(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246807
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】車両の重量を推定するための方法
(51)【国際特許分類】
G01G 19/02 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
G01G19/02 Z
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-524826(P2015-524826)
(86)(22)【出願日】2013年7月24日
(65)【公表番号】特表2015-527579(P2015-527579A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】FR2013051783
(87)【国際公開番号】WO2014020263
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2016年7月14日
(31)【優先権主張番号】1257425
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ピタ−ギル, ギジェルモ
(72)【発明者】
【氏名】マルタン, ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】デノワイエ, フランソワ
【審査官】
公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−516409(JP,A)
【文献】
特開2004−157054(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0267200(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0080703(US,A1)
【文献】
特開2002−087256(JP,A)
【文献】
特開2004−304734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/02−19/12
G01G 23/00−23/48
B60P 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の載荷後に、スマート通信デバイスを使用して、前輪アセンブリと後輪アセンブリとを備える自動車の車両の重量を推定するための方法であって、
(i)前記スマート通信デバイスで前記車両を識別するステップと、
(ii)前記スマート通信デバイスのカメラを使用して、載荷後の前記車両の少なくとも1つの車輪の写真を撮影し、処理して、前記識別された車両に応じて、前記撮影された車輪の車輪アセンブリのクリアランスを決定するステップと、
(iii)ステップ(ii)で撮影された前記車輪に対向する前記車輪アセンブリのクリアランスを、前記スマート通信デバイスの加速度計又は傾斜計のうちの少なくとも1つを使用して、載荷後の前記車両の傾きの角度を測定することか、前記スマート通信デバイスの前記カメラを使用して、ステップ(ii)で撮影された前記車輪の前記車輪アセンブリに対向する前記車輪アセンブリの少なくとも1つの車輪の写真を撮影し、処理すること、のいずれかによって、決定するステップと、
(iv)前記車両の総荷重値を決定するために、前記スマート通信デバイスの演算ユニットを使用して、前記撮影された車輪の車輪アセンブリ上の荷重値、及び、前記対向する車輪アセンブリ上の荷重値を、これらの車輪アセンブリのそれぞれの前記クリアランスに応じて計算するステップと、
(v)前記スマート通信デバイスを使用して、前記車両の負荷状態をユーザに伝えるステップ、を含む、車両の重量を推定するための方法。
【請求項2】
前記車両は前記車両の後部に配設された積載空間を備え、前記撮影された車輪は前記車両の後輪であり、前記後輪アセンブリの前記クリアランスの決定を可能にすること、及び、前記対向する車輪アセンブリは前記前輪アセンブリであることを特徴とする、請求項1に記載の車両の重量を推定するための方法。
【請求項3】
前記車両の各後輪の写真が撮影され、処理されること、及び、前記後輪アセンブリの前記クリアランスは、撮影された各後輪の平均クリアランスにより決定されることを特徴とする、請求項2に記載の車両の重量を推定するための方法。
【請求項4】
前記ユーザに伝えるステップ(v)が、3つのレベルで照光式及び/又は可聴式のインジケータを用いて実行され、第1レベルは、認可された最大量と比較して前記車両が過積載であるという情報に対応し、第2レベルは、前記認可された最大量と比較して前記車両が過積載されているリスクがあるという情報に対応し、第3レベルは、荷重が前記認可された最大量を下回るという情報に対応することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両の重量を推定するための方法。
【請求項5】
