特許第6246668号(P6246668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特許6246668-静電検出装置 図000002
  • 特許6246668-静電検出装置 図000003
  • 特許6246668-静電検出装置 図000004
  • 特許6246668-静電検出装置 図000005
  • 特許6246668-静電検出装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246668
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】静電検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20171204BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G06F3/041 522
   G06F3/041 512
   G06F3/044 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-122817(P2014-122817)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2016-4329(P2016-4329A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2016年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(72)【発明者】
【氏名】原田 敦
(72)【発明者】
【氏名】岩下 明暁
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/047227(WO,A1)
【文献】 特開2014−179035(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/042128(WO,A1)
【文献】 特開2008−198211(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0192018(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0098032(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03−3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動電極と、前記駆動電極と交差するよう対向して複数配置される検出電極とを有し、前記駆動電極と前記検出電極がそれぞれ交差するノードの静電容量値が物体の近接又は接触により変化する静電容量検出部と、
前記検出電極から読み出される各ノードの出力値とタッチ閾値との比較により、前記静電容量検出部へのタッチ状態を検出するための演算処理を行なう制御部と、を有し、
前記制御部は、隣接するノードの出力値に基づく各算出値の差が、設定されたノイズ抑制閾値を超えている場合に、ノイズが印加されたものと判定することを特徴とする静電検出装置。
【請求項2】
前記静電容量検出部は、前記駆動電極と前記検出電極がそれぞれ直交する静電容量検出部であることを特徴とする請求項1に記載の静電検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電検出装置に関し、特に、ノイズ判定部を備えた静電検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電タッチ電極に蓄えられた電荷で変調コンデンサを充電し、そのときの電圧変化を観測することで容量変化を測定する静電検出装置が提案されている。この変調コンデンサにはコンパレータが接続され、コンデンサ電圧が閾値以上になるとパルスを出力し、このパルス数から容量変化を測定するものである(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的には、支持基板上に配置された複数の検出電極と、この複数の検出電極の各々に接続される検出電極などの検出対象が有する静電容量に対応した電圧波形に変換するための抵抗とコンデンサの直列接続で構成されるCV変換手段と、検出電極の各々に入出力ポートが接続される汎用的なマイクロコンピュータを有し、マイクロコンピュータのCPUにより検出電極の各々の静電容量あるいはその変化に対応した値から接近物体のタッチ位置を演算するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−152876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような構成において、接近物体のタッチ位置を演算する場合、ノイズが印加された場合を考慮せずにタッチ閾値を設定しているので、静電タッチ電極がノイズ印加を受けた場合に、ノイズと判定されずにタッチ検出がされてしまうという問題があった。