特許第6246595号(P6246595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッドの特許一覧

特許6246595眼用レンズのための媒体基材を形成する方法、及び眼用レンズのための媒体基材
<>
  • 特許6246595-眼用レンズのための媒体基材を形成する方法、及び眼用レンズのための媒体基材 図000002
  • 特許6246595-眼用レンズのための媒体基材を形成する方法、及び眼用レンズのための媒体基材 図000003
  • 特許6246595-眼用レンズのための媒体基材を形成する方法、及び眼用レンズのための媒体基材 図000004
  • 特許6246595-眼用レンズのための媒体基材を形成する方法、及び眼用レンズのための媒体基材 図000005
  • 特許6246595-眼用レンズのための媒体基材を形成する方法、及び眼用レンズのための媒体基材 図000006
  • 特許6246595-眼用レンズのための媒体基材を形成する方法、及び眼用レンズのための媒体基材 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246595
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】眼用レンズのための媒体基材を形成する方法、及び眼用レンズのための媒体基材
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   G02C7/04
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-556789(P2013-556789)
(86)(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公表番号】特表2014-511510(P2014-511510A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】US2012026849
(87)【国際公開番号】WO2012118777
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2015年1月29日
(31)【優先権主張番号】61/447,469
(32)【優先日】2011年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/454,205
(32)【優先日】2011年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/401,952
(32)【優先日】2012年2月22日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ピュー・ランドール・ビー
(72)【発明者】
【氏名】フリッチュ・フレデリック・エイ
(72)【発明者】
【氏名】オッツ・ダニエル・ビー
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ジェームズ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】トナー・アダム
【審査官】 井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第8950862(US,B2)
【文献】 中国特許第103392145(CN,B)
【文献】 国際公開第2010/033683(WO,A1)
【文献】 特開2002−118198(JP,A)
【文献】 特開2010−034254(JP,A)
【文献】 特開2001−028036(JP,A)
【文献】 特開2008−072111(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0001926(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/105261(WO,A1)
【文献】 特開昭58−116764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
A61L 27/00
Science Direct
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼用レンズ用の媒体基材を形成する方法であって、
電気的機能を備えた機能化基材層を形成する工程と、
前記機能化基材層を、環状形状物と環状形状物の一部分とのうちの一方に組み立てる工程と、
前記機能化基材層を絶縁層に接着し、それにより2つの機能化基材層間に前記絶縁層が位置している積層された機構を形成する工程と、
前記機能化基材層の間に電気相互接続を形成する工程と、
前記積層された機構を、成型眼用レンズの本体内に接合されてもよい1つ又は2つ以上の材料で封入する工程とを含み、
前記機能化基材層の内の少なくとも1つは、エネルギー付与機能を有する、方法。
【請求項2】
前記媒体基材の前記機能化基材層の少なくとも1つが、ソリッドステートエネルギー源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記媒体基材が、環状形状物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記媒体基材が、シリコン基材を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記媒体基材に可変焦点レンズを固定する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
基材機能層上に集積回路を形成する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの基材機能層内にスルーシリコンビアを形成する工程を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
