特許第6246685号(P6246685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6246685静電チャック機構、基板処理方法及び半導体基板処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246685
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】静電チャック機構、基板処理方法及び半導体基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20171204BHJP
   B23Q 3/15 20060101ALN20171204BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   !B23Q3/15 D
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-187028(P2014-187028)
(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公開番号】特開2016-62920(P2016-62920A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩秋
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−530636(JP,A)
【文献】 特開平07−249586(JP,A)
【文献】 特開2000−031253(JP,A)
【文献】 特開2002−217180(JP,A)
【文献】 特開平07−231034(JP,A)
【文献】 特開2008−021945(JP,A)
【文献】 特開2012−119431(JP,A)
【文献】 特開2007−329247(JP,A)
【文献】 特開昭53−104162(JP,A)
【文献】 特開2003−128499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B23Q 3/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を吸着する静電チャック機構において、
平板状のステージと、
このステージに設けられ、静電気力を生じさせる電極と、
前記ステージに設けられ、ステージ上面にガスを供給して前記半導体基板の下面の温度調整を行うガス供給部と、
記ガスの温度調整を行う温度調整部と、
前記ステージに設けられ、前記半導体基板を上下動させる基板上下動機構とを具備し、
前記温度調整部は、前記ガスの温度を、前記半導体基板の吸着前に前記半導体基板の歪みを矯正する温度に調整し、前記ガス供給部から供給される前記調整されたガスによって、前記半導体基板の歪みを矯正することを特徴とする静電チャック機構。
【請求項2】
前記温度調整部は、前記半導体基板が前記ステージから離間している場合と、前記半導体基板が前記ステージに吸着されている場合とで前記ガスの温度を変更するものであることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック機構。
【請求項3】
前記半導体基板の一方の面には樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック機構。
【請求項4】
前記ステージ上面に供給された前記ガスの温度を計測する温度センサが、前記基板上下動機構の前記半導体基板を下面において支持する部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック機構。
【請求項5】
半導体基板を処理する処理方法において、
平板状のステージ上に前記半導体基板を載置し、
前記半導体基板の吸着に前記ステージと前記半導体基板との間に前記半導体基板の歪みを矯正するガスの温度に温度調整されたガスを供給することによって、前記半導体基板の歪みを矯正し、
前記ステージに静電気力を生じさせ、前記半導体基板を前記ステージ上に吸着し、
前記ステージに吸着された前記半導体基板に所定の処理を行う基板処理方法。
【請求項6】
前記半導体基板の一方の面には樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記ステージ上面に供給された前記ガスの温度を計測することを特徴とする請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項8】
半導体基板に処理を行う半導体処理装置において、
前記半導体基板に処理をするための処理容器と、
前記処理容器内で半導体処理を行うための半導体処理部と、
前記処理容器内に設けられた平板状のステージと、
このステージに設けられ、静電気力を生じさせる電極と、
前記ステージに設けられ、ステージ上面にガスを供給するガス供給部と、
記ガスの温度調整を行う温度調整部と、
前記ステージに設けられ、前記半導体基板を上下動させる基板上下動機構とを具備し、
前記温度調整部は、前記ガスの温度を、前記半導体基板の吸着前に前記半導体基板の歪みを矯正する温度に調整し、前記ガス供給部から供給される前記調整されたガスによって、前記半導体基板の歪みを矯正することを特徴とする半導体基板処理装置。
