特許第6246612号(P6246612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246612
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20171204BHJP
   F16H 19/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F16H25/20 F
   F16H19/02 F
   F16H19/02 K
   F16H19/02 D
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-27126(P2014-27126)
(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2015-152110(P2015-152110A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】川内 基範
(72)【発明者】
【氏名】江頭 賢治
(72)【発明者】
【氏名】川田 晃司
【審査官】 高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−004490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/20
F16H 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる回転軸が回転駆動力を受けて回転することで移動体を前記回転軸に沿って前記軸方向に移動させるアクチュエータであって、
前記回転軸を支持するM個(ただし、Mは2以上の整数)のサポートと、
M個の減速機と
前記回転軸を支持するアクチュエータ本体と、
前記M個のサポートのうちの第1番目サポートと前記M個の減速機のうちの第1番目減速機とを含む第1番目装置と、
前記M個のサポートのうちの第N番目(ただし、Nは、2からMまでの整数)サポートと前記M個の減速機のうちの第N番目減速機とを含む第N番目装置とを備え、
前記第N番目サポートは(N−1)番目サポートに対して前記移動体とは反対側に位置し、
前記第1番目減速機は前記移動体と前記第1番目サポートとに接続され、前記移動体の前記軸方向の動きが入力される入力部と、減速した駆動力を前記第1番目サポートに出力する出力部とを有し、前記入力部の軸方向移動速度と前記出力部の軸方向移動速度との中間の移動速度で前記第1番目サポートを駆動する減速比を有し、
前記第N番目減速機は前記第(N−1)番目サポートと前記第N番目サポートとに接続されて前記第(N−1)番目サポートの前記軸方向の動きが入力される入力部と、減速した駆動力を前記第N番目サポートに出力する出力部とを有し、前記入力部の軸方向移動速度と前記出力部の軸方向移動速度との中間の移動速度で前記第N番目サポートを駆動する減速比を有し、
前記第M番目減速機の前記出力部は前記アクチュエータ本体に接続される
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
請求項に記載のアクチュエータであって、
前記第1番目装置ないし前記第M番目装置の各々では、前記入力部および前記出力部は前記軸方向に移動可能に構成され、
前記第N番目減速機の前記入力部は前記第(N−1)番目装置に接続され、
前記第(N−1)番目減速機の前記出力部は前記第N番目装置に接続されるアクチュエータ。
【請求項3】
軸方向に延びる回転軸が回転駆動力を受けて回転することで移動体を前記回転軸に沿って前記軸方向に移動させるアクチュエータであって、
アクチュエータ本体と、
前記回転軸を支持するサポートおよび前記サポートを保持するユニットを有する複数の共振抑制機構とを備え、
前記複数のユニットは前記軸方向と直交する配列方向に配列され、
前記複数のユニットの各々は、前記軸方向と平行な移動方向に延びた形状を有するとともに前記サポートを保持しながら前記アクチュエータ本体に対して前記移動方向に往復自在なユニット本体と、前記移動方向に互いに離間して前記ユニット本体に対して回転自在に設けられる一対の回転部材と、前記一対の回転部材間に掛架される無端状索体とを有し、
前記複数のユニットのうち、前記配列方向における最上流のユニットでは前記一対の回転部材に対して前記配列方向の上流側で前記無端状索体の一部が前記アクチュエータ本体に固定されるとともに、前記配列方向の最下流のユニットでは前記一対の回転部材に対して前記配列方向の下流側で前記無端状索体の一部が前記移動体と連結され、
前記配列方向において互いに隣接する2つの前記ユニットのうち、前記配列方向における上流側のユニットでは前記一対の回転部材に対して前記配列方向の下流側で前記無端状索体の一部が前記配列方向における下流側のユニットの前記ユニット本体に連結されるとともに、前記配列方向における下流側のユニットでは前記一対の回転部材に対して前記配列方向の上流側で前記無端状索体の一部が前記配列方向における上流側のユニットの前記ユニット本体に連結される
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項に記載のアクチュエータであって、
前記共振抑制機構を2個有し、
前記ユニットとして、前記最上流のユニットおよび前記最下流のユニットが設けられ、
前記最上流のユニットでは前記一対の回転部材に対して前記配列方向の下流側で前記無端状索体の一部が前記最下流のユニットの前記ユニット本体に連結されるとともに、前記最下流のユニットでは前記一対の回転部材に対して前記配列方向の上流側で前記無端状索体の一部が前記最上流のユニットの前記ユニット本体に連結されるアクチュエータ。
【請求項5】
請求項に記載のアクチュエータであって、
前記共振抑制機構を3個有し、
前記ユニットとして、前記最上流のユニット、前記最下流のユニット、ならびに前記配列方向において前記最上流のユニットおよび前記最下流のユニットに挟まれて配置される中間のユニットが設けられ、
前記最上流のユニットでは前記一対の回転部材に対して前記配列方向の下流側で前記無端状索体の一部が前記中間のユニットの前記ユニット本体に連結され、
前記中間のユニットでは前記一対の回転部材に対して前記配列方向の上流側で前記無端状索体の一部が前記最上流のユニットの前記ユニット本体に連結されるとともに前記一対の回転部材に対して前記配列方向の下流側で前記無端状索体の一部が前記最下流のユニットの前記ユニット本体に連結され、
前記最下流のユニットでは前記一対の回転部材に対して前記配列方向の上流側で前記無端状索体の一部が前記中間のユニットの前記ユニット本体に連結されるアクチュエータ。
【請求項6】
請求項ないしのいずれか一項に記載のアクチュエータであって、
前記複数の共振抑制機構の各々は、前記サポートとして、前記移動体に対して前記軸方向の上流側で前記回転軸を支持する上流サポートおよび前記移動体に対して前記軸方向の下流側で前記回転軸を支持する下流サポートを有するアクチュエータ。
【請求項7】
請求項ないしのいずれか一項に記載のアクチュエータであって、
前記一対の回転部材を構成する2つの回転部材の前記移動方向における離間距離は前記複数のユニットの間で同一であるアクチュエータ。
【請求項8】
請求項ないしのいずれか一項に記載のアクチュエータであって、
前記ユニット本体は、前記一対の回転部材を構成する一方の回転部材を回転自在に軸支する第1回転支持部と、他方の回転部材を回転自在に軸支する第2回転支持部とを有し、前記移動方向における前記第1回転支持部および前記第2回転支持部の間隔が調整可能となっているアクチュエータ。
【請求項9】
請求項に記載のアクチュエータであって、
前記ユニット本体は、前記第1回転支持部および前記第2回転支持部を連結する連結部を有し、前記第1回転支持部は前記連結部に対して前記移動方向に移動自在に取り付けられる一方、前記第2回転支持部は前記連結部に対して固定的に取り付けられるアクチュエータ。
