特許第6246732号(P6246732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246732
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ローラ型ワンウェイクラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/06 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   F16D41/06 D
   F16D41/06 B
   F16D41/06 Z
   F16D41/06 C
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-548463(P2014-548463)
(86)(22)【出願日】2013年11月22日
(86)【国際出願番号】JP2013006865
(87)【国際公開番号】WO2014080635
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2016年8月12日
(31)【優先権主張番号】特願2012-257235(P2012-257235)
(32)【優先日】2012年11月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102784
【氏名又は名称】NSKワーナー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】安藤 友春
【審査官】 西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−116988(JP,A)
【文献】 特開平07−317809(JP,A)
【文献】 特開2011−085245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 41/06−41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面にカム面を有するポケットが形成された外輪と、
前記外輪に対して半径方向内径側に離間され、相対回転自在に同心状に配置され、環状の外周軌道面を有する内輪と、
前記ポケットに配置され、前記カム面に係合し、前記外輪と前記内輪との間でトルクを伝達する複数のローラと、
前記ポケットに配置され、その一端部で前記ローラを前記カム面との係合方向に付勢するスプリングと、
を含み、前記スプリングの矩形に形成された他端部は外輪の突起に固定され、該他端部には前記ローラを径方向で支持する支持部が設けられていることを特徴とするローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項2】
前記支持部は、前記スプリングの前記他端部に一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項3】
前記スプリングの前記一端部には、前記ローラを軸方向で支持するタブ部が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項4】
前記スプリングは、アコーデオンスプリングであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項5】
前記スプリングの前記他端部は、溶接により前記外輪に固着されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項6】
前記スプリングの前記他端部は、スポット溶接により前記外輪に固着されていることを特徴とする請求項5に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項7】
前記スプリングの前記他端部は、接着により前記外輪に固着されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項8】
前記スプリングの前記他端部は、ハンダ付けにより前記外輪に固着されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項9】
前記スプリングの前記他端部が固定される外輪の面には、切欠が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項10】
前記ローラの軸方向への移動を防止するリテーナが、前記外輪に設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項11】
前記ワンウェイクラッチは軸方向に配置される側板を備え、前記側板が前記スプリングの他端部を前記外輪に対して挟持することで該スプリングを固定することを特徴とする請求項1に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項12】
前記支持部は、矩形であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項13】
前記支持部は、半円形であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【請求項14】