1つの車輪の写真を撮影するステップ(ii)は、直立した通信デバイスに内蔵された加速度計を用いて検出された測定値を示す条件で行われ、前記測定値は、前記スマート通信デバイスの1つの基準点を通過するとともに、それぞれが直交するXYZ軸において、前記車両の長手方向のX軸成分とZ軸成分がほぼゼロで、Y軸成分がゼロを下回ることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両の重量を推定するための方法。
【請求項6】
前記車両を識別するステップ(i)が、
(i.1)載荷前に、ステップ(ii)で撮影されるべき前記車輪の、車輪中心点と車輪ハウジングの中心点との間の距離を決定するステップと、
(i.2)載荷前に、前記車両の前記傾きの角度を決定するステップと、
(i.3)前記識別された車両の、許容可能な総荷重を決定するステップ、を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両の重量を推定するための方法。
【請求項7】
写真を撮影し、処理するステップ(ii)が、
(ii.0)前記車両の1つの車輪の写真を撮影するサブステップと、
(ii.1)前記車輪の前記撮影された写真をグレイスケール画像に変換するサブステップと、
(ii.2)ファジーガウス型の第1フィルタを使用して、前記画像の鮮明度を改善するサブステップと、
(ii.3)ソーベル型の第2フィルタを使用して、前記画像の輪郭を取得するサブステップと、
(ii.4)前記画像を2つの部分、すなわち、前記車輪に関する第1部分と、前記車輪ハウジングに関する第2部分に分解するサブステップと、
(ii.5)最小二乗法によって、前記車輪ハウジングの前記中心点及び半径を計算するサブステップと、
(ii.6)前記車輪ハウジングの前記半径、及び、前記識別された車両に応じて、前記車輪の最小半径及び最大半径の値を計算するサブステップと、
(ii.7)メキシコ帽型ウェーブレット式の第3フィルタを使用して、前記車輪の前記中心点付近の点の集結を改善するサブステップと、
(ii.8)前記車輪中心点における点の集積に基づいて前記車輪の前記中心点を計算し、前記車輪中心点と前記車輪ハウジングの前記中心点との間の、載荷後の距離を計算するサブステップと、
(ii.9)載荷後と載荷前との、前記車輪中心点と前記車輪ハウジングの前記中心点との間の距離の差異を使用して、前記撮影された車輪の前記車輪アセンブリのクリアランスを計算するサブステップ、を含むことを特徴とする、請求項6に記載の車両の重量を推定するための方法。
【請求項8】
前記対向する車輪アセンブリの前記クリアランスを決定するステップ(iii)が、載荷前と載荷後の、前記傾きの角度の差異の測定に基づくことを特徴とし、前記傾きの角度は、前記車両の長手方向のX軸に沿った、地球基準座標系と車両基準座標系との間の角度として選ばれる、請求項6又は7に記載の車両の重量を推定するための方法。
【請求項9】
前記傾きの角度を測定するステップ(iii)において、一定の既定の閾値を超える加速のいかなる検出も、前記スマート通信デバイスが落下したことを示すとみなされ、ステップ(iii)は再度行われる必要があることを特徴とする、請求項8に記載の車両の重量を推定するための方法。
【請求項10】
前記前輪アセンブリ及び前記後輪アセンブリ上の前記荷重値を計算するステップ(iv)は、荷重/クリアランスマップ内の補間によって実行されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の車両の重量を推定するための方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法の実行のためのスマート通信デバイス(10)であって、前記スマート通信デバイスが、
車両の重量を推定するための方法を始動させるようプログラムされたアプリケーション(14)と、
車両の重量を推定するための前記アプリケーションを開始するための人間−機械インターフェース(16)と、
前記車両を識別するための手段と、
前記車両の少なくとも1つの車輪の写真を撮影するためのカメラ(20)と、
地球基準座標系と車両基準座標系との間の傾きの角度を測定するための、加速度計(22)及び/又は傾斜計(24)のうちの少なくとも1つと、
画像処理、及び、クリアランス値と荷重値の計算のステップを実行するようプログラムされた演算ユニット(12)と、
ユーザの車両の負荷状態につき前記ユーザに警報を発する、画像インターフェース及び/又はオーディオインターフェース(26)のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、スマート通信デバイス。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法の実行のための、請求項11に記載のスマート通信デバイス向けのアプリケーションであって、それが、前記アプリケーションのユーザの視点から、
a)前記ユーザの車両を識別するステップと、
b)前記アプリケーションによって示された、少なくとも1つの車輪の写真を撮影するステップと、
c)前記スマート通信デバイスを、前記車両のドッキングステーション内に配置し、この配置の後に有効化するステップと、
