特許第6246667号(P6246667)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許6246667反応性接着剤を基材に結合させるための改良されたプロセス
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246667
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】反応性接着剤を基材に結合させるための改良されたプロセス
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/02 20060101AFI20171204BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20171204BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20171204BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   C09J201/02
   C09J11/06
   C09J163/00
   C09J175/04
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-121955(P2014-121955)
(22)【出願日】2014年6月13日
(62)【分割の表示】特願2011-526907(P2011-526907)の分割
【原出願日】2009年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-208829(P2014-208829A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2014年7月10日
【審判番号】不服2015-16828(P2015-16828/J1)
【審判請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】61/095,653
(32)【優先日】2008年9月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】トリベルホーン,ウルリッチ
(72)【発明者】
【氏名】ハージャー ハッサン,レナーテ
【合議体】
【審判長】 豊永 茂弘
【審判官】 原 賢一
【審判官】 天野 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−179207(JP,A)
【文献】 特開2007−231274(JP,A)
【文献】 特開平10−158588(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/030139(WO,A1)
【文献】 特開2006−306979(JP,A)
【文献】 特開平7−53241(JP,A)
【文献】 特開2001−334184(JP,A)
【文献】 特開2003−192990(JP,A)
【文献】 特開2003−183576(JP,A)
【文献】 特開平11−197591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性ポリイソシアネート系接着剤を少なくとも1つの基材に接着させる方法であって、
a)チタニウムアセチルアセトネートを含む、反応性ポリイソシアネート系接着剤を硬化させるための触媒と;脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、および芳香族炭化水素のうちの1種以上を含む揮発性溶媒または分散剤とからなる溶液または分散剤を、前記反応性ポリイソシアネート系接着剤が結合することになる基剤の表面に接触させるステップ;
b)前記揮発性溶媒又は分散剤を揮発させて取り除くステップ;
c)反応性ポリイソシアネート系接着剤を、ステップa)で処理された前記表面に接触させるステップ;及び
d)前記反応性ポリイソシアネート系接着剤を硬化させるステップ、を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの基材は、第1基材と第2基材とからなり、前記第1基材は、前記反応性ポリイソシアネート系接着剤が硬化する前に前記第2基材と前記第1及び第2基材間に配置される前記反応性ポリイソシアネート系接着剤で結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2基材の、前記反応性ポリイソシアネート系接着剤と接触する表面部分は、ステップa)およびステップb)で処理される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記反応性ポリイソシアネート系接着剤は、一液型接着剤系又は二液型接着剤系である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
1つ又はそれ以上の基材が被覆金属である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
揮発性溶媒又は分散剤中の触媒の濃度は、0.01〜2重量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
揮発性溶媒中の前記触媒溶液は、前記1つ又はそれ以上の基材の1つ又はそれ以上の表面に、スプレー法、ローリング法、ブラシ法又はワイプ法によって塗布される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップb)の後には、触媒のみを、前記反応性ポリイソシアネート系接着剤と結合する基材の表面上に配置する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップb)の後には、触媒及びマーカのみを、前記反応性ポリイソシアネート系接着剤と結合する基材の表面上に配置する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶液又は分散剤は、膜形成樹脂を含有していない、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性接着剤の基材への接着及び連結速度を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性接着剤、例えば、イソシアネート官能性(ポリウレタン又は尿素形成性)、エポ
キシ系及びシラノール縮合系(silanol condensation based)接着剤は、広範囲の基材を
一緒に結合するために使用される。前記接着剤は、建築、車両製造、電子部分組立品及び
デバイスの組み立て、玩具などに利用される。前記接着剤は広範囲の用途が見いだされて
いるが、それは前記接着剤がそれほど値段の高くない加工処理条件を許容し、多数の基材
への良好な接着を示すからである。多数の基材について、反応性接着剤を用いて部品を組
み立てるために使用されるプロセスは、汚染物質を除去するために基材表面の清浄化を必
要とし、前記表面を清浄化するために使用される系はワイプと呼ばれることがある。多く
のプロセスでは、接着剤の基材への接着を容易にするためにプライマ又は活性剤が利用さ
れる。プライマ又は活性剤系は、典型的には膜形成樹脂、溶媒及び1つ又はそれ以上の接
着促進剤、触媒、硬化剤又は架橋剤を含有する。例えば、独国特許第19924139号
を参照されたい。プライマは、基材表面上で基材表面及び接着剤表面に結合する膜の形成
を必要とする。大多数の商業的用途では、プライマは、適正な膜の構築を許容するために
プライマの塗布と接着剤の塗布との間に最小時間量を必要とする。接着剤がそのような最
小時間の前に塗布されると、プライマは密着性の膜を形成する機会を有さなくなり、基材
表面又は接着剤表面のいずれかに結合しないという大きなリスクが生じる。多数のプライ
マは、水分硬化性プライマであり、適正な膜を形成するために水分の存在を必要とする。
前記プライマの例は、米国特許第5,115,086号;米国特許第5,238,993
号;米国特許第5,466,727号;米国特許第5,468,317号;米国特許第5
,792,811号であり、上記特許は全部が参照により本明細書に組み込まれる。接着
促進剤の非造膜溶液、しばしば活性剤と呼ばれるが、前記非造膜溶液が使用され、これは
基材及び接着剤との反応を目的とする基(group)を含有し得る。ワイプ系の例は、参照に
より本明細書に組み込まれる米国特許第6,053,971号に含まれる。前記系におい
て有用な前記接着促進剤の例は、例えばはいずれも参照により本明細書に組み込まれる米
国特許出願公開第2005/0126683号及び米国特許出願公開第2006/012
4225号に開示されているシラン、イソシアネート含有化合物、チタネート及びジルコ
ネートである。
【0003】
一液型(one-part)イソシアネート官能接着剤は、典型的にはポリイソシアネート又は
イソシアネート官能プレポリマの形態にある1つ又はそれ以上のイソシアネート官能材料
及び接着剤を硬化させるための触媒を含有する。典型的には、これらの接着剤は水分への
曝露の結果として硬化し、基材に塗布されるまでは水分から保護される。一液型ポリウレ
タン系接着剤をプライマとともに使用する場合は、プライマ及び接着剤の硬化速度を、接
着剤がプライマに連結できるように一致させなければならない。水分に曝露すると膜を硬
化させる、又は形成するプライマについては、接着剤及びプライマは水分を奪い合う。プ
ライマの一面に接着剤を塗布すると、水分がプライマへ拡散することは困難であることが
多く、プライマは膜を適正に形成し得ない。プライマが適正に硬化しないと、接着剤系の
基材への結合は、その使用のためには不十分である可能性がある。
【0004】
二液型(two-part)ポリイソシアネート系接着剤は、第1液中にはポリイソシアネート
又はイソシアネート官能プレポリマを、第2液中には硬化剤と前記硬化剤及びイソシアネ
ート基を反応させるための触媒とを含んでいる。更に、基材又はプライマの表面へ接着剤
を連結させるには、それらを適合させる必要がある。接着剤の硬化速度が接着剤の基材表
面又はプライマ表面への連結より有意に速ければ、基材への不良な接着が発生し、基材へ
の接着剤系の結合はその使用のためには不十分となる可能性がある。典型的には、硬化剤
は、平均すると1つより多い活性水素原子、例えばアミン又はヒドロキシル成分を有する
化合物である。前記系の例には、本願と同一所有権者によるCOMPOSITION U
SEFUL AS AN ADHESIVE FOR INSTALLING VEHICLE
WINDOWS(登録商標)と題する米国で2007年6月3日に出願された米国特許
出願11/824,984号及び2007年6月5日にPCT出願されたPCT/US0
7/013;米国特許第6,965,008号;欧州特許第1433802号及び欧州特
許第1578834号(全部が参照により本明細書に組み込まれる)の中に開示された接
着剤系が含まれる。これらの接着剤は、二液が接触すると硬化し始める。二液型接着剤は
、それらが一液型接着剤よりはるかに速く硬化するという利点を有する。二液型接着剤を
プライマとともに利用することに関する問題は、接着剤がプライマより速く硬化してプラ
イマに連結できないということである。更に、イソシアネート基を含有する接着剤は、プ
ライマを硬化させるために必要な水分を妨害する可能性がある。そこで、プライマ塗布と
接着剤の基材への塗布との間の時間は、適正な膜構築を許容する必要があり、さもなけれ
ばこの系は完全に連結して接着剤系の層全部に沿って良好な結合を形成することができな
い。更に、連結速度は、接着剤の硬化速度と適応させる必要がある。いずれかが他方と比
較して速すぎれば、基材への不良な接着が発生し、基材への接着剤系の結合はその使用の
ために不十分となる可能性がある。
【0005】
一液型エポキシ接着剤系は平均して1つより多いエポキシ(グリシジルエーテル基)を
有する化合物、エポキシ成分、例えばヒドロキシル又はアミン成分と反応する平均して1
つより多い成分を含む硬化剤、及び潜在性硬化触媒を有する化合物を含んでいる。潜在性
硬化触媒は、典型的には設定された高温に曝露されると活性になる。一液型エポキシ接着
剤は硬化するために熱を必要とし、適正に調製されないと安定性の問題に悩まされること
