(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の紙葉類処理システムを、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の紙葉類処理システム1の一例を示す概略図である。実施形態に係る紙葉類処理装置10では、紙葉類として、例えば、紙幣Pが処理される。以下、紙葉類が紙幣Pである例について説明するが、紙葉類は紙幣Pに限られない。
紙葉類処理システム1は、紙葉類処理装置10と、複数の外部装置であるコンピュータ(以下、CPという)21,22,23,24とを備える。紙葉類処理装置10は、紙葉類処理装置10を統括的に制御する制御部101を備える。紙葉類処理装置10は、制御部101を介してCP21〜24と、通信可能に接続されている。
CP21〜24は、一般的なパーソナルコンピュータが利用可能である。CP21〜24には、それぞれ、紙葉類処理装置10において検出されたデータに基づく所定の処理を実行するためのプログラムがインストールされている。実施形態において、CP21〜24には、紙幣Pの券種判定、真偽判定、正損判定等の紙葉類処理を実行するための同じプログラムがインストールされている。なお、CP21〜CP24をまとめて、CP20という。
【0008】
紙葉類処理装置10は、メインユニット100と、施封ユニット200とを備える。
メインユニット100は、供給部から供給される紙幣Pを搬送しながら、紙幣Pの画像を撮影し、紙幣Pの測定を行う。メインユニット100は、撮影した画像及び測定結果をCP20に出力する。CP20は、メインユニット100から入力した情報に基づき、券種判定、真偽判定、正損判定等を行い、判定結果をメインユニット100に出力する。メインユニット100は、CP20による判定結果に基づき、紙幣Pを区分する。
【0009】
具体的に説明すると、メインユニット100は、CP20の真偽判定において偽券と判定された紙幣Pや、搬送状態が基準姿勢からずれている紙幣P等を、リジェクト券として回収する。メインユニット100は、CP20の正損判定において損券と判定された紙幣Pを消却する。メインユニット100は、CP20の真偽判定において真券と判定され、正損判定において正券と判定された正券を、施封ユニット200に搬出する。
【0010】
実施形態において、リジェクト券には、偽券と判定された券、折れ又は破れが発見された券、スキューや2枚取りなどにより真偽が判別不能な券と判定された券等が含まれる。スキューとは、搬送方向に対して、紙幣Pが斜めに傾斜している状態(つまり、まがった姿勢で搬送されている状態)をいう。
施封ユニット200は、メインユニット100によって正券と判定された紙幣Pをメインユニット100から受け入れる。施封ユニット200は、受け入れた紙幣Pを所定枚数ずつ施封し、処理券の把を収容部に収容する。
【0011】
以下、各ユニットの構成について詳細に説明する。
メインユニット100は、制御部101と、供給部102と、供給機構103と、搬送機構104と、検出装置105と、リジェクト部106と、集積部107と、タイミングセンサ108と、を備える。メインユニット100は、供給機構103、搬送機構104、検出装置105、リジェクト部106、集積部107、タイミングセンサ108等を駆動する図示しない駆動機構および電源、その他、種々のセンサを備えている。
【0012】
制御部101は、例えば、メインユニット100内の制御ボードに設けられている。制御部101は、メインユニット100および施封ユニット200のそれぞれの動作を制御するCPUと、種々のデータ、制御プログラム、管理情報等を格納するメモリとを備える。制御部101は、CP20との間で情報の送受信や、情報整理等を行う。
【0013】
供給部102は、多数枚の紙幣Pを積層状態で収容し、例えば、2000枚以上の紙幣Pを積層状態で収容することができる。供給部102は、垂直面に対して所定角度傾斜する支持面102aと、供給部102の最下部であって支持面102aと直交に交わる載置面102bとを備える。紙幣Pは、載置面102b上に載置されている。紙幣Pは、例えば紙幣Pの長辺側の側縁が支持面102a上に接する状態で供給部102に収容される。
供給機構103は、ピックアップローラ等を備え、供給部102の最下部から紙幣Pを1枚ずつ取り出し、搬送機構104に搬出する。
【0014】
搬送機構104は、供給機構103によって取り出された紙幣Pを一枚ずつ所定の搬送路に沿って搬送する。搬送機構104は、例えば、搬送物を挟むように延設されている複数組の図示しない無端状の搬送ベルトによって構成される。供給機構103によって取り出された紙幣Pは、搬送ベルトに挟持されて、搬送路の上流側から下流側に向かって搬送される。搬送機構104による搬送路は、供給機構103によって供給部102から紙幣Pが取り出される地点を上流側として、検出装置105を通過し、リジェクト部106および集積部107側を下流側とする。搬送機構104による搬送路は、下流側において、リジェクト部106に連結する流路と、集積部107に連結する流路に分岐している。
