(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体の流路となる一方の端面である流入端面から他方の端面である流出端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有し、前記隔壁中にチタニア粒子を含有する柱状のハニカム成形体を、少なくとも前記ハニカム成形体の側面に当接して前記ハニカム成形体を被覆する被覆部によって被覆し、更に、複数の貫通孔が形成されている底板、前記底板上に配置されて側面を構成する筒状の筒状体、及び前記筒状体上に配置される複数の貫通孔が形成されている天板を備えるハニカム収容体内に収容した状態で、乾球湿球温度計における乾球湿球温度差が1.5℃以下で且つ風速0.2m/秒以下の雰囲気中に配置して、前記ハニカム成形体を乾燥させる工程を有するハニカム成形体の乾燥方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チタニアを含むハニカム構造体を製造する場合、その製造プロセスにおいて、チタニアを坏土に添加することになるが、このチタニアは微粒子(平均粒径0.01〜5μm程度)であるため、そのまま使用すると、ハニカム成形体の乾燥が非常に困難になる。そのため、特許文献1、2では、チタニアを含む2次粒子を形成することによって扱い易い大きさの粒子とした上で、ハニカム成形体の乾燥が行われている。具体的には、特許文献1では、ハニカム成形体を形成するための坏土を混練する前に、チタニアを含む原料を造粒加工している。また、特許文献2では、蒸発乾固し、焼成して粉体を得る工程(前処理)が採用されている。しかし、チタニアを含む2次粒子を形成することは手間がかかる。また、2次粒子を形成するための工程が必要となり、ハニカム構造体の製造工程が増えることになる。
【0005】
また、ハニカム成形体の乾燥方法としては、凍結乾燥法も知られている。しかし、凍結乾燥法は、ハニカム成形体を凍結させるための時間と手間がかかる。また、ハニカム成形体が大きい場合(大型のハニカム構造体である場合)にはその凍結が完了する前にハニカム成形体の乾燥が進んでしまい、乾燥クラックが発生してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、チタニア粒子を含むハニカム成形体を乾燥させる際に、チタニアを含む2次粒子を形成する工程(前処理)が不要であり、乾燥クラックの発生を抑制しながら乾燥できるハニカム成形体の乾燥方法が切望されている。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、チタニア粒子を含むハニカム成形体を乾燥させる際に、チタニアを含む2次粒子を形成する工程(前処理)が不要であり、乾燥クラックの発生を抑制しながら乾燥できるハニカム成形体の乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム成形体の乾燥方法を提供する。
【0009】
[1] 流体の流路となる一方の端面である流入端面から他方の端面である流出端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有し、前記隔壁中にチタニア粒子を含有する柱状のハニカム成形体を、少なくとも前記ハニカム成形体の側面に当接して前記ハニカム成形体を被覆する被覆部によって被覆し、更に、複数の貫通孔が形成されている底板、前記底板上に配置されて側面を構成する筒状の筒状体、及び前記筒状体上に配置される複数の貫通孔が形成されている天板を備えるハニカム収容体内に収容した状態で、乾球
湿球温度計における乾球
湿球温度差が1.5℃以下で且つ風速0.2m/秒以下の雰囲気中に配置して、前記ハニカム成形体を乾燥させる工程を有するハニカム成形体の乾燥方法。
【0010】
[2] 前記ハニカム収容体の前記底板及び前記天板に形成された前記貫通孔の開口径が、それぞれ30〜200μmである前記[1]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0011】
[3] 50〜60℃の雰囲気中で前記ハニカム成形体を乾燥させる前記[1]または[2]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0012】
[4] 前記ハニカム収容体の前記底板及び前記天板が、それぞれ金属製または樹脂製のものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0013】
