【文献】
Dow Corning,Soft Solid:Reduced Syneresis, Reduced White Residue,2006年,インターネット <URL:http://www1.dowcorning.com/content/publishedlit/FORMUL_00822.pdf>
【文献】
Dow Corning,Dow Corning VM-2270 Aerogel Fine Particles,2009年,インターネット <URL:http://www2.dowcorning.com/DataFiles/090007c88020e235.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
疎水性シリカのエアロゲル粒子が、湿潤点で測定した吸油能が、粒子に対して、5から18ml/gを範囲とすることにより特徴付けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
不溶性の有機UVスクリーニング剤、無機UVスクリーニング剤、及び有機又は無機のマトリックスと少なくとも1種の無機UVスクリーニング剤とを含む複合材料から選択される少なくとも1種の不溶性のUVスクリーニング剤を追加で含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
ヒトのケラチン物質をケアする及び/又はメークアップする美容方法であって、少なくとも1種の、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質の表面へ塗布することを少なくとも含む、美容方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による組成物は、具体的にはルース又はコンパクトパウダーの形態で提供される。
【0022】
本発明はまた、ヒトのケラチン物質を、具体的には体の若しくは顔面の皮膚又は毛髪を、ケアする及び/又はメークアップする美容方法にも関し、少なくとも1種の、上で定義した組成物をケラチン物質の表面へ塗布することを少なくとも含む。
【0023】
「ヒトのケラチン物質」という用語は、皮膚(体、顔面、目の輪郭)、頭髪、睫毛、眉毛、体毛、爪、唇又は粘膜を意味すると理解される。
【0024】
「化粧用に許容される媒体」という用語は、心地よい色、心地よい香り、及び心地よい感触を呈し、消費者にこの組成物の使用を断念させやすい許容できない不快感(ひりひりする痛み、こわばり、発赤)を引き起こすことのない、皮膚及び/又はその表在性生育体と適合可能な任意の媒体を意味すると理解される。
【0025】
「親油性有機UVスクリーニング剤」という用語は、290nmから400nmの間のUV照射を遮断することができ、かつ巨視的に見て均質である相を得るために油性相中の分子状態又は分散状態の中で溶解できる有機分子を意味すると理解される。UVスクリーニング剤の例として挙げることができるのは以下のものである。
【0026】
「有機分子」という用語は、その構造体の中に、1個又は複数の炭素原子を含む任意の分子を意味すると理解される。
【0027】
本発明の意味の中で、
- 「固体」という用語は、周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg)における組成物の状態が、つまり、貯蔵中にその形態を保持する高稠度な組成物であることを示すことが意図される。「流体」組成物とは対照的に、固体は、その自重では流動しない。固体は、有利には、以下に定義される硬度によって特徴付けられる。
- 「コンパクトパウダー」という用語は、その凝集性が、製造中の圧粉化の長所によって少なくとも部分的にもたらされる製品の塊を示すことが意図される。詳細には、Stable Micro Systemsにより販売されているTA.XT. plus Texture Analyserを用いて測定することによって、本発明によるコンパクトパウダーは、有利には、使用されるスピンドルの表面積(本事例において7.07mm
2)に対して、0.1から1kgの間、特定すると0.2から0.8kgの間の耐圧力を呈することができる。この耐圧力は、SMS P/3の平頭円柱状のスピンドルを、2mmの距離にわたって速度0.5mm/秒で移動させてパウダーと接触させることにより測定され、より一般には、このパウダーは、圧粉化により得られる。「コンパクトパウダー」という用語は、より特定すると、これらのパウダーが、Zwick硬度テスターを用いた測定で、検討中の顔色の強度に応じてショアAが12°から30°と多様であるショアA硬度を呈することを意味すると理解されるべきである。
- 「ルースパウダー」という用語は、その自重で崩れることができる製品の塊であって、圧倒的に離れていて相互に可動性のある粒子から形成されているような塊を示すと意図される。
【0028】
疎水性シリカのエアロゲル粒子
本発明による組成物は、分散相/連続相の境界面に位置をとることによって、本発明による組成物を安定化させることを意図されたエアロゲルシリカ粒子も含む。
【0029】
エアロゲルは、最初にKristlerにより1932年に製造された、超軽量の多孔性材料である。
【0030】
エアロゲルは、一般にゾル-ゲル法により液体媒体中で合成され、次いで超臨界流体での抽出により乾燥される。最も一般に使用される超臨界流体は、超臨界CO
2である。このタイプの乾燥は、孔及び材料の縮小を回避させることができる。
【0031】
他のタイプの乾燥も、ゲルから出発して多孔性材料を得ることを可能にし、即ち(i)凍結乾燥による乾燥(低温でゲルを凝固させ、次いで該溶媒を昇華させることから成る)、及び(ii)蒸発による乾燥である。こうして得られた材料は、それぞれ、クリオゲル及びキセロゲルと称される。ゾル-ゲル法及び種々の乾燥操作は、Brinker C.J.及びScherer G.W.、Sol-Gel Science、ニューヨーク、Academic Press、1990年に詳細に説明されている。
【0032】
「疎水性シリカ」という用語は、OH基を、シリル基Si-Rn、例えばトリメチルシリル基で官能化させるために、その表面がシリル化剤で処理されている任意のシリカ、例えばハロゲン化シラン、例えばアルキルクロロシラン、シロキサン、特定するとジメチルシロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサン、又はシラザンを意味すると理解される。
【0033】
本発明中で使用される疎水性エアロゲル粒子は、1質量単位当たりの比表面(S
W)が、200から1500m
2/g、好ましくは600から1200m
2/g、より良好には600から800m
2/gの範囲を呈し、体積平均直径(D[0.5])として表されるサイズが、1500μm未満を呈し、好ましくは1から30μm、より好ましくは5から25μm、より良好には5から20μm、更により良好には5から15μmの範囲を呈する。
【0034】
有利な実施形態によれば、本発明中で使用される疎水性エアロゲル粒子は、湿潤点で測定される吸油能が、5から18ml/g、好ましくは6から15ml/g、より良好には8から12ml/gを範囲とする。
【0035】
湿潤点で測定される吸収能は、Wpと示され、均質なペーストを得るために粒子100gに加えるのに必要な油の量に相当する。
【0036】
それは、「湿潤点」法、又はStandard NF T 30-022で説明されている、油の、粉末取込み量を測定する方法に従って測定される。これは、以下に説明する湿潤点の測定による、粉末の利用可能な表面上へ吸収される油の量に、及び/又は粉末により吸収される油の量に、相当する。
【0037】
粉末のw=2g量をガラス板上に置き、次いで油(イソノナノン酸イソノニル)を滴下で加える。4滴から5滴の油を粉末に加えた後、へらを用いて混合し、油と粉末との集成体が形成されるまで油の添加を続ける。この時点から、油を1回に1滴の割合で加え、続いてこの混合物をへらで磨りつぶす。堅く滑らかなペーストが得られたら、油の添加を中止する。このペーストは、ひび割れ又は塊の形成なしにガラス板上に広がることが可能でなければならない。次いで、使用した油の体積Vs(mlで表される)を書き留める。
【0038】
油の吸収量は、比Vs/wに相当する。
【0039】
本発明に従って使用される疎水性シリカのエアロゲル粒子は、好ましくはシリル化シリカ(INCI名:シリル化シリカ)のエアロゲル粒子である。
【0040】
表面でシリル化により修飾された疎水性シリカのエアロゲル粒子の調製は、米国特許第7470725号の文書で更に説明されている。
【0041】
使用されることになるのは、具体的には、表面でトリメチルシリル基で修飾された疎水性シリカのエアロゲル粒子である。
【0042】
本発明中で使用され得る疎水性エアロゲル粒子は、有利には、平均直径(D[0.5])で表されるサイズが、1500μm未満を呈し、好ましくは1から30μm、好ましくは5から25μm、より良好には5から20μm、更により良好には5から15μmの範囲を呈する。
【0043】
1質量単位当たりの比表面は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法として知られる窒素吸収法によって測定でき、International Standard ISO 5794/1(appendix D)に対応しているThe Journal of the American Chemical Society、第60巻、309頁、1938年2月で説明されている。BET比表面は、検討中の粒子の総比表面に相当する。
【0044】
本発明によるエアロゲル粒子のサイズは、市販の粒径分析器であるMalvernからのMasterSizer 2000型を用いて、静的光散乱により測定することができる。データは、Mie散乱理論に基づいて処理する。この理論は、等方性粒子にとって的確であり、非球状粒子の事例において、「有効」粒子径の測定を可能にする。この理論は、具体的には、Van de Hulst,H.C.、「Light Scattering by Small Particles」、第9章及び第10章、Wiley、ニューヨーク、1957年の刊行物に記載されている。
【0045】
有利な実施形態によれば、本発明中で使用される疎水性エアロゲル粒子は、1質量単位当たりの比表面(S
W)が、600から800m
2/gの範囲を呈し、体積平均直径(D[0.5])として表されるサイズが、5から20μm、より良好には5から15μmの範囲を呈する。
【0046】
本発明で使用される疎水性エアロゲル粒子は、有利には、充填密度ρが、0.04g/cm
3から0.10g/cm
3、好ましくは0.05g/cm
3から0.08g/cm
3の範囲を呈する。
【0047】
本発明の関連において、この密度は、以下の、充填密度プロトコルとして知られるプロトコルにより評価され得る。
【0048】
粉末40gを目盛り付き測定シリンダーへ流し込み、次いで測定シリンダーをStampf Volumeter製のStav 2003装置上に置く。測定シリンダーを、続いて一連の2500充填作業(この操作は、2つの連続試験の間の体積差が2%未満になるまで繰り返す)に供し、次いで充填済み粉末の最終体積Vfを、直接、測定シリンダーで測定する。
【0049】
充填密度は、この場合40/Vfである、質量(w)/Vfの比(Vfはcm
3で、wはgで表される)によって決定される。
【0050】
一実施形態によれば、本発明で使用される疎水性エアロゲル粒子は、1体積単位当たりの比表面S
Vが、5から60m
2/cm
3、好ましくは10から50m
2/cm