があり、つまり塗布される前に硬化することがある。触媒が反応を過度に高速に進行させ
ると、接着剤は、使用された場合には基材の表面に塗布されたプライマの基材表面に連結
しない可能性がある。
【0006】
二液型エポキシ系は、1液中に平均すると1つ又はそれ以上のエポキシ基と、別の液中
に前記エポキシのための硬化剤を有する化合物及び前記エポキシ化合物を硬化させるため
の触媒(硬化促進剤と呼ばれることが多い)とを含んでいる。典型的には、触媒は周囲温
度で活性であり、二液を接触させると反応を促進する。硬化速度は、硬化剤及び/又は触
媒の選択によって用途に適応するように調整することができる。それでも、プライマ塗布
された系では、接着剤硬化速度、連結速度及びオープンタイムは注意深く制御する必要が
あり、そうしなければ接着剤のプライマ系への連結が損なわれる可能性がある。活性剤系
は、連結反応と硬化反応とのバランスを取る必要を解決することができない。
【0007】
別の一般的接着剤系は、それに結合した加水分解性基、すなわちシラノール縮合が可能
な基とともにシロキシ基を有する有機系ポリマーを含んでいる。これらの接着剤は、相当
に高度の極性表面を有するガラス、塗装基材、金属及びプラスチックを含む様々な基材を
結合するために使用される。前記接着剤は、一液型又は二液型接着剤に調製することがで
きる。一液型接着剤は、水分硬化性である。二液型接着剤は、第2液中に硬化剤を含有す
る。前記接着剤系の例は、参照により本明細書に組み込まれるMahdiら、米国特許第
6,828,403号;Wuら、米国特許第6,649,016号及びZhu、米国特許
出願公開第2008/0017296号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第19924139号
【特許文献2】米国特許第5,115,086号
【特許文献3】米国特許第5,238,993号
【特許文献4】米国特許第5,466,727号
【特許文献5】米国特許第5,468,317号
【特許文献6】米国特許第5,792,811号
【特許文献7】米国特許第6,053,971号
【特許文献8】米国特許出願公開第2005/0126683号
【特許文献9】米国特許出願公開第2006/0124225号
【特許文献10】米国特許出願11/824,984号
【特許文献11】PCT/US07/013
【特許文献12】米国特許第6,965,008号
【特許文献13】欧州特許第1433802号
【特許文献14】欧州特許第1578834号
【特許文献15】米国特許第6,828,403号
【特許文献16】米国特許第6,649,016号
【特許文献17】米国特許出願公開第2008/0017296号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
接着剤系におけるプライマの使用は、プライマを塗布するプロセス工程を必要とし、2
つの追加の表面を提供するので接着剤系はそれに沿って破壊する可能性があり、更にオー
プンタイムを必要とするため製造プロセスに加工処理時間を増やす。現代の工業プロセス
では、部品を移動させ、できる限り速く接着剤系上に負荷を加える必要がある。接着剤で
一緒に結合する部品又は製品を移動させること、又は系が適正な強度を構築する前に接着
剤結合上に負荷を課すことは、接着剤系の破壊をもたらし、したがって欠陥のある部品又
は製品をもたらす可能性がある。必要とされるのは、これらの問題を回避する、及び基材
又はプライマ系への連結速度に反応性接着剤の硬化速度を適応させる反応性接着剤を用い
て部品を結合するための系である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、i)反応性接着剤を硬化させるための触媒の安定性溶液又は分散液と;別個
の液中でii)未硬化反応性接着剤系とを含む系、又はキットであって、前記液i)の触
媒は前記反応性接着剤系の硬化を促進する系、又はキットである。本反応性接着剤系は、
一液型又は二液型系であってよい。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、反応性接着剤を基材に結合させる方法であって、
a)揮発性溶媒又は分散剤中の反応性接着剤を硬化させるための触媒を前記接着剤が結
合する前記基材の表面と接触させることと;
b)前記揮発性溶媒又は分散剤を揮発させて取り除くことと;
c)反応性接着剤を工程a)で処理された前記表面と接触させることと;及び
d)前記接着剤を硬化させることと、を含む方法である。このプロセスは、プライマ及
び膜形成剤含有プライマの非存在下で実施される。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、2つ又はそれ以上の基材を一緒に結合する方法であって

a)揮発性溶媒又は分散剤中の反応性接着剤を硬化させるための触媒を前記接着剤を結
合させる前記2つ又はそれ以上の基材の表面と接触させることと;
b)前記揮発性溶媒又は分散剤を揮発させて取り除くことと;
c)反応性接着剤を工程a)で処理した前記表面と接触させることと;
d)前記基材を前記基材間に配置した前記接着剤と一緒に接触させることと;及び
e)前記接着剤を硬化させることと、を含む方法である。
【0013】
本接着剤は、基材表面には直接的に結合するが、別個のプライマ層には直接的に結合し
ない。好ましくは、溶媒が揮発して取り除かれると、基材は結合される表面上に触媒を有
する。1つの実施形態では、触媒は、基材の表面上に配置される唯一の有意な種である。
溶媒又は分散剤は、触媒を保持することに加えて、基材の表面を清浄化するために更に機
能することができる。別の実施形態では、触媒溶液又は分散液は、触媒の基材表面への塗
布を確認するために使用されるマーカを含有する。
【0014】
このプロセスは、基材への接着剤のより速い連結を提供し、一液型接着剤の安定性を強
化し、より低濃度の触媒濃度を備える一液型接着剤の調製を許容するが、これは更により
短い期間で処理できる部品又は製品の結合を許容する。新世代の自動車用塗料の表面品質
は益々変化してきた。引っ掻き及び老化特性は改善されているが、その改善は他方では先
行技術の系を用いた場合にプライマなしでこれらの塗料に結合することを困難にする。ガ
ラスを用いた場合には、極めて頻回に接着剤の垂れ/滑りが先行技術系を用いると観察で
きる。本発明による前処理は、この問題を回避し、塗料プライマの必要を回避することが
できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明において使用される接着剤系は、本系の硬化を促進するために触媒を利用し得る
任意の反応性接着剤系であってよい。「反応性」は、本明細書では接着剤がいったん硬化
すると不可逆的に凝固するポリマーマトリックスを形成するように反応する成分を含有す
ることを意味する。好ましい反応性接着剤系のうち、エポキシ、ポリイソシアネート(ポ
リウレタン、ポリウレア及び/又はポリイソシアナウレートを形成する)、水分硬化性シ
ラン、ブロック化又は不活性化イソシアネート基を基礎とする熱硬化性ポリウレタン接着
剤などがある。より好ましい系は、エポキシ系及びポリイソシアネート系接着剤系である
。一層より好ましい接着剤系は、ポリイソシアネート系である。本接着剤系は、一液型又
は二液型接着剤系であってよい。より好ましいのは、二液型接着剤系である。
【0016】
基材に塗布される触媒溶液又は分散液は、利用される特定接着剤系のための任意の触媒
を含有していてよい。触媒の選択は、接着剤系によって決定される。以下では、好ましい
接着剤系及び前記系のための触媒について記載する。好ましい触媒は、ポリウレタン触媒
、シラノール縮合触媒及びエポキシ触媒である。溶媒又は分散剤は、触媒の安定性溶液又
は分散液を形成する任意の溶媒又は分散剤であってよい。「安定性」は、触媒が基材表面
に塗布されるまでは分散液又は溶液中に残留することを意味する。好ましくは、溶媒又は
分散剤は、前記溶液又は分散液が基材に塗布される条件下では揮発性である。溶媒又は分
散剤は、基材への塗布後できる限り迅速に蒸発して取り除かれる、又は直ちに消失するの
が望ましい。好ましくは、触媒溶液又は分散液は、前記溶媒又は分散液が直ちに消失した
後に前記基材の表面上に前記触媒だけを残す。別の実施形態では、前記溶液又は分散液は
、プロセスの操作者が前記溶液又は分散液が塗布されたことを確認することを可能にする
マーカを含有してもよい。前記マーカには、多数の供給源、例えば、アルドリッヒ・ケミ
カル(Aldrich Chemical Co.)社(ウィスコンシン州ミルウォーキ
ー)から容易に入手できる蛍光成分が挙げられる。特定の例として、蛍光成分は、チバ・
スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社
(ニューヨーク州タリタウン)から入手できるUvitex OBブランドの蛍光剤であ
ってよい。触媒溶液又は分散液に加えられる蛍光剤の量は、前記触媒溶液又は分散液で処
理されたウィンドウの領域が、前記ウィンドウが紫外線で照明されると明白となるように
十分でなければならない。この実施形態では、マーカを触媒と基材表面上にそって残すこ
とができる。好ましい溶媒又は分散剤のうち、脂環式炭化水素、脂肪族炭化水素、芳香族
炭化水素、ケトン、エステル、エーテル又はアルコールがあり、脂環式炭化水素、脂肪族
炭化水素、芳香族炭化水素がより好ましい。より好ましい溶媒又は分散剤は、脂肪族炭化
水素である。好ましい脂肪族炭化水素のうち、ヘキサン、ヘプタン及びオクタンがある。
好ましい脂環式炭化水素のうち、シクロヘキサンがある。好ましい芳香族炭化水素のうち
、トルエン及びキシレンがある。
【0017】
溶液又は分散液中の触媒濃度は、接着剤系、望ましい硬化及び連結の速度に適応するよ
うに変化させてもよい。触媒量は、望ましい連結速度を与えるために十分な量である。「
連結(link-up)」は、特定材料に隣接させた表面への結合を意味する。好ましくは、触
媒は、溶液又は分散液の重量に基づいて約0.01重量%以上、より好ましくは約0.0
5重量%以上、及び最も好ましくは0.1重量%以上の量で存在する。好ましくは、触媒
は、溶液の重量に基づいて約20重量%以下、より好ましくは約5重量%以下、及び最も
好ましくは約2重量%以下の量で存在する。
【0018】
ポリイソシアネート系接着剤系については、触媒は、イソシアネート成分と水又は活性
水素含有化合物とを反応させるための当業者に公知の任意の触媒であってよい。好ましく
は、前記触媒は周囲条件では揮発性ではない。前記化合物は、当分野において周知である
。好ましい触媒は、強力なゲル化又は三量化触媒を含んでいる。好ましい触媒は、金属塩
、アミン系触媒、アジリジン系触媒又は第4級アンモニウム触媒である。好ましい触媒の
うち、金属アルカノエート、金属アセテート、金属アセチルアセトネート、ジアザビシク
ロ化合物及び第3級アミンがある。金属塩で使用される好ましい金属には、スズ、ビスマ
ス、鉄、カリウム、ナトリウム、亜鉛、及びチタニウムが挙げられ、スズ、ビスマス、及
びチタニウムがより好ましい。好ましい金属アルカノエート触媒には、ビスマス、亜鉛、
カリウム及びナトリウムアルカノエートが挙げられ、ビスマスオクトエート、ビスマスネ
オデカノエート、亜鉛オクトエート、カリウムオクトエート、及びナトリウムオクトエー
トを含んでいる。好ましい金属アセテートには、カリウムアセテートが挙げられる。好ま
しい金属アセチルアセチルアセトネートには、鉄アセチルアセトネート、ジブチルスズジ
アセチルアセトネート及びチタニウムアセチルアセトネートが挙げられる。本発明におい
て有用なアミン触媒には、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアルキルモルホリ
ノ)アルキル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノ−エチル)エーテル、トリエチレ
ンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロ−ヘキシルア
ミン、N,N−ジメチルピペラジン−4−メトキシエチルモルホリン、N−メチルモルホ
リン、N−エチルモルホリン、及びそれらの混合物が挙げられる。より好ましい触媒は、
アンモニウム塩、例えばエア・プロダクツ(Air Products)社から入手でき
るDABCO(商標)TMR、TMR−3、TMR−4触媒(エチレングリコール中の2
−エチルヘキサン酸でブロックされたN−ヒドロキシ−アルキル第3級アンモニウムカル