【0015】
検出装置105は、搬送機構104によって送られてきた紙葉類を検出する。また、検出装置105は、紙幣Pの券種(種類)、形状、厚さ、表裏、真偽、正損、2枚取り等を判定するための情報を検出し、検出結果を制御部101に出力する。実施形態において、検出装置105は、表面カメラ151と、裏面カメラ152と、センサ153〜155とを備える。センサ153〜155は、例えば、物理的特性を検出する物理的特性検出手段や磁気検出手段等を含む。表面カメラ151と裏面カメラ152は、搬送方向に沿って移動する紙幣Pのそれぞれ異なる面を撮影する位置に設置されている。ここでいう紙幣Pの表面と裏面は、搬送される紙幣Pの向きに応じて決定する面であって、表面カメラ151により撮影される面を表面、裏面カメラ152により撮影される面を裏面とする。
【0016】
紙幣Pの券種判定とは、紙幣Pに印刷されている模様に基づき紙幣Pの種類(千円札、五千円札、一万円札等)がいずれであるのかを検出する処理である。真偽判定とは、紙幣Pのホログラムからの反射光や透かしからの透過光に基づき紙幣Pが真券であるか又は偽券であるかを判定する処理である。正損判定とは、紙幣Pを撮影した画像に基づき紙幣Pの汚損度合いが基準値よりも高いか否かを判定し、紙幣Pが正券であるか又は損券であるかを判定する処理である。なお、正券とは、汚損度合いが基準値よりも低く再流通可能な紙幣をいう。損券とは、汚損度合いが基準値よりも高く再流通不可能な紙幣をいう。
【0017】
リジェクト部106は、検出装置105の検出結果に基づき制御部101によりリジェクト券と判定された紙葉類を回収する。リジェクト部106は、リジェクト券と判定された紙幣Pを、リジェクト券回収箱106a又は106bに搬出する。リジェクト部106は、制御部101の指示により、偽券と判定されたリジェクト券をリジェクト券回収箱106aに搬出し、偽券と判定されていないリジェクト券(例えば、スキューした紙幣P等)をリジェクト券回収箱106bに搬出するようにしてもよい。
【0018】
集積部107は、検出装置105の検出結果に基づき正券と判定された紙幣Pを、紙幣Pの種類に応じて、紙幣Pの種類ごとに用意された集積箱107a,107b,107cに搬出する。これら集積箱107a,107b,107cは、一列に並んで配置されており、例えば、千円札、五千円札、一万円札をそれぞれ収容する収集箱である。また、集積部107は、検出装置105の検出結果に基づき正券と判定された紙幣Pのうち損券を、集積箱107dに搬出する。
タイミングセンサ108は、紙幣Pの搬送路において検出装置105よりも上流側に配置され、検出装置105に進入する紙幣Pを検出する。タイミングセンサ108は、検出装置105に進入する紙幣Pを検出した場合、紙幣Pを検出したことを示す情報を、制御部101に出力する。
【0019】
以下、メインユニット100の動作例について説明する。
供給機構103は、供給部102に収容された紙幣Pを1枚ずつ取り出し、搬送機構104に送り出す。搬送機構104は、供給機構103によって取り出された紙幣Pを、1枚ずつ、検出装置105に送り出す。検出装置105は、搬送機構104により搬送された紙幣Pの種類、正損、真偽、搬送方向を示す情報を検出し、制御部101に出力する。制御部101は、検出装置105の検出結果に基づき、例えば、各紙幣Pの券種判定、真偽判定、正損判定を行う。制御部101は、判定結果に基づき、偽券をリジェクト部106に搬出し、正券を集積部107に搬出するように、搬送機構104を制御する。
【0020】
リジェクト部106は、制御部101による制御に従って、検出装置105によってリジェクト券と判定された紙幣Pを、リジェクト券回収箱106a又は106bに搬出する。
集積部107は、制御部101による制御に従って、正券と判定された紙幣Pを、検出装置105の検出結果に基づき判定された紙幣Pの種類に応じて、集積箱107a,107b,107cに搬出する。なお、検出装置105によって処理券のうち損券と判定された紙幣Pは、集積部107によって集積箱107dに搬出される。
【0021】
CP20は、検出装置105の検出結果に基づき、紙幣Pの券種判定、真偽判定、正損判定等を行う。
例えば、CP20は、紙幣Pを撮影した画像データに基づき、紙幣Pが真券(本物の紙幣)であるか、又は、偽券(偽物の紙幣)であるかを判定する。CP20は、紙幣Pの物理的特性を検出するセンサ153〜155による検出結果に基づき、真偽を判定する。CP20は、例えば、紙幣Pのホログラムからの反射光や透かしからの透過光が、予め決められたパターンの模様である場合、紙幣Pが真券であると判定する。CP20は、例えば、紙幣Pに含有される磁性体量が、予め決められた範囲内の量である場合、紙幣Pが真券であると判定する。