【請求項10】
請求項またはに記載のアクチュエータであって、
前記第1回転支持部および前記第2回転支持部の間隔の調整によって前記無端状索体の張力が調整されるアクチュエータ。
【請求項11】
請求項ないし10のいずれか一項に記載のアクチュエータであって、
前記アクチュエータ本体はベース部を有し、
前記移動体は前記軸方向および前記配列方向と直交する高さ方向に前記ベース部から離間した状態で移動自在に設けられ、
前記複数のユニットは前記高さ方向において前記回転軸と前記ベース部の間に配置されるアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸方向に延びる回転軸に取り付けられた移動体を、回転軸の回転に応じて軸方向へ移動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、両端が軸受部材により軸支されたボールネジ等の送りネジに送りナットを螺合させるとともに当該送りナットにスライダを取り付けて、送りナットおよびスライダを移動体として送りネジの回転に応じて送りネジの軸方向へ移動させるアクチュエータが広く用いられている。かかるアクチュエータでは、送りネジの回転数(1秒あたりの回転数)が送りネジの固有振動数に一致すると、送りネジが共振して、騒音や送りネジの破損といった問題が生じるおそれがあることが知られている。そこで、特許文献1に記載の発明では、サポートブラケットによって送りネジを支持しながらスライダの移動に連動してスライダの移動速度の半分の速度でサポートブラケットを移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3221804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の発明では、一方の軸受部材と送りナットとの間、ならびに他方の軸受部材と送りナットとの間で送りネジを支持するサポートブラケットの数はそれぞれ1つであり、送りネジの固有振動数を高めて許容回転数を増大させる効果にも一定の限界がある。そのため、スライダの移動ストロークが長くなるにしたがって、送りネジの回転数を抑えてアクチュエータを駆動する必要がある。そのため、当該アクチュエータを例えばロボットなどの産業機器の駆動源として用いる場合には、動作速度を落とさざるを得ない場合がある。
【0005】
ここで、送りネジの回転数を高く維持するためには軸受部材と送りナットとの間に介在するサポートブラケットの数を増やすのが望ましい。しかしながら、特許文献1では、一対のサポートブラケットをスライダの移動に連動させて1/2の速度で移動させる機構(以下「連動機構」という)については開示されているものの、サポートブラケットの個数をさらに増大させた上で全サポートブラケットを合理的に移動させる機構については一切記載されていない。
【0006】
仮に、特許文献1に記載された発明の思想の延長線上でサポートブラケットの数を2倍にしようとする場合、スライダの1/2より速い速度で移動させる連動機構とスライダの1/2より遅い速度で移動させる連動機構とがそれぞれ必要になり、構造が複雑となる。よって、軸受部材と送りナットとの間に複数のサポートブラケットを介在させたまま、特許文献1に記載の連動機構を用いて複数のサポートブラケットを合理的に移動させることは困難である。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、送りネジ等の回転軸が回転することで移動体を回転軸に沿って軸方向に移動させるアクチュエータにおいて回転軸の共振の抑制を高めることができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1態様は、軸方向に延びる回転軸が回転駆動力を受けて回転することで移動体を回転軸に沿って軸方向に移動させるアクチュエータであって、回転軸を支持するM個(ただし、Mは2以上の整数)のサポートと、M個の減速機と、回転軸を支持するアクチュエータ本体と、M個のサポートのうちの第1番目サポートとM個の減速機のうちの第1番目減速機とを含む第1番目装置と、M個のサポートのうちの第N番目(ただし、Nは、2からMまでの整数)サポートとM個の減速機のうちの第N番目減速機とを含む第N番目装置とを備え、第N番目サポートは(N−1)番目サポートに対して移動体とは反対側に位置し、第1番目減速機は移動体と第1番目サポートとに接続され、移動体の軸方向の動きが入力される入力部と、減速した駆動力を第1番目サポートに出力する出力部とを有し、入力部の軸方向移動速度と出力部の軸方向移動速度との中間の移動速度で第1番目サポートを駆動する減速比を有し、第N番目減速機は第(N−1)番目サポートと第N番目サポートとに接続されて第(N−1)番目サポートの軸方向の動きが入力される入力部と、減速した駆動力を第N番目サポートに出力する出力部とを有し、入力部の軸方向移動速度と出力部の軸方向移動速度との中間の移動速度で第N番目サポートを駆動する減速比を有し、第M番目減速機の出力部はアクチュエータ本体に接続されることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、複数の減速機を連続して接続することで、各減速機における減速比を小さく抑えることができ、構造を簡素化することができる。このため、サポートの数を容易に増やすことができる。これによって、サポートが複数設けられたことで回転軸の共振を効果的に抑制することができる。
【0010】
また、この発明の第2態様は、軸方向に延びる回転軸が回転駆動力を受けて回転することで移動体を回転軸に沿って軸方向に移動させるアクチュエータであって、アクチュエータ本体と、回転軸を支持するサポートおよびサポートを保持するユニットを有する複数の共振抑制機構とを備え、複数のユニットは軸方向と直交する配列方向に配列され、複数のユニットの各々は、軸方向と平行な移動方向に延びた形状を有するとともにサポートを保持しながらアクチュエータ本体に対して移動方向に往復自在なユニット本体と、移動方向に互いに離間してユニット本体に対して回転自在に設けられる一対の回転部材と、一対の回転部材間に掛架される無端状索体とを有し、複数のユニットのうち、配列方向における最上流のユニットでは一対の回転部材に対して配列方向の上流側で無端状索体の一部がアクチュエータ本体に固定されるとともに、配列方向の最下流のユニットでは一対の回転部材に対して配列方向の下流側で無端状索体の一部が移動体と連結され、配列方向において互いに隣接する2つのユニットのうち、配列方向における上流側のユニットでは一対の回転部材に対して配列方向の下流側で無端状索体の一部が配列方向における下流側のユニットのユニット本体に連結されるとともに、配列方向における下流側のユニットでは一対の回転部材に対して配列方向の上流側で無端状索体の一部が配列方向における上流側のユニットのユニット本体に連結されることを特徴としている。
【0011】
このように構成された発明では、一対の回転部材が移動方向において互いに離間してユニット本体に対して回転自在に設けられるとともに無端状索体が回転部材間に掛架されてなる、ユニットが複数個、軸方向と直交する配列方向に配列されている。各ユニットでは、ユニット本体はアクチュエータ本体に対して移動方向に往復自在となっており、しかもアクチュエータ本体、複数の無端状索体、複数のユニット本体および移動体が上記した接続関係で接続されている。このため、後で詳述するように移動体の軸方向への移動に伴って回転部材の回転動作およびユニット本体の移動動作が連動して実行され、各共振抑制機構ではユニット本体で保持されるサポートが回転軸を支持しながら移動体の移動に連動して軸方向に移動して回転軸の共振を抑制する。したがって、共振抑制機構が複数設けられたことで回転軸の共振を効果的に抑制することができる。
【0012】
