぶ、コリメートされた平行反射ビーム920を描いている。周囲の網膜はより広い視野に対応するが視力は低い。この方向から、コリメートされた画素放射光によって提供される拡張映像と結合する周囲の外部環境からの光も目に入射することができる。
【0069】
上述のように、反射光学表面を採用したHMDに使用される従来の光学システムは、瞳孔形成型であり、従って、表示領域が制限されており、典型的な視野は〜60°、あるいは、それ以下であった。このことは、従来の頭取付けディスプレイ装置の値と能力を大きく制限していた。様々な実施形態において、本明細書に開示される頭取付けディスプレイは、はるかに広い視野(FOV)を有し、従って、より小さな視野を有するHMDと比較して、はるかに多くの情報をユーザに提供することができる。この広い視野とは、100°超、150°超、或いは200°超であり得る。より多くの情報が提供することに加え、広い視野によって、より自然な方法でユーザが追加の情報を処理できるようになり、表示された画像の物理的実体とのより良好なマッチングを介してより良好な没入型拡張現実体験を可能とする。
【0070】
具体的には、図11に描かれた模範的な実施形態において、真っ直ぐ前方の凝視方向に関して、目は、湾曲FS/UWA/RO表面201と202によって図5に表される表示領域全体を得ることができる。各目に対して少なくとも150°の水平方向視野(FOV)(例えば、水平方向FOV〜168°)に対応する。この視野は、目の中心視野とその周辺視野よりなる。更に、目は、目が物理的世界を見ている時に自然にするように、組み合わせ中心+周辺視野を凝視の異なる方向に向けるように目の回転中心の回りに自由に動くことができる。従って、ここで開示される光学システムによって、目は、目が自然の世界を見ている時の動作と同じように移動範囲全体を通して情報を得ることができる。
【0071】
図11をより詳細に検討すると、図11は上から見るようにユーザの頭部200の前部の単純化したライン表示である。図11は、FS/UWA/RO表面201と202がユーザの目203と204の前に配置されていることを示している。上で論じたように、FS/UWA/RO表面201と202は、ユーザの鼻205の上に乗っており、FS/UWA/RO表面201と202は、ユーザの頭200の中心前部214で一緒になっている。以下に詳細に記述するように、表面201と202の局所法線及び局所空間ロケーションは、少なくとも一つのディスプレイアセンブリ(図11には図示せず)によって生成された画像が、各目に対して水平方向FOVの少なくとも100°、例えば、ある実施形態では、少なくとも150°、その他の実施形態では、少なくとも200°をカバーするように調節されるが、上述したように、100°、150°、200°の視野は、夫々、名目上のユーザの中心動的視野、中心+周辺静的視野、及び中心+周辺動的視野にほぼ対応する。以下にも記述されるように、局所曲率半径も調節されて、湾曲反射表面の光学効果が画素レンズの光学効果と組み合わされたとき遠くの仮想画像を提供する。例えば、局所法線及び局所空間ロケーションは、各目に対して、真っ直ぐ前方の水平方向の静的視野でユーザの完全な〜168°をカバーするように調節され得、視線210、211及び212、213によって示されるように、その168°は、FS/UWA/RO表面201又は202のエッジからエッジまで延出する。従って、これらの視線は、ユーザに提供される広い静的視野(中心+周辺)に対応する。更に、ユーザは、コンピュータ発生映像を見続けながら、回転中心215及び216を回りに目を自由に動かす。
【0072】
図18並びに図11では、FS/UWA/RO表面は、表示を簡単にするために、球の一部として示されている。実際には、FS/UWA/RO表面は、球体ではなく、より複雑な構成を有し、それらの局所法線、局所空間ロケーション及び局所曲率半径は、望ましい静的及び動的視野(及び、任意ではあるが、望ましい仮想画像までの距離)を提供する。また、図11では、頭取付けディスプレイ装置の右側は左側と全く同じように動作し、当然のことながら、頭取付けディスプレイ装置の右側と左側は、特定の用途に関して、必要に応じて異なっていてもよい。また、説明を容易にするために、図11〜18は、少なくとも一つの画像ディスプレイシステムと反射光学表面の間に画素レンズを含む光学システムを図示していないが、当然のことながら、本開示によれば、このようなレンズは本明細書に開示された実施形態で使用されている。
【0073】
図12及び図13は、更に、本明細書に開示されるFS/UWA/RO表面によって提供される静的及び動的視野を描いている。図12は、真っ直ぐ前の凝視方向73を有するユーザの名目上の右目71を示す。この目の中心+周辺視野が円弧75によって示され、円弧75は、〜168°の角度範囲を有する。尚、表示を容易にするために、図12図13では、視野は、ユーザの瞳孔の中心又はエッジではなく、ユーザの目の回転中心に対して示されている。実際、人間の目によって得られる広い視野(例えば、約168°)は、大きく傾いた光線がユーザの瞳孔に入射して網膜に到達することを可能にした網膜の広い角度範囲の結果である。