【0022】
また、CP20は、真券と判定された紙幣Pが再流通可能である場合に正券と判定し、再流通不可能である場合に損券と判定する。CP20は、紙幣Pに付着した汚れ、破れ等の汚損を検出する。CP20は、検出した紙幣P上の汚れの範囲の大きさや紙幣Pの汚れの数、破れの大きさや数を示す汚損度合いを求める。CP20は、求めた汚損度合いと基準値とを比較し、汚損度合いが基準値よりも低い場合、正券であると判定する。一方、汚損度合いが基準値よりも高い場合、CP20は、当該紙幣Pが損券であると判定する。
【0023】
実施形態に係る紙葉類処理装置10は、1分間に数千枚の紙幣Pを処理する。よって、CP20による紙幣Pの処理(例えば、券種判定、真偽判定、正損判定等の処理)が遅延すると、紙葉類処理装置10による紙幣Pの処理速度が低下したり、途中で停止する虞がある。紙葉類処理装置10は、紙幣Pの券種判定、真偽判定、正損判定等の処理を複数のCP20に分散させることにより、効率的に紙幣Pを処理するとともに、CP20への処理負荷を軽減することができる。よって、紙葉類処理装置10は、紙幣Pを高速に処理することができる。
【0024】
次に、
図2を参照して、実施形態に係る紙葉類処理装置10の制御部101の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る紙葉類処理装置10の制御部101の構成例を示すブロック図である。
図2に示す通り、制御部101は、メイン基板30と、サブ基板40と、統括制御部50とを備える。統括制御部50は、例えばメイン基板30又はサブ基板40のいずれかに搭載されている。
メイン基板30は、サブコントローラ部301と、サブコントローラ部302と、FPGA(field-programmable gate array)303とを備える。
【0025】
サブコントローラ部301は、FPGA311と、メモリ312とを備える。FPGA311は、表面カメラ151と対応付けられたサブコントローラであって、表面カメラ151からの出力に基づき画像データを生成し、メモリ312に保存する。FPGA311は、1枚分の画像データがメモリ312に保存されたか否かを判定し、1枚分の画像データがメモリ312に保存されたと判定した場合、FPGA303に要求コマンドを出力する。FPGA311は、FPGA303から応答コマンドを入力した場合、メモリ312から画像データを読み出し、FPGA303に出力する。
【0026】
サブコントローラ部302は、FPGA321と、メモリ322とを備える。FPGA321は、裏面カメラ152と対応付けられたサブコントローラであって、裏面カメラ152からの出力に基づき画像データを生成し、メモリ322に保存する。FPGA321は、1枚分の画像データがメモリ322に保存されたか否かを判定し、1枚分の画像データがメモリ322に保存されたと判定した場合、FPGA303に要求コマンドを出力する。FPGA321は、FPGA303から応答コマンドを入力した場合、メモリ322から画像データを読み出し、FPGA303に出力する。
【0027】
FPGA303は、サブコントローラであるFPGA311又はFPGA312から入力する画像データを、CP21〜CP24のうち決められたいずれか1つのCPに転送するメインコントローラである。FPGA303は、FPGA311又はFPGA312から入力する同一の紙幣Pに関する画像データを、CP21〜CP24のうちいずれか1つのCPに転送する。実施形態において、FPGA303は、CP21〜CP24のうちいずれかのCPに対してデータを転送中である場合、データ転送が終了するまで他のデータを転送しない構成となっている。
【0028】
サブ基板40は、サブコントローラ部401を備える。
サブコントローラ部401は、FPGA411と、メモリ412とを備える。FPGA411は、センサ153〜155と対応付けられたサブコントローラであって、センサ153〜155からの出力に基づきセンサデータを生成し、メモリ412に保存する。実施形態において、FPGA411は、例えば、センサ153〜155から出力された1組のセンサデータをまとめて、1つのセンサデータファイルを生成する。FPGA411は、1組のセンサデータをまとめたセンサデータファイルがメモリ412に保存されたか否かを判定し、1組のセンサデータをまとめたセンサデータファイルがメモリ412に保存されたと判定した場合、FPGA303に要求コマンドを出力する。FPGA411は、FPGA303から応答コマンドを入力した場合、メモリ412からセンサデータファイルを読み出し、FPGA303に出力する。
【0029】
