(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246594
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】安定したエレクトロクロミックモジュール
(51)【国際特許分類】
G02F 1/15 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
G02F1/15 508
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-555801(P2013-555801)
(86)(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公表番号】特表2014-510944(P2014-510944A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】EP2012000932
(87)【国際公開番号】WO2012119734
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2015年1月19日
(31)【優先権主張番号】102011013132.9
(32)【優先日】2011年3月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502451568
【氏名又は名称】テューリンギッシェス・インスティトゥート・フューア・テクスティル−ウント・クンストストッフ−フォルシュング・エー・ファウ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(72)【発明者】
【氏名】グルナラ、コンキン
(72)【発明者】
【氏名】マリオ、シュレートナー
(72)【発明者】
【氏名】ハネス、シャッヘ
(72)【発明者】
【氏名】ディートリヒ、ラーベ
【審査官】
廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭64−059219(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/116353(WO,A1)
【文献】
特開昭62−280288(JP,A)
【文献】
特表2009−545015(JP,A)
【文献】
NAZMUTDINOVA G,ELECTROCHROMICAL STUDIES ON NEW ELECTROCHROMIC POLYMER,4TH INTERNATIONAL SYMPOSIUM TECHNOLOGIES FOR POLYMER ELECTRONICS - TPE 10 -,2010年 5月18日,P235-238
【文献】
ARGUN AVNI A,MULTICOLORED ELECTROCHROMISM IN POLYMERS: STRUCTURES AND DEVICES,CHEMISTRY OF MATERIALS,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2004年11月16日,V16 N23,P4401-4412
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15
G0F 1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板(1)、第2基板(4)であって、前記第1および/または第2基板(1、4)は導電性であるか、またはそれぞれ導電性コーティング(2)ないし導電性コーティング(5)を有する第1基板(1)および第2基板(4)、
前記基板(1)または前記導電性コーティング(2)上に配置されたエレクトロクロミックポリマーのコーティング(3)、
前記基板(4)または前記導電性コーティング(5)上に配置されたイオン貯蔵層(6)、および
前記エレクトロクロミック
ポリマーのコーティング(3)および前記イオン貯蔵層(6)の間に配置した電気的に直列接続した電解質(7)を含んでなるエレクトロクロミックモジュール(10、20)であって、
前記エレクトロクロミックポリマ
ーは、テトラアリールベンジジンおよび(ヘテロ)芳香族ジオールから形成され、電圧制御下、二以上の酸化還元状態の間を可逆的に切り替え可能である本質的に線状の縮合ポリマーであって、前記縮合ポリマーは、一つの酸化還元状態では無色であり、かつ、少なくとも二つの酸化還元状態では発色し、
前記電解質(7)は、高分子ゲル電解質であり、
前記エレクトロクロミックポリマ
ーが、一般構造式(I)、(II)、(III)または(IV)の置換されたテトラフェニルベンジジンおよび(ヘテロ)アリーレンビスフェニルメタノールから形成される本質的に線状の縮合ポリマー
【化1】
(式中、
R1およびR2は、同一または異なっており、それぞれ、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基または1〜10の炭素原子を有する炭化水素基、好ましくは、アルキル基、アリル基またはビニル基であり、
R3は、任意により置換された、芳香族またはヘテロ芳香族化合物、好ましくは、ベンゼン、ヒドロキノン、ジアルキルエーテル、ジフェニルエーテル、ビフェニルまたはナフタレンの二価基である)