複数の機能化基材層を眼用レンズの一般断面を含む三次元形状物に積層する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
眼用レンズ用の積層された機能化媒体基材であって、
電気的機能を備え、環状に形成された第1の薄いシリコン層と、
絶縁性を有し、前記第1の薄いシリコン層の第1の面上の第1の接着膜と、
電気的機能を備え、前記第1の薄いシリコン層より小さい外半径を有する環状に成形され、前記第1の接着膜によって前記第1の薄いシリコン層に固着された第2の薄いシリコン層と、
前記第1の薄いシリコン層および前記第2の薄いシリコン層間に形成された電気相互接続と、を含み、
前記第1の薄いシリコン層および前記第2の薄いシリコン層の内の少なくとも1つは、エネルギー付与機能を有する、積層された機能化媒体基材。
【請求項10】
前記第1の薄いシリコン層が、その第1の面の近くに電子回路と共に半導体基材を有する、請求項9に記載の積層された機能化媒体基材。
【請求項11】
前記第2の薄いシリコン層が、電気化学エネルギーを付与する構成要素を含む層を有する基材を含む、請求項9に記載の積層された機能化媒体基材。
【請求項12】
前記機能化媒体基材が、ポリシリコーン系ポリマー内に封入された、請求項9に記載の積層された機能化媒体基材。
【請求項13】
眼用レンズであって、
ポリマーレンズ形態に埋め込まれた媒体基材を有し、
前記媒体基材が、
電気的機能を備え、環状に成形された第1の薄いシリコン層と、
絶縁性を有し、前記第1の薄いシリコン層の第1の面上の第1の接着膜と、
電気的機能を備え、前記第1の薄いシリコン層より小さい外半径を有する環状に成形され、前記第1の接着膜によって前記第1の薄いシリコン層に固着された第2の薄いシリコン層と、
前記第1の薄いシリコン層および前記第2の薄いシリコン層間に形成された電気相互接続と、を有し、
前記第1の薄いシリコン層および前記第2の薄いシリコン層の内の少なくとも1つは、エネルギー付与機能を有する、眼用レンズ。
【請求項14】
前記第1の薄いシリコン層および前記第2の薄いシリコン層と電気的に相互接続された1つ又は2つ以上の電気化学セルを含む少なくとも1つの追加の層を更に含む、請求項13に記載の眼用レンズ。
【請求項15】
前記電気化学セルからの電流フローを制御することができる半導体電子回路を含む少なくとも1つの層を更に含む、請求項14に記載の眼用レンズ。
【請求項16】
前記電子回路が、前記レンズ内の電気活性レンズ構成要素に電気的に接続された、請求項15に記載の眼用レンズ。
【請求項17】
アンテナとして機能することができる金属層を更に含む、請求項16に記載の眼用レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年2月22日に出願された米国特許出願第13/401,952号、2011年2月28日に出願された米国特許仮出願第61/447,469号、及び2011年3月18日に出願された米国仮出願第61/454,205号に対する優先権を請求し、これらの出願の各内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、積層された複数の機能層から形成された眼科装置用の機能化挿入物、並びに幾つかの実施形態では、複数の積層された層の機能化挿入物を備えた眼用レンズの製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来より、コンタクトレンズ、眼内レンズ、又は涙点プラグなどの眼科用装置として、矯正的、美容的、又は治療的性質を有する生体適合性装置がある。例えば、コンタクトレンズは、視力矯正機能、美容効果、及び治療効果のうちの1つ又は2つ以上を提供することができる。それぞれの機能は、レンズの物理的特性によって与えられる。レンズに屈折性を組み込んだ設計によれば、視力矯正機能を与えることができる。レンズに顔料を組み込むことによって、美容効果を与えることができる。レンズに活性薬剤を組み込むことによって、治療効果を与えることができる。こうした物理的特性は、レンズがエネルギー付与された状態となることなく実現される。受動的装置として従来より涙点プラグがある。
【0004】
更に近年では、コンタクトレンズに能動的要素を組み込み得ることが理論化されている。幾つかの要素としては半導体素子が挙げられる。動物の目に入れられるコンタクトレンズに埋め込まれた半導体素子を示した幾つかの例がある。こうした能動的要素をレンズ構造自体の内部でエネルギー付与及び活性化する多くの方法についても、これまでに述べられている。レンズ構造により画定される空間のトポロジー及びサイズは、様々な機能を画定するための新規かつ挑戦的な環境を形成している。一般的に、これらの開示にはディスクリート素子が含まれている。しかしながら、現存する個別の装置のサイズ及び度数の要求条件は、必ずしも人の目に装用される装置に組み込むことだけに適用されるものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、エネルギー付与し眼科装置に組み込むことができる挿入物を作成する構成要素の設計を含む。本挿入物は、各層について固有の機能を有し得る複数の層で形成するか、あるいは混合された機能性を複数の層に有するものとすることができる。幾つかの実施形態では、それらの層は、製品のエネルギー付与、若しくは製品の活性化のための専用の層、又はレンズ本体内部の機能構成要素の制御に関する層を有し得る。更に、積層された機能化層の挿入物を備えた眼用レンズを形成する方法及び装置が示される。
【0006】