【0074】
図13は、図12の視野とHMDとの相互作用を概略的に示し、このHMDは、(a)少なくとも一つの発光表面81が第1の発光領域82(矩形として描かれている)と第2の発光領域83(三角形として描かれている)を有する画像ディスプレイシステムと、(b)第1の局所法線85を有する第1の反射領域84と第2の局所法線87を有する第2の反射領域86を有するFS/UWA/RO表面とを有する。
【0075】
上記のように、FS/UWA/RO表面は、“自由空間”表面且つ“超広角”表面の両方である。更に、上述したように、且つ以下でより詳細に記述するように、この表面は、ユーザの目に入射する光のコリメーション(或いは部分コリメーション)に関与することができる。このようなコリメーションによって、FS/UWA/RO表面及び画素レンズによって生成される仮想画像が、例えば、ユーザから遠く、例えば、30メートル以上の距離に位置しているように現れ、それによって、ユーザがリラックスした目で仮想画像に容易に焦点を合わせることができるようになる。
【0076】
FS/UWA/RO表面の“自由空間”及び“超広角”の態様は、FS/UWA/RO表面の所定の領域(その表面の所定のロケーション)から来るように、ユーザの目が少なくとも一つの画像ディスプレイシステムの発光領域を見るように表面の局所法線を調節することによって達成され得る。
【0077】
例えば、図13において、ユーザの凝視の方向が真っ直ぐ前方である場合、矩形の仮想画像88がユーザの網膜の中心部分によって見られること、及び、凝視の方向が、例えば真っ直ぐ前方の左へ約50°である場合、HMDの設計者は、三角形の仮想画像89がユーザの網膜の中心部分によって見られることが有利であると決定するかもしれない。そのとき、設計者は、矩形の仮想画像は真っ直ぐ前方、三角形の仮想画像はHMDの使用中真っ直ぐ前方の左へ50°となるように、少なくとも一つの画像ディスプレイシステム、FS/UWA/RO表面、フレネルレンズシステム、及びこのシステムの他の光学要素を構成する。
【0078】
このように、ユーザの凝視の方向(視線)がFS/UWA/RO表面と真っ直ぐ交差する時、矩形の仮想画像を、望ましくは、ユーザの目の中心で見ることができ、ユーザの凝視の方向(視線)が真っ直ぐ前の左へ50°でFS/UWA/RO表面と交差する時、三角形の仮想画像を、また望ましくは、ユーザの目の中心で見ることができる。図12及び図13には描かれていないが、同じアプローチは、垂直方向の視野に対して、並びに軸から逸脱した視野に対して使用される。より一般的には、HMD及びその光学コンポーネントの設計において、設計者は、目の凝視が特定の方向である場合、ディスプレイの望ましい部分がユーザの目に見えるようにディスプレイの少なくとも一つの発光表面を反射表面へ“マップする”。従って、目が水平方向及び垂直方向の両方へ視野を走査すると、FS/UWA/RO表面は、画像ディスプレイシステムの少なくとも一つの発光表面の異なる部分が人間の目に光る。前述の議論は、名目上のユーザの網膜の中心に関するものであるが、勿論、設計プロセスは、必要であれば、代わりに、名目上のユーザの窩のロケーションを使用する。
【0079】
尚、図13において、目を右へ回転すると、三角形の仮想画像89はユーザに見えなくなってしまう。このように、図13において、真っ直ぐ前へ又は真っ直ぐ前の左への凝視方向は、矩形と三角形の両方の仮想画像をユーザに提供し、他方、真っ直ぐ前の右への凝視方向は、矩形のみの仮想画像を提供する。勿論、仮想画像の視力は、仮想画像がユーザの中心視野又はユーザの周辺視野によって知覚されるか否かに依存する。
【0080】
HMDの設計者が、三角形の仮想画像を左へ離して残しながら図13において矩形の仮想画像を右へ離して置いた場合、矩形の仮想画像のみ見られる凝視の方向及び三角形の仮想画像のみ見られる凝視の他の方向があるであろう。同様に、ここで開示される原理に基づいて、設計者は、三角形の仮想画像が常に見え、矩形の仮想画像が幾つかの凝視方向では見えるが他の方向では見えないように、矩形の仮想画像と三角形の仮想画像を配置することができるであろう。更なるバリエーションとして、HMDの設計者は、矩形と三角形の仮想画像を、一つ以上の凝視方向に対して、画像がユーザに見えないロケーションに配置し得る。例えば、設計者は、真っ直ぐ前の凝視方向に対して、ユーザの静的視野の直ぐ外に画像を配置し得る。このように、本開示によってHMD設計者に対して提供されるフレキシビリティは、容易に明白となる。
【0081】