3、より良好には15から40m
2/cm
3の範囲を呈する。
【0051】
1体積単位当たりの比表面は、関係式:S
V=S
W*ρ(式中、上に定義したように、ρはg/cm
3で表される充填密度であり、S
Wはm
2/gで表される1質量単位あたりの比表面である)によって付与される。
【0052】
本発明中で使用され得る疎水性シリカエアロゲルとして挙げることができるのは、例えばDow CorningによりVM-2260(INCI名:シリル化シリカ)の名称で販売されているエアロゲルであり、その粒子は、平均粒径がおよそ1000ミクロンを呈し、1質量単位当たりの比表面が600から800m
2/gの範囲を呈する。
【0053】
更に挙げることができるのは、Cabotにより、参照名Aerogel TLD 201、Aerogel OGD 201及びAerogel TLD 203、Enova Aerogel MT 1100及びEnova Aerogel MT 1200で販売されているエアロゲルである。
【0054】
使用されることになるのは、より具体的には、Dow CorningによりVM-2270 (INCI名:シリル化シリカ)の名称で販売されているエアロゲルであり、その粒子は、平均粒径が、5から15ミクロンの範囲を呈し、1質量単位当たりの比表面が、600から800m
2/gの範囲を呈する。
【0055】
本発明によるシリカエアロゲル粒子は、好ましくは、化粧用組成物中に、活性材料の量が、組成物の総質量に対して0.5質量%から15質量%、より優先的には1質量%から10質量%の範囲で存在する。
【0056】
粒子相
本発明による粉体相は、好ましくは、少なくとも1種の追加の充填剤を、つまり疎水性シリカのエアロゲル粒子に加えて含み、組成物は、エアロゲル粒子以外に少なくとも1種の充填剤を好ましくは含む。
【0057】
上で特定したように、本発明による固体組成物は、粉体相を、好ましくは、前記組成物の総質量に対して15質量%以上、特定すると40質量%以上、より特定すると50質量%から99.9質量%を範囲とする含有率で含む。
【0058】
本発明の意味の中で、この粉体相は、組成物中に存在する任意の粒子状固形材料から、具体的には、充填剤、及び/又は着色剤、例えば顔料等から形成される。
【0059】
したがって、粉体相は、疎水性シリカのエアロゲル粒子に加えて、少なくとも1種の追加の充填剤、及び任意選択で少なくとも1種の着色剤を含む。
【0060】
追加の充填剤
「充填剤」という用語は、組成物が製造される温度に関わりなく組成物の媒体に不溶性であり分散している、無色又は白色の、無機又は合成の、任意の形の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0061】
組成物において、本質的に無機であれ有機であれ、それらは、皮膚に、柔性、マット感及び均一性を付与することを可能にする。
【0062】
本発明による組成物中に使用される追加の充填剤は、層状(又は小平板)の形態、球状(又は球形)の形態にあることができ、繊維の形態、又はこれらの規定された形態の間の任意の他の中間形態にあることができる。
【0063】
本特許出願において、「球状粒子」という用語は、球状の形である又は実質上球状の形である粒子であって、たとえ本発明による組成物の媒体の融点(およそ100℃)にあったとしても該媒体に不溶性である粒子を意味すると理解される。
【0064】
更に、「層状粒子」という用語は、本明細書では、3つの寸法(長さ、幅及び高さ)により特徴付けられる、平行六面体の形(長方形又は正方形の面)、円板状の形(円形の面)又は楕円体の形(楕円形の面)の粒子であって、たとえ本発明による組成物の媒体の融点(およそ100℃)にあったとしても該媒体に不溶性である粒子を意味すると理解される。
【0065】
本発明の特に好ましい形態によれば、粉体相は、追加の充填剤として、球状粒子と層状粒子との混合物を含む。
【0066】
球状粒子
本発明に従って使用される球状粒子は、球状の形又は実質的上球状の形であり、かつ中空であることも中実であることもできる。有利には、本発明の粒子は、粒径(数平均直径)が、0.1μmから250μmの範囲であり、より良好には1μmから150μm、より良好には10μmから100μmの範囲である。
【0067】
球状粒子は、有機又は無機の微小球であり得る。球状の有機粉末として挙げることができるのは、例えばポリアミド粉末、とりわけNylon(登録商標)粉末、例えばNylon-1又はPolyamide 12、AtochemによりOrgasolの名称で販売されているもの;ポリエチレン粉末;ポリテトラフルオロエチレン[Teflon(登録商標)]粉末;アクリル系コポリマー系の微小球、例えばDow CorningによりPolytrapの名称で販売されている、エチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーで作製されているもの;膨張粉末、例えば中空の微小球、具体的にはKemanord PlastによりExpancelの名称で、又は松本油脂製薬株式会社によりMicropearl F 80 EDの名称で販売されている微小球;シリコーン樹脂マイクロビーズ、例えば東芝シリコーン株式会社によりTospearlの名称で販売されているもの;ポリメチルメタクリレート微小球、松本油脂製薬株式会社によりMicrosphere M-100の名称で、又はWackherrによりCovabead LH85の名称で販売されているもの;エチレン/アクリレートのコポリマー粉末、例えば住友精化株式会社によりFlobeadsの名称で販売されているもの;天然の有機材料で形成されている粉末、例えばデンプン粉末、具体的には、トウモロコシ、小麦又はコメデンプンから形成されている粉末で、架橋又は非架橋のもの、例えばオクテニルコハク酸無水物で架橋されているデンプンから形成されている粉末、National StarchによりDry-Floの名称で販売されているもの;8個から22個の炭素原子、好ましくは12個から18個の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウム;Polypore(登録商標)L 200(Chemdal Corporation);シリコーン樹脂マイクロビーズ[例えば東芝からのTospearl(登録商標)];ポリウレタン粉末、とりわけコポリマー[トリメチロールヘキシルラクトン、例えばヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンのポリマー、ToshikiによりPlastic Powder D-400(登録商標)又はPlastic Powder D-800(登録商標)の名称で販売されているものを含む]を含む架橋ポリウレタンから形成されている粉末;カルナバマイクロワックス、例えばMicro PowdersによりMicroCare 350(登録商標)の名称で販売されているもの;合成ワックスのマイクロワックス、例えばMicro PowdersによりMicroEase 114S(登録商標)の名称で販売されているもの;カルナバワックスとポリエチレンワックスとの混合物から構成されるマイクロワックス、例えばMicro PowdersによりMicro Care 300(登録商標)及び310(登録商標)の名称で販売されているもの;カルナバワックスと合成ワックスとの混合物から成るマイクロワックス、例えばMicro PowdersによりMicro Care 325(登録商標)の名称で販売されているもの;又はポリエチレンマイクロワックス、例えばMicro PowdersによりMicropoly 200(登録商標)、220(登録商標)、220L(登録商標)及び250S(登録商標)の名称で販売されているものである。
【0068】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、球状粒子は、ポリアミド粉末、ポリメチルメタクリレート微小球、ポリテトラフルオロエチレン粉末、及びそれらの混合物から選択されることになる。
【0069】
これらの球状粒子は、球状粒子と層状粒子との混合物の総質量に対して、好ましくは20質量%から100質量%、より優先的には20質量%から50質量%、より特定すると25質量%から35質量%を範囲とする量で存在する。
【0070】
層状粒子
上に示したとおり、層状粒子は、3つの寸法(長さ、幅及び高さ)により特徴付けられる、平行六面体の形(長方形又は正方形の面)、円板状の形(円形の面)又は楕円体の形(楕円形の面)の粒子である。形が円形の場合、長さと幅は同じで、円板の直径に相当するのに対し、高さは円板の厚さに相当する。面が楕円形の場合、長さと幅はそれぞれ楕円体の長軸と短軸に相当し、高さは小平板によって形成されている楕円体の円板の厚さに相当する。平行六面体の場合、長さと幅は同じ寸法でも異なる寸法でもよく、両者が同じ寸法の場合、平行六面体の面の形は正方形であり、そうでない場合、形は長方形である。高さについては、これは、平行六面体の厚さに相当する。
【0071】
本発明に従って使用される層状粒子の長さは、好ましくは0.01から100μm、より良好には0.1から50μm、更により良好には1から50μmを範囲とする。これらの小平板の幅は、好ましくは、0.01から100μm、より良好には0.1から50μm、更により良好には1から10μmを範囲とする。これらの小平板の高さ(厚さ)は、好ましくは、0.1nmから1μm(0.1から1000nm)、より良好には1nmから600nm、更により良好には1nmから500nmを範囲とする。
【0072】
本発明の組成物中で使用され得る層状粒子として挙げることができるのは、層状ケイ酸塩である。
【0073】
層状ケイ酸塩として挙げることができるのは、タルク、雲母、パーライト、及びそれらの混合物である。
【0074】
タルクは、ケイ酸アルミニウムを通常含む水和ケイ酸マグネシウムである。タルクの結晶構造体は、シリカ層の間のブルーサイトから成るサンドイッチの繰り返し層から成る。
【0075】
雲母は、任意選択で鉄及び/又はアルカリ金属を含むケイ酸アルミニウムである。これらは、薄い層(およそ1μm)へ分割することができるという性質を有する。これらは、一般に、最大寸法(長さ)が、5から150μm、好ましくは10から100μm、より良好には10から60μmを範囲とし、高さ(厚さ)が、0.1から0.5μmを範囲とする。雲母として挙げることができるのは、金雲母、白雲母、フッ素金雲母、バーミキュライト、及びそれらの混合物である。
【0076】
層状ケイ酸塩の中で更に挙げることができるのは、パーライトであり、好ましくは膨張パーライトである。
【0077】
本発明に従って使用し得るパーライトは、一般に火山起源のアルミノケイ酸塩であり、組成:
70.0〜75.0質量%のシリカSiO
2
12.0〜15.0質量%の酸化アルミニウムAl
2O
3
3.0〜5.0質量%の酸化ナトリウムNa
2O
3.0〜5.0質量%の酸化カリウムK
2O
0.5〜2質量%の酸化鉄Fe
2O
3
0.2〜0.7質量%の酸化マグネシウムMgO
0.5〜1.5質量%の酸化カルシウムCaO
0.05〜0.15質量%の酸化チタンTiO
2
を有する。
【0078】
パーライトは、第1の段階で、粉砕され、乾燥され、次いで較正される。得られた生成物は、パーライト鉱石として知られ、灰色で、サイズは100μmのオーダーである。
【0079】
続いて、パーライト鉱石は膨張され(1000℃/2秒)、程度の差はあれ白色の粒子を生じる。温度が850〜900℃に達したとき、材料の構造体中に捕捉されていた水は蒸発し、元の体積に対して材料の膨張をもたらす。本発明による膨張パーライト粒子は、米国特許第5002698号に記載の膨張方法を介して得ることができる。
