(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、
図1および
図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0018】
(照明装置100)
図1は、本実施形態の照明装置100(光源装置)の概略的な構成を示す図である。照明装置100は、蛍光体発光部1(発光部)、半導体レーザ101a〜101e(励起光源)、凸レンズ102a〜102e、光ファイバ103、折り返しミラー104、凸レンズ105、リフレクタ106(投光光学系)、および金属ベース107を備えている。
【0019】
照明装置100は、蛍光体発光部1から発せられた蛍光を、リフレクタ106によって特定の方向に投光するように構成されている。照明装置100は、自動車用のヘッドライトまたはスポットライト等に好適である。
【0020】
半導体レーザ101a〜101eは、蛍光体発光部1に含まれる蛍光体粒子を励起する励起光を出射する5個の励起光源である。半導体レーザ101a〜101eのそれぞれは、1Wの出力を有する波長405nmのレーザ光を励起光として出射する。
【0021】
すなわち、半導体レーザ101a〜101eのそれぞれは、波長405nmにおいてレーザ発振する半導体発光素子である。ここで、波長405nmの光は視感度が低く、人間の目にはほとんど見えない。
【0022】
なお、半導体レーザ101a〜101eから出射される励起光の波長は、蛍光体発光部1に含まれる蛍光体粒子の励起波長に応じて適宜選択されてよい。また、半導体レーザ101a〜101eの個数および出力もまた、照明装置100の仕様に応じて適宜選択されてよい。
【0023】
また、
図1では図示されていないが、半導体レーザ101a〜101eの動作時に生じる熱を放熱するために、ヒートシンクまたは冷却冶具等の放熱機構が、半導体レーザ101a〜101eに設けられてもよい。
【0024】
また、
図1では図示されていないが、半導体レーザ101a〜101eを動作させるための電源系統が、半導体レーザ101a〜101eに接続されている。
【0025】
凸レンズ102a〜102eのそれぞれは、半導体レーザ101a〜101eのそれぞれから出射される励起光を集光する。例えば、凸レンズ102aは、半導体レーザ101aから出射される励起光を集光する。
【0026】
凸レンズ102a〜102eによって集光された励起光は、光ファイバ103の入射端に入射される。凸レンズ102a〜102eのそれぞれによって集光された励起光を取り込むために、5本の光ファイバが設けられている。
【0027】
本実施形態の光ファイバ103は、5本の光ファイバを出射端側において束ねたものである。半導体レーザ101a〜101eは、凸レンズ102a〜102eを介して、光ファイバ103に光学的に結合されている。凸レンズ102a〜102eのそれぞれによって集光された励起光は、光ファイバ103の出射端から、折り返しミラー104に出射される。
【0028】
折り返しミラー104は、励起光を反射させる。折り返しミラー104によって反射された励起光は、凸レンズ105に入射する。そして、凸レンズ105は、励起光を集光する。
【0029】
リフレクタ106には、凸レンズ105によって集光された励起光を通過させるための貫通孔が設けられている。凸レンズ105によって集光された励起光は、リフレクタ106に設けられた貫通孔を通過し、蛍光体発光部1に入射する。蛍光体発光部1の詳細な構成については後述する。
【0030】
このようにして、半導体レーザ101a〜101eから出射された励起光は、蛍光体発光部1に照射される。そして、蛍光体発光部1に含まれる蛍光体粒子が励起光によって励起されることにより、蛍光体発光部1から蛍光が発せられる。
【0031】
リフレクタ106は、蛍光体発光部1から発せられた蛍光を特定の方向に向けて反射する凹面鏡である。リフレクタ106は、蛍光体発光部1から発せられた蛍光を、照明装置100の前方(リフレクタ106の開口部が向く方向)へ反射する。
【0032】
換言すれば、リフレクタ106は、蛍光体発光部1から発せられた蛍光を所望の方向に投光する投光光学系である。リフレクタ106の反射面は、例えば、回転放物面等の曲面形状を有している。
【0033】
なお、本実施形態では、リフレクタ106に貫通孔が設けられている構成が例示されているが、リフレクタ106には必ずしも貫通孔が設けられる必要はない。例えば、リフレクタ106の一部分が光透過性を有するように構成すれば、凸レンズ105によって集光された励起光を蛍光体発光部1に入射させることができる。
【0034】
金属ベース107は、蛍光体発光部1を支持するために設けられている。なお、照明装置100において、金属ベース107は、蛍光体発光部1に加えて、リフレクタ106をも支持している。
【0035】
照明装置100では、半導体レーザ101a〜101eからの励起光が、光ファイバ103等から成る光学系を介して蛍光体発光部1に照射される構成が例示されている。しかしながら、半導体レーザ101a〜101eからの励起光を蛍光体発光部1に照射するための光学系は、公知の任意の光学系であってもよい。
【0036】
また、照明装置100では、投光光学系として凹面鏡のリフレクタ106を用いた構成が例示されている。しかしながら、リフレクタと凸レンズとを併用したプロジェクタ型、凸レンズのみを用いて蛍光体発光部の光源像を投影するダイレクトプロジェクション型等の他の構成によって、投光光学系を構成することも可能である。
【0037】
(蛍光体発光部1)
図2の(a)〜(c)は、蛍光体発光部1の構成を示す図である。
図2の(a)は、蛍光体発光部1の上面図である。また、
図2の(b)は、蛍光体発光部1の側面断面図である。また、
図2の(c)は、
図2の(b)に示した側面断面図の一部(D1)の拡大図である。
【0038】
蛍光体発光部1は、
図2の(b)に示すように、3つの蛍光体層10a(第1層)、10b(第2層)、および10cを備えている。そして、蛍光体層10a、10b、および10cは、上側から順に積層されている。
【0039】
ここで、上側とは、蛍光体発光部1の、金属基板12から最も遠い側である。換言すれば、上側とは、蛍光体発光部1の互いに対向する最も広い面のうち、蛍光を含んだ照明光が、蛍光体発光部1から主として出射される面の側を意味している。最も上側の蛍光体層10aは、最上層の蛍光体層とも呼称される。このため、照明装置100において、蛍光体発光部1の最上層の蛍光体層10aに対向して、投光光学系としてのリフレクタ106が設けられている。
【0040】
従って、本願発明における「上側」および「最上層」という用語は、必ずしも鉛直方向の位置関係を意味するものではない。
【0041】
最上層(第1層)である蛍光体層10aは、青色発光蛍光体粒子(第1蛍光体粒子)(BAM(Eu賦活BaMaAl
10O
17)蛍光体)を含んでいる。蛍光体層10aの平均層厚は、40μmである。BAM蛍光体は、ピーク波長(第1ピーク波長)が約455nmである青色の蛍光を発する。
【0042】
また、下層(第2層)の蛍光体層10bは、緑色発光蛍光体粒子(第2蛍光体粒子)(β−SiAlON蛍光体)を含んでいる。蛍光体層10bの平均層厚は、20μmである。β−SiAlON蛍光体は、ピーク波長(第2ピーク波長)が約540nmである緑色の蛍光を発する。
【0043】
また、さらに下層の蛍光体層10cは、赤色発光蛍光体粒子(第3蛍光体粒子)(CASN(Eu付活CaAlSiN
3)蛍光体)を含んでいる。蛍光体層10cの平均層厚は、20μmである。CASN蛍光体は、ピーク波長(第3ピーク波長)が約650nmである赤色の蛍光を発する。
【0044】
上述のように、蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれには、単一の蛍光体粒子が含まれている。なお、蛍光体層10a、10b、および10cの平均層厚は同じでもよい。
【0045】
第1ピーク波長、第2ピーク波長、および第3ピーク波長は、互いに異なるピーク波長である。なお、ほぼ同一のピーク波長を有する蛍光を発する蛍光体粒子であれば、蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれにおいて、複数の異なる種類の蛍光体粒子が混合されていてもよい。このことは、後述する実施形態2〜6においても同様である。
【0046】
例えば、ほぼ同一の第1ピーク波長を有する青色の蛍光を発する2種類の青色蛍光体粒子が、第1蛍光体粒子として蛍光体層10aに混合されていてもよい。
【0047】
なお、最上層の蛍光体層10aとは異なる蛍光体層10bおよび10cのそれぞれが、第2層と総称されてもよい。この場合、第2ピーク波長および第3ピーク波長のそれぞれが、第2ピーク波長と総称されてもよい。また、第2蛍光体粒子および第3蛍光体粒子のそれぞれが、第2蛍光体粒子と総称されてもよい。
【0048】
蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれにおいて、直径約10μm以下の蛍光体粒子同士、または蛍光体粒子と下地の材料とが、低融点ガラスから成る結着材によって固着されている。
【0049】
なお、レーザ光が有機物に照射された場合、有機物の変色(黄変)または炭化等の特例劣化が引き起こされる可能がある。従って、励起光の照射による特性劣化を防ぐために、蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれは、有機物が含まれないように製作されている。
【0050】
蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれは、自身が含んでいる蛍光体粒子の直径よりも厚い平均層厚を有している。発光効率が特に高くなる観点から、蛍光体粒子の直径としては5〜15μmが好ましい。
【0051】
そして、上層の蛍光体層から、下層の蛍光体層を見ることができないように、蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれが構成されている。例えば、
図2の(a)に示されるように、上側から蛍光体層10aを見た場合には、蛍光体層10aのみが見え、蛍光体層10bおよび10cは見えない。
【0052】
換言すれば、下層の蛍光体層10bおよび10cは、最上層の蛍光体層10aによって完全に覆われている。そのため、蛍光体層10aに含まれている蛍光体粒子の隙間からは、蛍光体層10bに含まれている蛍光体粒子、および蛍光体層10cに含まれている蛍光体粒子が見えない。このように、各蛍光体層から、その下の層を見ることができないように、蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれの内部に蛍光体粒子が配列されている。
【0053】
上層の蛍光体層から下層の蛍光体層が見えないようにする為には、上層の蛍光体層の層厚は、上層の蛍光体層が少なくとも蛍光体粒子2個以上の積み重ねで構成されていることが好ましいことを考えると、蛍光体粒子の直径の2倍以上の層厚であることが好ましいと言える。