であ
り、
前記イオン貯蔵層(6)が、50重量%以上、好ましくは80重量%以上の範囲で、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化セリウム、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化バナジウム(WO3、NiO、CeO2、Tio2、MoO3、V2O5)およびこれらの混合物から選択される原料を含むことを特徴とする、エレクトロクロミックモジュール(10、20)。
【請求項2】
前記エレクトロクロミックポリマー(3)が200℃以上のガラス転移温度Tgを有することを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミックモジュール(10、20)。
【請求項3】
前記高分子ゲル電解質(7)が、PVDF−HFP、PANまたはPMMAのような少なくとも1つの架橋ポリマー、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、プロピレンカーボネート、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/ジエチルカーボネートの混合物のような少なくとも1つのイオン液体、および
LiTf2N、LiTfOまたはLiClO4のような少なくとも1つのリチウム塩を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のエレクトロクロミックモジュール(10、20)。
【請求項4】
電圧制御下、エレクトロクロミックポリマー(3)が三つの酸化還元状態の間で切り替えることができ、好ましくは、酸化還元状態に関して、無色、オレンジ色、青色の呈色状態が想定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックモジュール(10、20)。
【請求項5】
0.35〜0.45Vの範囲の電圧の印加する場合において、1200〜1400nmの波長域に吸収極大を持つ広い吸収帯を有し、
前記吸収極大での、前記光学コントラストが13%〜15%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックモジュール(10、20)。
【請求項6】
90〜100%の範囲でのコントラストを有し、初期値に基づく切り替えサイクルの数が20,000超であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックモジュール(10、20)。
【請求項7】
エレクトロクロミック効率が、600cm2/C超、好ましくは、800cm2/C超であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックモジュール(10、20)。
【請求項8】
40%超の、好ましくは60%超のエレクトロクロミックコントラストを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックモジュール(10、20)。
【請求項9】
青色から無色への切り替え時間が、2秒未満であり、無色から青色への切り替え時間が7秒未満であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックモジュール(10、20)。
【請求項10】
前記エレクトロクロミックポリマー(3)が5〜500nm、好ましくは50〜500nm、より好ましくは200〜500nmの厚さを有する均一な層を形成することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックモジュール(10、20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1基板、第2基板であって、前記第1および/または第2基板は導電性であるか、またはそれぞれ第1導電性コーティングないし第2導電性コーティングを有する第1基板および第2基板、
第1基板または第1導電性コーティング上に配置されたエレクトロクロミックポリマーのコーティング、
第2基板または第2導電性コーティング上に配置されたイオン貯蔵層、および
前記エレクトロクロミックコーティングおよびイオン貯蔵層の間に配置された電気的に直列接続した電解質を含んでなるエレクトロクロミックモジュールに関する。
【0002】
本発明のエレクトロクロミックモジュールは、電圧制御下、二以上の発色状態の間を可逆的に切り替えることができ、エレクトロクロミック特性の大幅な減少を伴わない多くの切り替えサイクル(switching cycles)後に、早い切り替え動態と共に高いエレクトロクロミックコントラストおよび高いエレクトロクロミック効率を有すること、ならびにそれが防漏であることを特徴とするものである。
【0003】
用いられるエレクトロクロミックポリマーは、一般構造式(I)、(II)、(III)または(IV)の置換されたテトラフェニルベンジジンおよび(ヘテロ)アリーレンビスフェニルメタノールから形成される本質的に線状の縮合ポリマーである
【化1】
(式中、