幾つかの実施形態では、挿入物は、電流を引き込むことが可能な構成要素に電力を供給することが可能な、エネルギー付与された状態の層を含み得る。要素としては例えば、積層された挿入物内に配置するか又はこれに接続することが可能な可変光学レンズ要素、及び半導体素子のうちの1つ又は2つ以上が含まれる。幾つかの実施形態は、また、注型成形のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズも含み得、その眼用レンズ内には、剛性又は成形可能な、積層された機能化層の挿入物が、生体適合性の方式で収容される。
【0007】
したがって、本発明は、積層された機能化層部分を備えた眼用レンズ、積層された機能化層部分を備えた眼用レンズを形成するための装置、及びその眼用レンズのための方法の開示を含む。挿入物は、本明細書で検討されるような様々な方式で複数層から形成されてもよく、挿入物は、第1の成形型部分と第2の成形型部分の一方又は両方の近くに配置されてもよい。第1の成形型部分と第2の成形型部分との間に反応性モノマー混合物を入れる。第1の成形型部分は、第2の成形型部分に近接して配置され、それによって、その内部にエネルギー付与された媒体基材、及び少なくともいくらかの反応性モノマー混合物を有するレンズ空洞を形成し、反応性モノマー混合物が化学線に曝露されて眼用レンズを形成する。反応性モノマー混合物に照射する化学線を制御することによりレンズを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】以前に述べた実施形態による成形型組み立て装置図。
図2】眼用レンズ内に配置することができる挿入物に関する代表的な形状因子の例示的な実施形態の図。
図3】眼用レンズ成形型部分の内部に組み込まれ、積層された機能層で形成された挿入物の、3次元表示の図。
図4】挿入物を備えた眼用レンズ成形型部分の断面図。
図5】支持構造と位置合わせ構造上に複数の積層された機能層を有する挿入物の例示的な実施形態の図。
図6】積層された機能層挿入物内に層を形成するために使用される構成要素の様々な形状と実施形態の図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、複数の機能化層を積層することによって形成される媒体基材を含む。更に、本発明は、また、そのような積層された機能化層媒体基材を備えた眼用レンズを製造する方法及び装置を含む。更に、本発明は、眼用レンズに組み込まれた積層された機能化層媒体基材の眼用レンズを含む。
【0010】
以下の項において、本発明の実施形態の詳細な説明を与える。好ましい実施形態及び代替の実施形態の両方の説明は、代表的な実施形態に過ぎず、変形、修正、及び代替が当業者にとって明白であり得ることが理解される。したがって、これらの代表的な実施形態は基礎をなす発明の範囲を制限しない点は理解されなければならない。
【0011】
用語集
本発明の対象となる説明及び特許請求の範囲では、以下の定義が適用される様々な用語が用いられ得る。
【0012】
エネルギー付与された:本明細書で使用されるとき、電流を供給することができるか、又は電気的エネルギーを内部に蓄積させることができる状態を指す。
【0013】
エネルギー:本明細書で使用されるとき、ある物理系が仕事をする能力を指す。本発明内の多くの使用では、仕事を行う際に前記能力が電気的作用を行うことができることと関連付けられる。
【0014】
エネルギー源:本明細書で使用されるとき、エネルギーを供給するか又は生物医学的装置をエネルギー付与された状態にすることができる装置を指す。
【0015】
エネルギーハーベスター:本明細書で使用されるとき、環境からエネルギーを抽出し、これを電気エネルギーに変換することができる装置を指す。
【0016】
機能化:本明細書で使用されるとき、層又は装置が、例えばエネルギー付与、活性化、又は制御を含めた機能を、実行できるようにすることを指す。
【0017】
レンズ:眼内又は眼上にある眼科用装置を指す。これらの装置は、光学的矯正を提供するものでもよく、美容的なものでもよい。例えば、用語「レンズ」は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼球挿入物、光学挿入物、又はそれによって視力が矯正若しくは改変されるか又はそれによって眼の生理学的機能が視力を妨げることなく美容的に強調される(例えば、虹彩の色)ような他の同様の装置のことを指し得る。幾つかの実施形態では、本発明の好ましいレンズは、シリコーンヒドロゲル類、及びフルオロヒドロゲル類を含むが、これらに限定されない、シリコーンエラストマー類又はヒドロゲル類から製造される、ソフトコンタクトレンズである。
【0018】
レンズ形成混合物、「反応性混合物」、又は「RMM」(反応性モノマー混合物):本明細書で使用されるとき、硬化及び架橋することができるか、又は架橋して眼科レンズを形成することができる、モノマー、又はプレポリマー材料を指す。様々な実施形態は、UV遮断剤、染料、光開始剤、又は触媒、及びコンタクト若しくは眼内レンズ等の眼科レンズに望まれ得る他の添加剤等の1つ又は2つ以上の添加剤を有するレンズ形成混合物を含むことができる。
【0019】
レンズ形成面:レンズの成形に使用される面を指す。幾つかの実施形態では、このような面103〜104は、光学品質表面仕上げを有することができる。光学品質表面仕上げとは、表面が十分に滑らかで、成形型表面に接触しているレンズ形成材料の重合によって作られるレンズ表面が光学的に許容可能であるように形成されていることを示す。更に、幾つかの実施形態では、そのようなレンズ形成表面103〜104は、レンズ表面に所望の光学特性を付与するのに必要な幾何学形状を有することができる。所望の光学特性としては、限定することなく、球面、非球面、及び円筒屈折力、波面収差補正、角膜トポグラフィ補正などに加えて、これらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0020】
リチウムイオン電池:リチウムイオンがセル内を通ることにより電気的エネルギーを生成する電気化学セルを指す。典型的には電池とよばれるこの電気化学セルは、その通常の状態に再エネルギー付与又は再充電され得る。
