特許第6246656号(P6246656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246656
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】浴用剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/63 20060101AFI20171204BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20171204BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20171204BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20171204BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20171204BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20171204BHJP
   A61K 8/9783 20170101ALN20171204BHJP
【FI】
   A61K8/63
   A61Q19/10
   A61K8/19
   A61K8/36
   A61K8/02
   A61K8/81
   !A61K8/9783
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-97273(P2014-97273)
(22)【出願日】2014年5月9日
(65)【公開番号】特開2014-237633(P2014-237633A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-99817(P2013-99817)
(32)【優先日】2013年5月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】堀 天明
(72)【発明者】
【氏名】堀内 ありさ
(72)【発明者】
【氏名】杉山 充
(72)【発明者】
【氏名】野村 知子
【審査官】 森井 隆信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−160497(JP,A)
【文献】 特開昭60−215618(JP,A)
【文献】 特開2005−298510(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/104248(WO,A1)
【文献】 特開2014−114220(JP,A)
【文献】 特開2003−286155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/63
A61K 8/9783
A61K 8/19
A61K 8/36
A61Q 19/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ジンセノシドRg3及び/又はジンセノシドRh2 合計で0.00001質量%以上0.5質量%以下、
(B)炭酸塩中の炭酸ジアルカリ金属塩の含有量が30質量%以上である炭酸塩、及び
(C)有機酸
を含有し、ジンセノシドRb2、Rb1、Rc及びRdと、ジンセノシドRg3及びRh2の質量比((Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2))が0以上30以下である浴用剤組成物。
【請求項2】
さらに、(D)色素を0.001質量%以上0.1質量%以下含有するか、或いは(D)色素を含有しない請求項1に記載の浴用剤組成物。
【請求項3】
さらに(E)水溶性高分子を含有する請求項1又は2に記載の浴用剤組成物。
【請求項4】
成分(B)以外の成分が、成分(E)により被覆されてなる請求項3に記載の浴用剤組成物。
【請求項5】
成分(E)が、ポリエチレングリコールである請求項3又は4に記載の浴用剤組成物。
【請求項6】
ジンセノシドRb2、Rb1、Rc及びRdと、ジンセノシドRg3及びRh2の質量比((Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2))が、0以上10以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の浴用剤組成物。
【請求項7】
ジンセノシドRg3及び/又はジンセノシドRh2が、オタネニンジンから得られるものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の浴用剤組成物。
【請求項8】
成分(C)が、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、及びフマル酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の浴用剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴用剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、炭酸塩と有機酸を配合した浴用剤は、浴水中で炭酸ガスの泡を発生し、かかる炭酸ガスによって血行促進効果が得られることから、優れた浴用剤として広く知られている。またこうした浴用剤に、さらに種々の成分を配合することで、付加的効果や相乗的効果をもたらす研究もなされている。