【0054】
図2の(a)に示されるように、蛍光体層10a、10b、および10cの上面は、0.5mm×0.5mmの矩形形状に形成されている。
【0055】
そして、
図2の(b)に示されるように、蛍光体層10a、10b、および10cの側面(周囲)は、反射性部材11(遮断部材)によって被覆されている。なお、
図2の(c)は、
図2の(b)において、(i)蛍光体層10a、10b、および10cと、(ii)反射性部材11との界面の近傍の領域D1を拡大した図である。
【0056】
反射性部材11は、TiO
2(二酸化チタン)を含んだ白色のガラスを主成分とする部材である。なお、蛍光体層10a、10b、10c、および反射性部材11は、金属基板12の表面に形成されている。金属基板12は、例えばアルミニウムから成る。
【0057】
図2の(a)〜(c)に示されるように、反射性部材11の開口部からは、最上層の蛍光体層10aのみが露出している。
【0058】
そして、半導体レーザ101a〜101eからの励起光が、蛍光体層10aの全面に均一に照射されることにより、蛍光体層10a、10b、および10cにそれぞれ含まれた蛍光体粒子が励起される。
【0059】
このため、蛍光体発光部1の上面から出射され、観察者の目に入るまでの過程において、(i)蛍光体層10aからの青色の蛍光と、(ii)蛍光体層10bからの緑色の蛍光と、(iii)蛍光体層10cからの赤色の蛍光とが混合され、均一な白色光が得られる。当該白色光は、照明装置100から出射される照明光として用いられる。
【0060】
なお、蛍光体粒子が含まれた薄膜である蛍光体層10a、10b、および10cを形成する方法として、結着材の元となるガラス粒子が混合された蛍光体粒子を、沈降、印刷技術、転写技術等の様々な方法を用いて、支持基板としての金属基板12の表面に直接的に形成する方法を用いることができる。
【0061】
また、セラミック状に焼結することによって得られた板状の発光部を、金属基板12に貼り付ける、または自立させることよっても、蛍光体層10a、10b、および10cを形成することができる。
【0062】
なお、蛍光体粒子をガラスまたは樹脂に分散する等の方法によって得られた板状の発光部についても、同様の処理を行うことによって、蛍光体層10a、10b、および10cを形成することができる。後述の各実施形態においても、本実施形態と同様にして、蛍光体層を形成することができる。
【0063】
(従来の照明装置において生じる問題点)
本実施形態の照明装置100の効果の説明に先立ち、従来の照明装置において生じる問題点について説明する。
【0064】
従来の照明装置では、蛍光体発光部をレーザ光により励起して白色光を得る場合には、1つの蛍光体層に複数種類の蛍光体粒子を混在させることによって、蛍光体発光部を構成することができた。
【0065】
この場合、発光色が異なる複数の蛍光体粒子がランダムに分布する。また、特に、1つの蛍光体層の内部には複数種類の蛍光体粒子がランダムに位置するために、蛍光体発光部を上面から見た場合には、複数種類の複数の蛍光体粒子が、蛍光体層の上面にランダムに露出することになる。
【0066】
そして、蛍光体発光部の上面にレーザ光を照射すると、蛍光体層の最上面にランダムに配置されている複数種類の蛍光体粒子が励起される。従って、複数種類の蛍光体粒子のランダムな配置に対応するように、白色光の濃淡または白色光の色度の面内ばらつきが生じていた。
【0067】
なお、上記白色光の濃淡とは、面内における白色光の輝度の分布が生じていることを意味している。
【0068】
蛍光体層のサイズが比較的大きい(数mm程度以上)場合には、蛍光体層に含まれる蛍光体粒子のサイズは、蛍光体層のサイズに比べて相対的に小さくなる。
【0069】
このため、蛍光体発光部の上面における複数種類の蛍光の分布は、蛍光体層の最上面に含まれる蛍光体粒子のランダムな配置による影響を比較的受けない。従って、複数種類の蛍光体粒子によって発せられる蛍光は、蛍光体発光部の上面から観察した場合、全体として白色光として観察することができる。
【0070】
他方、蛍光体層のサイズが比較的小さい(1mm程度以下)場合には、蛍光体層に含まれる蛍光体粒子のサイズは、蛍光体層のサイズに比べて無視できなくなる。
【0071】
このため、蛍光体発光部の上面における複数種類の蛍光の分布は、蛍光体層の最上面に含まれる蛍光体粒子の分布を反映した斑な色分布となる。
【0072】
従って、照明装置から出射される照明光は、蛍光体層の最上面における複数種類の蛍光の分布を反映した発光パターンに大きく影響される。特に、蛍光体発光部の上面の輝度分布(発光の近視野像)をそのまま拡大投影する構成の照明装置の場合には、当該発光パターンによる影響が無視できず、照明光の不均一性が発生し得るという問題が生じる。
【0073】
上述したように、従来の照明装置では、発光部を励起光によって励起した時に、発光部の表面に発光色が異なる複数の蛍光体粒子がランダムに分布することにより、白色光の濃淡または白色光の色度の面内ばらつきが生じる。
【0074】
さらに、発光部全体のサイズを、蛍光体粒子のサイズが無視できない程度に小さくした場合には、特に、複数の発光色が異なる蛍光体粒子がランダムに露出することに伴って、発光部の表面(光源の近視野像)に斑な色の分布が生じる。つまり、混色が不十分な状況となる。
【0075】
ここで、「照明光の不均一性」とは、白色光が不均一となる状態を意味している。具体的には、「照明光の不均一性」とは、白色光の濃淡に面内ばらつきがある状態、白色光の色度に面内ばらつきがある状態、および、白色光を構成する複数の色成分の混色が不十分な状態等を総称した状態であると理解されてよい。
【0076】
当該光源からの光を十分に拡散させて用いる応用形態においては、光源の表面の不均一性は大きな問題とはならない。しかしながら、例えばレンズ等を用いて、当該光源の像を拡大投影するような応用形態を考える場合には、光源の近視野像の不均一性は、投光像の不均一性につながるため、大きな問題となる。
【0077】
(照明装置100の効果)
本実施形態の照明装置100によれば、従来の照明装置において生じる上述の問題を解決することができる。
【0078】
照明装置100において、蛍光体発光部1は、以下の(構成A)〜(構成C)、すなわち、
(構成A)最上層に1種類の蛍光体粒子を含んだ蛍光体層10aが位置するように、複数の蛍光体層10a、10b、および10cを積層させる、
(構成B)蛍光体層10aの上面全体を励起光によって励起する、
(構成C)蛍光体層10a、10b、および10cの側面からの蛍光の放出を遮断する、
という構成を有している。なお、蛍光体層10aの上面は、蛍光体発光部1の上面を構成している面を意味する。
【0079】
(構成A)により、最上層の蛍光体層10aは、白色光を構成する一波長成分となる蛍光(第1ピーク波長を有する青色の蛍光)を放出するとともに、下層の蛍光体層10bおよび10cから放出された蛍光(第2ピーク波長を有する緑色の蛍光、および第3ピーク波長を有する赤色の蛍光)を散乱させる役割を果たす。
【0080】
また、(構成B)により、蛍光体層10aの上面がほぼ均一に励起される。そして、(構成C)により、下層の蛍光体層10bおよび10cからの蛍光は、蛍光体発光部1の側面からは外部に放出されない。
【0081】
従って、(構成A)〜(構成C)により、蛍光体発光部1を上面から見た場合に、蛍光体層10aの上面全面において、複数種類の色がほぼ均一に混合された白色光が観察される。
【0082】
(構成B)において、励起光は均一な強度によって蛍光体層10aの上面全面に照射されることが好ましい。しかしながら、照明装置100の用途によっては、蛍光体層10aの必ずしも上面全面に励起光が照射されなくともよい場合もある。但し、一般的には、照明光の不均一性をさらに抑制するために、蛍光体層10aの上面全面に励起光が照射されることが好ましいと言える。
【0083】
また、(構成C)を実現するために、蛍光体発光部1において、蛍光体層10a、10b、および10cの側面は、反射性部材11によって被覆されている。
【0084】
蛍光体層10a、10b、および10cの側面が露出している場合には、蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれの側面から、それぞれ異なる色の蛍光が分離されて出射される。
【0085】
このため、蛍光体層10a、10b、および10cの側面が露出した蛍光体発光部を上面から見た場合には、当該蛍光体発光部の端部において、各蛍光の色の混合が不十分な部分が生じ得る。
【0086】
しかしながら、本実施形態の蛍光体発光部1は、上述の(構成A)および(構成B)に加えて、(構成C)をも有している。これにより、蛍光体発光部1の端部から蛍光が放出されることが防止される。
【0087】
それゆえ、蛍光体発光部1では、端部において各蛍光の色の混合が不十分な部分が存在せず、従来の蛍光体発光部に比べて、照明光の不均一性をより効果的に抑制できる。
【0088】
また、蛍光体層10a、10b、および10cに到達する蛍光は、側面から放出されずに再び蛍光体層10a、10b、および10cの内部に反射される。従って、蛍光体発光部1の発光形状が所望の形状になるとともに、発光効率が向上する。
【0089】
上述のように、照明装置100によれば、蛍光体発光部1において、上側から順に積層された蛍光体層10a、10b、および10cの側面を反射性部材11によって被覆することによって、照明光としての白色光を、蛍光体発光部1の上面から均一かつ効率的に取り出すことができる。
【0090】
従って、照明装置100によれば、複数の蛍光体層10a、10b、および10cを含んだ発光部蛍光体発光部1から、不均一性が抑制された照明光を得ることができるという効果を奏する。
【0091】
上述のように、最上層の蛍光体層10aは、下層の蛍光体層10bおよび10cから放出された蛍光を散乱させる役割を果たしている。このため、蛍光の散乱を促進させるために、最上層の蛍光体層10aの層厚は、下層の蛍光体層10bおよび10cの層厚よりも大きいことが好ましい。すなわち、蛍光体発光部1の蛍光体層10a、10b、および10cのうち、最上層の蛍光体層10aの層厚を最も厚くすることが好ましい。
【0092】
換言すれば、白色の照明光を出射するために設けられた複数の蛍光体層について、体積含有率が最も大きい蛍光体粒子を含む蛍光体層を、最上層の蛍光体層10aとして配置することが好ましいとも言える。
【0093】
例えば、蛍光体発光部1において、青色の蛍光を発する蛍光体層10aの平均層厚は40μmであり、緑色の蛍光を発する蛍光体層10bの平均層厚は20μmであり、赤色の蛍光を発する蛍光体層10cの平均層厚は20μmである。
【0094】
従って、蛍光体層10a、10b、および10cの平均層厚の比率は4:2:2であり、蛍光体層10aが最も厚い蛍光体層である。そして、各蛍光体層の平均層厚の比率は、蛍光体発光部1における蛍光体粒子の体積含有率に相当する。すなわち、蛍光体発光部1では、所望の照明光としての白色光を得るために、青色発光蛍光体粒子、緑発光蛍光体粒子、および赤色発光蛍光体粒子が4:2:2の割合で混合されている。