【請求項9】
前記半導体基板の一方の面には樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項に記載の半導体基板処理装置。
【請求項10】
前記ステージ上面に供給された前記ガスの温度を計測する温度センサが、前記基板上下動機構の前記半導体基板の下面において支持する部分に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の半導体基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、静電チャック機構、処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板にエッチング加工等の各種処理を行うための処理装置において、半導体基板を静電力を利用して吸着する静電チャック機構が知られている(特許文献1〜3参照。)。静電チャック機構は、例えば、平板状のステージ内部に電極が設けられ、静電気力を発生させ、半導体基板の下面を吸着する。
【0003】
半導体基板は、樹脂が積層されていると、処理室内の温度によっては凸状又は凹状に湾曲変形する場合がある。このような状態でステージ上に載置された場合であっても、電極に通電すれば半導体基板の下面全体が吸着されるので、湾曲した状態から平らな状態に半導体基板が矯正される。
【0004】
半導体基板は、凹状に湾曲している場合、ステージ上に載置され、電極に通電すると、半導体基板の周縁部が先に静電吸着されて固定されるので、その後、半導体基板の中央部が吸着されると、中央部にクラックが入る虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−253352号公報
【特許文献2】特開2012−099825号公報
【特許文献3】特開2003−133401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
湾曲した半導体基板を吸着しようとすると、湾曲が大きいと静電気力が不足して正常に吸着できない虞があった。このため、吸着前に湾曲を矯正することが必要とされてきている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の半導体基板を吸着する静電チャック機構は、平板状のステージと、このステージに設けられ、静電気力を生じさせる電極と、前記ステージに設けられ、ステージ上面にガスを供給するガス供給部と、前記ガスの温度調整を行う温度調整部と、前記ステージに設けられ、前記半導体基板を上下動させる基板上下動機構とを具備し、前記温度調整部は、前記ガスの温度を、前記半導体基板の吸着前に前記半導体基板の歪みを矯正する温度に調整し、前記ガス供給部から供給される前記調整されたガスによって、前記半導体基板の歪みを矯正する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態に係る静電チャック機構が組み込まれた半導体基板処理装置を示す説明図。
図2】同静電チャック機構の動作を示す説明図。
図3】同静電チャック機構の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は第1の実施の形態に係る静電チャック機構30が組み込まれた半導体基板処理装置10を示す説明図、図2は静電チャック機構30を示す説明図である。なお、図中Wは半導体基板を示している。半導体基板Wは、下面側に例えば樹脂層が成膜されている。
【0010】
半導体基板処理装置10は、処理ガス供給装置や排気装置等に接続されたチャンバ11を備えている。このチャンバ11内には、天井部側に設けられ、半導体基板Wの成膜処理やエッチング処理等を行う処理装置20と、この処理装置20に対向配置され半導体基板Wを保持する静電チャック機構30とが設けられている。
【0011】
静電チャック機構30は、例えば、セラミックやアルミナなどの絶縁体からなるステージ31と、このステージ31内部に設けられ、例えば、(+)電圧を印加して半導体基板Wを吸着する電極32と、この電極32に数百ボルト〜数千ボルト程度の電圧で電力を供給する電源33と、半導体基板Wを上下動させるための半導体基板上下動機構34と、ステージ13上の半導体基板Wの温度調整を行う温度調整部40とを備えている。
【0012】
ステージ31上には、後述する開口部42cと連通した複数の溝31aが形成され、半導体基板Wの保持後に、半導体基板Wの下面側に下ヘリウムガスが供給される。
【0013】
半導体基板上下動機構34は、半導体基板Wの下面側に突き当たるポール34aと、このポール34aを上下動させるピストン機構34bとを備えている。ポール34aの先端等には、半導体基板Wの温度を検出する温度センサ34cが設けられている。
【0014】
温度調整部40は、ヘリウムガス(不活性ガス)をステージ31の上面側に導入する供給路41と、供給路41に設けられ、ヘリウムガスの導入量を検出するガス圧力制御部42と、供給路41内の圧力を測定する圧力センサ43と、この圧力センサ43の値に基づいてガス圧力制御部42を制御する調整器44と、供給路41内の温度を測定する温度センサ45と、この温度センサ45の値に基づいて温度調整を行う温調器46とを備えている。温調器46には、供給路41内部に設けられたヒータ40a及びペルチェ素子40bが接続され、開口部41cによりステージ31の下面側に露出している。ガス圧力制御部42には温度センサ34cからの出力が入力され、フィードバック制御が行われる。