一実施形態において、反射表面の“自由空間”及び“超広角”の態様は、光が最短(最小時間)光路に沿って移動するフェルマーとヒーローの原理を使用して達成される。G.Harrison、D.Smith及びG.Wieseの名義で2011年8月17日に出願され、“Methods and Systems for Creating Free Space Reflective Optical Surfaces”と題する、代理人整理番号IS−00354によって識別される同時係属かつ同一人に譲渡された米国特許出願第13/211,389号は、その開示内容が参考として本明細書で援用され、フェルマーとヒーローの原理が使用されてHMDでの使用に適したFS/UWA/RO表面を設計する実施形態を記述している。また、G.Harrison、D.Smith及びG.Wieseの名義で2011年8月17日に出願され、“Head−Mounted Display Apparatus Employing One or More Reflective Optical Surfaces”と題する、代理人整理番号IS−00267によって識別される同時係属かつ同一人に譲渡された米国特許出願第13/211,372号も参照のこと。また、その開示内容も参考として本明細書で援用される。
【0082】
フェルマーとヒーローの最小時間の原理によって、画像ディスプレイシステムの少なくとも一つの発光表面の“望ましい部分”(例えば、画像ディスプレイシステムの任意の画素)は、少なくとも一つの発光表面の望ましい部分からFS/UWA/RO表面での反射のポイントへ次にユーザの目の回転中心への光路が極値であるという条件で、FS/UWA/RO表面で反射の望ましいポイントを持つことができる。
【0083】
光路における極値とは、光路長の一次導関数がその光路長における最大値又は最小値を示すゼロ値に達したことを意味する。極値は、反射光学表面の局所領域を生成することによって視野の任意の点に挿入することができ、この局所領域の法線は、(a)その局所領域からユーザの目へのベクトル(例えば、局所領域の中心からユーザの目の中心へのベクトル)と、(b)局所領域から発光表面の“望ましい部分”へのベクトル(例えば、局所領域の中心から発光表面の“望ましい部分”の中心へのベクトル)を二等分する。図14図16は、画像ディスプレイシステムの少なくとも一つの発光表面の“望ましい部分”が画素である場合の処理を描いている。
【0084】
具体的には、図14は、光を頭取付けディスプレイ装置の前部へ向けて光線1515の方向へ放射している画素の通常矩形アレイよりなる画像ディスプレイシステムの発光表面1510を示している。光線1515は、表示を容易にするために、図14では平面として示す反射光学表面1520に反射する。反射すると、光線1515は、ユーザの目1530に入射する光線1525になる。
【0085】
各画素に対する反射器の表面法線を決定するには、光線1515及び1525に対応するベクトルの三次元二等分線を決定するだけでよい。図14では、この二等分線ベクトルは、線1535として二次元形態で示されている。二等分線ベクトル1535は反射のポイント1540において反射光学表面に対して垂直であり、この反射のポイント1540は、発光表面1510の画素1545がHMDのユーザに視認可能である表面1520上のロケーションである。
【0086】
具体的には、動作中、ディスプレイ表面1510における画素1545は、二等分線ベクトル1535に対応する表面法線とその垂直平面1550によって画定される角度で反射光学表面1520に反射する光線1515を発し、フェルマーとヒーローの原理によって、光線1525に沿って目1530が見ることのできる反射のポイント1540に、反射された画素を生じる。反射のポイント1540において表面法線を正確に計算するために、光線1525はユーザの目1530の略中心1555を通過可能である。その結果は、ユーザの目が回転して周辺視野になっても、図12及び13に関連して上述したようにディスプレイのその領域がユーザの中心又は周辺視野のいずれによっても見ることができないほど多く目が回転するまで略安定したままである。
【0087】
表面法線の位置を計算するために、四元数の方法を用いることができ、
q1=光線1515の向き
q2=光線1525の向き
q3=望ましい表面法線1535の向き=(q1+q2)/2
である。
【0088】
また、表面法線は、図17に描かれているように、ベクトル表記法で記述することができる。以下の式及び図17において、ポイントNは、反射光学表面の対象の領域の中心にあるポイントMから一単位離れており、ポイントMでの反射光学表面の接平面に対して垂直な法線の方向である。ポイントMでの反射光学表面の接平面は、以下の等式で表される関係を満足するように制御されて、三次元空間において、ポイントMでの表面法線がポイントMから対象の画素の中心のポイントPへのラインとポイントMからユーザの目の回転中心のポイントCへのラインを二等分する(参考のため、ポイントCは、目の前部から約13mm後方である)。
【0089】
ポイントMの表面法線上のポイントNを記述する等式は、以下のとおりである。
【0090】
【数1】
【0091】
