(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、電子機器1は、表示部11と、表面タッチセンサ12と、背面タッチセンサ13と、制御部14と、記憶部15と、通信部16と、マイク17と、スピーカ18とを備える。
【0016】
表示部11は、文字、写真、操作用オブジェクト、ブラウザの画面、ポインタ等の画像を表示する。表示部11は、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(OELD:Organic Electroluminescence Display)等を用いて構成される。例えばホーム画面では、表示部11は、電話、メール、インターネット通信、カメラ撮影等の各操作を行うための操作用オブジェクトを表示する。また、表示部11は、例えばブラウザの画面に表示されるサイトの画面等、表示部11に収まりきらない画面の一部を、例えば縦方向及び/又は横方向にスクロール可能に表示できる。
【0017】
表面タッチセンサ12は、表面タッチセンサ12の入力面において、指の接触又は接触の解除を検出する。そして、表面タッチセンサ12は、入力面に対する接触位置を検出し、検出した接触位置を示す信号を制御部14へ出力する。表面タッチセンサ12は透明な部材で構成され、表示部11の前面に重畳配置される。ユーザは透明の表面タッチセンサ12を介して表示部11の画像を視認し、表示部11が表示する操作用オブジェクトの表示位置の表面タッチセンサ12を操作することにより、電子機器1に所定の処理を実行させる。
【0018】
背面タッチセンサ13は、片手で電子機器1を操作する際の操作性を向上させるために電子機器1の背面に配置され、背面タッチセンサ13の入力面において、指による接触又は接触の解除を検出する。そして、背面タッチセンサ13は、入力面に対する接触位置を検出し、検出した接触位置を示す信号を制御部14へ出力する。
【0019】
表面タッチセンサ12及び背面タッチセンサ13は、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式等の周知の方式で実現される。
【0020】
制御部14は、表面タッチセンサ12から入力される信号により表面タッチセンサ12の操作を検出すると、その操作に応じた制御を行う。例えば制御部14は、表示部11に表示する操作用オブジェクトの表示位置の表面タッチセンサ12が操作されると、その接触位置に表示されている操作用オブジェクトに応じた制御を行う。
【0021】
また、制御部14は、背面タッチセンサ13における所定時間以上のタッチの検出に基づいて、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化する。制御部14による背面タッチセンサ13の操作の有効化の具体的な方法については、後述する。
【0022】
制御部14は、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化した後、背面タッチセンサ13から入力される信号により背面タッチセンサ13の操作を検出すると、その操作に応じた制御を行う。ここで、制御部14は、操作モードとしてスクロールモードとポインタモードとを有し、モード切替操作部19の出力に基づいてスクロールモードとポインタモードとを切り替えて制御を行う。制御部14は、スクロールモードにおいて、背面タッチセンサ13の操作を表示部11のスクロールにより実現し、ポインタモードにおいて、背面タッチセンサ13の操作を表示部11に表示されるポインタを移動させることにより実現する。
【0023】
通常状態(初期状態)では、制御部14は、例えば、操作モードをポインタモードに設定する。そして、モード切替操作部19において所定の操作を検出したとき、操作モードをポインタモードからスクロールモードに切り替える。なお、制御部14は、通常状態において操作モードをスクロールモードに設定し、モード切替操作部19の出力に基づいて、スクロールモードからポインタモードに切り替えてもよい。
【0024】
ここで、タッチセンサ12、13の操作とは、タッチ、タップ、ダブルタップ、スライド、ドラッグ、フリック、タッチアンドホールド、ピンチイン/ピンチアウト等の、指をタッチセンサ12、13に接触させるあらゆる操作をいう。なお、タッチとはタッチセンサに指で触れる操作、タップとはタッチセンサに指で触れた後すぐに指を離す操作、ダブルタップは2回続けてタップする操作、スライドはタッチセンサ上のある位置から他の位置に向けて指で触れたままなぞる操作、ドラッグはタッチセンサを指で触れたままなぞり離す操作、フリックはタッチセンサを指で軽くはじく操作、タッチアンドホールドはタッチしたままにする操作、ピンチイン/ピンチアウトは2本の指で摘んだり広げたりする操作のことである。
【0025】