d)前記車両の負荷状態を前記ユーザに伝えるステップ、を含むことを特徴とする、アプリケーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、自動車両の総重量を推定するための方法に関する。より具体的には、発明は、載荷後の車両の総重量を推定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両の総重量を知ることは、緩衝システム、空気圧不足検出システム、(電気推進エンジン、燃焼エンジン、又はハイブリッドエンジンための)エンジン制御システム、坂道発進システム、過積載検出システム、照明システム、ブレーキ及び/又はエネルギー回収システムなどのような、車両内の多数の搭載システムの正しい動作のために必要である。
【0003】
現在、自動車両の重量を推定するための、2群の方法が存在する。第1群は、地対車体クリアランスセンサ、地対車軸クリアランスセンサ、センサベアリングなどのような補足的センサを使用する、直接システムを含む。第2群は、車両内に存在するセンサのみを使用して車両の総重量を推定する、間接システムを含む。この群は、例えば、帰納的最小二乗型の技術を使用して重量を推定する方法を含む。
【0004】
例えば、FR2 857 090には、帰納的最小二乗アルゴリズムによって車両の重量が推定される、車両の総重量を推定するための方法が記載されている。この方法は、ある時点の単一の瞬間に基づいて、あらゆる推定を行う。車両動力学方程式に内在する、及び、推定される必要があるか、又はそれらの式に代入される値を有する、様々な力及び車両パラメータの、数、複雑度、並びにばらつきのために、この推定には問題が生ずる。
【0005】
同様のアプローチが、US6 249 735において考察されている。この文書には、車両のエンジントルク及び加速度の測定を使用する方法が記載されている。加速度は、スピードの導関数の離散近似、及び、フィルタリングによって計算されるが、これは、ノイズの問題を発生させ、推定の正確性並びにロバスト性に影響を与える。
【0006】
更に、車両加速度を使用しない方法は、ノイズの影響を受けにくいが、それらは、車両が運転される地表の勾配を考慮しない。
【0007】
問題の更なる態様も存在し、その中では、直接的な解決法(追加部品)と間接的な解決法(調整及び検証試験)の両方に、非常に高いコストが発生する。更に、これらのシステムは、調整が困難であり、かつ、ロバスト性が低い。
【発明の概要】
【0008】
本発明の1つの目的は、第一に、ユーザが、補足的センサを必要とせずに、簡単な方法で自身の車両の過積載を検出することを可能にする、載荷後の自動車両の重量を推定するための方法を提案することにより、従来技術文書の上述の欠点に対処することである。
【0009】
この目的のため、発明の第1の態様は、車両の載荷後に、スマート通信デバイスを使用して、前輪アセンブリと後輪アセンブリとを備える自動車両の重量を推定するための方法に関し、方法は、以下のステップを含む。(i)スマート通信デバイスで、車両を識別するステップと、(ii)スマート通信デバイスのカメラを使用して、載荷後の車両の少なくとも1つの車輪の写真を捕捉し、処理して、識別された車両に応じて、撮影された車輪の車輪アセンブリのクリアランスを決定するステップと、(iii)ステップ(ii)で撮影された車輪に対向する車輪アセンブリのクリアランスを、スマート通信デバイスの加速度計又は傾斜計のうちの少なくとも1つを使用して、載荷後の車両の傾きの角度を測定することか、スマート通信デバイスのカメラを使用して、ステップ(ii)で撮影された車輪の車輪アセンブリに対向する車輪アセンブリの少なくとも1つの車輪の写真を捕捉し、処理すること、のいずれかによって、決定するステップと、(iv)スマート通信デバイスの演算ユニットを使用して、撮影された車輪の車輪アセンブリ上の荷重値、及び、対向する車輪アセンブリ上の荷重値を、これらの車輪アセンブリのそれぞれのクリアランスに応じて計算し、それによって、車両の総荷重値を決定するステップと、(v)スマート通信デバイスを使用して、ユーザに車両の負荷状態を伝えるステップ。
【0010】
車両の荷重を推定するためのこの方法は、適切なアプリケーションを備えた、英語の用語法では「スマートフォン」としても知られる、インテリジェント携帯電話又はコンピュータ電話のようなスマート通信デバイスを所有するユーザによって、非常に早く容易に、実行されることが可能である。この解決法は、車両内にいかなる追加部品も必要としないことから、コストに関して大変競争力が高く、車両内のいかなる要素にも依存しないことから、信頼性も高い。ゆえに、この解決法により、いかなるユーザも、載荷後に自身の車両の負荷状態を確認すること、及び、過剰燃料消費、走行性能低下、又は、関連車種向けの(特に合計車両重量評価すなわちGVWRに関する)安全法規の違反に顕著につながりうる、過積載のいかなるリスクをも防止することが、可能になる。
【0011】