【0080】
好ましくは、使用されるパーライト粒子は粉砕されることになり、この事例において、それらは膨張粉砕パーライト(EMP)として知られる。それらは、好ましくは、中位径D
50により定義される、0.5から50μm、好ましくは0.5から40μmを範囲とする粒径を有する。
【0081】
好ましくは、使用されるパーライト粒子は、ルースバルク密度が、25℃で、10から400kg/m
3を範囲とし(Standard DIN 53468)、好ましくは10から300kg/m
3を範囲とする。
【0082】
好ましくは、本発明による膨張パーライト粒子は、湿潤点で測定される吸水能が、200%から1500%、好ましくは250%から800%を範囲とする。
【0083】
湿潤点は、均質なペーストを得るために粒子1gに加えなければならない水の量に相当する。この方法は、溶媒へ適用される油取り込みの方法から直接導き出される。測定は、湿潤点及び流動点(それぞれ、以下の定義を有する)を介して、同じ方法で実施される。
湿潤点:溶媒を粉末に加える間に均質なペーストが生成される点に相当する、生成物100g当たりのグラムで表される質量。
流動点:溶媒の量が、粉末が溶媒を保持する能力を超える点及びそれを上回る点であって、生成物100g当たりのグラムで表される質量。これは、ガラス版上を流動する、程度の差はあれ均質な混合物の生成に反映される。
【0084】
湿潤点及び流動点は、以下のプロトコルに従って測定される。
【0085】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、層状粒子は、膨張パーライト、タルク、雲母、及びそれらの混合物から選択されることになる。
【0086】
有利には、本発明の組成物中で層状粒子として特に使用されるのは、タルク、例えばNippon TalcによりRose Talc及びTalc SG-2000の名称で販売されている製品;雲母、例えばMerck社によりMica M RP及びSilk Micaの名称で販売されている製品;酸化チタンで被覆した雲母、例えば雲母/酸化鉄/酸化褐色鉄(CTFA名:雲母/酸化鉄/二酸化チタン)、EngelhardによりCloisonne Rouge Flambe 440 Xの名称で販売されているもの;又は膨張パーライト(INCI 名:膨張粉砕パーライト)、World MineralsによりOptimat 1430 ORの名称で販売されているものである。
【0087】
これらの層状粒子は、球状粒子と層状粒子との混合物の総質量に対して、好ましくは40質量%から100質量%、より優先的には50質量%から91質量%、より良好には60質量%から80質量%を範囲とする量で存在することができる。
【0088】
組成物の粉体相中に存在し得る追加の充填剤の中で挙げることができるのは、繊維、例えば合成又は天然の、無機又は有機起源の繊維である。それらは短くても長くてもよく、個々であっても組織化されていてよく、例えば編まれていてもよく、中空であっても中実であってもよい。それらは任意の形を有することができ、とりわけ、横断面が、予想される特定の適用に応じて、円形又は多角形(四角形、六角形又は八角形)を有することができる。詳細には、それらの端は、傷を予防するために鈍化及び/又は研磨されている。繊維は、長さが、1μmから10mm、好ましくは0.1mmから5mm、より良好には0.3mmから3mmを範囲とする。それらの横断面には、直径が、2nmから500μm、好ましくは100nmから100μm、より良好には1μmから50μmを範囲とする円に含まれ得る。本発明による組成物中に使用され得る繊維として挙げることができるのは、ポリアミド繊維等の非剛性繊維、例えば具体的にはナイロン(又はポリアミド6)(INCI名:ナイロン6)繊維又はナイロン6,6(又はポリアミド66)(INCI名:ナイロン66)繊維、又はポリアミド/アミド繊維等の剛性繊維、例えばRhodia によりKermel(登録商標)又はKermel Tech(登録商標)の名称で販売されているもの、又はポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)(又はアラミド)繊維、具体的にはDuPont de NemoursによりKevlar(登録商標)の名称で販売されているもの、又はそれらの混合物である。
【0089】
粉体相は、着色剤を更に含むことができる。
【0090】
着色剤
本発明による組成物は、着色剤も含むことができる。
【0091】
本発明による着色剤(colouring agent)又は着色剤(colorant)は、好ましくは、顔料、真珠光沢剤、水溶性又は脂溶性染料、及びそれらの混合物から選択される。
【0092】
顔料
「顔料」という用語は、生理的媒体中に不溶性であり、組成物を着色することを意図されている、白色の又は着色された、無機又は有機の、任意の形の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0093】
顔料は、白色の、又は着色されたものであり得、無機及び/又は有機であり得る。
【0094】
無機顔料の中で挙げることができるのは、任意選択で表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、更に酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色若しくは赤色)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー、並びに金属粉末、例えばアルミニウム粉末又は銅粉末である。
【0095】
有機顔料は、以下の材料、及びそれらの混合物から選択することができる。
コチニールカルミン、
アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、ピレン染料、キノリン染料、トリフェニルメタン染料又はフルオラン染料の、有機顔料。
【0096】
有機顔料の中で具体的に挙げることができるのは、D&C Blue 4号、D&C Brown 1号、D&C Green 5号、D&C Green 6号、D&C Orange 4号、D&C Orange 5号、D&C Orange 10号、D&C Orange 11号、D&C Red 6号、D&C Red 7号、D&C Red 17号、D&C Red 21号、D&C Red 22号、D&C Red 27号、D&C Red 28号、D&C Red 30号、D&C Red 31号、D&C Red 33号、D&C Red 34号、D&C Red 36号、D&C Violet 2号、D&C Yellow 7号、D&C Yellow 8号、D&C Yellow 10号、D&C Yellow 11号、FD&C Blue 1号、FD&C Green 3号、FD&C Red 40号、FD&C Yellow 5号又はFD&C Yellow 6号の名称で知られるD&C認可の顔料である。
【0097】
上に列挙した有機着色剤のそれぞれに対応する化合物質は、The Cosmetic, Toiletries and Fragrance Association発行の刊行物「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、1997年版、371から386頁及び524から528頁で言及されており、その内容を参照により本特許出願に援用する。
【0098】
本発明による組成物は、顔料を、組成物の総質量に対して0質量%から30質量%を範囲とする含有率で含むことができ、好ましくは、組成物の総質量に対して2質量%から20質量%、優先的には4質量%から10質量%を範囲とする含有率で含むことができる。
【0099】
真珠光沢剤
「真珠光沢剤」という用語は、虹色であってもそうでなくてもよく、具体的には、ある種の軟体類によってその殻中で生成される、そうでなければ合成される、光学干渉を介して色効果を呈する任意の形の着色された粒子を意味すると理解されるべきである。
【0100】
真珠光沢剤の例として挙げることができるのは、真珠顔料、例えば、酸化鉄で覆われた酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマスで覆われた雲母若しくは酸化クロムで覆われた酸化チタン被覆雲母、又はオキシ塩化ビスマス系の真珠顔料である。真珠光沢剤は、その表面で、金属酸化物の及び/又は有機着色剤の少なくとも2つの連続相が重ね合わされた雲母粒子であることもできる。
【0101】
本発明による組成物は、真珠光沢剤を、組成物の総質量に対して、0から30質量%を範囲とする含有率で含むことができ、例えば0.01質量%から5質量%を範囲とする含有率で含むことができる。
【0102】
充填剤及び顔料に加えて、本発明の粒子相は、水溶性又は脂溶性の染料を含むことができる。
【0103】
「脂溶性染料」という用語は、脂肪物質、例えば油に可溶性である、一般に有機の、化合物を意味すると理解されるべきである。
【0104】
脂溶性染料は、例えばSudan red、D&C Red 17号、D&C Green 6号、β-カロテン、大豆油、Sudan brown、D&C Yellow 11号、D&C Violet 2号、D&C Orange 5号、キノリン yellow、アナットー又はブロモ酸である。
【0105】
本発明の意味の中で、「水溶性染料」という用語は、水性相に又は水混和性溶媒に可溶性であり、かつ着色するのに好適な、一般に有機の、天然若しくは合成の任意の化合物を意味すると理解される。
【0106】
本発明に好適な水溶性染料として具体的に挙げることができるのは、合成又は天然の水溶性染料、例えばFDC Red 4号、DC Red 6号、DC Red 22号、DC Red 28号、DC Red 30号、DC Red 33号、DC Orange 4号、DC Yellow 5号、DC Yellow 6号、DC Yellow 8号、FDC Green 3号、DC Green 5号、FDC Blue 1号、ベタイン(ビーツの根)、カルミン、銅クロロフィリン、メチレンブルー、アントシアニン(オエノシアニン、ブラックキャロット、ハイビスカス、ニワトコ)、キャラメル及びリボフラビンである。
【0107】
液体脂肪相
本発明の特定の形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の液体脂肪相を含むことができる。
【0108】
この脂肪相は、有利には、前記粉体相中でバインダーとして使用され得る。
【0109】
「液体」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)での液体を意味すると理解される。
【0110】
液体脂肪相は、親油性UVスクリーニング剤に加えて、少なくとも1種の揮発性若しくは不揮発性の炭化水素系油、及び/又は1種の揮発性若しくは不揮発性のシリコーン油を一般に含む。
【0111】
本発明の意味の中で、「揮発性油」という用語は、皮膚又はケラチン繊維と接触させておくと周囲温度及び大気圧で1時間以内に蒸発することができる油を意味すると理解される。本発明の揮発性油は、周囲温度で液体であり、かつ周囲温度及び大気圧において、特に0.13Paから40000Pa(10
-3から300mmHg)、特定すると1.3Paから13000Pa(0.01から100mmHg)、より特定すると1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)を範囲としてゼロ以外の蒸気圧を有する揮発性化粧用油である。