記憶部15は、半導体メモリ等で構成することができ、各種情報や電子機器1を動作させるためのプログラム等を記憶するとともに、ワークメモリとしても機能する。
【0026】
通信部16は、基地局又は他の通信機器と無線により通信することを可能にする。
【0027】
マイク17は、ユーザの発話等の周囲の音を集音する。マイク17が集音した音は、電気信号に変換して制御部14に送られる。
【0028】
スピーカ18は、音声、音楽、着信音等の音を出力する。
【0029】
モード切替操作部19は、制御部14におけるスクロールモードとポインタモードとの切替操作を検出する。例えば、モード切替操作部19は、指による所定の操作を検出したとき、操作モードをスクロールモードに切り替え、所定の操作の解除を検出したとき、操作モードをポインタモードに切り替える。
【0030】
図2は、第1の実施形態に係る電子機器1の実装構造の一例を示す図である。
図2(a)は正面図であり、
図2(b)は
図2(a)におけるA−A線に沿った断面図であり、
図2(c)は背面図である。
【0031】
なお、
図2においては、筐体10、表示部11、表面タッチセンサ12、背面タッチセンサ13、モード切替操作部19及び接合部材40以外の要素の図示は省略している。電子機器1は、
図2に示した以外にも、制御部14を備えるとともに、例えば、基板、各種部品等の要素を備えることができる。また、典型的にはマイク17は表面タッチセンサ12の下部に配置され、スピーカ18は表面タッチセンサ12の上部に配置される。
【0032】
図2に示すように、表面タッチセンサ12は筐体10(例えば、金属や樹脂のケース)の表面10aに配置され、筐体10に支持される。
【0033】
表示部11は、筐体10の内部に配置される。例えば、表示部11を表面タッチセンサ12の裏面に接着してもよいし、筐体10の内部に直接固定するか、筐体10の内部配置される基板又は表示部用ホルダ等に固定してもよい。
図2では、表示部11は、接合部材40を介して表面タッチセンサ12に接着されている。
図2(b)に示すように、表示部11を、表面タッチセンサ12の裏面側に配置すれば、表面タッチセンサ12及び表示部11によりタッチパネルを構成する際に、表示部11に自由なユーザインタフェースを表示して、ユーザの操作を表面タッチセンサ12により検出することができる。なお、接合部材40は、熱硬化性あるいは紫外線硬化性等を有する接着剤や両面テープ等であり、例えば無色透明のアクリル系紫外線硬化型接着剤である光学弾性樹脂でもよい。
【0034】
背面タッチセンサ13は、電子機器1を片手で保持した際に、人差し指で接触可能な範囲を含むように、筐体10の背面10bに配置され、筐体10に支持される。例えば、
図2(b)及び(c)に示すように、背面タッチセンサ13は筐体10の背面10bの上部に配置される。背面タッチセンサ13は、誤接触による操作を避けるために、筐体10において、窪んだ位置に配置されてもよい。
【0035】
モード切替操作部19は、電子機器1を片手で保持した際に、中指で接触可能な範囲に配置され、例えば、
図2(c)に示すように背面タッチセンサ13の両端に、背面タッチセンサ13の一部として構成される。
【0036】
図3は、ユーザが電子機器1を右手で保持した状態を示す図である。
図3(a)は表面側から見た図であり、
図3(b)及び(c)は背面側から見た図である。
図3(b)に示すように電子機器1を右手で保持すると、人差し指は背面タッチセンサ13上に位置する。よって、ユーザは人差し指を折り曲げたり左右に動かしたりするだけで他の指は動かすことなく容易に背面タッチセンサ13を操作(タッチ、タップ、ダブルタップ、ドラッグ、フリック、タッチアンドホールド等)することができる。
【0037】
また、ユーザは、
図3(c)に示すように、電子機器1を片手で保持した際に、人差し指を背面タッチセンサ13上に位置させると同時に、中指をモード切替操作部19に容易に位置させることができる。このように、中指をモード切替操作部19に位置させた場合、電子機器1は中指により支持されるため、ユーザはより安定して電子機器1を保持できる。なお、本実施形態では、背面タッチセンサ13を人差し指が接触可能な位置に限定して配置しているが、より広範囲にわたって配置させてもよい。
【0038】
次に、電子機器1において、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化する手順の一例について説明する。
図4は、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化する場合の表示部11の表示の一例を示す図である。
【0039】
電子機器1は、通常状態(初期状態)では背面タッチセンサ13の操作は有効化されておらず、表面タッチセンサ12の操作が有効な状態となっている。このとき、表示部11には、例えば
図4(a)に示す画像が表示されているとする。
【0040】