【0003】
例えば、朝鮮ニンジン等の生薬は、炭酸塩とコハク酸等の有機酸を配合したいわゆる発泡性の浴用剤に配合可能な成分として知られており、かかる成分を配合することで、血行促進効果と湯上がり肌のしっとり感効果を相乗的に高めることのできる発泡性の浴用剤が開発されている(特許文献1参照)。
【0004】
朝鮮ニンジンは、オタネニンジン(Panax ginseng)とも称され、古くから知られる薬用植物である。薬効成分としてはジンセノシドが知られており、これまでに50種以上のジンセノシドがオタネニンジンから単離されている。オタネニンジン又はジンセノシドの効果としては、よく知られている強壮作用に加え、近年では、抗腫瘍作用、抗動脈硬化/抗高血圧作用、抗ストレス作用、免疫調節作用、抗炎症/抗アレルギー作用、抗糖尿病作用、中枢神経への作用、記憶や学習向上、神経保護、神経伝達物質放出若しくは取り込み作用等の多岐にわたる効果が見出されている(非特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−215618号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Advances in Food and Nutrition Research, 2009, 55:1-99
【非特許文献2】Phytochemical Analysis, 2008, 19:2-16
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のようなオタネニンジン等の生薬と炭酸塩及び有機酸を配合した浴用剤において、単に上記のような成分を配合するのみでは、浴用剤自体が着色してしまう可能性が高く、また経時的に変色するおそれがあるとともに外観上における安定性も低下するおそれがある。また、入浴時における肌感触を高めることに関しても依然として検討の余地があり、期待する付加的効果や相乗的効果を十分に享受できない可能性がある。
【0008】
したがって、本発明は、炭酸塩及び有機酸の配合による血行促進効果を十分に発揮させつつ、外観上における安定性とともに着色や変色を抑制し、入浴時における肌感触をも高めることができる浴用剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者らは、種々検討したところ、主としてオタネニンジンに含まれることで知られるジンセノシドのうち、特定の2種のものを特定の量比となるように含有し、特定の炭酸塩を用いることにより、炭酸ガスの発生による血行促進効果を相乗的に高めながら外観上における安定性の向上を図ることができ、また入浴時における肌感触をも良好なものとすることができる浴用剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ジンセノシドRg3及び/又はジンセノシドRh2 合計で0.00001質量%以上0.5質量%以下、
(B)炭酸塩中の炭酸ジアルカリ金属塩の含有量が30質量%以上である炭酸塩、及び
(C)有機酸
を含有し、ジンセノシドRb2、Rb1、Rc及びRdと、ジンセノシドRg3及びRh2の質量比((Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2))が0以上30以下である浴用剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の浴用剤組成物によれば、炭酸塩及び有機酸と相まって血行促進効果を相乗的に高めるとともに、外観上における安定性をも高めて、浴用剤組成物の着色や経時的な変色を有効に抑制することができる。また、入浴時における肌の感触を潤いのある油性感の高い滑らかなものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の浴用剤組成物は、ジンセノシドRg3及び/又はジンセノシドRh2(A)を0.00001質量%以上0.5質量%以下含有する。ジンセノシドRg3及びジンセノシドRh2は、オタネニンジンの有効成分としても知られるものであり、ジンセノシドRg3は下記式(1)で表され、ジンセノシドRh2は下記式(2)で表されるものである。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
成分(A)のジンセノシドRg3及びジンセノシドRh2は、いずれも効果的に作用して、血行促進効果を発揮することができ、後述する成分(B)の炭酸塩及び成分(C)の有機酸とともに配合して炭酸ガスを発生させることにより、これらが相まって血行促進効果を高めることが可能となる。また、外観上における安定性を高め、浴用剤組成物の着色を防止するだけでなく、経時的に変色するのを有効に抑制することもできる。さらに、入浴時における肌の感触を、潤いのある油性感の高い滑らかなもの、すなわち浴水中で肌に触れたときに、うっすらと油膜で覆われたような程よいぬめり感を実感することができ、きしきしとするような摩擦感を抑制することができる。これらジンセノシドRg3及びジンセノシドRh2は、一方を単独で用いてもよく、双方をともに用いてもよい。なかでも、血行促進効果を相乗的に高める観点、及び着色や変色の抑制効果を高める観点から、ジンセノシドRg3が好ましい。
【0016】
