特許第6246745号(P6246745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246745
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】CT受信器
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/08 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   G01R31/08
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-3329(P2015-3329)
(22)【出願日】2015年1月9日
(65)【公開番号】特開2016-128775(P2016-128775A)
(43)【公開日】2016年7月14日
【審査請求日】2015年3月23日
【審判番号】不服-4036(P-4036/J1)
【審判請求日】2017年3月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠
【合議体】
【審判長】 清水 稔
【審判官】 須原 宏光
【審判官】 中塚 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−3056(JP,A)
【文献】 特開平3−137577(JP,A)
【文献】 特開昭61−227610(JP,A)
【文献】 特開2014−240810(JP,A)
【文献】 特開2010−256135(JP,A)
【文献】 特開2011−163854(JP,A)
【文献】 特開平8−226951(JP,A)
【文献】 特開昭63−238573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/08-31/11
G01R 15/00-17/22
G01R 31/02-31/06
G01R 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線に引っ掛ける引っ掛け部を有する本体と、
当該本体に設けられ、前記本体が配電線に引っ掛けられた場合に前記配電線に沿って並べて配置され、前記配電線に流れるパルス状の地絡故障電流を検出する第1CTセンサ及び第2CTセンサと、
前記本体に配置される発光部と、
前記第1CTセンサが時間的に先に地絡故障電流を検出した場合と、前記第2CTセンサが時間的に先に地絡故障電流を検出した場合とにおいて、異なる発光態様で前記発光部を発光させる発光制御部と、
前記第1CTセンサ及び前記第2CTセンサ並びに前記発光制御部を収納した収納部の下面に、絶縁操作棒の先端部に接続される連結部と、
を備えることを特徴とするCT受信器。
【請求項2】
前記発光部は、前記第1CTセンサに対応する第1発光部と前記第2CTセンサに対応する第2発光部とからなり、
前記発光制御部は、前記第1CTセンサが時間的に先に地絡故障電流を検出した場合に前記第1発光部を発光させ、前記第2CTセンサが時間的に先に地絡故障電流を検出した場合に前記第2発光部を発光させることを特徴とする請求項1記載のCT受信器。
【請求項3】
前記第1発光部及び前記第2発光部は、地絡故障電流が流れる方向を示す矢印の表示態様で発光することを特徴とする請求項2記載のCT受信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電線事故時の事故点探査において、事故点を特定することに用いるCT受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
事故点(地絡点)探査は、送信器、課電ケーブル及びCT受信器によって構成される探査装置を使用して行われる。送信器は、アース接地して電線に直流パルス電圧を印加する直流電源である。CT受信器は、送信器が直流パルス電圧を印加した際に、電線に地絡故障電流が流れたか否かを検出するCTセンサと、その検出結果を発光態様によって作業員に報知するLEDと、を備えている。CTセンサは長尺の操作棒の先端部に取り付けられる。課電ケーブルは、送信器と電線とを接続するものである。
【0003】
次に、事故点探査方法について説明する。例えば、三線の電線が架線された電柱において、まず、作業員は、課電ケーブルの一端を、故障停電区間内の変圧器用カットアウトスイッチに接続し、他端を送信器に接続して、三線の電線に直流パルス電圧を印加可能にする。また、別の作業員は、三本の電線に対してそれぞれCT受信器を設置する作業を行う。
【0004】
そして、電線にCT受信器を設置した後に、送信器側の作業員が送信器を操作して、直流パルスを印加する。具体的に、送信機は、5kVで2秒間隔、10kV・15kVで6秒間隔の各直流パルス電圧を印加する。直流パルス電圧が印加されると、電柱間の電線において事故点を有する区間にパルス状の地絡故障電流が流れる。この地絡故障電流をCTセンサが検出した場合に、LEDが発光する。この時のLEDの発光態様を別の作業員が視認することにより、事故点を有する電線を特定する。
【0005】
また、従来におけるこの種の技術として、特許文献1に記載されているように、筐体内にCT受信器と、CT受信器の検電結果を報知するLEDを備え、電線に吊り下げて事故点探査を行う事故点探査用課電端子が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−163854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、現在の事故点探査においては、効率的に探査を行うために分岐元での電柱へ昇柱しての作業となる。しかし、配電線事故の発生時は、悪天候時や夜間等の作業性が悪い環境下であることが多いことから、CT受信器の掛け間違いや、作業員の判断ミスによって事故点方向を見誤ることがある。これが原因となって、作業員が無駄に時間を費やしてしまい、事故の復旧が遅れる事象がしばしば発生する。