電子機器1の背面タッチセンサ13が、電子機器1を保持するユーザの人差し指のタッチを継続して所定時間以上、例えば3秒間以上検出したとき、制御部14は、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化できることを示す背面有効化可能表示を表示部11に表示させる。そして、ユーザが継続して所定時間以上、例えばさらに3秒間以上タッチを継続し、制御部14がかかるタッチを検出したとき、制御部14は、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化する。
【0041】
制御部14は、背面有効化可能表示として、例えば
図4(b)に示すように、背面有効アイコン41を、表示部11の上部のピクト領域の右端に、点滅させて表示する。そして、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化したとき、制御部14は、例えば
図4(c)に示すように、背面有効アイコン41を点灯させる。ユーザは、このような背面有効アイコン41により、背面タッチセンサ13の操作の有効化の過程を確認できる。
【0042】
また、背面タッチセンサ13の操作を有効化したとき、操作モードはポインタモードである。このとき、制御部14は、例えば
図4(c)に示すように、ポインタPを表示部11に表示させる。ユーザは、ポインタPの表示により、表示部11における、背面タッチセンサ13からの操作対象位置を確認できる。
【0043】
なお、ユーザは、背面タッチセンサ13の操作の有効化を希望しない場合、表示部11に背面有効化可能表示が表示されているときに、背面タッチセンサ13から指を所定時間離せばよい。制御部14は、背面タッチセンサ13における指のタッチを検出しなくなったとき、背面有効化可能表示を表示部11から消去する。
【0044】
制御部14は、背面タッチセンサ13の操作が有効化された状態において、表面タッチセンサ12の操作も有効化した状態を維持することができる。この場合、ユーザが表面タッチセンサ12において操作を行ったとき、制御部14は、表示部11において検出した操作を実行する。また、制御部14は、背面タッチセンサ13の操作が有効化された状態において、表面タッチセンサ12の操作を無効化してもよい。この場合には、制御部14は、表面タッチセンサ12における操作を検出しない。
【0045】
次に、背面タッチセンサ13の操作が有効化されている状態における、電子機器1の操作の例について説明する。
図5は、ポインタモードにおける、背面タッチセンサ13を使用した電子機器1の操作の一例を示す図である。ここでは、例えば、表示部11に表示された「アプリA」を起動する操作の例について説明する。
【0046】
図4で説明した手順により電子機器1の背面タッチセンサ13の操作が有効化された状態において、ユーザは、まず、
図5(a)に示すように、表示部11に表示されたポインタPを「アプリA」が表示された位置まで移動させる。具体的には、ユーザは、
図5(b)に示すように、背面タッチセンサ13に人差し指を触れたまま、電子機器1の背面側から見て右下方向へ指を移動させる。すると、制御部14は、ポインタPが表示された位置から、検出した操作の相対的な位置関係を算出して、算出した結果を表示部11に反映させることにより、表示部11上でポインタPを移動させる。この場合、ポインタPは、
図5(a)に示すように、表示部11の中央から左下方向へ移動する。
【0047】
ポインタPを目標位置である「アプリA」の表示位置まで移動させるまでに、指を背面タッチセンサ13の端まで動かした場合、すなわち、
図6(a)の状態から、
図6(b)の状態となった場合、ユーザは、ポインタPの移動を継続して行うために、一度背面タッチセンサ13から指を離す。そして、ユーザは、指を離したまま、
図6(b)の矢印で示すように、背面タッチセンサ13において指を離した位置と反対の位置(端)に指を移動させる。ユーザは、移動させた端において、
図6(c)に示すように、再び背面タッチセンサ13に指を触れ、継続してポインタPの移動を行う。この操作により、制御部14は、一度背面タッチセンサ13から指が離れた後、次に指が触れた位置を基点として認識し、ポインタPを移動させる。
【0048】
そして、
図5(c)に示すように、ポインタPが「アプリA」の表示位置まで移動したとき、ユーザは、例えば
図5(d)に示すように、背面タッチセンサ13をタップする操作を行う。すると、制御部14は、このタップ操作を検出して、アプリAを起動する。なお、ポインタモードにおける電子機器1の操作は、上述の操作に限定されない。例えば、表示部11に文字入力用の操作キーを表示させ、ユーザは、操作キーに表示された文字を上述の操作と同様に選択することによって、文字入力を行うことができる。
【0049】
図7は、スクロールモードにおける、背面タッチセンサ13を使用した電子機器1の操作の一例を示す図である。ここでは、例えば、ユーザが電子機器1を使用して、電子書籍を読んでいる場合における操作の例について説明する。