成分(A)の含有量は、血行促進効果及び入浴時における肌の感触を良好なものとする効果を高める観点、及び着色や変色の抑制効果を高める観点から、本発明の浴用剤組成物中に、合計で0.00001質量%以上であって、好ましくは0.00002質量%以上であり、より好ましくは0.00003質量%以上である。成分(A)の含有量は、炭酸ガスの発生を確保する観点、及び着色や変色の抑制効果を良好に保持する観点から、本発明の浴用剤組成物中に、合計で0.5質量%以下であって、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下である。また、成分(A)の含有量は、本発明の浴用剤組成物中に、合計で0.00001〜0.5質量%であって、好ましくは0.00002〜0.3質量%であり、より好ましくは0.00003〜0.1質量%である。
【0017】
ジンセノシドRb2、Rb1、Rc及びRdは、成分(A)のジンセノシドRg3及びRh2とともに、オタネニンジンに含まれ得る成分としても知られる。本発明の浴用剤組成物において、ジンセノシドRb2、Rb1、Rc及びRdと、成分(A)のジンセノシドRg3及びRh2の質量比((Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2))は、着色や変色の抑制効果を高める観点から、0以上であって、着色や変色の抑制効果を良好に保持する観点から、30以下であって、好ましくは20以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは7以下であり、またさらに好ましくは3以下であり、ことさらに好ましくは1以下である。ジンセノシドRb2、Rb1、Rc及びRdと、ジンセノシドRg3及びRh2の質量比((Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2))は、0〜30であって、好ましくは0〜20であり、より好ましくは0〜10であり、さらに好ましくは0〜7であり、またさらに好ましくは0〜3であり、ことさらに好ましくは0〜1である。
【0018】
ジンセノシドRb2、Rb1、Rc及びRdは、各々下記式(3)、(4)、(5)及び(6)で表されるものである。
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
例えば、ジンセノシドをオタネニンジンから抽出する場合、通常、ジンセノシドRg3及びRh2だけでなく、複数種のジンセノシドが混在して抽出される。しかしながら、本発明では、ジンセノシドRg3及びRh2に着目し、これらを特定の含有量としつつ(Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2)を上記範囲とすることにより、ジンセノシドRg3及びRh2による血行促進効果、着色や変色の抑制効果、及び入浴時における肌の感触を良好なものとする効果を十分に享受することが可能となる。
【0024】
なお、例えば、ジンセノシドをオタネニンジンから抽出することによって成分(A)を得る場合、(Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2)を上記範囲とするには、高温・高圧下で抽出する方法、酵素を用いて抽出する方法、食酢や鉱酸等の酸を用いて抽出する方法、又はイオン交換樹脂を用いて抽出する方法等を採用して上記範囲としてもよい。具体的には、例えば、Panax ginsengの根を原料とし、抽出溶媒として水、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、又はこれらの混合溶媒を用い、温度60〜100℃にて、0.5〜40時間かけて抽出する。抽出溶媒としては水が好ましく、抽出温度は90〜100℃、抽出時間は20〜40時間とすることが好ましい。抽出された抽出物を、ダイヤイオンHP20等の芳香族系カラムやHPLC ODSカラムなどを用いたカラムクロマトグラフィーにより分離することにより単離して、(Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2)を上記範囲に調整することができる。また、オタネニンジン(Panax ginseng)の他に、Panax notoginseng、Panax bipinnatifidus、Panax japonicus、Panax quinquefolius、Panax vietnamensis、Panax wangianus、Panax zingiberensis、Panax pseudoginseng、Panax stipuleanatus、Panax trifolius等からも抽出して上記範囲としてもよい。
【0025】
本発明の浴用剤組成物は、炭酸塩中の炭酸ジアルカリ金属塩の含有量が30質量%以上である炭酸塩(B)を含有する。成分(B)は、本発明の浴用剤組成物を浴水に投入したときに、後述する成分(C)の有機酸とともに炭酸ガスを発生させて、血行促進効果をもたらし、皮膚に良好な温まり感を付与することができる。かかる炭酸ジアルカリ金属塩としては、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムから選ばれる1種又は2種が挙げられ、高い保存安定性を確保する観点から、炭酸ナトリウムが好ましい。
【0026】