[5] 前記ハニカム収容体の前記筒状体が、厚紙からなるものである前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法は、乾燥前のハニカム成形体を、被覆部で被覆して更にハニカム収容体内に収容した状態で、乾球
湿球温度計における乾球
湿球温度差が1.5℃以下で且つ風速0.2m/秒以下の雰囲気中に配置して乾燥させる工程を有する。このような工程を有することで、チタニア粒子を含むハニカム成形体を乾燥させる際に、チタニアを含む2次粒子を形成する工程(前処理)が不要で、乾燥クラックの発生を抑制しながら乾燥できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0017】
(1)ハニカム成形体の乾燥方法:
本発明のハニカム成形体の乾燥方法の一実施形態は、ハニカム成形体を、被覆部によって被覆して更にハニカム収容体内に収容した状態で、以下条件を満たす雰囲気中に配置して、上記ハニカム成形体を乾燥させる工程を有する。ハニカム成形体を配置する雰囲気の条件は、乾球
湿球温度計における乾球
湿球温度差が1.5℃以下で且つ風速0.2m/秒以下である。ハニカム成形体は、流体の流路となる一方の端面である流入端面から他方の端面である流出端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有し、この隔壁中にチタニア粒子を含有する柱状のものである。被覆部は、少なくともハニカム成形体の側面に当接してハニカム成形体を被覆するものである。ハニカム収容体は、複数の貫通孔が形成されている底板、この底板上に配置されて側面を構成する筒状の筒状体、及びこの筒状体上に配置される複数の貫通孔が形成されている天板を備えている。
【0018】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法によれば、被覆部によって、ハニカム成形体の外周部からの急激な水分の蒸発を防止して、ハニカム成形体の内部から乾燥させる。更に、ハニカム収容体によって、雰囲気中の風がハニカム成形体に直接当たることを防止している。そして、このハニカム収容体は、底板及び天板に貫通孔が形成されているため、ハニカム成形体から適度に水分が発散することになる。このようにして、チタニア粒子を含むハニカム成形体を乾燥させる際に、チタニアを含む2次粒子を形成する工程(前処理)が不要で、乾燥クラックの発生を抑制しながら乾燥できる。別言すれば、本発明のハニカム成形体の乾燥方法によれば、より簡便な方法で、乾燥クラックが発生するハニカム成形体の割合を大幅に低減することができる。
【0019】
(1−1)ハニカム成形体:
本発明のハニカム成形体の乾燥方法において、ハニカム成形体は、隔壁中にチタニア粒子を含有するものであり、乾燥前のものである。つまり、このハニカム成形体は、チタニアを含む坏土を押出成形法などによって、ハニカム形状に成形した状態のものである。そして、ハニカム成形体としては、より具体的には、チタニア粒子を主体とし、バナジウム化合物を含むものを挙げることができる。このハニカム成形体は、触媒成分として更にタングステンを含んでいても良い。タングステンを更に含むことにより、チタニアの触媒活性が向上するためである。なお、「チタニア粒子を主体とし」とは、具体的には、ハニカム成形体中にチタニア粒子を40質量%以上含有することをいう。
【0020】
チタニア粒子としては、平均粒径が0.01〜5μmであるものを用いることができる。この平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定した値である。
【0021】
バナジウムを含有する場合、バナジウムの含有割合は、ハニカム成形体の焼成後の酸化物換算で、1〜8質量%であることが好ましい。また、タングステンを含有する場合、タングステンの含有割合は、ハニカム成形体の焼成後の酸化物換算で、1〜7質量%であることが好ましい。
【0022】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法においては、隔壁中にバナジウムを更に含有する場合、含有するバナジウムの形態は特に制限はない。つまり、ハニカム成形体は、バナジウムを単体で含有していてもよいし、バナジウムを含む化合物(バナジウム化合物)を含有していてもよい。
【0023】
(1−2)被覆部:
