特許第6246716号(P6246716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6246716NG部品表示方法およびNG部品表示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246716
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】NG部品表示方法およびNG部品表示システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20171204BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H05K13/08 D
   G06T1/00 305B
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-532596(P2014-532596)
(86)(22)【出願日】2012年8月27日
(86)【国際出願番号】JP2012071601
(87)【国際公開番号】WO2014033815
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】野澤 辰次
【審査官】 川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−223507(JP,A)
【文献】 特開昭60−140106(JP,A)
【文献】 特開平07−063816(JP,A)
【文献】 特開平03−131985(JP,A)
【文献】 特開昭63−090707(JP,A)
【文献】 特開昭62−190448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
G06T 1/00
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方向検査に使用可能な特徴部を有し基板外観検査で不合格と判定された電子部品の画像と、該電子部品に対応し該電子部品の理想位置に該電子部品の該画像と等倍率で配置される部品形状枠と、該特徴部に対応し、本来該特徴部が配置されるべき基板上の理想位置に配置された特徴部強調部と、を画面に重ね合わせて表示するNG部品表示方法。
【請求項2】
前記部品形状枠および前記特徴部強調部は、前記基板外観検査において前記電子部品の検査基準として用いられる部品データを基に描画される請求項1に記載のNG部品表示方法。
【請求項3】
前記特徴部強調部は、前記特徴部の外形線よりも一回り大きい枠で描画される請求項1または請求項2に記載のNG部品表示方法。
【請求項4】
前記基板外観検査で不合格と判定された前記電子部品の前記画像と、前記部品形状枠と、前記特徴部強調部と、不合格理由と、を前記画面に同時に表示する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のNG部品表示方法。
【請求項5】
方向検査に使用可能な特徴部を有し基板外観検査で不合格と判定された電子部品の画像と、該電子部品に対応し該電子部品の理想位置に該電子部品の該画像と等倍率で配置される部品形状枠と、該特徴部に対応し、本来該特徴部が配置されるべき基板上の理想位置に配置された特徴部強調部と、を重ね合わせて表示する画面を備えるNG部品表示システム。
【請求項6】
前記基板外観検査において前記電子部品の検査基準として用いられる部品データを格納する記憶部を備え、
前記部品形状枠および前記特徴部強調部は、該部品データを基に描画される請求項5に記載のNG部品表示システム。
【請求項7】
前記特徴部強調部は、前記特徴部の外形線よりも一回り大きい枠で描画される請求項5または請求項6に記載のNG部品表示システム。
【請求項8】
前記基板外観検査で不合格と判定された前記電子部品の前記画像と、前記部品形状枠と、前記特徴部強調部と、不合格理由と、を前記画面に同時に表示する請求項5ないし請求項7のいずれかに記載のNG部品表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板外観検査で不合格と判定された電子部品を画面上で作業者が確認する際に用いられるNG部品表示方法およびNG部品表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板の生産ラインには、基板外観検査機が配置されている。基板外観検査機は、基板に対する電子部品の装着状態を検査する。例えば、基板上の所定の装着位置(理想位置)に対して実際の装着位置がずれている電子部品や、所定の方向に対して実際の装着方向が回転している電子部品などを見つけた場合、基板外観検査機は、当該電子部品を不合格と判定する。