また、各ユニットの基本構成は同一であり、共振抑制機構を増やした場合にも、上記接続関係を成立させることで共振抑制機構の増加に容易に対応することができる。例えば2個の共振抑制機構を設ける場合、最上流のユニットでは一対の回転部材に対して配列方向の下流側で無端状索体の一部を最下流のユニットのユニット本体に連結するとともに、最下流のユニットでは一対の回転部材に対して配列方向の上流側で無端状索体の一部を最上流のユニットのユニット本体に連結すればよい。また、共振抑制機構をさらに1個増やす場合には、配列方向において最上流のユニットと最下流のユニットとの間に中間のユニットを1つ追加し、最上流のユニットでは一対の回転部材に対して配列方向の下流側で無端状索体の一部を中間のユニットのユニット本体に連結し、中間のユニットでは一対の回転部材に対して配列方向の上流側で無端状索体の一部を最上流のユニットのユニット本体に連結するとともに一対の回転部材に対して配列方向の下流側で無端状索体の一部を最下流のユニットのユニット本体に連結し、最下流のユニットでは一対の回転部材に対して配列方向の上流側で無端状索体の一部を中間のユニットのユニット本体に連結すればよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、簡素な構造でサポートの数を容易に増やすことができ、これらのサポートが回転軸を支持したまま回転軸に沿って移動し、回転軸の支持スパンが短くなる。その結果、回転軸の共振が発生する回転数を引き上げることができ、回転軸の共振の抑制を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を適用したアクチュエータの第1実施形態を示す斜視図である。
図2図1中のA−A線矢視図である。
図3】ユニットの構成を示す図である。
図4】ユニット本体の構成の一部を示す部分斜視図である。
図5】第2ガイド機構へのユニット本体の取り付け状態を示す部分切欠図である。
図6】ユニットと移動体との接続関係を示す部分斜視図である。
図7】ユニット、アクチュエータ本体および移動体の接続関係および動作を模式的に示す図である。
図8】本発明を適用したアクチュエータの第2実施形態を示す斜視図である。
図9図8中のB−B線矢視図である。
図10】ユニット、アクチュエータ本体および移動体の接続関係を模式的に示す図である。
図11】固定金具の変形例を模式的に示す図である。
図12】ユニット本体の変形例を模式的に示す図である。
図13】本発明を適用したアクチュエータの第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明を適用したアクチュエータの第1実施形態を示す斜視図である。図2図1中のA−A線矢視図である。なお、両図および以下の図では、アクチュエータの長手方向をX方向とし、アクチュエータの幅方向をY方向(X方向に直交する)とし、アクチュエータの高さ方向をZ方向(X方向およびY方向に直交する)とするXYZ直交座標軸を適宜示す。また、各座標軸の矢印側を正側と適宜称し、各座標軸の矢印の反対側を負側と適宜称する。
【0016】
このアクチュエータ1は、単一の回転軸2と、回転軸2の回転に伴って移動する移動体3とを備えた単軸ロボットである。アクチュエータ1は、例えばステンレス鋼等の合金鋼あるいはアルミニウム等の金属(軽金属)で構成されたアクチュエータ本体10を備える。アクチュエータ本体10はX方向に延びる長尺プレート形状を有するベース部で構成されている。そして、アクチュエータ本体10の上面に回転軸2やモーターMをはじめとするアクチュエータ1の各構成部品が取り付けられている。
【0017】
この回転軸2はX方向に平行な軸方向へ直線状に延びるボールネジなどの送りネジであり、アクチュエータ本体10の上面においてY方向の中央に配置されている。また、アクチュエータ本体10の上面では、軸受部材4U、4Dが互いにX方向に離間して固定され、それぞれ回転軸2のX方向の上流側端部および下流側端部を軸支している。このため、回転軸2はアクチュエータ本体10の上面から高さ方向Zに所定距離だけ離間した状態で回転自在に保持されている。
【0018】
この回転軸2のX方向の下流側端部に対し、モーターMの回転駆動軸(図示省略)がカップリング(図示省略)を介して接続されている。このため、アクチュエータ1に与えられる駆動信号に応じてモーターMが作動すると、モーターMで発生する回転駆動力が回転軸2のX方向の下流側端部、つまり(+X)方向側端部に与えられ、回転軸2が軸方向Xに延びる回転中心線の周りで回転する。
【0019】
この回転軸2には雄ネジが形成されており、回転軸2に対して送りナット31が螺合されるとともに、当該送りナット31に対してスライダ32が取り付けられている。このため、回転軸2の回転に伴って送りナット31およびスライダ32が移動体3として一体的に回転軸2に沿ってX方向へ移動する。また、この移動体3の移動を安定的に行うために、第1ガイド機構5がアクチュエータ本体10の上面に設けられている。
【0020】
第1ガイド機構5は、レール固定台511、512と、2本のガイドレール521、522と、移動体用スライダ531、532と、サポート用スライダ54U、54D、55U、55Dとを有している。回転軸2に対して幅方向Yの上流側、つまり(−Y)方向側では、X方向に延びるレール固定台511がアクチュエータ本体10の上面に固定され、さらに当該レール固定台511上でガイドレール521がX方向に延設されている。そして、図1に示すように、ガイドレール521に対してモーターM側からサポート用スライダ54D、移動体用スライダ531およびサポート用スライダ54UがX方向に摺動自在に取り付けられている。一方、回転軸2に対して(+Y)方向側においても、(−Y)方向側と同様に、レール固定台512がアクチュエータ本体10の上面に固定され、当該レール固定台512上でガイドレール522がX方向に延設され、さらにガイドレール522に対してモーターM側からサポート用スライダ55D、移動体用スライダ532およびサポート用スライダ55UがX方向に摺動自在に取り付けられている。
【0021】
そして、これらのスライダのうち移動体用スライダ531、532に対して移動体3が取り付けられている。より詳しくは、図1に示すように、移動体3を構成するスライダ32の(−Y)側端部および(+Y)側端部がそれぞれ移動体用スライダ531、532の上面に固定されている。そして、いわゆる両持ち状態で第1ガイド機構5に支持されながら、移動体3は第1ガイド機構5にX方向に案内されて往復移動自在となっている。
【0022】
一方、残りのスライダうちサポート用スライダ54U、54Dに対してサポート61U、61Dがそれぞれ取り付けられている。これらのサポート61U、61Dは共振抑制機構6の構成要素であり、移動体3に対してそれぞれ軸方向Xの上流側および下流側に位置している。そして、これら上流サポート61Uおよび下流サポート61Dは、同じく共振抑制機構6の構成要素であるユニット62に保持された状態でX方向に一体的に移動自在となっている。また、サポート用スライダ55U、55Dに対してサポート71U、71Dがそれぞれ取り付けられている。これらのサポート71U、71Dは共振抑制機構7の構成要素であり、移動体3に対してそれぞれ軸方向Xの上流側および下流側に位置している。そして、これら上流サポート71Uおよび下流サポート71Dは、同じく共振抑制機構7の構成要素であるユニット72に保持された状態でX方向に一体的に移動自在となっている。これらのサポート61U、61D、71U、71Dは特許文献1に記載のサポートブラケットと同様に回転軸2の共振防止のために回転軸2を支持可能に構成されている。なお、これらのサポート61U、61D、71U、71Dの基本構成はいずれも同一であるため、次に図1および図2を参照しつつサポート61Dの構成について説明する一方、その他のサポートについては同一または相当符号を付して構成説明を省略する。
