特許第6246810号(P6246810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6246810アダプティブ・ライティング(配光可変照明)システムを制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246810
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】アダプティブ・ライティング(配光可変照明)システムを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/14 20060101AFI20171204BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B60Q1/14 Z
   B60Q1/04 E
【請求項の数】25
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-530383(P2015-530383)
(86)(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公表番号】特表2015-527253(P2015-527253A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】EP2013068358
(87)【国際公開番号】WO2014037435
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2016年5月17日
(31)【優先権主張番号】1258419
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、アルボー
(72)【発明者】
【氏名】バネサ、サンチェス
(72)【発明者】
【氏名】シディー、ヌディオゴー、バ
(72)【発明者】
【氏名】ギュイ、エディ
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0267455(US,A1)
【文献】 特開2012−030673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビーム(1)を発生させる複数の光源を備えた車両(2)用の照明システムを制御するための方法であって、
− 前記車両(2)の前方の物体(5,5a,5b)を検出する段階と、
− 前記検出段階中に行われる検出の関数として、前記光ビーム(1)内に陰区域(8)を作り出す段階であって、検出された前記物体(5,5a,5b)を完全に包含している空間(10)中で前記光ビーム(1)内に前記陰区域(8)が作り出される段階と、
を備えた方法において、
前記物体(5,5a,5b)を包含している前記空間(10)内に一つの光源によって生じる光度が、ある光度閾よりも大きいときに、そのような光源を少なくとも一つ消灯することによって前記陰区域(8)が作り出され、
前記光度閾は、厳密にゼロより大きく、かつ前記車両の移動の軸線(18)と、前記車両と前記物体(5,5a,5b)とを結ぶ直線とが成す角度として定義される前記物体(5,5a,5b)の角位置、および/または前記車両(2)に対する前記物体(5,5a,5b)の移動の方向、および/または前記車両(2)に対するその距離の関数として決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記照明システムは少なくとも2つのヘッドライト(4a,4b)を備えており、当該方法は、前記陰区域(8)が各ヘッドライトについて独立して決定され、前記ヘッドライトの一方が、他方のヘッドライトによって作り出される前記陰区域の決定のために、消灯されたものと見做されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記光度閾は、前記車両の移動の軸線(18)に対する前記物体の角位置、前記車両(2)に対する前記物体の移動の方向、および前記車両(2)に対するその距離の関数として決定される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記光度閾は、前記物体(5,5a,5b)の前記車両(2)に対する移動の方向の決定の関数としての少なくとも2つの別個の閾から選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記物体(5,5a,5b)が前記車両(2)とは反対の方向に移動しているものと決定されたときには、前記光度閾が少なくとも3つの別個の閾から選択され、各閾は、少なくとも前記物体(5,5a,5b)の前記角位置を所定の角度範囲(27,28,29,30)と比較することによって決定される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
