(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平11−349051号公報(特許文献1)には、「有底筒状のケ−ス本体,ケ−ス本体の開口縁に形成した蓋体を含むケ−スと、上面側に、直管形の蛍光ランプの端部を収納する凹部を一定の間隔で形成した複数のスペ−サ体とを具備し、前記スペ −サ体は、ほぼ同じ大きさの第1,第2のスペ−サ片を重ね合わせし、かつ第1のスペ−サ片にのみ凹部を一定の間隔にて打抜形成してなり、このスペ−サ体をケ−ス本体の両側部分に、凹部が上面側となるように配置すると共に、それぞれのスペ−サ体の凹部に直管形の蛍光ランプの端部を収納したことを特徴とする。」が記載されている。
【0003】
また、特開2011−1078号公報(特許文献2)には、「本発明は、直管形の蛍光灯管を梱包するための箱体からなる段ボール製の梱包箱であって、前記箱体は、前記蛍光灯管の管状側面を載置する側保持部を有する中間バンパ一対と、前記蛍光灯管の端部を載置する端保持部を有する端バンパ一対とを備えることを特徴とする梱包箱を提供する。」が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるスペーサ体の凹部の深さは段ボールの厚さしかなく、また、蛍光ランプの水平方向の直径位置にはスペーサがなく、横方向の緩衝性が弱い。
特許文献2に記載される中間バンパおよび端バンパはそれぞれ段ボールを用いた折り曲げ部等が幾重にもある複雑な構造である。
本開示の課題は単体の段ボールによる簡単な構造で緩衝性が高い緩衝材を用いた直管形ランプの梱包体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、直管形ランプの梱包体は、直管形ランプと、前記直管形ランプの長手方向の両端付近に配置される緩衝材と、前記緩衝材と前記直管形ランプを梱包する外装箱と、を備える。前記外装箱は単体の段ボールで形成され、底部と対向する短辺側壁と対向する長辺側壁とを備える。前記緩衝材は単体の段ボールで形成され、前記直管形ランプを搭載する搭載部と隣接する直管形ランプを隔てる隔壁とを備える。前記長辺側壁に隣接する隔壁の高さおよび幅は他の隔壁の高さおよび幅よりも小さく形成される。
【発明の効果】
【0007】
上記直管形ランプの梱包体によれば、単体の段ボールによる簡単な構造で緩衝性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態および実施例について図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0010】
実施の形態に係る梱包体、外装箱、緩衝材について
図1および
図2を用いて説明する。
図1は実施の形態に係る梱包体の構成を説明するための斜視図である。
図2は実施の形態に係る緩衝材の構成を説明するため図であり、(A)は正面方向図、(B)は側面方向図である。
図1に示すように、梱包体1は段ボール製の外装箱10と段ボール製の緩衝材20と直管形ランプ30とを備える。直管形ランプ30は、外装箱10および緩衝材20を用いて梱包される。緩衝材20によって5本の直管形ランプ30が並列保持され、これを上下2段に積層することによって、合計10本の直管形ランプ30を外装箱10に梱包する。
【0011】
図1に示すように、外装箱10は、底部11と、底部11の周囲に形成した、対向する短辺側壁12および対向する長辺側壁13−1、13−2と、長辺側壁13−1、13−2に付設した蓋14−1、14−2とを備える。ただし、
図1では底部11、長辺側壁13−2、蓋14−1は示されていない。上段の直管形ランプ30の上面には蓋14−1が載置され、直管形ランプ30の上面を保護する。なお、長辺側壁13−1の高さ(Z方向の長さ)は、長辺側壁13−2の高さよりの段ボールの厚さ分程度低くなっている。また、蓋14−1のY方向の長さは蓋14−2の長さよりも短くなっている。
【0012】
図2に示すように、緩衝材20は、直管形ランプ30の管状底面および側面を載置する保持部21と保持部21を支持するベース25とを備え、底部11上に載置される。
図2(A)に示すように、保持部21は、直管形ランプ30の側部が当接する隔壁22と直管形ランプ30の底部が当接する搭載部23とによって形成され、U字状の形状をしている。