【0008】
特に、事故点方向を見誤ることについては、原因の一つに、既存のCT受信器のパルス電流検出時の表示方法が、LED発光やブザー音であることにある。つまり、LED発光やブザー音により、CT受信器が地絡故障電流を検出していることは分かる。しかし、CT受信器におけるLED発光やブザー音から、地絡故障電流が流れる方向を判別することは、作業員にとって困難である。
【0009】
しかも、分岐電線の縁線の部分で接続が複雑な場合に、事故点探査の順序をとばしてしまうこともある。更に、事故点探査に時間がかかりすぎた場合には、地絡点の水分等が蒸発して、事故点が一時的に消滅してしまうこともある。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決し、事故点探査時において、地絡故障電流の検出とともに地絡故障電流が流れる方向を確実に判別可能とすることにより、事故点探査における作業性の向上を実現したCT受信器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
【0012】
(1) 配電線に引っ掛ける本体と、当該本体に設けられ、前記本体が配電線に引っ掛けられた場合に前記配電線に沿って並べて配置され、前記配電線に流れるパルス状の地絡故障電流を検出する第1CTセンサ及び第2CTセンサと、前記本体に配置される発光部と、前記第1CTセンサが時間的に先に地絡故障電流を検出した場合と前記第2CTセンサが時間的に先に地絡故障電流を検出した場合とにおいて、異なる発光態様で前記発光部を発光させる発光制御部と、を備えることを特徴とするCT受信器。
【0013】
(1)によれば、作業員が、発光部の発光態様を確認することにより、配電線に地絡故障電流が流れていること及び地絡故障電流が流れる方向を容易に判別することが可能になる。これにより、配電線において、CT受信器に対して左右いずれの側に事故点が存在するか容易に判別することが可能になり、事故点探査における作業性を向上させることが可能になる。
【0014】
(2) (1)において、前記発光部は、前記第1CTセンサに対応する第1発光部と前記第2CTセンサに対応する第2発光部とからなり、前記発光制御部は、前記第1CTセンサが時間的に先に地絡故障電流を検出した場合に前記第1発光部を発光させ、前記第2CTセンサが時間的に先に地絡故障電流を検出した場合に前記第2発光部を発光させることを特徴とするCT受信器。
【0015】
(3) (2)において、前記第1発光部及び前記第2発光部は、地絡故障電流が流れる方向を示す矢印の表示態様で発光することを特徴とするCT受信器。
【0016】
(2)、(3)によれば、地絡故障電流が流れる方向をより分かり易く作業員に報知することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、地絡故障電流の検出とともに地絡故障電流が流れる方向を確実に判別することが可能になり、事故点探査における作業性を向上させることを可能する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態におけるCT受信器1の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態におけるCT受信器1の構成を示す説明図である。
図3】第1CTセンサ20及び第1CTセンサ20の回路構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態におけるCT受信器1の回路構成を示すブロック図である。
図5】本実施形態におけるCT受信器1の使用形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態におけるCT受信器1の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態におけるCT受信器1の構成を示す説明図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図、図2(c)は下面図である。CT受信器1は、本体に相当する筐体10と、第1CTセンサ20と、第2CTセンサ22と、第1発光部30と、第2発光部32と、を備えている。
【0020】
筐体10は、直方体の収納部10aと、この収納部10aの上端部から水平方向に直方体形状に延び、更に下方に延びる鉤状に形成された引っ掛け部10bと、を備えている。すなわち、筐体10は、側面視した場合に略J字形に形成されている。筐体10は、引っ掛け部10bに配電線110(図5参照)に挿入することによって配電線110に引っ掛けられる。
【0021】
また、筐体10は、収納部10aの下面に、絶縁操作棒100の先端部に接続される連結部(図示せず)を備えている。
【0022】
第1CTセンサ20及び第2CTセンサ22は、配電線110を流れる地絡故障電流を検知した場合に検知信号を出力するものである。第1CTセンサ20及び第2CTセンサ22は筐体10の内部に配置される。
【0023】
図3は、第1CTセンサ20の回路構成を示すブロック図であり、第1CTセンサ20は、コア20aと、整波回路20bと、を備えている。コア20aは、U字型に構成されており、筐体10が配電線110に引っ掛けられた際に、コア20aは配電線110を囲むように配置される。コア20aは、配電線110に地絡故障電流が流れることによるコア20a付近の磁界の変化から誘導電流を発生させるものである。整波回路20bは、この誘導電流をパルス波に整えて出力するものであり、このパルス波が検知信号として発光制御部50に送信される。発光制御部50の詳細については後述する。
