(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁素材よりなる帯状のセパレータシートを介して、活物質の塗布された帯状の正電極シートと負電極シートとを交互に重ね合わせた状態で所定の巻芯に対し捲回されて製造される捲回素子の製造過程において用いられる検査装置であって、
前記正電極シート又は負電極シートの上に前記セパレータシートが重ねられるようにして、これらが2枚一組で前記巻芯に巻き付けられる度に、最上層の当該セパレータシートに対し可視光を照射する第1照射手段と、
前記正電極シート又は負電極シートの上に前記セパレータシートが重ねられるようにして、これらが2枚一組で前記巻芯に巻き付けられる度に、当該セパレータの直下層の前記正電極シート又は負電極シートに対し前記セパレータを透過させつつ赤外光を照射する第2照射手段と、
前記第1照射手段により可視光の照射された前記セパレータを撮像する第1撮像手段と、
前記第2照射手段により赤外光の照射された前記正電極シート又は負電極シートを撮像する第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び第2撮像手段により得られた撮像データに基づき、前記各シートのシート幅方向に対する位置情報を求め、当該位置情報に基づき前記各シートのシート幅方向への位置ズレを判定する画像処理手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
前記正電極シート及びその上に重ねられる前記セパレータシートに対応して、前記第1照射手段、前記第2照射手段、前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段を少なくとも1組備えると共に、
前記負電極シート及びその上に重ねられる前記セパレータシートに対応して、前記第1照射手段、前記第2照射手段、前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段を少なくとも1組備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
前記照射手段及びこれに対応する前記撮像手段の組を、シート幅方向の一方側の側縁部及び他方側の側縁部に対応して、それぞれ1組ずつ備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
前記撮像手段は、所定の撮像タイミングにおいて、自身の光軸と、撮像箇所となる前記巻芯の外周部の周方向所定部位における接線とが直交するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、捲回素子としてのリチウムイオン電池素子の構成について説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施形態におけるリチウムイオン電池素子1(以下、単に「電池素子1」という)は、電気自動車(EV)などに用いられる電池素子であって、帯状の2枚のセパレータシート2,3を介して、帯状の正電極シート4及び負電極シート5が重ね合わされた状態で捲回されることで製造される。
【0034】
セパレータシート2,3は、異なる電極シート4,5同士が互いに接触して短絡を起こしてしまうのを防止すべく、ポリプロピレン(PP)等の絶縁体により構成されている。
【0035】
電極シート4,5は、金属箔よりなる電極シート本体の表裏両面に活物質が塗布されることにより構成されている。例えば正電極シート4にはアルミニウム箔が用いられ、その表裏両面に正極活物質が塗布されている。負電極シート5には銅箔が用いられ、その表裏両面に負極活物質が塗布されている。
【0036】
また、本実施形態における電極シート4,5は、連続塗工形態の電極シートであって、シート幅方向(
図1左右方向)における所定部分が活物質塗工部4a,5aとなり、残りの部分が未塗工部4b,5bとなっている。尚、
図1において活物質塗工部4a,5aの視認可能部位に関しては、便宜上、散点模様を付してある。
【0037】
そして、活物質塗工部4a,5aを介して、正電極シート4及び負電極シート5間におけるイオン交換がなされる。より詳しくは、充電時には、正電極シート4側から負電極シート5側へとイオンが移動し、放電時には、負電極シート5側から正電極シート4側へとイオンが移動する。
【0038】
また、電極シート4,5は、そのシート幅方向において、未塗工部4b,5bの一部がセパレータシート2,3からはみ出すように配置されている。
【0039】
そして、リチウムイオン電池を得るに際しては、この電極シート4,5のはみ出し部分に対しそれぞれリードが取付けられた上で、捲回された電池素子1が所定の電池容器内に配設される。その後、正極側のリードを正極端子部品に接続するとともに、同じく負極側のリードを負極端子部品に接続し、当該両端子部品を前記電気容器の両端開口に塞ぐように取付けることで、リチウムイオン電池が完成する。
【0040】
次に、電池素子1を製造するための捲回装置10について説明する。
図2に示すように、捲回装置10は、セパレータシート2,3及び電極シート4,5(以下、これらを総称する場合は「各種シート2〜5」という)を捲回するための捲回部11と、正電極シート4を捲回部11へ供給するための正電極シート供給機構31と、負電極シート5を捲回部11へ供給するための負電極シート供給機構41と、セパレータシート2,3をそれぞれ捲回部11へ供給するためのセパレータシート供給機構51,61とを備えている。尚、上記捲回部11や各シート供給機構31,41,51,61など、捲回装置10内の各種機構は、後述する制御装置90により動作制御される構成となっている。