不合格判定された電子部品の画像は、コンピュータの画面に表示される。具体的には、不合格判定された電子部品の画像と、合格判定された電子部品の画像と、が同じ画面に並んで表示される。作業者は、双方の電子部品を見比べて、基板外観検査機の判定の正否を確認する。このようにして、従来は、基板外観検査で不合格と判定された電子部品を、作業者が画面上で確認していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−5358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の確認方法によると、作業者は、二つの電子部品の画像を見比べながら、双方の相違点を抽出する必要がある。このため、作業者が、二つの電子部品の相違点を確認しにくい。
【0005】
また、従来の確認方法によると、作業者の確認作業のために、基板外観検査で合格と判定された電子部品の画像を、制御装置の記憶部に保存しておく必要がある。このため、作業者の確認作業のために、記憶部の記憶領域を使用してしまう。
【0006】
この点、特許文献1には、基板を画面上で作業者が確認する確認方法が開示されている。画面には、実際の基板の画像と、基板の配線パターンの設計図と、が重なって表示される。このため、作業者は、実際の配線パターンと、設計上の配線パターンと、の位置ずれを確認しやすい。
【0007】
しかしながら、特許文献1の確認方法で用いられる基板の配線パターンの設計図には、電子部品に関する情報が含まれていない。このため、同文献記載の確認方法は、基板外観検査で不合格と判定された電子部品を確認する作業に、転用することはできない。
【0008】
そこで、本発明は、理想的な電子部品の装着状態と、基板外観検査で不合格判定された電子部品の装着状態と、の相違点を、作業者が画面上で確認しやすいNG部品表示方法およびNG部品表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するため、本発明のNG部品表示方法は、方向検査に使用可能な特徴部を有し基板外観検査で不合格と判定された電子部品の画像と、該電子部品に対応し該電子部品の理想位置に該電子部品の該画像と等倍率で配置される部品形状枠と、該特徴部に対応し該特徴部の理想位置を強調する特徴部強調部と、を画面に重ね合わせて表示することを特徴とする。
【0010】
本発明のNG部品表示方法によると、不合格判定された電子部品の画像と、理想位置(本来、電子部品が配置されるべき基板上の位置)に配置された部品形状枠と、を等倍率で画面に重畳的に表示することができる。このため、理想位置に対して実際の電子部品の装着位置がずれている場合(電子部品の位置ずれが発生している場合)、作業者が画面上で確認しやすい。
【0011】
また、本発明のNG部品表示方法によると、不合格判定された電子部品の特徴部と、理想位置(本来、特徴部が配置されるべき基板上の位置)を強調する特徴部強調部と、を画面に重畳的に表示することができる。このため、理想位置に対して実際の特徴部の位置がずれている場合(電子部品の方向ずれが発生している場合)、作業者が画面上で確認しやすい。
【0012】
特に、電子部品の形状が、上方から見て、電子部品の図形重心を中心に、点対称の形状(例えば、長方形、正多角形(正三角形、正四角形、正五角形など)、円形など)を呈している場合がある。この場合、理想的な装着状態の電子部品と、理想的な装着状態に対して所定角度だけ回転して装着された電子部品と、で電子部品の外形が略等しくなる場合がある。例えば、正方形の電子部品の場合、理想的な装着状態の電子部品と、理想的な装着状態に対して90°、180°、270°回転して装着された電子部品と、で電子部品の外形が略等しくなってしまう。この場合、電子部品の装着方向の違いに作業者が気付きにくい。この点、本発明のNG部品表示方法によると、不合格判定された電子部品の特徴部と、特徴部強調部と、を見比べやすいため、電子部品の装着方向の違いに作業者が簡単に気付くことができる。
【0013】
このように、本発明のNG部品表示方法によると、不合格判定された電子部品の装着状態と、理想的な電子部品の装着状態と、の相違点を、作業者が画面上で確認しやすい。
【0014】
また、本発明のNG部品表示方法によると、作業者の確認作業のために、基板外観検査で合格と判定された電子部品の画像を保存しておく必要がない。このため、記憶部の記憶領域を節約することができる。
【0015】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記部品形状枠および前記特徴部強調部は、前記基板外観検査において前記電子部品の検査基準として用いられる部品データを基に描画される構成とする方がよい。
【0016】