図2(B)に示すように、隔壁22は、四角形状の垂直断面(以下、単に「断面」)を有する。保持部21は直管形ランプ30を上方から受け入れる。なお、緩衝材20は、隣接する別の直管形ランプ30を相互に所定の間隔をあけて保持するスペーサとしても機能する。外装箱10の長辺側壁13−1、13−2に隣接する直管形ランプ30を保持する保持部21の隔壁22は一方にしかなく、他方の隔壁は搭載部23で構成される。言い換えると、外装箱10の長辺側壁13−1、13−2に隣接する直管形ランプ30を保持する保持部21の他方の隔壁の高さおよび幅は、隔壁22の高さおよび幅よりも小さい。このように緩衝材20の両端の隔壁22を省略しているので、緩衝材20の幅(Y方向の長さ)を狭く(小さく)することができ、外装箱10の幅(Y方向の長さ)を狭く(小さく)することができる。
【0013】
外装箱10に緩衝材20および直管形ランプ30を格納して、蓋14−1、14−2を旋回させて、外装箱10の開口部を覆うと共に、蓋14−2と長辺側壁13−1とをビニールテープ40等で固定して、閉じた梱包体1を形成する。
【0014】
以下の実施例では直管形蛍光ランプを搭載する梱包体について説明するが、直管形LEDランプを搭載する梱包体にも適用することができる。
【実施例1】
【0015】
本実施の形態の第1の実施例(実施例1)に係る、FHF86形蛍光ランプ用の外装箱、緩衝材について
図3および
図4を用いて説明する。
図3は実施例1に係る外装箱の展開図である。
図4は実施例1に係る緩衝材の展開図である。FHF86形蛍光ランプの管長は2367mm、管径は25.5mmである。
図3に示すように、外装箱10は単体の段ボールで構成され、長辺がX方向に沿って延在し短辺がY方向に沿って延在する底部11と、底部11の短辺からX方向外方に連続し対向する短辺側壁12と、底部11の長辺からY方向外方に連続し対向する長辺側壁13−1、13−2と、一方の長辺側壁13−1からY方向に連続する蓋本体14−1と、他方の長辺側壁13−2からY方向に連続する蓋14−2を備える。すなわち、1つの低部11、2つの短辺側壁12、2つの長辺側壁13−1、13−2および2つ蓋14−1、14−2は、いずれも、全体が矩形状であって、連続する各部相互の間には山折り罫線が形成される。なお、2つの長辺側壁13−1、13−2は、それらの対向する短辺から、各々、系外方に連続するフラップ15−1、15−2を備え、合計4つのフラップを備える。なお、外装箱10の段ボールの厚さは、例えば5mmである。
【0016】
外装箱10を組立てるには、2つの長辺側壁13−1、13−2を山折りして起立させながら2つのフラップ15−1、15−2を山折りして積層し、2つの積層したフラップを挟むように2つの短辺側壁12を山折りし、開放状態の外装箱10を形成する。外装箱10の内寸は、例えば2383[mm]×168[mm]×73[mm]である。外装箱10の長手方向の寸法は、緩衝材20に蛍光ランプ30を載置した際に若干の隙間が生じるようにされるとともに、幅方向の寸法も緩衝材20にFHF86形蛍光ランプ30を載置した際に若干の隙間が生じるようにされる。これにより外装箱10への緩衝材20およびFHF86形蛍光ランプ30の載置および取出しを容易にすることができる。
【0017】
図4に示すように、緩衝材20は単体の段ボールで構成され、長辺がY方向に沿って延在し短辺がX方向に延在するベース24と、ベース24の1つの長辺からX方向に連続する保持部片25と、ベース24の他の長辺から−X方向に連続する保持部片25とからなる。なお、緩衝材20の段ボールの厚さは、例えば5mmである。また、保持部片25はベース差込片26とベース24を浮かせるための突起片27を有する。突起片27はFHF86形蛍光ランプ30が延在する位置にあるので、上下のFHF86形蛍光ランプ30の間隔を広くすることができる。例えば、突起片27のX方向の長さは6mmであり、ベース24と保持部片25との境界から搭載部23の底部までの長さは4mmである。また、搭載部23の底部から隔壁22の頂部までの長さは24.5mmで蛍光ランプ30の管径25.5mmよりも小さいので、1段目のFHF86形蛍光ランプ30の頂部が2段目の緩衝材20の突起片27と当接する。したがって、上下のFHF86形蛍光ランプの間隔は10mm程度にすることができる。ベース24はX方向の中央にY方向に延在する複数のスリット28を有する。スリット28の長辺方向(Y方向)に直線部分と曲線部分を有し、直線部分の長さは例えば22mmで、短辺方向(X方向)の長さ(幅)は例えば6mmである。ベース差込片26は台形状であり、上底は例えば18mm、下底は例えば22mmである。