【0050】
ユーザは、電子機器1の操作モードをポインタモードからスクロールモードに切り替えるため、
図7に示すように、例えば中指でモード切替操作部19にタッチする。制御部14は、タッチを検出すると、電子機器1をスクロールモードに切り替え、タッチを検出し続ける間、スクロールモードを維持する。制御部14は、電子機器1をスクロールモードに切り替えたとき、
図7(a)に示すように、表示部11のポインタPの表示を消去し、替わってスクロールバー42を表示させる。スクロールバー42の表示は、例えば表示部11に表示される画像に合わせて、上下方向のスクロールバーを表示してもよく、左右方向のスクロールバーを表示してもよく、あるいは、
図7(a)に示すように、その双方を表示してもよい。
【0051】
ユーザが、中指をモード切替操作部19にタッチすることにより電子機器1をスクロールモードにした状態を維持したまま、例えば
図7(b)に示すように、背面タッチセンサ13に人差し指を触れ、そのまま上方向に移動したとき、移動を検出した制御部14は、検出した操作の相対的な位置関係を算出して、算出した結果を表示部11に反映させることにより、表示部11に表示された画面の上方向の画像を表示する。その結果、例えば
図7(c)に示すように、上方向の画像が表示部11に表示される。
【0052】
なお、ユーザは、中指をモード切替操作部19にタッチすることにより電子機器1をスクロールモードにした状態において、人差し指を背面タッチセンサ13に触れたまま、任意の方向に移動させることができる。すなわち、
図7で示した上方向への移動の他、
図8(a)、(b)及び(c)においてそれぞれ示すように、ユーザは、人差し指を、下方向、左方向及び右方向に移動させることができ、またこれらを複合させた移動をさせることができる。制御部14は、人差し指の移動方向及び移動距離に応じて、表示部11に表示された画像をスクロールして表示する。
【0053】
ユーザは、スクロールモードによる操作を終了するとき、
図7(d)に示すように、モード切替操作部19にタッチしている中指を、モード切替操作部19から離す。制御部14は、モード切替操作部19へのタッチを検出しなくなると、電子機器1のスクロールモードを終了し、ポインタモードに切り替える制御を行う。
【0054】
また、ユーザは、背面タッチセンサ13の操作を終了するとき、所定の操作により、背面タッチセンサ13の操作を無効化できる。例えば、ユーザが、背面タッチセンサ13の左右に設けられたモード切替操作部19の双方を、人差し指及び中指で同時にタッチしたとき、制御部14が、背面タッチセンサ13の操作を無効化する。また、例えば、背面タッチセンサ13の操作が有効化されているときに、同時に表面タッチセンサ12の操作が有効である場合、ユーザは、表面タッチセンサ12の任意の領域にタッチしてもよい。制御部14がかかるタッチを検出したとき、制御部14は、背面タッチセンサ13の操作を無効化する。背面タッチセンサ13の操作が無効化された後、ユーザは、表面タッチセンサ12への操作を行うことにより、電子機器1を操作できる。また、背面タッチセンサ13の操作が無効化されたとき、制御部14は、表示部11に表示していたポインタPを消去する。ユーザは、ポインタPが表示部11に表示されていないことを確認することにより、背面タッチセンサ13の操作が無効化されていることを知ることができる。
【0055】
このように、本実施形態に係る電子機器1は、背面タッチセンサ13の操作を有効化することにより、背面タッチセンサ13を使用して表示部11を操作できる。つまり、ユーザは、電子機器1の表面タッチセンサ12の操作を背面タッチセンサ13で代用できる。背面タッチセンサ13による操作により、操作中に表示部11の表示がユーザの手で隠れることがないため、ユーザは、表示部11に表示された画像を良好に閲覧できる。
【0056】
また、表示部11の表示が隠れる場合には、ユーザは、表面タッチセンサ12へのタッチにおいて、目標と異なる場所にタッチする等の誤操作を行う可能性があった。しかしながら、本実施形態に係る電子機器1によれば、表示部11の表示が操作中に隠されず、操作対象箇所をポインタPで表示するため、かかる誤操作の可能性を減らすことができる。
【0057】
また、スマートフォン等の電子機器において、大型の機器は、片手で操作することが困難な場合がある。この場合、従来は、片手で電子機器を支持し、他方の手で操作することが必要であった。しかし、本実施形態に係る電子機器1は、背面タッチセンサ13で操作可能であるため、電子機器1を片手で支持しながら、同一の手で操作可能である。そのため、ユーザの片手がふさがっている状態であっても、ユーザは電子機器1を操作できる。このようにして、利便性の高い電子機器を提供できる。