式中、全てのポイントN、M、P、及びCは、任意の直交座標系における三次元空間のそれらの位置を指すコンポーネント(ベクトル成分)[x、y、z]を有する。
【0092】
結果としての法線ベクトルN−Mは、以下のユークリッド長を有する。
【0093】
【数2】
【0094】
その二つの垂直バー(縦線)は、以下で計算されるユークリッド長を表す。
【0095】
【数3】
【0096】
数値例として、以下のM、P、及びC値を考察する。
【0097】
【数4】
【0098】
法線に沿うポイントNは、以下のように計算される。
【0099】
【数5】
【0100】
及び
【0101】
【数6】
【0102】
形状は、図15に示されており、二等分線は、二つのより長いベクトル間にある。
【0103】
勿論、前述のことは、見る人に対して連続仮想画像を提示するように意図された反射領域の自由空間(自由形態)表面マニホルド(多様体)を作るポイントのフィールドのための局所接平面角度制限の決定において、フェルマーとヒーローの最小時間の原理の使用を示すのに役立つ代表的計算に過ぎない。唯一の実定数は、ユーザの目の中心であり、目の自然な視野である。全ての他のコンポーネントは、所与の画像ディスプレイシステムと反射光学表面の向きの適切な解法に達するまで反復して更新され得る。他の方法を見ると、画素画像反射ロケーションM1、M2、...、Mn及びそれらに関連する法線と曲率は、FS/UWA/RO表面が画像ディスプレイシステムによって形成されるコンピュータ発生画像の望ましい仮想画像処理を達成するように“湾曲”(調節)されるマトリックスと考えてもよい。
【0104】
尚、フェルマーとヒーローの原理の適用する際、幾つかの実施形態においては、ユーザが二つ以上のポイントで同じ画素反射を見るように法線が調節される状況を回避することが望ましい。また、幾つかの実施形態においては、反射光学表面の局所領域が非常に小さくてもよく、それが反射器上のポイントに対応することができ、ポイントが滑らかな表面を作るように他のポイント内にモーフィングする。
【0105】
説明を容易にするために、画素レンズの存在の効果は、FS/UWA/RO表面を設計するためにフェルマーとヒーローの法則の使用の上述論述には明確には含まれていなかった。実際には、フレネルレンズシステムの存在は、フェルマーとヒーローの計算への入力として、光線がフレネルレンズシステムを構成する光学要素(又は、全体の光学システムにおいて使用される他の光学要素)を通過した後、光線の伝播の方向を使用することによって分析において容易に含まれる。伝播のこれらの方向は、例えば、ガウス光学技術を使用して決定することができる。必要ならば、フェルマーとヒーローの計算は、フレネルレンズシステムのフレネルレンズの度数を変化することによって制御される異なる初期の光輻輳セッティングに対して、望ましい仮想画像が得られるまで繰り返すことができる。
【0106】
ユーザが少なくとも一つの発光表面の“望ましい部分”の仮想画像(例えば、画素の仮想画像)上に確実且つ容易に焦点を合わせることができるように、ある実施形態では、画素レンズを通過してFS/UWA/RO表面で反射した後、コリメートされた(又は実質的にコリメートされた)画像がユーザに到達するように、反射のポイントの周囲領域の曲率半径(反射面積)を制御する。上述のように、コリメートされた(又は実質的にコリメートされた)画像は、ユーザから遠い、例えば、数10から数100メートルで発生したように、より平行な光学光線を有する。このような表面を得るために、画素レンズのコリメート度数に依存して、少なくとも一つの発光表面の“望ましい発光画素”(望ましい発光画素)に対応する反射光学表面の反射領域の曲率半径は、反射領域からディスプレイ上の発光表面の実際の“望ましい部分”(実際の画素)への距離のおよそ半分の(しかし、半分よりも大きい)半径に保たれ得る。より具体的には、この半径は、“望ましい部分”を反射領域のロケーションからその関連する画素レンズを通して見る時、反射領域から反射表面の“望ましい部分”への見掛けの距離のおよそ半分である。
【0107】
従って、一実施形態では、対象の画素から隣接画素への内部反射画素法線ベクトルは、それらの画素が反射表面上の反射された画素のロケーションからその関連する画素レンズを介して見られるディスプレイ画素の見掛け上のロケーションまでのベクトルの長さのおよそ略半分の曲率半径を確立することができる関係を満足する。このパラメータに影響を及ぼす調節は、少なくとも一つの発光表面のサイズと、その少なくとも一つの発光表面が歪曲されているか否かと、を含む。
【0108】