炭酸塩(B)中の炭酸ジアルカリ金属塩の含有量は、外観上における安定性を確保して着色や変色の抑制効果を高める観点から、30質量%以上であって、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。炭酸塩(B)中の炭酸ジアルカリ金属塩の含有量は、外観上における安定性を確保する観点、及び良好な着色や変色の抑制効果を保持する観点、浴水への溶解性を高める観点から、好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは99質量%以下であり、さらに好ましくは95質量%以下である。また、炭酸塩(B)中の炭酸ジアルカリ金属塩の含有量は、30質量%以上であって、好ましくは30〜100質量%であり、より好ましくは40〜100質量%であり、さらに好ましくは40〜99質量%であり、さらに好ましくは50〜95質量%である。
【0027】
本発明の浴用剤組成物は、成分(B)中に炭酸ジアルカリ金属塩以外の炭酸塩、すなわち炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸モノアルカリ金属塩、並びに炭酸カルシウム等の二価以上の金属の炭酸塩から選ばれる1種又は2種以上を含んでもよい。なかでも、炭酸ジアルカリ金属塩以外の炭酸塩としては、炭酸ガス発生量を確保する観点から、炭酸モノアルカリ金属塩が好ましく、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムから選ばれる1種又は2種であるのがより好ましい。炭酸モノアルカリ金属塩の含有量は、炭酸ガス発生量を確保する観点、及び外観上における安定性を確保する観点から、成分(B)中に、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。
【0028】
成分(B)の炭酸塩の含有量は、炭酸ガス発生量を確保して、十分な血行促進効果をもたらす観点、及び着色や変色の抑制効果を高める観点から、本発明の浴用剤組成物中に、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。成分(B)の炭酸塩の含有量は、炭酸ガス発生量を確保する観点、十分な血行促進効果をもたらす観点、及び着色や変色の抑制効果を良好に保持する観点から、本発明の浴用剤組成物中に、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは65質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。また、成分(B)の炭酸塩の含有量は、本発明の浴用剤組成物中に、好ましくは20〜70質量%であり、より好ましくは25〜65質量%であり、さらに好ましくは30〜60質量%である。
【0029】
また、成分(A)のジンセノシドRg3及びRh2と成分(B)の質量比((Rg3+Rh2)/(B))は、血行促進効果及び着色や変色の抑制効果をともに高める観点から、好ましくは0.0005×10-3以上であり、より好ましくは0.0025×10-3以上であり、さらに好ましくは0.02×10-3以上である。成分(A)のジンセノシドRg3及びRh2と成分(B)の質量比((Rg3+Rh2)/(B))は、良好な血行促進効果及び着色や変色の抑制効果をバランスよく保持する観点から、好ましくは3×10-3以下であり、より好ましくは2.5×10-3以下であり、さらに好ましくは2×10-3以下である。成分(A)のジンセノシドRg3及びRh2と成分(B)の質量比((Rg3+Rh2)/(B))は、好ましくは0.0005×10-3〜3×10-3であり、より好ましくは0.0025×10-3〜2.5×10-3であり、さらに好ましくは0.02×10-3〜2×10-3である。
【0030】
本発明の浴用剤組成物は、有機酸(C)を含有する。かかる成分(C)としては、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、サリチル酸及びシュウ酸等の室温(25℃)で固体の有機酸が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、外観上における安定性を確保する観点から、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、及びフマル酸から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0031】
成分(C)の含有量は、炭酸ガス発生量を確保して、十分な血行促進効果をもたらす観点、及び着色や変色の抑制効果を高める観点から、本発明の浴用剤組成物中に、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。成分(C)の含有量は、炭酸ガス発生量を確保して、十分な血行促進効果をもたらす観点、及び着色や変色の抑制効果を良好に保持する観点から、本発明の浴用剤組成物中に、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは65質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。また、成分(C)の含有量は、本発明の浴用剤組成物中に、好ましくは20〜70質量%であり、より好ましくは25〜65質量%であり、さらに好ましくは30〜60質量%である。
【0032】
