(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246687
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】照明付き掛け時計
(51)【国際特許分類】
G04B 19/30 20060101AFI20171204BHJP
G04B 37/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
G04B19/30 P
G04B19/30 E
G04B37/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-189056(P2014-189056)
(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2016-61639(P2016-61639A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム時計工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082784
【弁理士】
【氏名又は名称】森 正澄
(72)【発明者】
【氏名】西 清和
【審査官】
榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−107987(JP,U)
【文献】
特開平09−015348(JP,A)
【文献】
米国特許第06366539(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/30
G04B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計周縁部の見返し部分にLEDを時計中心部に向けて配置し、LEDにより指針や文字板を照明する照明付き掛け時計において、
前板とこの前板の外周にリング状胴部を当該前板に連続して平面状に一体に形成して時計筐体を構成し、
前記前板は、背面側へ突設される時計機械体などの収納部を一体的に凹設し、
前記リング状胴部の内周側には前記前板と略直交する方向に顎部を一体的に突設し、更に前記リング状胴部4は、前記LEDを配置する箇所に、当該胴部を時計の前後方向に押し切り形成される通孔を設け、
前記収納部には、少なくともムーブメント、電池及びLED作動用の回路部を収納し、
前記リング状胴部の前記通孔の箇所には前記LEDを配置し、
前記LEDと前記回路部を導通するワイヤを、前記通孔を挿通して配線し、
前記前板の正面側には文字板、指針、前面ガラス及び外周枠を装着するとともに、前記前面ガラスは前記外周枠と前記鍔部とで挟持されることを特徴とする照明付き掛け時計。
【請求項2】
前記請求項1において、前記収納部は、上下方向に細長く形成され、この収納部の上部に掛け穴が形成されるとともに、上部及び下部に各2箇所、背面側へ突出する突部を設けていることを特徴とする照明付き掛け時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計の指針や文字板が照明される照明付き掛け時計に関する。
【背景技術】
【0002】
照明付き時計として、LEDなどの発光体を時計の指針軸内に装着するもの(特許文献1)、文字板の背後に発光体を設けるもの(特許文献2)、文字板の外周の適所に発光体を設けるもの(特許文献3)などが知られている。
【0003】
これらのうち、時計周縁部の見返し部分にLEDを配置し、このLEDからの光を時計中心部に向けて照射して、指針や文字板を照明する照明付き掛け時計が、照明効率において良好であることが知られている。
【0004】
時計周縁部の見返し部分にLEDを配置する照明付き掛け時計は、光スイッチとして例えばトランジスタセンサを備え、周囲が暗くなるとトランジスタセンサがオンして、LEDが発光し、指針や文字板を照明するように構成されている。
【0005】
また、LEDを装着する場合の時計の筐体パーツとしては、ガラスを備えたフロントフレームと、見返しを兼ねたフロントケースが配置される。フロントケースには文字板が装着され、このフロントケースの見返し部分に、LEDを直接、或いはLEDに透明な拡散板を設けて装着し、そしてフロントケースの背後から比較的大きなバックケースを取付けて、LED部分を隠すように構成されているのが一般的である。
【0006】
尚、ムーブメントや電池、回路基板などは、フロントケースの背面側において当該フロントケース或いはバックケースに取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2572076号公報
【特許文献2】特開2006−275703号公報