図16は、本実施形態を描いている。コリメートされた(又は略コリメートされた)画像がユーザに到達するように画素反射を囲む領域の曲率半径を制御するために、反射のポイント1540においてのような二つの隣接画素反射領域を考察する。より多くの領域をより良好なバランスのために考察してもよいが、二つで十分である。図16を参照して、二つの画素の反射のポイント1540及び1610は、ディスプレイ表面1510上の二つの画素1545及び1615について夫々示されている。ポイント1540及び1610での表面法線は、それらの方向間の角度と共に計算される。曲率半径は、これらの角度とポイント1540及び1610との距離を知って計算される。具体的に、表面構成と、必要であれば表面の空間ロケーションは、曲率半径が、光線1515及び1620の長さが画素レンズの影響に応じて調節される場合、光線1515及び1620の長さの平均のおよそ略半分になるまで調節される。このように、セロジオプター又は略ゼロジオプターの光がユーザの目に提供される。上述の通り、これは、本質的に無限遠にあるポイントから来る光と同等であり、その光波面は平らで、光の波面に対して平行な表面法線となる。
【0109】
局部曲率半径を制御することに加えて、幾つかの実施形態では、コリメートされた(又は略コリメートされた)画像を目に入射させる一次ポイント解像度として、少なくとも一つの発光表面がFS/UWA/RO表面から一焦点距離離れて名目上位置される。ここで、焦点距離は、FS/UWA/RO表面を作る種々の反射領域の曲率半径の平均値に基づく。
【0110】
フェルマーとヒーローの原理の適用の結果が、滑らかな反射表面に組み合わせることができる1組の反射領域である。この表面は、一般的には、球状や対称的ではない。図18は、そのようなFS/UWA/RO表面1520の二次元表示である。上で論じたように、表面1520は、画素レンズのコリメート効果と組み合わされる場合、その表面によって反射されている画像ディスプレイシステムの少なくとも一つの発光表面からの画像のリラックスした眺めを提供する値に、ポイント1710及び1720での曲率半径が設定されるように構成され得る。このように、ライン1730によって表されるある方向を見ることは、ライン1730によって表される異なる方向を見ることのように、コリメートされた(又は略コリメートされた)仮想画像を目1530へ提供する。視野全域での全ての観察の滑らかな遷移を可能とするために、FS/UWA/RO表面の領域は、スプライン曲面のための非一様有理Bスプライン(NURBS)テクノロジーを使用して実行されるように、一つの制御ポイントから他の制御ポイントへ滑らかに遷移され、従って、反射表面全域での滑らかな遷移を生成する。場合によっては、FS/UWA/RO表面は、微細粒レベルで表面が滑らかになるように十分な数の領域を含むことができる。幾つかの実施形態では、より良好な製造可能性、実現及び画像品質を可能とするために、ディスプレイの各部分(例えば、各画素)に対して異なる倍率は、穏やかな勾配を使用して提供され得る。
【0111】
上述から、頭取付けディスプレイ全体は、以下の例示のステップ:望ましい視野を決定すること、ディスプレイ表面サイズ(例えば、幅と高さの寸法)を選択すること、反射表面に対するディスプレイ表面の向きを選択すること、ディスプレイと反射表面との間の画素レンズのための候補ロケーションを選択すること、画素レンズのための候補構成を選択すること、画素レンズを介して見られるディスプレイ表面上の各画素の位置を分類すること、及びディスプレイ表面からの各画素の反射表面上への表示のロケーションを選択すること、を用いて設計可能であることが理解される。ディスプレイ表面と画素レンズは、目の上方へ配されかつ反射表面に向かって傾き、反射表面の曲率が光を装着者の目に反射することを可能とする。更なる実施形態において、ディスプレイ表面と画素レンズを、目の側部や目の下方等の他の位置へ配することができ、その反射位置と曲率は、ディスプレイ表面からの光を適切に反射するように選択される、或いは異なる角度に傾けることができる。
【0112】
ある実施形態では、反射表面の三次元インスタンス化や数学的表示を生成することができ、上で論じたように、反射表面の各々の領域は、その領域の中心からユーザの目の中心へ及びその領域の中心からディスプレイ表面における画素の中心(この画素に関連する画素レンズの存在に起因する画素の見掛け位置の中心)へのベクトルを二等分する法線を有する局所領域である。また、上で論じたように、画素反射を囲む領域の曲率半径は、画素レンズのコリメート効果と組み合わさって、コリメートされた(又は略コリメートされた)画像が視野の全域でユーザに到達するように制御され得る。コンピュータベースの反復を介して、視野の全域で光学性能の望ましいレベルだけでなく、審美的に許容可能な製造可能設計を提供するパラメータの組合せ(組)が識別されるまで、変更可能なパラメータ(例えば、反射表面の局所法線、局所曲率、、及び、局所空間ロケーション、並びに、画素レンズのロケーション、倍率、及び、構造)を調節することができる。
【0113】