【0021】
媒体基材:本明細書で使用するとき、眼用レンズ内部のエネルギー源を支持することができる、成形可能又は剛性の基材を指す。幾つかの実施形態では、媒体基材はまた、1つ又は2つ以上の構成要素を支持する。
【0022】
成形型:未硬化の配合物からレンズを形成するために使用できる剛性又は半剛性物体を指す。幾つかの好ましい成形型は、前部湾曲成形型部分及び後部湾曲成形型部分を形成する2つの成形型部分を含む。
【0023】
光学ゾーン:本明細書で使用する場合、眼用レンズの装用者がそこを通して見ることになる、眼用レンズの領域を指す。
【0024】
パワー:本明細書で使用されるとき、単位時間当たりに行われる仕事又は移動されるエネルギーを指す。
【0025】
再充電可能又は再エネルギー付与可能:本明細書で使用される場合、仕事をする能力がより高い状態に復元できることを指す。本発明内の多くの使用は、特定の再開された時間期間電流を特定の割合で流すことができる状態に回復できる能力と関連付けられる。
【0026】
再エネルギー付与又は再充電:仕事をする能力がより高い状態に復元させること。本発明内の多くの使用は、特定の再開された時間期間電流を特定の割合で流すことができる状態に装置を復元させることに関連付けられる。
【0027】
成形型から取り外された:レンズが、成形型から完全に分離されたか、又は軽い振動で取り外すかスワブで押し外すことができるように単に緩く取り付けられていることを意味する。
【0028】
積層された:本明細書で使用されるとき、少なくとも2層の構成要素層を互いに近くに配置して、層のうちの1つの層の1つの面の少なくとも一部分が、第2の層の第1の面と接触するようにすることを意味する。幾つかの実施形態では、接着又は他の機能のための膜が2つの層の間に存在し、前記層は前記膜を介して互いに接触する。
【0029】
説明
媒体基材111が埋め込まれたエネルギー付与レンズ100は、エネルギー蓄積手段として電気化学セルや電池などのエネルギー源109と、幾つかの実施形態において、眼用レンズが置かれる環境からのエネルギー源を含む材料の封入及び分離とを含む。
【0030】
幾つかの実施形態では、媒体基材はまた、回路、構成要素、及びエネルギー源109のパターンを含んでもよい。様々な実施形態は、レンズの装着者がパターンを通して見ることになる視覚ゾーン周辺部の周囲に回路、構成要素、及びエネルギー源109のパターンを配置する媒体基材を含むことができるが、他の実施形態は、コンタクトレンズの着用者の視界に悪影響を及ぼさないほどの小さい回路、構成要素、及びエネルギー源109のパターンを含むことができ、したがって、媒体基材は、これらを視覚ゾーン内又は外部に配置することができる。
【0031】
一般に、前述の幾つかの実施形態によれば、媒体基材111は、レンズを製作するために使用する成形型部分に対して所望の位置にエネルギー源を配置する自動化によって、眼用レンズ内に実現される。
【0032】
成形型
図1を参照すると、眼用レンズ用の代表的な成形型装置100の図が、媒体基材111を有するものとして例示されている。本明細書で使用するとき、成形型という用語は、レンズ形成用混合物の反応又は硬化の際に所望の形状の眼用レンズが製造されるように、レンズ形成混合物110を分配することができる、空洞105を有する形態100を含む。本発明の成形型及び成形型組立品100は、複数の「成形型部分」又は「成形型片」101〜102から構成される。成形型部分101〜102を組み合わせて、空洞105を成形型部分101〜102間に形成し、その中にレンズを形成することができるようにすることができる。このような成形型部分101〜102の組み合わせは、分解組み立て可能なものであることが好ましい。レンズが形成されたら、レンズを取り出すために成形型部分101〜102を再び分離することができる。
【0033】
少なくとも1つの成形型部分101〜102は、その表面103〜104の少なくとも一部がレンズ形成用混合物と接触していて、レンズ形成用混合物110の反応又は硬化の際に、表面103〜104が所望の形状及び形態を表面が接触しているレンズ部分にもたらすようになっている。少なくとも1つの他の成形型部分101〜102についても同じである。
【0034】
こうして、例えば、好ましい実施形態においては、成形型組立品100を、2つの部分101〜102、即ち雌型の凹部片(前側片)102と雄型の凸部片(後側片)101(それらの間に空洞が形成されている)から形成する。凹部表面104のレンズ形成用混合物と接触する部分は、成形型組立品100内に作製すべき眼科レンズの前側湾曲部の湾曲を有するとともに、十分に滑らかであり、凹部表面104と接触しているレンズ形成用混合物の重合によって形成された眼科レンズの表面が光学的に許容できるものとなるように形成されている。
【0035】
幾つかの実施形態においては、前側成形型片102はまた、円形の周辺エッジ108と一体でこれを囲む環状フランジを備えることができ、このフランジから、軸線に垂直でフランジ(図示せず)から延びる平面内で延びている。
【0036】
レンズ形成表面は、光学品質表面仕上げを備える表面103〜104を含むことができ、光学品質表面仕上げとは、表面が十分に滑らかで、成型表面に接触しているレンズ形成材料の重合によって作られるレンズ表面が光学的に許容可能であるように形成されていることを示す。更に、幾つかの実施形態では、レンズ形成表面103〜104は、レンズ表面に所望の光学特性を付与するのに必要な幾何学形状を有することができる。所望の光学特性としては、限定することなく、球面、非球面、及び円筒屈折力、波面収差補正、角膜トポグラフィ補正などに加えて、これらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0037】