【0041】
正電極シート供給機構31は、正電極シート4がロール状に捲回されてなる正電極シート原反32と、正電極シート4を後述する一対のニップローラ71A・71B間へ送り出すための一対の繰出しローラ33A・33Bと、正電極シート4を切断するための正電極シート切断カッタ34とを備えている。
【0042】
正電極シート原反32は、軸ローラ32aの周囲にロール状に捲回されている。軸ローラ32aは定トルクモータ等の軸ローラ駆動手段によりトルク制御され、ここから引き出される正電極シート4に対して所定のテンション(張力)を付与可能に構成されている。
【0043】
一対の繰出しローラ33A・33Bは、それぞれサーボモータ等の繰出しローラ駆動手段により回転制御可能に構成されると共に、図示しないエアシリンダ等の駆動手段により上下動可能に構成されている。これにより、一対の繰出しローラ33A・33Bは、正電極シート4を挟持する閉状態と、正電極シート4を開放する開状態とに開閉動作可能となる。
【0044】
そして、正電極シート4を一対のニップローラ71A・71B間へ送り出す際には、一対の繰出しローラ33A・33Bにより正電極シート4を挟持しつつ、各繰出しローラ33A・33Bが回転することで、正電極シート4を正電極シート原反32から引き出しつつ、一対のニップローラ71A・71B間へ送り出す。
【0045】
正電極シート切断カッタ34は、正電極シート4の上下に位置する一対の刃部からなる。正電極シート4の切断は、一対の繰出しローラ33A・33Bにより正電極シート4が挟持された状態で行われる。
【0046】
負電極シート供給機構41は、正電極シート供給機構31と同様、負電極シート原反42、軸ローラ42a、一対の繰出しローラ43A・43B、負電極シート切断カッタ44などを備えている。尚、一対の繰出しローラ43A・43Bなど、負電極シート供給機構41の各種構成は、正電極シート供給機構31と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0047】
セパレータシート供給機構51,61は、それぞれセパレータシート2,3がロール状に捲回されてなるセパレータシート原反52,62を備えている。
【0048】
セパレータシート原反52,62は、それぞれ軸ローラ52a,62aの周囲にロール状に捲回されている。軸ローラ52a,62aは定トルクモータ等の軸ローラ駆動手段によりトルク制御され、ここから引き出されるセパレータシート2,3に対して所定のテンションを付与可能に構成されている。
【0049】
セパレータシート2,3は、それぞれ一対のニップローラ71A・71B間,81A・81B間を通して捲回部11へ供給される。
【0050】
一対のニップローラ71A・71B,81A・81Bのうち、一方のニップローラ71A,81Aは、それぞれ図示しないモータにより回転制御されると共に、図示しないエアシリンダ等の駆動手段により上下動可能に構成された可動ローラとなっている。
【0051】
他方のニップローラ71B,81Bは、位置を変位させることなく、自由回転可能に軸支され、ニップローラ71A,81Aの回転動作や搬送されるセパレータシート2,3等に従動して回転する固定ローラとなっている。
【0052】
これにより、一対のニップローラ71A・71Bは、セパレータシート2及び正電極シート4を挟持する閉状態と、これらを開放する開状態とに開閉動作可能となる。同様に、一対のニップローラ81A・81Bは、セパレータシート3及び負電極シート5を挟持する閉状態と、これらを開放する開状態とに開閉動作可能となる。
【0053】
また、各種シート2〜5の供給経路の途中には、各種シート2〜5を案内するための各種ガイドローラ(符号略)等も設けられている。
【0054】
次に捲回部11の構成について説明する。
図2等に示すように、捲回部11は、各種シート2〜5を巻き取るための巻芯13と、上記ニップローラ71A・71Bを介して上記各シート供給機構31,51から供給される正電極シート4及びセパレータシート2を巻芯13側へと送る第1送りチャック14A・14Bと、上記ニップローラ81A・81Bを介して上記各シート供給機構41,61から供給される負電極シート5及びセパレータシート3を巻芯13側へと送る第2送りチャック15A・15Bと、セパレータシート2,3を切断するためのセパレータシートカッタ16,17と、正電極シート4及びセパレータシート2の巻きズレ(シート幅方向の位置ズレ)を検査するための正極側検査装置18と、負電極シート5及びセパレータシート3の巻きズレを検査するための負極側検査装置19とを備えている。以下、ニップローラ71A・71Bを介して正電極シート4とセパレータシート2とが重ね合わされた状態のシート集合体を「正電極シート集合体2,4」といい、ニップローラ81A・81Bを介して負電極シート5とセパレータシート3とが重ね合わされた状態のシート集合体を「負電極シート集合体3,5」という。
【0055】
巻芯13は、自身の中心軸13aを回転軸K(
図5参照)として回転可能に構成されている。本実施形態における巻芯13は、回転軸Kの直交方向における断面形状が略楕円形状に構成されている。
【0056】
また、図示は省略するが、捲回部11には、正電極シート集合体2,4や負電極シート集合体3,5を巻芯13へ案内するための各種ガイドローラや、巻芯13へ供給される正電極シート集合体2,4や負電極シート集合体3,5を巻芯13に固定するための機構などが設けられている。