使用中、(幾つかの実施形態において、焦点の複数の局所領域のスプライン曲面から構成される)非対称FS/UWA/RO表面は、画素レンズと組み合わされて、広い視野全体に及ぶ、画像ディスプレイシステムの少なくとも一つの発光表面の仮想画像を形成する。そのFS/UWA/RO表面は、プログレッシブミラーやプログレッシブ湾曲ビームスプリッター、又は自由形成ミラーや反射器と考えられる。目が視野全域、水平方向と垂直方向の両方、を走査すると、湾曲FS/UWA/RO表面によって、画像ディスプレイシステムの少なくとも一つの発光表面の異なる部分が人間の目に光る。種々の実施形態において、全体の光学システムは、低コストで大量に製造可能であると共に典型的な人間の視覚解像度と釣り合った画像品質を維持する。
IV.非曲面反射光学表面を採用したHMD
【0114】
図19は、他の頭取付けディスプレイ装置600の側面図である。頭取付けディスプレイ600は、拡張現実型双眼鏡である。頭取付けディスプレイ600は、ユーザ605によって装着されたときの装着者の顔から突出又は放射状に突出するように構成されたバイザー部材610を含む。バイザー部材610は、ユーザ605の目の上方に少なくとも一つのディスプレイアセンブリ615を支持するように構成される。例えば、少なくとも一つのディスプレイアセンブリ615は、水平配置させたり水平線に対して僅かに傾斜させて配置させたりすることができる。少なくとも一つのディスプレイアセンブリ615は、ディスプレイアセンブリ615に含まれる発光画素毎に一つの画素レンズを有する。頭取付けディスプレイ装置600は、更に、少なくとも一つのディスプレイアセンブリ615からのコリメートされた又は実質的にコリメートされた光をユーザ605の目に向かって反射するように垂直面に対して僅かに傾けた平面ビームスプリッターレンズシステム620を含む。頭取付けディスプレイ装置600により、近くを広い視野で見ることができる。この実施形態ではビームスプリッター620には光学的曲率が存在しないので、この実施形態における少なくとも一つのディスプレイアセンブリ615は、広い視野を提供するために別の実施形態よりも大きな寸法を有してもよい。
【0115】
エレクトロニクスパッケージ625は表示画像を制御する。エレクトロニクスパッケージ625は、一実施形態では加速度計及びジャイロスコープを含んでもよい。頭取付けディスプレイ装置600に出入りする電力及びビデオは、エレクトロニクスパッケージ625がトランシーバ又は有線インターフェースを提供する伝送ケーブル630又はワイヤレス媒体を通じて提供可能である。
【0116】
拡張現実のシーンのコンピュータ生成を制御するために、エレクトロニクスパッケージ625で実行されるソフトウェア又はファームウェアモジュール等の機能に入力するように、一組のカメラ640をHMDの両側に配置することができる。要素650、655、656、657は、目に対して所望の位置にデバイス600を保持するための様々な形状の支持部(実施形態によっては調節可能な)バンドやコードなどを表している。
【0117】
図19のシステムの動作は、光線660、665、670によって描かれている。図示の通り、光線670は、環境から平面ビームスプリッターレンズシステム620の外側表面を通って入射し、ユーザが点680の方向を見るときユーザの目に入射する組み合わせ光線665を生成するために平面ビームスプリッターレンズシステム620の内側表面に衝突する少なくとも一つのディスプレイアセンブリ615からの光と結合する。また、ユーザの周辺視野能力によって、ユーザは、ビームスプリッターレンズシステム620の表面全体において、点680のすぐ周囲から横方向及び縦方向に更に離れた光を見ることができる。少なくとも一つのディスプレイアセンブリ615は、目の光学システム及びビームスプリッターシステム620によって画素情報により良くアクセスできるように曲面、円筒状に湾曲させることができる。
V.直視型HMD
【0118】
上記の用途に加えて、湾曲フレネルレンズシステムは、反射光学表面を介在することなく、画像ディスプレイシステムの直視のために使用され得る。このような構成は、没入型であるが、一つ以上のビデオカメラを使用して外部世界の情報を含むことができる。画素レンズを使用することによって、ディスプレイの画像を広い視野に投影することができる。
【0119】
画素レンズを使用することにより、ユーザは、遠くから来るかのように生成された画像を見ることができ、ユーザの目はその画像に容易に焦点を合わせることができる。また、この方法によって、最大限に歪みの無い視野が得られる。少なくとも一つのディスプレイアセンブリ自体においてビームがコリメートされるため、更なるコリメーションは必要ない。ユーザは、ごく近接した少なくとも一つのスクリーンを直接見て、少なくとも一つの画像ディスプレイシステムは、期待通り視野を必要なだけ大きくすることが可能である。画素レンズによって、ディスプレイシステムが目の近くに位置決めされていても見ることができるようになる。最も有益なパッケージを得るために、ディスプレイシステム曲率、画素サイズ、画素レンズ特性、及びユーザの目からの距離を操作することによって最適化することができる。