【特許文献3】特許第3631081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、この種の照明付き時計においては、LED点灯照射による点灯機能を保持するためには、フロントケースとバックケースの2部品を要するものである。従来より、掛け時計のような比較的大型の照明付き時計において、部品点数の低減化が望まれており、照明付き掛け時計の場合も同様である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、LEDを備えた照明付き時計において、LED点灯照射による点灯機能を保持するにつき、上記2部品を1部品とすることが可能な照明付き掛け時計を提案するものである。
【0010】
そして、上述した2部品を1部品とした場合に、LEDは当該1部品の正面側の見返し部分に設けられることとなるが、そうすると電池や回路基板との関係上、ケーブルをどのようにして当該1部品の背面側へ引きまわすのかの問題が生じ得る。本発明は、このLEDケーブルの引きまわしに関する問題についても、合理的な構造を採用することにより、解決することが可能な照明付き掛け時計を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願第1請求項に記載した発明は、実施例で用いた符号を付して記すと、時計周縁部の見返し部分にLED6を時計中心部に向けて配置し、LED6により指針11や文字板10を照明する照明付き掛け時計1において、
前板3とこの前板の外周にリング状胴部4を
当該前板に連続して平面状に一体に形成して時計筐体2を構成し、
前板3は、背面側へ突設される時計機械体などの収納部5を
一体的に凹設し、
リング状胴部4の内周側には前板3と略直交する方向に顎部14を一体的に突設し、更にリング状胴部4は、LED6を配置する箇所に、当該胴部を
時計の前後方向に押し切り形成される通孔4aを設け、
収納部5には、少なくともムーブメントM、電池7及びLED作動用の回路部8を収納し、
リング状胴部4の通孔4aの箇所にはLED6を配置し、
LED6と回路部8を導通するワイヤ9を、通孔4aを挿通して配線し、
前板3の正面側には文字板10、指針11、前面ガラス12及び外周枠13を装着
するとともに、前面ガラス12は外周枠13と鍔部14とで挟持されることを特徴とする照明付き掛け時計である。
【0012】
本願第2請求項に記載した発明は、請求項1において、収納部5は、上下方向に細長く形成され、この収納部5の上部に掛け穴5aが形成されるとともに、上部及び下部に各2箇所、背面側へ突出する突部5b,5bを設けていることを特徴とする照明付き掛け時計である。
【発明の効果】
【0013】
本願第1請求項に記載した発明において、収納部5には、少なくともムーブメント6、電池7及びLED作動用の回路部8が収納されて、その正面側には文字板10が装着される。リング状胴部4には、押し切り形成にて通孔4aが設けられるので、この部位にLED6が配置されるとともに、当該通孔4aにLED6のワイヤ9が挿通されて配線される。このようにして、従来のように別途に設けられていたバックケースを必要としないから、時計筐体2は1部品で形成されて、部品点数を低減化することが可能となる。
【0014】
更に、本発明において、前板3の正面側には文字板10が装着され、その外周のリング状胴部4にLED6が配置されることとなり、LED6のワイヤ9を前板3の背面へ如何にして引きまわすかの点についても、リング状胴部4に通孔4aが設けられているので、この通孔4aにLED6のワイヤ9を挿通させることにより、ワイヤ9の合理的な引きまわし構造を実現することができるものである。
【0015】
本願第2請求項に記載した発明において、収納部5は、上下方向に細長く形成されるので、本願の掛け時計1を例えば柱などの比較的横幅の小さい個所に安定的に掛け止め設置することができる。とりわけ、本願の掛け時計1を和室に用いる場合に、和室用の細い柱にも安定的に設置することができる。
【0016】
また、上部及び下部の各2箇所に、背面側へ突出する突部5bを設けているので、これらの突部5bが柱や壁面などの設置面に当接して、収納部5と当該設置面との間に空隙を設けることができる。これにより両者が面接触して、経時的な現象として生じ得る接着などの不都合を回避することが可能となる。更に、上部2箇所と下部2箇所の間隔をある程度大きく設けることにより、本願の掛け時計を安定的に設置することもできる。
【0017】
このように、本願発明によれば、時計筐体は1部品で形成されて、部品点数を低減化することができ、また、このように1部品で形成されても、リング状胴部に通孔が設けられているので、LEDのワイヤの合理的な引きまわし構造を実現することができるなどの顕著な作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例に係り、照明付き掛け時計の正面図である。