【0018】
ベース24と保持部片25の相互の間には、山折り罫線(半切り)が形成される。さらに、保持部片25は、断面四角形状の隔壁22が形成されるように、Y方向に延在する山折り罫線(半切り)を有する。また、保持部片25は保持部21を形成する複数の孔を有し、保持部21は、一組の隔壁22によって形成され、5本のFHF86形蛍光ランプ30を収納するよう、Y方向に沿って5つ並置される。なお、保持部片25のY方向の両端には隔壁22がない。例えば、隔壁22の幅(Y方向の長さ)は9.3mm、保持部21を形成する孔の幅(Y方向の長さ)は26.2mmである。両端の保持部21を形成する孔の端部側は解放しているが、閉じた孔としたときの幅(Y方向の長さ)は24.85mmである。なお、両端の保持部21を形成する搭載部23の底部から孔が解放されている箇所23Eまでの高さは3.5mmであり、これを隔壁とみなすと、その高さは隔壁22の高さよりも低く、その幅は隔壁22の幅よりも狭い。
【0019】
緩衝材20を組立てるには、ベース24と保持部片25の境界の半切りC1に沿って山折し、次いで、保持部片25(隔壁22)の半切りC2に沿って山折りして、断面四角形状の隔壁22を形成し、次いで、ベース差込片26をスリット28内に挿入して固定する。スリット28にベース差込片26が2つ挿入されると、ベース差込片26は厚さ方向に適度に加圧されてスリット28に納まり、適度に抜けにくくなるので、接着剤等で固定する必要がない。単体の打ち抜いた段ボール両端面の凸部を段ボール中央に向かって折りたたみ、端面の凸部を段ボール中央部に差し込み固定することにより緩衝材を形成するので、複数の段ボールを繋ぎ合せる必要がない。また、折り曲げ部が少なく簡易的に組み立てることができる。また、廃棄する際には解体も容易にすることができる。緩衝材20のY方向の長さは、例えば165.5mm、X方向の長さは、例えば、252mmである。
【実施例2】
【0020】
本実施の形態の第2の実施例(実施例2)に係る、FLR110形蛍光ランプ用の外装箱、緩衝材について
図5および
図6を用いて説明する。
図5は実施例2に係る外装箱の展開図である。
図6は実施例2に係る緩衝材の展開図である。FLR110形蛍光ランプの管長は2367mm、管径は38mmである。
図5および
図6に示すように、実施例2に係るが外装箱および緩衝材は実施例1と寸法が異なるのみで基本的な構成は同じである。これは蛍光ランプの管径の相違によるものである。実施例2に係る外装箱10の内寸は、例えば2383[mm]×230[mm]×98[mm]である。また、実施例2に係る緩衝材20の寸法は、例えば、隔壁22の幅(Y方向の長さ)は9mm、保持部21を形成する孔の幅(Y方向の長さ)は39mmである。なお、外装箱10および緩衝材20の段ボールの厚さは、実施例1と同様にそれぞれ例えば5mmである。両端の保持部21を形成する孔の端部側は解放しているが、閉じた孔としたときの幅(Y方向の長さ)は37.5mmである。なお、両端の保持部21を形成する搭載部23の底部から孔が解放されている箇所23Eまでの高さは8mmであり、これを隔壁とみなすと、その高さは隔壁22の高さよりも低く、その幅は隔壁22の幅よりも狭い。緩衝材20のY方向の長さは、例えば228mm、X方向の長さは、例えば、252mmである。実施例2に係る緩衝材20のX方向の長さと、実施例1に係る緩衝材20のX方向の長さと同じであるが、異なってもよい。突起片27のX方向の長さは実施例1と実施例2とは同じである。すなわち、突起片27のX方向の長さは6mmであり、ベース24と保持部片25との境界から搭載部23の底部までの長さも実施例1と同じ4mmである。また、搭載部23の底部から隔壁22の頂部までの長さも実施例1と同じ24.5mmで、FLR110形蛍光ランプ30の管径38mmよりも小さいので、1段目のFLR110形蛍光ランプ30の頂部が2段目の緩衝材20の突起片27と当接する。したがって、上下のFLR110形蛍光ランプ30の間隔は実施例1と同じ10mm程度にすることができる。スリット28の長辺方向(Y方向)に直線部分と曲線部分を有し、直線部分の長さは例えば30mmで、短辺方向(X方向)の長さ(幅)は例えば6mmである。ベース差込片26は台形状であり、上底は例えば26mm、下底は例えば30mmである。
