(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマー及び前記カルボキシル化ポリマーが、1:1〜1:3(ポリマー:カルボキシル化ポリマー)の重量比にある、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、組成物を提供する。本組成物は、概して、金属粉末と、はんだ粉末と、ポリマーと、該ポリマーとは異なるカルボキシル化ポリマーと、ジカルボン酸と、モノカルボン酸と、を含む。更なる実施形態において、本組成物は、本質的に前述の構成成分からなるか、又は代替として、前述の構成成分からなる。ある実施形態において、本組成物は、以下に更に記載されるより多くの添加剤のうちの1つを更に含むことができる。本組成物は、導体を形成するために有用である。典型的には、導体は、以下に更に記載されるように、組成物を加熱することによって形成される。本導体はまた、導電性がある導電体とも称され得る。特定の構成又は使用に限定されないが、本導体は、例えば、ブスバー、フィンガー、パッド、ドット、及び/又は他の電極構造などの様々な形態であり得る。これらのうちの幾つかは、以下でより詳細に記載されている。
【0009】
金属粉末は、様々な金属を含むことができる。典型的には、金属粉末は、約600℃を超える、約700℃を超える、約800℃を超える、又は約900℃を超える、融解温度(又は融点、MP)を有する。金属は、概して、卓越した導電性を有する。ある実施形態において、金属粉末は、銅(Cu)、金、銀(Ag)、亜鉛、アルミニウム、白金、パラジウム、ベリリウム、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、タングステン、及び/又はこれらの金属のうちの2つ以上の合金、からなる群から選択される、少なくとも1つの金属を含む。様々な実施形態において、金属は、金属粒子(同じであるか、若しくは互いに異なる)、及び/又は2つ以上の異なる金属を含む粒子、の混合物(若しくは配合物)を含む。後者の種類の粒子は、2つ以上の異なる金属からなる合金、及び/又は少なくとも1つの金属と、コア金属(複数可)とは異なる少なくとも1つの金属を含む1つ以上の外層とを有するコーティングされた粒子であり得る。このようなコーティングされた粒子の一例は、銀でコーティングされた(又はめっきされた)銅粒子である。
【0010】
ある実施形態において、本組成物は、実質的には、「重」金属を全く含まない。別言すれば、本組成物は、典型的には、本組成物の全重量に基づいて、それぞれ、0.5未満、0.25未満、0.1未満、0.5未満、ゼロ(0)に近い、又は0の重量パーセント(重量%)の重金属(複数可)を含む。重金属の例としては、水銀、カドミウム、鉛、及びクロムが挙げられる。ある実施形態において、本組成物は、水銀、カドミウム、鉛、及びクロムを含まない。更なる実施形態において、本組成物は、鉛(Pb)を含むはんだ粉末を含まない。
【0011】
金属粉末は、安定性増進剤及び/又は表面保護剤で処理され得る。このような処理は、例えば、ベンゾトリアゾール、イミダゾールなどのアゾールのような有機キレート剤を含むことができる。概して、このようなアゾールの分解生成物は、組成物から導体を形成するために、ポリマーとカルボキシル化ポリマーとの間の反応のための触媒として作用することができる。このような反応は、概して、形成後の導体の後硬化のいかなる必要性も除去する。
【0012】
ある実施形態において、金属粉末は、Cuを含むか、又はCu粉末である。様々な種類のCu粉末を利用することができる。例えば、Cu粉末は、上述される、表面処理を含み得る。金属粉末は、様々な大きさであり得る。典型的には、金属粉末は、平均して約0.05〜約25μm、約5〜約25μm、約5〜約15μm、又は約10μmの粒径を有する。単峰性、二峰性、又は多峰性分布を含む様々な粒径分布(PSD)を利用することができ、単峰性は、フラックス目的に対して典型的なものである。好適なCu粉末は、例えば、日本のMitsui Mining & Smelting Co.,Ltd.などの様々な供給元から市販されている1030Cu粉末又はY1400Cu粉末である。
【0013】
はんだ粉末は、金属粉末の融解温度よりも低い融解温度(即ち、融点)を有する。金属粉末のためのこのような温度は、上に記載されている。ある実施形態において、はんだ粉末は、約300℃を超えない、約275℃を超えない、約250℃を超えない、又は約225℃を超えない融解温度を有する。
【0014】
典型的には、はんだ粉末には、錫(Sn)、ビスマス、亜鉛、ガリウム、インジウム、テルリウム、タリウム、アンチモン、セレニウム、及び/又はこれらの金属のうちの2つ以上の合金からなる群から選択される、少なくとも1つの金属が含まれる。様々な実施形態において、はんだ粉末は、Sn、又は少なくとも1つのSn合金を含む。ある実施形態において、はんだ粉末は、2つの異なる合金、あるいは、2つを超える異なる合金を含む。例えば、はんだ粉末は、錫−ビスマス(SnBi)合金、錫−銀(SnAg)合金、又はこれらの組み合わせを含むことができる。「組み合わせ」は、単に、異なる金属、異なる金属、又は異なる金属(複数可)及び合金(複数可)の組み合わせであり得る。他の実施形態において、はんだ粉末は、SnPbを含み得る。
【0015】
ある実施形態において、はんだ粉末は、Sn42/Bi58、Sn96.5/Ag3.5、又はこれらの組み合わせを含む。このような合金の命名は、概して、質量によるそれぞれの金属の量を示す。Sn42/Bi58は、概して、約138℃の融解温度を有し、Sn96.5/Ag3.5は、概して、約221℃の融解温度を有する。これらの合金はそれぞれ、当該技術分野において、「合金281」及び「合金121」と称され得る。典型的には、はんだ粉末は、平均して約0.05〜約25μm、約2.5〜約25μm、約5〜約20μm、約5〜約15μm、又は約10μmの粒径を有する。様々なPSD、及びその様式を利用することができる。好適なはんだ粉末は、例えば、Indium Corporation of America(Elk Grove Village,IL)などの様々な供給元から市販されている。
【0016】
はんだは、特に、導体の形成後の金属粉末の酸化を抑制するために有用である。はんだはまた、補給用はんだの濡れ性を強化し、導体を採用するはんだ付け操作中、強力なはんだ接合形成を促進すると考えられる。更に以下に記載されるように、はんだ粉末は、融解時に、概して、組成物が最終硬化状態に達する前に、金属粉末の粒子を一緒に溶着する。このような融解及び溶着は、形成中、導体中の導電性ブリッジを形成する。
【0017】
金属粉末及びはんだ粉末は、様々な量で組成物中に存在し得る。典型的には、金属粉末及びはんだ粉末は総じて、組成物の全重量に基づいて、それぞれ、約50〜約95重量%、約80〜約95重量%、約80〜約90重量%、又は約85重量%の量(又は合わせた量)で存在する。典型的には、金属粉末は、組成物の全重量に基づいて、それぞれ、約35〜約85重量%、約35〜約65重量%、約40〜約55重量%、約40〜約50重量%、又は約45重量%の個々の量で組成物中に存在する。典型的には、はんだ粉末は、組成物の全重量に基づいて、それぞれ、約25〜約75重量%、約25〜約55重量%、約30〜約50重量%、約35〜約45重量%、又は約40重量%の個々の量で組成物中に存在する。
【0018】
ポリマーは、様々な種類のポリマー又はポリマーを得るために重合可能なモノマーを含むことができる。ポリマーは、概して、エポキシ、アクリル、シリコーン、ポリウレタン、又はこれらの組み合わせなどの熱硬化性樹脂である。ある実施形態において、ポリマーは、「B段階」樹脂でもあり得るエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂の例は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、及びビスフェノールFのジグリシジルエーテルを含む。
【0019】
ポリマーがエポキシ樹脂を含む(又はエポキシ樹脂である)実施形態において、エポキシ樹脂は、様々なエポキシド当量(EEW)であり得る。ある実施形態において、エポキシ樹脂は、約20〜約100,000g/当量、約30〜約50,000g/当量、約35〜約25,000g/当量、約40〜約10,000g/当量、約150〜約7,500g/当量、約170〜約5,000g/当量、約250〜約2,500g/当量、約300〜約2,000g/当量、約312〜約1,590g/当量、約400〜約1,000g/当量、又は約450〜約600g/当量のEEWを有する。EEWは、当該技術分野において理解される方法によって、例えば、ASTM D1652によって判定され得る。
【0020】
エポキシ樹脂の好適な例は、D.E.R.(商標)383、6116、662 UH、331、323、354、736、732、324、353、667E、668−20、671−X70、671−X75、684−EK40、6225、6155、669E、660−MAK80、660−PA80、337−X80、337−X90、660−X80、661−A80、671−PM75、3680−X90、6510HT、330、332、6224、6330−A10、642U、661、662E、663U、663UE、664U、672U、664UM、667−20、669−20、671−R75、671−T75、671−XM75、及び/又は692Hなどの商標D.E.R.(商標)下で、Dow Chemical(Midland,MI)から市販されている。他の好適なエポキシ樹脂は、商標Araldite(登録商標)及びEpikote(商標)下で、Huntsman及びMomentiveから市販されている。
【0021】
ポリマーは、概して、硬化後、基板への導体の接着を改善し、導体の全体的な貼着力を増加させる結合剤として機能する。一般に、導体は、卓越した接着及び貼着特性を有する。硬化中/後、ポリマーは、その間の界面(複数可)で導体と基板との間に接着を提供し、導体の内部の構成要素、例えば、金属粉末の間に貼着も提供する。ポリマーは、はんだ付け可能な表面及びはんだ付け不可能な表面を含む、様々な異なる表面に接着させることができる。ポリマーはまた、直接はんだ付けする目的のため、例えば、タブ付けのために、基板界面と反対側に金属粉末の一部を示す。最終硬化状態に達する前に、ポリマーはまた、以下に更に記載されるように、金属粉末へのフラックスを送達するための媒体としても作用する。
【0022】