有利には、車両は車両の後部に配設された載荷空間を備え、撮影される車輪は車両の後輪であって、後輪アセンブリのクリアランスの決定を可能にし、対向する車輪アセンブリは前輪アセンブリである。後輪を撮影することによって、後部積載空間を有する車両の後輪アセンブリのクリアランスの測定の信頼性が、荷重は原則的にこの領域内に印加されることから、高まる。有利には、車両の各後輪の写真が撮影されて処理され、後輪アセンブリのクリアランスは、撮影された各後輪の平均クリアランスにより決定される。これは、特に荷重が車両のX軸に沿って分散していなければ、後輪アセンブリのクリアランスの測定の信頼性を高める。
【0012】
有利な変形例により、ユーザに伝えるステップ(v)が、3つのレベルの照光式及び/又は可聴式のインジケータを用いてで実行され、第1レベルは、認可された最大量と比較して車両が過積載であるという情報に対応し、第2レベルは、認可された最大量と比較して車両が過積載されているリスクがあるという情報に対応し、第3レベルは、荷重が認可された最大量を下回るという情報に対応する。例えば、赤色表示は車両の過積載状態を示し、オレンジ色表示は過積載のリスクを示し、かつ、緑色表示は認可された載荷レベルを示すことになる。
【0013】
別の有利な変形例により、車輪の写真を撮影するステップ(ii)は、加速度計を用いて検出された、スマート通信デバイスの鉛直位置付けに依拠する。車輪の写真の撮影中のスマート通信デバイスの鉛直位置付けの検出により、画像内の視差の問題が回避されること、及び、撮影された車輪の車輪アセンブリのクリアランスの値に関して信頼性が高まることによって、処理が簡素化される。
【0014】
別の有利な変形例により、車両を識別するステップ(i)は、(i.1)載荷前に、ステップ(ii)で撮影されるべき車輪の、車輪中心点と車輪ハウジングの中心点との間の距離を決定するステップと、(i.2)載荷前に、車両の傾きの角度を決定するステップと、(i.3)識別された車両の、許容可能な総荷重を決定するステップ、を含む。車両を識別するこの最初のステップは、重量推定の信頼性を高める一方で、その後のステップにおける計算を簡素化する。ステップ(i.3)も、重量計側されるべき車両が、地球基準座標系において平らな地表に駐車していない場合には、不可欠である。
【0015】
別の有利な変形例により、画像処理するステップ(ii)は、以下のサブステップを含む。(ii.0)車両の車輪の写真を撮影するサブステップと、(ii.1)捕捉された車輪の写真をグレイスケール画像に変換するサブステップと、(ii.2)ファジーガウス型の第1フィルタを使用して、画像の鮮明度を改善するサブステップと、(ii.3)ソーベル型の第2フィルタを使用して、画像の輪郭を取得するサブステップと、(ii.4)画像を2つの部分、すなわち、車輪に関する第1部分と、車輪ハウジングに関する第2部分とに分解するサブステップと、(ii.5)最小二乗法によって、車輪ハウジングの中心点及び半径を計算するサブステップと、(ii.6)車輪ハウジングの半径、及び、識別された車両に応じて、車輪の最小半径と最大半径の値を計算するサブステップと、(ii.7)メキシコ帽型ウェーブレット式の第3フィルタを使用して、車輪の中心点付近の点の集結を改善するサブステップと、(ii.8)車輪中心点におけるポイントの集積に基づいて車輪の中心点を計算し、車輪中心点と車輪ハウジングの中心点との間の載荷後の距離を計算するサブステップと、(ii.9)載荷後と載荷前との、車輪中心点と車輪ハウジングの中心点との間の距離の差異を使用して、撮影された車輪の車輪アセンブリのクリアランスを計算するサブステップ。
【0016】
この画像処理方法は、最初に車両が正確に識別されれば、非常に信頼性が高い。特にそれは、車輪ハウジングの半径と、最小及び最大の車輪半径、並びに、車輪の中心点及び車輪ハウジングの中心点の正確な検出のために、使用されることが可能である。
【0017】
別の有利な変形例により、対向する車輪アセンブリのクリアランスを決定するステップ(iii)は、載荷前と載荷後の傾きの角度の差異の測定に基づき、傾きの角度は、車両のX軸に沿った、地球基準座標系と車両基準座標系との間の角度として選ばれる。具体的には、傾きの角度を測定することによってクリアランスを決定するこのステップは、積載空間に対向する車輪アセンブリについて、特段に簡単で、かつ、信頼性が高い。有利には、傾きの角度を測定するステップ(iii)において、一定の既定の閾値を超える加速のいかなる検出も、スマート通信デバイスが落下したことを示すとみなされ、ステップ(iii)は再度行われる必要がある。この変形例は、デバイスの落下によって引き起こされる、傾きの角度の非現実的な測定を防止するために使用されることが可能である。
【0018】
別の有利な変形例により、前輪アセンブリ及び後輪アセンブリ上の荷重値を計算するステップ(iv)は、荷重/クリアランスのマップ内の補間によって実行される。このマップは、各車両モデル向けに描かれ、アプリケーションの開始時に正確に識別される必要がある。それによって、関連する車輪アセンブリ上の荷重値を、計算を必要とせずに、直接的かつ簡単な様態で決定することが可能になる。
【0019】