FPGA303は、サブコントローラであるFPGA411から入力するセンサデータファイルを、CP21〜CP24のうち決められたいずれか1つのCPに転送するメインコントローラである。FPGA303は、FPGA411から入力する同一の紙幣Pに関する画像データを、CP21〜CP24のうちいずれか1つのCPに転送する。
【0030】
統括制御部50は、表面カメラ151の手前に設置されたタイミングセンサ180が紙幣Pを検出した場合、タイミングセンサ180が検出した一の紙幣Pに対して一の識別情報(以下、紙幣IDという)を割り当てる。統括制御部50は、割り当てた紙幣IDを一斉にFPGA311,321,411に出力する。
統括制御部50は、紙幣Pの搬送順に基づき、画像データ又はセンサデータファイルの転送先を決定し、決定した転送先を示す情報(以下、転送先情報という)を、FPGA311,321,411に出力する。実施形態において、統括制御部50は、1,2,3,4番目にそれぞれ搬送された紙幣P1,P2,P3,P4に関するデータの転送先を、CP21,22,23,24と決定する。続けて、統括制御部50は、5,6,7,8番目にそれぞれ搬送された紙幣P5,P6,P7,P8に関するデータの転送先を、CP21,22,23,24と決定する。なお、転送先がCP21,22,23,24であると決定した場合、統括制御部50は、それぞれ、転送先情報「01」,「02」,「03」,「04」をFPGA311,321,411に出力する。
【0031】
次に、
図3を参照して、メインコントローラ(FPGA303)によるデータの転送例について説明する。
図3は、メインコントローラ(FPGA303)によるデータの転送例について説明するためのタイミング図である。タイミング図は、横軸が時間軸である。
1枚目の紙幣P1が搬送路を搬送されて表面カメラ151による撮影位置に到達した場合、表面カメラ151が紙幣P1を撮影する。サブコントローラ部301のFPGA311は、表面カメラ151からの出力信号に基づき、画像データD11を生成し、メモリ312に蓄積する。画像データD11がメモリ312に蓄積された時刻をT1とする。この時刻T1において、メインコントローラであるFPGA303はデータをCP20に転送していない状態(非転送中)である。よって、FPGA311は、画像データD11をFPGA303に出力する。紙幣P1の搬送順は1番であるため、FPGA303は、FPGA311から入力する画像データD11をCP21に出力する。
【0032】
紙幣P1が搬送路をさらに搬送されて裏面カメラ152による撮影位置に到達した場合、裏面カメラ152が紙幣P1を撮影する。サブコントローラ部302のFPGA321は、裏面カメラ152からの出力信号に基づき、画像データD12を生成し、メモリ322に蓄積する。画像データD12がメモリ322に蓄積された時刻をT2とする。この時刻T2において、メインコントローラであるFPGA303はデータをCP20に転送していない状態(非転送中)である。よって、FPGA321は、画像データD12をFPGA303に出力する。紙幣P1の搬送順は1番であるため、FPGA303は、FPGA321から入力する画像データD12をCP21に出力する。
【0033】
2枚目の紙幣P2が搬送路を搬送されて表面カメラ151による撮影位置に到達した場合、表面カメラ151が紙幣P2を撮影する。サブコントローラ部301のFPGA311は、表面カメラ151からの出力信号に基づき、画像データD21を生成し、メモリ312に蓄積する。画像データD21がメモリ312に蓄積された時刻をT3とする。この時刻T3において、メインコントローラであるFPGA303はデータをCP20に転送していない状態(非転送中)である。よって、FPGA311は、画像データD21をFPGA303に出力する。紙幣P2の搬送順は2番であるため、FPGA303は、FPGA311から入力する画像データD21をCP22に出力する。
【0034】
同様にして、2枚目の紙幣P2が裏面カメラ152により撮影され、画像データD22がメモリ322に蓄積された時刻T4では、FPGA303はデータ転送をしていない状態(非転送中)であるため、FPGA321は、画像データD22をFPGA303に出力する。紙幣P2の搬送順は2番であるため、FPGA303は、FPGA321から入力する画像データD22をCP22に出力する。
3枚目の紙幣P3が表面カメラ151により撮影され、画像データD31がメモリ312に蓄積された時刻T5では、FPGA303はデータ転送をしていない状態(非転送中)であるため、FPGA311は、画像データD31をFPGA303に出力する。紙幣P3の搬送順は3番であるため、FPGA303は、FPGA311から入力する画像データD31をCP23に出力する。
【0035】