本構成によると、基板外観検査の検査基準である部品データから、部品形状枠および特徴部強調部が形成される。このため、作業者は、基板外観検査の判定の正否を、視覚的に検証することができる。また、検査基準である部品データ自体に誤りがある場合、作業者が当該誤りに気付きやすい。
【0017】
(3)上記課題を解決するため、本発明のNG部品表示システムは、方向検査に使用可能な特徴部を有し基板外観検査で不合格と判定された電子部品の画像と、該電子部品に対応し該電子部品の理想位置に該電子部品の該画像と等倍率で配置される部品形状枠と、該特徴部に対応し該特徴部の理想位置を強調する特徴部強調部と、を重ね合わせて表示する画面を備えることを特徴とする。
【0018】
上記(1)の構成と同様に、本発明のNG部品表示システムによると、不合格判定された電子部品の装着状態と、理想的な電子部品の装着状態と、の相違点を、作業者が画面上で確認しやすい。また、記憶部の記憶領域を節約することができる。
【0019】
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記基板外観検査において前記電子部品の検査基準として用いられる部品データを格納する記憶部を備え、前記部品形状枠および前記特徴部強調部は、該部品データを基に描画される構成とする方がよい。
【0020】
上記(2)の構成と同様に、本構成によると、作業者は、基板外観検査の判定の正否を、視覚的に検証することができる。また、検査基準である部品データ自体に誤りがある場合、作業者が当該誤りに気付きやすい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、理想的な電子部品の装着状態と、基板外観検査で不合格判定された電子部品の装着状態と、の相違点を、作業者が画面上で確認しやすいNG部品表示方法およびNG部品表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態であるNG部品表示システムが配置された生産ラインの模式図である。
図2図2は、基板外観検査機の上面図である。
図3図3は、同NG部品表示システムのクライアントコンピュータの画面の模式図(その1)である。
図4図4は、同NG部品表示システムのクライアントコンピュータの画面の模式図(その2)である。
図5図5は、基板の上面図である。
図6図6は、その他の実施形態のNG部品表示システムのクライアントコンピュータの画面の模式図(その1)である。
図7図7は、その他の実施形態のNG部品表示システムのクライアントコンピュータの画面の模式図(その2)である。
【符号の説明】
【0023】
1:部品表示システム。
2:制御部、20:ホストコンピュータ、20a:演算部、20b:記憶部、20c:入力部、20d:モニタ、21:サーバコンピュータ、21b:記憶部、22:クライアントコンピュータ、22a:演算部、22d:モニタ。
3:基板外観検査機、30:ベース、32:制御装置、33:基板搬送装置、330:コンベアベルト、34:XYロボット、340:Y方向スライダ、341:X方向スライダ、342:Y方向ガイドレール、343:X方向ガイドレール、344:X方向移動用ボールねじ部、345:Y方向移動用ボールねじ部、35:検査ヘッド、37:照明装置、38:撮像装置。
7:画面、70:基板表示部、71:拡大表示部、73:部品情報表示部、74:検査結果表示部。
9:生産ライン、90a〜90d:電子部品実装機、91:NGコンベア。
B:基板、B1:撮像エリア、B2:拡大枠、G:図形重心、L1:部品形状枠、L2:マーク枠(特徴部強調部)、M:マーク(特徴部)、N:ネットワーク、P:電子部品、T1〜T3:特徴部、U1:特徴部強調部、U2:特徴部強調部。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のNG部品表示方法およびNG部品表示システムの実施の形態について説明する。
【0025】
<生産ライン>
まず、本実施形態のNG部品表示システムが配置された生産ラインの構成について説明する。図1に、本実施形態のNG部品表示システムが配置された生産ラインの模式図を示す。図1に示すように、生産ライン9には、上流側から下流側に向かって、電子部品実装機90a〜90dと、基板外観検査機3と、が配置されている。電子部品実装機90a〜90dにおいては、基板Bに電子部品が実装される。基板外観検査機3においては、基板Bに対する電子部品の装着状態が検査される。検査の結果、不合格と判定された基板Bは、NGコンベア91を介して生産ライン9外に搬出される。
【0026】
<基板外観検査機>
次に、生産ラインに配置されている基板外観検査機の構成について説明する。図2に、基板外観検査機の上面図を示す。図2に示すように、基板外観検査機3は、ベース30と、基板搬送装置33と、XYロボット34と、検査ヘッド35と、を備えている。
【0027】