111に、エネルギー源109が配置されることがある媒体基材が示される。媒体基材111は、エネルギー源109が定置され得る任意の受容材料であってよく、幾つかの実施形態ではまた、回路経路、構成要素、及びエネルギー源の使用に有用な他の態様を含んでもよい。幾つかの実施形態では、媒体基材111は、レンズ形成の際にレンズに組み込むことができる材料の透明な被覆であってもよい。透明な被覆は、例えば、後述のように、顔料、モノマー、又は他の生体適合性材料を含むことができる。更なる実施形態では、挿入物を含んだ媒体を含めることができ、この挿入物は剛性又は成形可能であり得る。幾つかの実施形態では、剛性挿入物は、視覚的特性を提供する視覚領域(視覚補正に利用されるものなど)と、非視覚領域部分とを含み得る。エネルギー源は、挿入物の視覚ゾーン及び非視覚ゾーンの一方、又は両方に定置され得る。更に他の実施形態では、剛性か又は形成可能のいずれかである環状挿入物、又はユーザーがそれを通じて見る視覚ゾーンを迂回する何らかの形状を含み得る。
【0038】
様々な実施形態はまた、媒体基材111をレンズの形成に使用される成形型部分に入れる前に、エネルギー源109を媒体基材111上に配置することを含む。媒体基材111はまた、エネルギー源109により電荷を受け取る1つ又は2つ以上の構成要素を含んでもよい。
【0039】
幾つかの実施形態では、媒体基材111を有するレンズは、剛性の中央の柔軟なスカート部の設計を含む場合があり、中央の剛性光学要素は、大気、並びにそれぞれの前面と後面上の角膜表面と直接接触し、レンズ材料の柔軟なスカート部(典型的にはヒドロゲル材料)は、剛性光学要素の周辺部に取り付けられ、剛性光学素子はまた、得られた眼用レンズにエネルギーと機能を提供する媒体基材として働く。
【0040】
幾つかの追加の実施形態は、ヒドロゲルマトリックス内に完全に封入された剛性レンズ挿入物である、媒体基材111を含む。剛性レンズ挿入物である媒体基材111は、例えば、微小射出成形法を使用して製造されてもよい。実施形態は、例えば、直径が約6mm〜10mm、前面半径が約6mm〜10mm、後面半径が約6mm〜10mm、中心厚さが約0.050mm〜0.5mmのポリ(4−メチルペンテン−1)コポリマー樹脂を含み得る。幾つかの代表的な実施形態は、約8.9mmの直径、約7.9mmの前面半径、約7.8mmの後面半径、及び約0.100mmの中心厚さ、及び約0.050半径の縁部輪郭の挿入物を含む。1つの代表的なマイクロ鋳造機には、Battenfield Inc.により提供されるMicrosystem 50 5トンシステムを挙げることができる。
【0041】
媒体基材は、眼用レンズを形成するために利用される成形型部分101〜102の中に配置することができる。
【0042】
成形型部分101〜102の材料には、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、及び変性ポリオレフィンのうちの、1つ又は2つ以上のポリオレフィンを挙げることができる。その他の成形型には、セラミック又は金属材料を挙げることも可能である。
【0043】
好ましい脂環式コポリマーは、2種の異なる脂環式ポリマーを含み、Zeon Chemicals L.P.によってZEONORの商品名で販売される。ZEONORには、複数の異なる等級がある。種々の等級は、105℃〜160℃のガラス転移温度を有してもよい。特に好ましい材料は、ZEONOR 1060Rである。
【0044】
1つ又は2つ以上の添加剤と組み合わせて、眼用レンズの成形型を形成し得る他の成形型材料には、例えば、ジーグラナッタ(Zieglar-Natta)ポリプロピレン樹脂(しばしばznPPと称される)が含まれる。1つの代表的なZieglar−Nattaポリプロピレン樹脂が、PP 9544 MEDの名前で入手可能である。PP 9544 MEDは、FDA regulation 21 CFR(c)3.2により清浄成形のための透明化ランダムコポリマーであり、ExxonMobile Chemical Companyにより入手可能である。PP 9544 MEDは、エチレン基(以降9544 MED)を有するランダムコポリマー(znPP)である。他の代表的なZieglar−Nattaポリプロピレン樹脂としては、Atofinaポリプロピレン3761及びAtofinaポリプロピレン3620WZが挙げられる。
【0045】
更にまた、幾つかの実施形態においては、本発明の成形型には、ポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、主鎖に脂環式部分を含む変性ポリオレフィン、及び環状ポリオレフィンが含まれる場合もある。このブレンドを、成形型半片の一方又は両方の上に用いることができる。このブレンドを後側湾曲部の上に用いて前側湾曲部は脂環式コポリマーからなることが好ましい。
【0046】
本発明による成形型100を作る幾つかの好ましい方法では、既知の技術による射出成型を用いるが、実施形態はまた、例えば、旋盤法、ダイヤモンド切削、又はレーザー切断を含む他の技術によって作られる成形型を含むこともできる。
【0047】
積層された機能化層挿入物
次に図2を参照すると、積層された機能化層挿入物として形成された媒体基材111の一実施形態の例示的な設計が示される。本発明は、前述の技術と一致する方式利用され眼用レンズに形成されることができる媒体基材を作製し形成する新規の方法に関する。記述を分かりやすくし、かつ請求する発明の範囲を限定しないようにするため、光学レンズ領域211を有する完全環状リングを備える例示的な媒体基材210を示し説明する。本明細書に記載される発明的技術は、種々の媒体基材に関して概略的に述べられた種々の形状及び実施形態と類似の用途を有することは、当業者に明らかなことがある。
【0048】