【0095】
蛍光体発光部1では、体積含有率が最も大きい青色発光蛍光体粒子を含む蛍光体層10aが、最上層の蛍光体層として用いられている。当該構成により、層の蛍光体層10bおよび10cから放出された蛍光の散乱を促進させることができる。
【0096】
ところで、本実施形態の蛍光体発光部1では、励起光が主に入射する面と、蛍光が外部に主に出射される面(すなわち、最上層の蛍光体層10aの上面)とが同一の面である。このような蛍光体発光部の構成を、反射型の発光部と称する。
【0097】
反射型の発光部は、励起光が入射する面(すなわち、励起光の光密度が最も高い面)から蛍光を取り出すことができるため、発光効率が高いという利点がある。
【0098】
また、反射型の発光部では、発光部を支持する金属基板または高熱伝導セラミックス基板等をヒートシンクとして用いることができる。このため、発光部がレーザ光によって励起されることによって生じた熱を、効果的に放熱することができるという利点がある。
【0099】
〔変形例〕
蛍光体発光部1は反射型の発光部であるため、蛍光体発光部1の上面からの発熱を、効率的に底面の金属基板12へ放熱することができる。この放熱効果を高めるため、蛍光体発光部1は、薄く形成されることが好ましい。
【0100】
蛍光体発光部1を薄く形成しつつ、最上層の蛍光体層10aが下層の蛍光体層10bおよび10cを完全に覆うように構成するためには、蛍光体層に含まれる蛍光体粒子が、高密度に配置されることが好ましい。
【0101】
実施形態1では、蛍光体層10a、10b、10cのそれぞれは、一様なサイズを有する単一の蛍光体粒子を含んだ蛍光体層として例示されている。しかしながら、蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれを、サイズが異なる蛍光体粒子を混合して形成してもよい。
【0102】
例えば、蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれを、d50=10μm、d50=3μm、d50=1μmの3種類のサイズの蛍光体粒子を混合して形成すればよい。ここで、d50は蛍光体粒子のメジアン径を表す。
【0103】
当該構成によれば、蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれにおいて、例えば、直径10μmの蛍光体粒子同士が並んだ場合に生じる隙間を、直径3μmまたは1μmの蛍光体粒子によって埋めることができる。
【0104】
このため、蛍光体層10a、10b、および10cのそれぞれに含まれる蛍光体粒子を高密度に配置することができ、蛍光体発光部1を薄く形成することが可能となる。
【0105】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図3および
図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0106】
(照明装置200)
図3は、本実施形態の照明装置200(光源装置)の概略的な構成を示す図である。照明装置200は、蛍光体発光部2(発光部)、光ファイバ203、凸レンズ205、投光用レンズ206(投光光学系)、および透明基板207を備えている。
【0107】
照明装置200は、蛍光体発光部2から発せられた蛍光を、投光用レンズ206によって特定の方向に投光するように構成されている。照明装置200は、自動車用のヘッドライトまたはスポットライト等に好適である。
【0108】
なお、本実施形態の照明装置200は、実施形態1の照明装置100と同様に、半導体レーザ101a〜101e、および凸レンズ102a〜102eを備えている。しかしながら、
図3では、半導体レーザ101a〜101e、および凸レンズ102a〜102eの図示を省略している。
【0109】
照明装置200において、半導体レーザ101a〜101e(不図示)から出射された励起光は、凸レンズ102a〜102e(不図示)を介して、光ファイバ203の入射端に入射する。
【0110】
なお、本実施形態の光ファイバ203もまた、実施形態1の光ファイバ103と同様に、凸レンズ102a〜102eによって集光された励起光を取り込むための5本の光ファイバを出射端側において束ねたものである。
図3では、光ファイバ203の出射端付近のみを図示している。
【0111】
凸レンズ102a〜102eのそれぞれによって集光された励起光は、光ファイバ203の出射端から、凸レンズ205に入射する。そして、凸レンズ205は、励起光を集光する。
【0112】
透明基板207は、蛍光体発光部2を支持するために設けられている。透明基板207の材料としては、ガラスまたはサファイア等を用いることができる。凸レンズ205によって集光された励起光は、透明基板207を通過し、蛍光体発光部2に入射する。
【0113】
そして、蛍光体発光部2に含まれる蛍光体粒子が励起光によって励起されることにより、蛍光体発光部2から蛍光が発せられる。なお、蛍光体発光部2の詳細な構成については後述する。
【0114】
投光用レンズ206は、蛍光体発光部2から発せられた蛍光を投光する凸レンズである。投光用レンズ206によって投光された蛍光は、照明装置200の外部に出射される。換言すれば、投光用レンズ206は、蛍光体発光部2から発せられた蛍光を所望の方向に投光する投光光学系である。
【0115】
なお、照明装置200では、投光光学系として凸レンズである投光用レンズ206を用いた構成が例示されている。しかしながら、リフレクタと凸レンズとを併用したプロジェクタ型、または、リフレクタ(凹面鏡)のみによる構成等の他の構成によって、投光光学系を構成することも可能である。
【0116】
(蛍光体発光部2)
図4の(a)〜(c)は、蛍光体発光部2の構成を示す図である。
図4の(a)は、蛍光体発光部2の上面図である。また、
図4の(b)は、蛍光体発光部2の側面断面図である。また、
図4の(c)は、
図4の(b)に示した側面断面図の一部(D2)の拡大図である。
【0117】
蛍光体発光部2は、
図4の(b)に示すように、2つの蛍光体層20a(第1層)および20b(第2層)を備えている。そして、蛍光体層20aおよび20bは、上側から順に積層されている。
【0118】
なお、上側とは、蛍光を含んだ照明光が、蛍光体発光部2から主として出射される面の側を意味している。最も上側の蛍光体層20aは、最上層の蛍光体層とも呼称される。照明装置200において、蛍光体発光部2の最上層の蛍光体層20aに対向して、投光光学系としての投光用レンズ206が設けられている。
【0119】
最上層(第1層)である蛍光体層20aは、青色発光蛍光体粒子(第1蛍光体粒子)(BAM蛍光体)と、TiO
2からなる散乱体粒子とを含んでいる。蛍光体層20aの平均層厚は、30μmである。BAM蛍光体は、ピーク波長(第1ピーク波長)が約455nmである青色の蛍光を発する。
【0120】
また、下層(第2層)の蛍光体層20bは、黄色発光蛍光体粒子(第2蛍光体粒子)(α−SiAlON蛍光体)を含んでいる。蛍光体層20bの平均層厚は、20μmである。α−SiAlON蛍光体は、ピーク波長(第2ピーク波長)が約586nmである黄色の蛍光を発する。
【0121】
上述のように、蛍光体層20aおよび20bのそれぞれには、単一の蛍光体粒子が含まれている。
【0122】
なお、本実施形態では、蛍光体層20aに含まれる散乱体粒子としてTiO
2が例示されているが、散乱体粒子は必ずしもTiO
2に限定されない。例えば、フュームドシリカ、Al
2O
3、酸化ジルコニウムまたはダイヤモンド等を散乱体粒子として用いてもよい。
【0123】
蛍光体層20aおよび20bのそれぞれにおいて、蛍光体粒子同士、散乱体粒子同士、蛍光体粒子と散乱体粒子、蛍光体粒子と下地の材料、または散乱体粒子と下地の材料とが、SiO
2(二酸化ケイ素)またはTiO
2を主成分とする結着材によって固着されている。
【0124】
また、励起光の照射による特性劣化を防ぐために、蛍光体層20aおよび20bのそれぞれは、有機物が含まないように製作されている。
【0125】
蛍光体層20aおよび20bのそれぞれは、自身が含んでいる蛍光体粒子の直径よりも厚い平均層厚を有している。そして、上層の蛍光体層から、下層の蛍光体層を見ることができないように、蛍光体層20aおよび20bのそれぞれが構成されている。例えば、
図4の(a)に示されるように、上側から蛍光体層20aを見た場合には、蛍光体層20aのみが見え、蛍光体層20bは見えない。
【0126】
換言すれば、下層の蛍光体層20bは、最上層の蛍光体層20aによって完全に覆われている。そのため、蛍光体層20aに含まれている蛍光体粒子の隙間からは、蛍光体層20bに含まれている蛍光体粒子が見えない。このように、最上層の蛍光体層20aから、下層の蛍光体層20bを見ることができないように、蛍光体層20aおよび20bのそれぞれの内部に蛍光体粒子が配列されている。
【0127】
図4の(a)に示されるように、蛍光体層20aおよび20bの上面は、直径1.0mmの円形形状に形成されている。
【0128】
そして、
図4の(b)に示されるように、蛍光体層20aおよび20bの側面(周囲)は、反射性部材21(遮断部材)によって被覆されている。なお、
図4の(c)は、
図4の(b)において、(i)蛍光体層20aおよび20bと、(ii)反射性部材21との界面の近傍の領域D2を拡大した図である。
【0129】
反射性部材21は、アルミニウムから成る部材である。そして、蛍光体層20a、20b、および反射性部材21は、透明基板207の表面に形成されている。
【0130】
さらに、
図4の(c)に示されるように、蛍光体層20aの上面には、表面粗さRa=1μm程度の凹凸構造が設けられている。また、蛍光体層20aと蛍光体層20bとの界面にも、Ra=1μm程度の凹凸構造が設けられている。なお、蛍光体層20aの上面は、蛍光体発光部2の上面を構成している面を意味する。
【0131】
半導体レーザ101a〜101eからの励起光が、蛍光体層20bに照射されることにより、蛍光体層20aおよび20bにそれぞれ含まれた蛍光体粒子が励起される。
【0132】
このため、蛍光体発光部2の上面から出射され、観察者の目に入るまでの過程において、(i)蛍光体層20aからの青色の蛍光と、(ii)蛍光体層20bからの黄色の蛍光とが混合され、均一な白色光が得られる。当該白色光は、照明装置200から出射される照明光として用いられる。
【0133】
蛍光体発光部2において、蛍光体層20aに含まれる青色発光蛍光体粒子は、蛍光体層20bから発せられた黄色の蛍光を吸収せずに透過させる。
【0134】
従って、上側から順に蛍光体層20aおよび20bを積層させることにより、蛍光体層20bから発せられる黄色の蛍光が、上部に設けられた蛍光体層20aに吸収されることなく、蛍光体発光部2の外部に出射される。このため、蛍光体発光部2の上面から、均一かつ効率的に白色光を取り出すことができる。
【0135】
(照明装置200の効果)