基板搬送装置33は、ベース30の上面に配置されている。基板搬送装置33は、前後一対のコンベアベルト330を備えている。基板Bは、前後一対のコンベアベルト330により、左側から右側に向かって搬送される。XYロボット34は、Y方向スライダ340と、X方向スライダ341と、上下一対のY方向ガイドレール342と、前後一対のX方向ガイドレール343と、X方向移動用ボールねじ部344と、Y方向移動用ボールねじ部345と、を備えている。
【0028】
前後一対のX方向ガイドレール343は、基板搬送装置33を前後方向から挟むように、ベース30の上面に配置されている。X方向スライダ341は、前後一対のX方向ガイドレール343に、左右方向に摺動可能に取り付けられている。X方向スライダ341は、ベース30に取り付けられた、X方向移動用ボールねじ部344により駆動される。上下一対のY方向ガイドレール342は、X方向スライダ341に配置されている。Y方向スライダ340は、上下一対のY方向ガイドレール342に、前後方向に摺動可能に取り付けられている。Y方向スライダ340は、X方向スライダ341に取り付けられた、Y方向移動用ボールねじ部345により駆動される。
【0029】
検査ヘッド35は、Y方向スライダ340の右面に取り付けられている。このため、検査ヘッド35は、XYロボット34により、前後左右方向に移動可能である。検査ヘッド35は、照明装置37と、撮像装置38と、を備えている。撮像装置38は、CCDエリアセンサである。撮像装置38は、基板Bの上面の撮像エリアB1を、撮像可能である。照明装置37は、基板Bの上面の撮像エリアB1に対して、照明光を照射可能である。
【0030】
<NG部品表示システム>
次に、本実施形態のNG部品表示システムの構成について説明する。本実施形態のNG部品表示システム1は、制御部2を備えている。図1に示すように、制御部2は、ホストコンピュータ20と、サーバコンピュータ21と、クライアントコンピュータ22と、制御装置32(具体的には、基板外観検査機3の制御装置)と、を備えている。制御部2と生産ライン9に配置された各作業機とは、ネットワークNを介して、電気的に接続されている。
【0031】
ホストコンピュータ20、サーバコンピュータ21、クライアントコンピュータ22、制御装置32の構成は同じである。以下、代表して、ホストコンピュータ20の構成について説明する。ホストコンピュータ20は、演算部20aと、記憶部20bと、入力部20cと、モニタ20dと、を備えている。演算部20aは、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部20bは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。入力部20cは、作業者が、制御部2や生産ライン9に配置された各作業機に指示を出す際や、データを入力する際に用いられる。モニタ20dには、制御部2や生産ライン9に配置された各作業機の状態が表示される。
【0032】
<基板外観検査方法>
次に、基板外観検査方法について説明する。図1に示すように、電子部品の装着が完了した基板は、基板外観検査機3を通過する。この際、基板に対する電子部品の装着状態が検査される。
【0033】
図2に示すように、基板Bには、多種多様の電子部品Pが装着されている。全ての電子部品Pは、予め決められた順に、撮像装置38により撮像される。そして、電子部品Pの寸法、位置ずれ、方向、欠品などが検査される。
【0034】
検査においては、まず、図1に示す制御装置32が図2に示すXYロボット34を駆動することにより、検査ヘッド35を、検査対象となる電子部品Pの真上まで移動させる。すなわち、撮像エリアB1に電子部品Pを入れる。次に、制御装置32は、照明装置37を点灯させる。続いて、制御装置32は、撮像装置38を用いて、上方から撮像エリアB1を撮像する。撮像により、制御装置32は、撮像エリアB1つまり電子部品Pの画像データを取得する。取得された画像データは、図1に示すように、ネットワークNを介して、サーバコンピュータ21の記憶部21bに格納される。また、記憶部21bには、上方から基板B全体を撮像した場合の基板Bの画像データも格納されている。
【0035】
続いて、制御装置32は、当該画像データを用いて、電子部品Pを検査する。すなわち、ホストコンピュータ20の記憶部20bには、部品データが格納されている。部品データには、電子部品P(マークMを含む)の寸法データ、寸法に対する許容値データ、マークMの位置データ、位置に対する許容値データが含まれている。マークMは、本発明の「特徴部」の概念に含まれる。
【0036】
制御装置32は、電子部品Pの画像データと、部品データと、を比較する。比較の結果、画像データが部品データに適合する場合は、制御装置32は、電子部品Pを合格と判定する。一方、画像データが部品データに適合しない場合は、制御装置32は、電子部品Pを不合格と判定する。