1枚目の紙幣P1が搬送路をさらに搬送されてセンサ153〜155による測定位置に到達した場合、センサ153〜155が順番に紙幣P1を測定する。サブコントローラ部401のFPGA411は、センサ153〜155からの出力信号に基づき、各センサからのセンサデータD13〜D15を生成する。FPGA411は、1組のセンサデータD13〜D15をまとめたセンサデータファイルF1を生成し、メモリ412に蓄積する。センサデータファイルF1がメモリ412に蓄積された時刻をT6とする。この時刻T6において、メインコントローラであるFPGA303はデータをCP20に転送している状態(転送中)である。よって、FPGA303は、画像データD31の転送が終了した時刻T7の直後に、センサデータファイルF1を出力するようFPGA411に指示する。FPGA411は、FPGA303の指示に従い、センサデータファイルF1をFPGA303に出力する。紙幣P1の搬送順は1番であるため、FPGA303は、FPGA411から入力するセンサデータファイルF1をCP21に出力する。
【0036】
3枚目の紙幣P3が搬送路をさらに搬送されて裏面カメラ152による撮影位置に到達した場合、裏面カメラ152が紙幣P3を撮影する。サブコントローラ部302のFPGA321は、裏面カメラ152からの出力信号に基づき、画像データD32を生成し、メモリ322に蓄積する。画像データD32がメモリ322に蓄積された時刻をT8とする。この時刻T8において、メインコントローラであるFPGA303はデータをCP20に転送している状態(転送中)である。よって、FPGA303は、センサデータファイルF1の転送が終了した時刻T9の直後に、画像データD32を出力するようFPGA321に指示する。FPGA321は、FPGA303の指示に従い、画像データD32をFPGA303に出力する。紙幣P3の搬送順は3番であるため、FPGA303は、FPGA321から入力する画像データD32をCP23に出力する。
【0037】
次に、
図4を参照して、実施形態に係るサブコントローラ部301による処理の一例について説明する。
図4は、実施形態に係るサブコントローラ部301による処理の一例について説明するためのフローチャートである。なお、サブコントローラ部302も、以下に説明するサブコントローラ部301と同様の処理を実施する。サブコントローラ部302の処理については説明を省略する。
【0038】
表面カメラ151は、搬送機構104によりメインユニット100内の所定の搬送路を搬送される紙幣P1の表面を撮影し、得られた信号を出力する。FPGA311は、表面カメラ151から出力信号を入力する(ステップST101)。
FPGA311は、表面カメラ151からの出力信号をメモリ312に蓄積させる(ステップST102)。そして、FPGA311は、統括制御部50から紙幣IDを取得する(ステップST103)。実施形態において、FPGA311は、表面カメラ151から出力信号を入力した場合、紙幣P1の画像が撮影されたことを判定する。FPGA311は、紙幣P1の紙幣ID「001」を、統括制御部50から取得する。ここで、統括制御部50は、画像データD11の送信先であるCP20を決定し、決定したCP20を示す情報をFPGA311に出力する。統括制御部50は、例えば、1枚目の紙幣P1に関するデータの送信先をCP21に決定し、CP21を示す転送先情報「01」をFPGA311に出力する。
【0039】
画像1枚分の出力信号がメモリ312に蓄積された場合、FPGA311は、メモリ312内に蓄積された出力信号に基づき、1枚分の画像データを生成する。
紙幣P1の1枚分の画像データD11が生成された場合(ステップST104:YES)、FPGA311は、生成した画像データD11をメモリ312に保存するとともに、統括制御部50から受信した紙幣ID「001」に基づき要求コマンドを作成する(ステップST105)。FPGA311は、要求コマンドとして、紙幣P1の表面を撮影した画像データD11の送信を要求することを示す情報を作成する。例えば、FPGA311は、表面カメラ151が撮影した画像であることを示す情報「A」と紙幣ID「001」とを組み合わせた情報「A001」を、要求コマンドとして作成する。
FPGA311は、作成した要求コマンド「A001」を、FPGA303に出力する(ステップST106)。
【0040】
そして、FPGA311は、FPGA303から応答コマンドが入力したか否かを判定する(ステップST107)。応答コマンドが入力した場合(ステップST107:YES)、FPGA311は、メモリ312から紙幣P1の画像データD11を読み出し、読み出した画像データD11に紙幣ID「001」と転送先情報「01」とを対応付けた情報を、FPGA303に出力する(ステップST108)。
【0041】
次に、
図5を参照して、実施形態に係るサブコントローラ部401による処理の一例について説明する。
図5は、実施形態に係るサブコントローラ部401による処理の一例について説明するためのフローチャートである。