【0057】
第1送りチャック14A・14Bは、正電極シート集合体2,4の供給経路に沿って、巻芯13に接近する接近位置と、巻芯13から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。そして、正電極シート集合体2,4を巻芯13へ送る際には、巻芯13の回転動作に同期して、正電極シート集合体2,4を把持した状態で、第1送りチャック14A・14Bを巻芯13に対して接近させる。
【0058】
同様に、第2送りチャック15A・15Bは、負電極シート集合体3,5の供給経路に沿って、巻芯13に接近する接近位置と、巻芯13から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。そして、負電極シート集合体3,5を巻芯13へ送る際には、巻芯13の回転動作に同期して、負電極シート集合体3,5を把持した状態で、第2送りチャック15A・15Bを巻芯13に対して接近させる。
【0059】
セパレータシートカッタ16は、一対の刃部からなる。セパレータシートカッタ16は、その一対の刃部が正電極シート集合体2,4の供給経路の両側に配置される切断位置と、正電極シート集合体2,4の供給経路から離間する退避位置との間を移動可能に設けられている。そして、巻芯13へ正電極シート集合体2,4を供給すべく、第1送りチャック14A・14Bが巻芯13側へ接近移動する際には、正電極シート集合体2,4の供給経路から離間することで、第1送りチャック14A・14Bの移動を阻害しないようになっている。尚、セパレータシート2の切断は、第1送りチャック14A・14Bによりセパレータシート2が挟持された状態で行われる。
【0060】
同様に、セパレータシートカッタ17は、一対の刃部からなる。セパレータシートカッタ17は、その一対の刃部が負電極シート集合体3,5の供給経路の両側に配置される切断位置と、負電極シート集合体3,5の供給経路から離間する退避位置との間を移動可能に設けられている。そして、巻芯13へ負電極シート集合体3,5を供給すべく、第2送りチャック15A・15Bが巻芯13側へ接近移動する際には、負電極シート集合体3,5の供給経路から離間することで、第2送りチャック15A・15Bの移動を阻害しないようになっている。尚、セパレータシート3の切断は、第2送りチャック15A・15Bによりセパレータシート3が挟持された状態で行われる。
【0061】
また、図示は省略するが、巻芯13の近傍には、捲回後の各種シート2〜5がばらけるのを抑えるための押えローラや、巻芯13から電池素子1の取外しを行う取外機構等が設けられている。
【0062】
尚、本実施形態における押えローラは、セパレータシート2,3の終端部分を巻止めする固定テープ(図示略)を貼付するテープ貼付手段の機能も兼ね備えている。例えば、押えローラの外周面に、所定の吸引装置と連通する吸引孔を備え、当該吸引孔にて固定テープを吸着保持可能に構成されている。勿論、これに限らず、押えローラとは別にテープ貼付手段を設けた構成としてもよい。
【0063】
ここで、正極側検査装置18及び負極側検査装置19の構成について
図3〜5を参照して詳しく説明する。
【0064】
正極側検査装置18は、正電極シート集合体2,4の電極シートはみ出し側(
図5右側)に対応して設けられた正極側第1検査装置18Aと、正電極シート集合体2,4のセパレータシートはみ出し側(
図5左側)に対応して設けられた正極側第2検査装置18Bとからなる。
【0065】
正極側第1検査装置18Aは、巻芯13に巻き付けられた正電極シート集合体2,4の電極シートはみ出し側の巻きズレ検査を行うものであり、正極側第2検査装置18Bは、巻芯13に巻き付けられた正電極シート集合体2,4のセパレータシートはみ出し側の巻きズレ検査を行うものである。
【0066】
より詳しくは、正極側第1検査装置18Aは、正電極シート集合体2,4の電極シートはみ出し側におけるセパレータシート2の側縁部2Rと、正電極シート4の活物質塗工部4a及び未塗工部4bの境界部4Tとのシート幅方向における距離L1を基に、正電極シート集合体2,4の電極シートはみ出し側の巻きズレ検査を行う(
図1参照)。
【0067】
正極側第2検査装置18Bは、正電極シート集合体2,4のセパレータシートはみ出し側におけるセパレータシート2の側縁部2Sと、正電極シート4の側縁部4Sとのシート幅方向における距離L2を基に、正電極シート集合体2,4のセパレータシートはみ出し側の巻きズレ検査を行う(
図1参照)。
【0068】
負極側検査装置19は、負電極シート集合体3,5の電極シートはみ出し側(
図5左側)に対応して設けられた負極側第1検査装置19Aと、負電極シート集合体3,5のセパレータシートはみ出し側(
図5右側)に対応して設けられた負極側第2検査装置19Bとからなる。
【0069】
負極側第1検査装置19Aは、巻芯13に巻き付けられた負電極シート集合体3,5の電極シートはみ出し側の巻きズレ検査を行うものであり、負極側第2検査装置19Bは、巻芯13に巻き付けられた負電極シート集合体3,5のセパレータシートはみ出し側の巻きズレ検査を行うものである。
【0070】
より詳しくは、負極側第1検査装置19Aは、負電極シート集合体3,5の電極シートはみ出し側におけるセパレータシート3の側縁部3Rと、負電極シート5の活物質塗工部5a及び未塗工部5bの境界部5Tとのシート幅方向における距離L3を基に、負電極シート集合体3,5の電極シートはみ出し側の巻きズレ検査を行う(
図1参照)。
【0071】