【0037】
基板Bの全ての電子部品Pが検査に合格した場合、基板Bは、図1に示す基板外観検査機3からリフロー炉(図略)に搬送される。一方、基板Bの全ての電子部品Pのうち少なくとも一つの電子部品Pが検査に合格しなかった場合、基板Bは、NGコンベア91により、生産ライン9から搬出される。
【0038】
<NG部品表示方法>
次に、本実施形態のNG部品表示方法について説明する。上述したように、基板外観検査で不合格判定された基板Bは、図1に示すNGコンベア91により、生産ライン9から搬出される。
【0039】
図3に、本実施形態のNG部品表示システムのクライアントコンピュータの画面の模式図(その1)を示す。図1図3に示すように、クライアントコンピュータ22のモニタ22dの画面7は、基板表示部70と、拡大表示部71と、部品情報表示部73と、検査結果表示部74と、を備えている。
【0040】
基板表示部70には、基板外観検査で不合格判定された基板B、つまり生産ライン9から搬出された基板Bの画像が表示される。すなわち、図1に示すクライアントコンピュータ22は、サーバコンピュータ21の記憶部21bに格納されている、基板Bの画像データを読み込む。そして、基板表示部70に、基板Bの画像を表示する。
【0041】
拡大表示部71には、基板外観検査で不合格判定された電子部品Pの画像が表示される。すなわち、図1に示すクライアントコンピュータ22は、サーバコンピュータ21の記憶部21bに格納されている、電子部品Pの画像データを読み込む。そして、拡大表示部71に、電子部品Pの画像を表示する。なお、拡大表示部71の画像は、基板表示部70の基板Bの画像に表示される拡大枠B2の内側部分に対応している。このため、作業者は、基板Bのどの部分が拡大表示されているのかを、簡単に認識することができる。
【0042】
また、拡大表示部71には、図3に太線で示すように、部品形状枠L1、マーク枠L2が表示される。マーク枠L2は、本発明の「特徴部強調部」の概念に含まれる。すなわち、図1に示すクライアントコンピュータ22の演算部22aは、まず、ホストコンピュータ20の記憶部20bに格納されている部品データの中から、電子部品Pに対応する電子部品の部品データを選択する。次に、演算部22aは、選択した部品データから、電子部品の外形線(輪郭線)を抽出する。また、演算部22aは、選択した部品データから、マークの外形線を抽出する。また、演算部22aは、選択した部品データから、電子部品の位置情報、方向情報を取得する。
【0043】
それから、演算部22aは、拡大表示部71の電子部品Pの理想位置(本来、電子部品Pが配置されるべき位置)に、電子部品の外形線に準じた部品形状枠L1を、電子部品Pの画像と等倍率で、描画する。また、演算部22aは、拡大表示部71のマークMの理想位置(本来、マークMが配置されるべき位置)に、マークの外形線よりも一回り大きいマーク枠L2を、描画する。このように、拡大表示部71には、不合格判定された実際の電子部品Pの画像と、理想位置に配置された部品形状枠L1およびマーク枠L2と、が重なって表示される。
【0044】
部品情報表示部73には、不合格判定された電子部品Pに関する情報(例えば、電子部品Pの種類、寸法、位置など)に関する情報が表示される。検査結果表示部74には、不合格の理由に関する情報(例えば、位置エラー、方向エラーなど)が表示される。
【0045】
作業者は、画面7の拡大表示部71を見ることにより、不合格判定された実際の電子部品Pの画像と、理想位置に配置された部品形状枠L1およびマーク枠L2と、を同時に見ることができる。すなわち、作業者は、視線を移動させることなく、電子部品Pの画像と、部品形状枠L1およびマーク枠L2と、を重ね合わせながら、見比べることができる。また、作業者は、検査結果表示部74に表示されている情報から、図2に示す基板外観検査機3が電子部品Pを不合格判定した理由を確認することができる。このため、作業者は、検査結果表示部74の情報を目安にしながら、電子部品Pの画像と、部品形状枠L1およびマーク枠L2と、を見比べることにより、簡単に、実際の電子部品Pの装着状態を確認することができる。すなわち、作業者は、画面7を見るだけで、理想的な電子部品Pの装着位置(部品形状枠L1の位置)に対して、実際の電子部品Pの位置が、ずれていることを確認することができる。
【0046】
図4に、本実施形態のNG部品表示システムのクライアントコンピュータの画面の模式図(その2)を示す。図4に示すように、拡大表示部71に表示されている電子部品PのマークMは、マーク枠L2に対して、電子部品Pの図形重心Gを中心に180°回転した位置に配置されている。また、検査結果表示部74には、「方向エラー」という情報が表示されている。
【0047】