本実施形態の照明装置200によれば、実施形態1の照明装置100と同様に、複数の蛍光体層20aおよび20bを含んだ蛍光体発光部2の上面から、不均一性が抑制された照明光としての白色光を、均一かつ効率的に取り出すことができる。
【0136】
蛍光体発光部2において、蛍光体層20aの上面に凹凸構造が設けられていることにより、蛍光体層20aからは、複数種類の色の蛍光が波長ごとに異なる方向に拡散される。そして、当該蛍光は、蛍光体発光部2の外部に出射される。このため、蛍光体発光部2を上部から見た場合に、複数種類の色の蛍光がより均一に混合された白色光が観察される。
【0137】
また、蛍光体発光部2では、蛍光体層20aと蛍光体層20bとの界面にも、凹凸構造が設けられている。蛍光体層20aと蛍光体層20bとの界面に凹凸構造が存在していることにより、蛍光体層20bから発せられた蛍光が蛍光体層20aに到達した時に、蛍光体層20aと蛍光体層20bとの界面において、蛍光が散乱される。
【0138】
従って、蛍光体層20bに含まれている蛍光体粒子の配置とは無関係に、蛍光体層20bからの蛍光を、蛍光体層20aに入射させることができる。このため、蛍光体層20bから入射された蛍光は、蛍光体層20aにおいてさらに均一に分布するという効果が得られる。
【0139】
なお、蛍光体層20aの上面、および、蛍光体層20aと蛍光体層20bとの界面に設けられた凹凸構造の表面粗さは、Ra=1μm程度以上であることが必要とされる。これは、凹凸構造のサイズが、蛍光体発光部2から出射される照明光に含まれる蛍光の波長よりも小さい場合には、凹凸構造によって照明光を十分に散乱することができないためである。
【0140】
照明光の波長範囲としては、可視光の波長範囲である、概ね360nm〜830nm(JIS Z 8120に準拠)の範囲が想定されている。このため、可視光の波長範囲よりも大きい凹凸構造のサイズとして、Ra=1μm程度以上の値が用いられる。
【0141】
さらに、蛍光体層20aには、蛍光体粒子に加えて、散乱体粒子が含まれている。蛍光体層20aに散乱体粒子が存在することにより、蛍光体層20aおよび蛍光体層20bにおいて発生したそれぞれの蛍光の散乱がさらに促進される。このため、複数種類の色の蛍光の混合を促進することができるという効果が得られる。
【0142】
蛍光体層20aにおいて、散乱体粒子の直径は、蛍光体粒子の直径に比べて小さいことが好ましい。例えば、本実施形態の蛍光体層20aにおいて、蛍光体粒子のメジアン径はd50=10μmであり、散乱体粒子のメジアン径はd50=1μmである。
【0143】
この場合、蛍光体層20aにおいて、直径10μmの蛍光体粒子同士が並んだ場合に生じる隙間を、直径1μmの散乱体粒子によって埋めることができる。
【0144】
これにより、最上層の蛍光体層20aが下層の蛍光体層20bを完全に覆うように構成されるため、蛍光体発光部2を薄く形成することができるようになるという利点が存在する。従って、蛍光体発光部2の放熱性を向上させることができるという効果が得られる。
【0145】
蛍光体発光部2において、蛍光体層20aおよび20bの側面は、反射性部材21によって被覆されている。
【0146】
このため、蛍光体発光部2についても、端部において蛍光体層20aおよび20bのそれぞれの側面から、それぞれ異なる色の蛍光が分離されて出射されることが防止され、発光形状が所望の形状になるとともに、発光効率が向上するという効果が得られる。
【0147】
なお、本実施形態の蛍光体発光部2は、励起光が主に入射する面と、蛍光が外部に主に出射される面(すなわち、最上層の蛍光体層20a)とが対向している。このような蛍光体発光部の構成を、透過型の発光部と称する。
【0148】
また、蛍光が外部に出射される面を有する蛍光体層から順に(すなわち、最上層の蛍光体層から下層の蛍光体層に向かう順に)、発光波長が短い蛍光体粒子が含まれている蛍光体層を積層することが好ましい。換言すれば、最上層の蛍光体層20aから発せられる蛍光の第1ピーク波長は、下層の蛍光体層20bから発せられる蛍光の第2ピーク波長よりも短いことが好ましい。
【0149】
当該構成によれば、各蛍光体層における蛍光の自己吸収に伴う損失を抑制することができるという効果が得られる。当該構成による効果は、蛍光体発光部が反射型の発光部である場合(実施形態1の蛍光体発光部1の場合)、および、蛍光体発光部が透過型の発光部である場合(実施形態2の蛍光体発光部2の場合)のいずれにもおいても得られる。
【0150】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、
図5および
図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0151】
(照明装置300)
図5は、本実施形態の照明装置300(光源装置)の概略的な構成を示す図である。照明装置300は、蛍光体発光部3(発光部)、光ファイバ203、凸レンズ205、投光用レンズ206、および金属ベース307を備えている。
【0152】
照明装置300は、蛍光体発光部3から発せられた蛍光を、投光用レンズ206によって特定の方向に投光するように構成されている。照明装置300は、自動車用のヘッドライトまたはスポットライト等に好適である。
【0153】
なお、本実施形態の照明装置300は、実施形態2の照明装置200と同様に、半導体レーザ101a〜101e、および凸レンズ102a〜102eを備えている。しかしながら、
図5においても、
図3と同様にして、半導体レーザ101a〜101e、および凸レンズ102a〜102eの図示を省略している。
【0154】
凸レンズ205によって集光された励起光は、折り返しミラー104に出射される。折り返しミラー104によって反射された励起光は、蛍光体発光部3に入射する。
【0155】
そして、蛍光体発光部3に含まれる蛍光体粒子が励起光によって励起されることにより、蛍光体発光部3から蛍光が発せられる。なお、蛍光体発光部3の詳細な構成については後述する。
【0156】
金属ベース307は、蛍光体発光部3を支持するために設けられている。金属ベース307の材料としては、例えばAlを用いることができる。なお、銅、ステンレス、またはマグネシウム等の任意の部材から成る基板に、銀またはアルミニウムをコーティングさせることによって、金属ベース307を形成してもよい。
【0157】
蛍光体発光部3から発せられた蛍光は、実施形態2の照明装置200と同様に、投光光学系としての投光用レンズ206によって投光される。そして、投光用レンズ206によって投光された蛍光は、照明装置300の外部に出射される。
【0158】
なお、照明装置300においても、実施形態2の照明装置200と同様に、リフレクタと凸レンズとを併用したプロジェクタ型、または、リフレクタ(凹面鏡)のみによる構成等の他の構成によって、投光光学系を構成してもよい。
【0159】
(蛍光体発光部3)
図6の(a)〜(c)は、蛍光体発光部3の構成を示す図である。
図6の(a)は、蛍光体発光部3の上面図である。また、
図6の(b)は、蛍光体発光部3の側面断面図である。また、
図6の(c)は、
図6の(b)に示した側面断面図の一部(D3)の拡大図である。
【0160】
蛍光体発光部3は、
図6の(b)に示すように、の蛍光体層30a(第1層)および30b(第2層)を備えている。そして、蛍光体層30aおよび30bは、上側から順に積層されている。
【0161】
ここで、上側とは、蛍光を含んだ照明光が、蛍光体発光部3から主として出射される面の側を意味している。最も上側の蛍光体層30aは、最上層の蛍光体層とも呼称される。照明装置300において、蛍光体発光部3の最上層の蛍光体層30aに対向して、投光光学系としての投光用レンズ206が設けられている。
【0162】
最上層(第1層)である蛍光体層30aは、青色発光蛍光体粒子(第1蛍光体粒子)(BAM蛍光体)を含んでいる。蛍光体層30aの平均層厚は、30μmである。BAM蛍光体は、ピーク波長(第1ピーク波長)が約455nmである青色の蛍光を発する。
【0163】
また、下層(第2層)の蛍光体層30bは、赤色発光蛍光体粒子(第2蛍光体粒子)(CASN蛍光体)と緑色発光蛍光体粒子(第2蛍光体粒子)(β−SiAlON蛍光体)とを含んでいる。蛍光体層30bの平均層厚は、20μmである。
【0164】
そして、蛍光体層30bにおいて、CASN蛍光体から発せられる赤色の蛍光と、β−SiAlON蛍光体から発せられる緑色の蛍光とが生成される。
【0165】
上述のように、最上層の蛍光体層30aには、単一の蛍光体粒子が含まれている。
【0166】
蛍光体層30aおよび30bのそれぞれにおいて、蛍光体粒子同士、または蛍光体粒子と下地の材料とが、ガラスによって封止されている。
【0167】
また、励起光の照射による特性劣化を防ぐために、蛍光体層30aおよび30bのそれぞれは、有機物が含まれないように製作されている。
【0168】
蛍光体層30aおよび30bのそれぞれは、自身が含んでいる蛍光体粒子の直径よりも厚い平均層厚を有している。そして、上層の蛍光体層から、下層の蛍光体層を見ることができないように、蛍光体層30aおよび30bのそれぞれが構成されている。
【0169】
例えば、
図6の(a)に示されるように、上側から蛍光体層30aを見た場合には、蛍光体層30aのみが見え、蛍光体層30bは見えない。このように、最上層の蛍光体層30aから、下層の蛍光体層30bを見ることができないように、蛍光体層30aおよび30bのそれぞれの内部に蛍光体粒子が配列されている。
【0170】
図6の(a)に示されるように、蛍光体層30aおよび30bの上面は、直径0.8mmの円形形状に形成されている。
【0171】
そして、
図6の(b)に示されるように、蛍光体層30aおよび30bの側面(周囲)は、吸収性部材31(遮断部材)によって被覆されている。なお、
図6の(c)は、
図6の(b)において、(i)蛍光体層30aおよび30bと、(ii)吸収性部材31との界面の近傍の領域D3を拡大した図である。
【0172】
吸収性部材31は、カーボンから成る部材である。そして、蛍光体層30a、30b、および吸収性部材31は、金属ベース307の表面に形成されている。
【0173】
さらに、
図6の(c)に示されるように、蛍光体層30aと蛍光体層30bとの界面には、Ra=1μm程度の凹凸構造が設けられている。
【0174】
また、蛍光体層30aおよび蛍光体層30bのそれぞれにおいて、蛍光体粒子間に空隙が設けられている。
図6の(c)に示されるように、蛍光体層30aには、空隙30ahが存在している。また、蛍光体層30bには、空隙30bhが存在している。
【0175】
蛍光体層30aおよび蛍光体層30bのそれぞれにおいて、蛍光体粒子同士、または蛍光体粒子と下地材料とは、その隙間をガラスによって埋められている。
【0176】
しかしながら、ガラスが蛍光体粒子間の隙間を完全に埋めてしまわないように、蛍光体層30aおよび蛍光体層30bのそれぞれを形成することにより、空隙30ahおよび空隙30bhを設けることができる。
【0177】