負極側第2検査装置19Bは、負電極シート集合体3,5のセパレータシートはみ出し側におけるセパレータシート3の側縁部3Sと、負電極シート5の側縁部5Sとのシート幅方向における距離L4を基に、負電極シート集合体3,5のセパレータシートはみ出し側の巻きズレ検査を行う(
図1参照)。
【0072】
正極側第1検査装置18A、正極側第2検査装置18B、負極側第1検査装置19A、及び負極側第2検査装置19B(以下、これらを総称する場合は「検査装置18,19」という)は、それぞれ巻芯13の中心軸13aの高さ位置に対応して設けられると共に、巻芯13の径方向に沿って巻芯13の外周面側(中心軸13aの方向)を向くように配置されている。
【0073】
検査装置18,19は、第1照射手段を構成する可視光照射手段131と、第2照射手段を構成する赤外光照射手段132と、第1撮像手段を構成する可視光用カメラ133と、第2撮像手段を構成する赤外光用カメラ134とを備えている。
【0074】
可視光照射手段131は、巻芯13に巻き付けられた正電極シート集合体2,4又は負電極シート集合体3,5の検査領域に対し可視光を側方より照射可能に構成されている。
【0075】
赤外光照射手段132は、可視光照射手段131よりも巻芯13から離間した位置に設けられると共に、巻芯13に巻き付けられた正電極シート集合体2,4又は負電極シート集合体3,5の検査領域に対し赤外光を照射可能に構成されている。
【0076】
また、可視光用カメラ133及び赤外光用カメラ134は、赤外光照射手段132よりもさらに巻芯13から離間した位置に設けられている。そして、可視光用カメラ133及び赤外光用カメラ134には、共通のレンズ136及びダイクロイックミラー137を介して、可視光、赤外光がそれぞれ入射されるようになっている。尚、本実施形態におけるダイクロイックミラー137は、赤外光のみを通過し、可視光を反射可能に構成されている。
【0077】
かかる構成下、可視光照射手段131より、正電極シート集合体2,4(又は負電極シート集合体3,5)の検査領域に対し可視光が照射されると、当該可視光は少なくとも最上部のセパレータシート2(又はセパレータシート3)に当たることとなる。このため、可視光用カメラ133では、セパレータシート2(又はセパレータシート3)の外側が明るく光り、当該セパレータシート2(又はセパレータシート3)が明瞭に撮像される。
【0078】
また、赤外光照射手段132より、正電極シート集合体2,4(又は負電極シート集合体3,5)の検査領域に対し赤外光が照射されると、当該赤外光はセパレータシート2(又はセパレータシート3)を透過して、その直下層の正電極シート4(又は負電極シート5)にて反射する。そして、その反射した赤外光がセパレータシート2(又はセパレータシート3)を再度透過して赤外光用カメラ134により撮像される。このようにして、セパレータシート2(又はセパレータシート3)及びその直下層の正電極シート4(又は負電極シート5)を、それぞれ可視光用カメラ133及び赤外光用カメラ134により撮像することができる。
【0079】
続いて、上記検査装置18,19等を制御する制御装置90の電気的構成について説明する。
図4に示すように、制御装置90は、検査装置18,19等の制御を司るCPU及び入出力インターフェース141、カメラ33,34による撮像に基づく画像データ(撮像データ)を記憶するための画像データ記憶手段142、各種演算結果を記憶するための演算結果記憶手段143、各種情報を予め記憶しておく設定データ記憶手段144等を備えている。本実施形態では、主としてCPU及び入出力インターフェース141により画像処理手段が構成される。従って、上記検査装置18,19及び制御装置90によって、本願発明たる検査装置が構成される。
【0080】
上記照射手段131,132、カメラ133,134及び記憶手段142〜144は、それぞれCPU及び入出力インターフェース141に対し電気的に接続されている。さらに、CPU及び入出力インターフェース141には、キーボードやマウス、あるいは、タッチパネルで構成される入力手段145、CRTや液晶などの表示画面を有する表示手段146も電気的に接続されている。加えて、CPU及び入出力インターフェース141には、シート供給機構31,41,51,61や捲回部11、巻芯13の回転位置を検出可能な回転位置検出手段(エンコード等)150なども電気的に接続されている。
【0081】
そして、制御装置90は、回転位置検出手段150からの信号に基づいて、カメラ133,134が撮像する画像データを画像データ記憶手段142に取り込むタイミング(撮像タイミング)を制御する。本実施形態では、巻芯13が180°回転する毎に撮像が行われる。
【0082】
次に、上記捲回装置10を用いた電池素子1の捲回手順について詳しく説明する。
【0083】
捲回開始前、一対のニップローラ71A・71Bは開状態となっており、当該一対のニップローラ71A・71B間を通してセパレータシート供給機構51から供給されるセパレータシート2の先端部近傍が第1送りチャック14A・14Bにより把持された状態となっている。
【0084】
同様に、一対のニップローラ81A・81Bは開状態となっており、当該一対のニップローラ81A・81B間を通してセパレータシート供給機構61から供給されるセパレータシート3の先端部近傍が第2送りチャック15A・15Bにより把持された状態となっている。
【0085】
この状態から、新たな電池素子1の捲回工程が開始されると、まず第1送りチャック14A・14Bがセパレータシート2を把持した状態で巻芯13の方に向けて移動していく。同様に、第2送りチャック15A・15Bがセパレータシート3を把持した状態で巻芯13の方に向けて移動していく。