【0112】
「不揮発性油」という用語は、周囲温度及び大気圧で、皮膚又はケラチン繊維上に少なくとも数時間残り、特に10
-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味すると理解される。
【0113】
a)炭化水素系油
本発明に従って使用され得る不揮発性炭化水素系油として具体的に挙げることができるのは、
(i)植物起源の炭化水素系油、例えば、一般に脂肪酸とグリセロールとのトリエステルであるグリセリドトリエステル、これらの脂肪酸はC
4からC
24の様々な鎖長を有することができ、これらの鎖は、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分枝状であることが可能であり;これらの油は、具体的には、コムギ胚芽油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ゴマ油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシの実油、カボチャ種子油、キュウリ油、ブラックカラント油、イブニングプリムローズ油、キビ(millet)油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ベニバナ油、ククイ(candlenut)油、パッションフラワー油及びジャコウバラ油;又は他に、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Duboisにより販売されているもの、若しくはDynamit NobelによりMiglyol 810、812及び818の名称で販売されているもの;
(ii)10個から40個の炭素原子を有する合成エーテル;
(iii)無機又は合成起源の、直鎖又は分枝状の炭化水素、例えばワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばパールリーム、スクアラン、及びそれらの混合物;
(iv)合成エステル、例えば式RCOOR'の油[式中、Rは、1個から40個の炭素原子を含む直鎖又は分枝状の脂肪酸の残基を表し、R'は、1個から40個の炭素原子を有する特に分枝状の炭化水素鎖を表し、ただしR+R'≧10である]、例えば、ピュアセリン油(オクタン酸セテアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C
12〜C
15アルキル安息香酸エステル、例えばWitcoから商標Finsolv TN若しくはWitconol TNで販売されている製品、又はEvonik GoldschmidtからTegosoft TNで販売されている製品、安息香酸2-エチルフェニル、例えばISPから名称X-Tend 226で販売されている市販製品、ラノリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、アルコール又は多価アルコールのオクタン酸エステル、デカン酸エステル又はリシノール酸エステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル又はリンゴ酸ジイソステアリル;及びペンタエリスリトールエステル;クエン酸エステル又は酒石酸エステル、例えば直鎖のジ(C
12〜C
13アルキル)酒石酸エステル、例えばEnichem Augusta Industrialeから販売されている名称Cosmacol ETI、更に直鎖のジ(C
14〜C
15アルキル)酒石酸エステル、例えば同社から販売されている名称Cosmacol ETL;酢酸エステル;
(v)周囲温度で液体であり、12個から26個の炭素原子を有する分枝状の及び/又は不飽和炭素系の鎖を有する脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール又は2-ウンデシルペンタデカノール;
(vi)高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸;
(vii)炭酸エステル、例えば炭酸ジカプリリル、例えばCognis社によりCetiol CCの名称で販売されている製品;
(viii)脂肪アミド、例えばN-ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、例えば味の素株式会社から商標Eldew SL205で販売されている製品;
及びそれらの混合物である。
【0114】
本発明に従って使用され得る揮発性炭化水素系油として具体的に挙げることができるのは、8個から16個の炭素原子を有する炭化水素系油、とりわけ分枝状のC
8〜C
16アルカン、例えば石油起源のC
8〜C
16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えばイソデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン若しくはイソヘキサデカン、又は国際公開第2007/068371号又は国際公開第2008/155059号に記載のCognisからのアルカン(少なくとも1個の炭素により差異化されている異なるアルカンの混合物)である。これらのアルカンは、ヤシ油又はパーム油から得られる脂肪アルコール、商標Isopar又はPermethylで販売されている油、分枝状のC
8〜C
16エステルであるネオペンタン酸イソヘキシル、並びにそれらの混合物から得られる。
【0115】
他の揮発性炭化水素系油、例えば石油留出物、具体的にはShellからShell Soltの名称で販売されているものを使用することもできる。一実施形態によれば、揮発性溶媒は、8個から16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素系油、及びそれらの混合物から選択される。
【0116】
b)シリコーン油
不揮発性シリコーン油は、具体的には、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ペンダント状態かつ/又はシリコーン鎖の末端のアルキル基又はアルコキシ基(これらの基は、それぞれ2個から24個の炭素原子を有する)を含むポリジメチルシロキサン、又はフェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサン又はトリメチルシロキシケイ酸2-フェニルエチルから選択することができる。
【0117】
揮発性シリコーン油として挙げることができるのは、例えば、揮発性の直鎖又は環式のシリコーン油、とりわけ粘度≦8センチストーク(8×10
-6m
2/s)を有し、特に2個から7個のケイ素原子を有するものであり、これらのシリコーンは、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基又はアルコキシ基を任意選択で含む。本発明において使用され得る揮発性シリコーン油として具体的に挙げることができるのは、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物である。
【0120】
(式中、Rは、2個から4個の炭素原子を含むアルキル基を表し、その1個又は複数の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子で置き換えられ得る)
の直鎖の揮発性アルキルトリシロキサン油も挙げることができる。
【0121】
一般式(I)の油の中で挙げることができるのは、
3-ブチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、
3-プロピル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、及び
3-エチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンであり、
これらは、Rが、それぞれブチル基、プロピル基又はエチル基である式(I)の油に相当する。
【0122】
特定の実施形態によれば、液体脂肪相は、1種又は複数の液体親油性スクリーニング剤を含むことができ、より特定すると、前記液体親油性UVスクリーニング剤から単独で成ることができる。
【0123】
「液体」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)での液体を意味すると理解される。
【0124】
液体脂肪相は、組成物の総質量に対して好ましくは0.1質量%から85質量%、好ましくは5質量%から50質量%と様々であることが好ましい。
【0125】
親油性有機スクリーニング剤
親油性有機UVスクリーニング剤は、具体的には、ケイ皮酸誘導体;アントラニレート類;サリチル酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体、ショウノウ誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリル酸誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体、とりわけ米国特許第5624663号で言及されているもの;イミダゾリン類;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;ベンゾオキサゾール誘導体、例えば欧州特許第0832642号、欧州特許第1027883号、欧州特許第1300137号及び独国特許第10162844号に記載のもの;スクリーニング用ポリマー及びスクリーニング用シリコーン、例えば国際公開第93/04665号に記載のもの;α-アルキルスチレン由来の二量体、例えば独国特許第19855649号に記載のもの;4,4-ジアリールブタジエン、例えば欧州特許第0967200号、独国特許第19746654号、独国特許第19755649号、欧州特許第A-1008586号、欧州特許第1133980号及び欧州特許第133981号に記載のもの;メロシアニン誘導体、例えば国際公開第04/006878号、国際公開第05/058269号、国際公開第06/032741号、仏国特許第2957249号及び仏国特許第2957250号に記載のもの;並びにそれらの混合物から選択される。
【0126】
追加の有機光防御剤の例として挙げることができるのは、本明細書で以下にINCI名で示すものである。
【0127】
親油性有機UVスクリーニング剤の例として挙げることができるのは、本明細書で以下にINCI名で示すものである。
ジベンゾイルメタン誘導体:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン又はアボベンゾン、DSM Nutritional Productsにより商標Parsol 1789で販売されているもの、
パラ-アミノ安息香酸誘導体:
PABA、
エチルPABA、
エチルジヒドロキシプロピルPABA、
エチルヘキシルジメチルPABA、具体的にはISPによりEscalol 507の名称で販売されているもの、
サリチル酸誘導体:
ホモサレート、Rona/EM IndustriesによりEusolex HMSの名称で販売されているもの、
サリチル酸エチルヘキシル、SymriseによりNeo Heliopan OSの名称で販売されているもの、
ケイ皮酸誘導体:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、具体的にはDSM Nutritional Productsにより商標Parsol MCXで販売されているもの、
イソプロピルメトキシシンナメート、