本発明の浴用剤組成物は、さらに色素(D)を含有してもよく、例えば、0.0001質量%以上5.0質量%以下含有することが可能であり、0.5質量%以下含有することがより好ましく、0.05質量%以下含有することがさらに好ましく、或いは(D)色素を含有しないことが好ましい。本発明の浴用剤組成物は、上記特定量の成分(A)と成分(B)及び成分(C)を含有し、かつ上記(Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2)が特定の範囲内であることにより、外観上の安定性が高く、浴用剤組成物の着色や経時的な変色を有効に抑制することができるので、成分(D)の色素の含有量を低減することが可能であり、或いは含有する必要がなく、良好な色合いを長期間に亘り保持することができる。
【0033】
成分(D)の色素とは、顔料をも含む意味であり、かかる成分(D)としては、具体的には、厚生労働省令タール色素別表I及びIIで定める青色1号、赤色106号、赤色2号、黄色4号、黄色202(1)号、緑色3号等のタール色素;食品添加物として認められているクロロフィル、リボフラビン、アンナット等の天然色素;酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、カオリン、ベントナイト、雲母チタン等の顔料等が挙げられる。これらの色素は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0034】
本発明の浴用剤組成物は、浴水に投入した際に上記各成分の分散性を高める観点から、水溶性高分子(E)を含有することが好ましい。かかる成分(E)としては、例えば、にかわ、ゼラチン、コラーゲンタンパク、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ファーセレラン、タマリンドガム、ペクチン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、トラガントガム、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストラン、寒天、澱粉等の天然水溶性高分子;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン澱粉等の半合成水溶性高分子;ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の合成水溶性高分子等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、ポリエチレングリコール、及びデキストリンから選ばれる1種又は2種が好ましく、ポリエチレングリコールがより好ましい。
【0035】
また、着色や変色の抑制効果を高める観点から、成分(B)以外の成分が、成分(E)により被覆されてなることが好ましい。成分(B)以外の成分としては、成分(B)との隔離性を確保して炭酸ガス発生量を高めつつ、良好な保存安定性を保持する観点から、成分(C)の有機酸であることが好ましい。成分(B)以外の成分を被覆する場合における成分(E)としては、ポリエチレングリコールが好ましい。被覆されてなる成分(B)以外の成分と、かかる成分を被覆してなる成分(E)との質量比(被覆されてなる成分/被覆成分(E))は、好ましくは4〜90であり、より好ましくは6〜40である。成分(B)以外の成分を成分(E)で被覆するには、これらを混合した後、押出造粒機や転動造粒機等を用いて造粒することが好ましい。
【0036】
なお、成分(E)により被覆されてなる成分(B)以外の成分を用いる場合、本発明の浴用剤組成物は、その他の成分として、さらに成分(E)を含有することができる。成分(E)のうち、成分(B)以外の成分を被覆する成分(E)と、本発明の浴用剤組成物中におけるその他の成分としての成分(E)とは、同一であってもよく異なっていてもよい。
【0037】
成分(E)の含有量は、各成分の分散性を高める観点から、本発明の浴用剤組成物中に、合計で、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上であり、ことさらに好ましくは5質量%以上である。成分(E)の含有量は、炭酸ガス発生量を確保する観点から、本発明の浴用剤組成物中に、合計で、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である。
【0038】
本発明の浴用剤組成物には、その他上記成分以外の成分として、通常浴用剤に用いられる成分、例えば、非イオン界面活性剤、炭酸塩以外の無機塩類、ビタミン類、蛋白分解酵素、殺菌防腐剤、賦形剤、香料、生薬等を適宜含有させてもよい。なかでも、良好な着色や変色の抑制効果を高める観点から、吸液性を有する無水ケイ酸等や、水を結晶水として保持することが可能な硫酸ナトリウム等を含有させることが好ましい。
【0039】
本発明の浴用剤組成物は、十分に混合した後、押出造粒等の圧縮造粒方法や、プレス打錠機やブリケットマシーンを用いた圧縮成形法等の常法に従って製造することもでき、その形態は粉末、顆粒、粒状、ブリケット錠、錠剤等のいずれであってもよい。また、成分の一部を予め造粒あるいは成型して、その余の成分と混合した後に成形した形態であってもよく、例えば、成分(B)以外の成分を成分(E)により被覆する場合には、予めこれらの成分を混合した後に造粒し、次いでその余の成分と混合すればよい。
【0040】
本発明の浴用剤組成物は、浴水に溶解して炭酸ガスの泡を発生させ、かかる浴水に身体の少なくとも一部を浸漬して使用する。浸漬する身体の部位は、身体全体を浸漬する全身浴であってもよく、首や肩、手や腕、足や脚等、身体の一部のみであってもよい。なかでも、本発明の浴用剤組成物は、角質層の厚い身体の部位であっても、良好に血行促進効果を及ぼし、肌感触の良さを実感することができる観点から、足を浸漬して使用するための足浴剤として最適である。