各閾は、前記車両(2)から前記物体(5,5a,5b)を隔てる距離を所定の距離の範囲と比較することによって決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記物体(5,5a,5b)の前記角位置が前記車両(2)の移動の軸線(18)に対して2°以上であり、特に前記車両(2)の前記移動の軸線(18)に対して2°から4.8°の間にあるときには、第1光度閾が決定される、請求項5または6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1光度閾は625カンデラ以下である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記物体(5,5a,5b)の前記角位置が前記車両(2)の前記移動の軸線(18)に対して1°以上で厳密に2°未満であるときには、第2光度閾が決定される、請求項7または8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第2光度閾は、625カンデラより大きく1750カンデラ以下である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記物体(5,5a,5b)の前記角位置が前記車両(2)の前記移動の軸線(18)に対して0.5°以上で厳密に1°未満であるときには、第3光度閾が決定される、請求項7から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第3光度閾は、1750カンデラより大きく5450カンデラ以下である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記物体(5,5a,5b)の前記角位置が前記車両(2)の前記移動の軸線(18)に対して厳密に4.8°より大きいか、或いは厳密に0.5°未満であるときには、第4光度閾が決定される、請求項7から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第4光度閾は5450カンデラ以上である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記物体(5)が前記車両(2)と同じ方向に移動しているものと決定されたときには、前記光度閾が少なくとも2つの閾から選択され、各閾は、少なくとも前記車両(2)から前記物体(5)を隔てる距離を所定の距離と比較することによって決定される、請求項4記載の方法。
【請求項16】
各閾は、前記物体(5)の前記角位置を所定の角度範囲(31,32,33,34)と比較することによって決定される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記車両(2)からの前記物体(5)の距離が50メートル以下であるときには、第5光度閾が決定される、請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
前記第5光度閾は1850カンデラ以下である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記車両(2)からの前記物体(5)の距離が、厳密に50メートルより大きく、100メートル以下であるときには、第6光度閾が決定される、請求項17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記第6光度閾は、厳密に1850カンデラより大きく、5300カンデラ以下である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記車両(2)からの前記物体(5)の距離が、厳密に100メートルより大きく、200メートル以下であるときには、第7光度閾が決定される、請求項17から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記第7光度閾は、厳密に5300カンデラより大きく、16,000カンデラ以下である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記車両(2)からの前記物体(5)の距離が200メートルより大きいときには、第8光度閾が決定される、請求項17から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記第8光度閾は16,000カンデラ以上である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