【0023】
このサポート61Dは、フレーム611および軸接触部612を有している。フレーム611は、例えばステンレス鋼等の合金鋼あるいはアルミニウム等の金属(軽金属)で構成され、図1に示すように上方からの平面視で略L字形状を有している。フレーム611では、基端部が上記したようにサポート用スライダ54Dの上面に取り付けられるとともに、当該基端部からY方向に突設した軸対向部の下面に軸接触部612が取り付けられている。
【0024】
軸接触部612は、図2に示すようにX方向の両側から軸対向部にネジ止めされた2個の分割ブッシュ612a、612bにより構成されている。各分割ブッシュ612a、612bは、一対の半円部材で構成されている。各半円部材は例えば樹脂製であり、半円状に切り欠けられた接触部分を有する。こうして対を成す2個の半円部材は接触部分で回転軸2に接触しつつ、Z方向の両側から回転軸2に係合する。このように、軸接触部612は、2個の分割ブッシュ612a、612bそれぞれの接触部分で回転軸2に接触しつつ、回転軸2に沿ってX方向へ移動可能となっている。ちなみに、分割ブッシュ612a、612bと回転軸2の間には若干のクリアランス(遊び)が設けられている。
【0025】
また、サポート61Dは上記したように第1ガイド機構5によってX方向にガイドされながら往復移動自在となっているが、サポート61DのY方向側の下部、つまり分割ブッシュ612bがユニット62に保持されている。なお、サポート61Uも、サポート61Dと同様に構成され、サポート61Dから(−X)方向に離間した位置でユニット62に保持されている。このため、次に説明するようにユニット62が移動体3の移動に連動してX方向に移動すると、サポート61Uおよびサポート61Dは一定の離間距離を維持したままユニット62と一体的にX方向に移動する。また、サポート71D、71Uも、サポート61D、61Uと同様に構成され、ユニット62に続いて説明するようにユニット72に保持されるとともに、移動体3の移動に連動してX方向に移動する。
【0026】
図3はユニットの構成を示す図であり、同図(a)はユニットが第2ガイド機構を介してアクチュエータ本体10に取り付けられた状態を示す一方、同図(b)は取り付け前の状態を示している。また、図4はユニット本体の構成の一部を示す部分斜視図であり、同図(a)は(+Z)方向から見た図であり、同図(b)は(−Z)方向から見た図である。さらに、図5は第2ガイド機構へのユニット本体の取り付け状態を示す部分切欠図である。以下、図2ないし図5を参照しつつユニット62、72の構成について、この順序で説明する。
【0027】
ユニット62は、図3に示しように、X方向に延びる長尺形状のユニット本体621と、方向Xに互いに離間してユニット本体621に対して回転自在に設けられる一対のプーリ622、623と、一対のプーリ622、623間に掛架される無端状のワイヤー624とを有している。ユニット本体621は、プーリ622を回転自在に軸支する第1プーリ支持部621aと、プーリ623を回転自在に軸支する第2プーリ支持部621bと、これらのプーリ支持部621a、621bを連結する連結部621cとを有している。これらの構成部品のうち、プーリ支持部621a、621bは、図2図4および図5に示すように、YZ断面が略逆U字形状を有する長尺部材で構成されている。例えば薄板形状の金属プレートの幅方向Yの両端部を下方に折り曲げたものや樹脂材料を射出成形したものをプーリ支持部621a、621bとして用いることができる。一方、連結部621cは図4(b)に示すようにプーリ支持部621a、621bの裏面側に形成される凹部に入り込むスラブ形状を有しており、金属材料あるいは樹脂材料で形成されている。そして、プーリ支持部621a、621bの凹部に連結部621cを嵌め込んだ状態で複数のネジで連結部621cがプーリ支持部621a、621bと締結されて一体化され、全体としてX方向に延設された長尺形状のユニット本体621が形成されている。
【0028】
また、本実施形態では、プーリ支持部621aには、締結用ネジを挿入するためのネジ穴としてX方向に延びた長穴621dが設けられ、連結部621cに対してプーリ支持部621aをX方向に移動自在に取り付け可能なっている。このため、連結部621cに対するプーリ支持部621aのX方向位置を調整させた上で連結部621cに取り付けることができ、当該位置調整によって第1プーリ支持部621aおよび第2プーリ支持部621bの間隔を調整することができ、その結果、ワイヤー624の張力を調整することが可能となっている。
【0029】
なお、図3中の符号621U、621Dはそれぞれユニット本体621の上流保持部位および下流保持部位を示している。この上流保持部位621Uで移動体3に対して軸方向Xの上流側に位置する上流サポート61Uを保持するとともに、下流保持部位621Dで移動体3に対して軸方向Xの下流側に位置する下流サポート61Dを保持する。また、符号621Mは上流保持部位621Uと下流保持部位621Dとの間に位置するユニット本体621の中間部位である。さらに、符号621Tは一対のプーリ622、623で挟まれたユニット本体621の部位であり、ワイヤー624による張力を受ける。そこで、本明細書では、当該部位621Tを「張力作用部位」と称する。
【0030】
ユニット72は、図3に示すように、第2プーリ支持部721bの長さがユニット62のそれに比べて短い点を除き、ユニット62と同一である。つまり、ユニット72では、第1プーリ支持部721aと第2プーリ支持部721bとが連結部723によって連結されてX方向に延びる長尺形状のユニット本体721が形成されている。そして、これらのプーリ支持部721a、721bの上面に対してプーリ722、723がそれぞれ回転自在に取り付けられるとともに、これら一対のプーリ722、723間にワイヤー724が掛架されている。また、図3中の符号721U、721D、721M、721Tはそれぞれユニット本体721の上流保持部位、下流保持部位、中間部位および張力作用部位を示している。
【0031】
このように構成されたユニット62、72はY方向に配列された状態でそれぞれ第2ガイド機構8の樹脂スライダ811、812に支持される。この第2ガイド機構8は、図2に示すように、回転軸2とアクチュエータ本体10とに挟まれた空間に設けられている。より詳しくは、第2ガイド機構8は、X方向に延びるガイドレール82がレール固定台511、512に挟まれるようにアクチュエータ本体10の上面に固定されている。このガイドレール82には、2本のガイド溝821、822が上方に開口しながらX方向に延設されている。これらのガイド溝821、822はY方向に配列して設けられており、ガイド溝821はサポート71D、71Uの(−Y)側端部の直下に位置する一方、ガイド溝822はサポート61D、61Uの(+Y)側端部の直下に位置している。
【0032】
各ガイド溝821、822は図2に示すようにY方向における開口寸法が溝内部のよりも狭い形状を有している。一方、樹脂スライダ811、812は、YZ断面が略T字形状を有する長尺部材で構成されており、ガイド溝821、822のX方向端面側からガイド溝821、822に嵌入自在となっている。より詳しくは、樹脂スライダ811、812は、下方端部、中間部および上方端部の3つのパートを有しており、図5に示すように、各パートの寸法はX方向においては同一であるものの、Y方向においては相互に異なっている。すなわち、樹脂スライダ811、812では、下方端部のY方向寸法はガイド溝821、822の溝内部寸法よりも若干狭く、かつ開口寸法よりも広くなっている。また、中間部のY方向寸法はガイド溝821、822の開口寸法よりも狭く、上方端部のY方向寸法はガイド溝821、822の開口寸法よりも広くなっている。そして、上方端部をガイド溝821から上方に突出させるとともに下方端部および中間部をそれぞれガイド溝821の溝内部および開口部に嵌入させた状態で2本の樹脂スライダ811がガイド溝821に嵌入され、当該ガイド溝821に沿ってX方向に摺動自在となっている。また、2本の樹脂スライダ812が、樹脂スライダ811と同様の状態でガイド溝822に嵌入され、当該ガイド溝822に沿ってX方向に摺動自在となっている。したがって、樹脂スライダ811、812はそれぞれガイド溝821、822としっかりと係合してX方向以外の方向への移動を規制された状態でガイド溝821、822に沿ってX方向のみに移動可能となっている。このため、アクチュエータ本体10の下面が水平面上に取り付けられる場合はもちろんのこと、垂直面や天井面に取り付けられる場合であっても、樹脂スライダ811、812はそれぞれガイド溝821、822から外れることなく、ガイド溝821、822にガイドされながら摺動する。