また、ハード的にノイズ判定を行なう場合は、回路が複雑になり、回路面積が大きくなるという問題もある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、ソフト処理によるノイズ判定部を備えた静電検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記目的を達成するため、複数の駆動電極と、前記駆動電極と交差するよう対向して複数配置される検出電極とを有し、前記駆動電極と前記検出電極がそれぞれ交差するノードの静電容量値が物体の近接又は接触により変化する静電容量検出部と、前記検出電極から読み出される各ノードの出力値とタッチ閾値との比較により、前記静電容量検出部へのタッチ状態を検出するための演算処理を行なう制御部と、を有し、前記制御部は、前記駆動電極又は前記検出電極のうちの1の電極のすべてのノードの各出力値に基づく各算出値が前記タッチ閾値よりも小さく設定されたノイズ判定閾値を超えている場合に、ノイズが印加されたものと判定することを特徴とする静電検出装置を提供する。
【0008】
[2]上記目的を達成するため、複数の駆動電極と、前記駆動電極と交差するよう対向して複数配置される検出電極とを有し、前記駆動電極と前記検出電極がそれぞれ交差するノードの静電容量値が物体の近接又は接触により変化する静電容量検出部と、前記検出電極から読み出される各ノードの出力値とタッチ閾値との比較により、前記静電容量検出部へのタッチ状態を検出するための演算処理を行なう制御部と、を有し、前記制御部は、隣接するノードの出力値に基づく各算出値の差が、設定されたノイズ抑制閾値を超えている場合に、ノイズが印加されたものと判定することを特徴とする静電検出装置を提供する。
【0009】
[3]前記静電容量検出部は、前記駆動電極と前記検出電極がそれぞれ直交する静電容量検出部であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の静電検出装置であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の静電検出装置によれば、ソフト処理によるノイズ判定部を備えた静電検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の静電検出装置の全体ブロック構成図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係る静電検出装置の動作フローを示すフローチャートである。
図3図3(a)は、第1の実施の形態に係る静電検出装置において、3本指でタッチした場合の制御部で算出された(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)を示すグラフであり、図3(b)は、第1の実施の形態に係る静電検出装置において、ノイズが印加した場合の制御部で算出された(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)を示すグラフである。
図4図4は、本発明の第2の実施の形態に係る静電検出装置の動作フローを示すフローチャートである。
図5図5(a)は、第2の実施の形態に係る静電検出装置において、1点でタッチした場合の制御部で算出された(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)を示すグラフであり、図5(b)は、第2の実施の形態に係る静電検出装置において、ノイズが印加した場合の制御部で算出された(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の第1の実施の形態)
図1は、本発明の静電検出装置の全体ブロック構成図である。
【0013】
(静電検出装置10の構成)
本発明の第1の実施の形態に係る静電検出装置10は、複数の駆動電極(X、X、X、〜、X)と、この駆動電極と交差するよう対向して複数配置される検出電極(Y、Y、Y、〜、Y)とを有し、駆動電極と検出電極がそれぞれ交差するノードNij(i=0〜m、j=0〜n)の静電容量値が物体の近接又は接触により変化する静電容量検出部100と、検出電極から読み出される各ノードNij(i=0〜m、j=0〜n)の出力値(カウンタ値Tij(i=0〜m、j=0〜n))とタッチ閾値Mtとの比較により、静電容量検出部100へのタッチ状態を検出するための演算処理を行なう制御部200と、を有して概略構成されている。