移動の方向が互いに反対な少なくとも2つの車両の特性を示す物体(5,5a,5b)を前記検出段階が検出したときに光度閾を選択する段階が設けられ、前記選択段階は、検出された前記複数の車両によって決まる前記光度閾のうち最も弱い光度閾を課すものである、請求項2から24のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、自動車両のための照明および/または合図用の装置ないし手段を制御するための方法の分野である。
【背景技術】
【0002】
自動車両の分野においては、車両の進行する道路を「部分的道路照明モード」で照射すること、即ちハイビームの中に、対向車両や同方向へ進む車両の存在する場所に対応した1つないし複数のより暗い部位を生じさせることができるようにする必要性がある。それは、できるだけ広く道路を照射しながら、これらの車両の乗員を眩惑させるのを避けるためである。そのような機能は、ADB(アダプティブ・ドライビングビーム:配光可変ヘッドライト)と呼ばれる。
【0003】
特許文献1(FR2970686A1)は、検出した物体の位置で光ビーム内に照度の局所的な低下を生じさせるADBシステムを開示している。
【0004】
そのようなシステムは、いくつかの欠点を有している。まず、このシステムによって適用される照度の低下は、制御するのが困難である。その照度の低下が、眩惑のないことを保証する規制基準を満たさねばならないからである。明らかに、この場合は最適かつ信頼性ある安全水準を保証するのが困難なのである。
【0005】
また、この照度の低下には、ADB機能の少なからぬコストを象徴するところの追加的な電子的手段を必要とする。
【0006】
最後に、上記で引用した文献に開示されるシステムは、改善に値するものである。照度の低下ではあるものの、ADB機能を備えた車両の運転者の照度低下区域における視認性は、それでもなお最大の均質な光ビームの照明と比べれば減少してしまう。従って、この最大の均質な照明は、他の道路使用者を眩惑させる危険性を伴うことなく、できるだけ長い間保たれるべきである。照度の低下は、規定された範囲内に物体が進入するやいなや、但し、その物体が事実上眩惑されるべき位置にあるかどうかを確かめることなく、適用されてしまう。この範囲内に存在していても物体は、特にADB機能を備えた車両から遠くにあるときには、眩惑されるとは限らないのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2970686号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は、上述した欠点を解決し、陰区域を作り出すのを決定する段階を改善することである。先行技術のシステムによって行われる決定に加えて、本発明による方法は、物体の眩惑レベルを算定し、この基準を、検出した物体の位置においてビーム内に陰区域を作り出すか否かを決定するのに用いるのである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の対象は、光ビームを発生させる複数の光源を備えた車両用の照明システムを制御するための方法であって、
− 車両の前方の物体を検出する段階と、
− 検出段階中に行われる検出の関数として、光ビーム内に陰区域を作り出す段階であって、検出された物体を完全に包含している空間中で光ビーム内に陰区域が作り出される段階と、
を備えた方法において、
物体を包含している空間内に(複数の光源のうちの)一つの光源によって生じる光度が、ある光度閾よりも大きいときに、そのような光源を少なくとも一つ消灯することによって陰区域が作り出され、
光度閾は、厳密にゼロより大きく、かつ車両の移動の軸線と、車両と物体とを結ぶ直線とが成す角度として定義される物体の角位置、および/または車両に対する物体の移動の方向、および/または車両に対するその距離の関数として決定されることを特徴とする方法である。
【0010】
従って本発明は、必然的にゼロより大きく、かつ車両と比較した物体の進行方向の関数として、この物体の角位置もしくは車両から物体を隔てる距離、または最後の2つのパラメータ同士の組合わせの関数として適合される光度閾を定めるものである。従って、車両の運転者は、できるだけ長い間、但し他の道路使用者の眩惑を伴うことなく、最大限の照度を保証されるのである。
【0011】
用語「検出された物体」は、1つないし複数の車両の特性を示す空間的な区域を表し、この区域は、少なくとも、これらの車両における運転者の目の位置と、当該車両の側方車体外後写鏡の位置とを包含している。
【0012】