カルボキシル化ポリマーは、導体が、概して、架橋構造を有するように、1つ以上のカルボキシル(−COOH)基、典型的には、2つ以上のカルボキシル基を有する様々な種類のポリマー及びコポリマーを含むことができる。概して、フラックスとして作用する−COOH基(複数可)は、組成物中の他の基(例えば、ポリマーのエポキシ基)と反応し、及び/又は金属酸化物で塩を形成し、ひいては、硬化を促進する(例えば、エポキシ硬化を触媒する)。これらのカルボキシル化ポリマーの例には、不飽和脂肪族又は芳香族の酸の、場合により、アルケン、アルキン、及び/又はアリレンなどの不飽和脂肪族又は芳香族の炭化水素と組み合わせた、アニオン機構又はラジカル機構によって重合又は共重合から得られたものが含まれる。好適な不飽和カルボン酸には、例えば、メタクリル酸、ハロゲンアクリル酸、クロトン酸、カルボキシエチルアクリレート、アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、プロパルギル酢酸、及び/又はアセチレンジカルボン酸などの脂肪族カルボン酸、並びにビニル安息香酸及び/又はフェニルプロピニル酸などの不飽和芳香族酸が含まれる。カルボキシル化コポリマーを形成するために不飽和酸と組み合わせた好適な不飽和アルケンには、プロピレン、イソブチレン、ビニルクロリド、及び/又はスチレンが含まれる。好適なカルボキシル化ポリマーの他の例には、カルボン酸官能性ポリエステル樹脂及びカルボン酸無水物及びそれらから作製されたポリマーが含まれる。
【0023】
カルボキシル化ポリマーは、様々な酸当量(AEW)であり得る。ある実施形態において、カルボキシル化ポリマーは、約20〜約100,000g/当量、約25〜約50,000g/当量、約30〜約25,000g/当量、約30〜約10,000g/当量、約30〜約5,000g/当量、約30〜約2,500g/当量、約30〜約2,000g/当量、約40〜約1,000g/当量、又は約50〜約500g/当量のAEWを有する。AEWは、酸価を判定するために、例えば、カルボキシル基の数で分子量を割ることによって、及び/又はASTM D1980によって、当該技術分野において理解される方法によって判定され得る。
【0024】
カルボキシル化ポリマーは、導体を形成するために、金属粉末を溶かすため、及びポリマーを架橋するために有用である。具体的には、組成物を加熱して、導体を形成する間、カルボキシル化ポリマーは、概して、第1の温度で金属粉末を溶かし、第1の温度よりも一般に高い第2の温度でポリマーのための架橋剤として作用する。これらの温度は、異なり得るが、概して、本明細書に記載される温度範囲内である。
【0025】
カルボキシル化ポリマーは金属粉末のためのフラックス剤として作用するが、一般に、金属の表面上に金属酸化物を溶解する。金属酸化物の除去は、金属粒子を群化(又は粒塊化)することができ、形成中、特に、はんだ−Cu接合の場合、導体中に導電性ブリッジをより良好に形成することができる。典型的には、金属粉末は、導体の形成中、原位置で溶かされ、そのため、使用前に金属粉末のプレフラックスを必要としない。例えば、プレフラックサー/クリーナ、例えば、酸は、使用前に組成物中の金属粉末の表面から酸化物の除去を必要としない。ある実施形態において、本発明は、プレフラックサー/プレフラックスを欠く。
【0026】
更に、除去された金属酸化物は、一般に、高温でポリマーとカルボキシル化ポリマーのカルボキシル基との間の反応を触媒するのに十分な量で存在する。初めに、金属粉末を加熱することによって金属酸化物が与えられ、酸化して、酸化物を形成する。酸化物は、カルボキシル化ポリマーと反応して、塩を得ることができる。酸化物及び塩は、ポリマー及びカルボキシル化ポリマーの反応のために触媒として作用し得る。更に、触媒は、金属粉末(複数可)を処理するために使用された可能性があるキレート剤の熱放出でもって利用可能になり得る。様々な触媒は、有機錫及び銅塩、ベンゾトリアゾール、イミダゾールなどの金属及び/又ははんだ粉末の種類に基づいて遊離され得る。これらの様々な機構は、一般に、組成物の塗布後及び導体の形成中に生じる。これらの機構は、融解、浸潤、フラックス塗布、及び硬化温度、又はその組成物/構成成分のプロファイルと相関関係を有する。
【0027】
ある実施形態において、カルボキシル化ポリマーは、アクリルポリマーを含む。更なる実施形態において、カルボキシル化ポリマーは、スチレン−アクリルのコポリマーを含む。特定の実施形態において、カルボキシル化ポリマーは、215℃で熱的に安定であり、20℃で200を超える酸価及び/又は0.01Pa.s(10センチポアズ)未満の粘度を有する。好適なアクリルポリマーの例は、例えば、Joncryl(登録商標)50、60、61、63、67、74−A、77、89、95、142、500、504、507、508、510、530、537、538−A、550、551、552、556、558、581、585、587、611、624、631、633、646、655、660、678、680、682、683、690、693、690、693、750、804、815、817、819、820、821、822、843、845、848、901、902、903、906、906−AC、909、911、915、918、920、922、924、934、935、939、942、945、948、960、963、1163、1520、1522、1532、1536、1540、1610、1612、1655、1670、1680、1695、1907、1908、1915、1916、1919、1954、1980、1982、1984、1987、1992、1993、2153、2178、2350、2561、2570、2640、2646、2660、2664、8383、及び/又はHR 1620などのJoncryl(登録商標)の商標下で、BASF Corp.(Florham Park,NJ)から市販されている。
【0028】
典型的には、ポリマー及びカルボキシル化ポリマーは、総じて、それぞれ、組成物の全重量に基づいて、約2.5〜約10重量%、約2.5〜約7.5重量%、約3〜約6重量%、約5〜約6重量%、又は約5.5重量%の量で組成物中に存在する。ある実施形態において、ポリマー及びカルボキシル化ポリマーは、約1:1〜約1:3、約1:1〜約1:2.75、約1:1〜約1:2.5、又は約1:1.5〜約1:2.5(ポリマー:カルボキシル化ポリマー)の重量比にある。
【0029】
典型的には、ポリマーは、それぞれ、組成物の全重量に基づいて、約0.5〜約5重量%、約1〜約2.5重量%、約1.5〜約2重量%、又は約1.75重量%の量で組成物中に存在する。典型的には、カルボキシル化ポリマーは、それぞれ、組成物の全重量に基づいて、約1〜約7.5重量%、約2〜約5重量%、約3約4重量%、又は約3.5〜約4重量%の量で組成物中に存在する。
【0030】
カルボキシル化ポリマーに加えて、ジカルボン酸もまた、金属粉末を溶かすために有用である。様々な種類のジカルボン酸を利用することができる。好適なジカルボン酸の例には、直鎖、環状、芳香族及び/若しくは高度分岐状アルキル及び/又は不飽和脂肪族及び/若しくはアリールジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、マレイン酸、グルタコン酸、トラウマチン酸、ムコン酸、フタル酸、イソフタル酸、及び/若しくはテレフタル酸などが含まれる。ある実施形態において、ジカルボン酸は、ドデカン二酸(DDDA)である。典型的には、ジカルボン酸は、組成物の全重量に基づいて、それぞれ、約0.05〜約1重量%、約0.1〜約0.75重量%、約0.2〜約0.5重量%、又は約0.2〜約0.3重量%の量で組成物中に存在する。
【0031】
カルボキシル化ポリマー及びジカルボン酸に加えて、モノカルボン酸もまた、金属粉末を溶かすために有用である。具体的には、モノカルボン酸は、周囲温度で既に存在し得るか、又は形成され得る金属酸化物から組成物の早期硬化を防ぐために有用である。様々な種類のモノカルボン酸を利用することができる。好適なモノカルボン酸の例には、直鎖、環状、芳香族及び/若しくは高度分岐状アルキル及び/又は不飽和脂肪族及び/若しくはアリールモノカルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、ハロゲン酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、デカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イコサン酸、イソ酪酸、イソペンタン酸、ネオペンタン酸、ネオデカン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ネルボン酸、リノール酸オクチン酸、安息香酸、及び/又はフェニルプロピン酸が含まれる。様々な実施形態において、モノカルボン酸は、バーサチック酸である。ある実施形態において、モノカルボン酸は、大部分は、三次構造のC
10モノカルボン酸の高度分岐状異性体の混合物を含む合成酸であるバーサチック10である。バーサチック10はまた、当該技術分野において、ネオデカン酸とも称され得る。好適なモノカルボン酸の例は、Hexion Specialty Chemicals(Carpentersville,IL)から市販されている。
【0032】
モノカルボン酸における高度の分岐が、優れた安定性のあるそれから形成される塩を得る立体障害を引き起こすことが考えられる。ある実施形態において、モノカルボン酸は、室温(RT、約20〜25℃)で液体である。典型的には、モノカルボン酸は、組成物の全重量に基づいて、それぞれ、約0.25〜約1.25重量%、約0.25〜約1重量%、約0.25〜約0.75重量%、約0.4〜約0.5重量%、又は約0.45重量%の量で組成物中に存在する。
【0033】
エポキシ基が提供されるように、ポリマーがエポキシ樹脂を含む実施形態において、酸性基(酸によって提供される)とエポキシ基との比は、概ね、酸性:エポキシ(A:E)が約1:1〜約10:1、約2:1〜約9:1、約3:1〜約8:1、約4:1〜約7:1、約5:1〜約7:1、又は約6:1〜約7:1である。更なる実施形態において、酸性基とエポキシ基との比は、概ね、A:Eが少なくとも約3:1、少なくとも約3.5:1、少なくとも約4:1、少なくとも約4.5:1、少なくとも約5:1、少なくとも約5.5:1、少なくとも約6:1、少なくとも約6.5:1、又は少なくとも約7:1である。
【0034】
いかなる特定の理論にも拘束又は制限されることなく、例えば、約4:1を超えるようなA:Eの比の増加により、金属粉末のプレフラックスを必要とせずに、金属粉末の卓越したフラックスを提供すると考えられる。例えば、A:Eが約4:1未満であるような低い比では、組成物は、金属粉末の不十分なフラックスのため、直接はんだ付けできないであろうと考えられる。具体的には、ある実施形態において、約4:1を下回るA:Eで、フラックスは、行われない場合があり、これは、加熱/硬化中、色の変化によって判定され得る。加えて、このような低いレベルでは、はんだ粉末は、フラックスを行っていても、浸潤及び/又ははんだ付けできない場合がある。一般に、茶色から薄い灰色から濃い灰色への色の変化(又は推移)は、十分なフラックス又はフラックスされた材料を示す。したがって、材料をフラックスしようと試みた後、この材料が茶色(又は茶色っぽい、例えば、銅褐色)のままである場合、フラックスが起こらなかったか、不十分であった。効率的に、はんだのみで判断できるように、はんだが付いた金属粉末、例えば、Cuの表面から浸潤するため、フラックス後に材料が灰色に変わると考えられる。フラックスが不十分である状況では、はんだが付いた金属粉末の表面が、完全には、浸潤ではない、そのため、依然として可視的である。
【0035】