本実施形態における蛍光体層30aおよび30bは、蛍光体粒子とガラスフリット(粉末ガラス)との混合物をガラスの融点以上で加熱することにより得られたものであるが、蛍光体粒子とガラスフリットとの混合比を制御し、蛍光体粒子間の隙間を満たさない程度の少ないガラスフリットを混合することにより空隙30ahおよび30bhを作ることができる。
【0178】
半導体レーザ101a〜101eからの励起光が、蛍光体層30aに照射されることにより、蛍光体層30aおよび30bにそれぞれ含まれた蛍光体粒子が励起される。
【0179】
また、上述したように、赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とを含んでいる蛍光体層30bは、励起光によって励起されることにより、赤色と緑色とが混合された色の蛍光を発する。
【0180】
このため、蛍光体発光部3の上面から出射され、観察者の目に入るまでの過程において、(i)蛍光体層30aからの青色の蛍光と、(ii)蛍光体層30bからの赤色と緑色とが混合された色の蛍光とが混合され、均一な白色光が得られる。当該白色光は、照明装置300から出射される照明光として用いられる。
【0181】
蛍光体発光部3において、蛍光体層30aに含まれる青色発光蛍光体粒子は、蛍光体層30bから発せられた黄色の蛍光を吸収せずに透過させる。
【0182】
従って、上側から順に蛍光体層30aおよび30bを積層させることにより、蛍光体層30bから発せられる黄色の蛍光が、上部に設けられた蛍光体層30aに吸収されることなく、蛍光体発光部3の外部に出射される。このため、蛍光体発光部3の上面から、均一かつ効率的に白色光を取り出すことができる。
【0183】
(照明装置300の効果)
本実施形態の照明装置300によれば、実施形態1の照明装置100と同様に、複数の蛍光体層30aおよび30bを含んだ蛍光体発光部3の上面から、不均一性が抑制された照明光としての白色光を、均一かつ効率的に取り出すことができる。
【0184】
また、蛍光体発光部3の端部において、蛍光体層30aおよび30bのそれぞれの側面から、それぞれ異なる色の蛍光が分離されて出射されることが防止される。
【0185】
蛍光体発光部3では、蛍光体層30aおよび蛍光体層30bのそれぞれにおいて、空隙30ahおよび30bhが設けられている。
【0186】
蛍光体層30aに空隙30ahが存在していることにより、空隙30ahと蛍光体層30aに含まれる蛍光体粒子との界面において、大きな屈折率の差が生じる。このため、当該界面において、蛍光体層30aにおいて発せられた蛍光には、屈折率の差に起因した散乱または屈折が引き起こされる。
【0187】
同様に、蛍光体層30bに空隙30bhが存在していることにより、空隙30ahと蛍光体層30aに含まれる蛍光体粒子との界面においても、蛍光の散乱または屈折が引き起こされる。
【0188】
このため、空隙30ahおよび30bhが設けられることにより、蛍光体発光部3における蛍光の混合が促進されるという効果が得られる。
【0189】
本実施形態では、蛍光体層30aおよび蛍光体層30bのそれぞれにおいて、空隙30ahおよび30bhが設けられているが、空隙は蛍光体層30aまたは蛍光体層30bのいずれか一方のみに設けられてもよい。
【0190】
なお、蛍光体発光部3から外部へ蛍光を取り出す時には、それぞれの色の蛍光が混合されることが好ましい。このため、空隙は最上層の蛍光体層(すなわち蛍光体層30a)に設けられることが好ましい。
【0191】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、
図7および
図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0192】
(照明装置400)
図7は、本実施形態の照明装置400(光源装置)の概略的な構成を示す図である。照明装置400は、蛍光体発光部4(発光部)、半導体レーザ401a〜401c(励起光源)、凸レンズ102a〜102c、光ファイバ103、折り返しミラー104、凸レンズ105、リフレクタ106、投光用レンズ206、およびセラミックベース407を備えている。
【0193】
照明装置400は、蛍光体発光部4から発せられた蛍光を、リフレクタ106および投光用レンズ206によって特定の方向に投光するように構成されている。照明装置400は、自動車用のヘッドライトまたはスポットライト等に好適である。
【0194】
半導体レーザ401a〜401cは、蛍光体発光部4に含まれる蛍光体粒子を励起する励起光を出射する3個の励起光源である。半導体レーザ401a〜401cのそれぞれは、1Wの出力を有する波長450nmのレーザ光を励起光として出射する。
【0195】
なお、
図7においても、
図1と同様にして、半導体レーザ401a〜401cに設けられる放熱機構、および、半導体レーザ401a〜401cに接続される電源系統の図示が省略されている。
【0196】
半導体レーザ401a〜401cのそれぞれは、波長450nmにおいてレーザ発振する半導体発光素子である。ここで、波長450nmの光は可視光であり、青色光として観察される。
【0197】
従って、半導体レーザ401a〜401cは、励起光として可視光を出射するという点において、実施形態1〜3の半導体レーザ101a〜101eと異なっている。本実施形態の照明装置400では、半導体レーザ401a〜401cから出射される青色の励起光が、蛍光を含んだ白色の照明光の一成分として利用される。
【0198】
なお、半導体レーザ401a〜401cから出射される励起光の波長は、蛍光体発光部4に含まれる蛍光体粒子の励起波長に応じて適宜選択されてよい。また、半導体レーザ401a〜401cの個数および出力もまた、照明装置400の仕様に応じて適宜選択されてよい。
【0199】
照明装置400には、半導体レーザ401a〜401cのそれぞれから出射された励起光を集光するための凸レンズとして、3個の凸レンズ102a〜102cが設けられている。
【0200】
凸レンズ102a〜102cは、実施形態1の凸レンズ102a〜102eのうちの任意の3つである。本実施形態の凸レンズ102a〜102cの機能についても、実施形態1の凸レンズ102a〜102eと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0201】
また、光ファイバ103、折り返しミラー104、凸レンズ105の構成および機能についても、実施形態1の照明装置100と同様である。このため、これらの部材についての説明は省略する。
【0202】
照明装置400においても、実施形態1の照明装置100と同様にして、凸レンズ105によって集光された励起光は、リフレクタ106に設けられた貫通孔を通過し、蛍光体発光部4に入射する。蛍光体発光部4の詳細な構成については後述する。
【0203】
このようにして、半導体レーザ401a〜401cから出射された励起光は、蛍光体発光部4に照射される。そして、蛍光体発光部4に含まれる蛍光体粒子が励起光によって励起されることにより、蛍光体発光部4から蛍光が発せられる。
【0204】
セラミックベース407は、蛍光体発光部4を支持するために設けられている。セラミックベース407は、例えば、窒化アルミニウムから成る熱伝導性の高い基板である。なお、照明装置400において、セラミックベース407は、蛍光体発光部4に加えて、リフレクタ106をも支持している。
【0205】
本実施形態の照明装置400では、実施形態1の照明装置100と同様にして、投光用レンズ206を用いずにリフレクタ106のみを用いて、投光光学系を構成することも可能である。また、実施形態2および3の照明装置200および300と同様にして、リフレクタ106を用いずに投光用レンズ206のみを用いて、投光光学系を構成することも可能である。
【0206】
(蛍光体発光部4)
図8の(a)〜(c)は、蛍光体発光部4の構成を示す図である。
図8の(a)は、蛍光体発光部4の上面図である。また、
図8の(b)は、蛍光体発光部4の側面断面図である。また、
図8の(c)は、
図8の(b)に示した側面断面図の一部(D4)の拡大図である。
【0207】
蛍光体発光部4は、
図8の(b)に示すように、2つの蛍光体層40a(第1層)および40b(第2層)を備えている。そして、蛍光体層40aおよび40bは、上側から順に積層されている。
【0208】
ここで、上側とは、蛍光を含んだ照明光が、蛍光体発光部4から主として出射される面の側を意味している。最も上側の蛍光体層40aは、最上層の蛍光体層とも呼称される。照明装置400において、蛍光体発光部4の最上層の蛍光体層40aに対向して、本実施形態の投光光学系を構成するリフレクタ106が設けられている。
【0209】
最上層(第1層)である蛍光体層40aは、黄色発光蛍光体粒子(第1蛍光体粒子)(YAG:Ce蛍光体)を含んでいる。蛍光体層40aの平均層厚は、30μmである。YAG:Ce蛍光体は、ピーク波長(第1ピーク波長)が約490nmである黄色の蛍光を発する。
【0210】
また、下層(第2層)の蛍光体層40bは、赤色発光蛍光体粒子(第2蛍光体粒子)(CASN蛍光体)を含んでいる。蛍光体層40bの平均層厚は、40μmである。CASN蛍光体は、ピーク波長(第2ピーク波長)が約650nmである赤色の蛍光を発する。
【0211】
上述のように、蛍光体層40aおよび40bのそれぞれには、単一の蛍光体粒子が含まれている。
【0212】
蛍光体層40aおよび40bのそれぞれにおいて、蛍光体粒子同士、または蛍光体粒子と下地の材料とが、SiO
2(二酸化ケイ素)またはTiO
2から成る結着材によって固着されている。
【0213】
また、励起光の照射による特性劣化を防ぐために、蛍光体層40aおよび40bのそれぞれは、有機物が含まれないように製作されている。
【0214】
蛍光体層40aおよび40bのそれぞれは、自身が含んでいる蛍光体粒子の直径よりも厚い平均層厚を有している。そして、上層の蛍光体層から、下層の蛍光体層を見ることができないように、蛍光体層40aおよび40bのそれぞれが構成されている。
【0215】
例えば、
図8の(a)に示されるように、上側から蛍光体層40aを見た場合には、蛍光体層40aのみが見え、蛍光体層40bは見えない。このように、最上層の蛍光体層40aから、下層の蛍光体層40bを見ることができないように、蛍光体層40aおよび40bのそれぞれの内部に蛍光体粒子が配列されている。
【0216】
図8の(a)に示されるように、蛍光体層40aおよび40bの上面は、0.3mm×1.0mmの矩形形状に形成されている。そして、
図8の(b)に示されるように、蛍光体層40aおよび40bの側面(周囲)は、遮断部材41によって被覆されている。
【0217】
さらに、
図8の(b)に示されるように、遮断部材41は、反射性部材41a(遮断部材)と吸収性部材41b(遮断部材)とから成る。
【0218】
反射性部材41aは、傾斜面を有している。このため、反射性部材41aの高さは、反射性部材41aが蛍光体層40aおよび40bから離間するにつれて減少する。そして、吸収性部材41bは、反射性部材41aの傾斜面の表面に設けられている。このため、吸収性部材41bの高さは、吸収性部材41bが蛍光体層40aおよび40bに近接するにつれて減少する。