【0120】
図20は、ユーザ1105によって装着されている頭取付けディスプレイ装置1100を描いている。頭取付けディスプレイ装置1100は、没入型双眼鏡1110とすることができる。双眼鏡1110は、少なくとも一つのディスプレイアセンブリ1115を支持する眼鏡又はゴーグルと類似の形状とすることができ、このアセンブリにおいては発光画素毎に一つの画素レンズを有している。少なくとも一つのディスプレイアセンブリ1115は、ユーザの視野に直接位置決めされ、画素レンズによって近くを見るために調節される。少なくとも一つのディスプレイアセンブリ1115は、例えば支持部1120を用いて直接ユーザの目の正面にゴーグル又は眼鏡の表面に取付け、没入型の仮想世界を体験させるため画素がユーザの目の方向に直接光を放射するように本質的に垂直方向に配置する。表示画像を制御するために一実施形態ではフレームによって支持された処理回路、加速度計、及びジャイロスコープを含むエレクトロニクスパッケージ1125が設置される。双眼鏡1110を出入りする電力及びビデオは、伝送ケーブル1130又はワイヤレス媒体を介して提供することができる。一組のカメラ1170は、HMDの両側に設置され、フレームよって支持され、ソフトウェアパッケージ、例えば、エレクトロニクスパッケージ1125の一部であるソフトウェアパッケージに入力し、没入型現実シーンのコンピュータ生成の制御を支援する。
【0121】
図21を見て分かるように、図21では図20の類似の要素と同じ参照番号が使用されているが、この実施形態の視覚システムは、二つの部分、即ち、(a)少なくとも一つのディスプレイアセンブリ1115と、(b)内部レンズ820を有する目810から構成される。ディスプレイアセンブリ1115の画素から発せられ、この画素の関連する画素レンズを通過した光は565で表されている。目のレンズ820を通過した後、この光は、ユーザの網膜上の一ポイントで観察される。しかし、目に見えるものは、ベクトル840及び850によって表される距離に、その目の前方の空間に出現する仮想画像である。無限遠860にある仮想画像に関して、光線距離は、ベクトル840と850の合計である。少なくとも一つのディスプレイアセンブリ1115は、図21では平面として示されているが、曲面でも平面でもよい。
【0122】
図22は、目930に入射する頭取付けディスプレイ装置からの光を描く光線図である。この光は、曲面構成を有するディスプレイアセンブリ1115から放射されているところが示されている。特に、ディスプレイアセンブリ1115の外側表面1120の3点から放射されている光が示されている。1220等の3部分からの光束は全てコリメートされ、網膜1015上のポイント1010で見られるとき目930によって観察され焦点を合わせることができる。
VI.一般的考察
【0123】
HMDの全体構造に関して、表1は、本開示に従って構成されたHMDディスプレイが典型的に満足するパラメータの代表的で非制限例を述べている。更に、ここで開示されるHMDディスプレイは、適切な画像がユーザの視覚平面に確実に確立されるのに十分な小さな画素間距離を典型的に有する。
【0124】
ここで開示された頭取付けディスプレイに含まれ得る種々の特徴は、本発明を制限するものではなく、以下のものを含み、それらの幾つかは上記で参照されている。
(1)幾つかの実施形態において、反射光学表面(使用される場合)は、半透明であり、光が外部環境から入って来ることを可能とする。次に、内部ディスプレイ発生画像は、外部画像に重ねることができる。その二つの画像は、ジャイロスコープ、カメラ及びコンピュータ発生画像のソフトウェア操作等のローカライゼーション装置を使用して位置合わせすることができ、それによって仮想画像が外部環境において適切なロケーションに位置される。特に、カメラ、加速度計、及び/又はジャイロスコープは、それが物理的実体中にある所を装置に登録するのを補助し且つその画像を外側の景色に重ね合わせるのに使用することができる。これらの実施形態において、反射光学表面の透過性と反射性とのバランスは、適切な輝度特性を有する重ね合わせ画像をユーザに提供するよう選択され得る。HMDの外部の環境からの入射光と内部生成光の正確なバランスを用いることによって、眼鏡の外側の環境に存在しているように見える反射が、HMDの内側表面上に見られる。また、これらの実施形態において、現実の世界の画像とコンピュータ発生画像は、略同じ見掛けの距離に共に現れることができ、目は一度に両画像に焦点を合わせることができる。
(2)幾つかの実施形態において、反射光学表面(使用される場合)は、その表面を通過する外部光の位置や焦点への影響を最小にするために可能な限り薄く保たれる。
(3)幾つかの実施形態において、頭取付けディスプレイ装置は、少なくとも100°、少なくとも150°、又は少なくとも200°の視界を各目に提供する。
(4)幾つかの実施形態において、頭取付けディスプレイによって各目に提供される視野は、大きくはユーザの鼻に重ならない。