【0015】
このように構成された静電チャック機構30を有する半導体基板処理装置10では、次のようにして半導体基板Wの吸着及び処理を行う。すなわち、半導体基板Wがチャンバ11内に導入され、ステージ31上に載置される。半導体基板Wは、図1に示すように、前プロセスの影響により、湾曲変形している。そこで、温度調整されたヘリウムガスを供給する。半導体基板Wの湾曲度合いは温度で決まるので、ヘリウムガスの温度は半導体基板Wの湾曲が解消される温度とする。
【0016】
次に、図2に示すように半導体基板Wの湾曲が解消されたら、半導体基板上下動機構34を動作させ、下方向に半導体基板Wを移動させる。半導体基板Wの下面がステージ31に到達したら、電源33によって、例えば、電極32に(+)の電圧を印加する。
【0017】
次に、ヘリウムガスの温度を調整して供給する。この時の温度は、処理に適した温度とし、時間の経過により、半導体基板Wの温度分布が解消され、処理の効率が一定となる。なお、供給されたヘリウムガスは排気装置等により外部に排出され、以降の処理には影響しない。
【0018】
次に、処理装置20を動作させ、成膜処理やエッチング処理等の所定の処理を行う。所定の処理が完了したら、電極32への電力供給を停止し、半導体基板上下動機構34により、半導体基板34をステージ31から離間させる。そして、次工程へ移動させる。
【0019】
このように静電チャック機構30が組み込まれた半導体処理装置10によれば、半導体基板Wが雰囲気温度等の影響で湾曲変形している場合であっても、温度調整されたヘリウムガスを供給することで、半導体基板Wの湾曲変形を解消させることができ、電極32と半導体基板Wとが大きく離れた場所があっても静電気力を作用させることができ、処理プロセスの停止を生じさせることがない。
【0020】
なお、この例では、上に凸に湾曲変形した半導体基板Wを例示したが、前プロセスの温度条件、チャンバ11内の雰囲気温度、半導体基板Wに積層された材料等によって、湾曲方向や湾曲度合いが変わるため、その条件に応じたヘリウムガスを供給すれば同様にして処理を行うことができる。また、半導体基板Wの湾曲度合いを半導体基板Wの温度から算出するのではなく、距離計や画像処理を用いて算出してもよい。
【0021】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示され
ている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実
施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実
施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]半導体基板を吸着する静電チャック機構において、平板状のステージと、このステージに設けられ、静電気力を生じさせる電極と、前記ステージに設けられ、ステージ上面にガスを供給して前記半導体基板の下面の温度調整を行うガス供給部と、前記半導体基板の吸着時に前記ガスの温度調整を行う温度調整部と、前記ステージに設けられ、前記半導体基板を上下動させる基板上下動機構とを備えている静電チャック機構。
[2]前記温度調整部は、前記半導体基板が前記ステージから離間している場合と、前記半導体基板が前記ステージに吸着されている場合とで前記ガスの温度を変更するものである[1]に記載の静電チャック機構。
[3]前記半導体基板の一方の面には樹脂層が形成されている[1]に記載の静電チャック機構。
[4]半導体基板を処理する処理方法において、平板状のステージ上に前記半導体基板を載置し、前記半導体基板の吸着時に前記ステージと前記半導体基板との間に温度調整されたガスを供給し、前記ステージに静電気力を生じさせ、前記半導体基板を前記ステージ上に吸着し、前記ステージに吸着された前記半導体基板に所定の処理を行う基板処理方法。
[5]前記半導体基板の一方の面には樹脂層が形成されている[4]に記載の基板処理方法。
[6]半導体基板に処理を行う半導体処理装置において、前記半導体基板に処理をするための処理容器と、前記処理容器内で半導体処理を行うための半導体処理部と、前記処理容器内に設けられた平板状のステージと、このステージに設けられ、静電気力を生じさせる電極と、前記ステージに設けられ、ステージ上面にガスを供給するガス供給部と、前記半導体基板の吸着時に前記ガスの温度調整を行う温度調整部と、前記ステージに設けられ、前記半導体基板を上下動させる基板上下動機構とを備えていることを特徴とする半導体基板処理装置。
[7]前記半導体基板の一方の面には樹脂層が形成されている[6]に記載の半導体基板処理装置。
【符号の説明】
【0022】
10…半導体基板処理装置、11…チャンバ、20…処理装置、30…静電チャック機構、31…ステージ、32…電極、33…電源、34…半導体基板上下動機構、40…温度調整部、41…ガス供給路、42…ガス圧力制御部、42a…ヒータ、42b…ペルチェ素子、W…半導体基板。
図1
図2
図3