前記支持部は、複数の切片を備えていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車や産業機械などの駆動装置内でトルク伝達、バックストップ等の部品として使用されるローラ型ワンウェイクラッチに関するものである。特に、外輪の運搬時及び組み付け時のローラの脱落防止を図ったローラ型ワンウェイクラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ローラ型ワンウェイクラッチは、外輪と、外輪と同心に配置される内輪と、内輪の外周面と外輪の内周カム面との間に配され、トルクを伝達する複数のローラと、ローラの空転側に接するスプリングなどから成っている。
【0003】
このような構成において、ワンウェイクラッチはローラとカム面とで構成されるカム機構により、外輪に対して内輪を一方向のみに回転するようにしている。すなわち内輪は外輪に対して一方向で空転し、その逆方向でのみカム機構を介して外輪に回転トルクを与える構成となっている。
【0004】
一般に、ローラ型ワンウェイクラッチは、確実な噛み合わせを得るため、トルク伝達部材であるローラや、それを付勢するスプリングなどが外輪に設けたポケットに配置されている。
【0005】
このようなローラ型ワンウェイクラッチでは、外輪、ローラ、スプリングをサブアッセンブリとして組立て、これに内輪に組み付けている。その際、外輪の内周に設けたポケットに挿着されたローラが内径側に脱落することがある。
【0006】
特許文献1では、外輪に設けたポケットの開口部の周方向両端に開口側にせり出す保持部を鍛造により形成したローラ型ワンウェイクラッチを開示している。この保持部により、ローラやスプリングが外輪の内周側への脱落が防止される構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−172377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のローラ型ワンウェイクラッチでは、ポケット開口部の両端に保持部を設けるため、そのための型を新たに用意する必要があり、コストが増大する恐れがある。
【0009】
また、保持部を外輪の一部からせり出すような形状に形成するため、外輪の重量が増え、ローラ型ワンウェイクラッチの重量も増加する。
【0010】
そこで、本発明の目的は、コスト及び重量の増加なしに、外輪の運搬時及び組み付け時のローラの脱落防止ができ、作動の安定したローラ型ワンウェイクラッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本願発明のローラ型ワンウェイクラッチは、
内面にカム面を有するポケットが形成された外輪と、
前記外輪に対して半径方向内径側に離間され、相対回転自在に同心状に配置され、環状の外周軌道面を有する内輪と、
前記ポケットに配置され、前記カム面に係合し、前記外輪と前記内輪との間でトルクを伝達する複数のローラと、
前記ポケットに配置され、その一端部で前記ローラを前記カム面との係合方向に付勢するスプリングと、
を含み、前記スプリングの他端部は外輪に固定され、該他端部には前記ローラを径方向で支持する支持部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のローラ型ワンウェイクラッチによれば、次のような効果が得られる。
【0013】
外輪、ローラ、スプリングをサブアッセンブリとして組立てた状態でも、スプリングの支持部がローラを径方向で支持するため、外輪の内周に設けたポケットに挿着されたローラが内径側に脱落することを防止できる。従って、ローラ型ワンウェイクラッチの組立性が向上する。
【0014】
ポケット開口部の両端に保持部を設ける必要がないため、そのための型を新たに用意する必要がなく、コストを削減できる。
【0015】
ローラを保持する保持部を外輪の一部からせり出すような形状に形成する必要がないため、外輪の重量が増大することがなく、ローラ型ワンウェイクラッチの軽量化に寄与する。
【0016】
スプリングを従来と同様に帯板状の材料から作成し、一部の曲げ部を付加するだけなので、コスト上昇も抑えることができる。
【0017】
ローラを付勢するスプリングにローラを保持する機能をつけたため、従来必要であった保持器が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例のローラ型ワンウェイクラッチを示す部分正面図であり、噛み合い時の状態を示している。
図2図1の部分拡大図である。
図3】本発明の実施例のローラ型ワンウェイクラッチに用いられるスプリングの上面図である。
図4】本発明の実施例のローラ型ワンウェイクラッチの模式図である。
図5】本発明の実施例のローラ型ワンウェイクラッチの模式図である。図4の状態から、ローラ型ワンウェイクラッチがロックしている状態を示している。
図6】本発明の他の実施例を示すローラ型ワンウェイクラッチの軸方向部分断面図である。
図7】支持部の他の形態を示すローラ型ワンウェイクラッチに用いられるスプリングの上面図である。