ある実施形態において、組成物は、添加剤を更に含むことができる。様々な種類の添加剤を利用することができる。好適な添加剤の例には、溶媒、接着促進剤、消泡剤、不活性化剤、抗酸化剤、レオロジー増進剤/改変剤、及び/又は熱剤が含まれる。組成物の様々な実施形態を形成するために有用な好適な成分の更なる例は、Craigの米国特許第7,022,266号、及びCraigらの米国特許第6,971,163号に開示されており、これらの双方は、本発明の一般的な範囲と矛盾しない程度まで、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0036】
利用される場合、溶媒は、ポリマー及び/又はカルボキシル化ポリマーを溶液に切削するために有用であり得る。溶媒はまた、これらの成分のうちの1つ以上の粘度を調節するため、及び/又は組成物それ自体のレオロジーを調節するために有用であり得る。組成物の粘度を調節することは、組成物が印刷又は同様の技術によって塗布される場合、様々な目的のため、例えば、所望の粘度を得るために有用であり得る。様々な種類の溶媒を利用することができる。好適な溶媒の例には、モノテルペンアルコール(例えばテルピネオール)及びベンジルアルコールなどのアルコールが含まれる。更なる例には、2−エトキシエチルアセテート、2(3)−(テトラヒドロフルフリルオキシ)テトラヒドロピラン、ジイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、及びプロピレングリコール−1,2プロパンジオールが含まれる。このような溶媒は、Sigma Aldrich(Chicago,IL)などの様々な供給源から市販されている。別の好適な溶媒は、Dow Chemicalから市販されているブチルカルビトールである。様々な組み合わせの溶媒を利用することができる。溶媒は、様々な量で使用することができる。ある実施形態において、溶媒(複数可)は、組成物の全重量に基づいて、それぞれ、約0.5〜約15重量%、約1〜約12.5重量%、約2.5〜約10重量%、約5〜約7.5重量%、又は約5〜約7重量%の量で組成物中に存在する。塗布技術に応じて、溶媒は、既定の量で添加されるか、及び/又は必要に応じて添加されてもよい。
【0037】
利用される場合、接着促進剤は、様々な基板上で導体の接着を更に増加させるために有用である。様々な種類の接着促進剤を利用することができる。好適な接着促進剤(又はカップリング剤)の例には、シラン及び/又はチタン酸塩に基づいたものが含まれる。シラン接着促進剤を使用することは、有機官能基を有する基板への接着を増加させるために有用である。チタン酸塩接着促進剤を使用することは、無機充填剤を有する基板への接着を増加させるために有用である。チタン酸塩カップリング剤が無機充填剤の表面に結合されて、有機マトリックスとの適合性を改善し、基板への接着も改善すると考えられる。異なる促進剤の組み合わせを使用することができる。ある実施形態において、接着促進剤、例えばチタン酸塩を、組成物のポリマーのうちの少なくとも1つと反応させる。2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリメトキシシラン、例えばZ−6043又はグリシドキシプロプルトリメトキシシラン、例えばZ−6040などの好適な接着促進剤の例は、Dow Corning Corp.(Midland,MI)から市販されている。更なる好適な例には、Silquest A−187などのSilquestの商標下で、Momentiveから、Xiameter(登録商標)OFS−6040などXiameterから、Ken−React(登録商標)KR9SなどのKen−React(登録商標)の商標下で、Kenrich Petrochemicals Co.(Bayonne,NJ)から市販されているものが含まれる。必須ではないが、接着促進剤は、様々な量で使用することができる。ある実施形態において、接着促進剤(複数可)は、組成物の全重量に基づいて、それぞれ、約0.01〜約3重量%、約0.1〜約2重量%、約0.25〜約1重量%、又は約0.8重量%の量で組成物中に存在する。
【0038】
利用される場合、消泡剤は、組成物の形成及び/又は使用中の発泡を防ぐために有用である。様々な種類の消泡剤を利用することができる。好適な消泡剤の例には、シリコーンを含まない消泡剤が含まれる。好適な消泡剤の例は、BYK(登録商標)−052などのBYK additives & instruments(Wallingford,CT)から市販されている。必須ではないが、消泡剤は、様々な量で使用することができる。ある実施形態において、消泡剤(複数可)は、組成物の全重量に基づいて、それぞれ、約0.01〜約1重量%、約0.1〜約0.75重量%、約0.1〜約0.5重量%、又は約0.1〜約0.3重量%の量で組成物中に存在する。
【0039】
利用される場合、不活性化剤及び/又は抗酸化剤は、金属、例えばCuの移動を抑制するために有用である。様々な種類の不活性化剤及び/又は抗酸化剤を利用することができる。一実施形態において、不活性化剤は、オキサリルビス(ベンジリデンヒドラジド)を含む。好適な不活性化剤及び/又は抗酸化剤の例は、Eastman(商標)OABH阻害剤など、Eastman Chemical Co.(Kingsport,TN)から市販されている。必須ではないが、不活性化剤及び/又は抗酸化剤は、様々な量で使用することができる。ある実施形態において、不活性化剤(複数可)は、組成物の全重量に基づいて、それぞれ、約0.01〜約1重量%、約0.1〜約0.75重量%、約0.1〜約0.5重量%、又は約0.1〜約0.4重量%の量で組成物中に存在する。
【0040】
ある実施形態において、本組成物は、スチレンジブロミドを含む。特定の例は、1,2ジブロモエチルベンゼンであり、Sigma Aldrichから市販されている。スチレンジブロミドは、組成物の熱伝導率を増加させるために有用である。加えて、ビニル官能基の存在は、導体の形成中、スチレンを重合させることができる。必須ではないが、スチレンジブロミドは、様々な量で使用することができる。ある実施形態において、スチレンジブロミドは、組成物の全重量に基づいて、それぞれ、約0.05〜約1重量%、約0.1〜約0.75重量%、約0.1〜約0.5重量%、又は約0.2〜約0.3重量%の量で組成物中に存在する。
【0041】
ここで図面を参照すると、同じ数字は、幾つかの図面を通して同じ部分を示し、組成物は、概して、20”で示され、それから形成された導体は、概して、20で示される。本明細書に使用される、引用符(”)は、概して、例えば、硬化前、焼結前などのそれぞれの成分又は組成物の異なる状態を示すが、一方、”の欠如は、それぞれの成分又は組成物の後又は最終硬化状態を指す。
【0042】
図1を参照すると、組成物20”は、基板22上に配設され、概して、左に「硬化前」、右に「硬化」が示され、そのため、それは、導体20である。上で示唆されるように、導体20は、様々な用途のための、電流輸送及び/又は電気接続のために有用である。組成物20”及び導体20は、いかなる特定の用途にも限定されない。組成物20”を使用して、様々な物品を形成することができる。このような物品は、一般に、基板22を含み、導体20が基板22上に配設される。基板22は、様々な材料から形成することができる。一実施形態において、基板22はまた、それ自体が導体でもある。このような導電性基板22の例には、金属及び半導体が含まれる。金属基板22の特定の例には、アルミニウム、銀、又はこれらの組み合わせが含まれる。半導体基板22の例には、結晶ケイ素などのケイ素から形成されたものが含まれる。他の実施形態において、基板22は、誘電体(又は絶縁体)である。組成物20”は、様々な材料上に配設され得、これには、上述されるものの組み合わせが含まれる。他の特定の材料の例には、はんだ付け可能な金属、及び、例えば、ニッケル又は従来のバルク基板の高融点導電性金属などのはんだ付け不可能な金属の両方が含まれる。概して、金属材料のみが、はんだ付け可能であると考えられる。
【0043】
導体20は、ブスバー、接触パッド、細線、フィンガー、及び/又は電極として使用するために構成されるような、様々な形態をとり、様々な大きさ及び形状であり得る。例えば、組成物20”を使用して、印刷又は他の手段によって、細線、例えば、70μmの線、点、点及び線などを形成することができる。他の幅も形成することができる。導体20は、いかなる特定の形状又は構成にも限定されない。前述の構成要素のうちの幾つかは、以下に更に記載される、光起電力(PV)電池及び他のPV装置に有用である。組成物20”は、例えば、回路基板、例えば、プリント回路基板(PCB)の生成のためなどの他の用途、又は導電材料を必要とする他の用途のためのものでもあり得る。導体20は、直接はんだ付け可能であり、これは、例えば、導体20に直接接続するためにタブ付けを使用することによって、改善された接続を提供する。別言すれば、典型的には、そこに直接はんだ付けする前に導体20から除去する必要があるトップコート層も、保護層も、最外層もない。これは、製造時間、複雑性、及び費用の低減を提供する。例えば、タブ付け52は、講じるべき更なる工程を必要とせずに導体20に直接はんだ付けすることができる。ある実施形態において、これに対する例外は、更なるフラックス塗布工程であり得る。概して、表面は、はんだが処理後の表面上で浸潤し得る場合、直接はんだ付け可能である。例えば、基板に銅線を直接はんだ付けするか(商業的に適当な時間枠内で、塗布されたフラックスを一般に用いて)、錫めっきのはんだごてを使用してブスバー上にはんだ層を定置するか、あるいは単に基板を加熱して、はんだが電極表面に浸潤することを確認することができる場合、この材料は、直接はんだ付け可能であり得る。はんだ付け不可能なシステムの場合、フラックスを塗布し、広範囲に加熱した後でさえ、はんだは表面を濡らさず、はんだ接合をなすことができない。
【0044】
ある実施形態において、組成物20”を、その硬化機構に依存することによって、接着剤として使用して、導体20を形成することができる。例えば、組成物20”を塗布し、加熱して、導体20を形成することができ、導体20は、例えば、定位置に導線を保持すること、2つの基板を一つにまとめることなどの接着剤としての役割を果たすことができる。この導線は、組成物20”中に配設することができる、及び/又は組成物20”は、導線上に配設され、続いて、硬化させて導体20を形成し、それによって定位置に導線を保持することができる。導体20を形成するために最終硬化させる前に、組成物20”によって提供される瞬間又は中間接着強度は、生強度と称され得る。
【0045】
本発明の組成物を利用して、1つ以上の構造/その成分、例えば本発明の組成物から形成されたブスバーなどを形成するための様々な種類のPV電池32の更なる実施形態は、同時係属PCT公開第________________号(代理人整理番号DC11371 PSP1;071038.01087)、及び同時係属PCT公開第________________号(代理人整理番号DC11372 PSP1;071038.01089)に記載されており、両方とも対象出願と同時に出願され、これらの開示は、本発明の一般的な範囲と矛盾しない程度まで、その全体が参照することにより組み込まれる。
【0046】