R1およびR2は、同一または異なり、それぞれ、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基または1〜10の炭素原子を有する炭化水素基、好ましくは、アルキル基、アリル基またはビニル基であり、かつ、
R3は、任意により置換された、芳香族またはヘテロ芳香族化合物、好ましくは、ベンゼン、ヒドロキノンジアルキルエーテル、ジフェニルエーテル、ビフェニルまたはナフタレンの二価基である)。
【0004】
光フィルター、ディスプレイ、防眩ミラー等としてのエレクトロクロミックモジュールの用途は公知である。
【0005】
これらは、酸化タングステン、ビオロゲンまたはポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)特にはポリアニリンなどのポリマー等のさまざまなポリマーのような酸化還元活性のある材料の可逆的な電気化学的酸化および還元により、それらの色を変化させることを含む。
【0006】
様々な既知のエレクトロクロミック系は個々の場合に非常にうまく機能しているが、多くの問題も存在する。
【0007】
ビピリジニウム化合物(ビオロゲン)のようなエレクトロクロミック材料は、可逆的にジカチオンからラジカルカチオンへおよび非可逆的に荷電されていない形態へと3つの酸化還元形態間での切り替えが可能である。
【0008】
この場合、ラジカルカチオン(Π電子平面を介したΠ複合体形成)のピメリゼーション(pimerization)は変異吸収スペクトルを生じさせ、EC系の色コントラストおよび寿命に悪影響を及ぼす。
【0009】
メタロセンおよびメタロセン誘導体(DE1020070376199a1,US2009/0259042A1,DE102008024260B4)のような安定剤ならびに、例えば、EP1288275A2およびDE102006061987で表されるその他の化合物も必要である。これらは、長期のコントラストの安定性に関して、可逆性の陽極での成分反応を保証することにより、カソードスイッチングエレクトロクロミックフォーミュレーション(the cathode-switching electrochromic formulation)(好ましくは4、4’−ビピリジニウム塩)の寿命改善を保証する。
【0010】
しかし、ここで、色コントラストおよび寿命に関して同様の問題が存在する。長期の研究において、メタロセニウムカチオンの形成は、アノードにおける黄褐色の層の形成を通して認知できるようになる。さらに、メタロセンの電気化学的に活性な製剤への添加により、例えば、フェロセン凝集体の堆積のような、これまでは制御されていなかった分離工程を引き起こす。
【0011】
適用のために意義があるとされるエレクトロクロミック材料のほとんどは二色間でのみ切り替えが可能である。:ビオロゲン(無色 <−> 青/紫)、酸化タングステン(WO
3)(淡青 <−> 青)、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(紫 <−> 青)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)(淡青 <−> 紺青)
【0012】
したがって、二色のみのフィルターまたは単色のみのディスプレイを実施することが可能である。
【0013】
さらに、例えば、WO
3またはPEDOT−PSSなどの多くのエレクトロクロミック材料は、単に、薄い層において無色に見えるだけであり、そのためそれらは、広い波長範囲(500〜1000nm)において無色状態が要求される用途への適合性が制限される。
【0014】
現在までにエレクトロクロミック効果を用いた有機材料に関する非常に多くの研究が行われている。
【0015】
エレクトロクロミックポリマーおよび化学構造の変更を介した制御可能なそれらのマルチクロミシティー(multichromicity)の大きな利点は、ガラスまたは金属基板および軟質フィルム、繊維材料上における任意に薄く広い面積層を有した製品であって安価であるということである。
【0016】
エレクトロクロミック用途に適した既知のポリマーは、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンおよびポリアニリンである。
【0017】
しかし、これらのエレクトロクロミック導電性ポリマーは、特に、それらの電気的特性および電気化学的安定性に関して、空気中で変質する傾向があり、結果、寿命は短い。
【0018】
したがって、ECモジュールを被包し外的影響から保護することが重要である。
【0019】
これに関連して、必要な剛性被包は柔軟性を損なわせる。
【0020】
さらに、このようなポリマーは、低いガラス転移温度を有し、例えばポリピロールおよびポリアニリンは、低い溶解性を有し、そのため処理は可能であるが困難を伴う。
【0021】
これら不利な点は、それらの実用化に深刻な支障をきたす。
【0022】
特に、ジまたはトリアミン単位を有するポリマーはホ−ル導体、電気蛍光発光材料および発光材料また多色エレクトロクロムとしても知られる(W.Holzer et al., Optical Materials 15, 2000, 225-235)。
【0023】
ジフェニルアミンおよびその誘導体またはアントラキノンと結合した状態でのエレクトロクロミック材料としての使用例はUS4752119に開示されている。