次に図3を参照すると、要素210のタイプの積層媒体基材を使用する完全形成された眼用レンズの実施形態が、要素300として示される。この表示は、装置の内部に存在する異なる層が理解できるように眼用レンズからの部分切欠き図を示している。要素320は、本体材料を媒体基材の封入層の断面で示す。この要素は、要素210のタイプの挿入物を想起できるように、眼用レンズの周囲全体を取り囲む。実際の挿入物が、完全な環状リング、又は典型的な眼用レンズのサイズの制約の範囲内にあることができる他の形状を含んでもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0049】
要素330、331及び332は、機能化層のスタックとして形成された媒体基材内に見ることができる多数の層のうちの3つを示すものである。幾つかの実施形態では、単一の層が、特定の目的に合致する構造的特性、電気的特性又は物理的特性を有する、能動的及び受動的構成要素並びに諸部分のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。
【0050】
幾つかの実施形態では、層330が、例えば層330内の例えばバッテリ、キャパシタ、及びレシーバーのうちの1つ又は2つ以上などのエネルギー付与源を含んでもよい。この場合、要素331は、非限定的な例示的な意味において、眼用レンズの作動シグナルを検出する層内に微小回路を含んでもよい。幾つかの実施形態では、外部供給源から電力を受け取り、バッテリー層330を充電し、レンズが充電環境にない場合に層330からのバッテリ電力の使用を制御することができる電力調整層332を含めることができる。電力調整は、図2に211として示された、媒体基材の中心環状切欠き内に要素310として示された例示的な能動レンズへの信号を制御してもよい。
【0051】
図4は、断面で示された積層された機能層挿入物400の幾つかの実施形態のより綿密な図を示す。幾つかの実施形態では、能動レンズ構成要素450を取り囲みそれに接続する機能化層挿入物420が眼用レンズ410の本体内に埋め込まれている。この例が、眼用レンズ内に配置されることができる埋込み機能の多数の実施形態のうちの1つを示しているに過ぎないことは、当業者に明らかである。
【0052】
挿入物の積層部分内には、多数の層が示されている。幾つかの実施形態では、それら層は複数の半導体べースの層を含んでもよい。例えば、要素440(スタックの最下層)は、種々の機能のための回路が画定された薄いシリコン層であることができる。スタック内には、別の薄いシリコン層が、要素441として見ることができる。非限定的な例では、そのような層は、装置のエネルギー付与機能を有することができる。これらのシリコン層は、幾つかの実施形態では、要素450として示された介在絶縁体層によって互いに電気的に分離される。要素440、450及び441の表面層の互いに重なる部分は、接着剤の薄膜を使用して互いに接着されてもよい。多数の接着剤は、例示的な意味におけるエポキシ能力として、薄いシリコン層を絶縁体に接着し不動態化するのに必要な特性を有してもよいことは当業者に明らかなことがある。
【0053】
複数の積層された層が、付加層442を含んでよく、付加層442は、非限定的な例において、能動レンズ構成要素を活性化し制御することができる回路を備えた薄化シリコン層を含むことができる。前に述べたように、積層された層を互いに電気的に分離しなければならないとき、積層された絶縁体層は、電気的活性層の間に含まれてもよく、この例では、要素451は、積層挿入物の一部分を含むこの絶縁体層を表わしてもよい。本明細書で述べた例の幾つかでは、薄いシリコン層から形成された層について言及した。一般的な技術は、薄い積層された層の材料定義が、非限定的な意味で、他の半導体、金属又は複合層を含む、様々な実施形態に拡張されてもよい。薄い層の機能は電気回路を含んでもよいが、幾つかの例に言及するために、信号受信、エネルギー処理及び蓄積、エネルギー受領などの他の機能を含んでもよい。異なる材料タイプを含む幾つかの実施形態では、様々な接着剤、封入材料、及び積層された層と相互作用する他の材料の選択が必要なことがある。例示的実施形態では、薄いエポキシ樹脂層が、440、441及び442として示された3つのシリコン層を2つの酸化シリコン層450及び451と接着させてもよい。
【0054】
例の幾つかで言及されたように、薄膜化積層化された層は、シリコン層に形成された回路を含んでもよい。そのような層を製造する方法は多数あるが、標準的及び最新技術の半導体処理装置は、一般的な処理工程を使用してシリコンウェハ上に電子回路を形成できる。回路をシリコンウェハ上の適切な位置に形成した後で、ウェハ処理装置を使用して、ウェハを数百ミクロンから50ミクロン以下の厚さに薄くしてもよい。薄膜化した後で、シリコン回路を、眼用レンズや他の用途に適した形状にウェハから切断するか又は「ダイスカット」することができる。後の節で、本明細書に開示される本発明の積層された層の様々な例示的な形状が図6に示される。これらは、後で詳しく言及されるが、「ダイスカットする」操作は、薄い層を、湾曲、円形、環状、直線、又は他のより複雑な形状に切断する様々な技術的選択肢を使用することができる。
【0055】
積層された層が電流の流れと関連した機能を行なうとき、幾つかの実施形態では、積層された層の間に電気接触部を提供しなければならないことがある。半導体実装の一般分野では、積層された層の間のこの電気接続には、ワイヤボンディング、はんだバンプ、スルーシリコンビア、及びワイヤ蒸着方法を含む一般的な解決策がある。ワイヤ蒸着の幾つかの実施形態は、2つの接続パッド間に導電性インクを印刷する印刷方法を使用してもよい。他の実施形態では、ワイヤは、例えばレーザーなどのエネルギー源によって物理的に定義され、気体、液体又は固体化学的中間生成物と相互作用し、エネルギー源が放射する電気接続となることがある。更に他の相互接続を定義する実施形態は、金属膜が様々な手段によって蒸着された前又は後のフォトリソグラフィ処理によるものでよい。
【0056】