メトキシケイ皮酸イソアミル、SymriseによりNeo Heliopan E 1000の商標で販売されているもの、
シノキセート、
メチルケイ皮酸ジイソプロピル、
β,β-ジフェニルアクリル酸誘導体:
オクトクリレン、具体的にはBASFにより商標Uvinul N539で販売されているもの、
エトクリレン、具体的にはBASFにより商標Uvinul N35で販売されているもの、
ベンゾフェノン誘導体:
ベンゾフェノン-1、BASFにより商標Uvinul 400で販売されているもの、
ベンゾフェノン-2、BASFにより商標Uvinul D50で販売されているもの、
ベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、BASFにより商標Uvinul M40で販売されているもの、
ベンゾフェノン-6、Norquayにより商標Helisorb 11で販売されているもの、
ベンゾフェノン-8、American Cyanamidにより商標Spectra-Sorb UV24で販売されているもの、
ベンゾフェノン-12、
安息香酸n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)、BASFにより、商標Uvinul A+で、又はメトキシケイ皮酸オクチルとの混合物の形態にて商標Uvinul A+Bで販売されているもの、
1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]メタノン(CAS 919803-06-8)、微粒子化された形態の、又は微粒子化されていない形態のもの、
ベンジリデンショウノウ誘導体:
3-ベンジリデンショウノウ、ChimexによりMexoryl SDの名称で製造されているもの、
4-メチルベンジリデンショウノウ、MerckによりEusolex 6300の名称で販売されているもの、
ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ、ChimexによりMexoryl SWの名称で製造されているもの、
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:
ドロメトリゾールトリシロキサン、Rhodia ChimieによりSilatrizoleの名称で販売されているもの、
トリアジン誘導体:
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、BASFにより商標Tinosorb Sで販売されているもの、
エチルヘキシルトリアゾン、具体的にはBASFにより商標Uvinul T150で販売されているもの、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、Sigma 3Vにより商標Uvasorb HEBで販売されているもの、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
アントラニル酸誘導体:アントラニル酸メンチル、Symriseにより商標Neo Heliopan MAで販売されているもの、
イミダゾリン誘導体:
プロピオン酸エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリン、
ベンザルマロネート誘導体:
4'-ジネオペンチルメトキシベンザルマロネート、
ベンザルマロネート官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えばDSMにより商標Parsol SLXで販売されているポリシリコーン-15、
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、
ベンゾオキサゾール誘導体:
2,4-ビス[4-[5-(1,1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル]フェニルイミノ]-6-[(2-エチルヘキシル)イミノ]-1,3,5-トリアジン、Sigma 3VによりUvasorb K2Aの名称で販売されているもの、
及びそれらの混合物、
親油性メロシアニン誘導体:
2,4-ペンタジエノエン酸オクチル-5-N,N-ジエチルアミノ-2-フェニルスルホニル、
及びそれらの混合物。
【0128】
好ましい親油性又は不溶性の有機スクリーニング剤は、以下のものから選択される。
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
サリチル酸エチルヘキシル、
ホモサレート、
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
オクトクリレン、
ベンゾフェノン-3、
安息香酸n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)、
4-メチルベンジリデンショウノウ、
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、
2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン、
ドロメトリゾールトリシロキサン
ポリシリコーン-15、
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、
2,4-ビス[4-[5-(1,1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル]フェニルイミノ]-6-[(2-エチルヘキシル)イミノ]-1,3,5-トリアジン、
及びそれらの混合物。
【0129】
好ましい親油性有機スクリーニング剤は、より特定すると、以下のものから選択される。
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
オクトクリレン、
サリチル酸エチルヘキシル、
安息香酸n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)、
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、及びそれらの混合物。
【0130】
親油性UV有機スクリーニング剤は、好ましくは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%から40質量%、より特定すると5質量%から25質量%の範囲の含有率で存在する。
【0131】
ポリオール
本発明の特定の形態によれば、本発明による固体無水物組成物は、少なくとも1種のC
2〜C
32ポリオールを含む。
【0132】
この化合物は、固体無水物組成物中に存在している水に親和力を付与するのに、とりわけ有利である。
【0133】
「ポリオール」という用語は、本発明の意味の中で、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味すると理解されるべきである。
【0134】
好ましくは、本発明によるポリオールは、周囲温度で液体の形態で存在する。
【0135】
本発明に好適なポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2つの-OH官能基、特定すると少なくとも3つの-OH官能基、より特定すると少なくとも4つの-OH官能基を保持している、飽和又は不飽和の、直鎖、分枝状又は環状のアルキルタイプの化合物であり得る。
【0136】
本発明による組成物の配合に有利には好適であるポリオールは、具体的には2個から32個の炭素原子、好ましくは3個から16個の炭素原子を呈するものである。
【0137】
有利には、ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、例えばグリセロールオリゴマー、例えばジグリセロール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0138】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ポリオールは、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択される。
【0139】
ポリオールは、好ましくは、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%から20質量%、より良好には0.1質量%から10質量%を範囲とする量で存在する。
【0140】
水性相
本発明の特定の形態によれば、本発明による組成物は、水性相を含むことができる。
【0141】
この水性相は、存在する場合、本発明によって必要とされる粉体配合構成物と相溶性である量で利用される。
【0142】
水性相は、脱塩水、又はそうでなければヤグルマギク水等の花の水、及び/又は鉱物水、例えばVittel水、Lucas水若しくはLa Roche-Posay水、及び/又は温泉水であり得る。
【0143】
水性相は、周囲温度(25℃)で水と混和性であって、具体的には、特に2個から20個の炭素原子、好ましくは2個から10個の炭素原子、優先的には2個から6個の炭素原子を有するポリオールから選択されるポリオール、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール又はジエチレングリコール;グリコールエーテル(特に、3個から16個の炭素原子を有するもの)、例えばモノ、ジ又はトリプロピレングリコール(C
1〜C
4)アルキルエーテル、モノ、ジ又はトリエチレングリコール(C
1〜C
4)アルキルエーテル;並びにそれらの混合物から選択されるポリオールも含むことができる。
【0144】
本発明による組成物は、周囲温度で水と混和性であるポリオールを含むことができる。こうしたポリオールは、該組成物が塗布される皮膚表面の保湿化を促進することができる。
【0145】
加えて、本発明による組成物は、2個から6個の炭素原子を有するモノアルコール、例えばエタノール又はイソプロパノールを含むことができる。
【0146】
本発明による組成物は、有利には、水性相を、具体的には水を、組成物の総質量に対して5質量%未満含む。優先的に、本発明による組成物は、水性相を欠いており、具体的には水を欠いている。
【0147】
アジュバント
本発明による組成物は、ワックス、増粘剤、柔軟剤、保湿剤、不透明化剤、安定剤、皮膚軟化剤、シリコーン、香料、保存剤、活性化剤、ポリマー、又は化粧品及び/又は皮膚科学の分野で通常使用される任意の他の成分から選択される1種又は複数の従来技術の化粧品用のアジュバントを追加で含むことができる。
【0148】
当然ながら、当業者であれば、本発明による組成物に本来付随している有利な特性が、想定される添加によって全く又は実質的に悪影響を及ぼされないように、上述の任意選択による追加の化合物及び/又はそれらの量を注意深く選択するであろう。
【0149】
本発明の特定の形態によれば、本発明による組成物は、不溶性の有機UVスクリーニング剤、無機UVスクリーニング剤、及び有機又は無機のマトリックスと少なくとも1種の無機UVスクリーニング剤とを含む複合材料から選択される不溶性UVスクリーニング剤を、追加で含むことができる。
【0150】
不溶性UVスクリーニング剤
「不溶性UVスクリーニング剤」という用語は、液体脂肪相の粒子形態及び液体水性相の粒子形態にあることができる任意のUVスクリーニング剤を意味すると理解される。
【0151】
不溶性有機UVスクリーニング剤は、好ましくは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%から10質量%、より特定すると0.5質量%から5質量%を範囲とする含有率で存在する。