被覆部は、少なくともハニカム成形体の側面に当接してハニカム成形体を被覆するものである。この被覆部を用いることにより、ハニカム成形体の側面の露出面積が小さくなり、側面からの乾燥が適度に抑制され、ハニカム成形体の端面及び隔壁表面からの乾燥が進み易くなる。そのため、乾燥クラックの発生を抑制しながらハニカム成形体を乾燥させることができる。
【0024】
このように被覆部は、ハニカム成形体の側面を覆うことでハニカム成形体の側面からの乾燥を適度に抑制できるものである。このような被覆部としては、例えば、プラスチック製のフィルム、ストリップペイントなどのマスキング用のスラリーなどを挙げることができる。
【0025】
プラスチック製のフィルムとしては、例えば、オカモト社製の「オカモトラップ」、フロンケミカル社製の「テフロンシート」などを用いることができる。
【0026】
上記スラリーとしては、例えば、マスキング用のスラリー、蝋、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0027】
特に、ストリップペイントとしては、例えば、関西ペイント社製の「ストリップペイント」、イサム塗料社製の「オールパック」などを用いることができる。
【0028】
上記スラリーを用いると、乾燥後の焼成工程において上記スラリーが消滅することになる。一方、上記フィルムを用いた場合には乾燥後にフィルムを剥がす作業が必要である。そのため、上記スラリーを用いると、上記フィルムを用いた場合に比べてハニカム構造体の作製に手間が掛からない。
【0029】
「少なくともハニカム成形体の側面に」とは、被覆部が、ハニカム成形体の側面の全面を被覆して配置され、被覆部によってこの側面以外の部分も被覆されてよいことを意味している。つまり、被覆部は、ハニカム成形体の側面以外に、ハニカム成形体の端面を被覆してもよい。具体的には、側面以外に、角部を含む端面を10mm程度被覆することが好ましい。
【0030】
また、被覆部としてストリップペイントなどのマスキング用のスラリーを用いる場合、上記スラリーは、ハニカム成形体の側面の全面に塗布することを意味する。そして、上記スラリーを用いる場合、ハニカム成形体の側面の全面及び両端面の全面を被覆することができる。なお、端面の全面を被覆した場合、端面におけるセルは、開口した状態である。
【0031】
図1は、被覆部としてプラスチック製のフィルム30を用いる場合を示し、ハニカム成形体10の側面13の全面を被覆し且つ端面11の一部を被覆している例を示している。
図1は、本発明のハニカム成形体の乾燥方法の一の実施形態における、ハニカム成形体を被覆部によって被覆して更にハニカム収容体内に収容して一部を切断した状態を模式的に示す断面図である。
【0032】
「ハニカム成形体の側面に当接して」とは、被覆部としてプラスチック製のフィルムを用いる場合、ハニカム成形体を上記フィルムで直接包むことによって上記フィルムとハニカム成形体の側面の少なくとも一部とが直接接していることを意味する。つまり、ハニカム成形体の側面に上記フィルムを貼り付けることまでは必要としない。なお、ハニカム成形体の側面に上記フィルムを貼り付けてもよい。また、ハニカム成形体の端面を上記フィルムで被覆する場合も同様である。
【0033】
(1−3)ハニカム収容体:
図1、
図2に示すように、ハニカム収容体20は、複数の貫通孔21aが形成されている底板21、この底板21上に配置されて側面13を構成する筒状の筒状体22、及びこの筒状体22上に配置される複数の貫通孔23aが形成されている天板23を備えている。底板21には、外周部から起立する筒状の底板起立壁24が形成されている。また、天板23には、外周部から起立する筒状の天板起立壁25が形成されている。底板起立壁24及び天板起立壁25を形成することにより、乾燥クラックの発生を更に良好に抑制しながらハニカム成形体を乾燥できる。
図2は、本発明のハニカム成形体の乾燥方法の一の実施形態におけるハニカム収容体を模式的に示す斜視図である。
【0034】
ハニカム収容体20の底板21は、水の浸透性がないものが好ましく、具体的には、金属製、樹脂製のものを挙げることができる。底板21が金属製または樹脂製のものであると、乾燥中に、ハニカム成形体20に含まれる水分がハニカム成形体20から底板21に移動し難く、上記水分が移動することに起因して乾燥クラックが発生することを防止することができる。
【0035】