【0041】
本発明の浴用剤組成物による血行促進効果や入浴時における肌感触を高める効果をさらに向上させるためには、本発明の浴用剤組成物が浴水のpHを4〜7とするものであることが好ましく、さらにpH4.5〜6.5とするものであることが好ましい。
【0042】
本発明の浴用剤組成物による血行促進効果をさらに向上させるためには、本発明の浴用剤組成物が浴水の炭酸ガス濃度を30ppm以上とするものであることが好ましく、さらに60ppm以上とするものであることが好ましい。
【0043】
本発明の浴用剤組成物による血行促進効果や入浴時における肌感触を高める効果を十分に享受するには、入浴温度は、好ましくは30〜45℃である。また、1回の入浴時間は、好ましくは3分以上であり、より好ましくは5分以上であり、さらに好ましくは10分以上であるのがよい。
【0044】
上述した本発明の実施態様に関し、さらに以下の浴用剤組成物を開示する。
[1]次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ジンセノシドRg3及び/又はジンセノシドRh2 合計で0.00001質量%以上0.5質量%以下、
(B)炭酸塩中の炭酸ジアルカリ金属塩の含有量が30質量%以上である炭酸塩、及び
(C)有機酸
を含有し、ジンセノシドRb2、Rb1、Rc及びRdと、ジンセノシドRg3及びRh2の質量比((Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2))が0以上30以下である浴用剤組成物。
[2]成分(A)の含有量は、合計で、好ましくは0.00002質量%以上であり、好ましくは0.3質量%以下である上記[1]の浴用剤組成物。
[3]質量比((Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2))は、好ましくは20以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは7以下であり、またさらに好ましくは3以下であり、ことさらに好ましくは1以下である上記[1]又は[2]の浴用剤組成物。
【0045】
[4]成分(B)中の炭酸ジアルカリ金属塩の含有量は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは99質量%以下であり、さらに好ましくは95質量%以下である上記[1]〜[3]いずれか1の浴用剤組成物。
[5]炭酸ジアルカリ金属塩は、好ましくは炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムから選ばれる1種又は2種であり、より好ましくは炭酸ナトリウムである上記[1]〜[4]いずれか1の浴用剤組成物。
[6]成分(B)中における炭酸ジアルカリ金属塩以外の炭酸塩は、好ましくは炭酸モノアルカリ金属塩、及び二価以上の金属の炭酸塩から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは炭酸モノアルカリ金属塩であり、さらに好ましくは炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムから選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[5]いずれか1の浴用剤組成物。
[7]成分(B)の含有量は、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは65質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である上記[1]〜[6]いずれか1の浴用剤組成物。
[8]成分(A)のジンセノシドRg3及びRh2と成分(B)の質量比((Rg3+Rh2)/(B))は、好ましくは0.0005×10-3以上であり、より好ましくは0.0025×10-3以上であり、さらに好ましくは0.02×10-3以上であり、また、好ましくは3×10-3以下であり、より好ましくは2.5×10-3以下であり、さらに好ましくは2×10-3以下である上記[1]〜[7]いずれか1の浴用剤組成物。
[9]成分(C)は、好ましくはリンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、サリチル酸及びシュウ酸から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、及びフマル酸から選ばれる1種又は2種である上記[1]〜[8]いずれか1の浴用剤組成物。
[10]成分(C)の含有量は、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは65質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である上記[1]〜[9]いずれか1の浴用剤組成物。
[11]さらに、色素(D)を含有する、或いは色素(D)を含有しない、上記[1]〜[10]いずれか1の浴用剤組成物。
[12]成分(D)は、好ましくはタール色素、天然色素、及び顔料から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは青色1号、赤色106号、赤色2号、黄色4号、黄色202(1)号、緑色3号等のタール色素、クロロフィル、リボフラビン、アンナット等の天然色素、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、カオリン、ベントナイト、雲母チタン等の顔料から選ばれる1種又は2種である上記[11]の浴用剤組成物。