図8】支持部の更に他の形態を示すローラ型ワンウェイクラッチに用いられるスプリングの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。尚、以下説明する実施例は例示として本発明を示しているに過ぎず、その他の変更が可能なことは言うまでもない。
【0020】
図1は、本発明の実施例のローラ型ワンウェイクラッチを示す部分正面図であり、図2は、図1の部分拡大図である。
【0021】
図1及び図2は、ローラがカム面と噛み合っている状態、すなわちワンウェイクラッチがロックしている状態、つまりトルクを伝達している状態を示している。図1において、破線で示すローラ3は、カム面12と係合する前の位置にあることを示している。
【0022】
図1に示すように、ローラ型ワンウェイクラッチ30は、カム面12を有する凹部として形成されたポケット4を内周に備えた環状の外輪1と、外輪1に対して半径方向内径側に離間され、相対回転自在に同心状に配置され、環状の外周軌道面11を有する内輪2と、ポケット4内に配置されて内輪2の外周軌道面11とカム面12との間でトルクを伝達する複数のローラ3を含んでいる。
【0023】
外輪1の内径側に設けられるポケット4は、円周方向等配に複数個設けられている。ポケット4には一つのローラ3及びスプリングが配置されている。また、ポケット4の外径側で、カム面12と周方向の反対側の上面には突起10が設けられ、ローラ3のスプリング、すなわちアコーデオンスプリング5方向への移動を制限している。これにより、ローラ3がスプリング5を潰すことによるアコーデオンスプリング5のへたりを防止できる。
【0024】
ポケット4の数は、トルクの大きさに応じて、任意に選択が可能であることは言うまでもない。
【0025】
図1に示すように、ローラ型ワンウェイクラッチ30は、ポケット4に配置され、ローラ3をカム面12との係合方向に付勢するアコーデオンスプリング5を備えている。
【0026】
図3に関して後述するように、アコーデオンスプリング5の一端部6は、ローラ3を外輪1のカム面12と内輪2の外周軌道面11との間に係合するようにローラ3に接触し、付勢力を与えている。この状態では、ローラ3は、外輪1の突起8の側面にも当接している。
【0027】
一方、一端部6と反対側に設けられたアコーデオンスプリング5の他端部7は、後述するように外輪1に固定されている。ここで、図1の部分拡大図である図2を参照して、アコーデオンスプリング5の他端部7と外輪1との関係を説明する。外輪1は、内径側、つまり内輪2側に突出した突起8を備えている。ポケット4は、この突起8の間に形成されている。突起8の内径側の先端部と内輪2の外周軌道面11との間には、十分なクリアランスを設けてあるため、先端部と内輪2とが接触することはない。
【0028】
図3は、本発明の実施例のローラ型ワンウェイクラッチに用いられるアコーデオンスプリングの上面図である。アコーデオンスプリング5は、所定の弾性を有する帯状のシート材料から形成され、本体である蛇腹部24を備えている。蛇腹部24は軸方向の端部に、ローラ3の側面に係合し、ローラ3に付勢力を与える一端部6を一体的に備えている。また、蛇腹部24の一端部6とは反対側には、他端部7が一体的に形成されている。
【0029】
アコーデオンスプリング5の一端部6には、ローラ3の軸方向端面を保持するためのタブ部25が設けられている。このため、ローラ3は軸方向の一方向での脱落を防止されている。
【0030】
他端部7は、蛇腹部24から連続する第1のプレート20、第1のプレート20と一体の第2のプレート21、第2のプレート21と一体の第3のプレート22を備えている。図3から分かるように、第1乃至第3のプレート20、21、22で囲まれたほぼ矩形の空間Wが形成され、この空間Wに外輪1の突起8が嵌合する。
【0031】
第3のプレート22の下部には、第3のプレート22から軸方向に延在する支持部9が一体的に形成されている。支持部9は、図4に示すように、第3のプレート22の下端から下方に曲げられ形成され、ローラ3を径方向で支持している。支持部9は、アコーデオンスプリング5に新たな部位を設けず、既存の部位に折り返しを設けて形成されている。
【0032】
図4は、本発明の実施例のローラ型ワンウェイクラッチの模式図である。また、図5は、本発明の実施例のローラ型ワンウェイクラッチの模式図である。図4の状態から、ローラ型ワンウェイクラッチがロックしている状態を示している。図1図2のように本来は円周方向に配置されているローラ3、スプリング5などを便宜的に直線上に配置している。図4及び図5では内輪2の図示を省略している。
【0033】
図4は、外輪1にアコーデオンスプリング5とローラ3を組み付けたサブアッセンブリ状態のローラ型ワンウェイクラッチ30を示している。アコーデオンスプリング5は、他端部7で外輪1の突起8に嵌合している。この状態で、アコーデオンスプリング5の他端部7に設けた支持部9は、ローラ3の下部を支持しており、ローラ3が内径側に脱落することを防止している。アコーデオンスプリング5の付勢力によって、支持部9に押し付けられる状態でローラ3が保持されている。
【0034】
図3に示す支持部9は、ほぼ矩形の形状を有するが、ローラ3に接してローラ3の内径方向への脱落を防止できれば他の形状で良い。例えば、図7に示す半円状の支持部9や、図8に示す2個の切片に分割された支持部9も可能である。切片は2個以上設けることもできる。