発明の第2の態様は、発明の第1の態様による方法を実行するためのスマート通信デバイスに関し、スマート通信デバイスは、車両の重量を推定するための方法を始動させるようプログラムされたアプリケーションと、車両を識別するための手段と、車両の少なくとも1つの車輪の写真を撮影するためのカメラと、地球基準座標系と車両基準座標系との間の傾きの角度を測定するための、加速度計及び/又は傾斜計のうちの少なくとも1つと、画像処理、及び、クリアランス値と荷重値の計算のステップを実行するようプログラムされた演算ユニットと、ユーザの車両の負荷状態につきユーザに警報を発する、画像インターフェース及び/又はオーディオインターフェースのうちの少なくとも1つを、備えることを特徴とする。
【0020】
発明の第3の態様は、第1の態様による方法の実行のための、発明の第2の態様によるスマート通信デバイス向けのアプリケーションに関し、それは、アプリケーションのユーザの視点から、以下のステップを含むことを特徴とする。a)ユーザの車両を識別するステップと、b)アプリケーションによって示された、少なくとも1つの車輪の写真を撮影するステップと、c)スマート通信デバイスを、車両のドッキングステーション内に配置し、この配置の後に有効化するステップと、d)車両の負荷状態をユーザに伝えるステップ。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な実施例によって提示され、添付の図面に図示されている、発明の一実施形態の、以下の詳細な説明を読むことにより、一層明白になるであろう。
【
図1】発明の一実施形態による、スマート通信デバイスの概略的表現である。
【
図2】発明の一実施形態による、車両の重量を推定するための方法の図を示す。
【
図3】車両の載荷後の、前輪アセンブリ及び後輪アセンブリのクリアランスの概略的表現である。
【
図4】発明の一実施形態による、画像処理のステップの詳細な図を示す。
【
図4A】実行される画像処理のサブステップを示す。
【
図4B】実行される画像処理のサブステップを示す。
【
図4C】実行される画像処理のサブステップを示す。
【
図4D】実行される画像処理のサブステップを示す。
【
図5A】既定の車両モデルのための車輪サスペンションに関する、荷重/クリアランスの関連性の例を示す。
【
図6】スマート通信デバイスのための軸の定義の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、発明の一実施形態による、スマート通信デバイスの概略的表現である。スマート通信デバイス10は、プログラマブル中央ユニット12を備える。車両の重量を推定するためのアプリケーション14は、この中央ユニット12の中にプログラムされる。人間−機械インターフェース16は、車両の重量を推定するためのアプリケーション14を開始するために使用される。車両を識別するための手段は、例えば、前もって非揮発性メモリ18内に記録されているモデルのリストからの、人間−機械インターフェース16を介しての車両モデルの選択という形で、提供される。スマート通信デバイスの傾きの角度を測定するための、加速度計22及び/又は傾斜計24のうちの少なくとも1つと共に、カメラ20も、車両の少なくとも1つの車輪の写真を撮影するために提供され、中央ユニット12は、画像処理、及び、クリアランス値と荷重値の計算のステップを実行するようプログラムされる。画像インターフェース及び/又はオーディオインターフェース26のうちの少なくとも1つも、ユーザの車両の負荷状態につきユーザに警報を発するために提供される。この画像インターフェース及び/又はオーディオインターフェース26は、部分的に又は完全に、人間−機械インターフェース16に接続されうる。情報として、通常この種の通信デバイス向けに規定されるようなx、y及びzの軸が
図6に示されている。
【0023】
図2は、発明の一実施形態による、車両の重量を推定するための方法の図を示す。予備的ステップは、車両の荷重を推定するためのアプリケーションを開始するステップである。
【0024】
アプリケーションが開始されると、ユーザは、車両の重量の推定が可能になるように、第1のステップ(i)で自身の車両を識別する必要がある。この目的のために、ユーザは、例えば、人間−機械インターフェースを介して、前もって記録されているリストから自身の車両モデルを選択するよう促されることがある。前もって記録されている車両モデルは、少なくとも、撮影されるべき車輪の、車輪中心点と車輪ハウジングの中心点との間の距離(ステップi.1)と共に、この車両モデルについての許容可能な総荷重(ステップi.3)に関する情報を含む必要がある。代替的には、撮影されるべき車輪の、車輪中心点と車輪ハウジングの中心点との間の距離(ステップi.1)は、載荷前の車両の車輪の写真を撮影することによって手作業で決定されうるが、その写真のその後の処理は、ステップ(ii.1)から(ii.8)までに関しては、
図4で詳細に説明されている処理と同様となる。加えて、車両の識別は、車両の載荷前の車両の傾きの角度の決定(ステップi.2)を含みうる。この傾きの測定は、好ましくは、(重力に基づく)地球基準座標系と(車両に基づく)車両基準座標系の間で、車両のX軸に沿って、すなわち、車両の長手方向軸に沿って行われることになる。この目的を達成するために、スマート通信デバイスは、好ましくは、例えば既知の配向を有するドッキングステーションという形で、この目的のために設けられた車両内のある位置に位置付けられる。