ボキシレート)、エア・プロダクツ社から入手できるDABCO(商標)TMR−2及び
TMR−5触媒(エチレングリコール中のギ酸でブロックされたN−ヒドロキシ−アルキ
ル第3級アンモニウムカルボキシレート)である。好ましいアミン触媒には、第3級アミ
ン、例えばPOLYCAT(商標)41触媒(1,3.5−トリス(3(ジメチルアミノ
−プロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン);DABCO(商標)TMR−30触媒(
トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及びANCAMINE(商標)K−54 2
,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。更に有用な触媒に
は、CURITHANE(商標)52触媒(2−メチル(n−メチルアミノb−ナトリウ
ムアセテートノニルフェノール))も含まれる。ジアザビシクロ化合物は、ジアゾビシク
ロ構造を有する化合物である。好ましいジアザビシクロ炭化水素のうち、ジアザビシクロ
アルカン及びジアザビシクロアルケン塩がある。好ましいジアザビシクロアルカンには、
エア・プロダクツ社から商標及び商品名DABCO及びDABCO WTで入手できるジ
アザビシクロオクタンが挙げられる。好ましいジアザビシクロアルカン塩には、ジアザビ
シクロウンデセン及びその塩が挙げられる。好ましい塩は、フェノレート、エチルヘキソ
エート、オレエート及びフォルメート塩形である。前記触媒は、エア・プロダクツ社から
商標及び商品名POLYCAT SA1、POLYCAT SA1/10、POLYCT
SA102及びPOLYCAT SA610で入手できる。好ましいジアザビシクロ化
合物には、POLYCAT DBU触媒(1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデ
セン−7);POLYCAT SA−102触媒(2−エチルヘキサノン酸でブロックさ
れた1,8ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7);POLYCAT(商標)S
A−I触媒(フェノール酸(38%)でブロックされた62%の1,8−ジアザビシクロ
−5,4,0−ウンデセン−7)が含まれる。有機金属化合物、例えば有機スズ化合物は
、産業衛生上及び技術的理由のために余り好ましくない。プロセス中で使用されると、形
成された結合は、熱及び水分への曝露に伴って破損する。
【0019】
エポキシ系接着剤のためには、当分野において公知の有用な触媒(硬化促進剤)がエポ
キシ接着剤の硬化速度を増加させるために使用される。前記触媒は、単独で使用した場合
には硬化剤として作用できるが、相違するクラスの硬化剤と結合した場合は、エポキシ接
着剤組成物の硬化を促進するであろう化合物を含んでいる。有用な触媒の例には、フェノ
ール化合物、例えば2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、第3級ア
ミン、例えばベンジルジメチルアミン及びピペリジン、置換イミダゾール、例えばn−ア
リールイミダゾール及びn−アルキルイミダゾール、置換ウレア、例えばモニュロン、ジ
ウロン、フェニュロン、及びクロロトルロン、並びにカルシウムトリフルオロメチルスル
ホネートが含まれる。これらの硬化促進剤は、単独で、又は一緒に組み合わせてエポキシ
接着剤組成物の硬化を促進するために使用できる。これらの触媒は、従来型手段によって
調製された一液型又は二液型接着剤系の接着を促進するために使用される。
【0020】
反応性接着剤系が加水分解可能なシロキサン(シラン)基を有する有機ポリマーを含む
実施形態では、利用される触媒は、シラノール縮合についての当業者に公知の任意の触媒
を含んでいる。シラノール縮合反応を触媒する好ましい触媒は、スズ触媒、チタネート及
びチタンキレート剤、有機金属化合物、アミノアルキル置換アルコキシシラン、アミン化
合物及びその塩、低級脂肪酸のアルカリ金属塩、ジアルキルヒドロキシアミン並びにシラ
ノール縮合反応のために有用であると当分野において周知のグアニジル含有シラン又はシ
ロキサンを含んでいる。好ましい有機金属化合物の1つのクラスには、スズ化合物、例え
ばジアルキルスズカルボキシレート(有機カルボキシレートのジアルキルスズ(IV)塩
)、スズエステル化合物、例えばスズジオクトエート;及びジアルキルスズアルコレート
、例えばジアルキルスズジアルケンジオン(ジアルキルスズビスアセチルアセトネートを
含む)を含んでいる。好ましい有機金属触媒は、ジアルキルスズアルコレートであり、ジ
アルキルスズジアセチルアセトネートが最も好ましい。好ましいジアルキルスズカルボキ
シレートのうち、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズ
ジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジオクトエート又はジオクチルス
ズジアセテート、並びにジアルキルスズオキシド及びフタル酸エステルの反応生成物があ
る。ジアルキルスズアルコレートには、ジアルキルスズオキシド及びアルカンジオンの反
応生成物、例えばジアルキルスズジアセチルアセトネート、例えばジブチルスズジアセチ
ルアセトネート(更に一般的にはジブチルスズアセチルアセトネートとも呼ばれる)が含
まれる。特に好ましいジアルキルスズカルボキシレートのうち、ウィトコ・コーポレーシ
ョン(Witco Corporation)社から商品名FOMREZ(商標)SUL
−11Aで入手できるジブチルスズオキシド及びフタレートエステルの付加化合物、ウィ
トコ・コーポレーション社から商品名FOMREZ(商標)UL−28で入手できるジメ
チルスズジカルボキシレート、エア・プロダクツ社から商品名T−12で、及びウィトコ
・コーポレーション社から商品名FOMREZ(商標)SUL−4で入手できるジブチル
スズジラウレート並びにエア・プロダクツ社から商品名DABCO(商標)T−1及びウ
ィトコ・コーポレーション社から商品名FOMREZ(商標)UL−1で入手できるジブ
チルスズジアセテートである。好ましい有機金属化合物には、亜鉛ナフテネート、亜鉛ス
テアレート、亜鉛2−エチルオクトエート、鉄2−エチルヘキソエート、コバルト2−エ
チルヘキソエート、マンガン2−エチルヘキソエート及びコバルトナフテネートが含まれ
る。より高速で加水解離を受ける触媒が好ましい。好ましいチタネート及びチタンキレー
ト剤には、テトライソプロポキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テトラ
キス(2−エチルヘキソキシ)チタニウム、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チ
タニウム、及びチタニウムイソプロポキシオクチレングリコールが挙げられる。好ましい
アミノアルキル置換アルコキシシランには、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び
N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシランが挙げられる。好
ましいアミン化合物及びその塩には、ヘキシルアミン、ドデシルアミンホスフェート、テ
トラメチルグアニジン及びジアザビシクロノナンが挙げられる。好ましい第4級アンモニ
ウム塩には、ベンジルトリエチルアンモニウムアセテートが挙げられる。好ましい低級脂
肪酸のアルカリ金属塩には、カリウムアセテート、ナトリウムアセテート及びリチウムオ
キサレートが挙げられ、好ましいジアルキルヒドロキシアミンにはジメチルヒドロキシル
アミン及びジエチルヒドロキシアミンが挙げられる。好ましいグアニジル含有シラン又は
シロキサンには、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグ
アニジルプロピルメチル−ジメトキシシラン及びテトラメチルグアニジル−プロピルトリ
ス(トリメチルシロキシ)シランが挙げられる。これらの内、好ましいのはアミン化合物
、例えばテトラメチルグアニジン及びジアザビシクロノナン、並びにグアニジル含有シラ
ン又はシロキサン、例えばテトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラ
メチルグアニジル−プロピルメチル−ジメトキシシラン及びテトラメチルグアニジルプロ
ピル−トリス(トリメチルシロキシ)シランである。スズ及びチタネート化合物はより好
ましい。最も好ましい触媒は、ニットー・カセイ(Nitto Kasei Co.)社
から商品名NEOSTANN(商標)U−220で入手できるジブチルスズビスアセチル
アセトネート(ジブチルスズジペンテンジオン)である。これらの触媒は、単独で、又は
2つ以上の混合状態で使用してもよい。
【0021】
硬化性エポキシ接着剤組成物は、一般には:(a)エポキシ樹脂;(b)前記エポキシ
樹脂のための硬化剤;及び(c)前記エポキシ樹脂を硬化させるための触媒(硬化促進剤
)を含んでいる。エポキシ接着剤は、潜在形で含まれている硬化剤を備える一液型熱硬化
性接着剤として、又はエポキシ樹脂成分と硬化剤を含む硬化剤成分とを備える二液型接着
剤として調製してもよい。接着促進のための本発明の系及びプロセスは、エポキシ接着剤
が触媒を含んでいてもいなくても、エポキシ硬化のための硬化促進剤又は触媒の溶液又は
安定性分散液を使用する。本発明の接着剤組成物において有用なエポキシ樹脂は、開環に
よって重合可能である少なくとも1つのエポキシ環を有する任意の有機化合物であってよ
い。好ましいのは、1つより多い、及び好ましくは少なくとも2つである平均エポキシ官
能基を有する有機化合物である。エポキシドは、モノマー性若しくはポリマー性、及び脂
肪族、脂環式、複素環式、芳香族、又はそれらの混合物であってよい。より好ましいエポ
キシドは、芳香族であり、1分子当たり1.5より多いエポキシ基及び最も好ましくは1
分子当たり2より多いエポキシ基を含有する。好ましいエポキシ樹脂は、約150〜10
,000、及び好ましくは約300〜1,000の分子量を有する。好ましいエポキシ樹
脂には、末端エポキシ基を有する線状ポリマーエポキシド(例、ポリオキシアルキレング
リコールのジグリシジルエーテル)、骨格エポキシ基を有するポリマーエポキシド(例、
ポリブタジエンポリエポキシ)、及びペンダントエポキシ基を有するポリマーエポキシド
(例、グリシジルメタクリレートポリマー又はコポリマ)、又はそれらの混合物が含まれ
る。好ましいのは、芳香族グリシジルエーテル、例えば多価フェノールを過剰なエピクロ
ロヒドリンと反応させる工程によって調製される芳香族グリシジルエーテルである。有用
なフェノールの例には、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、及び多核フェノー
ル、例えばp,p’−ジヒドロキシジベンジル、p,p’−ジヒドロキシジフェニル、p
,p’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、p,p’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2
,2’−ジヒドロキシ−1,1−ジナフチルメタン並びにジヒドロキシジフェニルメタン
、ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルメチルメタン
、ジヒドロキシジフェニルメチルプロピルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルフェニ
ルメタン、ジヒドロキシジフェニルプロピルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルブ
チルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルトリルメタン、ジヒドロキシジフェニルト
リルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルジシクロヘキシルメタン、及びジヒドロキシ
ジフェニルシクロヘキサンの2,2’、2,3’、2,4’、3,3’、3,4’及び4
,4’イソマーが含まれる。更に好ましいのは、多価フェノールホルムアルデヒド縮合生