フレーズ「空間中で/空間内に」は、この空間中/空間内の少なくとも一箇所において、光源によって生じる光度が光度閾よりも大きいという事実を表している。
【0013】
本発明による方法は、少なくとも2つのヘッドライトを備えた照明システムに適用されてもよく、当該方法は、陰区域が各ヘッドライトについて独立して決定され、ヘッドライトの一方が、他方のヘッドライトによって作り出される陰区域の決定のために、消灯されたものと見做されることを特徴とする。
【0014】
本発明の一例によれば、光度閾は、車両の移動の軸線に対する物体の角位置、車両に対する物体の移動の方向、および車両に対するその距離の関数として決定される。かくして、これら3つのパラメータ同士の組合わせによって閾が決定され得る。
【0015】
光度閾は、物体の車両に対する移動の方向の決定の関数としての少なくとも2つの別個の閾から選択されてもよい。
【0016】
当該方法の例示的な適用によれば、物体が車両とは反対の方向に移動しているものと決定されたときには、光度閾が少なくとも3つないし4つの別個の閾から選択され、各閾は、少なくとも物体の角位置を所定の角度範囲と比較することによって決定される。
【0017】
上記の解決策に加えて、各閾は、車両から物体を隔てる距離を所定の距離の範囲と比較することによって決定されてもよい。
【0018】
物体の角位置が車両の移動の軸線に対して2°以上であり、特に車両の移動の軸線に対して2°から4.8°の間にあるときには、第1光度閾が決定される。この状況は、車両に向かってやって来る、少し離れたところの物体を対象としている。
【0019】
そのような場合、第1光度閾は625カンデラ以下であるが、上述したように必然的にゼロより大きい。
【0020】
物体の角位置が車両の移動の軸線に対して1°以上で厳密に2°未満であるときには、第2光度閾が決定される。この状況は、車両に向かってやって来る、中くらいに離れたところの物体を対象としている。
【0021】
そのような状況では、第2光度閾は、625カンデラより大きく1750カンデラ以下である。
【0022】
車両の移動の軸線に対して計測した物体の角位置が0.5°以上で厳密に1°未満であるときには、第3光度閾が決定される。この状況は、車両に向かってやって来る、遠く離れたところの物体を対象としている。
【0023】
そのような場合、第3光度閾は、1750カンデラより大きく5450カンデラ以下である。
【0024】
物体の角位置が車両の移動の軸線に対して厳密に4.8°より大きいか、或いは厳密に0.5°未満であるときには、第4光度閾が決定される。この場合は、物体が車両から特に遠く離れているか、或いは、物体が実質的に車両の隣、従って通過される地点にいるという標準設定による場合である。
【0025】
そのような状況において、第4光度閾は5450カンデラ以上である。
【0026】
本発明のもう一つの代替的ないし追加的な実施形態によれば、物体が車両と同じ方向に移動しているものと決定されたときには、光度閾が少なくとも2つの閾から選択され、各閾は、少なくとも車両から物体を隔てる距離を所定の距離と比較することによって決定され、その所定の距離は、例えば一定の値または距離の範囲である。
【0027】
上記で提示した解決策に加えて、各閾は、物体の角位置を所定の角度範囲と比較することによって決定される。物体の距離と角位置とを組み合わせることによって、閾の決定が精確となり、よって陰区域を作り出さねばならぬ時機が精確となる。
【0028】
車両からの物体の距離が50メートル以下であるときには、第5光度閾が決定される。
【0029】
この第5閾の決定は、車両の移動の軸線に対する物体の角位置(この角位置は、車両の移動の軸線のいずれかの側に対して+0.9°または−0.9°よりも大きい)を考慮することによって精確となり得る。
【0030】
上記両方の場合において、第5光度閾は1850カンデラ以下であるが、必然的にゼロより大きい。
【0031】
車両からの物体の距離が、厳密に50メートルより大きく、100メートル以下であるときには、第6光度閾が決定される。
【0032】
この第6光度閾は、物体の角位置が車両の移動の軸線に対して+0.45°から+0.9°の間、または−0.45°から−0.9°の間にあると決定されたときには、更に精確となり得る。
【0033】
上記両方の場合において、第6光度閾は、厳密に1850カンデラより大きく、5300カンデラ以下である。
【0034】
車両からの物体の距離が、厳密に100メートルより大きく、200メートル以下であるときには、第7光度閾が決定される。
【0035】
この第7光度閾は、物体の角位置が車両の移動の軸線に対して+0.45°から−0.45°の間にあると決定されたときには、より厳密なものとなる。
【0036】