【0024】
2つの電極間の化学的に安定な有機溶媒(好ましくはプロピレン炭酸塩)中のジフェニルアミンおよび導電塩の溶液を用いることが提案された。
【0025】
白地の背景において、より色の変化に気付くことができるようTiO
2散乱層が電極に適用された
【0026】
1.0V〜1.5Vの電圧を印加した結果、溶液は緑色を呈する。電圧を2.2Vまで増加させた場合、溶液中で青緑色を呈する。
【0027】
電圧を切った場合、系は拡散を介して無色の基底状態に戻る。
【0028】
10
6の切り替えサイクル後、セル中における比較的小さなエレクトロクロミックの劣化のみが認められた。
【0029】
しかしながら、液状媒質を含んだそのような系は、作動温度および寿命への影響という点で問題がある。したがって、それらは密封する必要がある。
【0030】
DE3717917に係る発明は、N,N,N’,N’−テトラフェニル−p−フェニレンジアミンの繰り返しの単位からなる新規なポリマーであってエレクトロクロミック特性を有するものに関するものである。
【0031】
このポリマーは有機溶媒に可溶であり、電子受容体で一度ドープし、次いで脱ドープするだけで不溶性となる。
【0032】
このポリマーフィルムは、0.3Vの電位領域(Ag/AgClに対して)においては黄色、0.85Vにおける第一段階の酸化状態においては緑色、および1.2Vにおける第二段階の酸化状態においては紺青色を呈す。
【0033】
エレクトロクロミックディスプレイは次の工程を通して製造された:透明なガラス板にディスプレイ領域の外側にMgF
2(80nm)の絶縁フィルムの蒸着を施し、次いで、上述したクロロホルム溶液(200nm)からのポリマーにより被膜し、100℃において、ヨウ化物を用い連続的にドープし、次いで高真空下で脱ドープした。
【0034】
グラファイト繊維層で被膜された他方のガラス板上にプルシアンブルーフィルム(300nm)を電解析出させる。
【0035】
アルミナから作られた多孔質の背景パネルを2つのガラスシート間に配置し、2つの電極をシールした。
【0036】
用いられる電解質は、プロピレン炭酸塩中の1mol/lのLiClO
4の溶液であった。
【0037】
このエレクトロクロミックディスプレイは、8Vの着色電圧および−8Vの軽減電圧(lightening voltage)を印加することにより、10
5回まで繰り返し切り替えることができた。
【0038】
この最中に、開始値と比較した酸化反応における電荷量の小さな変化のみが判定された。
【0039】
エレクトロクロミックディスプレイの製造は様々な異なる技術的操作が組み合わされた多段操作(100℃におけるヨウ化物を用いたドープ化、高真空下での脱ドープ化、プルシアンブルーの電解析出)であり、技術的複雑性および出資の増加の原因となる。
【0040】
さらに、±8Vの着色電圧および軽減電圧は、従来のECセルと比較し非常に高く、経済的に不利である。
【0041】
DE3615379A1には防眩ミラーが開示されている。
【0042】
第1エレクトロクロミック層は、置換されたまたは無置換トリフェニルアミンのような共役ポリマーから形成され、他のEC層はWO
3のような遷移金属酸化物である。
【0043】
前記工程において、フィルムは、コーティング工程を用いて、適したトリフェニルアミンモノマーまたは高分子溶液から電極へ適用され、ヨウ化物、五フッ化アンチモン、五フッ化ヒ素または酸化鉄のような酸化剤によって連続的に重合または架橋される。
【0044】
他のフィルム形成方法はモノマー溶液からの電解重合化である。
【0045】
例えば、そのようなミラーは、3重量%の水を添加したプロピレン炭酸塩中のLiClO
4の電解質溶液を含む4、4’−ジクロロトリフェニルアミンポリマーおよびWO
3 EC層からなる。
【0046】
基底状態におけるミラーの反射率は約70%である。
【0047】
約1.45Vの電圧を印加する場合、ミラーは約4秒以内に紺青色に変化するため反射率は約10%まで低下する。
【0048】
約−0.35Vの電圧によりミラーは消色する。連続的発色(1.1V、15s)および消色(−0.4V,90s)は30,000回繰り返した後であっても安定して再現可能である。
【0049】
コーティングフィルムのその場での(in situ)重合または架橋は、酸化および還元が繰り返される場合において、フィルム中の酸化剤の残査が望ましくない副反応を引き起こす可能性があり、その結果、素子の寿命が不十分になるという欠点がある。
【0050】
同様に、それは実用化のための追加の方法論的工程を与える。
【0051】
電子が豊富なトリフェニルアミンは、酸素および光の存在下、酸化される傾向にあり、不安定なラジカルカチオンを形成し、さらに二量化されテトラフェニルベンジジンとなる。
【0052】
この酸化は、ポリマー層の黄変およびEC素子の寿命の制限の両方を生じさせる。
【0053】
パラ−フェニル位における基の置換により、二量化反応を顕著に減少させることができる。
【0054】
しかし、最近になって共役したホモポリマー、ポリ(4−メトキシトリフェニルアミン)が約50サイクルまで適度に安定なEC効果を有することのみ公開されている(G.-S. Liou et al., Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, (2007), V.45, 3292-3302)。