(5)幾つかの実施形態において、反射光学表面は(使用される場合)、視野の全域にわたるその光学処方の穏やかな遷移を使用して利用可能ディスプレイエリア上の焦点を維持することができる。
(6)幾つかの実施形態において、レイトレーシングを使用して軍事トレーニング、戦闘シミュレーション、ゲーム及び他の商業用途等の特定の実施のための装置パラメータをカスタマイズすることができる。
(7)幾つかの実施形態において、反射光学表面(使用される場合)及び/又はディスプレイの表面、並びに画素レンズの特性とロケーション、及びディスプレイと反射光学表面(使用される場合)との距離と反射光学表面(使用される場合)と目との距離は、網膜及び/又は窩での変調伝達関数(MTF)仕様に関して操作され得る。
(8)幾つかの実施形態において、ここで開示されるHMDは、以下に制限されないが、スナイパー検出、商用トレーニング、軍事トレーニング及び軍事オペレーション、及びCAD製造等の用途で実施され得る。
(9)図面では平らに示されているが、画像ディスプレイシステムは、湾曲発光表面を有していてもよい。
【0125】
一旦設計されると、ここで開示される反射光学表面(例えば、FS/UWA/RO表面)は、現在知られている又は今後開発される種々の技術及び種々の材料を使用して生成、例えば、大量製造され得る。例えば、表面は適切に反射するように金属化されたプラスチック材料から製造され得る。研磨されたプラスチックやガラス材料も使用することができるが、その反射表面上に反射防止コーティングを有するものは除く。“拡張現実”用途のために、反射光学表面は、埋め込まれた小さな反射器を有する透過性材料から構成され得、入射波面の一部を反射すると共にその材料を介して光を透過する。
【0126】
プロトタイプ部品に対して、アクリルプラスチック(例えば、プレキシグラス)を、ダイヤモンド切削によって形成された部品と共に使用することができる。製造部品に対して、例えば、アクリルやポリカーボネートを、例えば、射出成型技術によって形成される部品と共に使用することができる。反射光学表面は、詳細なコンピュータ支援設計(CAD)記述として或いはCAD記述へ変換可能な非一様有理BスプラインNURBS表面として記述することができる。CADファイルを有することによって、デバイスを三次元印刷を使用して作ることが可能となり、CAD記述は、機械加工を必要とすることなく、直接に三次元オブジェクトとなる。
【0127】
上で論じられた数学的手法は、現在公知の或いは今後開発される種々のプログラミング環境及び/又はプログラミング言語で符号化されることができる。現在の好適なプログラミング環境は、イクリプスプログラマーインターフェースで実行するJava(登録商標)言語である。Microsoft Visual C#等の他のプログラミング環境も、必要に応じて使用することができる。また、計算は、PTC(マサチューセッツ州ニーダム)によって市販されているMathcadプラットフォーム及び/又はMathWork,Inc.(マサチューセッツ州ナティック)のMatlabプラットフォームを使用して実行され得る。得られたプログラムは、ハードドライブ、メモリスティック、CD、或いは同様のデバイスに格納することができる。その手順は、種々のベンダー、例えば、DELL、HP、TOSHIBA等から入手可能な典型的なデスクトップコンピューティング装置を使用して実行することができる。或いは、必要に応じて、“クラウド”コンピューティングを含むより強力なコンピューティング装置を使用することができる。
【0128】
上記から、様々な実施形態において、サングラスに似たHMDにおける高解像度で広視野(広角)のディスプレイが提供されることが分かる。広視野は、例えば、より大きな且つ/又はより多くのディスプレイを有することによって所望の角度にすることができる。表示画像は、見られている周囲環境の物理的現実に重ね合わせることができる。画素レンズの使用によって、ユーザの目を、遠景に焦点を合わせながらHMDのスクリーンにごく近接させることができ、スクリーンからの映像も遠くにあるように見える。HMDは、画像ディスプレイシステムと画素レンズとユーザの目の固定した関係を構築し維持する。画素輝度は、画像ディスプレイシステムからユーザの目までの距離に基づいて個別に制御してもよく、また、ビームスプリッターを採用する実施形態に関しては、画像ディスプレイシステムのビームスプリッターまでの距離、ビームスプリッターの曲率、及びビームスプリッターのユーザの目までの距離に基づいて個別に制御してもよい。
【0129】
本発明の範囲と精神から離れない種々の変更は、前述の開示から当業者には明らかである。以下の請求項は、ここで述べられた特定の実施形態、並びに変更形態、変形形態及びこれらの実施形態と同等のものをカバーすることを意図している。
【0130】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22