[13]成分(D)の含有量は、0.0001質量%以上5.0質量%以下含有することが好ましく、0.5質量%以下含有することがより好ましく、0.05質量%以下含有することがさらに好ましく、或いは(D)色素を含有しないことが好ましい上記[11]又は[12]の浴用剤組成物。
【0046】
[14]さらに、水溶性高分子(E)を含む上記[1]〜[13]いずれか1の浴用剤組成物。
[15]成分(E)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上であり、ことさらに好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である上記[14]の浴用剤組成物。
[16]成分(E)は、好ましくは天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、及び合成水溶性高分子から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはポリエチレングリコール、及びデキストリンから選ばれる1種又は2種であり、さらに好ましくはポリエチレングリコールである上記[14]又は[15]の浴用剤組成物。
[17]成分(B)以外の成分が、成分(E)により被覆されてなる上記[14]〜[16]いずれか1の浴用剤組成物。
[18]成分(B)以外の成分が、成分(C)である上記[17]の浴用剤組成物。
[19]さらに、油性成分を含有する上記[1]〜[18]いずれか1の浴用剤組成物。
【0047】
[20]油性成分の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である上記[19]の浴用剤組成物。
[21]組成物のpHが、好ましくは4〜7であり、より好ましくは4.5〜6.5である上記[1]〜[20]いずれか1の浴用剤組成物。
[22]足浴剤である上記[1]〜[21]いずれか1の浴用剤組成物。
[23]足浴のための上記[1]〜[21]いずれか1の浴用剤組成物の使用。
[24]着色及び変色が抑制された浴用剤組成物を製造するための、上記[1]〜[21]いずれか1の浴用剤組成物の使用。
【実施例】
【0048】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0049】
[製造例1:エキスの抽出]
チョウセンニンジン(Panax ginseng)の根(中国産)100gに水850mLを加え、100℃で30時間抽出し、ろ過後濃縮してニンジンエキスを得た。
【0050】
[製造例2:フマル酸PEGコート造粒物の作製]
7.6kgのフマル酸と0.4kgのPEG6000をヘンシェルミキサー(FM20B型)に投入し、加熱して70℃になるまで混合し、その後冷却して造粒物を得た。フマル酸とPEGの質量比(フマル酸/PEG)は、95/5であった。
【0051】
[実施例1〜16、比較例1〜3]
表2〜3に示す処方にしたがい、製造例1で得られたエキスを用いて各成分を混合し、1錠45gの発泡錠剤に圧縮成形して浴用剤を得た。なお、浴用剤中におけるジンセノシドRg3、Rh2、Rb2、Rb1、Rc及びRdの量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を下記表1に示す条件下で用いて分析することにより求めた。
HPLC条件
【0052】
【表1】
【0053】
得られた浴用剤を用い、下記方法にしたがって各評価を行った。結果を表2〜3に示す。
【0054】
《血行促進効果の評価》
40℃の湯6Lに各浴用剤45gを投入して、炭酸ガス濃度1000ppm、pH5.1とした浴湯へ、5名の被験者に、15分間足首から下の部分を浸漬して足浴してもらい、足浴を開始する前と、足浴直後の皮膚血流量(mL/min)を測定し、足浴を開始する前の個々の血流量を100として、足浴開始15分後の個々の血流量を指数表示し、5人の平均値を算出した。なお、皮膚血流量は、足背部に電極を装着し、レーザードップラー血流計(ALF21、(株)アドバンス社製)を用いて測定した。
【0055】
《色差の測定》
分光測色計CM−700D(コニカミノルタ製)を用い、製造した直後のものと、アルミ(7μm)積層フィルムにて包装し50℃で1ヶ月間保存したものとの色差ΔEを測定した。
【0056】
《入浴時における肌感触》
各浴用剤45gを、40℃、6Lの浴水に溶解した浴水に、健常肌の者3名により、15分間入浴してもらい、入浴中の肌の感触(潤いのある油性感の高い滑らかなものであることを実感できる感触)を以下の基準で官能評価し、平均点を求めた。かかる値が低いほど、良好な結果であることを示す。
1:非常になめらか
2:なめらか
3:どちらとも言えない
4:あまりなめらかでない
5:なめらかでない
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
表2〜3の結果によれば、実施例1〜16の浴用剤は、ジンセノシドを全く含有しない比較例1、及びジンセノシドRg3及びRh2の質量比((Rb2+Rb1+Rc+Rd)/(Rg3+Rh2))が30を超える比較例2〜3の浴用剤に比して、血行促進効果を良好に発揮するとともに、着色や変色の抑制効果、及び入浴時における肌の感触を良好なものとする効果をバランスよく発揮することがわかる。