本発明はまた、導体20の形成方法も提供する。本方法は、組成物20”を基板22に塗布する工程を含む。組成物20”は、様々な方法によって塗布することができる。スクリーン若しくはステンシルを通して印刷する、又はエアロゾル、インクジェット、グラビア、若しくはフレキソ印刷などの他の方法の様々な種類の蒸着方法が、利用され得る。ある実施形態において、組成物20”は、基板22上に直接スクリーン印刷される。組成物20”は、一般に、ペーストの形態であり、したがって、印刷は、容易に利用することができる一方法である。上記で導入されるように、必要に応じて、溶媒(複数可)を利用して、組成物20”の印刷粘度を調節することができる。組成物20”を基板22に塗布して、基板22に直接物理的及び電気的に接触させることができる。
【0047】
上記のように、組成物20”のはんだ粉末24”は、組成物20”の金属粉末26の融解温度よりも低い温度で融解する。組成物20”は、ポリマー及び上記の構成要素28”を更に含む。本方法は、約300℃を超えない温度まで組成物20”を加熱して、導体20を形成する工程を更に含む。組成物20”は、概ね、約150〜約300℃、約175〜約275℃、約200〜約250℃、約200〜約225℃、約210〜約225℃、又は約225℃の温度まで加熱される。ある実施形態において、組成物20”は、約250℃、約225℃、又は約210℃以下で加熱され、導体20を形成する。ある実施形態において、組成物20”は、約200〜約300℃又はその間の任意の温度まで加熱される。これらの温度は、一般に、導体20を形成するために、はんだ粉末24”を焼結するが、金属粉末26を焼結しない。このような加熱はまた、当該技術分野において、リフロー又は焼結と称され得る。
【0048】
図1及び2を参照すると、はんだ粉末24”は、組成物20”の加熱中、金属粉末26の粒子を焼結し、コーティングして、導体20を形成すると考えられる。また、この時間中、組成物20”は、揮発物を喪失し得、ポリマー28”が、最終硬化状態28に架橋し、概して、基板22への接着を提供する。
図2に示されるように、ポリマー28の少なくとも一部分は、基板22と直接接触する。金属間層30は、一般に、金属粉末26の粒子の周辺に形成する。このようなコーティングは、金属粉末26のコーティングされた粒子のはんだ24が、電流を運ぶことを可能にし、金属粉末26の酸化を防ぐこともできる。低温のため、金属粉末26は、一般に、加熱中、焼結しない。この低温の加熱工程は、一般に、温度感受性基板22、例えば、非晶質ケイ素又は透明導電性酸化物の使用を可能にする。
【0049】
組成物20”は、様々な時間加熱して、導体20を形成することができる。典型的には、組成物20”は、導体20を形成するのに必要とされる時間の間だけ加熱される。このような時間は、日常的な実験によって判定され得る。はんだ24”でコーティングされる前に、不活性ガス、例えば、窒素(N
2)ガスブランケットを使用して、金属粉末26の早期酸化を防ぐことができる。しかしながら、金属粉末26のプレフラックスは、一般には、必要とされない。より長時間の導体20の不必要な過熱は、基板22及び/又は導体20を損傷させる場合がある。
【0050】
いかなる特定の理論にも拘束又は限定されるものではないが、組成物20”は、一般に、熱出力がカルボキシル化ポリマーを活性化して、はんだ及び金属粉末24”、26を溶かすという機構に基づいてセルフフラックスであり、耐酸化性であると考えられる。放出された金属酸化物及び塩は、触媒として作用し、より高い温度でポリマーとカルボキシル化ポリマーとの間で迅速な架橋を促進する。触媒する酸化物は、天然金属、例えば、Cuの酸化から生じる。金属塩は、酸化物とカルボキシル化ポリマーとの間の反応から生じるか、又ははんだ及び金属粉末24”、26の加熱の結果として放出されている潤滑剤/安定性増進剤として使用される化合物である。フラックス/架橋機構に加えて、温度が上昇すると、はんだ粉末24”が金属粉末26の粒子を融解し、濡らし、
図1に示されるように、金属粉末26とはんだ粉末24との間に焼結が生じて、金属間層30を形成する。金属粉末26の粒子上のはんだコーティング24は、金属粉末26の更なる酸化を防ぎ、時間と共に導体20の導電性を維持するのに有益である。
【0051】
ここで
図3〜11を参照すると、光起電力(PV)電池を、概して、32で示す。上で示唆されるように、組成物20”は、PV電池32と共に使用することができる。具体的には、組成物20”及び得られる導体20は、任意の種類のPV電池、PV構造、又はPV構成と共に使用することができる。別言すれば、組成物20”は、いかなる特定の種類のPV用途にも限定されない。PV電池32は、多くの異なる波長の光を電気に変換するために有用である。したがって、PV電池32は、様々な用途のために使用することができる。例えば、複数のPV電池32は、太陽モジュール(図示せず)において使用することができる。太陽モジュールは、様々な場所において、並びに、住宅、商業的、又は工業的用途などの様々な用途のために使用することができる。例えば、太陽モジュールを使用して、電気を生成することができ、これを使用して、電気装置(例えば、光及び電気モーター)に動力を供給することができるか、太陽モジュールを使用して、太陽光から対象を遮蔽する(例えば、駐車スペース上に配設される太陽モジュール下に駐車された自動車を遮蔽する)ことができる。PV電池32は、いかなる特定の種類の使用にも限定されない。図面は、縮尺通りに図示されない。したがって、PV電池32のある構成成分は、示されるものよりも大きくても、小さくてもよい。
【0052】
図3を参照すると、PV電池32は、丸みを帯びた角のある正方形構成、即ち、擬似正方形で示される。この構成が示されているが、PV電池32は、様々な形状に構成され得る。例えば、PV電池32は、角のある長方形、丸みを帯びた又は曲線のある角のある長方形、丸などであり得る。PV電池32は、いかなる特定の形状にも限定されない。PV電池32は、様々な大きさ、例えば、10.2×10.2cm(4×4インチ)の正方形、12.7×12.7cm(5×5インチ)の正方形、15.2×15.2cm(6×6インチ)の正方形などであり得る。PV電池32は、いかなる特定の大きさにも限定されない。
【0053】
図4を参照すると、PV電池32は、底基板34を備える。底基板34は、ケイ素を含む。このケイ素はまた、当該技術分野において、半導体材料とも称され得る。単結晶ケイ素、多結晶ケイ素、非晶質ケイ素、又はこれらの組み合わせなどの様々な種類のケイ素が利用され得る。ある実施形態において、底基板34は、結晶ケイ素、例えば、単結晶ケイ素を含む。PV電池32は、一般に、当該技術分野において、ウェハ型のPV電池32と称される。ウェハは、単一(単)結晶又は多結晶ケイ素インゴットからウェハを機械的に切り取って典型的に形成されるケイ素の薄いシートである。代替として、ウェハは、ケイ素を鋳造すること、エピタキシャルリフトオフ法、ケイ素融液からケイ素シートを引き出すことなどから形成され得る。
【0054】
底基板34は、略平面的であるが、非平面的であってもよい。底基板34は、非平坦表面(図示せず)を含み得る。非平坦表面は、PV電池32の反射率を低減させるために有用である。非平坦表面は、ピラミッド形、逆ピラミッド形、ランダムなピラミッド形、等方性などの様々な構成であり得る。模様付けは、様々な方法によって底基板34に付与され得る。例えば、エッチング液は、底基板34に模様付けするために使用することができる。PV電池32は、いかなる特定の種類の模様付けプロセスにも限定されない。底基板34、例えば、ウェハは、厚さが平均して約1〜約1000μm、約75〜約750μm、約75〜約300μm、約100〜約300μm、又は約150〜約200μmといったような様々な厚さであり得る。
【0055】
底基板34は、典型的には、p型又はn型ケイ素基板(ドーピングに基づく)として分類される。ある実施形態において、底基板34は、一般に、太陽に上向きの/対向する側である、上部(又は前側)ドープ領域36を含む。上部ドープ領域36はまた、当該技術分野において、面エミッタ層又は活性半導体層とも称され得る。ある実施形態において、底基板34の上部ドープ領域36は、n型ドープ領域36(即ち、n
+エミッタ層)であり、そのため、底基板34の残部は一般に、p型である。他の実施形態において、底基板34の上部ドープ領域36は、p型ドープ領域36(即ち、p
+エミッタ層)であり、そのため、底基板34の残部は一般に、n型である。上部ドープ領域36は、厚さが平均して約0.1〜約5μm、約0.3〜約3μm、又は約0.4μmといったような様々な厚さであり得る。「選択エミッタ」法などにおいて、フィンガー44(以下に記載される)下のドーピングが増加するように、上部ドープ領域36が、適用され得る。
【0056】
図5〜9を参照すると、底基板34は、典型的には、上部ドープ領域36の反対側に裏面ドープ領域38を含む(存在する場合)。裏面ドープ領域38はまた、裏側ドープ領域38とも称され得る。ある実施形態において、裏面ドープ領域38はまた、当該技術分野において、裏面電界(BSF)とも称され得る。典型的には、ドープ領域のうちの一方、例えば、上部36がn型であり、他方のドープ領域、例えば、裏面38がp型である。反対の配置もまた、使用され得、即ち、上部36がp型であり、裏面38がn型である。反対側のドープ領域36、38が相互作用するような構成は、当該技術分野において、p−n接合(J)とも称され、少なくとも1つの正(p)の領域及び1つの負(n)の領域がある場合、光励起された電荷分離のために有用である。具体的には、異なるドーピングの2つの領域が隣接する場合、そこの間に画定された境界は一般に、当該技術分野において、接合と称される。このドーピングが反対側の極性からなる場合、接合(J)は一般に、p−n接合(J)と称される。ドーピングが単に異なる濃度からなる場合、この「境界」は、同様の領域、例えば、p領域とp
+領域との間の界面などの界面と称され得る。一般に、図面に示されるように、このような接合(J)は、どの種類のドーピングが底基板34に利用されるかに応じて、任意であり得る。PV電池32は、いかなる特定の接合(複数可)(J)の数又は場所にも限定されない。例えば、PV電池32は、前面又は裏面上などの1つの接合(J)のみを含み得る。
【0057】
図5〜8を参照すると、底基板34は、n型又はp型の裏面ドープ領域38を含む。
図9を参照すると、底基板34は、局所的ドープ領域38を含む。ある実施形態において、局所的ドープ領域38はn型であり、一方、他の実施形態において、領域38はp型である。
【0058】
様々な種類のドーパント及びドーピング方法を利用して、底基板34のドープ領域36、38を形成することができる。例えば、拡散炉を使用して、n型ドープ領域36、38を形成して、n−p(又は「p−n」)接合(J)を得ることができる。好適なガスの一例は、塩化ホスホリル(POCl
3)である。リンに加えて、又は代替として、ヒ素を使用して、n型領域36、38を形成することもできる。例えば、ホウ素又はガリウムなどの第V族からの元素周期表のうちの少なくとも1つを使用して、p型領域36、38を形成することができる。PV電池32は、いかなる特定の種類のドーパント又はドーピングプロセスにも限定されない。