作業者は、画面7を見るだけで、電子部品Pの位置ずれはないものの、理想的な電子部品Pの装着方向に対して、実際の電子部品Pの装着方向が、180°回転していることを確認することができる。
【0048】
<作用効果>
次に、本実施形態のNG部品表示方法およびNG部品表示システムの作用効果について説明する。本実施形態のNG部品表示方法およびNG部品表示システム1によると、図3に示すように、不合格判定された電子部品Pの画像と、理想位置に配置された部品形状枠L1と、を等倍率で画面7の拡大表示部71に重畳的に表示することができる。このため、理想位置に対して実際の電子部品Pの装着位置がずれている場合(電子部品Pの位置ずれが発生している場合)、作業者が画面7上で確認しやすい。
【0049】
また、作業者は、検査結果表示部74の情報(位置エラー)を視認することができる。このため、作業者は、不合格の理由を認識した状態で、上記位置ずれを確認することができる。したがって、作業者は、電子部品Pの位置ずれを簡単に見つけることができる。
【0050】
また、本実施形態のNG部品表示方法およびNG部品表示システム1によると、図4に示すように、不合格判定された電子部品PのマークMと、理想位置を強調するマーク枠L2と、を画面7の拡大表示部71に重畳的に表示することができる。このため、理想位置に対して実際のマークMの位置がずれている場合(電子部品Pの方向ずれが発生している場合)、作業者が画面7上で確認しやすい。
【0051】
また、作業者は、検査結果表示部74の情報(方向エラー)を視認することができる。このため、作業者は、不合格の理由を認識した状態で、上記方向ずれを確認することができる。したがって、作業者は、電子部品Pの方向ずれを簡単に見つけることができる。
【0052】
また、図4に示すように、電子部品Pは、上方から見て、正方形状を呈している。すなわち、電子部品Pは、図形重心Gを中心に、点対称の形状を呈している。このため、理想的な装着状態の電子部品(部品形状枠L1、マーク枠L2)と、180°回転して装着された実際の電子部品Pと、で外形が略等しくなってしまう。この場合、電子部品Pの装着方向の違いに作業者が気付きにくい。
【0053】
この点、本実施形態のNG部品表示方法およびNG部品表示システム1によると、不合格判定された電子部品PのマークMと、マーク枠L2と、を見比べやすいため、電子部品Pの装着方向の違いに作業者が簡単に気付くことができる。
【0054】
また、本実施形態のNG部品表示方法およびNG部品表示システム1によると、図1に示すホストコンピュータ20の記憶部20bに格納されている部品データを基に、部品形状枠L1およびマーク枠L2が形成される。すなわち、図2に示す基板外観検査機3が使用する部品データを基に、部品形状枠L1およびマーク枠L2が形成される。このため、作業者は、基板外観検査の判定の正否を、画面7を介して視覚的に検証することができる。また、検査基準である部品データ自体に誤りがある場合、作業者が当該誤りに気付きやすい。
【0055】
また、本実施形態NG部品表示方法およびNG部品表示システム1によると、作業者の確認作業のために、基板外観検査で合格と判定された電子部品Pの画像を保存しておく必要がない。このため、図1に示す記憶部20b、21bなどの記憶領域を節約することができる。
【0056】
<その他>
以上、本発明のNG部品表示方法およびNG部品表示システムの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0057】
図5に、基板の上面図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ符号で示す。図5に示すように、特徴部T1は、文字であってもよい。また、特徴部T2は、段差であってもよい。また、特徴部T3は、面取部であってもよい。このように、電子部品Pの方向を確認することができれば、特徴部T1〜T3の種類は特に限定しない。
【0058】
図6に、その他の実施形態のNG部品表示システムのクライアントコンピュータの画面の模式図(その1)を示す。なお、図4と対応する部位については同じ符号で示す。図6に示すように、特徴部強調部U1は、矢印であってもよい。図7に、その他の実施形態のNG部品表示システムのクライアントコンピュータの画面の模式図(その2)を示す。なお、図4と対応する部位については同じ符号で示す。図7に示すように、特徴部強調部U2は、着色部であってもよい。このように、本来特徴部があるべき位置を強調することができれば、特徴部強調部U1、U2の種類は特に限定しない。また、図3図4に示す画面7を、ホストコンピュータ20、サーバコンピュータ21、基板外観検査機3のモニタを利用して表示してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7