【
図2】本発明の実施例に係り、照明付き掛け時計の背面図である。
【
図3】本発明の実施例に係り、照明付き掛け時計の側面図である。
【
図4】本発明の実施例に係り、照明付き掛け時計の縦断側面図である。
【
図5】本発明の実施例に係り、照明付き掛け時計の横断平面図である。
【
図6】本発明の実施例に係り、照明付き掛け時計を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施例に係り、
図6のリング状胴部における通孔の箇所を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本例の掛け時計1は、時計周縁部の見返し部分にLED6を時計中心部に向けて配置し、LED6により指針11や文字板10を照明する照明付き掛け時計である。
【0020】
更に、掛け時計1は、前板3とこの前板の外周にリング状胴部4を一体に形成して時計筐体2を構成している。
【0021】
時計筐体2の前板3は、背面側へ突設される、時計機械体などの収納部5を一体に備える。この収納部5には、少なくともムーブメントM、電池7及びLED作動用の回路部8を収納する。
【0022】
そして、前板3の正面側には文字板10、指針11、前面ガラス12及び外周枠13を装着する。尚、符号14は円環状の鍔部で、前板3のリング状胴部4内周側に一体に形成される。
【0023】
また、リング状胴部4は、時計周縁部の見返し部分を構成するもので、ここにLED6を設ける。そして、LED6を配置する箇所に、当該胴部を前後方向に押し切り形成される通孔4aを設ける。つまり、リング状胴部4の通孔4aの箇所にLED6を配置する。尚、6aは、透明な拡散板であり、LED光を拡散する。本例では、拡散板6aを設けたLED6を、時計の12時と6時に対応する個所に配置している。
【0024】
上記のように、前板3の正面側には文字板10が装着され、この文字板10の外周側のリング状胴部4にLED6が設けられる。従って、LED6のワイヤ9を、文字板10で隔てられた収納部5の、LED作動用の回路部8に如何に引きまわすかに工夫を要することになる。この点、本例では、LED6と回路部8を導通するワイヤ9を、通孔4aを挿通して配線することにより、実施可能としている。
【0025】
本例では、リング状胴部4に押し切り形成にて通孔4aが設けられるので、この部位にLED6が配置されて、当該通孔4aにLED6のワイヤ9が挿通されて配線される。このようにして、従来別途に設けられていたバックケースを必要としないから、つまり前述したように、時計筐体2は1部品で形成されて、部品点数を低減化することが可能となる。更に、通孔4aにLED6のワイヤ9を挿通させることにより、ワイヤ9の合理的な引きまわし構造を実現することができることになる。
【0026】
また、収納部5は、上下方向に細長く形成され、この収納部5の上部に掛け穴5aが形成されるとともに、上部及び下部に各2箇所、背面側へ突出する突部5b,5bを設けている。
【0027】
収納部5は、上下方向に細長く形成されるので、掛け時計1を例えば柱などの比較的横幅の小さい個所に安定的に掛け止め設置することができる。一般に、和室用の柱は細いものが多くあり、よって掛け時計1を和室に用いる場合に、和室用の細い柱にも安定的に設置することができる。
【0028】
また、上部及び下部の各2箇所に、背面側へ突出する突部5bを設けていると、これらの突部5bが柱や壁面などの設置面に当接して、収納部5と当該設置面との間に空隙を設けることができる。これにより両者が面接触して、経時的な現象として生じ得る接着などの不都合を回避することが可能となる。更に、上部2箇所と下部2箇所との間隔をある程度大きく設けることにより、本願の掛け時計を安定的に設置することもできる。
【0029】
以上のように、本例の掛け時計1によれば、時計筐体は1部品で形成されて、部品点数を低減化することができ、また、このように1部品で形成されても、リング状胴部に通孔が設けられているので、LEDのワイヤの合理的な引きまわし構造を実現することができるなどの優れた利点を有するものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の照明付き掛け時計は、部品点数の低減化に優れたものであり、壁掛け時計、和室用の掛け時計として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 掛け時計
2 時計筐体
3 前板
4 リング状胴部
4a 通孔
5 収納部
5a 掛け穴
5b 突部
6 LED
6a 拡散板
7 電池
8 回路部
9 ワイヤ
10 文字板
11 指針
12 前面ガラス
13 外周枠
14 鍔部
M ムーブメント