【0055】
アリール置換されたアリーレンジアミンポリマーを有するポリマーの調製および基本的な電気化学特性は、DE19832943に開示されている。
【0056】
3,3’ −置換トリフェニルジアミンポリマー二量体(TPDポリマー)の溶液の電気的酸化によって可逆的に青色を呈することが見いだされている。
【0057】
適切な電解質およびイオン貯蔵層と共に、エレクトロクロミック材料としてエレクトロクロミックモジュール中のTPDおよびテトラアリールベンジジンポリマーを使用することが望ましく、それにより好ましい循環サイクル性およびそれに基づく安定なEC効果を伴う酸化還元反応性能が保証される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0058】
本発明の目的は、広い波長範囲(500〜1100nm)において完全に無色であり、先行技術と比べ技術的に単純で、環境に優しく、安価な工程により製造可能なエレクトロクロミックモジュールを提供することである。
【0059】
本発明の更なる目的は、1つのエレクトロクロミック材料のみを用いて二以上の発色状態を表示し、それと同時に、多くの切り替えサイクルをモジュールのエレクトロクロミック特性、高いエレクトロクロミックコントラストおよび高いエレクトロクロミック効率の顕著な減少なく、有効な切り替え動態を伴って、達成させることである。
【課題を解決するための手段】
【0060】
この目的は、第1基板、第2基板であって、前記第1および/または第2基板は導電性であるか、またはそれぞれ第1導電性コーティングないし第2導電性コーティングを有する第1基板および第2基板、
第1基板または第1導電性コーティング上に配置されたエレクトロクロミックポリマーのコーティング、
第2基板または第2導電性コーティング上に配置されたイオン貯蔵層、および
前記エレクトロクロミックコーティングおよびイオン貯蔵層の間に配置された電気的に直列接続した電解質を含んでなるエレクトロクロミックモジュールであって、
エレクトロクロミックポリマーは、テトラアリールベンジジンおよび(ヘテロ)芳香族ジオールから形成される本質的に線状の縮合ポリマーであって、電圧制御下、二以上の酸化還元状態の間で、可逆的に切り替え可能である縮合ポリマーであり、該縮合ポリマーは、一つの酸化還元状態では無色であり、少なくとも二つの酸化還元状態では有色であり、電解質(7)は、高分子ゲル電解質であることを特徴とする、エレクトロクロミックモジュールにより達成される。
【0061】
本発明によれば、任意により第1導電性コーティングを有する第1基板および第1基板または第1導電性コーティング上に配置されたエレクトロクロミックコーティングは、また作用電極と総称される。
【0062】
これと同様に、任意により第2導電性コーティングを有する第2基板および第2基板または第2導電性コーティング上に配置されたイオン貯蔵層は、また対電極と総称される。
【0063】
本発明は既知のエレクトロクロミックモジュールの構造から、前記高分子ゲル電解質およびイオン貯蔵層との組み合わせによる本発明のポリマーのエレクトロクロミック特性にまで及ぶ。
【0064】
本発明の酸化還元において安定的な(redox-stable)ポリマーはテトラアリールベンジジンジオール縮合ポリマーであり、好ましくは次の一般構造式I、II、IIIまたはIVのコポリマーである
【化2】
(式中、
R1およびR2は、同一または異なっており、それぞれ、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基または1〜10の炭素原子を有する炭化水素基、好ましくは、アルキル基、アリル基またはビニル基であり、
R3は、様々な芳香族基である。その中でもR3は、芳香族またはヘテロ芳香族化合物の誘導体、好ましくは、ベンゼン、ヒドロキノンジアルキルエーテル、ジフェニルエーテル、ビフェニル、ナフタレンおよびその他の芳香族、ヘテロ芳香族ならびにそれらの化合物である)。
【0065】
これらのポリマーフィルムは、非荷電状態において完全に無色(可視光領域において)透明であり、比較的低い電圧を用いて繰り返し発色および消色させることができる。
【0066】
本願で用いるポリマーは、(一つの酸化状態で)無色であるため酸化状態および還元状態のいずれでも発色する既知のECポリマー(ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリンおよびPEDOT−PSS)と比べはるかに勝る。
【0067】
多くに適用するために、発色状態以外では素子の透明性が要求/望まれ(ディスプレイ、板ガラス(glazing)、メガネ(spectacles)を含む)、したがってこれらは完全に適している。
【0068】
本発明のポリマーは、本質的に直線の構造および高いガラス相転移温度(Tg>200℃)を有する。
【0069】
ポリマーは薄いフィルム形状で空気中において安定であり、処理過程において不活性条件を必要としないという利点がある。
【0070】