【0025】
第2のステップ(ii)では、ユーザは、載荷後の自身の車両の少なくとも1つの車輪の写真を撮影するよう促される。好ましくは、ユーザは、積載空間側の端部に配置された車輪の写真を撮影するよう促される。ゆえに、大概の車両に関しては、積載空間は車両の後部に配置されており、ユーザは従って、自身の車両の後輪の写真を撮影するよう促されることになる。この写真は次いで、
図4を参照して詳細が説明される画像処理方法によって処理される。実行される画像処理に基づき、アプリケーションは、撮影された車輪の車輪アセンブリのクリアランスを決定するが、そのクリアランスは、原則として、後輪アセンブリのクリアランスとなる。
【0026】
第3のステップ(iii)では、ユーザは、好ましくは、スマート通信デバイスを自身のドッキングステーション内に位置付けて、車両の載荷後の地球基準座標系と車両基準座標系との間の、X軸に沿った車両の傾きを、少なくとも1回測定する。この目的のため、測定された傾きが実際に車両のX軸に沿った傾きであることを担保するために、通信デバイスを正確にその位置に位置付けられるようになっている。載荷前に類似の測定が行われている場合、車両の識別中に、載荷前と載荷後の傾きの精密な差異を計算し、それによって、載荷されている間に車両が駐車している地面の勾配を相殺することが可能になる。載荷後に、及び有利には載荷前と載荷後の両方に、測定された傾きに基づき、アプリケーションは、撮影された車輪の車輪アセンブリに対向する車輪アセンブリ、例えば前輪アセンブリのクリアランスを決定する。
【0027】
第4のステップ(iv)では、アプリケーションは、車両の前輪アセンブリ及び後輪アセンブリ上の荷重値を計算し、その値から、2つの荷重を合算することによって、車両の総荷重値を割り出す。この総荷重値は次いで、通信デバイスによって表示されることが可能である。
【0028】
第5のステップ(v)では、アプリケーションは、通信デバイスの画像インターフェース及び/又はオーディオインターフェースを動作させて、ユーザの車両の負荷状態につきユーザに警報を発する。ゆえに、例えば、通信デバイスは、重量が0.95×最大重量を上回る場合に赤色警報を表示するが、ここで「最大重量」とは、認可された最大荷重に対応する校正定数である。デバイスは、重量が0.8×最大重量から0.95×最大重量までの範囲内である場合に、黄色警報を表示する。デバイスは、重量が0.8×最大重量を下回る場合に、緑色警報を表示する。0.8及び0.95というレベルは2つの閾値であり、それらは校正パラメータでもある。それらが要件を満たすよう変更されうることは、明らかである。警報レベルの数は、変更可能であり、かつ、アプリケーションの種類に依存しうる。過積載の見込み、又は荷重と信頼度を、例えば95%或いは99%と表示することも可能である。
【0029】
図3は、車両の載荷後の、前輪アセンブリΔ
AV及び後輪アセンブリΔ
ARRのクリアランスの概略的表現である。この図に示す実施例では、車両は水平な地面上に駐車されている。車両は、車両の前輪中心点CR
AVと後輪中心点CR
ARRを表す2つの点によって、及び、車両の前輪ハウジング中心点CP
AVと後輪ハウジング中心点CP
ARRによって、概略的に表現されており、これらの点は、車両の車輪アセンブリのクリアランスを決定するために使用される。しかし、車両が載荷されている時に、車輪ハウジングの中心点以外の車両上の点が車輪サスペンションと共に中心に向かって押圧を受けている場合には、車輪ハウジングの中心点以外のこれらの点が考慮される可能性があることは、明白であろう。車両の前輪中心点CR
AVと後輪中心点CR
ARRとの間の距離は、車両の車輪前後間隔Lである。
【0030】
加えて、「クリアランス」という用語は概して、載荷中のサスペンションの可撓性による、シャーシに対する車軸の鉛直揺動に対応する距離を意味すると受け取られることになる。この実施例では今後、クリアランスは、対応する車輪中心点に対する、車輪ハウジングの中心点の鉛直揺動を表すことになる。
【0031】
載荷前に、識別によって、特に積載空間が車両の後部に位置する場合には、車輪中心点CR
ARRと車輪ハウジング中心点CP
ARRとの間の、載荷前の後部での距離
と、必要であれば、地球基準座標系と車両基準座標系との間の、車両のX軸に沿った傾きの角度とを(この角度がゼロでない場合には)、決定することが、顕著に可能になる。この測定は、最初の識別ステップにおいてスマート通信デバイスが非ゼロの傾きを検出すると、スマート通信デバイスによって自動的に行われ、記録されうる。
【0032】
図4を参照して下記に詳細が明かされるステップ(iii)において、通信デバイスは、車輪中心点CR
ARRと、中心に向かって押圧されている車輪ハウジングの中心点CP
ARRとの間の、載荷後の後部での距離
を決定する。
【0033】