成物並びに反応基としてエポキシ基又はヒドロキシ基のみを含有するポリグリシジルエー
テルである。有用な材料には、ビスフェノールA及びノボラック樹脂のジグリシジルエー
テル、例えば参照により本明細書に組み込まれる「Handbook of Epoxy Resins」by Lee a
nd Neville, McGraw-Hill Book Co., New York (1967)に記載されたジグリシジルエーテ
ルが挙げられる。柔軟化された(flexibilized)骨格を備えるエポキシドも又有用である
。好ましい材料には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びビスフェノールFの
ジグリシジルエーテルが挙げられ、最も好ましいのはビスフェノールAのジグリシジルエ
ーテルであるが、それはこれらの材料が硬化すると達成する望ましい構造的接着特性のた
めである。本発明において有用な市販で入手できるエポキシドの例には、ビスフェノール
Aのジグリシジルエーテル(例えば、シェル・ケミカル(Shell Chemical
)社から商標EPON 828、EPON 1001、及びEPONEX 1510、並
びにダウ・ケミカル(The Dow Chemical)社からDER−331、DE
R−332、及びDER−334で入手できるもの);ビスフェノールFのジグリシジル
エーテル(例えば、ダイ・ニッポン・インク・アンド・ケミカルズ(Dai Nippo
n Ink and Chemicals)社から入手できるEPICLON(商標)8
30);ジグリシジルエポキシ官能基を含有するシリコーン樹脂;難燃性エポキシ樹脂(
例えば、ダウ・ケミカル社から入手できる臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂であるD
ER(商標)580);及び1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルが挙げられる
【0022】
エポキシ接着剤組成物は、当分野において周知である強化剤を含んでもよい。一部の場
合には、接着剤組成物の流動特性を制御するために反応性希釈剤を添加することができる
。適切な希釈剤は、少なくとも1つの反応性末端部分、及び好ましくは、飽和又は不飽和
環状骨格を有し、当分野において周知である。様々な他のアジュバントを硬化前後に組成
物の特性を強化するためにエポキシ系接着剤組成物に添加することができる。特に有用な
アジュバントのうち、非反応性希釈剤;可塑剤、例えば従来型ホスフェート及びフタレー
ト;難燃剤、例えばボレート、メタボレート、アルミニウムヒドロキシド、マグネシウム
ヒドロキシド、及び臭素化合物;チキソトロピック剤、例えば流動制御を提供するための
ヒュームドシリカ;色調を強化するための顔料、例えば酸化鉄、レンガダスト、カーボン
ブラック、及びチタニウムジオキシド;充填剤、例えばタルク、シリカ、マグネシウム、
カルシウムスルフェート、ベリリウムアルミニウムシリケート;粘土、例えばベントナイ
ト;ガラス及びセラミックビーズ及びバブル;X線不透過性を付与する化合物、例えばバ
リウムメタボレート;並びに強化材料、例えば有機及び無機繊維、例えばポリエステル、
ポリイミド、グラスファイバー及びセラミックファイバーのウーブン及びノンウーブンウ
エブが含まれる。分散剤及び湿潤剤、例えばシランは、更に又それらがエポキシ接着剤組
成物の硬化反応を妨害しない限り添加することができる。アジュバントは、所定の目的の
ために有効な量で添加してもよい。
【0023】
エポキシ接着剤組成物は、様々な方法で調製してよく、一液型及び二液型接着剤系が挙
げられる。二液型組成物を提供することによって、前記組成物の使用前に二液を結合する
と、前記組成物の所望の保管寿命又はポットライフが得られる。二液型接着剤組成物につ
いては、硬化は、室温で約24時間にわたって実行することができる。より高速で硬化さ
せるためには、120℃まで加熱する工程を利用し得る。一部の用途では、粘度制御及び
二液のより優れた混合を提供するために、各液中での成分の量及び分布を選択することが
望ましい。例えば、充填剤は、各液が使用される充填剤の一部分を含有するように分割す
ることができる。
【0024】
一液型エポキシ組成物を、硬化反応を開始させるために十分な熱を許容する任意の手段
によって硬化させることができる。硬化させる手段は、従来型オーブン、誘導加熱、赤外
放射、マイクロ波放射、流体浴中への浸漬、又はそれらの任意の組み合わせを含むことが
できる。硬化は、幾つかの段階で、例えば30秒間にわたる誘導硬化、並びに約120℃
以上、及び好ましくは約180℃でのオーブン硬化で達成できる。硬化時間は、硬化のた
めの特定プロセスに左右されるであろう。誘導加熱時間は、典型的には約1〜60秒間に
及ぶ。オーブン硬化時間は、約0.1〜約2時間に及ぶことがある。
【0025】
エポキシ接着剤組成物は、特別には金属を金属へ、及びプラスチックを金属に結合させ
るために有用であるが、エポキシ接着剤組成物は、プラスチック表面、例えばポリエステ
ルを基礎とするシート成形化合物を結合させるために使用してもよい。金属表面の例には
、スチール、チタニウム、油性スチール、アルミニウム、及びマグネシウムが含まれる。
プラスチック表面には、シート成形化合物、グラスファイバー強化エポキシ樹脂、ポリカ
ーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、及び
ウレアホルムアルデヒドが含まれる。エポキシ接着剤は、組立部品、例えば自動車、航空
機、冷却ユニットなどの部品を組み立てる際に使用できる。
【0026】
イソシアネート系(ポリウレタン又はポリウレア形成性)接着剤系は、イソシアネート
官能性成分を含んでいる。イソシアネート官能性成分は、平均すると1分子当たり1つよ
り多いイソシアネート官能基を有する1つ又はそれ以上の化合物を含有する。イソシアネ
ート官能性化合物は、平均すると1つより多いイソシアネート成分を含有する任意の化合
物であってよい。イソシアネート官能性化合物は、イソシアネート官能性プレポリマの形
態又は平均すると1より多いイソシアネート基、及び好ましくは2つ又はそれ以上のイソ
シアネート基を有するモノマー若しくはオリゴマーの形態にあってよい。イソシアネート
プレポリマは、イソシアネート官能性化合物と平均すると1つより多いイソシアネート反
応性官能基、例えばヒドロキシル、アミン、チオール、カルボキシルなどを有する1つ又
はそれより多い化合物との、調製されたプレポリマが平均すると1分子当たり1つより多
いイソシアネート成分(基)を有するような条件下での反応によって調製される任意のプ
レポリマであってよい。ポリイソシアネート系接着剤系は、一液型又は二液型系であって
よい。一液型系では、イソシアネート官能性成分は、触媒及び以下で記載する他の成分を
更に含んでいる。一成分系は、典型的には水分硬化性によって硬化する。調製されると、
一液型接着剤は、塗布前の硬化を防止するために気密性且つ防水性容器内に包装される。
【0027】
別の実施形態では、本発明において使用される接着剤系は、二液型ポリイソシアネート
含有接着剤系である。二液は相互に反応性であり、接触させると接着特性を有して硬化反
応を受け、このとき前記組成物は基材を一緒に結合することができる。組成物の1液は、
イソシアネート官能生成分を含んでいる、又は含有する。これは、典型的には樹脂側、又
はA側と呼ばれる。本組成物の他方の成分は、1つ又はそれ以上の化合物、本明細書に記
載したイソシアネート成分と反応性である平均して1つより多い基を有するオリゴマー又
はプレポリマを含む、又は含有するイソシアネート反応性成分である。第2液は、一般に
は硬化剤又はB側として公知である。平均して1つ又はそれ以上のイソシアネート反応性
基を有する化合物はプレポリマであってよい、又は短鎖化合物、例えば当分野において公
知の二官能鎖延長剤又は多官能架橋剤であってよい。典型的には、鎖延長剤及び架橋剤は
、約250ダルトン以下の分子量を有する。上記に記載した触媒は、硬化剤側で利用する
ことができる。反応生成物は、所定の基材を一緒に結合することのできる硬化した生成物
である。
【0028】
本発明において使用するために好ましいポリイソシアネートには、脂肪族、脂環式、芳
香脂肪族、複素環式若しくは芳香族ポリイソシアネート、又はそれらの混合物が挙げられ
る。好ましくは、使用されるポリイソシアネートは少なくとも約2.0の平均イソシアネ
ート官能基数及び少なくとも約80の当量を有する。好ましくは、ポリイソシアネートの
イソシアネート官能基数は、少なくとも約2.0、より好ましくは少なくとも約2.2で
あり、最も好ましくは少なくとも約2.4である;及び好ましくは約4.0以下、より好
ましくは約3.5以下であり、最も好ましくは約3.0以下である。より高い官能基数も
又使用できるが、過度の架橋結合を誘発し、あまりに粘性が高いため容易に取り扱って塗
布することができない組成物を生じさせ、硬化した組成物が過度に脆性になることを誘発
する可能性がある。好ましくは、ポリイソシアネートの当量は、少なくとも約100、よ
り好ましくは少なくとも約110であり、最も好ましくは少なくとも約120である;及
び好ましくは約300以下、より好ましくは約250以下であり、最も好ましくは約20
0以下である。好ましいポリイソシアネートの例には、参照により本明細書に組み込まれ
るWuによる米国特許第6,512,033号の第3欄第3〜49行に開示されたポリイ
ソシアネートが含まれる。より好ましいイソシアネートは、芳香族イソシアネート、脂環
式イソシアネート及びそれらの誘導体である。一層より好ましいポリイソシアネートには
、ジフェニルメタンジイソシアネート及びそのポリマー誘導体、イソホロンジイソシアネ
ート、テトラメチルキシレンジイソシイアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ
ート及びそのポリマー誘導体、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、及びト
リメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。最も好ましいイソシアネートは
ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0029】
本明細書で使用する用語「イソシアネート反応性化合物」には、少なくとも2つのイソ
シアネート反応性成分を有する任意の有機化合物、例えば活性水素成分を含有する化合物
、又はイミノ官能性化合物が含まれる。本発明のためには、活性水素含有成分とは、分子
内のその位置のために、Journal of the American Chemical Society, Vol.49, p.3181 (
1927)の中でWohlerによって記載されたZerewitinoff試験によると有
意な活性を示す水素原子を含有する成分を意味する。前記活性水素成分の例は、−COO
H、−OH、−NH、−NH−、−CONH、−SH、及び−CONH−である。好
ましい活性水素含有化合物には、ポリオール、ポリアミン、ポリメルカプタン及びポリ酸
が挙げられる。適切なイミノ官能性化合物は、1分子当たり少なくとも1つの末端イミノ
基を有する化合物、例えば全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,
910,279号に記載されている化合物である。好ましくは、イソシアネート反応性化
合物はポリオール又はポリアミンであり、より好ましくはポリエーテルポリオールである
【0030】
プレポリマの調製において有用な好ましいポリオールには、参照により本明細書に組み
込まれるWuによる米国特許第6,512,033号の第4欄第10〜第64行に開示さ
れたポリオールが挙げられ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール
、ポリ(アルキレンカーボネート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポ
リマーポリオール(前記ポリオール中のビニルポリマーの分散液、一般にはコポリマーポ
リオールと呼ばれる)及びそれらの混合物が含まれる。好ましくは、イソシアネート反応
性化合物は、少なくとも約1.5、より好ましくは少なくとも約1.8であり、最も好ま
しくは少なくとも約2.0である;及び好ましくは約4.0以下、より好ましくは約3.