【0033】
そして、このように構成された2本の樹脂スライダ811に対してユニット本体621が取り付けられている。より詳しくは、図3からわかるように、ユニット本体621をプーリ622、623の回転軸の方向、つまりZ方向から見て、一対のプーリ622、623と一直線上に並ぶように、2本の樹脂スライダ811はいずれもユニット本体621の中間部位621Mと接続されてユニット本体621を保持する。これによって、ユニット本体621が自重垂れ、反り、曲がり等により弓形に変形するのを防止することができる。つまり、ユニット本体621のうち上流保持部位621Uおよび下流保持部位621Dはそれぞれサポート61U、61Dと接続されるだけでなく、中間部位621Mも樹脂スライダ811と接続されるため、自重等によるユニット本体621の弓形変形を効果的に防止することができる。
【0034】
また本実施形態では、2本の樹脂スライダ811の一方が、図3(b)に示すように、ユニット本体621の張力作用部位621Tに取り付けられている。このように張力作用部位621Tを樹脂スライダ811の一方と接続してZ方向への変位を規制しているため、ワイヤー624で発生する張力によって張力作用部位621Tが弓形変形するのを効果的に防止することができる。なお、他方はプーリ623の近傍位置に取り付けられている。このユニット本体621は回転軸2の雄ネジ形成領域、つまり移動体3の移動ストロークの約2/3程度の長さを有しており、2つの樹脂スライダ811によってユニット本体621の弓形変形が効果的に防止されつつユニット62およびサポート61D、61Uが一体的にX方向に安定して移動自在となっている。
【0035】
また、2本の樹脂スライダ812に対してユニット本体721が取り付けられている。これらの樹脂スライダ812はいずれも図3(b)に示すようにユニット本体721の中間部位721Mと張力作用部位721Tとの重なり部位でユニット本体721に取り付けられている。このため、ユニット本体621側と同様に、ユニット本体721の弓形変形が効果的に防止される。なお、このユニット本体721はユニット本体621よりも短く、移動体3の移動ストロークの約1/3程度の長さを有しており、樹脂スライダ812によってユニット本体721の弓形変形が効果的に防止されつつユニット72およびサポート71D、71Uが一体的にX方向に安定して移動自在となっている。なお、本実施形態では、ガイドレール82に対して2本のガイド溝821D、821Uを設けているが、ガイドレール82の代わりに1本のガイド溝を形成したガイドレールを2本設けてもよい。この点については、後で説明する実施形態においても同様である。また、本実施形態では、ユニット62、72のいずれについても、2本の樹脂スライダで支持されているが、樹脂スライダの本数はこれに限定されるものではなく、任意である。
【0036】
このようにユニット62、72はそれぞれ独立してX方向に移動可能となっているが、サポート61D、61U、71D、71Uにより回転軸2の共振を効果的に防止するために、移動体3、ユニット62、72およびアクチュエータ本体10は次のように接続されている。以下、図3図6および図7を参照しつつ接続関係および移動体の移動に伴う各部の動作について説明する。
【0037】
図6はユニットと移動体との接続関係を示す部分斜視図である。また図7は、ユニット、アクチュエータ本体および移動体の接続関係および動作を模式的に示す図である。なお、図7において、符号CPはユニット72と移動体3との接続位置を示し、縦方向は時間経過を示し、横方向はX方向における位置を示しており、各点線は(−X)方向への移動体3の移動に応じた各部の動きを示している。特に、点線の傾きは移動速度に相当しており、傾きが急峻になるにしたがって移動速度が遅くなることを示している。
【0038】
図3および図7に示すように、ユニット62、72は軸方向Xと直交する配列方向Yに配列されている。そして、ユニット62では、一対のプーリ622、623に対して配列方向Yの上流側、つまり(−Y)方向側でワイヤー624の一部が固定金具11によってアクチュエータ本体10に固定されている。また、ユニット72では、一対のプーリ722、723に対して配列方向Yの下流側、つまり(+Y)方向側でワイヤー724の一部が図6に示すように連結金具12によって移動体3のスライダ32と連結されている。また、ユニット62、72は互いに隣接しており、配列方向Yにおいて上流側の位置しているユニット62では一対のプーリ622、23に対して配列方向Yの下流側、つまり(+Y)方向側でワイヤー624の一部が連結金具13によってユニット72のユニット本体721に連結されるとともに、ユニット72では一対のプーリ722、723に対して配列方向Yの上流側、つまり(−Y)方向側でワイヤー724の一部が連結金具14によってユニット62のユニット本体621に連結されている。
【0039】
このように構成されたユニット62、72は、回転軸2の回転により移動体3が例えば(−X)方向に移動すると、図7の紙面において一対のプーリ722、723が反時計回りに回転するとともに一対のプーリ622、623がプーリ722、723よりも低回転速度で反時計回りに回転しながら、ユニット62、72はともに移動体3と連動して(−X)方向に移動する。ただし、上記接続関係が構築されているため、図7の点線で示すようにユニット62の移動速度は移動体3の移動速度の1/3となり、ユニット72の移動速度は移動体3の移動速度の2/3となる。それに伴い、ユニット62に保持されたサポート61D、61Uの移動速度も移動体3の移動速度の1/3となり、ユニット72に保持されたサポート71D、71Uの移動速度も移動体3の移動速度の2/3となる。このように、本実施形態ではユニット62、72は減速機として機能する。したがって、図7の「サポートと移動体のスライド」の欄に示すように、移動体3の(−X)方向への移動に伴って、移動体3より上流側(同図の右手側)では回転軸2の上流端部(軸受4U)、サポート61U、71Uおよび移動体3の間隔は徐々に狭まっていく一方で、移動体3より下流側(同図の左手側)では回転軸2の下流端部(軸受4D)、サポート61D、71Dおよび移動体3の間隔は徐々に広がっていく。このような4つのサポート61D、61U、71D、71Uの動きによって回転軸2の共振が効果的に抑制される。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、ユニット本体621は樹脂スライダ811に保持されてガイドレール82に沿って移動自在となっている。そして、ユニット62は、当該ユニット本体621でサポート対(上流サポート61Uおよび下流サポート61D)を保持しながら移動体3の移動に連動してユニット本体621を移動させ、これによってサポート対を軸方向Zに移動させる。
【0041】
このように本実施形態では、ユニット62はサポート対を移動体3の移動と連動して連動させる連動手段のみならず、第1ガイド機構5と異なる位置でサポート対を移動方向Xに案内するガイド手段の一部としても機能する。したがって、コンパクトな構成であり、モーターMに作用する負荷を抑えながらも、優れた駆動効率でサポート対を安定的にガイドしながら移動体3の移動に連動して移動させることができる。また、このような作用効果はサポート対(上流サポート71Uおよび下流サポート71D)およびユニット72側でも同様である。