【0059】
底基板34のドーピングは、様々な濃度であり得る。例えば、底基板34は、異なるドーパント濃度でドーピングして、約0.5〜約10Ω・cm(Ω.cm)、約0.75〜約3Ω・cm(Ω.cm)、又は約1Ω・cm(Ω.cm)の抵抗を得ることができる。上部ドープ領域36は、異なるドーパント濃度でドーピングして、約50〜約150Ω/□(1□当たりΩ)、又は約75〜約125Ω/□(1□当たりΩ)、又は約100Ω/□(1□当たりΩ)の面積抵抗を得ることができる。典型的には、より高濃度のドーピングは、より高い開回路電圧(V
oc)及びより低い抵抗をもたらし得るが、より高いドーピング濃度もまた、電池性能を激減させる電荷再結合をもたらし、結晶中の欠陥領域を導入することもできる。
【0060】
典型的には、上部ドープ領域36と反対側に、裏面ドープ領域38上に配設される第1の電極40がある(存在する場合)。第1の電極40は、外側表面41を有する。第1の電極40は、裏面ドープ領域38の全体又はその一部分のみを覆い得る。後者の場合、不動態化層42、例えば、SiN
xの一層を使用して、裏面ドープ領域38の露出した部分を保護するが、不動態化層42は、第1の電極40と、直接物理的及び電気的に接触する裏面ドープ領域38の部分との間には使用されない。第1の電極40は、一層、局在的接触を有する層、又はフィンガー及びブスバーを備える接触グリッド形態を採り得る。好適な構成の例としては、p型系構成、n型系構成、PERC又はPERL型構成、両面BSF型構成、内在性薄層を有するヘテロ接合(HIT)構成、エミッタラップスルー(EWT)構成、金属化ラップスルー(MWT)構成、くし型背面接触(IBC)構成などが挙げられるが、これらに限定されない。PV電池32は、いかなる特定の種類の第1の電極40又は電極構成にも限定されない。
【0061】
第1の電極40は、一層(例えば、
図5及び6)、局在的接触を有する層(例えば、
図8及び9)、又はフィンガー、ドット、パッド、及び/若しくはブスバーを備える接触グリッド(例えば、
図7)の形態を取り得る。好適な構成の例としては、p型系構成、n型系構成、PERC又はPERL型構成、両面BSF型構成、内在性薄層を有するヘテロ接合(HIT)構成などが挙げられる。PV電池32は、いかなる特定の種類の電極40又は電極構成にも限定されない。第1の電極40は、厚さが平均して約0.1〜約500μm、約1〜約100μm、又は約5〜約50μmといったような様々な厚さであり得る。これらの実施形態のうちの幾つか、及び他が、以下に詳細に説明される。
【0062】
ある実施形態において、第1の電極40は、大部分を占める量で第1の電極(複数可)40(のそれぞれ)中に存在する第1の金属を含む。第1の金属は、様々な種類の金属を含み得る。ある実施形態において、第1の金属は、Alを含む。他の実施形態において、第1の金属は、Agを含む。なお他の実施形態において、第1の金属は、Ag及びAlの組み合わせを含む。「大部分を占める量」とは、一般に、第1の金属が第1の電極40の主要な構成要素であり、そのため、第1の電極40中にも存在し得るあらゆる他の構成要素よりも多い量で存在することを意味する。ある実施形態において、第1の金属、例えば、Al及び/又はAgのこのような大部分を占める量は、一般に、第1の電極40の全重量に基づいて、それぞれ、約35重量%を超える、約45重量%を超える、又は約50重量%を超える。
【0063】
裏面ドープ領域38がp型である実施形態において、第1の電極40は、典型的には、元素周期律表の第III族のうちの少なくとも1つ、例えば、アルミニウム(Al)を含む。Alは、p型ドーパントとして使用することができる。例えば、Alペーストを底基板34に塗布し、燃成して、第1の電極40を形成することができるが、一方、裏面p
+型ドープ領域38を形成することもできる。スクリーン印刷プロセスなどの様々な方法によって、Alペーストを塗布することができる。他の好適な方法は、以下に説明される。
【0064】
図6に最良に示されるように、第2の電極45は、底基板34の裏面ドープ領域38から離間配置される。裏面ドープ領域38は、第2の電極45と(直接)物理的に接触しない。第2の電極45は、第1の電極40と電気的に接触する。第2の電極45は、第1の電極40の一部分にのみ接触する必要があるか、又は第1の電極40の全体を覆うことができる。第1及び第2の電極40、45は、当該技術分野において、電極スタックと称され得る。裏面ドープ領域38は、第1の電極40を介して第2の電極45と電気通信する。第2の電極45は、典型的には、パッド(複数可)45、接触パッド(複数可)45、又はブスバー(複数可)45の形状で構成される。本明細書で第2の電極45への言及は、様々な構成を指し得る。
【0065】
例えば、
図10及び11に最良に示されるように、PV電池32は、第1の電極40上にブスバー45として形状される一対の第2の電極45を含むことができる。加えて、一対の前側ブスバー50は、一般に、ミラー構成で第2の電極45の反対側に配設される。第2の電極45及びブスバー50は、化学的組成並びに/又は形状及び大きさなどの物理的特徴の両方で互いに同じであり得るか、又は異なり得る。ブスバー50は、以下に更に記載されている。
【0066】
図5、10、及び11に示されるように、PV電池32は、2つの第2の電極45を有し得る。ある実施形態において、PV電池20は、2つを超える第2の電極45、例えば、3つの第2の電極45、4つの第2の電極45、6つの第2の電極45などを有し得る。それぞれの第2の電極45は、少なくとも1つの電極40と電気的に接触する。第2の電極45は、裏面ドープ領域38から回収した電流を有する第1の電極40から電流を回収するために有用である。概して示されるように、第2の電極45は、第1の電極40の外側表面41上に直接配設され、そこに親密な物理的及び電気的接触を与える。これにより、第1の電極40から直接電流を運ぶために定位置に第2の電極45を置く。第1の電極40は、底基板34の裏面ドープ領域38と親密に物理的及び電気的に接触する。
【0067】
第2の電極45は、幅が平均して約0.5〜約10mm、約1〜約5mm、又は約2mmといったような様々な幅であり得る。第2の電極45は、厚さが平均して約0.1〜約500μm、約10〜約250μm、約30〜約100μm、又は約30〜約50μmといったような様々な厚さであり得る。第2の電極45は、様々な距離で離れて離間配置され得る。
【0068】
第2の電極45は、様々な材料から形成され得る。一実施形態において、第2の電極45は、本発明の組成物20”から形成される、即ち、導体20が第2の電極45である。他の実施形態において、第2の電極45は、ブスバー50と類似して、又は同様に形成される。第2の電極45は、ブスバー50のために以下に記載されるものと同じ様式(複数可)で形成され得る。
【0069】
図4、5、10、及び11に最良に示されるように、不動態化層42は、上部ドープ領域36上に配設される。不動態化層42は、例えば、PV電池32の反射率の低減、並びに一般に、表面及びバルク不動態化によるウェハの生存期間の改善によって、PV電池32によって太陽光吸収を増加させるために有用である。不動態化層42は、上部ドープ領域36の反対側に外側表面43を有する。不動態化層42はまた、当該技術分野において、誘電性不動態化層、又は反射防止コーティング(ARC)層とも称され得る。
【0070】
不動態化層42は、様々な材料から形成され得る。ある実施形態において、不動態化層42は、SiO
x、ZnS、MgF
x、SiN
x、SiCN
x、AlO
x、TiO
2、透明導電酸化物(TCO)、又はこれらの組み合わせを含む。好適なTCOの例には、ドープした金属酸化物、例えば、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、インジウムをドープした酸化カドミウム、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、又はこれらの組み合わせが含まれる。ある実施形態において、不動態化層42は、SiN
xを含む。SiN
xの使用は、その卓越した表面安定化の性質により有用である。ケイ素窒化物はまた、PV電池32の表面で担体再結合を防ぐために有用である。
【0071】
不動態化層42は、2つ以上の副層(図示せず)から形成され得、そのため、不動態化層42はまた、スタックとも称され得る。このような副層は、底部ARC(B−ARC)層及び/又は上部ARC(T−ARC)層を含み得る。このような副層はまた、誘電性層とも称され得、同じ又は異なる材料から形成され得る。例えば、SiN
xの2つを超える副層、SiN
xの副層及びAlO
xの副層などであり得る。
【0072】
不動態化層42は、様々な方法によって形成することができる。例えば、不動態化層42は、プラズマ助長化学蒸着(PECVD)プロセスを用いることによって形成され得る。不動態化層42がSiN
x、シラン、アンモニア、及び/又は他の前駆物質を含む実施形態において、PECVD炉中で使用して、不動態化層42を形成することができる。不動態化層42は、厚さが平均して約10〜約150nm、約50〜約90nm、又は約70nmといったような様々な厚さであり得る。十分な厚さは、コーティング材料及び底基板34の屈折率によって判定され得る。PV電池32は、いかなる特定の種類のコーティングプロセスにも限定されない。
【0073】
ある実施形態において、複数のフィンガー44は、互いに離間配置され、不動態化層42中に配設される。フィンガー44のそれぞれは、底基板34の上部ドープ領域36と電気的に接触する下部46を有する。実際に電気的に接触する下部46は、フィンガー44の先端/末端のように非常に小さくてもよい。フィンガー44のそれぞれはまた、不動態化層42の外側表面36を通じて外側に延在する下部46の反対側に上部48を有する。
図1及び4に最良に示されるように、フィンガー44は、一般に、グリッドパターン中に配設される。典型的には、フィンガー44が比較的に狭いが、抵抗損失を最小限に抑えるのに十分な厚さであるように、フィンガー44は、配設される。フィンガー44の配向及び数は異なり得る。
【0074】
フィンガー44は、幅が平均して約10〜約200μm、約70〜約150μm、約90〜約120μm、又は約100μmといったような様々な幅であり得る。フィンガー44は、例えば、平均して約1〜約5mm、約2〜約4mm、又は約2.5mm隔てて互いに様々な距離を隔てて離間配置され得る。フィンガー44は、厚さが平均して約5〜約50μm、約5〜約25μm、又は約10〜約20μmといったような様々な厚さであり得る。
【0075】
ある実施形態において、フィンガー44は、本発明の組成物20”から形成される、即ち、導体20はフィンガー44である。他の実施形態において、フィンガー44のそれぞれは、大部分を占める量でフィンガー44のそれぞれの中に存在する第1の金属を含む。第1の金属は、様々な種類の金属を含み得る。ある実施形態において、第1の金属は、銀(Ag)を含む。他の実施形態において、第1の金属は、銅(Cu)を含む。「大部分を占める量」とは、一般に、第1の金属がフィンガー44の主要な構成要素であり、そのため、フィンガー44中にも存在し得るあらゆる他の構成要素よりも多い量で存在することを意味する。ある実施形態において、第1の金属、例えば、Agのこのような大部分を占める量は、一般に、フィンガー44の全重量に基づいて、それぞれ、約35重量%を超える、約45重量%を超える、約50重量%を超える。