5以下であり、最も好ましくは約3.0以下である官能基数を有する。好ましくは、イソ
シアネート反応性化合物の当量は、少なくとも約200、より好ましくは少なくとも約5
00であり、及びより好ましくは少なくとも約1,000である;並びに好ましくは約5
,000以下、より好ましくは約3,000以下であり、及び最も好ましくは約2,50
0以下である。
【0031】
イソシアネート官能接着剤系において使用するためのイソシアネート官能性プレポリマ
は、好ましくは少なくとも約2.0の平均イソシアネート官能基数並びに少なくとも約5
00及びより好ましくは約1,000の分子量を示す。好ましくは、プレポリマの平均イ
ソシアネート官能基数は、少なくとも約2.0であり、より好ましくは少なくとも約2.
2である。好ましくは、イソシアネート官能基数は約4.0以下、より好ましくは約3.
5以下、及び最も好ましくは約3.0以下である。好ましくは、プレポリマの重量平均分
子量は、少なくとも約2,500であり、より好ましくは少なくとも約3,000である
;並びに好ましくは約40,000以下、一層より好ましくは約20,000以下であり
、及び最も好ましくは約10,000以下である。プレポリマは、任意の適切な方法によ
って、例えばイソシアネート基と反応性の2つ又はそれ以上の基を有する化合物、例えば
ポリオール又はポリアミンを、対応するプレポリマを形成するために十分な反応条件下で
化学量論を超えて過剰なポリイソシアネートと反応させることによって調製することがで
きる。プレポリマは、任意の適切な方法、例えばバルク重合及び溶液重合によって調製し
得る。プレポリマを調製するための反応は、大気中水分によるイソシアネート基の架橋結
合を防止するための無水条件下で、好ましくは不活性雰囲気下で、例えば窒素ブランケッ
ト下で実施される。この反応は、イソシアネート基をイソシアネート反応性基と反応させ
るための触媒によって触媒される。前記の例には、カルボン酸のスズ塩、例えばスズオク
トエート、スズオレエート、スズアセテート、及びスズラウレート;ジアルキルスズジア
ルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジアセテート、第3
級アミン及びスズメルカプチドが挙げられる。好ましくは、プレポリマを調製するための
反応は、スズオクトエートによって触媒される。使用される触媒の量は、一般には、イソ
シアネートの性質に依存して、触媒される混合物の重量で約0.005〜約5%である。
この反応は、好ましくは約0〜約150℃、より好ましくは約25〜約80℃の温度で、
サンプルの滴定によって決定された残留イソシアネート含量が所望の理論値に極めて近く
なるまで実施される。二液型イソシアネート系接着剤系については、プレポリマ中のイソ
シアネート含量は、好ましくは約6〜約35重量%の範囲内、より好ましくは約8〜約3
0重量%の範囲内、及び最も好ましくは約10〜約25重量%の範囲内にある。一液型水
分硬化性系については、プレポリマ中のイソシアネート含量は、好ましくは約0.1〜約
10重量%の範囲内、より好ましくは約1.5〜約5.0重量%の範囲内、及び最も好ま
しくは約1.8〜約3.0重量%の範囲内にある。
【0032】
イソシアネート官能性成分は、硬化条件に曝露させたときに硬化成分を形成するために
十分な量で接着剤系中に存在する。二液型組成物中では、イソシアネート官能性成分は、
イソシアネート反応性化合物と結合すると、基材が長期間、例えば10年にわたって約−
30℃〜約100℃の温度に;及び30分までの短期間にわたって約180℃の温度まで
曝露させた場合に一緒に結合されたままとなるような方法で一緒に結合することができる
【0033】
本発明において有用なイソシアネート官能接着剤組成物は、硬化形での弾性を改善する
ために多官能性イソシアネートを更に含むことができる。イソシアネートの状況において
使用される「多官能性」は、2.2以上の官能基数を有するイソシアネートを意味する。
ポリイソシアネートは、約2.2以上の公称官能基数を有する任意のモノマー、オリゴマ
ー又はポリマーイソシアネートであってよい。より好ましくは、多官能性イソシアネート
は、約2.7以上の公称官能基数を有する。好ましくは、多官能性イソシアネートは、約
4以下及び最も好ましくは約3.2以下の公称官能性を有する。多官能性イソシアネート
は、イソシアネート官能性プレポリマ及び/又は本組成物において使用されるオリゴマー
又はプレポリマと反応性であり、硬化した組成物の弾性を改善する任意のイソシアネート
であってよい。多官能性イソシアネートは、モノマー;モノマーイソシアネートのトリマ
ー、イソシアヌレート若しくはビウレット;オリゴマー若しくはポリマー、1つ又はそれ
以上のモノマーイソシアネートの数個の単位の反応生成物であってよい。好ましい多官能
性イソシアネートの例には、バイエル(Bayer)社から商標及び商品名DESMOD
UR N3300及びN−100で入手できるヘキサメチレンジイソシアネートのトリマ
ー、及びポリマーイソシアネート、例えばポリマーMDI(メチレンジフェニルジイソシ
アネート)、例えばダウ・ケミカル社によって商標PAPIで市販されているPAPI2
0ポリマーイソシアネートを含むポリマーイソシアネートが挙げられる。多官能性イソシ
アネートは、本発明の硬化組成物の弾性に大きな影響を及ぼすために十分な量で存在して
いる。過剰に使用されると、本組成物の硬化速度は、許容できないほど緩徐化される。過
少に使用されると、所望の弾性レベルは達成できない。多官能性イソシアネートは、好ま
しくは本組成物の重量に基づいて約0.5重量%以上、より好ましくは約1.0重量%以
上、及び最も好ましくは約1.4重量%以上の量で存在する。多官能性イソシアネートは
、好ましくは本組成物の重量に基づいて約8重量%以下、より好ましくは約5重量%以下
、及び最も好ましくは約2.5重量%以下の量で存在する。本多官能性イソシアネートは
、一液型及び二液型接着剤組成物に利用してよい。二液型組成物では、本多官能性イソシ
アネートは、好ましくはイソシアネート官能性プレポリマの形態にある好ましくはイソシ
アネート官能性成分を含有する液中に配置される。
【0034】
本イソシアネート官能接着剤系は、イソシアネート官能基とイソシアネート反応性基と
の反応のための1つ又はそれ以上の触媒を更に含んでおり、前記触媒をイソシアネート官
能基含有成分又はイソシアネート反応性成分中に配置してもよい。好ましくは、二液型接
着剤系については、触媒を、2成分系の安定性を改善するためにイソシアネート反応性成
分中に配置してもよい。触媒は、イソシアネート基と活性水素含有化合物とを反応させる
ために当業者に公知の任意の触媒であってよい。好ましい触媒のうち、有機スズ化合物、
金属アルカノエート、第3級アミン及びジアザビシクロ化合物がある。触媒は、イソシア
ネート基が合理的速度でイソシアネート反応性基と反応することを誘発するために十分な
量で利用される。利用される触媒の量は、触媒の選択及び所望の反応速度に左右される。
好ましくは、触媒は、本接着剤系の重量に基づいて約0.006重量%以上、より好まし
くは約0.01重量%以上、及び最も好ましくは0.02重量%以上の量で利用されるで
あろう。好ましくは、触媒は、本接着剤系の重量に基づいて約5.0重量%以下、より好
ましくは約2.0重量%以下、及び最も好ましくは約1.0重量%以下の量で利用される
であろう。有用な有機スズ触媒に含まれるのは、化合物、例えばアルキルスズオキシド、
スズアルカノエート、ジアルキルスズカルボキシレート及びスズメルカプチドである。ス
ズアルカノエートには、スズオクトエートが挙げられる。アルキルスズオキシドには、ジ
アルキルスズオキシド、例えばジブチルスズオキシド及びその誘導体が挙げられる。有機
スズ触媒は、好ましくはジアルキルスズジカルボキシレート又はジアルキルスズジメルカ
プチドである。ジアルキルスズジカルボキシレートは、好ましくは式(ROC(O))
−Sn−(R(式中、Rは、独立して各発生時にC1−10アルキル、好まし
くはC1−3アルキル及び最も好ましくはメチルである)に対応する。低級全炭素原子を
備えるジアルキルスズジカルボキシレートは、それらが本発明において使用される組成物
中でより活性な触媒であるので好ましい。好ましいジアルキルジカルボキシレートには、
1,1−ジメチルスズジラウレート、1,1−ジブチルスズジアセテート及び1,1−ジ
メチルジマレエートが挙げられる。好ましい金属アルカノエートには、ビスマスオクトエ
ート又はビスマスネオデカノエートが挙げられる。有機スズ又は金属アルカノエート触媒
は、好ましくは本組成物の重量に基づいて約0.006重量%以上及びより好ましくは約
0.012重量%以上の量で存在する。有機スズ又は金属アルカノエート触媒は、好まし
くは本組成物の重量に基づいて約1.0重量部以下、より好ましくは約0.5重量%以下
、及び最も好ましくは約0.1重量%以下の量で存在する。好ましい第3級アミンのうち
、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテル
、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、ペンタメチル
ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルピペ
ラジン、4−メトキシエチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン
、及びそれらの混合物である。より好ましい第3級アミンには、ジモルホリノジエチルエ
ーテル又は(ジ−(2−(3,5−ジメチル−モルホリノ)エチル)エーテル)が挙げら
れる。第3級アミンは、好ましくは、本組成物の重量に基づいて、本接着剤系に基づいて
約0.01重量%、より好ましくは約0.05重量%以上、一層より好ましくは約0.1
重量%以上、及び最も好ましくは約0.2重量%以上、並びに好ましくは約2.0重量%
以下、より好ましくは約1.75重量%以下、一層より好ましくは約1.0重量%以下、
及び最も好ましくは約0.4重量%以下の量で使用される。
【0035】
本イソシアネート官能接着剤系において有用なジアザビシクロ化合物は、ジアゾビシク
ロ構造を有する化合物である。二液系中のジアザビシクロ化合物を使用するのが好ましい
。特に好ましいジアザビシクロ炭化水素には、ジアザビシクロアルカン及びジアザビシク
ロアルケン塩が挙げられる。一部の実施形態では、触媒は、1つ又はそれ以上のジアザビ
シクロアルカン及び1つ又はそれ以上のジアザビシクロアルケン塩を含むのが好ましい。
両方のクラスの化合物が存在する場合は、1つ又はそれ以上のジアザビシクロアルカン対
1つ又はそれ以上のジアザビシクロアルケン塩のモル比は、好ましくは約1:9又はそれ
以上;より好ましくは約2:8又はそれ以上;及び最も好ましくは約4:6又はそれ以上
である。両方のクラスの化合物が存在する場合は、1つ又はそれ以上のジアザビシクロア
ルカン対1つ又はそれ以上のジアザビシクロアルケン塩のモル比は、好ましくは約9:1
又はそれ以下;より好ましくは約8:2又はそれ以下;及び最も好ましくは約6:4又は
それ以下である。好ましいジアザビシクロアルカンには、エア・プロダクツ社から商標及
び商品名DABCO、DABCO WT、DABCO DC1、DABCO DC2、及
びDABCO DC21で入手できるジアザビシクロオクタンが含まれる。好ましいジア
ザビシクロアルケン塩には、フェノレート、エチルヘキソエート、オレエート及びホルミ
アート塩形にある、エア・プロダクツ社から商標及び商品名POLYCAT SA1、P
OLYCAT SA1/10、POLYCAT SA102及びPOLYCAT SA6
10で入手できるジアザビシクロウンデセンが挙げられる。好ましい実施形態では、1つ
又はそれ以上のジアザビシクロ化合物及び1つ又はそれ以上の有機金属及び/又は第3級
アミン触媒が本接着剤系中に存在する。ジアザビシクロ化合物は、本組成物が本明細書に
定義した許容できる硬化速度を示すように十分な量で存在する。ジアザビシクロ化合物は
、好ましくは本発明の組成物中において約0.01重量%以上、より好ましくは約0.0
2重量%以上の量で存在する。好ましくは、ジアザビシクロ化合物は、本発明の組成物中
において、約5重量%以下、より好ましくは約1重量%以下、及び最も好ましくは約0.