【0042】
また、移動体3の移動に連動してサポート61U、61D、71U、71Dを移動させるための連動手段として本実施形態では基本構成が同一である2つのユニット62、72を用いるとともにユニット62、72、アクチュエータ本体10および移動体3を上記したように接続している。このような連動手段を用いているため、移動体3の移動に伴うサポート61U、61D、71U、71Dの移動を低エネルギーで円滑に行うことが可能となっている。その結果、モーターMに作用する負荷を抑えることができ、サポートの数が増大しているにもかかわらず、アクチュエータ1の大型化を抑えることができる。
【0043】
また、ユニット62(72)では、第1プーリ支持部621a(721a)および第2プーリ支持部621b(721b)の間隔を調整可能に構成されているため、ワイヤー624(724)の張力を調整することが可能である。このため、ユニット62(72)においてワイヤー624(724)に対して適切な張力が印加されてユニット本体621(721)を良好に移動させることができる。その結果、共振発生の抑制機能を安定して発揮させることができる。
【0044】
また、上記したようにユニット本体621、721の上流保持部位621U、721Uおよび下流保持部位621D、721Dでサポート対を保持するだけでなく、中間部位621M、721Mを樹脂スライダ811、812と接続しているため、ユニット本体621、721の曲がり、反り、自重垂れなどの弓形変形を効果的に防止することができる。その結果、サポート対を移動体3の移動に連動して安定的に移動させることができる。
【0045】
また、樹脂スライダ811は常にガイド溝821としっかりと係合した状態でガイド溝821に沿って移動可能となっている。この点については、ユニット72においても同様である。このため、アクチュエータ1の取付姿勢(水平取付、垂直取付、壁掛け、天吊取付など)を問わず、アクチュエータ1を円滑に動作させることができる。
【0046】
また、ユニット62、72では、プーリ間にワイヤーが掛架されているため、ユニット本体はワイヤーの張力を受けて弓なりに変形し易い。しかしながら、樹脂スライダ811、812が図3(b)に示すようにユニット本体621、721の張力作用部位621T、721Tに取り付けられているため、上記変形を抑制するとともに所望のワイヤー張力を確保してアクチュエータ1を円滑に動作させることができる。
【0047】
また、図2に示すように、回転軸2とアクチュエータ本体10とに挟まれた空間を利用してユニット62、72および第2ガイド機構8を設けている。このため、上記連動手段を設けたにもかかわらず、アクチュエータ1の幅方向Yの寸法が増大するのを防止することができる。
【0048】
図8は本発明を適用したアクチュエータの第2実施形態を示す斜視図である。また、図9図8中のB−B線矢視図である。また、図10は、ユニット、アクチュエータ本体および移動体の接続関係を模式的に示す図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は2点ある。まず第1点目は、共振抑制機構がさらに1個追加されて3個になっている、つまり一対のサポート91U、91Dとユニット92とが追加されている点である。また第2点目は、全サポート61U、61D、71U、71D、91U、91Dおよび移動体3は片持ち状態で第1ガイド機構5によりX方向に移動自在に支持されている。なお、その他の構成は基本的に同一であるため、以下においては相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
第1ガイド機構5では、回転軸2に対して幅方向Yの上流側、つまり(−Y)方向側では、X方向に延びるレール固定台511がアクチュエータ本体10の上面に固定され、さらに当該レール固定台511上でガイドレール521がX方向に延設されている。そして、図8に示すように、ガイドレール521に対してモーターM側からサポート用スライダ56D、57D、58D、移動体用スライダ(図示省略)およびサポート用スライダ58U、57U、56UがX方向に摺動自在に取り付けられている。
【0050】
そして、図8に示すように、これらのスライダのうち移動体用スライダに対して移動体3の(−Y)方向側端部が取り付けられ、移動体3は、いわゆる片持ち状態で支持されながら第1ガイド機構5にX方向に案内されながら往復移動自在となっている。一方、残りのスライダうちサポート用スライダ56D、57D、58D、58U、57U、56Uに対してサポート61D、91D、71D、71U、91U、61Uがそれぞれ取り付けられている。これらのうちサポート91U、91Dは共振抑制機構9の構成要素であり、移動体3に対してそれぞれ軸方向Xの上流側および下流側に位置している。そして、これら上流サポート91Uおよび下流サポート91Dはユニット92に保持された状態でX方向に一体的に移動自在となっている。なお、サポート91U、91Dはサポート61U、61D、71U、71Dと同様に回転軸2を支持可能に構成されており、その基本構成はいずれもサポート61U、61D、71U、71Dと同一である。
【0051】
共振抑制機構9のもう一方の構成要素であるユニット92は、ユニット本体921のX方向の長さがユニット62のそれよりも短く、ユニット72のそれよりも長い点を除き、ユニット62、72と基本的に同一である。すなわち、ユニット92は、X方向に延びる長尺形状のユニット本体921と、方向Xに互いに離間してユニット本体921に対して回転自在に設けられる一対のプーリ922、923(図10)と、一対のプーリ922、923間に掛架されるワイヤー924(図10)とを有している。
【0052】
そして、ユニット92はY方向においてユニット62、72により挟まれるように配置されており、ユニット62、92、72はY方向に配列された状態でそれぞれ第2ガイド機構8の樹脂スライダ811、813、812に支持される。この第2実施形態においても、第2ガイド機構8は、図9に示すように、これらのユニット62、72、92は回転軸2とアクチュエータ本体10とに挟まれた空間に設けられている。より詳しくは、第2ガイド機構8は、X方向に延びるガイドレール82が回転軸2の下方でアクチュエータ本体10の上面に固定されている。このガイドレール82には、3本のガイド溝821、823、822がX方向に延設されている。これらのガイド溝821、823、822はY方向に配列して設けられており、ガイド溝821はサポート61D、61Uの(+Y)側端部の直下に位置し、ガイド溝822はサポート71D、71Uの(+Y)側端部の直下に位置し、ガイド溝823はサポート91D、91Uの(+Y)側端部の直下に位置している。なお、各ガイド溝821、823、822の構造および樹脂スライダ811、813、812との係合状態は第1実施形態のそれと同一である。
【0053】
そして、2本の樹脂スライダ811に対してユニット本体621が取り付けられている。このユニット本体621は回転軸2の雄ネジ形成領域、つまり移動体3の移動ストロークの約3/4程度の長さを有しており、X方向上流端部およびX方向下方端部の上面にサポート61U、61Dがそれぞれ固定されている。そして、樹脂スライダ811によってユニット62およびサポート61D、61Uが一体的にX方向に移動自在となっている。また、2本の樹脂スライダ813に対してユニット本体921が取り付けられている。このユニット本体921はユニット本体621よりも短く、移動体3の移動ストロークの約2/4(=1/2)程度の長さを有しており、ユニット本体921の上流保持部位(図示省略)および下流保持部位(図示省略)の上面にサポート91U、91Dがそれぞれ固定されている。このユニット本体921の中間部位(図示省略)は樹脂スライダ813で保持され、当該樹脂スライダ813によってユニット92およびサポート91D、91Uが一体的にX方向に移動自在となっている。さらに、2本の樹脂スライダ812に対してユニット本体721が取り付けられている。このユニット本体721はユニット本体921よりもさらに短く、移動体3の移動ストロークの約1/4程度の長さを有しており、X方向上流端部およびX方向下方端部の上面にサポート71U、71Dがそれぞれ固定されている。そして、樹脂スライダ812によってユニット72およびサポート71D、71Uが一体的にX方向に移動自在となっている。