【0076】
フィンガー44は、様々な方法によって形成され得る。好適な方法には、スパッタリング、蒸着、ストリップ若しくはパッチコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、文字印刷、熱性印刷、分配若しくは転写印刷、スタンピング、電気めっき、無電解めっき、又はこれらの組み合わせが含まれる。このような方法はまた、組成物20”から導体20を形成するためにも使用され得る。ある種類の方法は、一般に、エッチング/焼成プロセスと称される。本発明の組成物20”に加えて、フィンガー44を形成するための他の組成物を、以下に更に説明する。
【0077】
ある実施形態において、フィンガー44は、(エッチング/焼成プロセスよりもむしろ)めっきプロセスによって形成される。これらの実施形態において、フィンガー44は、一般に、めっき又はスタック構造(図示せず)を含む。例えば、フィンガー44は、ニッケル(Ni)、Ag、Cu、及び/又はSnの層のうちの2つ以上を含み得る。層は、様々な順番であり得るが、但し、Cu層(存在する場合)が底基板34の上部ドープ領域36と直接物理的接触しないものとする。典型的には、Ag、又はCu以外の金属、例えばNiを含むシード層は、上部ドープ領域36と接触する。ある実施形態において、シード層は、Niシリサイドを含む。次いで、後続層は、シード層上に配設され、フィンガー44を形成する。フィンガー44がCuを含む場合、Sn又はAgなどの不動態化層が、酸化を防ぐためにCu層の上に配設される。ある実施形態において、フィンガー44の下部46は、Niを含み、フィンガー44の上部48は、Snを含み、Cuは、NiとSnとの間に配設される。このようにして、Cuは、Ni、Sn、及び周囲の不動態化層42による酸化から保護される。このような層は、エアロゾル印刷及び焼成、電気化学蒸着などの様々な方法によって形成され得る。PV電池32は、いかなる特定の種類のフィンガー44の形成プロセスにも限定されない。
【0078】
ブスバー50は、底基板34の上部ドープ領域36から離間配置される。
図3、10、及び11に示されるように、PV電池32は、一般に、2つのブスバー50を有する。ある実施形態において、PV電池32は、2つを超えるブスバー50(図示せず)、例えば、3つのブスバー50、4つのブスバー50、6つのブスバー50などを有し得る。それぞれのブスバー50は、フィンガー44の上部48と電気的に接触する。ブスバー50は、上部ドープ領域36から回収した電流を有するフィンガー44から電流を回収するために有用である。
図10に最良に示されるように、ブスバー50のそれぞれは、不動態化層42の外側表面34上及びフィンガー44のそれぞれの周辺に配設されて、フィンガー44の上部48に親密な物理的及び電気的接触を与える。典型的には、ブスバー50は、フィンガー44を横断する。別言すれば、ブスバー50は、フィンガー44に対して垂直を含む様々な角度であり得る。実際に物理的/電気的に接触する上部48は、フィンガー44の単に先端/末端のように小さくてもよい。このような接触は、フィンガー44から直接電流を運ぶために定位置にをブスバー50を設置する。フィンガー44はそれら自体、底基板34の上部ドープ領域36と親密に物理的及び電気的に接触する。典型的には、1つのみの接合(J)が、底基板34の前面又は裏面などの
図10のPV電池32中に存在する。
【0079】
ブスバー50は、幅が平均して約0.5〜約10mm、約1〜約5mm、又は約2mmといったような様々な幅であり得る。ブスバー50は、厚さが平均して約0.1〜約500μm、約10〜約250μm、約30〜約100μm、又は約30〜約50μmといったような様々な厚さであり得る。ブスバー50は、様々な距離を隔てて離間配置される。典型的には、ブスバー50は、例えば、
図1に示されるように、フィンガー44の長さをほぼ同等の領域に分割するように離間配置される。
【0080】
ある実施形態において、ブスバー50のうちの1つ以上は、本発明の組成物20”から形成される、即ち、導体20は、ブスバー50である。他の実施形態において、ブスバー50は、大部分を占める量でブスバー50中に存在する第2の金属を含む。「第2の」は、ブスバー50の金属とフィンガー44の「第1の」金属を区別するために使用され、量又は順番を示唆するものではない。第2の金属は、様々な種類の金属を含み得る。ある実施形態において、ブスバー50の第2の金属は、フィンガー44の第1の金属と同じである。例えば、第1及び第2の金属は、Cuであり得る。他の実施形態において、ブスバー50の第2の金属は、フィンガー44の第1の金属とは異なる。これらの実施形態において、第1の金属は、典型的には、Agを含み、第2の金属は、典型的には、Cuを含む。他の実施形態において、第2の金属は、Agを含む。「大部分を占める量」とは、一般に、第2の金属がブスバー50の主要な構成要素であり、そのため、ブスバー50中にも存在し得るあらゆる他の構成要素よりも多い量で存在することを意味する。ある実施形態において、第2の金属、例えばCuのこのような大部分を占める量は、一般に、ブスバー50の全重量に基づいて、それぞれ、約25重量%を超える、約30重量%を超える、約35重量%を超える、又は約40重量%を超える。
【0081】
ブスバー50はまた、一般に、第3の金属を含む。第3の金属は、フィンガー44の第1の金属とは異なる。第3の金属はまた、ブスバー50の第2の金属とは異なる。典型的には、これらの金属は、同じ金属の単に異なる酸化状態というよりもむしろ、異なる元素である。「第3の」は、ブスバー50の金属とフィンガー44の「第1の」金属を区別するために使用され、量又は順番を示唆するものではない。第3の金属は、第1及び第2の金属の融解温度よりも低い温度で融解する。典型的には、第3の金属は、約300℃を超えない、約275℃を超えない、約250℃を超えない融解温度を有する。このような温度は、以下に更に記載される低温でブスバー50を形成するために有用である。
【0082】
ある実施形態において、第3の金属は、組成物20”のはんだと同じであっても、異なっていてもよいはんだを含む。はんだは、様々な金属又はその合金を含み得る。これらの金属のうちの1つは、典型的には、Sn、鉛、ビスマス、カドミウム、亜鉛、ガリウム、インジウム、テルリウム、水銀、タリウム、アンチモン、セレニウム、及び/又はこれらの金属のうちの2つ以上の合金である。第3の金属は、様々な量で、典型的には、第2の金属よりも少ない量でブスバー50中に存在し得る。ブスバー50は、典型的には、以下に更に記載されるように、第2及び第3の金属に加えてポリマー(複数可)を含み、これは、組成物20”のポリマーと同じであっても、異なっていてもよい。
【0083】
図10に最良に示されるように、底基板34の上部ドープ領域36は、ブスバー50と(直接)物理的接触しない。具体的には、不動態化層42は、ブスバー50と上部ドープ領域36との間の「バリア」として作用する。いかなる特定の理論にも拘束又は制限されることなく、ブスバー50及び上部ドープ領域36の物理的な分離は、少なくとも2つの理由のために有益であると考えられる。第1に、このような分離は、底基板34への第2の金属、例えばCuの拡散を防ぐ。このような拡散の防止は、反対側のドープ領域がブスバー50の第2の金属によって分路されるのを防ぐと考えられる。第2に、このような物理的分離は、金属及びケイ素界面での少数の担体再結合を低減させると考えられる。金属/ケイ素界面の領域を低減させることによって、再結合による損失が一般に、低減され、開放電圧(V
oc)及び短絡電流密度(J
sc)が一般に、改善されると考えられる。この領域は、不動態化層42がブスバー50の大部分と上部ドープ領域36との間に配設されるため、低減され、フィンガー44が底基板34の上部ドープ領域36と接触する唯一の金属構成要素である。PV電池32の更なる実施形態を、これより、直下に記載する。
【0084】
図12のPV電池32は、
図3Aのものと類似しているが、不連続のフィンガー44を含む。ブスバー50は、フィンガー44間に画定される間隙47の上に配設される。間隙47は、様々な幅であり得るが、但し、ブスバー50がフィンガー44と電気的に接触するものとする。フィンガー44は、ある金属、例えばAgの大部分を含み得るが、一方、ブスバー50は、別の金属、例えばCu(上記のような)を含み得る。間隙47を有することによって、製造費用を低減させることができ(例えば、利用されるAgの全量を低減させることによって)、及び/又は接着剤が良い影響を及ぼし得る。
【0085】
図13のPV電池32は、
図12のものと類似しているが、フィンガー44aの上に配設される補助フィンガー44bを更に含む。補助フィンガー44bは、ブスバー50と同じ材料、例えばCu、又は異なる材料を含み得る。補助フィンガー44b及びブスバー50は、別々であっても(例えば、一方が他方の上に横たわる)、一体型であってもよい。補助フィンガー44bを利用することによって、フィンガー44a(例えば、Agフィンガー)の大きさを低減させることができ、これにより、製造費用を低減させる、及び/又は接着を改善させることができる。
【0086】
図14のPV電池32には、フィンガー44、ブスバー50a、並びにフィンガー44及びブスバー50aの上に配設される補助ブスバーパッド50bが含まれる。フィンガー44及びブスバー50は、別々であっても、一体型であってもよい。フィンガー44及びブスバー50aは、同じ大部分を占める金属、例えばAgを含み得るか、又は互いに異なり得る。ブスバーパッド50bは、例えば、本発明の組成物から形成される場合、Cu又は別の金属を含み得る。ブスバーパッド50bを利用することによって、ブスバー50a(例えばAgのブスバー50a)の大きさが低減され得る。
【0087】
図15のPV電池32は、
図12及び14のものと類似しているが、一対のブスバー50a及び補助ブスバー50bは、ブスバー50aの上に配設される。フィンガー44及びブスバー50aは、別々であり得るか、又は一体型であり得る。フィンガー44及びブスバー50aは、同じ大部分を占める金属、例えばAgを含み得るか、又は互いに異なり得る。補助ブスバー50bは、Cu又は別の金属を含み得る。補助ブスバー50bを利用することによって、ブスバー50aの大きさが低減され得る。
【0088】
図16及び17のPV電池32は、
図12のものと類似しているが、間隙47の代わりにパッドを有するフィンガー44が含まれる。パッド付フィンガー44は、ブスバー50への電気的接触及び接着を改善させるのに役立ち得る一方、使用されるAgの量を低減させ、製造費用を低減させる。
図17のフィンガー44は、中空パッド、即ち、内部間隙47を有し、これは、製造費用を低減させ、接着に良い影響を及ぼし得る。ブスバー50の一部が、中空パッド付フィンガー44の間隙47中に配設され得る。
【0089】
図18のPV電池32は、