【0086】
そして、セパレータシート2の先端が巻芯13に達したところで、第1送りチャック14A・14Bが停止し、セパレータシート2が巻芯13に固定される。同様に、セパレータシート3の先端が巻芯13に達したところで、第2送りチャック15A・15Bが停止し、セパレータシート3が巻芯13に固定される。
【0087】
セパレータシート2が巻芯13に固定されると、第1送りチャック14A・14Bは、把持していたセパレータシート2を解放し、初期位置へ戻る。同様に、セパレータシート3が巻芯13に固定されると、第2送りチャック15A・15Bは、把持していたセパレータシート3を解放し、初期位置へ戻る。
【0088】
その後、巻芯13が回転を開始し、セパレータシート2,3が所定長だけ巻き付けられると、巻芯13は一旦停止する。続いて、繰出しローラ33A・33Bが回転し、正電極シート4が繰り出されると共に、繰出しローラ43A・43Bが回転し、負電極シート5が繰り出される。
【0089】
そして、正電極シート4の先端がニップローラ71A・71B間に達したところで、繰出しローラ33A・33Bを停止する。続いて、ニップローラ71A・71Bを閉状態とし、正電極シート4をセパレータシート2と重ね合わせた状態で挟持すると共に、繰出しローラ33A・33Bを開状態とし、正電極シート4を解放する。
【0090】
同様に、負電極シート5の先端がニップローラ81A・81B間に達したところで、繰出しローラ43A・43Bを停止する。続いて、ニップローラ81A・81Bを閉状態とし、負電極シート5をセパレータシート3と重ね合わせた状態で挟持すると共に、繰出しローラ43A・43Bを開状態とし、負電極シート5を解放する。
【0091】
かかる状態で、巻芯13によるセパレータシート2,3の捲回を再開すると、正電極シート4は、セパレータシート2との間の摩擦力により当該セパレータシート2に引っ張られるようにして、巻芯13の方へと引っ張られていく。同様に、負電極シート5は、セパレータシート3との間の摩擦力により当該セパレータシート3に引っ張られるようにして、巻芯13の方へと引っ張られていく。
【0092】
これにより、上記シート供給機構31,51からそれぞれ供給される正電極シート4及びセパレータシート2がニップローラ71A・71Bにより重ね合わされ、正電極シート集合体2,4となって巻芯13の方へと引き出されていくこととなる。同様に、上記シート供給機構41,61からそれぞれ供給される負電極シート5及びセパレータシート3がニップローラ81A・81Bにより重ね合わされ、負電極シート集合体3,5となって巻芯13の方へと引き出されていくこととなる。
【0093】
正電極シート4(正電極シート集合体2,4)及び負電極シート5(負電極シート集合体3,5)が巻芯13に所定長巻き付けられると、ニップローラ71A・71B及びニップローラ81A・81Bが開状態となる。
【0094】
以後、各種シート2〜5が重ね合わされた状態で巻芯13に捲回されていくこととなる。
【0095】
巻芯13に対し各種シート2〜5が所定長巻き付けられると、巻芯13の回転動作が一旦停止する。かかる状態で、繰出しローラ33A・33Bが閉状態となり、正電極シート4が把持された上で、シート切断カッタ34により切断される。同様に、繰出しローラ43A・43Bが閉状態となり、負電極シート5が把持された上で、シート切断カッタ44により切断される。
【0096】
電極シート4,5の切断が終了すると、巻芯13が所定量回転し、セパレータシート2,3と共に両電極シート4,5の終端部分(巻き残し部分)を巻取る。
【0097】
電極シート4,5の終端部分の巻取りが完了すると、セパレータシート2を第1送りチャック14A・14Bにより把持する。同様に、セパレータシート3を第2送りチャック15A・15Bにより把持する。その後、巻芯13に対し図示しない押えローラが接近し、セパレータシート2,3の終端部近傍を押える。
【0098】
この状態でセパレータカッタ16、17が作動し、セパレータシート2,3を切断する。
【0099】
当該切断後、前記押えローラにより、セパレータシート2,3の終端部近傍を押えた状態で巻芯13が回転し、セパレータシート2,3の終端部分を巻取ると共に、セパレータシート2,3の終端部分を固定テープ(図示略)により巻止めする。これにより、各種シート2〜5の捲回作業が完了し、電池素子1が完成する。
【0100】
以降、上述した工程が繰り返し行われ、巻芯13に対し各種シート2〜5が捲回されることにより、電池素子1が順次製造されていくこととなる。
【0101】
次に上述した電池素子1の製造過程において、検査装置18,19によって行われる巻きズレ検査の手順について
図6のフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0102】
図6に示すように、ステップS101において、制御装置90は、回転位置検出手段150からの信号に基づいて、巻芯13がその回転方向における所定の検査位置(検査姿勢)にあるか否かを判定する。すなわち所定の撮像タイミングとなったか否かを判定する。
【0103】
本実施形態においては巻芯13の長径方向が上下方向(
図3の上下方向)を向き、その短径方向が水平方向(
図3の左右方向)を向く位置が検査位置(撮像タイミング)として設定されている。これにより、レンズ136の光軸Hと、撮像箇所となる巻芯13の外周部の周方向所定部位Jにおける接線Mとが直交した状態となる。
【0104】