【0152】
不溶性有機スクリーニング剤として挙げることができるのは、米国特許第5237071号、米国特許第5166355号、英国特許第2303549号、独国特許第19726184号及び欧州特許第893119号に記載のもの、具体的にはメチレンビス[(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール]誘導体、例えばメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、Fairmount Chemicalにより商標Mixxim BB/100で固体形態で販売されているもの、又はBASFにより商標Tinosorb Mで水性分散液中の微粉化形態で販売されているものである。
【0153】
米国特許第6225467号、国際公開第2004/085412号(化合物6及び9を参照されたい)又は文献「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM INC、West Henrietta、米国ニューヨーク(2004年9月20日)に記載されている対称トリアジンのスクリーニング剤、具体的には2,4,6-トリス(ビフェニル)-1,3,5-トリアジン[より特定すると2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン]及び2,4,6-トリス(テルフェニル)-1,3,5-トリアジンであり、これは、Beiersdorfの国際公開第06/035000号、国際公開第06/034982号、国際公開第06/034991号、国際公開第06/035007号、国際公開第2006/034992号及び国際公開第2006/034985号でも言及されている。
【0154】
無機UVスクリーニング剤
本発明に従って使用される無機UVスクリーニング剤は、金属酸化物の顔料である。
【0155】
本発明の特定の形態によれば、本発明の無機UVスクリーニング剤は、平均基本粒径が0.5μm以下であり、より好ましくは0.005から0.5μmの間、更により好ましくは0.01から0.1μmの間、好ましくは0.015から0.05μmの間である金属酸化物の粒子である。
【0156】
粒子の「平均粒径」という用語は、Mastersizer 2000粒径分析器(Malvern)を用いて測定されるパラメータD[4,3]を意味すると理解される。照らされる角度に応じて粒子によって散乱される光強度を、Mie理論に従って粒度分布に変換する。パラメータD[4,3]を測定し、これは、粒子と同じ体積を有する球体の平均直径である。球状粒子については、「平均直径」が参照されることが多くなる。
【0157】
「平均基本粒径」という用語は、凝集していない粒子の粒径を意味すると理解される。
【0158】
それらは、特定すると、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、又はそれらの混合物から選択することができ、より特定すると酸化チタンである。
【0159】
このような被覆された又は被覆されていない金属酸化物の顔料は、詳細には欧州特許出願第A-0518773号に記載されている。市販の顔料として挙げることができるのは、Kemira,Tayca,Merck and Degussaにより販売されている製品である。
【0160】
金属酸化物の顔料は、被覆されたものでも、被覆されていないものでもよい。
【0161】
被覆顔料は、アミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、陰イオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、鉄塩若しくはアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタン又はアルミニウムのもの)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物又はヘキサメタリン酸ナトリウム等の化合物を用いて、1種又は複数の、化学的性質、電子的性質、機械化学的性質及び/又は機械的性質の表面処理を施された顔料である。
【0162】
被覆顔料は、より具体的には、以下のもので被覆された酸化チタンである。
- シリカで被覆された酸化チタン、例えば池田物産株式会社からの製品Sunveil、
- シリカ及び酸化鉄で被覆された酸化チタン、例えば池田物産株式会社からの製品Sunveil F、
- シリカ及びアルミナで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社からの製品Microtitanium Dioxide MT 500 SA及びMicrotitanium Dioxide MT 100 SA、又はTioxideからの製品Tioveil、
- アルミナで被覆された酸化チタン、例えば石原産業株式会社からの製品Tipaque TTO-55(B)及びTipaque TTO-55(A)、並びにKemiraからの製品UVT 14/4、
- アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社からの製品Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z、並びにMT-01、Uniqemaからの製品Solaveil CT-10 W及びSolaveil CT 100、並びにMerckからの製品Eusolex T-AVO、
- シリカ、アルミナ及びアルギン酸で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社からの製品MT-100 AQ、
- アルミナ及びラウリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社からの製品Microtitanium Dioxide MT 100 S、
- 酸化鉄及びステアリン酸鉄で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社からの製品Microtitanium Dioxide MT 100 F、
- 酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社からの製品BR 351、
- シリカ及びアルミナで被覆され、かつシリコーンで処理された酸化チタン、例えばテイカ株式会社からの製品Microtitanium Dioxide MT 600 SAS、Microtitanium Dioxide MT 500 SAS又はMicrotitanium Dioxide MT 100 SAS、
- シリカ、アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆され、かつシリコーンで処理された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社からの製品STT-30-DS、
- シリカで被覆され、かつシリコーンで処理された酸化チタン、例えばKemiraの製品UV-Titan X 195、
- アルミナで被覆され、かつシリコーンで処理された酸化チタン、例えば石原産業株式会社からの製品Tipaque TTO-55(S)、又はKemiraからの製品UV Titan M 262、
- トリエタノールアミンで被覆された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社の製品STT-65-S、
- ステアリン酸で被覆された酸化チタン、例えば石原産業株式会社からの製品Tipaque TTO-55(C)、
- ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 150 W、
- オクチルトリメチルシランで被覆された酸化チタン、Degussa Silicesにより商標T 805で販売されているもの、
- ポリジメチルシロキサンで被覆された酸化チタン、Cardreにより商標70250 Cardre UF TiO
2SI
3で販売されているもの、
- ポリジメチルヒドロシロキサンで処理されたアナターゼ/ルチルTiO
2、Color Techniquesにより商標Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobicで販売されているもの。
【0163】
被覆されていない酸化チタンの顔料は、例えば、テイカ株式会社により商標Microtitanium Dioxide MT 500 B及びMicrotitanium Dioxide MT 600 Bで、DegussaによりP 25の名称で、WackerによりTransparent titanium oxide PWの名称で、三好化成株式会社によりUFTRの名称で、TomenによりITSの名称で、及びTioxideによりTioveil AQの名称で販売されている。
【0164】
被覆されていない酸化亜鉛の顔料は、例えば以下のものである。
- SunsmartによりZ-Coteの名称で販売されているもの、
- ElementisによりNanoxの名称で販売されているもの、
- Nanophase TechnologiesによりNanogard WCD2025の名称で販売されているもの。
【0165】
被覆された酸化亜鉛顔料は、例えば以下のものである。
- ToshibiによりZinc Oxide CS-5の名称で販売されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンで被覆されたZnO);
- Nanophase TechnologiesによりNanogard Zinc Oxide FNの名称で販売されているもの(Finsolv TN、C
12〜C
15アルキル安息香酸エステル中の40%分散物として)、
- 大東化成株式会社によりDaitopersion Zn-30及びDaitopersion Zn-50の名称で販売されているもの(シリカ及びポリメチルヒドロシロキサンで被覆された酸化亜鉛30%又は50%を含むオキシエチレン化ポリジメチルシロキサン/シクロポリメチルシロキサン中の分散物)、
- DaikinによりNFD Ultrafine ZnOの名称で販売されているもの(シクロペンタシロキサン中の分散物としての、ペルフルオロアルキルホスフェート、及びペルフルオロアルキルエチルアクリレートをベースとするコポリマーで被覆されたZnO);
- 信越化学工業株式会社によりSPD-Z1の名称で販売されているもの(シクロジメチルシロキサン中に分散された、シリコーンでグラフトされたアクリルポリマーで被覆されたZnO)、
- ISPによりEscalol Z100の名称で販売されているもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP-ヘキサデセンコポリマー/メチコーン混合物中に分散された、アルミナで処理されたZnO)、
- 富士色素株式会社によりFuji ZnO-SMS-10の名称で販売されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンで被覆されたZnO)、
- ElementisによりNanox Gel TNの名称で販売されているもの(ヒドロキシステアリン酸重縮合物を含むC
12〜C
15アルキル安息香酸エステル中に55%で分散されたZnO)。
【0166】