【0014】
制御部200は、駆動電極(X、X、X、〜、X)又は検出電極(Y、Y、Y、〜、Y)のうちの1の電極(X、X、X、〜、X、Y、Y、Y、〜、Yのいずれか1本の電極)のすべてのノードの各出力値に基づく各算出値がタッチ閾値Mtよりも小さく設定されたノイズ判定閾値Mnを超えている場合に、ノイズが印加されたものと判定する。ここで、「すべてのノード」とは、任意のiのとき、Nij(j=0〜nのすべて)であり、また、任意のjのとき、Nij(i=0〜mのすべて)である。また、ノードの出力値に基づく算出値は、各ノードにおいて、後述する非タッチ時の容量値Tと容量値Tij(i=0〜m、j=0〜n)からT―Tijとしてそれぞれ算出された値である。
【0015】
第1の実施の形態に係る静電検出装置10は、ノードの出力値に基づく算出値が、駆動電極又は検出電極の1ライン(1本の電極)に亘ってノイズ判定閾値Mnを超える場合は、ノイズが印加されたものと判定するものである。
【0016】
(静電容量検出部100)
静電容量検出部100は、図1に示すように、電極部120とタッチ電極駆動部140から概略構成されている。
【0017】
(電極部120)
電極部120は、(m+1)本の細長い駆動電極(X、X、X、〜、X)と、(n+1)本の細長い検出電極(Y、Y、Y、〜、Y)が、誘電体を挟んで所定の距離で対向して配置されている。駆動電極(X、X、X、〜、X)と検出電極(Y、Y、Y、〜、Y)は、互いに交差している。
【0018】
本実施の形態では、駆動電極(X、X、X、〜、X)と検出電極(Y、Y、Y、〜、Y)は、90°で直交配置され、静電検出装置10は静電容量検出部を構成している。
【0019】
駆動電極(X、X、X、〜、X)と検出電極(Y、Y、Y、〜、Y)の交差する点は、ノードNij(i=0〜m、j=0〜n)を構成する。本実施の形態では、このノードNijに指等の物体が近接又は接触すると、このノードNijの静電容量値が変化する。
【0020】
(タッチ電極駆動部140)
タッチ電極駆動部140は、駆動電極(X、X、X、〜、X)に所定電圧及び周波数のパルスを印加して電荷をチャージする信号発生部(OSC)142、信号発生部142からのチャージ電圧Vpを各駆動電極(X、X、X、〜、X)に切り替え接続するためのスイッチ部SW1、各検出電極(Y、Y、Y、〜、Y)の電荷量を検出する検出回路150、各検出回路150から出力される各ノードNij(i=0〜m、j=0〜n)の容量検出値Cij(i=0〜m、j=0〜n)を順次読み出すように切り替え接続するためのスイッチ部SW2、それぞれの容量検出値Cijをデジタル値に変換するA/D変換部160とから構成されている。
【0021】
信号発生部(OSC)142は、所定周波数及び所定電圧のパルスを生成し、例えば本実施の形態では、2.4MHzの5vのパルス信号を生成する。
【0022】
スイッチ部SW1は、信号発生部(OSC)142と駆動電極(X、X、X、〜、X)の接続を順次切り替えるもので、スイッチ回路、マルチプレクサ等が使用可能である。
【0023】
検出回路150は、各検出電極(Y、Y、Y、〜、Y)の電荷量を検出するもので、それぞれの検出電極に接続されている。検出回路150は、コンパレータを備えており、所定周波数で電荷チャージされた各駆動電極(X、X、X、〜、X)と各検出電極(Y、Y、Y、〜、Y)とで形成される各ノードNij(i=0〜m、j=0〜n)のタッチによる電荷量の変化を、所定の閾値と比較することで容量に対応する容量検出値Cijをパルスとして出力する。
【0024】
スイッチ部SW2は、各検出回路150から各ノードNij(i=0〜m、j=0〜n)の容量に対応する容量検出値Cijを順次読み出すように切り替え接続するためのもので、スイッチ回路、マルチプレクサ等が使用可能である。例えば本実施の形態では、269kHzのスイッチング周波数により、スイッチ部SW1の切り替えと連動させて、順次読み出しを行なう。
【0025】
A/D変換部160は、検出回路150から出力された各ノードNij(i=0〜m、j=0〜n)の容量に対応して容量検出値Cijとして出力されたパルスをカウンタ230で計数するために、デジタルの出力値Dijに変換するものである。
【0026】
(制御部200)
制御部200は、タッチ検出制御部210、判定部220、カウンタ230、記憶部240を備えた1チップマイコンである。なお、制御部200は、CPUと外部メモリ、カウンタ等の外付け回路を組み合わせた構成であってもよい。
【0027】
タッチ検出制御部210は、制御部200に記憶されたプログラム、パラメータ等に基づいて、タッチ電極駆動部140の動作を制御するためのものである。
【0028】