ステップ(iv)において、通信デバイスは、撮影された車輪に対向する車輪アセンブリ、すなわち、本実施例では前輪アセンブリの、クリアランスを計算する。この目的を達成するために、通信デバイスは、好ましくは、車両中のこの目的のために設けられたドッキングステーション内に配置される。通信デバイスが既定の位置にある時に、それは、自動か手動(すなわちユーザの行為によって)のいずれかで、車両の傾きを測定することが可能である。ゆえに、例えば3秒の間に、通信デバイスは、その加速度計によって測定された3つの成分の平均値を出す。gxiPh、gyiPh及びgziPhという値が取得される。3秒の測定の間に通信デバイスが落下すると、加速成分のうち少なくとも1つが1.5gを超過し、次いでデバイスが移動したと見なされ、測定が再度行われることが必要になる。角速度のうちの1つが、絶対値で0.1rad/sという閾値を超過する場合、同じ手順を辿ることが可能である。有利には、通信デバイスは、測定中に進捗バーを表示する。この測定中に、通信デバイスが、gyiPhとgziPhのパラメータのマイナス値によって示されうる正しい向きで、保持されていることが確認される必要がある。
【0034】
計算が終わると、通信デバイスは、例えば
を計算することによって、地球基準座標系と車両基準座標系との間の、車両のX軸に沿った載荷後の傾きの角度α
apcを推定する。
【0035】
通信デバイスは次いで、次の数式
を使用して、車輪中心点CR
AVと中心に向かって押圧されている車輪ハウジング中心点CP
AVとの間の、載荷後の前部での距離
を割り出す。
【0036】
地面の勾配が考慮されることになる場合には、次の一般式
が使用されうる。
ここで、
であり、α
avcは、車両の識別中に規定される、載荷前の傾きである。Lは、これも車両の識別中に規定される、車両の車輪前後間隔である。
【0037】
図4は、発明の好ましい一実施形態による、画像捕捉及び画像処理のステップ(ii)の、詳細な図を示す。
【0038】
上述のように、ユーザは、アプリケーションによって、自身の車両の少なくとも1つの車輪、例えば後輪の写真を撮影する(ステップii.0)よう促される。写真は、好ましくは、通信デバイスが「直立」している、すなわち、それに内蔵された加速度計の測定値が、ゼロに近いx成分とz成分、及び、ゼロを下回るy成分を示す条件で(電話は上下逆になる)、撮影される。スマート通信デバイスのx成分、y成分及びz成分は、
図6に示されている。
【0039】
照光式及び/又は可聴式及び/又は振動式の信号が、ユーザが写真の捕捉を始められるように、これらの条件があることを、ユーザに伝えうる。一変形例では、条件が満たされた時に、写真の自動捕捉が提供されうる。
【0040】
通信デバイスは次いで、ユーザによって撮影された後輪の写真の処理を開始し、対応するサスペンションのクリアランスを計算することを可能にする。通信デバイスがグレイスケール写真の直接撮影が可能ではない場合に写真が撮られると、その写真は、グレイスケールに変換される(ステップii.1、ただし必要な場合のみ)。この変換は、例えば、次の重量を信号の各RGBレベルに加えて、実行されうる。
gray_image=0.3×photo_red+0.59×photo_green+0.11×photo_blue
ここで、photo_redは赤色光度であり、photo_greenは緑色光度であり、かつ、photo_blueは青色光度である。画像がグレイスケールに変換されると、ガウスフィルタを用いて画像をぼかすことで、処理が始まる。この処理により、人工的な画像グラデーション、欠陥等を減少させることが可能になる。
【0041】
次いで、幅及び高さの方向における画像の導関数を計算するために、「ソーベル」フィルタ処理が加えられ(ステップii.3)、次いで、両方の方向が結び付けられる。この処理により、画像内に存在する輪郭を取得することが可能になる(
図4Aを参照のこと)。
【0042】
画像は次いで、2つの部分、すなわち車輪ハウジングと車輪に分解される(ステップii.4)。
【0043】
分離された車輪ハウジングについて、最小二乗法によって、輪郭を形成する点を含有する円が計算される(ステップii.5)。ゆえに、画素単位の、車輪ハウジングの中心点
及び半径
が得られる(
図4Bを参照のこと)。
【0044】
分離された車輪について、第1段階は、ソーベルフィルタ処理中に計算された強度勾配に対して垂直な方向を包含するマトリクスである、方向マップの計算である。このベクトルによって示された方向にある点と、r_minからr_maxへと変化する距離が、次いで画像内で集積される。r_minとr_maxというこれらの値は、画素単位の、先行するステップで推定された車輪ハウジングの半径の値
及び、リム径と車輪ハウジングの半径との間の(既知の)理論比R
J/PRを使用して、計算される(ステップii.6)(
図4Cを参照のこと)。
【0045】
処理は、カーディナルサインと同様に、結果としてもたらされる画像をメキシコ帽型フィルタ又はメキシコ帽型ウェーブレットフィルタでフィルタ処理する(ステップii.7)ことによって、継続する。これにより、車輪の中心点付近の点の集結の改善が可能になる(
図4Dを参照のこと)。
【0046】
車輪の中心点
が次いで、車輪中心点における点の集積に基づいて、計算される(ステップii.8)。
【0047】
本発明の文脈では、車輪中心点と車輪ハウジング中心点の両方を規定するために、他の形態の画像処理が使用されうる。
【0048】