本明細書の本発明において、層の1つ又は2つ以上がその外側で電気信号を伝達しなければならない場合は、パッシベーション層と絶縁層で覆われていない金属接点パッドを有してもよい。多くの実施形態において、これらのパッドは、後で積層される層がその領域を覆わない層の周辺部に配置されるであろう。このタイプの実施形態の例では、図4に、相互接続ワイヤ430及び431が、層440、441及び442の周辺領域を電気的に接続するように示されている。電気接続パッドが配置される場所の多数の割付け又は設計、及び種々のパッドを電気的に接続する方法は、当業者には明らかである。更に、様々な回路設計が、接続される電気接続パッドと、接続される他のパッドとの選択によって生じることは明らかである。更に、パッド間のワイヤ相互接続の機能は、電気信号接続、外部ソースからの電気信号受信、電力接続、及び機械的安定化の機能を含む、様々な実施形態で異なってもよい。
【0057】
以上の検討において、非半導体層が、発明的技術における積層された層の1つ又は2つ以上を構成することができることを示した。非半導体層から生じる種々様々な用途があることは明らかなことがある。幾つかの実施形態では、それらの層は、バッテリのようなエネルギー付与源を規定してもよい。このタイプの層は、幾つかの事例では、化学層用の支持基板として働く半導体を有してもよく、他の実施形態では、金属基材又は絶縁基材を有してもよい。他の層は、主に本質的に金属の層によるものでよい。これらの層は、アンテナ、伝熱経路又は他の機能を規定してもよい。本明細書における発明的技術の趣旨の範囲内で有用な応用例を含む半導体及び非半導体層の多数の組み合わせがあってもよい。
【0058】
積層された層の間に電気接続が形成される幾つかの実施形態では、接続が画定された後で電気接続が密封されなければならない。本明細書の技術とマッチする多数の方法がある。例えば、種々の積層された層を保持するために使用されるエポキシ又はその他の接着材料が、電気相互接続を有する領域に再適用されてもよい。更に、パッシベーション膜は、幾つかの実施形態では、相互接続に使用される領域を封入するために装置全体に渡って蒸着されてもよい。積層された層装置並びにその相互接続及び相互接続領域を保護し、強化し、密封するために多数の封入及密封方式が、この技術の範囲内で有用なことがあることは、当業者に明らかであろう。
【0059】
積層された機能化層挿入部の組み立て
図5に進むと、要素500(即ち、積層された機能化層)を組み立てる例示的装置の拡大図が示される。この例では、積層された層が層の両側で位置が合っていない積層技術が示される。この場合も、要素440、441及び442は、シリコン層でよい。図5の右側で、要素440、441及び442の右側の縁が、代替実施形態と同じように、互いに位置が合っていないことが分かる。そのような積層手法により、挿入物は、眼用レンズの一般断面と類似の三次元形状をとることができる。また幾つかの実施形態では、そのような積層手法は、層をできるだけ大きい表面領域から作製できるようにすることがある。エネルギー蓄積及び回路用の機能層では、そのような表面領域の最大化は重要なことがある。
【0060】
一般に、前述の積層された挿入物の機構の多くは、図5では、積層された機能層440、441及び442、積層された絶縁層450及び451、並びに相互接続430及び431を含むように示され、相互接続はスルーシリコンビアを含んでもよい。更に、支持ジグ(要素510)は、組み立てられるときに積層された機能化層挿入物を支持するように示される。要素510の表面輪郭が、上に作成された挿入物の三次元形状を変化させる多数の形状をとってもよいことは明らかなことがある。
【0061】
一般に、ジグ510は、所定の形状を備えていてよい。ジグ510は、幾つかの目的のため、様々な層(要素520)で被覆されていてもよい。非限定的な例示の意味で、その被覆は第一に、眼用レンズの基礎材料内に挿入物を容易に組み込めるようにするポリマー層を含んでもよく、また幾つかの実施形態ではポリシリコーン材料から形成されてもよい。次に、エポキシ被覆が、ポリシリコーン被覆上に接着されて、一番下の薄い機能層440が被覆520に接着されてもよい。次に、絶縁層450の底面が、類似のエポキシ被覆で被覆され、次にジグ上の適切な位置に入れられてもよい。幾つかの実施形態において、ジグが、装置を組み立てるときに積層された層を互いに適正な配置に位置合わせする機能を有することは明らかである。繰り返し方式で、挿入物の残りの部分が組み立てられ、相互接続が規定され、次に挿入物が封入されてもよい。幾つかの実施形態では、次に、封入された挿入物が、ポリシリコーン被覆によって上面から被覆されてもよい。要素520にポリシリコーン被覆を使用する幾つかの実施形態では、組み立てられた挿入物が、ポリシリコーン被覆の水和によってジグ510から分離されてもよい。
【0062】
ジグ510は、多数の材料から形成されてもよい。幾つかの実施形態では、ジグは、標準コンタクトレンズの製造において成型部品を作成するために使用される類似の材料から形成され作製されてもよい。そのような使用は、様々な挿入物形状及び設計用の種々のジグタイプの柔軟な形成を支援することができる。他の実施形態では、ジグは、様々な層を互いに接着させるために使用される化学混合物に、材料自体の能力で接着しないか特殊な被覆により接着しない材料から形成されてもよい。そのようなジグを構成する多数の選択肢が存在することあることは明らかである。
【0063】
要素510として示されたジグの別の態様は、要素510の形状が層を物理的に支持することである。幾つかの実施形態では、層の間の相互接続は、ワイヤボンディング接続によって形成されてもよい。ワイヤボンディングの工程では、良好な結合を確実に形成するために大きな力が印加される。そのように結合する際の層の構造的支持は重要であり、支持ジグ510によって行われ得る。
【0064】