【0054】
このようにユニット62、72およびユニット92はそれぞれ独立してX方向に移動可能となっているが、サポート61D、91D、71D、71U、91U、71Uにより回転軸2の共振を効果的に防止するために、移動体3、ユニット62、ユニット92、ユニット72およびアクチュエータ本体10は次のように接続されている。以下、図10を参照しつつ接続関係について説明する。
【0055】
この第2実施形態では、Y方向に配列される3つのユニット62、92、72のうち最も上流側、つまり(−Y)方向側に位置するユニット62では、第1実施形態と同様に、一対のプーリ622、623に対して配列方向Yの上流側、つまり(−Y)方向側でワイヤー624の一部が固定金具11によってアクチュエータ本体10に固定されている。また、最も下流側、つまり(+Y)方向側に位置するユニット72では、第1実施形態と同様に、一対のプーリ722、723に対して配列方向Yの下流側、つまり(+Y)方向側でワイヤー724の一部が連結金具12によって移動体3のスライダ32と連結されている。
【0056】
そして、配列方向Yにおいて互いに隣接する2組、つまりユニット62とユニット92の組み合わせおよびユニット92とユニット72の組み合わせにおいて、図10に示すように連結されている。すなわち、ユニット62およびユニット92は互いに隣接しており、配列方向Yにおいて上流側の位置しているユニット62では一対のプーリ622、623に対して配列方向Yの下流側、つまり(+Y)方向側でワイヤー624の一部が連結金具15によってユニット92のユニット本体921に連結されるとともに、ユニット92では一対のプーリ922、923に対して配列方向Yの上流側、つまり(−Y)方向側でワイヤー924の一部が連結金具16によってユニット62のユニット本体621に連結されている。
【0057】
また、ユニット92、72は互いに隣接しており、配列方向Yにおいて上流側の位置しているユニット92では一対のプーリ922、923に対して配列方向Yの下流側、つまり(+Y)方向側でワイヤー924の一部が連結金具17によってユニット72のユニット本体721に連結されるとともに、ユニット72では一対のプーリ722、723に対して配列方向Yの上流側、つまり(−Y)方向側でワイヤー724の一部が連結金具18によってユニット92のユニット本体921に連結されている。
【0058】
このように構成されたユニット62、92、72は、回転軸2の回転により移動体3が例えば(−X)方向に移動すると、図10の紙面において一対のプーリ722、723が反時計回りに回転し、一対のプーリ922、923がプーリ722、723よりも低回転速度で反時計回りに回転するとともに一対のプーリ622、623がプーリ922、923よりもさらに低回転速度で反時計回りに回転しながら、ユニット62、ユニット92、ユニット72は移動体3と連動して(−X)方向に移動する。ただし、上記接続関係が構築されているため、ユニット62は移動体3の移動速度の1/4となり、ユニット92の移動速度は移動体3の移動速度の2/4(=1/2)となり、ユニット72の移動速度は移動体3の移動速度の3/4となる。それに伴い、ユニット62に保持されたサポート61D、61Uの移動速度も移動体3の移動速度の3/4となり、ユニット92に保持されたサポート91D、91Uの移動速度も移動体3の移動速度の2/4(=1/2)となり、ユニット72に保持されたサポート71D、71Uの移動速度も移動体3の移動速度の3/4となる。このように、本実施形態ではユニット62、92、72は減速機として機能する。したがって、移動体3の例えば(−X)方向への移動に伴って、移動体3より上流側では回転軸2の上流端部(軸受4U)、サポート61U、91U、71Uおよび移動体3の間隔は徐々に狭まっていく一方で、移動体3より下流側では回転軸2の下流端部(軸受4D)、サポート61D、92D、71Dおよび移動体3の間隔は徐々に広がっていく。このような6つのサポート61D、61U、92D、92U、71D、71Uの動きによって回転軸2の共振が効果的に抑制される。
【0059】
以上のように、第2実施形態によれば、第1実施形態よりもサポート対を増設しているため、共振抑制効果をさらに高めることができる。しかも、サポート対を増設したのに伴いユニット92も追加しているが、当該ユニット92は第1実施形態で使用するユニット62、72と同一の基本構成を有するものであり、第1実施形態と同様の接続関係を構築することでサポートを良好に駆動することが可能となっている。なお、共振抑制機構を第1実施形態から2個以上増設する場合も、同一構成を有するユニットを増設するとともに第1実施形態と同様の接続関係を構築すればよい。
【0060】
また、ユニット本体921は樹脂スライダ813に保持されてガイドレール82に沿って移動自在となっている。そして、ユニット92は、当該ユニット本体921でサポート対(上流サポート91Uおよび下流サポート91D)を保持しながら移動体3の移動に連動してユニット本体921を移動させ、これによってサポート対を軸方向Zに移動させる。したがって、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0061】
また、図面への図示を省略しているが、ユニット本体921の上流保持部位および下流保持部位サポート対を保持するだけでなく、中間部位を樹脂スライダ813と接続しているため、ユニット本体921についても曲がり、反り、自重垂れなどの弓形変形を効果的に防止することができる。その結果、サポート対を移動体3の移動に連動して安定的に移動させることができる。
【0062】
また、樹脂スライダ813がユニット本体921の張力作用部位(図示省略)に取り付けられているため、上記弓形変形を抑制するとともに所望のワイヤー張力を確保してアクチュエータ1を円滑に動作させることができる。
【0063】
ところで、上記実施形態では、ユニット62の一部が固定金具11によりアクチュエータ本体10に固定され、またユニット72の一部が連結金具12により移動体3のスライダ32と連結されている。このため、ユニットの移動開始あるいは移動停止時にユニットに衝撃が加わり、アクチュエータ1で振動が生じる可能性がある。また、連結金具13〜18によるユニット間での連結においても同様である。そこで、この衝撃を緩和するために、固定部分や連結部分において、いわゆる遊びを設けてもよい。例えば図11に示すように、固定金具11を本体固定部材111、ワイヤー保持部材112および圧縮バネ113で構成してもよい。この固定金具11では、本体固定部材111の基端部がアクチュエータ本体10に取り付けられている。また、本体固定部材111の基端部からユニット62側に延びる先端部にはユニット62のワイヤー624と平行に棒状突起部が(+X)方向および(−X)方向に突設されている。
【0064】
一方、ワイヤー保持部材112ではワイヤー624を保持する保持部から本体固定部材111に向かって2本の係合部が延設されている。各係合部には貫通孔が設けられており、各貫通孔に対して棒状突起部が貫通して遊挿されている。このため、ワイヤー保持部材112は、2本の係合部の離間間隔の半分程度だけ本体固定部材111に対して移動自在となっているものの、それを超えたX方向移動、ならびにY方向およびZ方向の移動は規制される。また、本体固定部材111の先端部とワイヤー保持部材112の係合部との間で棒状突起部に圧縮バネが外挿されてX方向へ付勢力を与えて衝撃力の緩和を図っている。