ハニカム収容体20の底板21の開口率は、20〜50%であることが好ましい。上記範囲とすることで、乾燥クラックの発生を更に良好に抑制しながらハニカム成形体を乾燥できる。底板に形成された貫通孔の開口径が下限値未満であると、ハニカム成形体の乾燥に時間がかかり過ぎるおそれがある。一方、上限値超であると、ハニカム収容体20の外からハニカム収容体20内部に吹き込む風を十分に遮蔽することが困難になるおそれがある。ハニカム収容体20の底板21に形成された貫通孔21aの開口径は、30〜200μmであることが好ましい。従来、パンチング穴が形成されたパンチング板を用いて、このパンチング板上にハニカム成形体を配置して乾燥させることがある。しかし、この場合、パンチング板の穴が大きすぎて、穴の部分と穴以外の部分との乾燥の程度が異なり、乾燥クラックが発生してしまう。一方で、上記範囲とすることで、乾燥クラックの発生を更に良好に抑制しながらハニカム成形体を乾燥できる。
【0036】
ハニカム収容体20の底板21の厚さは、特に制限はない。
【0037】
ハニカム収容体20の筒状体22は、貫通孔が形成されていないものである。つまり、ハニカム成形体の乾燥装置である温湿度制御装置から発生した風は、筒状体22に当たってハニカム収容体20の内部に入り込むことができない。即ち、筒状体22は、貫通孔が形成されていないことにより、上記風が筒状体22の貫通孔を通ってハニカム収容体20内に吹き込み、上記風がハニカム成形体10に当たってしまうことを防いでいる。
【0038】
ハニカム収容体20の筒状体22は、厚紙からなるものであることが好ましい。このように筒状体として厚紙を用いると、ハニカム収容体20内部の水分を外に良好に通すことができ、一方で、ハニカム収容体20の外からハニカム収容体20内に吹き込む風を遮蔽することができる。そのため、乾燥クラックの発生を更に良好に抑制しながらハニカム成形体を乾燥できる。
【0039】
ハニカム収容体20の筒状体22の厚さは、特に制限はない。
【0040】
ハニカム収容体20の天板23には、貫通孔23aが形成されており、天板23に貫通孔23aが形成されることによって、ハニカム収容体20内外の空気が適度に循環され、ハニカム成形体10の乾燥が良好に進行することになる。
【0041】
ハニカム収容体20の天板23に形成された貫通孔23aの開口径は、30〜200μmであることが好ましい。上記天板に形成された貫通孔の開口径を上記範囲とすることにより、乾燥クラックの発生を更に良好に抑制しながらハニカム成形体を乾燥できる。天板に形成された貫通孔の開口径が下限値未満であると、ハニカム成形体の乾燥に時間がかかり過ぎるおそれがある。一方、上限値超であると、ハニカム収容体20の外からハニカム収容体20内部に吹き込む風を十分に遮蔽することが困難になるおそれがある。
【0042】
ハニカム収容体20の天板23の開口率は、20〜50%であることが好ましい。上記範囲とすることで、乾燥クラックの発生を更に良好に抑制しながらハニカム成形体を乾燥できる。天板に形成された貫通孔の開口径が下限値未満であると、ハニカム成形体の乾燥に時間がかかり過ぎるおそれがある。一方、上限値超であると、ハニカム収容体20の外からハニカム収容体20内部に吹き込む風を十分に遮蔽することが困難になるおそれがある。
【0043】
ハニカム収容体20の天板23の厚さは、特に制限はない。
【0044】
なお、ハニカム収容体20は、底板21と筒状体22との間、及び、天板23と筒状体22との間に隙間が生じないものであることが好ましい。
【0045】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法においては、
図1、
図2に示すように、柱状のハニカム成形体10は、ハニカム収容体20内に、一方の端面11が上方を向くように配置されて収容される。このように配置して収容されることで、乾燥クラックの発生を更に良好に抑制しながらハニカム成形体を乾燥できる。
【0046】
(1−4)乾燥雰囲気:
本発明のハニカム成形体の乾燥方法においては、ハニカム成形体を乾燥させる際の雰囲気として、乾球
湿球温度計における乾球
湿球温度差が1.5℃以下で且つ風速0.2m/秒以下の条件を満たすことが必要である。
【0047】
乾球
湿球温度計における乾球
湿球温度差としては、0.1〜1.4℃とすることが好ましい。
【0048】
上記雰囲気における風速としては、0.18m/秒以下とすることが好ましく、0.02〜0.15m/秒とすることが更に好ましい。
【0049】
また、本発明のハニカム成形体の乾燥方法においては、20〜80℃の雰囲気中でハニカム成形体を乾燥させることが好ましく、50〜60℃とすることが更に好ましい。上記範囲の温度とすることにより、乾燥クラックの発生を更に良好に抑制しながらハニカム成形体を乾燥できる。