【0035】
また、アコーデオンスプリング5は、他端部7で外輪1の突起8の軸方向端面に固定されている。アコーデオンスプリング5の他端部7は、溶接、スポット溶接、接着、ハンダ付け等により外輪1の軸方向端面27に固定されている。その他の固着方法も可能である。
【0036】
アコーデオンスプリング5が外輪1の突起8の軸方向端面27に固定されているため、アコーデオンスプリング5と外輪1との相対位置の変動がほとんどなくなる。このため、外輪内径部、または内輪軌道面との擦れによる摩耗や折損の防止が可能となる。
【0037】
また、アコーデオンスプリング5の作動中の動きが、外輪1に影響されず、安定したスムーズな動きが可能となる。それにより、ローラの噛み合い性が向上する。
【0038】
図4及び図5では、アコーデオンスプリング5の他端部7は、一例として溶接で固定されている。そのため、他端部7の表面に2箇所の溶接部26がある。このとき、外輪1の突起8の軸方向端面に不図示の切欠を設けることができる。切欠を設けることで、アコーデオンスプリング5の径方向のガタを防止できる。また、他端部7の外輪1への固定箇所は、2箇所以外でも良い。例えば、1箇所でも良いし、2箇所以上の複数個所で固定することも可能である。
【0039】
不図示の側板を設けた場合、側板と外輪との間に隙間が生じるのを防止できる。これは、溶接部26には溶接によりコンマ数ミリの突起ができ、側板を取り付けると、この突起のため、側板と外輪1との間に隙間ができてしまうためである。切欠は、アコーデオンスプリング5の先端部7の第2プレート21が嵌合する大きさであることが良い。
【0040】
側板を設けた場合、側板と外輪1とが隙間が生じないように接するので、ローラ3が軸方向に脱落するのを防止すると共に、アコーデオンスプリング5が脱落することも防止できる。また、外輪1に対するアコーデオンスプリング5の位置決めが安定する。この場合、アコーデオンスプリング5を外輪1に溶接することを省略できる。
【0041】
ここで、支持部9の状態について説明する。図4で、内輪2に組み付ける前のサブアッセンブリ状態になった外輪1、アコーデオンスプリング5、ローラ3において、支持部9がローラ3の下部を支持している。このサブアッセンブリが内輪2に組みつけられると、ローラ3は、内輪2の外周軌道面11に支持されるようになる。
【0042】
内輪1に組付け後、ロック状態のように大きなトルクが入力されると、ローラ3と外輪1の間に挟まれて潰れた状態になる。この場合でも、支持部9はローラ3と摺擦し、ローラ3を支持するが、ローラ3の機能に影響を与えるものではない。アコーデオンスプリング5の一端部6と支持部9とで、ローラ3に対する保持器のような機能を果たしている。
【0043】
支持部9は、ローラ3の脱落防止機能としてアコーデオンスプリング5に付加した部分であり、強度的には強いものではなく、組み込み時にローラ3が脱落するのを防止する機能をもち、ワンウェイクラッチ作動中においては機能しない。また、作動中においてローラ3が支持部9に衝突するような場合でも、図5に示すように、支持部9は径方向下方に容易に変形する為、ローラ型ワンウェイクラッチ30の機能上なんら支障をきたすものではない。
【0044】
図6は、本発明の他の実施例を示すローラ型ワンウェイクラッチの軸方向部分断面図である。この実施例では、ローラ3の軸方向の抜け止めとして、中央に軸方向に貫通した孔を有する円環状のリテーナを用いている。リテーナ32は、環状で平坦な板部材であるプレート部33と、プレート部33の外縁から折り曲げられた環状のフランジ部34とを備えている。
【0045】
リテーナ32は、アコーデオンスプリング5が固定された外輪1の軸方向端面28側に取り付ける。リテーナ31は、軸方向端面28の外周縁に設けた突起部31にフランジ部34を加締める、またはスナップ留めすることで外輪1に固定される。図6から明らかなように、ローラ3の軸方向端面とは所定のクリアランスを設けている。また、図6では示されていないアコーデオンスプリング5の固定部に対しても所定のクリアランスが設けられている。
【0046】
側板の代わりにリテーナ32を設けることで、簡単な構成でコストを上げることなく、ローラ3の軸方向への脱落を防止できる。また、図6に示す実施例においては、ローラ3は支持部9によって内径方向への脱落を、またリテーナ32によって軸方向への脱落を防止されている。
【0047】
以上の説明において、側板及びリテーナ32は、アコーデオンスプリング5のタブ部25の設けられた側面と反対側の、外輪1の軸方向端面に配置される。
【0048】
本実施例では、スプリングとしてアコーデオンスプリングを用いたが、コイルスプリングなどを用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、自動車や産業機械などの駆動装置内でトルク伝達、バックストップ等の部品として使用されるが、特に二輪乗用車に用いると効果が大きい。
【0050】
この出願は2012年11月26日に出願された日本国特許出願第2012−257235号からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8