ステップS101において、巻芯13が検査位置にないと判定された場合には、再びステップS101に戻り、巻芯13が検査位置にあると判定されるまで、当該ステップS101を繰り返し行う。
【0105】
ステップS101において、巻芯13が検査位置にあると判定された場合には、ステップS102において、検査装置18,19(正極側第1検査装置18A、正極側第2検査装置18B、負極側第1検査装置19A、及び負極側第2検査装置19B)の可視光用カメラ133及び赤外光用カメラ134によって、それぞれ対応する検査領域を撮像し、画像データを画像データ記憶手段142に取り込む。
【0106】
これにより巻芯13が180°回転する度に、すなわち巻芯13に対し正電極シート集合体2,4又は電極シート集合体3,5が1回ずつ巻き付けられる度に、可視光照射手段131より可視光が照射された上で第1の検査対象たるセパレータシート2又はセパレータシート3が可視光用カメラ133により撮像され、それとは別に赤外光照射手段132より赤外光が照射された上で第2の検査対象たる正電極シート4又は負電極シート5が赤外光用カメラ134により撮像される。上述のとおり、各可視光用カメラ133では、セパレータシート2又はセパレータシート3が明瞭に撮像されることとなる。また、各赤外光用カメラ134では、赤外光がセパレータシート2又はセパレータシート3を透過することに基づきその直下層の正電極シート4又は負電極シート5が撮像される。尚、本実施形態では、可視光用カメラ133による撮像と、赤外光用カメラ134による撮像とが同時に行われる。
【0107】
続くステップS103では、各検査装置18,19の可視光用カメラ133により撮像された可視光画像データを基に、最上層のセパレータシート2,3に係るエッジ抽出を行う。
【0108】
具体的に、正極側第1検査装置18Aにおいては、正電極シート集合体2,4の電極シートはみ出し側におけるセパレータシート2の側縁部2Rの抽出を行う。
【0109】
正極側第2検査装置18Bにおいては、正電極シート集合体2,4のセパレータシートはみ出し側におけるセパレータシート2の側縁部2Sの抽出を行う。
【0110】
負極側第1検査装置19Aにおいては、負電極シート集合体3,5の電極シートはみ出し側におけるセパレータシート3の側縁部3Rの抽出を行う。
【0111】
負極側第2検査装置19Bにおいては、負電極シート集合体3,5のセパレータシートはみ出し側におけるセパレータシート3の側縁部3Sの抽出を行う。
【0112】
続くステップS104では、各検査装置18,19の赤外光用カメラ134により撮像された赤外光画像データを基に、最上層のセパレータシート2,3の直下層の正電極シート4又は負電極シート5に係るエッジ抽出を行う。
【0113】
具体的には、正極側第1検査装置18Aにおいては、正電極シート4の活物質塗工部4a及び未塗工部4bの境界部4Tの抽出を行う。
【0114】
正極側第2検査装置18Bにおいては、正電極シート集合体2,4のセパレータシートはみ出し側における正電極シート4の側縁部4Sの抽出を行う。
【0115】
負極側第1検査装置19Aにおいては、負電極シート5の活物質塗工部5a及び未塗工部5bの境界部5Tの抽出を行う。
【0116】
負極側第2検査装置19Bにおいては、負電極シート集合体3,5のセパレータシートはみ出し側における負電極シート5の側縁部5Sの抽出を行う。
【0117】
続くステップS105では、上記ステップS103,S104で抽出した値を基に各種距離等の演算が行われる。つまり、巻芯13に巻き付けられた正電極シート集合体2,4及び負電極シート集合体3,5の位置ズレ量等が演算される。
【0118】
具体的には、正極側第1検査装置18Aは、正電極シート集合体2,4の電極シートはみ出し側におけるセパレータシート2の側縁部2Rと、正電極シート4の活物質塗工部4a及び未塗工部4bの境界部4Tとのシート幅方向における距離L1を算出する。
【0119】
正極側第2検査装置18Bは、正電極シート集合体2,4のセパレータシートはみ出し側におけるセパレータシート2の側縁部2Sと、正電極シート4の側縁部4Sとのシート幅方向における距離L2を算出する。
【0120】
負極側第1検査装置19Aは、負電極シート集合体3,5の電極シートはみ出し側におけるセパレータシート3の側縁部3Rと、負電極シート5の活物質塗工部5a及び未塗工部5bの境界部5Tとのシート幅方向における距離L3を算出する。
【0121】
負極側第2検査装置19Bは、負電極シート集合体3,5のセパレータシートはみ出し側におけるセパレータシート3の側縁部3Sと、負電極シート5の側縁部5Sとのシート幅方向における距離L4を算出する。
【0122】
続くステップS106では、上記ステップS105で算出した距離L1〜L4を基に、当該距離L1〜L4が予め設定された許容範囲(事前に入力手段145により入力設定される値)にあるか否かを判定する。
【0123】
ここで距離L1〜L4のいずれかが許容範囲にないと判定された場合、すなわち巻きズレが発生していると判定された場合には、ステップS107において、不良発生と判断し、その時点で電池素子1の捲回作業を一旦停止する。そして、この捲回途中の電池素子1を所定の不良品排出機構へと振り分ける。
【0124】
一方、ステップS106において、距離L1〜L4のいずれもが許容範囲にあると判定された場合には、ステップS108において、予め定められた数の捲回動作が終了したか否かが判定される。そして、捲回動作が未だ終了していない場合には、ステップS101に戻り、上記一連の作業を繰り返す。これに対し、捲回動作が終了した場合には、ステップS109において、電池素子1が良品と判断され、正規のラインへと送り出される。