さらに、それらはジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンおよびトルエンのような溶媒に対する良好な溶解性を有し、その結果、スピンコーター、ドクターブレード技術、ロール・ツー・ロールおよび印刷工程ならびにスプレー法により、ガラスもしくは金属基板上またはその他軟性フィルムおよび繊維材料上に溶液から任意の薄さの層を製造することが可能である。その層の厚さは50nm〜1μm、好ましくは200〜 500nmである。
【0071】
従来技術とは対照的に、本発明のポリマー層は後処理(架橋化、重合化、ドープ化、脱ドープ化)を必要とせず、その結果、技術的処理が極めて簡素化される。
【0072】
しかしながら、それと同時にそれらは水、アルコール、脂肪族炭化水素、プロピレンカーボネート、例えばエチルメチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(EMITf
2N)および1−エチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレートのようなイオン液体に不溶であり、エレクトロクロミックモジュール中で電解質として用いられる。
【0073】
本発明に関して、ECポリマーは、ポリマー含量0.5〜30質量%、好ましくは1〜3質量%の溶液から、異なるガラスおよびフレキシブル基板上に、均一な薄い層(おおよそ200〜500nm)を形成し、それにより950cm
2/CまでのECモジュール効率および青色のための55%までの光学コントラストを達成する。
【0074】
本発明のポリマーは、作用電極での約0.4Vの電圧印加において、高分子ゲル電解質(例えば、EMITf
2Nに基づいた)およびイオン貯蔵層に結合したエレクトロクロミックモジュールへ酸化され、その結果、モジュールは均一なオレンジ色を呈する。
【0075】
さらに、ECモジュールにおける、0.9Vの電圧を印加したECポリマーの更なる酸化により均質的な青色を呈する。
【0076】
この場合、オレンジ色状態を経る。電圧が−1.0Vまで低下した場合、ECモジュールは無色状態に戻る。
【0077】
より具体的には、本発明は、透明無色と発色状態との間(例えば無色/オレンジ、および/または無色/青)および二色の間(例えばオレンジ/青)または三つの状態の間(無色/オレンジ/青)を切り替え可能な、上記ポリマーを含むECモジュールを提供する。
【0078】
用いるECモジュール、高分子ゲル電解質およびイオン貯蔵層の最適な組み合わせの結果、本発明のエレクトロクロミックモジュールは、2秒間で青から無色(光学的コントラスト88%)および7秒間で無色から青への(光学的コントラスト90%、面積3.5cm
2)とても良好な切り替え動態を示す。
【0079】
さらに、約0.4Vの電圧印加におけるECポリマーは、約14%の光学的コントラストであって、広い長波吸収極大(λ=1300nm)を有する。
【0080】
EMITf
2Nに基づく高分子ゲル電解質およびイオン貯蔵層と結合したECポリマーを含む本発明のECモジュールは、無色/青切り替えサイクルが少なくとも10,000より上、好ましくは20,000より上の安定したEC効果を示す。
【0081】
本発明において、不溶性リチウム塩を含むゲルタイプまたはポリマー系電解質が用いられる。例えば、ゲル形成ポリマーは、ポリ(ビニリデン フルオリド−コ−ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)、ポリアクリロニトリル(PAN)またはポリ(メチル メタクリレート)(PMMA)である。好ましい溶媒は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(EMITf
2N)のようなイオン液体である。
【0082】
その他の包括的な溶媒の例はプロピレンカーボネート、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/ジエチルカーボネートの混合物およびその他のカーボネートである。
【0083】
さらに、ポリマー系電解質は、0.1mol/l〜1mol/lの濃度において、LiTf
2N, LiTfO(リチウムトリフルオロメタンスルホネ−ト)またはLiClO
4 (リチウムペルクロレート)のようなリチウム塩を含む。
【0084】
導電性塩およびゲル形成ポリマーは電解質に完全に溶解し、したがって電解質のいかなる発色をも引き起こさない。
【0085】
高伝導度(6mS/cmまで(EMITf
2N
,LiTf
2N、PVDF−HFP))と同様に、特にゲル電解質は、可視領域で良好な光透過性を有する。
【0086】
本発明の好ましい実施形態としては、対電極が、50重量%以上、好ましくは60重量%以上の酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化セリウム酸化チタン、酸化モリブデン、酸化バナジウム(WO
3、NiO,CeO
2、Tio
2、MoO
3、V
2O
5)およびそれらの混合物からなる群から選択される材料を含有する貯蔵層、を含む。
【0087】
CeO
2−TiO
2混合酸化物(Li
+のCeO
2への挿入の原理に基づく)に基づくイオン貯蔵層が特に好ましい。
【0088】
それらの主な役割は急速かつ十分に作用電極にシフトされた電荷を補うことである。