被覆されていない酸化セリウムの顔料は、例えばRhone-PoulencによりColloidal Cerium Oxideの名称で販売されているものであり得る。
【0167】
被覆されていない酸化鉄の顔料は、例えばArnaudによりNanogard WCD2002(FE45B)、Nanogard Iron FE 45 BL AQ、Nanogard FE 45R AQ及びNanogard WCD 2006(FE45R)の名称で、又は三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社によりTY-220の名称で販売されている。
【0168】
被覆された酸化鉄の顔料は、例えばArnaudによりNanogard WCD 2008(FE 45B FN)、Nanogard WCD 2009(FE 45B 556)、Nanogard FE 45 BL 345及びNanogard FE 45 BLの名称で、又はBASFによりTransparent Iron Oxideの名称で販売されている。
【0169】
更に、金属酸化物の混合物として具体的に挙げることができるのは、二酸化チタンと二酸化セリウムとの混合物、例えばシリカで被覆された、二酸化チタンと二酸化セリウムとの等質量混合物で、池田物産株式会社によりSunveil Aの名称で販売されているもの、更には、アルミナ、シリカ及びシリコーンで被覆された、二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、例えばKemiraにより販売されている製品M 261、又はアルミナ、シリカ及びグリセロールで被覆された、二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、例えばKemiraにより販売されている製品M 211である。
【0170】
本発明によれば、被覆された又は被覆されていない酸化チタンの顔料が、とりわけ好ましい。
【0171】
本発明の特定の形態によれば、不溶性スクリーニング剤は、複合粒子から構成され得、平均粒径が0.1から30μmの間であり、マトリックス及び無機UVスクリーニング剤を含み、粒子中の無機スクリーニング剤の含有率が1質量%から70質量%を範囲とする。
【0172】
これらの複合粒子は、球状複合粒子、層状複合粒子、又はこれらの混合物から選択することができる。
【0173】
「球状」という用語は、粒子が、球形度指数、即ちその最大直径の、その最小直径に対する比が、1.2未満を呈することを意味すると理解される。
【0174】
「非球状」という用語は、最大寸法の、最小寸法に対する比が、1.2超である場合の、3つの寸法(長さ、幅、厚さ又は高さ)を有する粒子を意味すると理解される。本発明の粒子の寸法は、走査電子顕微鏡及び画像解析により求められる。これらは、3つの寸法(長さ、幅及び高さ)によって特徴付けられる、平行六面体の形(長方形又は正方形の面)、円板状の形(円形の面)又は楕円体の形(楕円形の面)の粒子を含む。形が円形である場合、長さと幅は同じであり、円板の直径に相当する一方で、高さは、円板の厚さに相当する。面が楕円である場合、長さと幅はそれぞれ楕円体の長軸と短軸に相当し、高さは小平板によって形成されている楕円体の円板の厚さに相当する。平行六面体の場合、長さと幅は同じ寸法でも異なる寸法でもよく、両者が同じ寸法の場合、平行六面体の面の形は正方形であり、そうでない場合は、形は長方形である。高さについては、これは、平行六面体の厚さに相当する。
【0175】
本発明に従って使用される球状及び非球状のスクリーニング用複合粒子は、マトリックス及び無機UVスクリーニング剤を含む。マトリックスは、1種又は複数の有機及び/又は無機の材料を含む。
【0176】
無機UVスクリーニング剤は、一般に金属酸化物から選択され、好ましくは酸化チタン、酸化亜鉛若しくは酸化鉄、又はこれらの混合物から、より特定すると二酸化チタンTiO
2から選択される。
【0177】
これらの金属酸化物は、平均粒径が一般に200nm未満である粒子の形態で提供され得る。有利には、使用される金属酸化物粒子は、0.1μm以下の平均粒径を呈する。
【0178】
これらの金属酸化物は、層の形態、好ましくは平均厚さが一般に0.2μm未満である複数層の形態でも提供され得る。
【0179】
第1の代替形態によれば、複合粒子は、有機及び/又は無機材料を含むマトリックスを有し、その中に、無機UVスクリーニング剤のマトリックス粒子が包含される。この実施形態によれば、マトリックスは、包含物を呈し、無機UVスクリーニング剤の粒子は、該マトリックスの該包含物中にある。
【0180】
第2の代替形態によれば、複合粒子は、有機及び/又は無機の材料で作製されているマトリックスを含み、このマトリックスは、バインダーを用いてマトリックスと結合され得る少なくとも1層の無機UVスクリーニング剤で覆われている。
【0181】
第3の代替形態によれば、複合粒子は、少なくとも1層の有機及び/又は無機の材料で覆われた無機UVスクリーニング剤を含む。
【0182】
マトリックスは、1種又は複数の、有機又は無機の材料でも構成され得る。その場合、合金等の材料の連続相、即ち材料がもはや解離できない連続相、又は例えば別の異なる有機若しくは無機の材料の層で覆われた有機若しくは無機の材料で構成される材料の不連続相があってもよい。
【0183】
一代替形態によれば、特に、球状複合粒子が、UVスクリーニング剤の層で覆われたマトリックスを含むとき、複合粒子は、具体的に、生分解性又は生体適合性の材料、脂肪性物質、例えば界面活性剤又は乳化剤、ポリマー及び酸化物から選択される追加のコーティングで更に覆われ得る。
【0184】
球状複合粒子
本発明による球状複合粒子のマトリックス中で使用され得る無機材料は、窒化ホウ素、ガラス、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、ケイ酸塩、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、オキシ塩化ビスマス、及びそれらの混合物から成る群から選択することができる。
【0185】
マトリックスを形成するために使用され得る有機材料は、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクタム、ポリ(ブチレンスクシネート)、多糖、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、ポリビニル樹脂、フルオロポリマー、ワックス、ポリエステル、ポリエーテル、及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0186】
好ましくは、球状複合粒子のマトリックスは、
- SiO
2、
- メタクリル酸ポリメチル、
- スチレンと(メタ)アクリル酸C
1/C
5アルキル誘導体とのコポリマー、
- ポリアミド、例えばナイロン
から選択される材料、又は材料の混合物を含む。
【0187】
球状の形態にある複合粒子は、平均直径が、100nmから30μmの間、好ましくは300nmから20μmの間、より好ましくは500nmから10μmの間であることにより特徴付けられる。
【0188】
第1の代替形態によれば、球状複合粒子は、有機及び/又は無機の材料を含むマトリックスを含み、その中に無機UVスクリーニング剤のマトリックス粒子が包含される。
【0189】
この第1の代替形態によれば、無機UVスクリーニング剤の粒子は、平均基本粒径が一般に0.2μm未満であることにより特徴付けられる。有利には、使用される金属酸化物の粒子は、平均基本粒径が0.1μm以下である。
【0190】
この代替形態に対応する複合粒子として挙げることができるのは、Sunjin Chemicalにより販売されている製品Sunsil TIN 50及びSunsil TIN 40である。平均粒径が2μmから7μmであるこれらの球状複合粒子は、シリカのマトリックス中に封入されたTiO
2から形成されている。
【0191】
更に挙げることができるのは、以下の粒子である。
- 平均粒径が4から8μmである球状複合粒子、TiO
2及びSiO
2を含み、Creations Couleursにより商標Eospoly TRで販売されているもの、
- TiO
2及びスチレン/アクリル酸アルキルのコポリマーのマトリックスを含む複合粒子、Creations CouleursによりEospoly UV TR22 HB 50の名称で販売されているもの、
- -TiO
2及びZnO及びPMMAのマトリックスを含む複合粒子、Sunjin Chemicalにより商標Sun PMMA-T50の名称で販売されているもの。
【0192】
第2の代替形態によれば、球状複合粒子は、有機及び/又は無機材料で作製されたマトリックスを含み、そのマトリックスは、バインダーを用いてマトリックスに結合されている少なくとも1層の無機UVスクリーニング剤で覆われている。
【0193】
この第2の代替形態によれば、無機UVスクリーニング剤の層の平均厚さは、一般におよそ10ナノメートルである。無機UVスクリーニング剤の層の平均厚さは、有利には、10
-3から0.2μmの間、好ましくは0.001から0.2μmの間である。
【0194】
本発明に従って使用される球状複合粒子は、粒径が、0.1から30μmの間、好ましくは0.3から20μmの間、更により優先的には0.5から10μmの間である。
【0195】
本発明に従って使用され得る複合粒子の中で挙げることができるのは、TiO
2及びSiO
2を含む球状複合粒子であり、JGC Catalysts and Chemicalにより提供されている商標STM ACS-0050510である。
【0196】
第3の代替形態によれば、球状複合粒子は、少なくとも1層の有機及び/又は無機の材料で覆われた無機UVスクリーニング剤を含む。この第3の代替形態によれば、無機UVスクリーニング剤の粒子は、平均基本粒径が一般に10
-3から0.2μmの間であることにより特徴付けられる。有利には、使用される金属酸化物の粒子は、平均基本粒径が0.01から0.1μmの間である。
【0197】
本発明に従って使用される球状複合粒子は、粒径が、0.1から30μmの間、好ましくは0.3から20μmの間、更により優先的には0.5から10μmの間である。
【0198】
非球状複合粒子
非球状スクリーニング用粒子のマトリックスを形成するのに使用され得る有機材料は、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリヒドロキシアルカノン酸塩、ポリカプロラクタム、ポリ(ブチレン)コハク酸塩、多糖、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、ポリビニル樹脂、フルオロポリマー、ワックス、ポリエステル、ポリエーテル、及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0199】
使用され得る有機材料の中で好ましく挙げることができるのは、
- トリエトキシカプリリルシラン、
- アクリル性ポリマー、例えばメタクリル酸ポリメチル、及び他のタイプのモノマーを含むアクリル性コポリマー、例えばスチレン、
- ポリアミド、例えばナイロン
である。
【0200】
非球状複合粒子のマトリックス中で使用され得る無機材料は、雲母、合成雲母、タルク、絹雲母、窒化ホウ素、ガラス、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、ケイ酸塩、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、トリケイ酸マグネシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、オキシ塩化ビスマス、及びそれらの混合物から成る群から選択される。好ましくは、これらの無機材料は、