【0050】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法においては、上記工程を行ってハニカム成形体の乾燥を終了させてもよいが、上記工程後を行った後、更に、ハニカム成形体を乾燥させる雰囲気の条件を変えてもよい。具体的には、上記工程を行い、乾燥速度について減率乾燥の状況となった後、上記雰囲気の条件を以下のように変える。つまり、乾球
湿球温度差を0.1〜0.5℃に変更する。このような工程を行うことで、滞った水分の蒸発が進行するので乾燥時間を短縮できる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
まず、乾燥対象であるハニカム成形体を作製した。まず、5質量部のV
2O
5を含有するシュウ酸バナジウム、95質量部のチタニア粒子(平均粒径1μm)を用いた。
【0053】
次に、得られた坏土をハニカム状に押出成形して、隔壁中にチタニア粒子を含有する円柱状のハニカム成形体を得た。
【0054】
得られたハニカム成形体は、直径が144mmであり、セルの延びる方向の長さが152mmであった。また、ハニカム成形体は、セル密度が、186個/cm
2であり、隔壁の厚さが0.1mmであった。
【0055】
次に、得られたハニカム成形体を、被覆部であるプラスチック製のフィルム(オカモト社製、厚さ12μm)によって被覆して被覆後ハニカム成形体を得た。被覆後ハニカム成形体は、
図2に示すように、ハニカム成形体の側面全部を覆い且つ両端面の一部を覆うようにハニカム成形体を被覆部で被覆したものであった。本実施例においては、ハニカム成形体の端部を被覆する上記フィルムの幅は、10mmであった。
【0056】
次に、被覆後ハニカム成形体を、ハニカム収容体内に収容した。ハニカム収容体は、複数の貫通孔が形成されている底板、この底板上に配置されて側面を構成する筒状の筒状体、及びこの筒状体上に配置される複数の貫通孔が形成されている天板を備えていた。底板には、外周部から起立する筒状の底板起立壁が形成されていた。また、天板には、外周部から起立する筒状の天板起立壁が形成されていた。ハニカム収容体の底板及び天板は、いずれもステンレス鋼製のものであった。底板起立壁及び天板起立壁は、いずれも厚紙(厚さ500μm)からなるものであった。ハニカム収容体の底板に形成された貫通孔の開口径は、45μmであり、ハニカム収容体の底板の開口率は、28%であった。また、ハニカム収容体の天板に形成された貫通孔の開口径は、45μmであり、ハニカム収容体の天板の開口率は、28%であった。また、ハニカム収容体の筒状体は、厚紙(500μm)からなるものであった。
【0057】
そして、被覆後ハニカム成形体をハニカム収容体内に収容した状態で、乾球
湿球温度計における乾球
湿球温度差が1.4℃で且つ風速0.02m/秒の雰囲気中でハニカム成形体を乾燥させた。乾燥時間は、1200時間とした。上記雰囲気中の温度は、50℃であった。
【0058】
乾燥後のハニカム成形体について、以下に示す方法で、「乾燥クラックの有無」について確認を行った。
【0059】
(乾燥クラックの有無)
10個のハニカム成形体について目視にて乾燥クラックの有無を確認する。確認したすべてのハニカム成形体において1つでも乾燥クラックが確認された場合を「発生」とする。確認したすべてのハニカム成形体において1つも乾燥クラックが確認できなかった場合を「無し」とする。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1中、「被覆部」の欄の「透明フィルム」は、オカモト社製の「オカモトラップ」を使用したことを示す。また、「ストリップペイント」は、関西ペイント社製の「ストリップペイント」を使用したことを示す。なお、被覆部として「ストリップペイント」を採用したときは、ハニカム成形体の全面(両端面(但し、セルは開口した状態である)、及び側面)に「ストリップペイント」を塗布した。「ストリップペイント」をハニカム成形体に塗布する際には、刷毛を用いた。
【0062】
(実施例2〜6、比較例1〜19)
乾燥条件を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハニカム成形体の乾燥を行った。その後、実施例1の場合と同様にして、「乾燥クラックの有無」の確認を行った。結果を表1に示す。
【0063】
表1より、実施例1〜6のハニカム成形体の乾燥方法は、チタニア粒子を含むハニカム成形体を乾燥させる際に、チタニアを含む2次粒子を形成する工程が不要であり、乾燥クラックの発生を抑制しながら乾燥できることが分かる。