5重量%以下の量で存在する。
【0036】
イソシアネート官能接着剤組成物は、2つ又はそれ以上のイソシアネート反応性基及び
炭化水素骨格を有する1つ又はそれ以上の低分子量化合物を更に含むことができ、このと
き前記骨格は1つ又はそれ以上のヘテロ原子を更に含んでもよい。二液型組成物中では前
記低分子量化合物を使用するのが有益である。前記低分子量化合物は、鎖延長剤として当
分野において公知の化合物であってよく、前記化合物は二官能性である。前記低分子量化
合物は、当分野において架橋剤としても公知である化合物であってよく、前記化合物は、
平均すると1化合物当たり2つより多い活性水素基を有する。骨格中のヘテロ原子は、酸
素、硫黄、窒素又はそれらの混合物であってよいが、このとき酸素、窒素又はそれらの混
合物がより好ましく、酸素が最も好ましい。好ましくは、低分子量化合物の分子量は、約
120以下及びより好ましくは約100以下である。好ましくは、低分子量化合物は、1
つ又はそれ以上の多官能アルコール、多官能アルカノールアミン、多官能アルコール及び
アルキレンオキシドの1つ又はそれ以上の付加化合物、多官能アルカノールアミン及びア
ルキレンオキシドの1つ又はそれ以上の付加化合物並びにそれらの混合物を含んでいる。
好ましい多官能アルコール及び多官能アルカノールアミンのうち、エタンジオール、プロ
パンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオー
ル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ネオペンチルグリコ
ール、エタノールラミン(ジエタノールアミン、トリエタノールラミン)及びプロパノー
ルアミン(ジ−イソプロパノールアミン、トリ−イソプロパノールアミン)などがある。
様々な低分子量化合物の混和物を使用してよい。低分子量化合物は、所望のG−弾性率(
E−弾性率)を得るために十分な量で使用される。二液型接着剤組成物では、低分子量化
合物を、樹脂側、硬化剤側又は両方に配置することができる。好ましくは、低分子量化合
物を、硬化剤側に配置する。好ましくは、低分子量化合物は、本接着剤組成物中において
、約2重量%以上、より好ましくは約2.5重量%以上、及び最も好ましくは約3.0重
量%以上の量で存在する。好ましくは、低分子量化合物は、本接着剤組成物中において、
約10重量%以下、より好ましくは約8重量%以下、及び最も好ましくは約6重量%以下
の量で存在する。
【0037】
二液型イソシアネート官能接着剤系では、硬化剤部は、ポリアミン1つ当たり2つ又は
それより多いアミンを有するポリオキシアルキレンポリアミンを更に含んでよい。好まし
くは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、ポリアミン1つ当たり2〜4つのアミン、及
び最も好ましくはポリアミン1つ当たり2〜3つのアミンを有する。好ましくは、ポリオ
キシアルキレンポリアミンは、約200以上及び最も好ましくは約400以上の重量平均
分子量を有する。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、約5,000以下及
び最も好ましくは約3,000以下の重量平均分子量を有する。特に好ましいポリオキシ
アルキレンポリアミンは、約400の分子量を有するJEFFAMINE(商標)D−T
−403ポリプロピレンオキシドトリアミン及び約400の分子量を有するJEFFAM
INE(商標)D−400ポリプロピレンオキシドジアミンである。ポリオキシアルキレ
ンポリアミンは、いったん混合及び塗布されると本組成物が垂れるのを防止するために十
分な量で存在する。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、本接着剤系中に、
約0.2重量%以上、より好ましくは約0.3重量%以上、及び最も好ましくは約0.5
重量%以上の量で存在する。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、本接着剤
系中に、約6重量%以下、より好ましくは約4重量%以下、及び最も好ましくは約2重量
%以下の量で存在する。
【0038】
本接着剤系の二液は、好ましくは、イソシアネート基の当量がイソシアネート反応性基
の当量より大きくなるように結合される。より好ましくは、イソシアネート基の当量対イ
ソシアネート反応性基の当量比は、約1.0:1.0より大きく、一層より好ましくは約
1.05:1.0以上であり、及び最も好ましくは約1.10:1.0以上である。より
好ましくは、イソシアネート基対イソシアネート反応性基の当量比は、約2.0:1.0
以下であり、及び最も好ましくは約1.40:1.0以下である。
【0039】
一液型ポリイソシアネート官能接着剤系並びに樹脂部及び二液型イソシアネート官能性
系についての樹脂部及び硬化剤部の一方または両方は、可塑剤、充填剤、顔料、安定剤及
び一般に硬化性ポリウレタン形成接着剤中に存在する他の添加物を含有してよい。前記材
料の添加によって、物理的特性、例えばレオロジー、流量などを変更することができる。
しかし、本イソシアネート官能性成分の感湿基の早期加水分解を防止するために、充填剤
をそれらとの混合の前に完全に乾燥させなければならない。本発明の組成物は、紫外線安
定剤及び酸化防止剤などを含むことができる。
【0040】
有用な充填剤のうち、粘土、アルミナ、石灰石、タルク、カルシウムカーボネート及び
膨張パーライトが挙げられる。本発明において有用な好ましい粘土には、カオリン、表面
処理カオリン、焼成カオリン、アルミニウムシリケート及び表面処理無水アルミニウムシ
リケートが挙げられる。粘土は、ポンピング可能な接着剤の調製を促進する任意の形態で
使用してよい。好ましくは、粘土は、粉砕粉、スプレー乾燥ビーズ又は細引き粒子の形態
で混合される。粘土は、本接着剤系の約0重量%以上、より好ましくは約5重量%以上、
及び一層より好ましくは約10重量%以上の量で使用してよい。好ましくは、粘土は、本
接着剤系の約70重量%以下、及びより好ましくは約60重量%以下の量で使用される。
【0041】
可塑剤は、レオロジー特性を所望の粘稠度へ改質できるように含まれる。前記材料は、
水を含んでいてはならず、イソシアネート基に対して不活性でなければならず、及び存在
するポリマーと適合性でなければならない。適切な可塑剤は、当分野において周知であり
、好ましい可塑剤としては、アルキルフタレート、例えばジイソノニルフタレート若しく
はジイソデシルフタレート、部分水素化テルペン、トリオクチルホスフェート、トルエン
−スルファミド、アルキルスルホン酸のエステル、アジピン酸エステル、ヒマシ油、トル
エン及びアルキルナフタレンが挙げられる。硬化性組成物の各液中の可塑剤の量は、所望
のレオロジー特性を与える量である。本明細書に開示した量としては、イソシアネート含
有プレポリマの調製中及び硬化性組成物の配合中に添加される量が挙げられる。好ましく
は、可塑剤は、本接着剤系中において本接着剤系の重量に基づいて約0重量%以上、より
好ましくは約5重量%以上、及び最も好ましくは約10重量%以上の量で使用される。可
塑剤は、好ましくは本接着剤系の重量に基づいて約45重量%以下、及びより好ましくは
約40重量%以下の量で使用される。
【0042】
本発明において使用される接着剤は、接着剤組成物を湿気から保護し、それにより前記
硬化性調製物中でのイソシアネートの早期架橋結合の前進を阻害しまた防止する機能をも
つ安定剤を更に含み得る。本明細書ではイソシアネート官能接着剤系についての当業者に
公知の安定剤を使用してもよい。前記安定剤のうち、ジエチルマロネート、アルキルフェ
ノールアルキレート、パラトルエンスルホン酸イソシアネート、ベンゾイルクロライド及
びオルトアルキルホルメートが挙げられる。前記可塑剤は、好ましくは、本接着剤系の全
重量に基づいて約0.1重量%以上、好ましくは約0.5重量%以上、及びより好ましく
は約0.8重量%以上の量で使用される。前記安定剤は、本接着剤系の全重量に基づいて
約5.0重量%以下、より好ましくは約2.0重量%以下、及び最も好ましくは約1.4
重量%以下の量で使用される。
【0043】
本発明において有用な接着剤は、接着プロモータ、例えば参照により本明細書に組み込
まれるMahdi、米国特許出願第2002/0100550号の第0055〜0065
段落及びHsieh、米国特許第6,015,475号の第5欄第27行〜第6欄第41
行に開示された接着促進剤を更に含み得る。有用な前記接着促進剤の量は、又これらの参
考文献に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、本接
着剤系は、イソシアネート官能基及び加水分解性シロキサン基の両方を含んでもよい。前
記接着剤系は、イソシアネート官能基を有するプレポリマと加水分解性シロキサン官能基
を含有するプレポリマとを混和すること、例えば参照により本明細に組み込まれるZhu
、米国特許第7,345,130号に開示された工程によって、又はイソシアネートと加
水分解性シロキサン官能基の両方を有するプレポリマを形成すること、例えば上記に言及
した一節にあるHsieh、米国特許第6,015,475号に開示された工程によって
調製し得る。
【0044】
本発明において有用な一液型イソシアネート官能性及び加水分解性シロキサン官能接着
剤は、大気中水分を本組成物中に引き入れるように機能する親水性材料を更に含むことが
できる。この材料は、大気中水分を本組成物に引き入れることによって本調製物の硬化速
度を強化することができる。好ましくは、親水性材料は液体である。好ましい親水性材料
のうち、ピロリドン、例えば1メチル−2−ピロリドン(又はN−メチルピロリドン)が
ある。別のクラスの親水性材料は、高エチレンオキシド含有ポリエーテルポリオール又は
アミン基を含有する触媒的に活性なポリオールであるが、これらは独立して存在してよい
、又は前記イソシアネート官能性及び/又は加水分解性シロキサン官能性プレポリマ内に
組み入れてもよい。親水性材料は、好ましくは本接着剤系の重量に基づいて約0.1重量
%以上、より好ましくは約0.3重量%以上、並びに好ましくは約1.0重量%以下及び
より好ましくは約0.6重量%以下の量で存在する。任意で、硬化性組成物は、チキソト
ロピック剤(thixotrope)(レオロジー添加物)を更に含んでもよい。前記チキソトロピッ
ク剤は、当業者には周知であり、ヒュームドシリカ、カルシウムカーボネート、カーボン
ブラックなどが挙げられる。チキソトロピック剤を、本組成物に、所望のレオロジー特性
を与えるために十分な量で添加し得る。好ましくは、チキソトロピック剤は、本接着剤系
の重量に基づいて約0重量%以上、好ましくは約1重量部以上の量で存在する。好ましく
は、任意のチキソトロピック剤は、本接着剤系の重量に基づいて約10重量%以下、及び