【0065】
これらの実施形態では、樹脂スライダ811、812、813が「スライド部材」の一例に相当しており、樹脂材料を使用することでスライド部材の軽量化を図ってモーターMの負荷軽減を図っているが、樹脂材料以外の材料、例えば金属材料により形成されたスライダを「スライド部材」として用いてもよい。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、ユニット本体621、721、921の軽量化と剛性確保の観点からユニット本体のYZ断面を略逆U字形状に仕上げているが、ユニット本体の断面形状はこれに限定されるものではない。例えば図12(a)に示すように略H字形状に仕上げてもよい。また、例えば図12(b)〜(d)に示すように、ユニット本体の内部に中空部を設けてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、図2図9に示すように、複数のプーリは、回転軸がZ方向と平行な姿勢でY方向に配列されているが、プーリの配置姿勢や配列方向については適宜変更可能である。例えば複数のプーリが、回転軸がY方向と平行な姿勢でY方向に配列されてもよい。また、複数のプーリが、回転軸がZ方向と平行な姿勢で高さ方向Zに配列されてもよく、この場合、複数のユニットが高さ方向Zに積層配置された構造となる。
【0068】
また、上記実施形態では、例えば第1実施形態では、ユニット62、72で一のユニット群を構成し、移動体3に連動して4個のサポート61U、61D、71U、71Dを移動させるように構成している。ここで、移動体3の(+Y)方向側に上記一のユニット群を配置するとともに(−Y)方向側に別の一のユニット群を配置してもよく、この場合、全体として4つのユニットにより複数のサポートを移動体3に連動して移動させることとなり、数多くのサポートをより安定的に移動させることができる。もちろん、各ユニット群のユニット数は「2」に限定されるものではなく、3以上であってもよい。
【0069】
また、上記第1実施形態では移動体3の(+Y)方向側および(−Y)方向側の各々に2個のサポートを設けるとともにユニットを2個設けており、本発明の「M」は「2」である。そして、サポート71U、71Dが本発明の「第1番目サポート」に相当する一方、サポート91U、91Dが本発明の「第2番目サポート」に相当している。また、ユニット72、62がそれぞれ本発明の「第1番目減速機」、「第2番目減速機」の一例に相当している。そして、共振抑制機構7、6がそれぞれ本発明の「第1番目装置」および「第2番目装置」に相当している。
【0070】
また、上記第2実施形態では移動体3の(+Y)方向側および(−Y)方向側の各々に3個のサポートを設けるとともにユニットを3個設けており、本発明の「M」は「3」である。そして、サポート71U、71Dが本発明の「第1番目サポート」に相当し、サポート91U、91Dが本発明の「第2番目サポート」に相当し、サポート61U、61Dが本発明の「第3番目サポート」に相当している。また、ユニット72、92、62がそれぞれ本発明の「第1番目減速機」、「第2番目減速機」および「第3番目減速機」の一例に相当している。そして、共振抑制機構7、9、6がそれぞれ本発明の「第1番目装置」、「第2番目装置」および「第3番目装置」に相当している。
【0071】
ここで、値Mの値については、上記した「2」、「3」に限定されるものではなく、4以上であってもよく、要は本発明の「M」を2以上の整数としてもよく、M個のユニットを連続して接続することで、N/(N+1)、(N−1)/(N+1)、…、1/(N+1)の減速比が得られる。
【0072】
また、上記実施形態では、各ユニットでは、本発明の「回転部材」としてプーリを用いるとともに本発明の「無端状索体」としてワイヤーを用いているが、「回転部材」および「無端状索体」の組み合わせはこれに限定されるものではない。例えばスプロケットとチェーンの組み合わせ、プーリとベルトの組み合わせ等が含まれる。
【0073】
また、上記第1実施形態では、ガイドレール82に形成したガイド溝821、822に沿って樹脂スライダ811、812をそれぞれX方向に摺動自在に構成しているが、ガイドレール82の構成についてはこれに限定されるものではなく、例えば図13に示すように略I字形状のYZ断面を有するガイドレール83を用いてもよい(第3実施形態)。この第3実施形態では、樹脂スライダ812の底面中央部にガイドレール83の上部831に嵌合自在な形状の溝812aがX方向に延設されており、樹脂スライダ812がガイドレール83のX方向端面側からガイドレール83の上部831に対して摺動自在に外嵌される。これにより、摺動部分に異物が混入するのを効果的に防止することができ、ユニット72を安定してX方向に移動させることができる。また、同図ではユニット72側のガイド機構のみが図示されているが、第3実施形態では、ユニット62側についても同様の構成を有するガイド機構が設けられ、ユニット62を安定してX方向に移動させることが可能となっている。なお、このようなガイド機構については、第2実施形態やその他の実施形態に適用してもよいことは言うまでもない。
【0074】
また、上記実施形態では、各ユニット本体621,721、921を2つの樹脂スライダで保持しているが、樹脂スライダの個数は「2」に限定されるものではなく、1以上の任意の自然数である。また、樹脂スライダの形状も上記実施形態中のそれに限定されるものではなく、ガイドレールに沿ってスライド自在である限り任意である。
【0075】
また、第1実施形態では、図3に示すようにユニット62では2個の樹脂スライド811のうち一方のみをユニット本体621の張力作用部位621Tに取り付けるのに対し、ユニット72では2個の樹脂スライド812の全部をユニット本体721の張力作用部位721Tに取り付けるが、張力作用部位への樹脂スライダの取り付け個数は1個以上設ければよい。
【0076】
また、上記実施形態では、いずれの共振抑制機構においてもユニット本体で2つのサポートを保持させているが、各共振抑制機構でのサポートの数をこれに限定されるものはなく、任意である。また、共振抑制機構毎にサポートの数を相違させてもよい。
【0077】
また、上記第1実施形態では2個の共振抑制機構を備えたアクチュエータに対し、また上記第2実施形態では3個の共振抑制機構を備えたアクチュエータに対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれらに限定されるものはない。つまり、1個あるいは4個以上の共振抑制機構を備えたアクチュエータに対して本発明も適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
この発明は、軸方向に延びる回転軸が回転駆動力を受けて回転することで移動体を前記回転軸に沿って前記軸方向に移動させるアクチュエータ全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…アクチュエータ
2…回転軸
3…移動体
10…アクチュエータ本体
61D、61U、91D、91U、71D、71U…サポート
62…(最上流の)ユニット
72…(最下流の)ユニット
92…(中間の)ユニット
621、721、921…ユニット本体
621a、721a…第1プーリ支持部
621b、721b…第2プーリ支持部
621c、721c…連結部
622、623、722、723、922、923…プーリ
624、724、924…ワイヤー
X…軸方向、移動方向
Y…幅方向、配列方向
Z…高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図13