図12のものと類似しているが、その上に配設される補助フィンガー44bを有する不連続なフィンガー44aが含まれる。不連続なフィンガー44aは、様々な形状、例えば、長方形、正方形、点、又はこれらの組み合わせであり得る。このようなフィンガー44aは、別の様式でめっき、印刷、又は形成され得る。複数の間隙47は、不連続なフィンガー44aによって画定される。補助フィンガー44b及びブスバー50は、別々であっても、一体型であってもよい。不連続なフィンガー44a及び補助フィンガー44bを利用することによって、製造費用を低減させることができる。不連続なフィンガー44aは、典型的には、エミッタ26と接触するが、一方、補助フィンガー44b及びブスバー50は、電流を運ぶ。
【0090】
図19及び20のPV電池32は、
図3Bのものと類似している。
図19では、第1の電極40は、孔49を画定するが、一方、
図20では、第1の電極40が、複数の孔49を画定する。孔(複数可)49はまた、存在する場合、不動態化層42によっても画定される。第2の電極45は、第1の電極40の上に配設され、孔(複数可)49を介して底基板34と電気的に接触する。底基板34は、孔(複数可)49に近接したドーピング38を含んでも、含まなくてもよい。底基板34は、第2の電極45と直接接触され得る。第2の電極45が組成物20”から形成される場合、はんだ24は、金属粉末26、例えばCuが底基板34、例えばSiに浸出/遊走する可能性を阻止することができる。孔49を利用することによって、製造費用を低減させることができる。代替として、誘電性不動態化層42は、Cu電極45と基板34との間であり得る。不動態化層42の可能な利益は、電池32の効率の改善をもたらす電荷再結合の低減の改善である。
【0091】
図21のPV電池32は、くし型フィンガー40及び一対のブスバー45を有するくし型背面接触(IBC)構成からなる。ブスバー45は、組成物20”から形成され得るが、一方、フィンガー40は、別の材料、例えばAgから形成され得る。このようなIBC構成は、当該技術分野において理解される。組成物20は、上記のいかなる特定の種類の構成にも限定されない。
【0092】
本発明はまた、PV電池32を形成する方法も提供する。本方法は、組成物20”をフィンガー44の上部分48に塗布して、層50”を形成する工程を含む。本組成物は、上で示唆されるように、様々な方法によって塗布され得る。ある実施形態において、組成物が、フィンガー44の上部48の少なくとも一部分に印刷されて、層50”を形成する。スクリーン若しくはステンシルを通して印刷する、又はエアロゾル、インクジェット、グラビア、若しくはフレキソ印刷などの他の方法の様々な種類の蒸着方法が、利用され得る。ある実施形態において、組成物が、不動態化層42の部分及びフィンガー44の上部48上に直接スクリーン印刷される。
【0093】
組成物20”の塗布後、底基板34の上部ドープ領域36は、典型的には、層50”と(直接)物理的接触がない。組成物20”を、不動態化層42及びフィンガー44のそれぞれの周辺に塗布して、層50”を有するフィンガー44の上部48に直接物理的及び電気的に接触させることができる。
【0094】
本方法は、約300℃を超えない温度まで層50”を加熱して、ブスバー50(即ち、導体20)を形成する工程を更に含む。層50”は、概ね、約150〜約300℃、約175〜約275℃、約200〜約250℃、又は約225℃の温度まで加熱される。ある実施形態において、層50”を、約250℃以下で加熱して、ブスバー50を形成する。このような温度は、一般に、層50”中で第3の金属(即ち、はんだ粉末)を焼結させるが、ブスバー50を形成するために層50”中で第2の金属(例えば金属粉末)を焼結させない。このような加熱はまた、当該技術分野において、リフロー又は焼結と称され得る。
【0095】
層50”は、様々な時間加熱して、ブスバー50を形成することができる。典型的には、層50”は、ブスバー50を形成するのに必要とされる時間の間だけ加熱される。このような時間は、日常的な実験によって判定され得る。はんだ24”でコーティングされる前に、不活性ガス、例えば、N
2ガスブランケットを使用して、Cu 26の早期酸化を防ぐことができる。より長時間のブスバー50の不必要な過熱は、上部ドープ領域36又はブスバー50を含むPV電池32の他の構成要素を損傷させる場合がある。同じ種類の方法を利用して、本発明の組成物を用いて第1の電極40上に第2の電極45を形成することができる。これは、上記のように、本発明の組成物20”を用いてブスバー50を形成することの代替となり得るか、又はそれに加えられ得る。
【0096】
一実施形態において、ブスバー50を形成する前に、本方法は、コーティング組成物を底基板34の上部ドープ領域36に塗布して、不動態化層42を形成する工程を含む。コーティング組成物は、上記の不動態化層42を形成するために好適なものなどの様々な構成要素を含み得る。コーティング組成物は、上で導入されるように、様々な方法によって塗布され得る。例えば、PECVDプロセスを利用することができる。不動態化層42がSiN
x、シラン、アンモニア、及び/又は他の前駆物質を含む実施形態において、PECVD炉中で使用して、不動態化層42を形成することができる。
【0097】
本方法は、形成されるべきフィンガー44に対応するフィンガーパターンにおいて、金属性組成物を不動態化層42の部分に塗布する工程を更に含む。フィンガーパターンのそれぞれは、一般に、不動態化層42と接触するそれらの下部と、塗布後、不動態化層42から離間配置されたそれらの上部とを有する。金属性組成物は、上で示唆されるように、様々な方法によって塗布され得る。ある実施形態において、金属性組成物は、不動態化層42の部分上に印刷されて、フィンガーパターンを形成する。スクリーン印刷、ステンシル印刷、エアロゾル印刷、インクジェット印刷、又はフレキソ印刷などの様々な種類の印刷方法が利用され得る。ある実施形態において、金属性組成物は、不動態化層42上に直接スクリーン印刷されて、フィンガーパターンを形成する。他の実施形態において、金属性組成物は、不動態化層42の部分上に電気化学的に蒸着させて、フィンガーパターンを形成する。他の好適な方法は、上に記載される。
【0098】
金属性組成物は、大部分を示す量で金属性組成物中に存在する第1の金属を含む。このような量は、上記の通りである。典型的には、第1の金属がAgである。典型的には、金属性組成物には、不動態化層42にエッチングするために1つ又は複数の構成要素が含まれる。このような構成要素には、一般に、フリット化された鉛枠ガラスが含まれる。他の構成要素はまた、無鉛又は低鉛ガラスなどの鉛枠ガラスに加えて、又は代替として使用され得る。
【0099】
様々な種類のフリット化された又はフリット化されていないAgのAlペーストが、金属性組成物として使用され得る。このようなペーストには、一般に、有機担体が含まれる。高温処理又は「焼成」時、有機担体は、燃え尽きて、バルク組成物から除去される。Ag粒子は、担体を通じて分散される。溶媒は、ペーストのレオロジーを調節するために含まれ得る。フリット化されたペーストには、一般に、PbO、B
2O
3、及びSiO
2を含む、ガラスフリットが含まれる。本方法は、いかなる特定のフリット化されたAgペーストにも限定されないが、但し、ペーストは、以下に記載されるように、高温でカバーシートを通じてエッチングすることができる。好適なフリット化されたAgペーストの例は、Ferro(Mayfield Heights,OH)及びHeraeus Materials Technology,LLC(West Conshohocken,PA)から市販されている。
【0100】
本方法は、フィンガーパターンを加熱して、フィンガー44を形成する工程を更に含む。フィンガーパターンは、概ね、約250〜約1000℃、約500〜約900℃、又は約720℃の温度まで加熱される。このような温度は、一般に、フィンガーパターンにおいて、第1の金属を焼結して、フィンガー44を形成する。この加熱工程は、概ね、ブスバー50(即ち、導体20)を形成するために使用される加熱工程に対して更に高い温度である。加えて、ガラスフリットは、不動態化層42を通じてエッチングするためのフィンガーパターンを可能にし、冷却時、分相する。これにより、底基板34の上部ドープ領域36へのフィンガー44の直接の電気的接触を可能にする。このような加熱はまた、当該技術分野において、焼成とも称され得る。
【0101】
フィンガーパターンは、不動態化層42を通じてエッチングするのに様々な時間加熱することができる。典型的には、フィンガーパターンを、フィンガー44に必要とされる時間の間のみ加熱して、上部ドープ領域36を均一に接触させる。このような時間は、日常的な実験によって判定され得る。より長時間のフィンガー44の不必要な過熱は、上部ドープ領域36又はPV電池32の他の構成要素を損傷させる場合がある。不動態化層42を通じてエッチングすることができるように、フィンガーパターンを加熱した後、本方法は、上記のように、組成物をフィンガー44の上部48の少なくとも一部分に塗布して、層50”を形成する工程を更に含む。
【0102】
別の実施形態において、フィンガー44は、上の実施形態に記載されるものとは異なる様式で形成される。不動態化層42は、上記のように形成され得る。不動態化層42を形成した後、孔が、そこに形成される。これらの孔は、レーザーアブレーション、化学エッチング、物理的エッチングなどの様々な方法によって形成され得る。このようなエッチングは、上記のフィンガー36の「エッチング」とは異なる。次いで、フィンガー44が孔中に形成される。これらのフィンガー44は、概ね、上記のように、めっきしたフィンガー44である。フィンガー44は、様々な金属を孔に堆積させることによって形成され得る。様々なプロセスを使用することができ、異なるプロセスをフィンガー44のそれぞれの層のために使用することができる。電気化学めっきプロセスを使用して、孔中に層を形成し得る。典型的には、このようなプロセスは、上記の別々の加熱/焼成工程を必要としない。フィンガー44を形成した後、本方法は、上記のように、組成物をフィンガー44の上部48の少なくとも一部に塗布して、層50”を形成する工程を更に含む。
【0103】
導体20と同様に、ブスバー50は、直接はんだ付け可能であり、これは、例えば、リボンを付着させる、又はPV電池32のブスバー50を相互に連結させることによって、複数のPV電池32を一緒にタブ付けするために有用である。ブスバー50を使用し、タブ付けすることによって、フィンガー44からの電流を有効に回収することが可能である。上で導入されるように、PV電池32は、様々な用途に使用され得る。
【0104】