【0058】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。第2の実施形態に係る電子機器2は、第1の実施形態に係る電子機器1と比較して、さらに押圧検出部20を備える。その他の構成については、第1の実施形態と同一であるものは、同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0059】
押圧検出部20は、背面タッチセンサ13に対するユーザの押下及びその他の操作の押圧を検出し、押圧に基づくデータを制御部14に出力する。押圧検出部20は、例えば、押圧に応じて物理的又は電気的な特性(歪み、抵抗、電圧等)が変化する歪みゲージセンサや圧電素子等を用いて構成される。押圧検出部20が、例えば圧電素子を用いて構成された場合、押圧検出部20の圧電素子は、背面タッチセンサ13に対する押圧による荷重(力)の大きさ(又は、荷重の大きさが変化する速さ(加速度))に応じて、電気的な特性である電圧値(押圧に基づくデータ)が変化する。なお、押圧に基づくデータは、電圧値の代わりに、押圧による荷重の大きさ、電力値、抵抗値等でもよい。
【0060】
また、押圧検出部20は、表面タッチセンサ12に対してユーザが操作を行う際の押圧を同様にして検出してもよい。
【0061】
制御部14は、押圧検出部20から背面タッチセンサ13(及び表面タッチセンサ12)に対する押圧に基づくデータを取得する。そして、制御部14は、押圧に基づくデータが、例えば所定の閾値以上である等、所定の基準を満たす場合に、所定の押下又は操作が行われたと判断し、例えばアプリケーションに基づく等して、所定の処理を行うように制御する。
【0062】
また、押圧検出部20は、接触検出方式に応じて構成することができる。例えば、接触検出方式が抵抗膜方式の場合には、接触面積の大きさに応じた抵抗の大きさを、タッチセンサのタッチ面に対する押圧の荷重に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく押圧検出部20を構成することができる。あるいは、タッチセンサが静電容量方式の場合には、静電容量の大きさを、タッチセンサに対する押圧の荷重に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。
【0063】
図10は、第2の実施形態に係る電子機器2の実装構造の一例を示す図である。
図10(a)は正面図であり、
図10(b)は
図10(a)におけるA−A線に沿った断面図であり、
図10(c)は背面図である。
図10は、
図2に示した電子機器1の実装構造に対して、さらに押圧検出部20を構成する圧電素子21〜24を図示している。なお、圧電素子の個数や配置位置は、図示した例に限定されるものではない。
【0064】
図10に示す例では、押圧検出部20は、第1圧電素子21、第2圧電素子22、第3圧電素子23及び第4圧電素子24を有する。第1圧電素子21及び第2圧電素子22は、背面タッチセンサ13に対してユーザが押下又はその他の操作を行う際の押圧を検出するもので、背面タッチセンサ13の裏面に取り付けられる。また、第3圧電素子23及び第4圧電素子24は、表面タッチセンサ12に対してユーザが操作を行う際の押圧を検出するもので、表面タッチセンサ12の裏面で、表示部11による表示を透過させる必要がない領域、すなわち、表面タッチセンサ12と表示部11とが重ならない領域に取り付けられる。
【0065】
なお、
図10(a)において、表面タッチセンサ12上において表示部11による表示を透過させる必要がない領域は、表面タッチセンサ12の端辺付近の領域を塗装したりベゼルで覆ったりするのが好適である。このようにすれば、第3圧電素子23及び第4圧電素子24等が電子機器1の外部から見えてしまうことを防ぐことができる。
【0066】
ここで、第2の実施形態に係る電子機器2において、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化する方法について説明する。電子機器2の制御部14は、背面タッチセンサ13における所定時間以上、例えば3秒以上のタッチの検出に基づいて、背面タッチセンサ13への押下を要求する押下要求を表示部11に表示させる。制御部14は、押下要求として、例えば第1の実施形態における背面有効化可能表示のように、背面有効アイコン41を、表示部11の上部のピクト領域の右端に、点滅させて表示する。
【0067】
そして、制御部14は、押圧検出部20から、背面タッチセンサ13に対する押圧に基づくデータを取得する。制御部14は、押下要求への応答として背面タッチセンサ13への所定の押圧以上の押下を検出したとき、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化する。
【0068】