上記両方の場合において、第7光度閾は、厳密に5300カンデラより大きく、16,000カンデラ以下である。
【0037】
車両からの物体の距離が200メートルより大きいときには、第8光度閾が決定される。この場合、第8光度閾は16,000カンデラ以上である。
【0038】
当該方法は、移動の方向が互いに反対な少なくとも2つの車両の特性を示す物体を検出段階が検出したときに光度閾を選択する段階を備えていてもよく、当該選択段階は、検出された複数の車両によって決まる光度閾のうち最も弱い光度閾を課すものである。
【発明の効果】
【0039】
本発明の最初の利点は、第1に、物体が検出されたとしても車両運転者のために最大の照度を維持しながら、第2に、この物体が臨界的な眩惑レベルに達するものと決定されたときには、その物体の検出されている区域内での光ビームの全体的な消灯を生じさせることによる、ADB機能の安全水準の改善にある。
【0040】
もう一つの利点は、ADB機能を与えるのに用いられる技術的手段の削減にある。
【0041】
本発明の更なる特徴、詳細、および利点は、図面と共に、参考のために以下に与えられた説明を読むことから、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明による方法で得られるビームの一例を平面視で図式的に示す図。
図2】本発明による方法で生み出される、中に陰区域が配置されたビームの一例の図式的な平面図。
図3】本発明による方法を用いる車両に対して反対方向から接近する物体を検出するためのパラメータの一例を平面視で図式的に示す図。
図4】本発明による方法を用いる車両に対して反対方向から接近する複数の物体を検出するためのパラメータの一例を平面視で図式的に描く図。
図5】本発明による方法を用いる車両と同じ方向へ進行する物体を検出するためのパラメータの一例を平面視で図式的に示す図。
図6】本発明による方法を用いる車両に対して反対方向から接近する物体の角度および/または距離の検出の例を示すグラフ。
図7】本発明による方法を用いる車両と同じ方向へ進行する物体の角度および/または距離の検出の例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0043】
各図面は発明の実施のために本発明を詳細に描いているのであるが、当該図面はもちろん(当て嵌まる場合には)本発明をより明確にするのに役立ち得る、ということに留意されたい。
【0044】
本発明はまず第1に、車両、特に自動車両によって放出される光ビームを制御するための方法に関する。そのような方法は、車両に装着された照明システムの照度および/または消灯を制御するものである。
【0045】
図1に示すように、本発明の方法によれば車両2の光ビーム1が制御されるが、当該光ビームは輪郭3によって境界を定められている。この光ビーム1は、例えば車両2の前面に設置された2つの(普通ならばヘッドライトとして知られる)光学機器4によって作り出される。かくして光ビーム1は、車両の各ヘッドライト内に取り付けられた複数の光源、例えば3つから5つの光源によって生じる。
【0046】
本発明による方法は最初に、物体5を検出する段階を備えている。物体5は、輪郭3によって境界を定められた光ビーム1に突入するやいなや、車両によって特定、即ち検出される。
【0047】
本方法はまた、範囲7の境界を定める光度閾6を決定するが、その閾はここでは破線によって描かれている。如何なる陰区域も作り出されない場合には、範囲7の内部に位置する物体が規制基準を超える眩惑を蒙るものと予想される。しかしながら、輪郭3と光度閾6との間を伸びる光ビームのストリップは、一定の状況下では眩惑しないものと見做され得る。この理由により、物体5が光ビーム1内に位置していても、如何なる陰区域も作り出されていない。物体5を包含している空間10内に(1つないし複数の)光源によって生じる光度は、符号6で印された破線によって示される光度閾よりも小さいからである。
【0048】
図2は、特に、光ビーム1の内部に、検出された物体へ厳密に限定された陰区域8を作り出すことによる、アダプティブ(配光可変)光ビーム機能の使用を示している。この陰区域8は、物体5の周囲に形成された輪郭9によって境界を定められている。本発明によれば、物体5を包含している空間10内に(複数の光源のうちの)一つの光源によって生じる光度が、符号6で印された破線によって示される光度閾よりも大きいときに、そのような光源を少なくとも一つ消灯することによって陰区域8が作り出される。
【0049】