【0021】
次に、蛍光ランプの間隔を変えて落下試験を行った結果について
図7から
図9を用いて説明する。
図7は評価試験方法を説明するための図である。
図8は片持底面落下試験の結果を示す図である。
図9は片持側面落下試験の結果を示す図である。
図7に示すように、10本の蛍光ランプ30の間に段ボール20Cを挟んで落下試験を日本電球工業会規格JEL601「光源製品の安全性確認試験通則」の包装落下試験に記載の試験方法で行った。ただし、JEL601では直管形蛍光ランプで1.5m以上の長側面がある包装については、底面と隣接する短側面との稜を落下させる試験(以下、片持底面落下試験という。)を行うが、長側面と隣接する短側面との稜を落下させる試験(以下、片持側面落下試験という。)についても行っている。段ボール20Cの厚さを変えることにより、蛍光ランプ30の間隔(ランプバルブ間隔)を変えている。また、ランプバルブ間隔に合わせて外装箱の内寸を変えて蛍光ランプ30ががたつかないようにした。下段の蛍光ランプ30は外装箱の底部の上に直接載置し、外装箱の蓋と縦に載置した段ボール20Cとは当接するが、上段の蛍光ランプ30は外装箱の蓋とは当接していない。なお、落下高さは10cm間隔で高さを変えて落下試験を行った。なお、
図8および
図9の落下試験においては、長手方向に対して、1段につき具備させる緩衝材の数としては、2ケを想定している。
図8に示すように、片持底面落下試験では、FHF86形蛍光ランプおよびFLR110形蛍光ランプのいずれもランプバルブ間隔の依存性はあまりなく、JEL601に規定される30cmの高さよりも十分高い高さまで、製品に安全性を損なうような破損、クラックの発生がなかった。
図9に示すように、片持側面落下試験では、FHF86形蛍光ランプおよびFLR110形蛍光ランプのいずれもランプバルブ間隔の依存性があり、ランプバルブ間隔が狭いと、製品に安全性を損なうような破損、クラックの発生する落下高さが低くなっている。ただし、JEL601に規定される30cmの高さを満足する。
図9によれば、FHF86形蛍光ランプで5mm以上、FLR110形蛍光ランプで7mm以上であれば、落下高さ80cmにおいても、製品に安全性を損なうような破損、クラックの発生が防止できることが期待される。
したがって、FHF86形蛍光ランプおよびFLR110形蛍光ランプのいずれもランプバルブ間隔が8mm以上であれば、80cmを超える高さからの落下においても、製品に安全性を損なうような破損、クラックの発生が防止できる。なお、実施例1および実施例2では、上述のとおり水平方向および垂直方向のランプバルブ間隔を8mm以上としている。
【0022】
次に実施例1および実施例2の梱包体の緩衝材の使用数を変えて落下試験を行った結果について
図10を用いて説明する。
落下試験は
図7から
図9と同様に片持底面落下試験および片持側面落下試験を行った。「OK」とは、製品に安全性を損なうような破損、クラックの発生がないことを示し、「NG」とは、製品に安全性を損なうような破損、クラックの発生があることを示している。なお、6ケ/箱(1段3ケ使用)とは、
図1に示すように、蛍光ランプの両端付近と中央付近の3か所に緩衝材を配置し、2段構成にしたものである。4ケ/箱(1段2ケ使用)とは、蛍光ランプの両端付近の2か所に緩衝材を配置し、2段構成にしたものである。すなわち、6ケ/箱(1段3ケ使用)に対し、蛍光ランプの中央付近の緩衝材を取り除いたものである。8ケ/箱(1段4ケ使用)とは、蛍光ランプの両端付近の2か所と中央付近の2か所の計4か所に緩衝材をほぼ等間隔に配置し、2段構成にしたものである。
図10に示すように、4ケ/箱(1段2ケ使用)に比較して、6ケ/箱(1段3ケ使用)と8ケ/箱(1段4ケ使用)では、製品に安全性を損なうような破損、クラックの発生する落下高さが高くなっている。緩衝材は6ケ/箱(1段3ケ)使用することにより、落下高さが100cm以上となっても、製品に安全性を損なうような破損、クラックの発生を防止することができる。したがって、緩衝材は6ケ/箱(1段3ケ)使用するのが好ましい。
【0023】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態および実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。