【0125】
以上詳述したように、本実施形態によれば、電池素子1の製造中において、巻芯13が180°回転する度に、検査装置18,19の可視光照射手段131より可視光が照射された上で第1の検査対象たるセパレータシート2又はセパレータシート3が可視光用カメラ133により撮像されると共に、赤外光照射手段132より赤外光が照射された上で第2の検査対象たる正電極シート4又は負電極シート5が赤外光用カメラ134により撮像される。そして、各カメラ133,134により撮像された画像データを基に、各種シート2〜5の巻きズレ検査が行われる。
【0126】
このように、本実施形態では、巻芯13に巻き付けられた後段階の各種シート2〜5を検査しているため、電池素子1の捲回完了後に別途、X線検査装置を用いずとも、X線検査装置を用いた場合と同様の検査精度を得ることができる。
【0127】
ひいては、電池素子1の製造中に、各種シート2〜5の位置ズレが検出された時点で、速やかに製造を中止するなどの措置を講ずることができるため、不良品の発生を未然に防ぎ、各種シート2〜5の浪費を防止することができる。
【0128】
また、本実施形態では、正極側検査装置18(正極側第1検査装置18A、正極側第2検査装置18B)と、負極側検査装置19(負極側第1検査装置19A、負極側第2検査装置19Bとが、巻芯13の回転方向に180°間隔で設けられている。これにより、正電極シート側の検査と、負電極シート側の検査を同時に行うことができ、検査効率の向上を図ることができる。
【0129】
さらに、本実施形態では、シート幅方向一方側に対応して、正極側第1検査装置18A(負極側第1検査装置19A)が設けられ、シート幅方向他方側に対応して、正極側第2検査装置18B(負極側第2検査装置19B)が設けられた構成となっている。これにより、シート幅方向全体を1つの検査装置(1組の照射手段及び撮像手段)で検査する場合に比べ、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0130】
加えて、本実施形態では、検査装置18,19が、巻芯13の中心軸13aの高さ位置に対応して設けられると共に、巻芯13の径方向に沿って巻芯13の外周面側(中心軸13aの方向)を向くように配置されている。また、巻芯13の長径方向が上下方向を向き、その短径方向が水平方向を向く位置が検査位置(撮像タイミング)として設定され、レンズ136の光軸Hと、撮像箇所となる巻芯13の外周部の周方向所定部位Jにおける接線Mとが直交した状態で撮像(検査)が行われる構成となっている。これにより、巻芯13の外周部の周方向所定部位Jに巻き付けられた各種シート2〜5を撮像するにあたり、巻芯13の周方向に対しより広範囲でピントを合わせることができ、検査精度の向上を図ることができる。
【0131】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0132】
(a)上記実施形態では、捲回装置10及び検査装置18,19によって、リチウムイオン電池の電池素子1の製造及び検査が行われているが、製造及び検査対象とされる捲回素子はこれに限定されるものではなく、例えばキャパシタや電解コンデンサの捲回素子等の製造及び検査を行うこととしてもよい。
【0133】
(b)電極シート4,5及びセパレータシート2,3の構成や材質等は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0134】
例えば上記実施形態では、活物質塗工部4a,5aがシート長手方向全域に形成された連続塗工形態の電極シート4,5を捲回する構成となっているが、これに限らず、例えばシート長手方向に沿って間欠的に活物質塗工部が形成された間欠塗工形態の電極シートを採用してもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、セパレータシート2,3をPPにより形成することとしているが、他の絶縁性材料によってセパレータシート2,3を形成することとしてもよい。例えばセパレータシート2,3が比較的薄めで透過性の高いものであれば、赤外光を用いることなく、可視光のみでも最上層のセパレータシート2(3)及びその直下の電極シート4(5)を撮像することも可能となる。
【0136】
(c)上記実施形態では、巻芯13として、各種シート2〜5が捲回される外周形状(回転軸Kの直交方向における断面形状)が略楕円形状の巻芯を採用しているが、巻芯13の形状はこれに限定されるものではなく、例えば外周形状(断面形状)が円形状、長円形状、長方形状等となる巻芯を採用してもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、巻芯コアを有しないタイプの電池素子1を得る場合について具体化されているが、電池素子1が巻芯コアを具備する場合について具体化してもよい。つまり、巻芯コアを巻芯13に取着し、当該巻芯コアの周囲に各種シート2〜5を捲回する構成としてもよい。
【0138】
(d)捲回装置10の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、シート供給機構31,41,51,61から個別に搬送される各種シート2〜5を一旦、一対のニップローラ71A・71B,81A・81Bにより挟持し重ね合わせた状態で捲回部11へ供給するニップローラ方式を採用しているが、これに限らず、各種シート2〜5を事前に重ね合わせることなく、それぞれチャック等により把持して直接、捲回部11へ供給する構成としてもよい。