- シリカ、
- タルク、
- 雲母、
- アルミナ
から選択される。
【0201】
無機UVスクリーニング剤は、一般に金属酸化物から選択され、特定すると、酸化チタン、酸化亜鉛又は酸化鉄から、より特定すると二酸化チタン(TiO
2)から選択される。
【0202】
本発明の非球状複合粒子は、3つの寸法により特徴付けられ、そのうちの
- 最小は、0.1μm超、好ましくは0.3μm超、より良好には0.5μm超であり、
- 最大は、30μm未満、好ましくは20μm未満、より良好には10μm未満である。
【0203】
最大寸法の、最小寸法に対する比は、1.2超である。
【0204】
本発明の粒子の寸法は、走査電子顕微鏡及び画像解析によって求められる。
【0205】
本発明に従って使用され得る非球状複合粒子は、好ましくは小平板の形のものとなる。
【0206】
「小平板の形の」という用語は、平行六面体の形を意味すると理解される。
【0207】
これらは、滑らかであることができ、きめが粗いことができ、又は多孔性であり得る。
【0208】
小平板の形の複合粒子は、好ましくは、平均厚さが0.01から10μmの間を呈し、平均長さが一般に0.5から30μmの間を呈し、平均幅が0.5から30μmの間を呈する。
【0209】
厚さとは、寸法のうちの最小のものであり、幅とは、中間の寸法であり、長さとは、寸法のうちの最大のものである。
【0210】
第1の代替形態によれば、複合粒子は、有機及び/又は無機の材料を含むマトリックスを含み、その中に無機UVスクリーニング剤のマトリックス粒子が包含される。
【0211】
この第1の代替形態によれば、無機UVスクリーニング剤の粒子は、平均基本粒径が一般に0.2μm未満であることにより特徴付けられる。有利には、使用される金属酸化物の粒子は、平均基本粒径が0.1μm以下を呈する。
【0212】
第2の代替形態によれば、複合粒子は、有機及び/又は無機材料で作製されたマトリックスを含み、このマトリックスは、バインダーを用いてマトリックスに結合され得る少なくとも1層の無機UVスクリーニング剤で覆われている。
【0213】
この第2の代替形態によれば、無機UVスクリーニング剤の層の平均厚さは、一般におよそ10ナノメートルである。無機UVスクリーニング剤の層の平均厚さは、有利には10
-3から0.2μmの間、好ましくは0.01から0.2μmの間である。
【0214】
本発明に従って使用される非球状複合粒子は、粒径が、100nmから30μmの間、好ましくは0.3から20μmの間、更により優先的には0.5から10μmの間である。
【0215】
第3の代替形態によれば、非球状複合粒子は、少なくとも1層の有機及び/又は無機の材料で覆われた無機UVスクリーニング剤を含む。この第3の代替形態によれば、無機UVスクリーニング剤の粒子は、平均基本粒径が一般に10
-3から0.2μmの間であることにより特徴付けられる。有利には、使用される金属酸化物の粒子は、平均基本粒径が0.01〜0.1μmの間を呈する。
【0216】
好ましくは、複合粒子中で使用される無機UVスクリーニング剤は、金属酸化物から選択され、特定すると、酸化チタン、酸化亜鉛又は酸化鉄から、より特定すると二酸化チタン(TiO
2)から選択される。
【0217】
好ましくは、複合粒子のマトリックスは、
SiO
2、
アルミナ、
雲母、
アルミナ/トリエトキシカプリリルシランの混合物、
タルク
PMMA(メタクリル酸ポリメチル)、
ナイロン
から選択される材料、又は材料の混合物を含む。
【0218】
より好ましくは、複合粒子のマトリックスは、
アルミナ、
アルミナ/トリエトキシカプリリルシランの混合物、
タルク、
シリカ、
雲母
から選択される材料、又は材料の混合物から構成される。
【0219】
本発明に従って使用され得る複合粒子の中で挙げることができるのは、以下の粒子である。
- TiO
2及びアルミナのマトリックスを含む複合粒子、Sensient LCWにより販売されている商標Matlake OPA、
- TiO2及びアルミナ/トリエトキシカプリリルシランのマトリックスを含む複合粒子、Sensient LCWにより販売されている商標Matlake OPA AS、
- タルクの小平板の表面上に沈着させたTiO
2超微粒子を含む複合粒子、三好化成株式会社により販売されている商標TTC 30、
- タルクの小平板の表面上に沈着させたTiO
2超微粒子を含む複合粒子、日本光研工業株式会社(NKK)により販売されている商標Silseem Mistypearl Yellow。
【0220】
無機UVスクリーニング剤は、好ましくは、本発明による組成物中に、活性材料として、組成物の総質量に対して0.1質量%から20質量%、特定すると0.5質量%から15質量%を範囲とする含有率で存在する。
【0221】
当業者であれば、前記活性剤を、皮膚、毛髪、睫毛、眉又は爪に所望の効果に応じて選択するであろう。
【0222】
本発明による化粧用組成物は、多くのトリートメントにおいて、具体的には、皮膚の、唇の、及び毛髪の、並びに頭皮の美容トリートメントにおいて、塗布される。
【0223】
本発明の別の主題は、皮膚、唇、爪、毛髪、睫毛、眉及び/又は頭皮を美容トリートメントするための製品、具体的にはケア製品、日焼け止め製品及びメークアップ製品の製造について上に定義した本発明による組成物の使用から成る。
【0224】
本発明による化粧用組成物は、例えばメークアップ製品として使用され得る。
【0225】
アセンブリ
別の態様によれば、本発明は、化粧品用のアセンブリにも関し、それは、
i)閉じ部材によって閉じられており、任意選択でリークタイトではない、1つ又は複数の区画に区切ってある容器と、
ii)前記区画の内部に置かれている、本発明によるメークアップ及び/又はケア組成物と
を含む。
【0226】
容器は、例えば瓶又はケースの形態にあることができる。
【0227】
閉じ部材は、前記メークアップ及び/若しくはケア組成物を収容する容器に対して並動することによって、又は軸回転することによって移動できるように取り付けられたキャップを含むふたの形態にあることができる。
【0228】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図するものであるが、限定する性質を呈するものではない。これらの実施例において、組成物の成分の量は、組成物の総質量に対して質量%で付与される。
【0229】
(実施例)
評価プロトコル
インビボSPF
製品の紫外線防御指数(SPF)を、COLIPA/CTFA SA/JCIAが刊行したInternational Method(2006年5月)に従って評価する。
【0230】
紫外線防御指数は、製品が存在する中(2mg/cm
2)で得られる最小紅斑量(MEDp)の、製品なしで得られる最小紅斑量(MEDnp)に対する比である。
SPF=MEDp/MEDnp
【0231】
最小紅斑量は、明確に規定した輪郭内で最初に不鮮明に知覚され得る発赤を生成するのに必要なエネルギー量であると定義され、人工太陽光源へ、UV照射量を徐々に6回増やして(連続して12%)曝露させ、16時間から24時間後に評価する。
【0232】
10人以上20人以下の対象で試験を実施しなければならず、それは、統計的基準(95%信頼区間は平均SPF±17%の範囲内に収まる)を満たしていなければならない。
【0233】
透明度
組成物を、皮膚の色がITA角度で28から-30の間であることにより特徴付けられる前腕の内面に、面積2x2cm
2を限界範囲として2mg/cm
2の割合で塗布する。
【0234】
以下の一連の比色分析測定を、Minolta CM-508d分光比色計を用いて実施した。
1°)組成物の塗布前、
2°)塗布の2分後、
3°)紙ハンカチで拭った後(標準的な体の動きで)。
【0235】
結果を、(L
*,a
*,b
*)システムで表し、そこでは、L
*は輝度を表し、a
*は赤色-緑色の軸を表し(-a
*=緑色、+a
*=赤色)、かつb
*は黄色-青色の軸を表す(-b
*=青色、+b
*=黄色)。したがって、a
*及びb
*は皮膚の色合いを表す。
【0236】
着色の強度を評価するために、着目する因子はΔL
*相関であり、これは色の暗さ/明るさを反映し、ΔL
*の値が大きいほど、白色化効果は大きい。
ΔL
*=L
*素肌-L
*製品が付いた皮膚
【0237】
皮膚の色の変化を評価するために、着目する因子はΔE
*であり、これは色のバリエーションを反映し、ΔEの値が大きいほど、初期の色と比べた色の変化は大きい。色の差異は、Hunter色差式を用いて、L
*,a
*,b
*比色分析空隙において得る。
(ΔE
*)
2=[(ΔL
*)
2+(Δa
*)
2+(Δb
*)
2]
(式中、
Δa
*=a
*素肌-a
*製品が付いた皮膚
Δb
*=b
*素肌-b
*製品が付いた皮膚
【0240】
製造方法
組成物A
*及びCについて
有機スクリーニング剤を、磁気撹拌しながら75℃まで加熱する。疎水性シリカのエアロゲル粒子[シリル化シリカ(組成物A
*)又はシリカ(組成物C)]を加え、へらで均質にして粉末を得る。上で得た充填剤及び粉末をBacker容器へ導入する。撹拌を開始し(へら:500rev/分;E-モーター:1000rev/分)、10分間行う。粉末が均質であることを確認する。グリセロールをBacker容器へ導入する。撹拌を開始し(へら:500rev/分;E-モーター:1000rev/分)、15分間行う。粉末が均質であることを確認する。真珠光沢剤をBacker容器へ導入する。撹拌を開始し(へら:500rev/分;E-モーター:1000rev/分)、5分間行う。粉末が均質であることを確認する。該粉末をふるいにかける。
【0241】
配合物Bについて
充填剤及び二酸化チタン(及び)水酸化アルミニウム(及び)ステアリン酸をBacker容器へ導入する。撹拌を開始し(へら:500rev/分;E-モーター:1000rev/分)、10分間行う。粉末が均質であることを確認する。グリセロールをBacker容器へ導入する。撹拌を開始し(へら:500rev/分;E-モーター:1000rev/分)、15分間行う。粉末が均質であることを確認する。真珠光沢剤をBacker容器へ導入する。撹拌を開始し(へら:500rev/分;E-モーター:1000rev/分)、5分間行う。粉末が均質であることを確認する。該粉末をふるいにかける。
【0244】
等価スクリーニング系について、日焼け止めパウダーが疎水性シリカエアロゲルで生成できる(本発明による組成物A)のに対して、現況技術のシリカ(組成物C)では生成できないことが判明する。組成物A(シリカエアロゲル+親油性有機UVスクリーニング剤)及び組成物B(疎水性シリカエアロゲル+無機UVスクリーニング剤)は生成することができ、かつ両方ともインビボでのSPFが30を呈することが判明する。それにもかかわらず、拭う前及び拭った後に、(本発明による)組成物Aは、組成物C(現況技術)が与えるよりも低いΔE及びΔLを呈する。そのため、本発明による組成物であるAは、着色効果及び白色化効果がそれほど顕著でなく、したがってより透明である。
【0245】
[本発明による実施例D(SPF 50)]
【0249】
日焼け止めパウダーDを生成でき、そのSPFが50を呈することが判明する。組成物Dは、拭う前及び拭った後に、低いΔE及び低いΔLを呈することが判明する。そのため、本発明による組成物Dは、着色効果及び白色化効果がきわめて低く、したがって非常に被覆力があるというわけではない。