図1図2の比較により、本発明によって達成される利点が直ちに示される。事実上、物体は光ビーム1内へと突入してしまってはいるが、当該物体は眩惑されていないものと考えられるのである。従って、ビームがその全範囲に渡って均質なままであることから、車両2の使用者の視覚的な快適性は、その最大限の水準に維持され得るのである。但し、照明範囲7(この範囲では(1つないし複数の)光源が、決められた閾を超過するビームを発生させる)に物体5が進入すると見做されるやいなや、物体5の位置する空間内にビームを発生させることになったであろう(1つないし複数の)光源を完全に消灯することによって、ビーム内に陰窓部(陰になった空白域)が作り出される。
【0050】
陰区域8の生成は、本方法の一段階より結果として得られるものである。この生成段階は、上述した決定段階によって左右される。
【0051】
かくして陰区域8は、物体5を包含している空間10内に(1つないし複数の)光源によって生じる光度と、(普通ならば眩惑閾として知られる)光度閾との間の比較によって作り出される。
【0052】
本発明によれば、この閾は厳密にゼロよりも大きい。その閾はまた、車両2の移動の軸線に対する物体5の角位置、および/または、車両2に対する物体5の移動の方向、および/または、車両2に対するその距離の関数として決定される。かくして本発明は、単一のパラメータだけでなく、これらのパラメータの全ての組合わせの使用をも包含するものである。本発明の一例によれば、光度閾6は、少なくとも3つの上記に提示したパラメータ同士を組み合わせる(即ち、車両2から物体5を隔てる距離の決定と組み合わされる、車両2に対する物体5の移動の方向と組み合わされる、車両2の移動の軸線に対する物体5の角位置)。
【0053】
図面に示すように、本発明による方法を用いる照明システムは、車両2の前面に取り付けられた少なくとも2つの前部ヘッドライト4を備えていてもよい。そのような場合、陰区域8は、ヘッドライトのそれぞれについて独立して決定される。それにより、陰区域8の輪郭9とそのビームが重なり合う光源を消灯することが回避される。この第1のヘッドライトに対する陰区域の決定については、第2のヘッドライトが消灯されたものと見做される。
【0054】
光度閾は、物体の車両に対する移動の方向の決定の関数として、少なくとも2つの別個のレベルから選択される。図3または図5の実施形態によれば、検出段階によって、物体5が車両2とは反対の方向へ移動しているもの決定される。また、陰区域の生成を制御するこの光度閾のレベルの決定は、物体5の角位置を用いて、その角位置を1つないし複数の所定の角セクター(円弧中心角)と比較するものである。
【0055】
また、各レベルの光度閾は、車両2から物体5を隔てる距離を評価して、この距離を1つないし複数の所定の距離範囲と比較することによって決定される。
【0056】
図3は、複数の通行車線を備えた道路11を示している。本発明による方法を用いる車両2は、第1通行車線12上を第1移動方向13に進行している。物体5(例えば、自動車両、歩行者、二輪車・三輪車乗り、および、一般的に道路上に位置していて眩惑を避けられるべき任意の物体)は、第2通行車線14上を、第1移動方向13とは反対の第2移動方向15に進行している。換言すれば、物体5と車両2とが互いに接近しているのである。
【0057】
物体5の検出の段階は、車両2と一体の検出手段によって実施される。例示的な一実施形態によれば、検出手段は、車両2の前方の道路11を観察するように車両2に設置されたカメラ16の形態をとっている。
【0058】
このカメラ16は、車両2の移動の軸線18と物体5の第1マーカーライト19との間に渡る第1検出角度17を決定する。このカメラ16はまた、車両2の移動の軸線18と物体5の第2マーカーライト21との間に渡る第2検出角度20を決定する。この第1検出角度17と、この第2検出角度20とによって、物体5が内部に位置する検出角セクター22の計算が可能となる。
【0059】
この検出角セクター22から、例えば座標変換によって、車両2の右側ヘッドライト4a上に頂点の置かれた第1角セクター23を決定することができる。同様に、検出角セクター22から、本方法は、車両2の左側ヘッドライト4b上に頂点の中心がある第2角セクター24を決定する。この場合、第1角セクター23および第2角セクター24は、検出角セクター22から外挿法にて推定される、ということを理解されたい。
【0060】
本発明によって示される可能性によれば、第1角セクター23および第2角セクター24は、物体5の2つの車体外後写鏡の外縁を通る補正角度に反映される安全マージンによって増大させられる。この補正角度が、物体の位置する空間を決定するのに用いられる。本発明による方法は次に、比較段階を作動させて、この空間の方を向いた(1つないし複数の)光源によって生じる光度が、物体が車両とは反対の方向へ移動しているという事実と、車両に対するその角位置とによって決定される光度閾を超過しているかどうかを確かめる。