【0139】
また、捲回部11の構成も上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、回転可能に設けられた円盤状のターレットと、当該ターレットの回転方向に所定間隔(例えば120°間隔)で設けられた複数の巻芯とを備え、ターレットが回転することにより、複数の巻芯が第1ポジションや第2ポジションへと順次移動し、各ポジションにて、各種シート2〜5の捲回作業や、各種シート2〜5の巻き残し部分の巻取り作業、巻止めテープによる巻止め作業などの各種作業を同時期に行うことができる構成としてもよい。
【0140】
また、上記実施形態では、特に言及していないが、検査装置18,19の検査結果をフィードバックする構成としてもよい。例えば検査装置18,19の検査結果を基に、シート供給機構31,41,51,61において、各種シート2〜5の幅方向への位置ズレを補正する構成としてもよい。
【0141】
(e)上記実施形態では、正極側検査装置18(正極側第1検査装置18A、正極側第2検査装置18B)と、負極側検査装置19(負極側第1検査装置19A、負極側第2検査装置19Bとが、巻芯13の回転方向に180°間隔で設けられている。
【0142】
これに限らず、シート供給機構31,41,51,61から捲回部11への各種シート2〜5の供給形態(供給位置)等によっては、正極側検査装置18と負極側検査装置19を、巻芯13の回転方向に例えば90°間隔をあけて設け、正電極シート側の検査と、負電極シート側の検査とをそれぞれ異なるタイミングで行う構成としてもよい。
【0143】
また、上記実施形態では、巻芯13が180°回転する度に、各種シート2〜5の巻きズレ判定が行われる構成となっているが、これに限らず、例えば巻芯13が360°回転する度に各種シート2〜5の巻きズレ判定を行う構成としてもよい。
【0144】
(f)上記実施形態では、シート幅方向一方側に対応して、正極側第1検査装置18A(負極側第1検査装置19A)が設けられ、シート幅方向他方側に対応して、正極側第2検査装置18B(負極側第2検査装置19B)が設けられた構成となっている。
【0145】
これに限らず、シート幅方向全体を1つの検査装置(1組の照射手段及び撮像手段)で検査する構成としてもよい。
【0146】
(g)上記実施形態では、検査装置18,19が、巻芯13の中心軸13aの高さ位置に対応して設けられると共に、巻芯13の径方向に沿って巻芯13の外周面側(中心軸13aの方向)を向くように配置されている。また、巻芯13の長径方向が上下方向を向き、その短径方向が水平方向を向く位置が検査位置(撮像タイミング)として設定され、レンズ136の光軸Hと、撮像箇所となる巻芯13の外周部の周方向所定部位Jにおける接線Mとが直交した状態で撮像(検査)が行われる構成となっている。
【0147】
これに限らず、検査装置18,19は、少なくとも検査対象となるシート2〜5が巻芯13等に密着した部分と、密着していない部分との境界部分、又は、それよりも密着部分側に検査領域を設定可能な位置に配置されていればよい。
【0148】
従って、検査装置18,19は、必ずしも巻芯13の中心軸13aの高さ位置に対応して設けられる必要もなく、巻芯13の径方向に沿って巻芯13の外周面側(中心軸13aの方向)を向くように配置されている必要もない。但し、レンズ136の光軸Hと、撮像箇所(検査部位)となる巻芯13の外周部の周方向所定部位における接線とが直交した状態で撮像(検査)が行われることが、検査精度の向上を図る上では好ましい。
【0149】
(h)上記実施形態では、巻芯13に巻き付けられた正電極シート集合体2,4及び負電極シート集合体3,5の巻きズレ検査を行うにあたり、正電極シート集合体2,4の電極シートはみ出し側におけるセパレータシート2の側縁部2Rと、正電極シート4の活物質塗工部4a及び未塗工部4bの境界部4Tとのシート幅方向における距離L1、正電極シート集合体2,4のセパレータシートはみ出し側におけるセパレータシート2の側縁部2Sと、正電極シート4の側縁部4Sとのシート幅方向における距離L2、負電極シート集合体3,5の電極シートはみ出し側におけるセパレータシート3の側縁部3Rと、負電極シート5の活物質塗工部5a及び未塗工部5bの境界部5Tとのシート幅方向における距離L3、負電極シート集合体3,5のセパレータシートはみ出し側におけるセパレータシート3の側縁部3Sと、負電極シート5の側縁部5Sとのシート幅方向における距離L4を算出し、当該距離L1〜L4が予め設定された許容範囲にあるか否かを判定する構成となっている。
【0150】
これに限らず、例えば正電極シート集合体2,4の電極シートはみ出し側におけるセパレータシート2の側縁部2Rと、正電極シート4の側縁部とのシート幅方向における距離などを算出し、巻きズレ検査を行う構成としてもよい。
【0151】
また、正電極シート4と負電極シート5の相対位置関係から巻きズレを判定する構成としてもよいし、所定の基準位置に対する各種シート2〜5の位置関係から巻きズレを判定する構成としてもよい。
【0152】
(i)上記実施形態では、特に言及しなかったが、巻芯13に対する検査装置18,19の位置を例えば
図3の左右方向に変更可能な構成としてもよい。上記実施形態では、巻芯13に対し各種シート2〜5が所定量巻き付けられる毎に、検査対象となる各種シート2〜5と検査装置18,19との距離が徐々に短くなっていくため、ピントなどが合いにくくなるおそれがある。この点、上記構成することで、より適正な照射及び撮像を行うことができ、検査精度のさらなる向上を図ることができる。