処理を完遂するために、車輪中心点と車輪ハウジング中心点との間の、画素単位の距離が計算され、その後にそれは、画素単位とメートル単位の車輪ハウジングの半径の間の比率を使用して、メートルに変換される(理論半径)。実験結果は、
図5Bに示されている。計算の結果は、載荷後の、車輪中心点と車輪ハウジング中心点との間の距離
である。この距離は、車両の載荷が増大するにつれて減少する。
【0049】
従って、工場での校正という最初のステップにより、車両の既知の重量に応じてこの距離
を示すマップを描くこと、及び、その後に、
を推定することによってこの重量を決定すること、が可能になる。
【0050】
両方の後輪を、2つの車輪の平均値である距離
を計算するために、撮影することをユーザが求められる、より先進的なバージョンのアプリケーションを思い描くことができる。
【0051】
しかし、老朽化、及び、特にシャーシとサスペンションとの間の結合部におけるクリープ現象を勘案するために、アプリケーションはその後、以下の演算
を実行することによって、後輪アセンブリのクリアランスを割り出す(ステップii.9)。
ここで、
は、載荷前の(空荷状態での)前部の距離を表す。この値は、例えば、ユーザに空荷状態の車両の撮影を求めることか、データベースにアクセスして、車両識別子についてそれに問い合わせること、のいずれかによって、車両識別の段階において割り出される。
【0052】
ユーザは、原則的にサスペンションの様々な部材の老朽化による、この空荷距離の変動を勘案するために、空荷状態で車両を定期的に(例えば年に1、2回)撮影することを求められることもある。
【0053】
図5Aは、既定の車両モデルのための車輪サスペンションの、荷重/クリアランスの関連性の例を示す。処理ステップ(ii)の完遂時に得られる後部クリアランス値は、マップ内での補間によって後輪アセンブリ上の載荷の値を計算するステップにおいて、使用されることが可能である。
【0054】
この図は、履歴現象を明示している。車両が徐々に載荷されていくと、クリアランスはカーブa
1を辿るのに対して、関連性は、車両が降荷される時にカーブa
2を辿る。
【0055】
不確実性を限定するために、破線で示された中央値カーブが使用されている。
【0056】
発明の別の実施形態により、ユーザは、車両の4つの車輪を撮影して、特に載荷状況の評価を改善することにより、重量推定の正確性の改善を可能にするよう求められる。
【0057】
車輪の各々の撮影、及び、規定通りの画像処理、又は、結果として車輪中心点と車輪ハウジング中心点の決定をもたらす他の任意の画像処理により、次いで、各車輪アセンブリのためのクリアランスの決定が可能になる。車輪の識別中に、各車輪のクリアランスが決定されるべきであり、それによって車輪の各々の撮影が必要になることが明示されると、各車輪の無荷重クリアランスは、車両の既知の特徴、並びに、例えば平らな地面上の既知のクリアランスの補間によって容易に決定されうる道の勾配にのみ、依拠することになるため、車両の長手方向及び横断方向の傾きの角度を決定することは必要ではなくなる。
【0058】
簡素化された変形例は、車輪アセンブリのクリアランスの決定のために、各車輪アセンブリ内の車輪のうち1つのみを測定するというものである。
【0059】
添付の特許請求の範囲によって規定されている発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明された発明の種々の実施形態に対して、当業者にとって明白となる様々な修正及び/又は改善がなされうることは、明らかである。
【0060】
特に、車両の識別は、各車両に割り振られた固有の英数字コードであるVIN(「車両識別番号」を表す)の使用時に、使用されうる。VINが使用されている場合、様々な計算に必要なパラメータは、中央サーバから取得することが可能である。
【0061】
VINは、スマート通信デバイスによって、例えばOBD(搭載型診断)診断インターフェースを介して、車両に送信されたリクエストによって取得され、応答は次いで順次、データベースに伝送される可能性があり、そのデータベースが、様々な計算のために必要なパラメータを返信しうる。
【0062】
加えて、デバイスの正確性を改善するために、ユーザがスマート通信デバイスを自身のドッキングステーション内に位置付けて、車両の載荷前の、地球基準座標系と車両基準座標系との間の、X軸に沿った車両の傾きを、少なくとも1回測定するよう求められる、車両識別ステップ(ステップ(iii))において、有利には、車両のY軸に沿った傾きに関する、車輪ハウジング中心点と車輪中心点との間の距離の、後の決定を訂正するために、車両のY軸に沿った傾き(横断方向の傾き)を決定できるようにもなっている。
【0063】
有利には、X軸に沿った載荷後の傾きの決定中に、Y軸沿った傾きも決定できるようになっており、この決定は、有利には、各車輪アセンブリの単一の車輪の測定と連動する。
【0064】
ゆえに、傾きの差異がより一層正確に測定される。
【0065】
Y軸に沿った車両の傾きは、地面の盛り上がりによるものであることがあり、片側の車輪のうちの1つ又は両方の車輪が歩道上にある一方で、もう片側の2つの車輪が車道上にある状態で車両が駐車している時に、発生しうる。