センサ153〜155は、搬送機構104によりメインユニット100内の所定の搬送路を搬送される紙幣P1を測定し、得られた信号を出力する。FPGA411は、センサ153〜155から出力される信号を入力する(ステップST201)。
FPGA411は、センサ153〜155から入力する信号をメモリ412に蓄積させる(ステップST202)。FPGA411は、センサ153〜155のそれぞれから入力する信号に基づき、センサデータD13〜D15を生成し、メモリ412に蓄積させる。
【0042】
FPGA411は、統括制御部50から紙幣IDを取得する(ステップST203)。FPGA411は、例えば、紙幣P1の紙幣ID「001」を、統括制御部50から取得する。ここで、統括制御部50は、センサデータD13〜D15の送信先であるCP20を決定し、決定したCP20を示す情報をFPGA411に出力する。統括制御部50は、1枚目である紙幣P1に関するデータの送信先をCP21に決定し、CP21を示す転送先情報「01」をFPGA411に出力する。
【0043】
紙幣P1に関する1組のセンサデータD13〜16がメモリ312に蓄積された場合、FPGA411は、メモリ412内に蓄積されたセンサデータD13〜D15に基づき、1組のセンサデータD13〜D15をまとめたセンサデータファイルF1を生成する。
紙幣P1のセンサデータファイルF1が生成された場合(ステップST204:YES)、FPGA411は、生成したセンサデータファイルF1をメモリ412に保存するとともに、統括制御部50から受信した紙幣ID「001」に基づき要求コマンドを作成する(ステップST205)。FPGA411は、要求コマンドとして、紙幣P1のセンサデータの送信を要求することを示す情報を作成する。例えば、FPGA411は、センサ153〜155が検出したセンサデータであることを示す情報「C」と紙幣ID「001」とを組み合わせた情報「C001」を、要求コマンドとして作成する。
FPGA411は、作成した要求コマンド「C001」を、FPGA303に出力する(ステップST206)。
【0044】
そして、FPGA411は、FPGA303から応答コマンドが入力するか否かを判定する(ステップST207)。応答コマンドが入力した場合(ステップST207:YES)、FPGA411は、メモリ412から紙幣P1のセンサデータファイルF1を読み出し、読み出したセンサデータファイルF1に紙幣ID「001」と転送先情報「01」とを対応付けた情報を、FPGA303に出力する(ステップST208)。
【0045】
次に、
図6を参照して、実施形態に係るメインコントローラ(FPGA303)による処理の一例について説明する。
図6は、実施形態に係るメインコントローラ(FPGA303)による処理の一例について説明するためのフローチャートである。
FPGA303は、要求コマンドが入力したか否か判定する(ステップST301)。要求コマンドを入力したことを判定した場合(ステップST301:YES)、FPGA303は、CP21〜24のいずれかにデータを転送中であるか否かを判定する(ステップST302)。
CP21〜24のいずれかにデータを転送中でないと判定した場合(ステップST302:NO)、FPGA303は、要求コマンドを送信したサブコントローラ(FPGA311,321,411)に対して、データの出力を許可することを示す応答コマンドを出力する(ステップST303)。
そして、FPGA303は、応答コマンドを出力したサブコントローラ(FPGA311,321,411)から転送先情報を取得し(ステップST304)、取得した転送先情報に基づき、サブコントローラ(FPGA311,321,411)からのデータを転送するCP20を決定する(ステップST305)。FPGA303は、サブコントローラ(FPGA311,321,411)から取得したデータを、決定したCP20に転送する(ステップST306)。
【0046】
例えば、CP21〜24のいずれかにデータを転送していない状態で、FPGA311から要求コマンドが入力した場合、FPGA303は、FPGA311に対して応答コマンドを出力する。FPGA303から応答コマンドが入力した場合、FPGA311は、例えば、メモリ312から紙幣P1の画像データD1を読み出し、読み出した画像データD1に紙幣ID「001」と転送先情報「01」とを対応付けた情報を、FPGA303に出力する。FPGA303は、FPGA311から入力する転送先情報「01」に基づき、CP21を転送先に決定し、画像データD1をCP21に転送する。
【0047】
一方、ステップST302において、CP21〜24のいずれかにデータを転送中であると判定した場合(ステップST302:YES)、FPGA303は、サブコントローラ(FPGA311,321,411)から複数の要求コマンドを入力したか否かを判定する(ステップST307)。複数の要求コマンドを入力していない場合、FPGA303は、ステップST302に戻って処理を繰り返す。