【0219】
なお、反射性部材41aは、アルミニウムから成る部材である。また、吸収性部材41bは、カーボンから成る部材である。蛍光体層40a、40b、および遮断部材41は、セラミックベース407の表面に形成されている。
【0220】
図8の(c)は、
図8の(b)において、(i)蛍光体層40aおよび40bと、(ii)反射性部材41aおよび吸収性部材41bとの界面の近傍の領域D4を拡大した図である。
【0221】
図8の(c)に示されるように、蛍光体層40aの上面には、Ra=1μm程度の凹凸構造が設けられている。なお、蛍光体層40aの上面は、蛍光体発光部4の上面を構成している面を意味する。
【0222】
また、蛍光体層40aおよび40bの側面は、反射性部材41aと直接的に接触している。他方、蛍光体層40aおよび40bの側面は、反射性部材41aを介して、吸収性部材41bと間接的に接触している。
【0223】
半導体レーザ401a〜401cからの励起光が、蛍光体層40aに照射されることにより、蛍光体層40aおよび40bにそれぞれ含まれた蛍光体粒子が励起される。
【0224】
このため、蛍光体発光部4の上面から出射され、観察者の目に入るまでの過程において、(i)蛍光体層40aからの黄色の蛍光と、(ii)蛍光体層40bからの赤色の蛍光と、(iii)蛍光体層40aの上面または内部において拡散反射または散乱された青色の励起光とが混合され、均一な白色光が得られる。
【0225】
また、蛍光体発光部4の端部において、蛍光体層40aおよび40bのそれぞれの側面から、それぞれ異なる色の蛍光が分離されて出射されることが防止される。当該白色光は、照明装置400から出射される照明光として用いられる。
【0226】
(照明装置400の効果)
本実施形態の照明装置400によれば、実施形態1の照明装置100と同様に、複数の蛍光体層40aおよび40bを含んだ蛍光体発光部4の上面から、不均一性が抑制された照明光としての白色光を、均一かつ効率的に取り出すことができる。
【0227】
蛍光体発光部4では、蛍光体層40aおよび蛍光体層40bの側面は、反射性部材41aによって被覆されている。
【0228】
このため、蛍光体層40aおよび40bの側面へ向かう蛍光のそれぞれは、反射性部材41aによって反射されて蛍光体層40aおよび蛍光体層40bの内部に戻る。従って、蛍光体発光部4の発光形状が所望の形状になるとともに、発光効率が向上する。
【0229】
また、反射性部材41aの上層には、吸収性部材41bが設けられている。このため、励起光が蛍光体層40aの領域からはみ出して照射された場合には、当該励起光は、反射性部材41aの上層に設けられた吸収性部材41bの上面によって吸収される。
【0230】
従って、蛍光体発光部4の上面において、励起光の過剰な反射が生じることが防止され、照明光の不均一性をさらに抑制することができる。
【0231】
本実施形態の照明装置400では、蛍光体発光部4から発せられる蛍光に加えて、蛍光体層40aの上面または内部において拡散反射または散乱された可視領域の励起光をも含んだ、照明光としての白色光が得られる。
【0232】
他方、実施形態1〜3の照明装置100〜300では、蛍光体発光部から発せられる蛍光のみを構成成分として、照明光としての白色光が得られていた。本実施形態の照明装置400は、この点において、実施形態1〜3の照明装置100〜300と異なる。
【0233】
本実施形態の照明装置400では、蛍光体層40aの上面に凹凸構造が設けられている。蛍光体層40aの上面に凹凸構造が存在していることにより、蛍光体発光部4の上面において、励起光を均一に拡散反射することができる。このため、励起光を含んだ照明光の不均一性を好適に抑制することができるという効果が得られる。
【0234】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、
図9および
図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0235】
(照明装置500)
図9は、本実施形態の照明装置500(光源装置)の概略的な構成を示す図である。照明装置500は、蛍光体発光部5(発光部)、半導体レーザ501(励起光源)、凸レンズ502、リフレクタ106、および金属ベース507(反射性部材,遮断部材)を備えている。
【0236】
照明装置500は、蛍光体発光部5から発せられた蛍光を、リフレクタ106によって特定の方向に投光するように構成されている。照明装置500は、自動車用のヘッドライトまたはスポットライト等に好適である。
【0237】
半導体レーザ501は、蛍光体発光部5に含まれる蛍光体粒子を励起する励起光を出射する1個の励起光源である。半導体レーザ501は、2Wの出力を有する波長450nmのレーザ光を励起光として出射する。なお、
図9においても、半導体レーザ501に接続される電源系統の図示が省略されている。
【0238】
半導体レーザ501は、波長450nmにおいてレーザ発振する半導体発光素子である。ここで、従って、半導体レーザ501は、励起光として波長450nmの可視光(青色光)を出射するという点において、実施形態4の半導体レーザ401a〜401cと同様である。
【0239】
本実施形態の照明装置500においても、実施形態4の照明装置400と同様にして、半導体レーザ501から出射される青色の励起光が、蛍光を含んだ白色の照明光の一成分として利用される。
【0240】
なお、半導体レーザ501から出射される励起光の波長は、蛍光体発光部5に含まれる蛍光体粒子の励起波長に応じて適宜選択されてよい。また、半導体レーザ501の個数および出力もまた、照明装置500の仕様に応じて適宜選択されてよい。
【0241】
凸レンズ502は、半導体レーザ501から出射される励起光を集光する。凸レンズ502によって集光された励起光は、蛍光体発光部5に入射する。蛍光体発光部5の詳細な構成については後述する。
【0242】
このようにして、半導体レーザ501から出射された励起光は、蛍光体発光部5に照射される。そして、蛍光体発光部5に含まれる蛍光体粒子が励起光によって励起されることにより、蛍光体発光部5から蛍光が発せられる。
【0243】
リフレクタ106は、蛍光体発光部5から発せられた蛍光を特定の方向に向けて反射する。リフレクタ106によって反射された蛍光は、照明装置500の外部に出射される。
【0244】
金属ベース507は、蛍光体発光部5の側面を保持するために設けられている。金属ベース507は、例えばアルミニウムまたはステンレスから成る。なお、照明装置500において、金属ベース507は、蛍光体発光部5の側面を保持するとともに、リフレクタ106を支持している。
【0245】
本実施形態の照明装置500においても、実施形態2および3の照明装置200および300と同様にして、リフレクタ106ではなく投光用レンズ206を用いて、投光光学系を構成することも可能である。また、実施形態4の照明装置400と同様にして、リフレクタ106および投光用レンズ206とを組み合わせて、投光光学系を構成することも可能である。
【0246】
(蛍光体発光部5)
図10の(a)〜(c)は、蛍光体発光部5の構成を示す図である。
図10の(a)は、蛍光体発光部5の上面図である。また、
図10の(b)は、蛍光体発光部5の側面断面図である。また、
図10の(c)は、
図10の(b)に示された側面断面図の一部(D5)の拡大図である。
【0247】
蛍光体発光部5は、
図10の(b)に示すように、2つの蛍光体層50a(第1層)および50b(第2層)を備えている。そして、蛍光体層50aおよび50bは、上側から順に積層されている。
【0248】
ここで、上側とは、蛍光を含んだ照明光が、蛍光体発光部5から主として出射される面の側を意味している。最も上側の蛍光体層50aは、最上層の蛍光体層とも呼称される。照明装置500において、蛍光体発光部5の最上層の蛍光体層50aに対向して、投光光学系としてのリフレクタ106が設けられている。
【0249】
最上層(第1層)である蛍光体層50aは、緑色発光蛍光体粒子(第1蛍光体粒子)(β−SiAlON蛍光体)を含んでいる。蛍光体層50aの平均層厚は、20μmである。β−SiAlON蛍光体は、ピーク波長(第1ピーク波長)が約540nmである緑色の蛍光を発する。
【0250】
また、下層(第2層)の蛍光体層50bは、赤色発光蛍光体粒子(第2蛍光体粒子)(CASN蛍光体)を含んでいる。蛍光体層50bの平均層厚は、40μmである。CASN蛍光体は、ピーク波長(第2ピーク波長)が約650nmである赤色の蛍光を発する。
【0251】
蛍光体層50aおよび50bのそれぞれは、直径約10μm以下の蛍光体粒子を含んだ板状のセラミックとして製作されている。
【0252】
また、励起光の照射による特性劣化を防ぐために、蛍光体層50aおよび50bのそれぞれは、有機物が含まれないように製作されている。
【0253】
蛍光体層50aおよび50bのそれぞれは、自身が含んでいる蛍光体粒子の直径よりも厚い平均層厚を有している。そして、上層の蛍光体層から、下層の蛍光体層を見ることができないように、蛍光体層50aおよび50bのそれぞれが構成されている。
【0254】
例えば、
図10の(a)に示されるように、上側から蛍光体層50aを見た場合には、蛍光体層50aのみが見え、蛍光体層50bは見えない。このように、最上層の蛍光体層50aから、下層の蛍光体層50bを見ることができないように、蛍光体層50aおよび50bのそれぞれの内部に蛍光体粒子が配列されている。
【0255】
図10の(a)に示されるように、蛍光体層50aおよび50bの上面は、直径2.0mmの円形形状に形成されている。
【0256】
そして、
図10の(b)に示されるように、蛍光体層50aおよび50bの側面(周囲)は、金属ベース507によって保持されている。本実施形態における金属ベース507は、上述の実施形態1〜4に示された反射性部材(遮断部材)として機能する。
【0257】
図10の(c)は、
図8の(b)において、(i)蛍光体層50aおよび50bと、(ii)金属ベース507との界面の近傍の領域D5を拡大した図である。
【0258】
図10の(c)に示されるように、蛍光体層50aの上面には、Ra=1μm程度の凹凸構造が設けられている。また、蛍光体層50bの下面にも、Ra=1μm程度の凹凸構造が設けられている。
【0259】
なお、蛍光体層50aの上面は、蛍光体発光部5の上面を構成している面を意味する。また、蛍光体層50bの下面は、蛍光体発光部5の上面から最も遠い面を意味する。
【0260】
さらに、蛍光体層50aおよび蛍光体層50bのそれぞれにおいて、蛍光体粒子間に空隙が設けられている。
図10の(c)に示されるように、蛍光体層50aには、空隙50ahが存在している。また、蛍光体層50bには、空隙50bhが存在している。
【0261】
蛍光体層50aおよび蛍光体層50bのそれぞれにおいて、蛍光体粒子同士、または蛍光体粒子と下地材料とは、例えばSiO
2またはTiO
2を主成分とする結着剤によって固着されている。
【0262】