更に、要素510として示されたジグの更に別の機能は、ジグがその上に位置合わせ機構を有してもよいことであり、機能化層の一部分の位置合わせを、両方を互いに対して表面に沿って直線的に及び半径方向に両方を合わせるようにすることである。幾つかの実施形態では、ジグは、機能層の方位角を中心点のまわりに互いに合わせるようにするすることを可能にする。作製される挿入物の最終形状に関係なく、組み立てジグは、挿入物の塊がその機能及び適正な相互接続関して適切に位置合わせするのに役立つことができることは明らかである。
【0065】
図6に進み、積層挿入物の形状に関するより一般的な検討を行うことができる。当該技術と一致する形状の一般論の部分において、幾つかの形状変化サンプルが示される。例えば、要素610は、実質的に円形の層部分から形成された積層された挿入物の平面図を示す。幾つかの実施形態では、斜交網目611で示された領域は、層材料が除去された環状領域でよい。しかしながら、他の実施形態では、挿入物を形成するために使用される積層された層の部分が、環状領域のない円盤でよいことは明らかである。そのような非環状の挿入物形状は、眼科用途では有用性が限られる場合があるが、本明細書の発明的技術の趣旨は、内部環の存在によって限定されるものではない。
【0066】
要素620は、幾つかの実施形態において、積層された機能層挿入物の様々な実施形態を示すことができる。要素621に示されたように、幾つかの実施形態において、層部分は、積層方向だけでなく、積層方向に垂直な方位角方向のまわりに分離してもよい。幾つかの実施形態では、挿入物を形成するために半円形部分が使用されてもよい。環状領域を有する形状における部分的形状は、層材料がその機能に形成された後で「ダイスカットされる」か切断されなければならない材料の量を減らすのに有用であり得ることが明らかである。
【0067】
更に、要素630は、非放射状、非楕円、及び非円形の挿入物形状が画定されてもよいことを示す。要素630に示されたように、直線形状に形成されてもよく、要素640のように他の多角形でもよい。三次元的視点では、角錐、円錐及びその他の幾何学的形状が、挿入物を形成するために使用される個々の層部分の様々な形状から得られてもよい。より一般的な意味で、機能性、エネルギー付与、活性化などと共に作製することができる形状のより一般的な事例を考察するために、様々な形状品が、形状又は製品に形成され得ることは当業者に明らかである。
【0068】
結論
本発明は、前述のように、また以下の請求項によって更に定義されるように、積層された機能層挿入部のための装置及び方法、そのような方法を実施するための装置、並びに積層された層を含んで形成された眼用レンズを提供する。
【0069】
〔実施の態様〕
(1) 眼用レンズ用の媒体基材を形成する方法であって、
電気的機能を備えた基材層を形成する工程と、
前記基材層を、円形環状形状物と環状形状物の一部分とのうちの一方に組み立てる工程と、
前記基材機能層を絶縁層に接着し、それにより積層された機構を形成する工程と、
前記基材層の間に電気相互接続を形成する工程と、
前記積層された機構を、成型眼用レンズの本体内に接合されてもよい1つ又は2つ以上の材料で封入する工程とを含む、方法。
(2) 前記媒体基材の前記層の少なくとも1つが、ソリッドステートエネルギー源を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記媒体基材が、環状形状物を含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記媒体基材が、シリコン基材を含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記媒体基材に可変焦点レンズを固定する工程を更に含む、実施態様2に記載の方法。
【0070】
(6) 基材機能層上に集積回路を形成する工程を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(7) 少なくとも1つの基材機能層内にスルーシリコンビアを形成する工程を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 複数の基材機能層を眼用レンズの一般断面を含む三次元形状物に積層する工程を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(9) 眼用レンズ用の積層された機能化媒体基材であって、
円形環に形成された第1の薄いシリコン層と、
前記第1の薄いシリコン層の第1の面上の第1の接着膜と、
前記第1の層より小さい外半径を有する円形環に成形された第2の薄いシリコン層とを含む、積層された機能化媒体基材。
(10) 前記第1の薄いシリコン層が、その第1の面の近くに電子回路と共に半導体基材を有する、実施態様9に記載の積層された機能化層挿入物。
【0071】
(11) 前記第2の薄い層が、電気化学エネルギーを付与する構成要素(electrochemical energizing component)を含む層を有する基材を含む、実施態様9に記載の積層された機能化媒体基材。
(12) 前記挿入物が、ポリシリコーン系ポリマー内に封入された、実施態様9に記載の積層された機能化媒体基材。
(13) 眼用レンズであって、
円形環に成形された第1の薄いシリコン層と、
前記第1の薄いシリコン層の第1の面上の第1の接着膜と、
前記第1の層より小さい外半径を有する円形環に成形された第2の薄いシリコン層と、
前記媒体基材が埋め込まれたポリマーレンズ形態とを有する、眼用レンズ。
(14) 1つ又は2つ以上の電気化学セルを含む少なくとも1つの層を更に含む、実施態様13に記載の眼用レンズ。
(15) 前記電気化学セルからの電流フローを制御することができる半導体電子回路を含む少なくとも1つの層を更に含む、実施態様14に記載の眼用レンズ。
【0072】
(16) 前記電子回路が、前記レンズ内の電気活性レンズ構成要素に電気的に接続された、実施態様15に記載の眼用レンズ。
(17) アンテナとして機能することができる金属層を更に含む、実施態様16に記載の眼用レンズ。
図1A
図2
図3
図4
図5
図6