【0048】
データの転送中に、サブコントローラ(FPGA311,321,411)から複数の要求コマンドを入力した場合、FPGA303は、入力した複数の要求コマンドの中から優先順位が最も高い要求コマンドを決定する(ステップST308)。
そして、FPGA303は、データの転送が終了した場合(ステップST309:YES)、優先順位が最も高いと決定された要求コマンドを出力したサブコントローラ(FPGA311,321,411)に応答コマンドを出力する(ステップST310)。FPGA303は、ステップST304〜306の処理を実行し、優先順位が最も高い要求コマンドを出力したサブコントローラ(FPGA311,321,411)から、データを受け取り、所定のCP20に転送する。
【0049】
FPGA303は、例えば、要求コマンドに含まれる紙幣IDに基づき、優先順位が最も高い要求コマンドを決定する。実施形態において、統括制御部50は、紙幣IDとして、紙幣Pの搬送順に従って順番に昇順する情報が割り当てる。FPGA303は、紙幣IDの番号が最も小さい要求コマンドを、優先順位が最も要求コマンドであると判定する。
【0050】
また、FPGA303は、サブコントローラ(FPGA311,321,411)から入力するデータの種類に応じて、優先順位が最も高い要求コマンドを決定してもよい。例えば、検出装置105に含まれる検出手段のうち、紙幣Pの搬送方向の最も下流側に設けられた検出手段からの要求コマンドを、優先順位が最も高い要求コマンドであると判定してもよい。
実施形態において、FPGA303は、搬送方向の最も下流側に位置されるセンサ155からのセンサデータをFPGA303に出力するFPGA401からの要求コマンドを優先順位が最も高い要求コマンドと判定する。これにより、先に搬送される紙幣Pの処理をCP20に実施させることができる。
【0051】
また、FPGA303は、サブコントローラ(FPGA311,321,411)が同一の紙幣Pに関するデータを出力するタイミングに応じて、優先順位が最も高い要求コマンドを決定してもよい。例えば、サブコントローラ(FPGA311,321,411)のうち、同一の紙幣Pに関するデータ(画像データ又はセンサデータ)を出力するタイミングが最も遅いサブコントローラ(FPGA311,321,411)からの要求コマンドを、優先順位が最も高い要求コマンドであると判定しても良い。
実施形態において、FPGA303は、同一の紙幣Pに関するデータを出力するタイミングが最も遅いサブコントローラであるFPGA411からの要求コマンドを優先順位が最も高い要求コマンドと判定する。これにより、先に搬送される紙幣Pの処理をCP20に実施させることができる。
【0052】
次に、
図7を参照して、実施形態に係るCP20による処理の一例について説明する。
図7は、実施形態に係るCP20による処理の一例について説明するためのフローチャートである。ここでは、CP21による処理を例に説明するが、CP22〜24にもCP21と同じプログラムがインストールされているため、同様の処理を実施する。CP22〜24の処理については説明を省略する。
【0053】
CP21は、表面の画像データを取得したか否かを判定する(ステップST401)。実施形態において、画像データのファイル名に、画像データが表面カメラ151で撮影された画像であるか、あるいは、裏面カメラ152で撮影された画像であるかを示す情報が含まれている。CP21は、画像データのファイル名に基づき、取得した画像データが表面の画像であるか否かを判定する。
取得したデータが表面の画像データであると判定した場合、CP21は、表面の券種判別処理を実行する(ステップST402)。例えば、CP21は、画像データを画像解析して、画像に含まれる模様や色等から、紙幣Pの券種を判定する。
CP21は、裏面の画像データを取得したか否かを判定する(ステップST403)。
取得したデータが裏面の画像データであると判定した場合、CP21は、裏面の券種判別処理を実行する(ステップST404)。
【0054】
次いで、CP21は、センサデータファイルを取得したか否かを判定する(ステップST405)。
センサデータファイルを取得したと判定した場合、CP21は、厚さ検出等の処理を実行する(ステップST406)。なお、ここでは、厚さ検出の処理に限られず、CP21は、真偽判定及び正損判定を実行してもよい。
【0055】
上記実施形態において、サブコントローラはFPGAであると説明したが、これに限られず、CPU(Central Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0056】