判定部220は、制御部200に記憶されたプログラム、パラメータ等、記憶部240に記憶された各ノードNij(i=0〜m、j=0〜n)の出力値Dijに基づく容量値Tij(i=0〜m、j=0〜n)、及び非タッチ時の容量値Tに基づいて、次に説明するアルゴリズムに従って、電極部120にノイズが印加したかどうかの判定を行なう。
【0029】
カウンタ230は、A/D変換部160の出力値Dijを積算して、容量値Tijを算出し、これを順次記憶部240に出力する。なお、容量値Tijは、各ノードNij(i=0〜m、j=0〜n)における静電容量値そのものではなく、静電容量に対応してある値で規格化された値である。
【0030】
記憶部240は、各ノードNij(i=0〜m、j=0〜n)に対応した容量値Tijを記憶し、判定部220からの参照要求に応じて値を返す。また、ノイズの判定に使用する非タッチ時の容量値T、タッチ閾値Mt、ノイズ判定閾値Mn等を記憶する。なお、容量値Tijと同様に、非タッチ時の容量値Tは、非タッチ時のノードにおける静電容量値そのものではなく、静電容量に対応してある値で規格化された値である。
【0031】
(第1の実施の形態の動作)
以下において、具体的に各ノードのカウンタ値を示しながら説明するために、m=12、検出電極の本数をn=10とする。また、指等の物体がノードNijに近接又は接触すると、そのノードNijの静電容量値が変化するものとする。
【0032】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る静電検出装置の動作フローを示すフローチャートである。
【0033】
静電検出装置10の動作がスタートすると、まず、制御部200のタッチ検出制御部210は、i=0としてスイッチ部SW1をXに切り替える(ステップS01)。これにより、信号発生部(OSC)142から所定周波数のパルスがXラインに印加されて電荷がチャージされる。
【0034】
次に、タッチ検出制御部210は、j=0としてスイッチ部SW2をYに切り替える(ステップS02)。これにより、Yラインから容量検出値が読み出され、ノードN00の容量検出値C00が検出される。
【0035】
ノードNijの容量検出値Cijから演算処理・記憶処理が実行される(ステップS03)。すなわち、A/D変換部160でデジタル値に変換された出力値Dijがカウンタ230で計数され、ノードNijに対応付けされた容量値Tijが記憶部240に記憶される。
【0036】
タッチ検出制御部210は、j=10かどうかを判断し、j=10の場合はステップS05へ進み、j=10でない場合はj=j+1としてステップS02へ戻る(ステップS04)。
【0037】
j=10の場合、すなわち、ステップS02からステップS04により、1つの駆動電極ラインから各ノードの容量検出値が読み出されたら、次に、i=12かどうかを判断する。i=12の場合はステップS06へ進み、i=12でない場合はi=i+1としてステップS01へ戻る(ステップS05)。
【0038】
i=12、j=10の場合、すなわち、ステップS01からステップS05により、すべてのノードから容量検出値が読み出されたら、判定部220によりノイズ判定を行なう(ステップS06)。判定部220は、記憶部240から各ラインX、Y(i=0〜12、j=0〜10)ごとの容量値Tijを読出し、1ラインすべての算出値(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)がノイズ判定閾値Mnを超えているかどうかを判断する。超えている場合はステップS07へ進み、そうでない場合はステップS08へ進む。
【0039】
ここで、図3(a)は、第1の実施の形態に係る静電検出装置において、3本指でタッチした場合の制御部200で算出された(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)を示すグラフであり、図3(b)は、第1の実施の形態に係る静電検出装置において、ノイズが印加した場合の制御部200で算出された(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)を示すグラフである。
【0040】
図3(a)において、いずれかのXライン又はいずれかのYラインのすべてのノードの各出力値に基づく各算出値(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)が、タッチ閾値Mtよりも小さく設定されたノイズ判定閾値Mnを超えていないので、ノイズ印加とは判定されない。
【0041】
一方、図3(b)において、Yラインのすべてのノードにおいて、制御部200でそれぞれ算出された(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)がノイズ判定閾値Mnを超えているので、ノイズ印加と判定される。