【0024】
第2CTセンサ22は、コア22aと、整波回路22bと、を備えている。コア22a及び整波回路22bは、第1CTセンサ20のコア20a及び整波回路20bと同一であるため、説明は省略する。筐体10が配電線110に引っ掛けられた場合に、コア20aとコア22aとは、配電線110に沿って並べて配置される。
【0025】
また、図1において、第1発光部30は、第1CTセンサ20が時間的に先に地絡故障電流を検知した場合に発光するものであり、第2発光部32は、第2CTセンサ22が時間的に先に地絡故障電流を検知した場合に発光するものである。第1発光部30及び第2発光部32は、LEDからなり、引っ掛け部10bの先端面に並べて配置される。また、第1発光部30及び第2発光部32は、矢印の表示態様で発光する。
【0026】
本実施形態においては、図2に示すように、第1CTセンサ20(コア20a)が向かって左側に、第2CTセンサ22(コア22a)が向かって右側に配置されており、第2発光部32が左側に、第1発光部30が右側に配置されている。また、第2発光部32は左向きの矢印、第1発光部30は右向きの矢印として視認される。
【0027】
図4は、本実施形態におけるCT受信器1の回路構成を示すブロック図である。CT受信器1は、更に、発光制御部50と、ブザー52と、電源部54と、を備えている。発光制御部50は、第1CTセンサ20からの検知信号と、第2CTセンサ22からの検知信号とのどちらを時間的に先に受信したかを判定し、時間的に先に受信した検知信号を出力したCTセンサに対応する発光部を発光させる制御を行うものである。発光制御部50には、第1CTセンサ20と、第2CTセンサ22と、第1発光部30と、第2発光部32と、ブザー52とが接続される。
【0028】
ブザー52は、発光制御部50の制御により、第1発光部30又は第2発光部32の発光と同時に鳴動する。
電源部54は、第1CTセンサ20、第2CTセンサ22、第1発光部30、第2発光部32及びブザー52の電源である。
【0029】
次に、事故点探査時におけるCT受信器1の動作について説明する。
作業員は、事故点探査の作業前に、絶縁操作棒100の先端部にCT受信器1を取り付けておく。そして、作業員は、探査装置の送信器(図示せず)から直流パルス電圧を印加している間に、絶縁操作棒100を操作して、図5に示すように配電線110にCT受信器1を引っ掛ける。
【0030】
この時、配電線110に地絡故障電流が流れている場合には、この地絡故障電流を第1CTセンサ20及び第2CTセンサ22がそれぞれ検知して、発光制御部50に検知信号を送信する。
【0031】
発光制御部50は、第1CTセンサ20及び第2CTセンサ22のいずれの検知信号を時間的に先に受信したかを判別する。そして、発光制御部50による判別結果が、第1CTセンサ20が時間的に先である場合には、第1発光部30を発光させるとともにブザー52を鳴動させ、第2CTセンサ22時間的に先である場合には、第2発光部32を発光させるとともにブザー52を鳴動させるように第1発光部30、第2発光部32及びブザー52を制御する。
【0032】
なお、配電線110に地絡故障電流が流れていない場合には、CT受信器1の第1発光部30、第2発光部32及びブザー52は作動しない。
【0033】
そして、作業員は、地上から第1発光部30及び第2発光部32の発光態様を確認することにより、地絡故障電流が流れる方向を把握することができる。つまり、発光している矢印の方向が、地絡故障電流が流れる方向となる。ここで、第1発光部30及び第2発光部32は地上側を向いているため、作業員は、第1発光部30及び第2発光部32の発光態様を容易に確認することが可能である。これにより、作業員は、CT受信器1に対して地絡故障電流が流れる方向の下流側に事故点が存在することから、CT受信器1に対して左右どちらの側を探査すればよいか容易に判断することが可能になる。
【0034】
以上、説明したように構成された本実施形態によれば、第1発光部30及び第2発光部32の発光態様を確認することにより、配電線110における地絡故障電流が流れる方向を容易に判別することが可能になる。このように、地絡故障電流を検出したこと及び地絡故障電流が流れる方向を確実に判別することが可能になり、事故点探査に係る作業性を向上させることが可能になる。
【0035】
また本実施形態によれば、第1CTセンサ20が時間的に先に地絡故障電流を検出した場合に第1発光部30のみが発光し、第2CTセンサ22が時間的に先に地絡故障電流を検出した場合に第2発光部32のみを発光させる。これにより、発光態様の違いを容易に判別することが可能になり、地絡故障電流が流れる方向を確実に判別することが可能になる。
【0036】
また本実施形態によれば、第1発光部30及び第2発光部32は、地絡故障電流が流れる方向を矢印の表示態様で発光するため、地絡故障電流が流れる方向をより分かり易く作業員に報知することが可能になる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、上述した実施形態に限るものではない。例えば、第1発光部30及び第2発光部32を色分けしてもよい。また、第1発光部30及び第2発光部32の配置箇所についても、作業員が見易い箇所にに適宜設定することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 CT受信器
10a 収納部
10b 引っ掛け部
20、22 CTセンサ
20a、22a コア
20b、22b 整波回路
30 第1発光部
32 第2発光部
50 発光制御部
52 ブザー
54 電源部
100 絶縁操作棒
110 電線
図1
図2
図3
図4
図5