一方、背面タッチセンサ13に押下が行われても、その押圧が所定値未満の場合には、制御部14は、かかる押下をユーザが意図した押下ではないと判断し、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化しない。このようにして、第2の実施形態に係る電子機器2は、ユーザの意図しない押下により、背面タッチセンサ13の操作が有効化されることを防ぐことができる。
【0069】
なお、制御部14は、押圧検出部20を使用することにより、背面タッチセンサ13の操作を有効化するための押下以外の任意のユーザの操作についても、ユーザの意図した操作であるか否かを判断し、判断結果に基づいて制御できる。このようにして、電子機器2は、誤判断することを防止できる。
【0070】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第3の実施形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。第3の実施形態に係る電子機器3は、第2の実施形態に係る電子機器2と比較して、さらに触感呈示部30を備える。その他の構成については第2の実施形態と同一であるため、同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0071】
触感呈示部30は、制御部14から供給される駆動信号に基づいて触感を呈示し、例えば所定の振動を発生する。駆動信号については、表現したい操作ボタンの挙動を示す振動を、指が接触する位置において表現する駆動信号であればよい。
【0072】
触感呈示部30は、圧電素子、超音波振動子、又は振動モータ(偏心モータ)等を用いて構成され、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、背面タッチセンサ13を押圧しているユーザの指に対して触感を呈示し、ユーザに背面タッチセンサ13を操作したことを感覚的に通知する。
【0073】
また、触感呈示部30は、表面タッチセンサ12に対しても、同様にして振動を発生させて、表面タッチセンサ12を押圧しているユーザの指に対して触感を呈示するようにしてもよい。
【0074】
なお、触感呈示部30は、押圧検出部20と一体化して構成することもできる。特に、圧電素子を用いて押圧検出部20及び触感呈示部30を構成する場合は、圧電素子を共用することもできる。圧電素子は、圧力が加わると電圧を発生し、電圧が加えられると変形するためである。この場合の実装構造例は、
図10に示した通りである。
【0075】
圧電素子を用いて押圧検出部20及び触感呈示部30を構成する場合、制御部14は、圧電素子の電圧値が所定の閾値を満たした際に、所定の処理を行うとともに、該圧電素子を駆動することにより振動を発生させるようにしてもよい。ここで、圧電素子の電圧値が所定の閾値を満たした際とは、電圧値が所定の基準値に達した際であってもよいし、電圧値が所定の基準値を超えた際でもよいし、所定の基準値と等しい電圧値が検出された際でもよい。
【0076】
上述したように、第3の実施形態に係る電子機器3は、触感呈示部30をさらに備え、制御部14から供給される駆動信号に基づいて所定の振動を発生する。そのため、電子機器3は、ユーザが背面タッチセンサ13(及び表面タッチセンサ12)を操作した際に、意図した操作が行われたことを感覚的にユーザに通知することができる。
【0077】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。従って、本発明は、上述の実施形態によって制限されるものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【0078】
また、上述の実施形態の説明において、モード切替操作部19は、背面タッチセンサ13の両端に、背面タッチセンサ13の一部として構成されると説明したが、モード切替操作部19の構成はこれに限定されない。例えば、モード切替操作部19は、背面タッチセンサ13の両端のいずれか一方のみに配置されてもよく、また、ユーザの指定により背面タッチセンサ13の一部に配置されてもよい。また、モード切替操作部19は、背面タッチセンサ13の一部としてではなく、例えば、背面タッチセンサ13とは独立したボタンとして構成し、背面タッチセンサ13の片側又は両側に配置できる。さらに、モード切替操作部19は、例えば電子機器の側面部に、サイドキーとして構成することができる。
【0079】
また、上述の実施形態の説明において、制御部14は、ユーザによる背面タッチセンサ13への押下を検出したとき、表示部11に対する背面タッチセンサ13の操作を有効化すると説明したが、制御部14は、例えば、押下ではなくダブルクリック等の他の方法による入力の検出により、背面タッチセンサ13の操作を有効化してもよい。
【0080】
また、制御部14は、押下要求を表示部11に表示した後、所定時間以上(例えば2分以上)ユーザによる押下が行われないときには、押下要求を表示部11から消去してもよい。