【0089】
ゾル・ゲル法を用いる、26mC/cm
2までの電荷蓄積密度を有する従来のCeO
2−TiO
2混合酸化物電極が用いられ、これは既に文献に記載されている(C. O. Avellane-da et al., Thin Solid Films 471, (2005) 100-104, A. Verma et al., Thin Solid Films 516, (2008) 4925-4933)。
【図面の簡単な説明】
【0090】
本発明は、以下に図面により詳細に示される。
【
図1】多層構造を備えるエレクトロクロミックモジュールを示す。
【
図2】多層構造を備えるエレクトロクロミックモジュールを示す。
【
図3】エレクトロクロミックモジュールの電気回路図を示す。
【
図4】エレクトロクロミックモジュールのサイクリックボルタグラムを示す。
【
図5】3つの異なる切り替え状態におけるエレクトロクロミックモジュールの分光透過率を示す。
【
図6】切り替え操作の間の、エレクトロクロミックモジュールにおける時間に対する電流のプロットを示す。
【
図7】切り替え操作の間の、エレクトロクロミックモジュールにおける時間に対する電流のプロットを示す。
【
図8】切り替え操作の間の、時間依存透過率を示す。
【0091】
図1は、第1基板1および第2基板4を有する本発明のエレクトロクロミックモジュール10を示す。
【0092】
第1基板1および第2基板4は、それぞれ、フロートガラスのような透明材料、石英ガラス、高分子フィルム、金属箔もしくは透明、半透明または非透明の繊維材料で構成することができる。
【0093】
第2基板4はまた、非透明のポリマー材料、セラミック材料、または繊維材料から構成することもできる。第1および/または第2基板(1,4)はそれぞれ、同一のまたは異なる材料から各々形成された導電性コーティング2および5を有していることが好ましい。
【0094】
導電性コーティング2および5は、例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化スズ(ZAO)、インジウム酸化スズ(ITO)またはフルオリンドープ酸化スズ(FTO)のような透明導電性酸化物(TCO)、金、プラチナもしくはステンレス鋼のような金属または例えば、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンポリ(スチレンスルホネ−ト)(PEDOT−PSS)のような導電性ポリマーから構成される。
【0095】
本発明の代替的な実施形態では、第1基板1および/または第2基板4は、本質的に、金属製のフィラメントまたは金属化フィラメントからなる導電性繊維材料から構成される。真性導電性繊維材料から作られた基板1および/または4を使用する場合、導電性コーティング2または5は存在しない。
【0096】
任意により、導電性コーティング2を備えた基板1上に、上記エレクトロクロミックポリマー、すなわち、テトラアリールベンジジンおよび(ヘテロ)芳香族ジオールからなる本質的に線状の縮合ポリマーで構成されるコーティング3が配置する。
【0097】
コーティング3は、溶射、ドクターブレードコーティングまたはスピンコーティングのような公知の方法によって、エレクトロクロミックポリマーの溶液を基板1または導電性コーティング2へ適用することにより製造する。
【0098】
任意により導電性コーティング5を備えた基板4上に、酸化セリウム、酸化チタン、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化モリブデン、酸化バナジウム(CeO
2、TiO
2、WO
3、 NiO、MoO
3、 V
2O
5)およびそれらの混合物からなる群から選択される(より好ましくはCeO
2−TiO
2混合酸化物)原料を50重量%以上、好ましくは80重量%以上含むイオン貯蔵層6が配置する。
【0099】
イオン貯蔵層6は、好ましくは、前記酸化物の一つ分散液を適用し、その後乾燥させ、必要に応じて、焼結することにより製造する。代替的な方法として、イオン貯蔵層6は、気相からの蒸着により製造する(例えば、CVDまたはPVDにより)。
【0100】
エレクトロクロミックモジュール10は、エレクトロクロミックコーティング3およびイオン貯蔵層6の間に配置され、かつPVDF−HFP、PANまたはPMMAのような少なくとも1つの架橋ポリマー、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、プロピレンカ−ボネイト、プロピレンカ−ボネイト/エチレンカ−ボネイト/ジエチルカ−ボネイトの混合物のような少なくとも1つのイオン液体およびLiTf
2N,LiTfOまたはLiClO
4のような少なくとも1つのリチウム塩を含むゲル電解質7をさらに含む
【0101】
本発明に関して、高分子ゲル電解質7は、エレクトロクロミックコーティング3、高分子ゲル電解質7およびイオン貯蔵層6が電気的に直列接続(
図3を参照)されるようにエレクトロクロミックコーティング3およびイオン貯蔵層6の間に配置される。
【0102】
したがって、基板1および/または基板4が、真性導電性繊維材料により構成されるエレクトロクロミックモジュールまたは導電性コーティング2および/または5、基板1および/または4の孔を貫通し、充填し、それらの導電性フィラメントを包む高分子ゲル電解質7を備えるエレクトロクロミックモジュールもまた想定される。