上記実施形態において、FPGA303は、サブコントローラ(FPGA311,321,411)から取得したデータをCP20に転送する際、転送するデータに対して要求コマンドを対応付けて転送してもよい。要求コマンドには、転送データが表面カメラ151により撮影された画像であることを示す情報「A」、転送データが裏面カメラ152により撮影された画像であることを示す情報「B」、又は、センサ153〜155により検出されたセンサデータであることを示す情報「C」のいずれかと、紙幣IDとを組み合わせた情報である。よって、FPGA303は、要求コマンドをCP20に送信することにより、CP20は、要求コマンドに基づき、転送データの転送元が検出装置105のうちのいずれかであるのかを判定できる。
【0057】
上記実施形態において、統括制御部50は、転送先情報を各サブコントローラ(FPGA311,321,411)に出力すると説明したがこれに限られない。例えば、統括制御部50は、紙幣IDと転送先情報とを対応付けた情報をメインコントローラであるFPGA303に出力してもよい。この場合、FPGA303は、統括制御部50から受信した情報を内蔵するメモリに記憶しておく。FPGA303は、サブコントローラであるFPGA311,321,411から入力するデータに対応付けられた紙幣IDに対応する転送先情報を内蔵するメモリから検索して、検索により得られた転送先情報が示すCP20に画像データ又はセンサデータを転送する。
【0058】
上記実施形態において、FPGA401は、センサデータをまとめて、1つのセンサデータファイルを生成すると説明したがこれに限られない。同一の紙幣Pに関する1組のセンサデータ同士を同時にFPGA303に出力してもよい。
【0059】
上記実施形態において、紙葉類処理装置10が処理する紙葉類は、紙幣に限られない。例えば、ゲームカード、有価証券等の他の紙葉類であってもよい。
【0060】
上記実施形態において、統括制御部50は、表面カメラ151又は裏面カメラ152により紙幣Pが撮影された場合、又は、センサ153〜155により紙幣Pが測定された場合、一の紙幣Pに対して一の紙幣IDを割り当ててもよい。
【0061】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、同一の紙幣に関する画像データ及びセンサデータを、サブコントローラであるFPGA311,321,411から入力し、複数のCP21〜24のうち指定された一つのCPに転送するメインコントローラであるFPGA303を持つことにより、効率的に処理負荷を分散することができる。
【0062】
また、同一の紙幣Pに関する画像データとセンサデータを一のCP20に転送することにより、CP21〜CP24は、紙幣Pに関する全ての処理(券種判定、真偽判定、正損判定等)をそれぞれ実行できる。よって、CP21〜CP24にインストールするプログラムを1つにすることができ、CP20の管理負担が軽減される。また、CP21〜CP24は、検出装置105からの検出結果に基づき、一の紙幣Pに関する判定を総合的に行うことができる。
【0063】
また、メインコントローラであるFPGA411は、搬送順が前後する異なる紙幣Pに関する画像データ及びセンサデータを、それぞれ異なるCP20に転送する。これにより、一つのCP20に処理が集中することを防止し、均等に処理負荷を分散することができる。
【0064】
また、サブコントローラ部301,302,401は、それぞれ、メインコントローラであるFPGA303に転送するデータを保存しておくメモリ312,322,412を備える。これにより、サブコントローラ部301,302,401がメインコントローラにデータ転送するタイミングを調整することができる。
【0065】
また、紙幣Pが搬送される間隔は均一でなく、検出装置105が紙幣Pを検出する間隔もばらつきがある。この場合、サブコントローラ部301,302,401に検出結果が入力するタイミングは紙幣Pの搬送タイミングに依存するため、間隔にばらつきが生じる。これにより、データ転送中に、メインコントローラであるFPGA303に複数の要求コマンドが入力される可能性がある。FPGA303は、複数の要求コマンドが入力された場合であっても、先に搬送される紙幣Pに関する情報を、後から搬送される紙幣Pに関する情報に比べて優先して、CP20に転送する。よって、CP20は、搬送された順番に応じて紙幣Pの処理を実行し、処理結果を制御部101に返すことができる。
【0066】
また、統括制御部50は、同一の紙幣に関する画像データ及びセンサデータに対して、同一の識別情報(紙幣ID)を割り当て、メインコントローラであるFPGA303は、識別情報(紙幣ID)に応じて予め決められているCP20に対して、画像データ又はセンサデータを転送する。これにより、簡単に、同一の紙幣に関する情報を同一のCP20に転送することができる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。