より好ましくは約2重量%以下の量で存在する。本調製物は、公知の添加物、例えば当業
者には公知の熱安定剤及び酸化防止剤を更に含んでもよい。
【0045】
本発明において有用な接着剤は、これらの成分を、当分野において周知の手段を用いて
共に混和することによって調製し得る。一般には、これらの成分を、適切なミキサー内で
混和する。前記混和は、好ましくは早期の反応を防止するために、不活性雰囲気中の酸素
及び大気中水分の非存在下で実施される。反応混合物には、イソシアネート含有成分を調
製するために、前記混合物を容易に混合且つ取り扱うことができるように可塑剤を添加す
るのが有益であり得る。又は、可塑剤を、全成分の混和中に添加してもよい。好ましくは
、これらの成分を約20℃〜約100℃、より好ましくは約25℃〜約70℃の温度で混
和する。好ましくは、これらの材料を真空下又は不活性ガス、例えば窒素若しくはアルゴ
ン下で混和する。これらの成分をしっかりと混和された混合物を調製するために十分な時
間、好ましくは約10〜約60分間にわたり混和する。本接着剤組成物の液が調製される
と、それらを適切な容器内に、それらが大気中水分及び酸素から保護されるように包装す
る。大気中水分及び酸素との接触は、イソシアネート含有成分の早期の架橋結合をもたら
し得る。
【0046】
1つの実施形態では、本発明において使用される接着剤組成物は、参照により本明細書
に組み込まれるMahdi、米国特許第6,828,403号に記載されたように加水分
解性シロキサン官能基(シラノール縮合が可能なシラン成分)を有する有機ポリマーを含
む。好ましくは、前記組成物は、可塑性骨格及び加水分解性シロキサン官能基(シラノー
ル縮合が可能なシラン成分)を有するポリマーを含有する。可塑性骨格を備えるポリマー
は、加水分解性シロキサン官能基(シラノール縮合が可能なシラン成分)を用いると官能
化できる可塑性骨格を備える任意のポリマーであってよい。特に好ましいポリマー骨格の
うち、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリオレフィンなどがある。特に好ましいポリマー
骨格のうち、ポリエーテル及びポリウレタンがあり、最も好ましいのはポリエーテルであ
る。一層より好ましくは、本ポリマーは、シラノール縮合が可能なシラン成分を有するポ
リエーテルである。1つの実施形態では、本発明において有用なポリマーは、Yukim
otoら、米国特許第4,906,707号;Iwakiriら、米国特許第5,342
,914号;Yukimoto、米国特許第5,063,270号;Yukimotoら
、米国特許第5,011,900号;Suzukiら、米国特許第5,650,467号
に開示されたポリマーであり、上記特許は全てが参照により本明細書に組み込まれる。よ
り好ましくは、前記ポリマーは、1分子当たり少なくとも1つの反応性ケイ素基を含有す
るオキシアルキレンポリマーである。用語「加水分解性シロキサン官能基」、「反応性ケ
イ素基」又は「シラノール縮合が可能な反応性シラン」は、加水分解性基又はヒドロキシ
ル基がケイ素原子と結合しており、シラノール縮合反応を通して架橋結合可能であるケイ
素含有基を意味する。加水分解性基は、特別には限定されず、従来型加水分解性基から選
択される。特定の例は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケト
キシメート基、アミノ基、アミド基、酸性アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、及
びアルケニルオキシ基である。好ましい例としては、水素原子、アルコキシ基、アシルオ
キシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、及び
アルケニルオキシ基である。アルコキシ基はより好ましく、メトキシ又はエトキシ基は、
水分不安定性が軽いため取り扱いが容易であることから最も好ましい。1つの実施形態で
は、本接着剤組成物中で使用される可塑性ポリマーは、本明細書に記載したポリオールを
、それに加水分解性成分が結合されている少なくとも1つのシラン成分を有するイソシア
ナトシランと、前記ポリオールのヒドロキシル成分が前記イソシアナトシランのイソシア
ネート成分と反応して末端シラン成分を前記ポリオール上に配置できるように接触させる
ことによって調製されるシリル末端プレポリマであり、好ましくは前記接触は触媒を添加
せずに実施される。別の実施形態では、ポリマーは加水分解性シラン基を有するポリウレ
タン系骨格であってよい。前記材料は、Chang、米国特許第4,622,369号及
びPohl、米国特許第4,645,816号に開示されており、それらの重要な部分は
参照により本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、骨格は、可塑性ポリマー、例え
ば、それに結合しているケイ素成分を有するポリエーテル又はポリオレフィンであってよ
い。不飽和の可塑性ポリマーは、ケイ素に結合した水素又はヒドロキシル成分を有する化
合物と反応させることができるが、このとき前記ケイ素成分は不飽和の1つ又はそれ以上
の炭素鎖も有する。ケイ素化合物は、ヒドロシリル化反応によって不飽和の地点で前記ポ
リマーに添加してもよい。この反応については、参照により本明細書に組み込まれるKa
wakubo、米国特許第4,788,254号の第12欄第38〜61行;米国特許第
3,971,751号;第5,223,597号;第4,923,927号;第5,40
9,995号及び第5,567,833号に記載されている。調製されたポリマーを、ヒ
ドロシリル化架橋剤及びヒドロシリル化触媒の存在下で、参照により本明細書に組み込ま
れる米国特許第5,567,833号の第17欄第31〜57行、及び米国特許第5,4
09,995号に記載されたように架橋し得る。
【0047】
加水分解性シロキサン官能基を有するプレポリマは、本接着剤組成物中に前記接着剤が
基材へ、例えばガラス、金属、プラスチック、コンポジット又はファイバーグラスへ接着
できるように十分な量で存在する。好ましくは、加水分解性シロキサン官能基を有するプ
レポリマは、本接着剤の重量に基づいて約30重量%以上、より好ましくは約40重量%
以上、一層より好ましくは約45重量%以上、及びより最も好ましくは約50重量%以上
の量で存在する。より好ましくは、前記プレポリマは、本接着剤の重量に基づいて約99
重量%以下、及び最も好ましくは約85重量%以下の量で存在する。シロキシ官能基を含
有する本接着剤組成物は、当業者には公知であり、上記に記載したように、及び参照によ
り本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2002/0100550号の第[004
2]段落に記載されたようにシラノール縮合反応を触媒する1つ又はそれ以上の触媒を更
に含んでいる。本接着剤調製物中の触媒の量は、好ましくは、約0.01重量%以上、よ
り好ましくは約0.1重量%以上、及び最も好ましくは約0.2重量%以上、並びに好ま
しくは約5重量%以下、一層より好ましくは約1.0重量%以下、及び最も好ましくは約
0.4重量%以下である。本接着剤組成物は、米国特許出願公開第2002/01005
50号の第[43−47]段落に記載されたように加水分解性ケイ素化合物を更に含んで
よい。加水分解性ケイ素化合物は、反応性ケイ素基を有してシロキサン結合形成上で架橋
結合可能な可塑性ポリマー100重量部に付き約0.01〜約20重量部、及び好ましく
は約0.1〜約10重量部の量で使用される。ケイ素反応性ポリマーを架橋結合させるこ
とのできる前記加水分解性ケイ素化合物の別の例は、参照により本明細書に組み込まれる
米国特許第5,541,266号に開示されている。その他の前記潜在性添加物の例とし
ては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,837,274号の第7欄第1
2行〜第9欄第15行に開示されているような有機ケイ素化合物Bが挙げられる。二液型
組成物では、加水分解性ケイ素化合物及び典型的には触媒は、シラン官能性プレポリマと
は別個の第2液中で見いだされる。イソシアネート官能接着剤組成物について記載された
他のアジュバントは、加水分解性シロキサン官能基を有するプレポリマに添加することが
できる。
【0048】
使用時には、二液型接着剤組成物の成分を、前記材料を用いて作業する時に通常行われ
るように混和する。商業的及び工業的環境において最も容易に使用できる二液型接着剤に
ついては、二液を結合する容量比は使い勝手の良い整数でなければならない。これは硬化
性組成物の、従来型の市販で入手できる静的及び動的混合を含むディスペンサを用いた塗
布を促進する。前記の静的混合を行うディスペンサは米国特許第4,538,920号及
び第5,082,147号(参照により本明細書に組み込まれる)に示されており、コン
プロテック(Conprotec)社(ニュージャージー州セーレム)から商標名MIX
PAC下で、又はスイス国スルザー(Sulzer Ltd.)社製のSULZER(商
標)QUADRO下で入手できる。典型的には、これらのディスペンサは重合可能な組成
物の二液のうち1つの液を受入れることを目的とする各チューブを備えて並んで配置され
た1対の管状容器を使用する。各チューブに1つずつの2つのプランジャは、チューブの
内容物を、二液の混和を促進するために静的ミキサーも又含有していてよい共通の中空細
長混合チャンバ内に排出させるために、同時に前進(例えば、手動で、又は手で作動させ
るラチェット機構によって)させられる。混和された重合可能な組成物は、混合チャンバ
から基材上に押し出される。電気駆動装置を使用する場合は、動的混合を使用し得る。チ
ューブが空になると、それらは新しいチューブと取り替えられて、塗布プロセスを継続す
ることができる。重合可能な本組成物の二液が結合される容量比は、チューブの直径によ
って制御される(各プランジャは、固定形のチューブ内に受入れられるようにサイズ設定
されており、これらのプランジャはチューブ内を同一速度で前進させられる)。単一ディ
スペンサが様々な相違する二液型重合可能な組成物とともに使用するために予定されるこ
とが多く、プランジャは便宜的混合比で重合可能な組成物の二液を送達するようにサイズ
設定される。一部の一般的混合比は、1:1、2:1、4:1及び10:1である。好ま
しくは、二液は、約1:1の混合比で混和される。
【0049】
好ましくは、本発明の混合された二液型組成物は、液だれのしない塗布を可能にするた
めに適切な粘度を有する。好ましくは、2つの別個の成分の粘度は、同一桁でなければな
らない。好ましくは、静的混合を利用して混合される組成物については、硬化前の成分は
約10Pa.S(10,000センチポアズ)以上、より好ましくは約20Pa.S(2