【0103】
任意により、エレクトロクロミックモジュール10は縁側にシール8を有する。例えば、シール8は、ポリマー材料から構成され、高分子ゲル電解質7の層の端を縁取る。シールは基板1および4の端上において部分的または完全に広がることが望ましい。
【0104】
図2は、本発明に係るさらなるレクトロクロミックモジュール20を示す。モジュール20は、構造化された導電性コーティング2Aおよび/または構造化された導電性コーティング5Aを含む。
【0105】
適切な構成においては、構造化されたエレクトロクロミックコーティング3Aおよび/または構造化された導電性イオン貯蔵層6Aをさらに備える。
【0106】
本発明との関係において、用語「構造化された層」または「構造化されたコーティング」とは、フォトリソグラフィーのような公知の方法により製造する電極パターン(circuitry pattern)を意味する。
【0107】
より具体的には、画像および記号のデジタル制御された表示のためのディスプレイおよび利用の態様において、エレクトロクロミックモジュール20の操作を可能にするマトリクスのようなパターンが提供される。
【0108】
次の例は、本発明のエレクトロクロミックモジュールの製造を示している。
【実施例】
【0109】
例1:
1,4−ビス(フェニルヒドロキシメチル)ベンゼンおよびN、N’−ビス(4−メチルフェニル)−N、N’−ジフェニルベンジジンの縮重合により調製したポリマーの1.5質量%を含むトルエン溶液を、スピンコーターにより、FTOガラス(すなわち、フルオリンドープ酸化スズから構成される導電性コーティングを備えたガラス)に適用し、約500nmの厚さの均一なフィルムを形成させる(乾燥後に)。
これは、ECモジュールにおける作用電極(WE)として想定されている。
【0110】
薄層において、水の5%質量%を含むエタノール溶液、0.2mol/lの硝酸セリウム(IV)アンモニウム((NH
4)
2Ce(NO
3)
3)および0.2mol/lのテトライソプロピルオルトチタン酸(Ti(o−propyl)
4)を、スピンコーターによって他のFTOガラスに適用し150℃で乾燥させる。
【0111】
これを三度繰り返し、集合体全体を最終的に500℃で加熱し、CeO
2−TiO
2の混合酸化物を形成させる。
【0112】
次いで、これをECモジュールにおいて透明な対電極(CE)として用いる。2つのコーティングされたFTOガラス(WEおよびCE)をヒートシール性フィルムによって結合させ、ECモジュールを得る。
【0113】
最終的に、グローブボックス中で、ECモジュールを、90℃で二つの小さな孔(後者を次いでシールする)を通して、高分子電解質(0.1mol/lのEMITf
2N中のPVDF−HFP,LiTf
2N)で充填する。
【0114】
高分子電解質(0.1mol/lのEMITf
2N中のPVDF−HFP,LiTf
2N)と結合したECポリマーの可逆性電気化学酸化のサイクリックボルタモグラム(例1に従って製造されたECモジュールに明示される)を
図4に示す(測定器:ソーラートロン1285,15mV/S)。
【0115】
無色状態ならびに+0.4V(オレンジ)および+0.9V(青)の電圧を印加した場合の同じECモジュールのUV−VIS透過スペクトルを
図5に表す(測定器:Unicam UV300,空気に対し測定)。
【0116】
−1.0Vと+0.4Vの電位(無色−オレンジ)の間および−1.0と+0.9の電位(無色−青)の間の切り替え動作に対するクロノアンペロメトリ−測定値を、
図6および
図7に表す。
【0117】
ここで、電位切替えの直後、0.2〜0.6mA/cm
2の非常に小さな電流密度が観察される。
【0118】
ECモジュール(例1に従って製造された)の時間依存性電気光学的測定値から、無色/青切り替え動作(λ=750nm)に対する、切り替え時間が得られる(
図8を参照)。
【0119】
表1に、オレンジおよび青色に対する例1に係るモジュールのエレクトロクロミック特性をまとめる。
【0120】
光学コントラストは、特定波長での二つ(色)の状態の間での透過率の違いとして定義される。
本明細書においては、これは、透過基底状態およびオレンジまたは青状態との間の透過率の違いである。
【0121】
ECモジュールの透過率は、室温で、空気(参照)に対し、Unicam UV 300 UV−VIS分光計を用いて測定された。
【0122】
透過率は、入射光ビームの強度に対するエレクトロクロミックモジュールを透過した光ビームの強度の比(%)として定義される。
【0123】
例1に従って製造されたエレクトロクロミック特性
【表1】
【符号の説明】
【0124】
1:第1基板
2:導電性コーティング
2A:構造化された導電性コーティング
3:エレクトロクロミックポリマーのコーティング
3A:構造化されたエレクトロクロミックコーティング
4:第2基板
5:導電性コーティング
5A:構造化された導電性コーティング
6:イオン貯蔵層
6A:構造化された導電性イオン貯蔵層
7:高分子ゲル電解質
8:シール
10:エレクトロクロミックモジュール
20:エレクトロクロミックモジュール