図11を参照すると、タブ付け52は、ブスバー50上に配設される。ある実施形態において、タブ付け52は、PV電池32のブスバー50に直接はんだ付け可能である。他の実施形態において、更なるはんだ(図示せず)が、ブスバー50とタブ付け52との間に使用され得る。フラックス手段を使用して、フラックスペン又はフラックスベッドなどのはんだ付けするのに役立て得る。タブ付け52それ自体もまた、Sn又はSn合金及びフラックスなどのフラックスを含み得る。タブ付け52は、Cu、Snなどの様々な材料から形成され得る。このようなタブ付け52を使用して、一連のPV電池32を接続することができる。例えば、PV電池モジュール(図示せず)は、複数のPV電池32を含むことができる。タブ付け52、例えば、リボンは、概ね、直列にPV電池32を電気接続するために、PV電池32のブスバー50と物理的に接触する。タブ付け52はまた、当該技術分野において、相互接続とも称され得る。PVモジュールはまた、タイ層、基板、スーパーストレート、及び/又は強度及び安定性を提供する更なる材料も含まれ得る。多くの用途では、PV電池32は、風及び雨などの環境要因から更なる保護を与えるために封入されている。
【0105】
本発明の組成物20”及び導体20を示す以下の実施例は、本発明の説明を意図するものであり、限定することを意図していない。別途示されない限り、組成物を形成するために使用されるそれぞれの構成要素の量及び種類を、それぞれの組成物の全重量に基づいて、すべての値を重量%で以下の表1〜3に示す。
【0107】
ポリマーは、Dow Chemicalから市販されている、エピクロロヒドリン及びビスフェノールAの反応生成物を含み、500〜560g/当量のEEWを有する固体エポキシ樹脂である。
【0108】
添加剤1は、Sigma Aldrichから市販されているモノテルペンアルコールである。
【0109】
添加剤2は、Sigma Aldrichから市販されているスチレン二臭化物である。
【0110】
カルボキシル化ポリマーは、BASF Corpから市販されている、(固体上に)約238の酸価を有する低分子量スチレン−アクリルコポリマーである。
【0111】
ジカルボン酸は、Sigma Aldrichから市販されている。
【0112】
モノカルボン酸は、Hexion Specialty Chemicalsから市販されている。
【0113】
添加剤3は、Sigma Aldrichから市販されているプロピレングリコールである。
【0114】
添加剤4は、Sigma Aldrichから市販されているベンジルアルコールである。
【0115】
金属粉末は、Mitsui Mining & Smelting Co.から市販されている銅粉末である。
【0116】
はんだ粉末1は、Indium Corporation of Americaから市販されている約138℃の融解温度を有するSn42/Bi58合金である。
【0117】
はんだ粉末2は、Indium Corporation of Americaから市販されている約221℃の融解温度を有するSn96.5/Ag3.5合金である。
【0118】
添加剤5は、Kenrich Petrochemicals Co.から市販されているチタン酸塩接着促進剤である。
【0119】
添加剤6は、Eastman Chemical Co.から市販されているオキサリルビス(ベンジリデンヒドラジド)を含む銅不活性化剤である。
【0120】
添加剤7は、BYK additives & instrumentsから市販されているシリコーンを含まない消泡剤である。
【0121】
添加剤8は、Dow Corning Corpから市販されている2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを含むシラン接着促進剤である。
【0122】
添加剤9は、Dow Chemicalから市販されているブチルカルビトールである。
【0125】
銀粉末は、Ferroからの従来の銀フレークである。
【0126】
ダイマー酸は、Arizona Chemical(Jacksonville,FL)から市販されている、低単量体含量及び三量体含量を有する蒸留された二量化脂肪酸である。
【0127】
添加剤10は、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。
【0128】
図22及び23を参照すると、90度の剥離試験からのデータは、異なる基板に対するペースト接着及びはんだ付けにより外部配線を接続するペースト性能を示す。
図24を参照すると、組成物の違いにおけるペーストバルク抵抗依存性を示す。組成物及び主な構成要素の比率がわずかに異なる9つのペーストすべての抵抗率は、比較的に影響を受けず、3〜6×10
−5Ω.cmの範囲であることが明白である。表1〜3の実施例番号は、
図22〜24中の数字、即ち、実施例1〜9に対応する。
【0129】
一連の12.7cm(5インチ)の単結晶ケイ素電池(ウェハ)が、Ag及びCuペーストの塗布のために調製される。上の表1中の実施例0に基づいたCuペーストが調製される。1重量%のブチルカルビトールを用いてCuペーストを希釈して、印刷レオロジーを改善する。Cuペーストをウェハ上に印刷して、Sefarからのブスバースクリーン、ステンレス鋼スクリーン325又は165メッシュ、12.7μmの乳剤厚(PEF2)、及び22°又は45°のメッシュ回転により、Cuブスバーを形成する。印刷は、約0.68kgのダウンフォース、ステージ上に200μmの未処理のウェハを有するAMIスクリーンプリンターで行われる。印刷速度は、印刷印刷モードで7.6〜12.7cm/秒(3〜5インチ/秒)に設定される。ウェハが印刷され、BTU Pyramax N
2リフロー炉を通過させる。
【0130】
湿熱(DH;85℃、85%の相対湿度)劣化条件下、Cuブスバーの耐久性が判定される。ケイ素上のCuブスバーの非カプセル化印刷を使用して、Cuバルク抵抗率(ρ)をモニターする。タブ付け/Cuブスバーの質もまた、TLM法を利用して、接触抵抗率(ρ
c)を使用してモニターする。湿熱曝露から1000時間後、Agブスバーと比較して、Cuブスバーの劣化は見られない。
【0131】
フラッシュテスター(Berger PSS 10 II)を使用して電流−電圧(I−V)測定が行われる。前のブスバー実施例において比較のAgブスバーと比較して、Cuブスバーは、V
oc及びJ
scの増加を示す。具体的には、Cuブスバーを含む電池は、Agブスバーを含む電池と比較して、V
oc及びJ
scの異なる改善を示す。この増加はそれぞれ、概ね、V
oc及びJ
scの0.6%及び2.59%の相対的増加に相当する。この増加は、上記のように、金属/ケイ素の接触面積の縮小によると考えられる。
【0132】
一束のスクリーン印刷されたAl BSFウェハは、裏面接触パッドと共に調製される。このウェハには、前面Ag印刷及び前面Cu印刷が含まれ、すべて裏面Agブスバーを伴う。Cuブスバーは、上記のように、Cuペーストを用いて印刷される。電池は、手動でタブ付けされ、カプセル化される前に試験される。電池は、典型的な工業のタブ付けを用いてタブ付けされ得る。これらの実施例では、タブ付けは、390℃ではんだごて及びフラックスを用いて手動で行われ得る。I−V及びSuns Vocと共に、前面グリッド抵抗が測定され、電池及び金属化の質を判定する。これらの測定結果を、
図25〜27に示す。このバッチは、改善されたV
oc及びJ
scを示し、この場合も先と同様に、金属/ケイ素の接触面積の縮小によるものである。
【0133】
別連の12.7cm(5インチ)の単結晶ケイ素電池(ウェハ)が、更なるAg及びCuペーストの塗布のために調製される。上の表1中の実施例0が、更なるCu電極の試験のために繰り返される。電池にはすべて、標準Ag前面グリッド(フィンガー及びブスバー)並びにAl(第1の電極)の裏面層が含まれる。Cu電極(第2の電極)は、Alの第1の電極の上部に直接印刷される。第2の電極を形成するために開口部上に印刷されたAg/Alブスバーを有するAl(第1の電極)の裏面層における開口部を有する比較実施例を、図内に「Ag」で示す。実施例0を、「Cu R」又は図内に単に「Cu」で示す。すべての電池は、同じバッチ(即ち、Ag又はCuのいずれかを用いて裏面金属化まで同様に処理された)からのものである。電池は、手動のはんだ付けによりタブ付けされる。
【0134】
フラッシュテスター(PSS 10 II)を使用して電流−電圧(I−V)測定が行われる。
図28を参照すると、第2の電極として、Agブスバーの実施例と比較して実施例0の裏面Cuブスバーに対するI−Vデータを示す。実施例は共に、前面Agブスバーを有し、i−PERC電池として構成される。
図29を参照すると、裏面又はAg対照物上に印刷された実施例0のCuブスバーを有するAl BSF電池に対するI−V結果を示す。電池は、EVA又はシリコーンポリマー(Siとして示される)のいずれかを使用してミニモジュールにカプセル化される。効率は、同等であり、V
ocは改善を示す。
図30は、Al上にAg接触を有する比較電池及びAl上に実施例0によってCu接触を有する本発明の電池のI−V特性を示す。
図33に示されるように、Cu接触パッドは、電池性能に悪影響を与えない。
【0135】
図31を参照すると、実施例0の断面SEM顕微鏡写真図を示す。濃灰色は一般に、Cuを示し、中間の灰色は一般に、Snを示し、白色領域は一般に、Biに富むSn領域を示し、黒色領域は一般に、孔隙及び/又はエポキシ/アクリル結合剤を示す。
【0136】
図32を参照すると、比較及び本発明のPV電池の効率の割合を示すボックスグラフを示すが、一方、
図33は、J
scを示し、
図34は、実施例のV
ocを示す。具体的には、試料に対するIVデータが測定される。Agの実施例は、149−1〜15であり、Cu Fの実施例は、149−A〜Sである。平均値が示される。比較及び本発明の実施例は、前の実施例の図面内において上記のものと同じである。データから、本発明のCuブスバーの使用が、電池性能の異なる改善を有することが明らかに示される。この改善は、高温で焼成したAg金属化点の減少に伴い、金属/ケイ素の界面領域が縮小することによる減少した再結合から生じるものと考えられる。
【0137】
図35は、本発明のタブ付きブスバーを示す断面光学顕微鏡写真である。具体的には、Cuブスバーは、SiNx不動態化層の上部及びAgフィンガーの上部に印刷され、後にタブ付けされる。本発明の組成物の様々な構成要素を断面図に示す。タブ付け/ブスバー及びブスバー/フィンガーへの直接はんだ結合、並びにCuブスバーと基材との間の接着接触を示す。
【0138】
図36は、湿熱劣化後の比較及び本発明のPV電池の実施例のJ
scを示す線グラフである。
図37は、湿熱劣化後の比較及び本発明のPV電池のV
ocを示す線グラフであり、
図38は、湿熱劣化後の比較及び本発明のPV電池の実施例のシート抵抗率(rs)を示す線グラフである。これらのグラフから、Cuペーストは、腐食条件下、性能を低下させないことは明らかである。
【0139】
分散が依然として本開示の範囲内にある限り、上述の値のうちの1つ以上が、±5%、±10%、±15%、±20%、±25%などだけ変動してもよい。他のすべての部材とは無関係に、マーカッシュ群の各部材から、予期しない結果が得られることがある。各部材は、個別にかつ/又は組み合わせで依存してもよく、添付の「特許請求の範囲」に含まれる特定の実施形態を十分に支援する。独立請求項と、単一及び多重に従属する従属請求項とのすべての組み合わせの主題が、本明細書で明確に企図される。本開示は、説明の文言を含めて、限定よりもむしろ説明のためのものである。上記の教示を鑑みれば、本開示の多数の修正及び変形が可能となり、本開示は、本明細書で具体的に説明した以外の形でも実施され得る。