0,000センチポアズ)以上、及び最も好ましくは約40Pa.S(40,000セン
チポアズ)以上の粘度を有する。好ましくは、本組成物の二液は、接触する前に、約15
0Pa.S(150,000センチポアズ)以下、より好ましくは約120Pa.S(1
20,000センチポアズ)以下、及び最も好ましくは約100Pa.S(100,00
0センチポアズ)以下の粘度を有する。この一節で使用する「粘度」は、直径20mm及
び角度4度のコーンプレート・レオメーターを用いて測定された20往復秒の剪断速度で
決定される。動的混合にはより高い粘度が必要とされる。より低い粘度については、これ
らの成分は未硬化接着剤系の垂れを防止するために当分野において公知のゲル化剤を必要
とすることがある。
【0050】
本発明の系及びプロセスにおいて使用される触媒は、当業者には公知の標準的混和技術
を利用して溶媒又は分散剤中に溶解又は分散される。制御された雰囲気下、例えば不活性
ガス環境下で触媒溶液又は分散液を生成するのが好ましい。
【0051】
本発明のプロセスは、上記に記載したように様々な基材を一緒に結合するために使用さ
れる。本プロセスは、多孔性及び無孔性基材を一緒に結合するために使用してもよい。触
媒溶液又は分散液を、接着剤によって結合される基材表面と接触する。この接触は、手作
業で、又はロボットアプリケータを使用して遂行することができる。触媒溶液又は分散液
は、スプレーアプリケータ、ブラシ、ローラの手段によって、又は表面上で払拭すること
によって塗布され得る。そのような塗布のためのロボット装置及び手動装置は、当業者に
は周知である。溶媒は、揮発され得る。好ましくは、触媒溶液又は分散液の塗布から基材
への接着剤の塗布までの時間は、約0.5分以上、より好ましくは約2.0分以上及び最
も好ましくは約5.0分以上である。好ましくは、触媒溶液又は分散液の塗布から基材へ
の接着剤の塗布までの時間は、約300分以下、より好ましくは約60分以下及び最も好
ましくは約30分以下である。溶媒が揮発した後は、触媒だけが結合させられる基材の表
面上に残留するのが好ましい。1つの実施形態では、基材の処理された表面は触媒及び前
記処理が行われたことを示すために使用されるマーカを有し得る。又は、触媒溶液又は分
散液が塗布されたことを確実にするために、視覚システムを使用するプロセス工程を使用
してもよい。これは基材をマーカが視認可能になることを誘発する光源に曝露させること
を含み得、又は溶媒の蒸発に起因して温度変化を確認する熱イメージングシステムであっ
てよい。その後、接着剤を基材と接触させる。
【0052】
本接着剤組成物は、第1基材の触媒溶液又は分散液が以前に塗布された位置に塗布され
、第1基材上の本接着剤組成物は、その後第2基材と接触させられる。触媒溶液又は分散
液は、本接着剤が各基材に塗布される時点の前に1つ又はそれ以上の基材に塗布してもよ
い。一般に、接着剤は、前記接着剤をポンピング可能な温度で塗布される。好ましくは、
接着剤は塗布のために約10℃以上の温度、より好ましくは約18℃以上の温度で塗布さ
れる。好ましくは、重合可能な接着剤系は、約40℃以下の温度、及びより好ましくは約
35℃以下の温度で塗布される。二液型接着剤組成物は、二液を混合するとすぐに硬化し
始める。一液型水分硬化性組成物は、周囲水分に曝露されるとすぐに硬化し始める。一液
型潜在性硬化性接着剤は、触媒の活性温度に曝露させられるとすぐに硬化し始める。硬化
は、誘導熱、輻射熱、マイクロ波加熱などによって硬化性接着剤に熱を加えることによっ
て加速され得る。本発明のプロセスは、熱加速が利用される場合は、特に有用である。水
分硬化性接着剤については、硬化速度は水分を雰囲気に添加することによって、又は加湿
チャンバ−内で硬化を実行することによって増進し得る。好ましくは、硬化性接着剤系は
、少なくとも約3分以上及びより好ましくは約5分以上のオープンタイムを提供するよう
に調製される。「オープンタイム」は、二液を接触させた後、一液型水分硬化性接着剤の
塗布後、又は潜在性触媒を含有する一液型接着剤中の潜在性触媒の活性化後で、前記接着
剤が高粘性ペーストになり始まるまで、そして第2基材の形状に従わせてそれに付着させ
るための組立て中に変形する傾向を示さなくなるまでの時間を意味する。
【0053】
本発明のプロセスは、好ましくは金属、(e−コート(e-coat)又は塗料系を用いて)
コーティングされた金属、プラスチック、繊維強化プラスチック、木材及び/又はガラス
を一緒に結合するために使用される。別の実施形態では、本発明の組成物は、モジュール
構成部品を自動車のボディへ、又は相互に結合させるために使用してもよい。モジュール
構成部品の例としては、車両モジュール、例えばドア、ウィンドウ、ルーフモジュール又
はボディが挙げられる。本発明のプロセスは、外装又は内装を自動車のボディへ結合する
ためにも使用できる。
【0054】
本発明のプロセスは、接着剤組成物が所定の基材へ、プライマ非存在下で、又は触媒溶
液又は分散液の塗布以外の基材表面の他の任意の処理の非存在下で結合することを可能に
させる。本接着剤組成物がプライマ又は表面処理の必要を伴わずに結合する基材の例とし
ては、シート成形化合物(SMC)、繊維強化プラスチック、例えばポリエステル、及び
コーティングされた金属、例えばe−コート金属及びスチール並びに塗装金属シートが挙
げられる。
【0055】
本発明において使用される接着剤系は、約60分間後、より好ましくは約40分間後及
び最も好ましくは約20分間後に好ましくは基材を相互に対して移動させずに前記基材の
一方へ力を加えなくとも一緒に保持するための適正な生強度を示す。本発明のプロセスを
利用して塗布された本接着剤系は、好ましくは約7日間後、より好ましくは約16時間後
及び最も好ましくは約12時間後に完全な硬化を示す。本重合可能な接着剤系は、好まし
くは完全硬化後に約5MPa以上、より好ましくは約10MPa以上及び最も好ましくは
約15MPa以上の引張強度を示す。本重合可能な接着剤系は、好ましくは完全硬化後に
約5MPa以上、より好ましくは約10MPa以上及び最も好ましくは約15MPa以上
のラップ剪断強度を示すが、このときラップ剪断速度は、DIN(ドイツ工業規格)53
283に従って決定される。
【0056】
本明細書に記載した分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(SECとも呼ばれる)に
よって決定できる数平均分子量である。ポリウレタンプレポリマについては、イソシアネ
ート化合物の当量及び当業者には公知のようにそれらが反応させられるポリオール化合物
の当量から近似数平均分子量を計算することも又可能である。他に特に言及されない限り
、すべての部及びパーセンテージは重量によって、本接着剤系の重量に基づいている。
【実施例】
【0057】
本発明の例示的実施形態
以下の実施例は、本発明を具体的に説明するために提供されており、それらの範囲を限
定することは意図されていない。
【0058】
実施例1〜7
1つの基材としてのe−コートスチール(100×45×1mm)及びもう1つの基材
としてのe−コートアルミニウム(100×45×1mm)のラップ剪断タイプのサンプ
ルを使用する。接着剤を塗布する前に、基材の接触面を、表1に記載したようにn−ヘプ
タン又は本発明の触媒溶液によって処理する。ラップ剪断サンプルは、オーバーラップが
10mmとなるように基材上に接着剤を塗布することとによって調製し、次に前記基材を
接着剤の高さが2mmとなるようにジグ内に配置する。余分の接着剤はきれいに拭き取る
。ラップ剪断サンプルが配置されたジグを、誘導装置(IFF EW2又はIFF EW
5)内に配置する。このサンプルをアルミニウム側だけを10kHzで所望温度の80%
までの誘導によって加熱する。これは約30秒を要する。次に周波数を20kHzに変化
させ、更に30秒間にわたり所望の温度を維持する。次にラップ剪断サンプルを直ちにI
nstron試験機内に配置し、破断時強度としてラップ剪断強度を記録する。故障モー
ドも又、接着破壊(基材への接着剤結合の破壊)、凝集破壊(CF、接着剤が内部で破砕
する)及び境界破壊(BF、接着剤が基材の表面上に残留物を残して界面で破砕する)と
して記録する。本接着剤は、一液中にポリイソシアネートプレポリマ系と、他方の液中に
ポリエーテルポリオール系のダウ・ケミカル社から商標及び商品名BETASEAL 2
850sで入手できる硬化剤を含む二液型接着剤である。結果は、表1のとおりである。
【表1】
【0059】
実施例15〜23
プラスチック基材を、以下に記載するように試験する。試験したプラスチック基材は、
シート成形化合物(SMC)(ポリエステル)、ポリカーボネート−ポリブチレンテレフ
タレートの混和物(PCPBT)、及びエチレン・プロピレン・ジエン・モノマーゴム(
EPDM)である。これらの基材を、上述したようにn−ヘプタン又はn−ヘプタン中の
0.9%トリス−(ジメチルアミノメチル)フェノールを用いて処理する。接着試験サン
プルを、約8mmのビーズを基材上に塗布することによって調製する。本接着剤を、高さ
5mmへ平らにする。試験サンプルを室温で7日間にわたり硬化させ、実施例18及び2
2を更にCataplasma条件(23℃及び相対湿度50%で7日間、次に70℃及
び相対湿度100%で7日間、及び−20℃で16時間及び2時間かけて周囲温度へ再状
態調節する)下で老化させる。接着剤を剥がし、故障モードを決定する。結果は、表2の
とおりである。
【表2】
【0060】
実施例24〜33
ラップ剪断サンプルを、n−ヘプタン又は2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル
)フェノール(n−ヘプタン中で0.9%)によって接着剤の塗布前に処理する。使用す
るラップ剪断サンプルは、e−コートスチール(100×25×1.5mm)並びにe−
コート及び塗装(PPG社からの1K モノハイドロコート(Monohydrocoat) 9147
、アーティックホワイト(artic white)スチール(100×100×1.5mm)であり
、基材を調製する。オーバーラップは9mmであり、接着剤高さは5mmである。使用す
る接着剤は、BETASEAL(商標)1841であり、ダイ・ヨーロッパ(Dow E
urope)GmbH社から入手できる一液型水分硬化性イソシアネート官能接着剤を温
度60℃で市販のベースコートを被覆した表面上に塗布する。接着剤の幅は、粘着テープ
によって制限される。本試験を、以下の時系列に従って実施する。
時間 操作
0 接着剤の塗布、冷却を開始する
40秒後 冷却器を終了する
20秒後 粘着テープを取り除く
30秒後 試験片を垂直位置に固定する
50秒後 重量負荷134g(基材を含む)をかける
10分後 垂れ/滑りを測定する
試験プラークは接着剤の塗布後に垂直方法で方向付け、接着剤の滑りの距離をmm単位
で測定する。結果は、表3のとおりである。
【表3】