しかしながら、結着剤が蛍光体粒子間の隙間を完全に埋めてしまわないように、蛍光体粒子同士、または蛍光体粒子と下地材料とが接する部分にのみ結着材が存在するように、結着材を塗布することにより、空隙50ahおよび空隙50bhを設けることができる。これは、原料となる蛍光体粒子と結着材との混合比を適切に調整することにより実現することができる。
【0263】
さらに、蛍光体層50aと蛍光体層50bとの界面にも、Ra=1μm程度の凹凸構造が設けられている。
【0264】
蛍光体層50aと蛍光体層50bとの界面に凹凸構造が存在していることにより、実施形態2の蛍光体発光部2と同様にして、蛍光体層50bから入射された蛍光が、蛍光体層50aにおいてさらに均一に分布するという効果が得られる。
【0265】
半導体レーザ501からの励起光が、蛍光体層50bに照射されることにより、蛍光体層50aおよび50bにそれぞれ含まれた蛍光体粒子が励起される。
【0266】
このため、蛍光体発光部5の上面から出射され、観察者の目に入るまでの過程において、(i)蛍光体層50aからの緑色の蛍光と、(ii)蛍光体層50bからの赤色の蛍光と、(iii)蛍光体層50aおよび50b内において散乱されつつ、蛍光体層50aおよび50bを透過した青色の励起光とが混合され、均一な白色光が得られる。当該白色光は、照明装置500から出射される照明光として用いられる。
【0267】
蛍光体発光部5において、蛍光体層50aに含まれる緑色発光蛍光体粒子は、蛍光体層50bから発せられた赤色の蛍光を吸収せずに透過させる。
【0268】
従って、上側から順に蛍光体層50aおよび50bを積層させることにより、蛍光体層50bから発せられる赤色の蛍光が、上部に設けられた蛍光体層50aに吸収されることなく、蛍光体発光部5の外部に出射される。このため、蛍光体発光部5の上面から、均一かつ効率的に白色光を取り出すことができる。
【0269】
(照明装置500の効果)
本実施形態の照明装置500によれば、実施形態1の照明装置100と同様に、複数の蛍光体層50aおよび50bを含んだ蛍光体発光部5の上面から、不均一性が抑制された照明光としての白色光を、均一かつ効率的に取り出すことができる。
【0270】
蛍光体発光部5では、(i)緑色の蛍光を発する蛍光体層50aと、(ii)赤色の蛍光を発する蛍光体層50bとが、上側から順に積層されている。換言すれば、より短い波長を有する蛍光を発する蛍光体層50aが上側に、より長い波長を有する蛍光を発する蛍光体層50bが下側に位置するように、蛍光体層50aと50bとが積層されている。
【0271】
このため、下側の蛍光体層50bで発せられた赤色の蛍光は、上側の蛍光体層50aにおいて吸収されることなく、蛍光体発光部5の上面から外部へ出射される。
【0272】
従って、蛍光体発光部5の上面では、(i)蛍光体層50aからの緑色の蛍光と、(ii)蛍光体層50bからの赤色の蛍光とが、一様に混合される。さらに、青色の励起光が蛍光体層50aおよび50b内において散乱されつつ、蛍光体層50aおよび50bを透過する。
【0273】
この結果、蛍光体発光部5の上面から出射され、観察者の目に入るまでの過程において、当該蛍光は、上述の緑色の蛍光および黄色の蛍光と混合される。
【0274】
また、蛍光体発光部5の端部において、蛍光体層50aおよび50bのそれぞれの側面から、それぞれ異なる色の蛍光が分離されて出射されることが防止される。そして、蛍光体発光部5の上面から均一な白色光が得られる。
【0275】
なお、本実施形態の蛍光体発光部5は、実施形態2の蛍光体発光部2と同様に、透過型の発光部である。他方、実施形態1の蛍光体発光部1、実施形態3の蛍光体発光部3、および実施形態4の蛍光体発光部4は、反射型の発光部である。
【0276】
本実施形態の蛍光体発光部5は、透過型の発光部であり、上側の蛍光体層50aから下側の蛍光体層50bが露出しないことが好ましい。このため、上側の蛍光体層50aにおいて、蛍光体粒子が高密度に含有され、蛍光体粒子間の隙間が少ないことが好ましい。
【0277】
なお、発光効率および放熱性がさらに優れた蛍光体発光部を実現するために、蛍光体発光部5を反射型の発光部として構成してもよい。この場合には、照明装置500の構成も、反射型の発光部に適した構成とすればよい。
【0278】
〔実施形態6〕
本発明の他の実施形態について、
図11および
図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0279】
(照明装置600)
図11は、本実施形態の照明装置600(光源装置)の概略的な構成を示す図である。照明装置600は、蛍光体発光部6(発光部)、半導体レーザ401a〜401c、凸レンズ402a〜402c、光ファイバ103、折り返しミラー104、凸レンズ105、リフレクタ106(投光光学系)、および金属ベース107を備えている。
【0280】
すなわち、本実施形態の照明装置600は、実施形態1の照明装置100における半導体レーザ101a〜101eおよび凸レンズ102a〜102eを、実施形態4の照明装置400における半導体レーザ401a〜401cおよび凸レンズ402a〜402cにそれぞれ置き換えることによって得られる構成である。
【0281】
従って、本実施形態の照明装置600においても、実施形態4の照明装置400と同様に、半導体レーザ401a〜401cから出射される青色の励起光が、蛍光を含んだ白色の照明光の一成分として利用される。
【0282】
(蛍光体発光部6)
図12の(a)〜(c)は、蛍光体発光部6の構成を示す図である。
図12の(a)は、蛍光体発光部6の上面図である。また、
図12の(b)は、蛍光体発光部6の側面断面図である。また、
図12の(c)は、
図12の(b)に示した側面断面図の一部(D6)の拡大図である。
【0283】
蛍光体発光部6は、
図12の(b)に示すように、散乱体層60aおよび蛍光体層60bを備えている。そして、散乱体層60aおよび蛍光体層60bは、上側から順に積層されている。
【0284】
ここで、上側とは、蛍光を含んだ照明光が、蛍光体発光部6から主として出射される面の側を意味している。照明装置600において、蛍光体発光部6の最上層の散乱体層60aに対向して、投光光学系としてのリフレクタ106が設けられている。
【0285】
散乱体層60aは、TiO
2粒子(散乱体粒子)を含んでいる。散乱体層60aの平均層厚は、20μmである。
【0286】
蛍光体層60bは、黄色発光蛍光体粒子(YAG:Ce蛍光体)を含んでいる。蛍光体層60bの平均層厚は、40μmである。YAG:Ce蛍光体は、ピーク波長が約490nmである黄色の蛍光を発する。
【0287】
上述のように、散乱体層60aには、単一の散乱体粒子が含まれている。また、蛍光体層60bには、単一の蛍光体粒子が含まれている。
【0288】
散乱体層60aにおいて、直径約1μm以下の散乱体粒子同士、または散乱体粒子と下地の材料とが、SiO
2またはTiO
2から成るバインダ材料によって固着されている。また、蛍光体層60bにおいて、直径約10μm以下の蛍光体粒子同士、または蛍光体粒子と下地の材料とが、SiO
2またはTiO
2から成るバインダ材料によって固着されている。
【0289】
なお、励起光の照射による特性劣化を防ぐために、散乱体層60aおよび蛍光体層60bのそれぞれは、有機物が含まれないように製作されている。
【0290】
散乱体層60aは、自身が含んでいる散乱体粒子の直径よりも厚い平均層厚を有している。また、蛍光体層60bは、自身が含んでいる蛍光体粒子の直径よりも厚い平均層厚を有している。
【0291】
そして、上層の散乱体層60aから、下層の蛍光体層60bを見ることができないように、散乱体層60aおよび蛍光体層60bのそれぞれが構成されている。例えば、
図12の(a)に示されるように、上側から散乱体層60aを見た場合には、散乱体層60aのみが見え、蛍光体層60bは見えない。
【0292】
換言すれば、下層の蛍光体層60bは、最上層の散乱体層60aによって完全に覆われている。そのため、散乱体層60aに含まれている散乱体粒子の隙間からは、蛍光体層60bに含まれている蛍光体粒子が見えない。このように、最上層の散乱体層60aから、下層の蛍光体層60bを見ることができないように、散乱体層60aの内部には散乱体粒子が、蛍光体層60bの内部には蛍光体粒子が、それぞれ配列されている。
【0293】
図12の(a)に示されるように、散乱体層60aおよび蛍光体層60bは、0.2mm×0.5mmの矩形形状に形成されている。
【0294】
そして、
図12の(b)に示されるように、散乱体層60aおよび蛍光体層60bの側面(周囲)は、吸収性部材61(遮断部材)によって被覆されている。なお、
図12の(c)は、
図12の(b)において、(i)散乱体層60aおよび蛍光体層60bと、(ii)吸収性部材61との界面の近傍の領域D6を拡大した図である。
【0295】
吸収性部材61は、カーボンを含んだ黒色の部材である。そして、散乱体層60a、蛍光体層60b、および吸収性部材61は、実施形態1と同様の金属基板12の表面に形成されている。
【0296】
さらに、
図12の(c)に示されるように、散乱体層60aと蛍光体層60bとの界面には、Ra=1μm程度の凹凸構造が設けられている。
【0297】
散乱体層60aと蛍光体層60bとの界面に凹凸構造が存在していることにより、実施形態2の蛍光体発光部2と同様にして、蛍光体層60bから入射された蛍光が、散乱体層60aにおいてさらに均一に分布するという効果が得られる。
【0298】
半導体レーザ401a〜401cからの励起光が、散乱体層60aに照射されることにより、散乱体層60aにおける励起光の散乱が生じ、蛍光体層60bに含まれた蛍光体粒子が励起される。
【0299】
このため、蛍光体発光部6の上面から出射され、観察者の目に入るまでの過程において、(i)散乱体層60aの上面において拡散反射された青色の励起光と、(ii)蛍光体層60bからの黄色の蛍光とが混合され、均一な白色光が得られる。当該白色光は、照明装置600から出射される照明光として用いられる。なお、散乱体層60aの上面は、蛍光体発光部6の上面を構成している面を意味する。
【0300】
なお、本実施形態の照明装置600の構成は、以下のようにも表現できる。
【0301】
すなわち、本発明の一態様に係る光源装置は、光を散乱させる散乱体粒子を含む第1層と、励起光を受けて蛍光を発する蛍光体粒子を含む第2層と、が積層された発光部を備えており、上記蛍光体粒子が発した蛍光を含む光を、照明光として出射し、上記照明光が主として出射される上記発光部の面を上面として、上記発光部の、上記上面に対しての側面には、当該側面から上記蛍光が漏れることを防止する遮断部材が設けられている。
【0302】
(照明装置600の効果)
本実施形態の照明装置600によれば、実施形態1の照明装置100と同様に、蛍光体発光部6の上面から、不均一性が抑制された照明光としての白色光を、均一かつ効率的に取り出すことができる。
【0303】
蛍光体発光部6では、散乱体層60aおよび蛍光体層60bの側面は、吸収性部材61によって被覆されている。このため、蛍光体層60bの側面に向かう蛍光を吸収することができる。