【0042】
なお、ノイズ判定閾値Mnは、静電検出装置10の構成、使用環境等により設定され、また、ノイズ印加の判定結果に基づいて適宜変更が可能である。
【0043】
本実施の形態に係る静電検出装置10は、ノードの出力値に基づく算出値が、駆動電極又は検出電極の1ラインに亘ってノイズ判定閾値Mnを超える場合は、ノイズが印加されたものと判定するものである。これは、通常のタッチ操作によっては、駆動電極又は検出電極の1ラインに亘ってノイズ判定閾値Mnを超えることはなく、いずれかのライン(電極)へノイズが印加された場合に限られる、との知見に基づくものである。
【0044】
1ラインすべての算出値(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)がノイズ判定閾値Mnを超えている場合は、制御部200は、ノイズが印加されたものと判断する(ステップS07)。これにより、通常のタッチ検出を中断し、また、ノイズ印加の警告を発したりすることが可能となる。
【0045】
1ラインすべての算出値(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)がノイズ判定閾値Mnを超えている場合以外は、制御部200は、ノイズが印加されていないと判断する(ステップS08)。これにより、通常のタッチ検出処理を行なうことができる。
【0046】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態では、ノードの出力値に基づく算出値が、駆動電極又は検出電極の1ライン(1本の電極)に亘ってノイズ判定閾値Mnを超える場合は、ノイズが印加されたものと判定する構成とされている。これは、通常のタッチ操作によっては、駆動電極又は検出電極の1ラインに亘ってノイズ判定閾値Mnを超えることはなく、いずれかのライン(電極)へノイズが印加された場合に限られる、との知見に基づくものである。これにより、通常のタッチ操作がされたかノイズが印加されたかの、確度の高い判定が可能となる。また、ソフト処理によるノイズ判定を行なうので、ノイズ判定用の回路を必要とせず、回路面積を抑制できコスト低減も可能となる。
【0047】
(本発明の第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、図1で示した第1の実施の形態の静電検出装置の全体構成と同じである。また、図2で示した実施の形態の動作もノイズ判定の条件が異なるのみである。したがって、以下の説明では、第1の実施の形態と重複する説明は省略する。
【0048】
(静電検出装置10の構成)
本発明の第2の実施の形態に係る静電検出装置10は、複数の駆動電極(X、X、X、〜、X)と、この駆動電極と交差するよう対向して複数配置される検出電極(Y、Y、Y、〜、Y)とを有し、駆動電極と検出電極がそれぞれ交差するノードNij(i=0〜m、j=0〜n)の静電容量値が物体の近接又は接触により変化する静電容量検出部100と、検出電極から読み出される各ノードNij(i=0〜m、j=0〜n)の出力値(カウンタ値Tij(i=0〜m、j=0〜n))とタッチ閾値Mtとの比較により、静電容量検出部100へのタッチ状態を検出するための演算処理を行なう制御部200と、を有して概略構成されている。
【0049】
制御部200は、隣接するノードの出力値に基づく各算出値の差がノイズ抑制閾値Mmを超えている場合に、ノイズが印加されたものと判定する。ここで、隣接するノードとは、Nij(j=0〜n)とNi−1 j、Ni+1 j、又は、Ni j―1、Ni j+1との関係にあるノードである。また、ノードの出力値に基づく算出値は、各ノードにおいて、非タッチ時の容量値Tと容量値Tij(i=0〜m、j=0〜n)からT―Tijとして算出された値である。
【0050】
第2の実施の形態に係る静電検出装置10は、隣接するノードの出力値に基づく各算出値の差が、設定されたノイズ抑制閾値Mmを超えている場合に、ノイズが印加されたものと判定するものである。
【0051】
(第2の実施の形態の動作)
以下において、第1の実施の形態と同様に、具体的に各ノードのカウンタ値を示しながら説明するために、m=12、検出電極の本数をn=10とする。また、指等の物体がノードNijに近接又は接触すると、そのノードNijの静電容量値が変化するものとする。
【0052】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る静電検出装置の動作フローを示すフローチャートである。図2で示したステップ06以外は同じであるので、以下において、第1の実施の形態と異なるステップについて説明する。なお、ステップ番号は、第1の実施の形態と対応がとりやすいように、ステップ11〜18とした。