【0304】
従って、蛍光体発光部6の端部において、散乱体層60aおよび蛍光体層60bのそれぞれの側面から、蛍光が分離されて出射されることが防止され、蛍光体発光部4の発光形状が所望の形状になる。
【0305】
また、励起光が散乱体層60aの領域からはみ出して照射された場合には、当該励起光は、吸収性部材61の上面によって吸収される。従って、蛍光体発光部6の上面において、励起光の過剰な散乱または反射が生じることが防止され、照明光の不均一性をさらに抑制することができる。
【0306】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る光源装置(照明装置100)は、励起光を受けて第1ピーク波長を有する蛍光を発する第1蛍光体粒子を含む第1層(蛍光体層30a)と、上記励起光を受けて上記第1ピーク波長とは異なる第2ピーク波長を有する蛍光を発する第2蛍光体粒子を含む第2層(蛍光体層30b)と、が積層された発光部(蛍光体発光部1)を備えており、上記第1蛍光体粒子および上記第2蛍光体粒子のそれぞれが発した蛍光を含む光を、照明光として出射し、上記照明光が主として出射される上記発光部の面を上面として、上記発光部の、上記上面に対しての側面には、当該側面から上記蛍光が漏れることを防止する遮断部材(反射性部材11)が設けられている。
【0307】
上記の構成によれば、発光部が反射型である場合には、第1層および第2層のそれぞれは、照明光を構成する一波長成分となる第1ピーク波長および第2ピーク波長を有する蛍光を発する。そして、第1層および第2層のうち、発光部の上面により近い層は、発光部のより遠い層から発せられた蛍光を散乱させることができる。
【0308】
このことは、反射型の発光部および透過型の発光部の両方の場合において成り立つ。なお、反射型の発光部とは、励起光が主に入射する面と、蛍光が外部に主に出射される面とが同一の面である発光部を意味する。また、反射型の発光部とは、励起光が主に入射する面と、蛍光が外部に主に出射される面とが対向している発光部を意味する。
【0309】
そして、遮断部材が設けられていることにより、蛍光が発光部の側面から外部に放出されることが防止され、発光部の端部において、第1層および第2層のそれぞれの側面から、それぞれ異なる色の蛍光が分離されて出射されることが防止される。また、発光部の発光形状を所望の形状とすることができる。
【0310】
従って、発光部を上面から見た場合には、第1ピーク波長を有する蛍光と第2ピーク波長を有する蛍光とがほぼ均一に混合された照明光が観察される。それゆえ、発光部の上面から照明光を均一に取り出すことができるため、不均一性が抑制された照明光を得ることができるという効果を奏する。
【0311】
また、本発明の態様2に係る光源装置は、上記態様1において、上記遮断部材は、上記側面から出射される上記蛍光を当該発光部の内部に向けて反射する反射性部材であることが好ましい。
【0312】
上記の構成によれば、反射性部材によって、発光部の側面から出射される蛍光の一部は、照明光が出射される発光部の上面へと反射される。それゆえ、発光部の発光効率が向上するという効果を奏する。
【0313】
また、本発明の態様3に係る光源装置は、上記態様1または2において、上記第1層の上面には、上記蛍光の散乱を生じさせる凹凸構造が形成されていることが好ましい。
【0314】
上記の構成によれば、第1層において、発光部の上面に最も近接した面(すなわち、第1層の上面)から、第1ピーク波長を有する蛍光と第2ピーク波長を有する蛍光のそれぞれが、ピーク波長に応じて異なる方向に拡散される。それゆえ、照明光に含まれる蛍光をより均一に混合することができるという効果を奏する。
【0315】
また、本発明の態様4に係る光源装置は、上記態様1から3のいずれか1つにおいて、上記第1層と上記第2層との界面には、上記蛍光の散乱を生じさせる凹凸構造が形成されていることが好ましい。
【0316】
上記の構成によれば、第2層から第1層に向けて出射された蛍光は、第1層と第2層との界面において散乱される。
【0317】
従って、第2層に含まれている第2蛍光体粒子の配置とは無関係に、第2層からの蛍光を、第1層に入射させることができる。それゆえ、照明光に含まれる蛍光をより均一に混合することができるという効果を奏する。
【0318】
また、本発明の態様5に係る光源装置は、上記態様1から4のいずれか1つにおいて、上記第1層に含まれる複数の上記第1蛍光体粒子間に、空隙(30ah)が設けられていることが好ましい。
【0319】
上記の構成によれば、空隙と第1蛍光体粒子との界面において、大きな屈折率の差が生じる。このため、当該界面において、第1層において発せられた蛍光には、屈折率の差に起因した散乱または屈折が引き起こされる。それゆえ、発光部における蛍光の混合が促進されるという効果を奏する。
【0320】
また、本発明の態様6に係る光源装置は、上記態様1から5のいずれか1つにおいて、上記第2層に含まれる複数の上記第2蛍光体粒子間に、空隙(30bh)が設けられていることが好ましい。
【0321】
上記の構成によれば、上述の態様と同様に、第2層において発せられた蛍光にも、屈折率の差に起因した散乱または屈折が引き起こされる。それゆえ、発光部における蛍光の混合が促進されるという効果を奏する。
【0322】
また、本発明の態様7に係る光源装置は、上記態様1から6のいずれか1つにおいて、上記第1層は、上記蛍光を散乱させる散乱体粒子を含んでいることが好ましい。
【0323】
上記の構成によれば、発光部における蛍光の混合が促進されるという効果を奏する。
【0324】
また、本発明の態様8に係る光源装置は、上記態様1から7のいずれか1つにおいて、上記第1層は、上記上面に最も近接した蛍光体層であり、上記第1層の層厚は、上記第2層の層厚よりも大きいことが好ましい。
【0325】
上記の構成によれば、発光部の上面に最も近接した蛍光体層である第1層において、第2層から発せられた第2ピーク波長を有する蛍光の散乱を促進させることができる。それゆえ、発光部における蛍光の混合が促進されるという効果を奏する。
【0326】
また、本発明の態様9に係る光源装置は、上記態様1から8のいずれか1つにおいて、上記第1層は、上記上面に最も近接した蛍光体層であり、上記第1層における上記第1蛍光体粒子の体積含有率は、上記第2層における上記第2蛍光体粒子の体積含有率よりも大きいことが好ましい。
【0327】
上記の構成によれば、上述の態様と同様に、第1層において、第2層から発せられた第2ピーク波長を有する蛍光の散乱を促進させることができる。それゆえ、発光部における蛍光の混合が促進されるという効果を奏する。
【0328】
また、本発明の態様10に係る光源装置は、上記態様1から9のいずれか1つにおいて、上記第1層は、上記上面に最も近接した蛍光体層であり、上記第1ピーク波長は、上記第2ピーク波長よりも短いことが好ましい。
【0329】
上記の構成によれば、第1層および第2層における蛍光の自己吸収に伴う損失を抑制することができるという効果を奏する。
【0330】
また、本発明の態様11に係る光源装置は、上記態様1から10のいずれか1つにおいて、上記照明光は、可視光としての上記励起光をさらに含んでいてもよい。
【0331】
上記の構成によれば、蛍光を含んだ照明光の一成分として、可視光としての励起光をも利用することができるという効果を奏する。
【0332】
また、本発明の態様12に係る光源装置は、上記態様1から11のいずれか1つにおいて、上記発光部において、上記励起光が主に入射する面と、上記蛍光が外部に主に出射される面とが同一の面であってもよい。
【0333】
上記の構成によれば、発光部を反射型の構成によって実現することができるという効果を奏する。発光部を反射型の構成にすることにより、発光効率および放熱性に優れた発光部を実現することができるという利点が得られる。
【0334】
また、本発明の態様13に係る光源装置は、上記態様1から11のいずれか1つにおいて、上記発光部において、上記励起光が主に入射する面と、上記蛍光が外部に主に出射される面とが対向していてもよい。
【0335】
上記の構成によれば、発光部を透過型の構成によって実現することができるという効果を奏する。
【0336】
また、本発明の態様14に係る光源装置は、上記態様1から13のいずれか1つにおいて、上記遮断部材は、上記励起光を吸収する吸収性部材(41b)を含んでいることが好ましい。
【0337】
上記の構成によれば、励起光が第1層からはみ出して照射された場合においても、当該励起光は、吸収性部材によって吸収される。それゆえ、発光部の上面において、励起光の過剰な散乱または反射が生じることが防止され、照明光の不均一性をさらに抑制することができるという効果を奏する。
【0338】
また、本発明の態様15に係る照明装置(100)は、上記態様1から14のいずれか1つに係る光源装置と、上記励起光を発する励起光源(半導体レーザ101a〜101e)と、上記照明光を所定の方向に投光する投光光学系(リフレクタ106)と、を備えていることが好ましい。
【0339】
上記の構成によれば、励起光源からの励起光を光源装置の発光部に照射することによって得られた照明光を、投光光学系によって特定の方向に投光することが可能な照明装置を実現することができるという効果を奏する。当該照明装置は、例えば、自動車用のヘッドライトに利用されてよい。
【0340】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0341】
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0342】
すなわち、本発明の一態様に係る光源装置は、励起光源としての半導体レーザ素子と、蛍光体粒子を含む発光部と、を有する照明装置であって、発光部は、一種類の蛍光体粒子Aを含む層Aと、蛍光体粒子A以外の蛍光体粒子Bを含む層Bと、が積層されたものであり、層Aから外部へ取り出される蛍光体粒子からの発光を照明光として用い、層Aの全面が励起光によって励起され、発光部の側面が外部に露出しない構成とされた構成を含む。
【0343】
また、本発明の一態様に係る光源装置において、発光部の側面に当接して、発光部から発せられた蛍光を反射する部材が設けられている。
【0344】
また、本発明の一態様に係る光源装置において、発光部の周囲に、励起光を吸収する部材が設けられている。
【0345】
また、本発明の一態様に係る光源装置において、発光部の最上層にRa1μm以上の凹凸がある。
【0346】
また、本発明の一態様に係る光源装置は、発光部の内部に空隙を有する。
【0347】
また、本発明の一態様に係る光源装置において、複数の蛍光体層の界面にRa1μm以上の凹凸がある。
【0348】
また、本発明の一態様に係る光源装置は、最上層に蛍光体粒子と散乱体粒子とを含む。
【0349】
また、本発明の一態様に係る光源装置において、最上層が最も厚い。
【0350】
また、本発明の一態様に係る照明装置は、本発明の一態様に係る光源装置と、当該光源装置における蛍光体発光部の表面の光源像を拡大投影する投光光学系と、を備える。