【0053】
ステップS11からステップS15により、すべてのノードから容量検出値が読み出されたら、判定部220によりノイズ判定を行なう(ステップS16)。判定部220は、記憶部240から各ラインX、Y(i=0〜12、j=0〜10)ごとの容量値Tijを読出し、隣接するノードの出力値に基づく各算出値(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)の差が、設定されたノイズ抑制閾値Mmを超えているかどうかを判断する。超えている場合はステップS17へ進み、そうでない場合はステップS18へ進む。
【0054】
ここで、図5(a)は、第2の実施の形態に係る静電検出装置において、1本指でタッチした場合の制御部200で算出された(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)を示すグラフであり、図5(b)は、第2の実施の形態に係る静電検出装置において、ノイズが印加した場合の制御部200で算出された(非タッチ時の容量値T―容量値Tij)を示すグラフである。
【0055】
図5(a)において、隣接するノードN7 5とノードN6 5の出力値に基づくそれぞれの算出値(非タッチ時の容量値T―容量値T7 5)、(非タッチ時の容量値T―容量値T6 5)の差は、設定されたノイズ抑制閾値Mmよりも小さい880である。よって、ノイズ印加とは判定されない。
【0056】
一方、図5(b)において、隣接するノードN10 8とノードN11 9の出力値に基づくそれぞれの算出値(非タッチ時の容量値T―容量値T10 8)、(非タッチ時の容量値T―容量値T11 9)の差は、設定されたノイズ抑制閾値Mmよりも大きい1990である。よって、ノイズ印加と判定される。
【0057】
なお、ノイズ抑制閾値Mmは、静電検出装置10の構成、使用環境等により設定され、また、ノイズ印加の判定結果に基づいて適宜変更が可能である。
【0058】
本実施の形態に係る静電検出装置10は、隣接するノードの出力値に基づく各算出値の差が設定されたノイズ抑制閾値Mmを超えている場合に、ノイズが印加されたものと判定するものである。これは、通常のタッチ操作によっては、隣接するノードの出力値に基づく各算出値は比較的近い値をとり、隣接するノードの出力値に基づく各算出値の差がノイズ抑制閾値Mmを超えることはないとの知見に基づくものである。
【0059】
隣接するノードの出力値に基づく各算出値の差が設定されたノイズ抑制閾値Mmを超えている場合は、制御部200は、ノイズが印加されたものと判断する(ステップS17)。これにより、通常のタッチ検出を中断し、また、ノイズ印加の警告を発したりすることが可能となる。
【0060】
隣接するノードの出力値に基づく各算出値の差が設定されたノイズ抑制閾値Mmを超えている場合以外は、制御部200は、ノイズが印加されていないと判断する(ステップS18)。これにより、通常のタッチ検出処理を行なうことができる。
【0061】
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態では、隣接するノードの出力値に基づく各算出値の差が設定されたノイズ抑制閾値Mmを超えている場合は、ノイズが印加されたものと判定する構成とされている。これは、通常のタッチ操作によっては、隣接するノードの出力値に基づく各算出値は比較的近い値をとり、隣接するノードの出力値に基づく各算出値の差がノイズ抑制閾値Mmを超えることはないとの知見に基づくものである。これにより、通常のタッチ操作がされたかノイズが印加されたかの、確度の高い判定が可能となる。また、ソフト処理によるノイズ判定を行なうので、ノイズ判定用の回路を必要とせず、回路面積を抑制できコスト低減も可能となる。
【0062】
以上、本発明に好適な実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で種々の変形、応用が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10…静電検出装置
100…静電容量検出部
120…電極部
140…タッチ電極駆動部
142…信号発生部
150…検出回路
160…A/D変換部
200…制御部
210…タッチ検出制御部
220…判定部
230…カウンタ
240…記憶部
SW1、SW2…スイッチ部
、X、X、〜、X…駆動電極
、Y、Y、〜、Y…検出電極
ij(i=0〜m、j=0〜n)…ノード
Mt…タッチ閾値
Mn…ノイズ判定閾値
ij(i=0〜m、j=0〜n)…容量検出値
ij(i=0〜m、j=0〜n)…出力値
ij(i=0〜m、j=0〜n)…容量値
…非タッチ時の容量値
Mm…ノイズ抑制閾値
図1
図2
図3
図4
図5