【0061】
上記のことから、検出段階によって、まず第1に物体5が車両2とは反対の方向へ移動していることが決定され、第2に、この物体の車両2に対する角位置が決定される、ということを理解されたい。より厳格な作動モードを構成する同様のやり方では、陰区域8を生成するように(1つないし複数の)光源の消灯を決定するのに、車両2から物体5を隔てる距離も使用してよい。
【0062】
図4は、本方法が、参照符号5aおよび5bで示す複数の物体の存在を検出する状況を例示している。車両2は、その移動の軸線18に沿って第1移動方向13に進行している。第1物体5aおよび第2物体5bを形成する2つの車両は、車両2の移動方向とは反対の第2方向15に進行している。
【0063】
カメラ16は、2つの物体5aおよび5bを特定し、図3で説明した原理に従って、第1物体5aに対して第1検出角セクター22aを割り当て、第2物体5bに対して第2検出角セクター22bを割り当てる。
【0064】
この第1検出角セクター22aおよび第2検出角セクター22bから、例えば座標変換と安全マージンの付加とによって、本方法は、車両2の右側ヘッドライト4aに割り当てられた第1角セクター23と、車両2の左側ヘッドライト4b上に頂点の中心がある第2角セクター24とを決定する。
【0065】
この第1角セクター23と、この第2角セクター24とによって、2つの物体5aおよび5bが内部に位置する単一空間の決定と、そして(1つないし複数の)光源によって生じる光度が決められた閾を超過することの確認とが可能となる。そのような状況においては、両方の物体5aおよび5bが互いに隣り合うやいなや、これらの物体を包含する単一の陰区域8が作り出される。従って、本方法は、少なくとも2つの直接的に隣り合った物体に対して単一の陰区域8を作り出すように、検出された各物体を一纏めにする段階を備えているのである。
【0066】
図5は、第1に本発明による方法を用いる車両2と、第2に眩惑を回避されるべき物体5とが、その上を同じ移動方向18に進行している道路11を平面視で示している。第1実施形態に代わる、或いは付け加えられるこの第2実施形態によれば、物体5が車両2と同じ移動方向18に移動しているものと決定されたときに、光度閾が少なくとも2つのレベルから選択される。それぞれのレベルは、車両から物体を隔てる距離を所定の距離範囲と比較することによって決定される。
【0067】
車両2に装着されたカメラ16は、例えば物体5の第1尾灯25および第2尾灯26の存在を検出することによって、その物体5を特定する。この検出によって、車両2と物体5とが同じ方向に進行しているときに、車両2から物体5を隔てる距離を決定することが可能となる。もう一つの例示的な実施形態によれば、2つの尾灯25および26の検出によって、検出角セクター22の形成が可能となる。その検出角セクター22より、本方法は、車両2から物体5を隔てる距離を論理的に導出することができる。図3および図4の実施形態と同様のやり方で、車両2の第1ヘッドライト4aに割り当てられた第1角セクター23と、車両2に装着された第2ヘッドライト4bに割り当てられた第2角セクター24とを決定するように、この検出角セクター22に外挿法による推定が適用され得る。
【0068】
従って、本該方法によって、物体5が内部に広がる空間の決定と、そして、この空間内に存在する光度の光度閾との比較とが可能となる。その光度閾は、物体が車両と同じ方向に移動しているという事実に関連付けられると共に、車両2からその物体を隔てる距離の関数として関連付けられるものである。その際、閾の決定に物体の角位置も用いてよい。
【0069】
本発明の一例によれば、本方法は、検出段階によって互いに反対方向へ移動する複数の物体が検出されたときに、いくつかの光度レベルからの選択の段階を作用させる。これは特に、第1に車両の前方にあって車両と同じ移動方向に進行している第1物体の存在を、第2に車両とは反対の方向に進行している第2物体の存在を、車両2が検出したときの場合である。そして、2つの光度閾があって、1番目が車両と同じ方向に進行している物体に結びつけられ、2番目が車両とは反対の方向に進行している物体に結びつけられている。そのような状況では、選択段階によって、2つのうち弱い方の光度閾が課される。そして、(1つないし複数の)光源によって生じる光度が、この選択段階から結果として得られる弱い方の光度閾よりも大きくなるやいなや、陰区域が作り出されるのである。かくして、道路使用者の眩惑のないことが保証される。
【0070】
図6は、図3または図4に示した第1実施形態、即ち車両の移動方向とは反対の方向に物体が移動している場合に適用可能なグラフである。このグラフの横座標が光度閾を決める角度の範囲を示すのに対して、このグラフの縦座標は、車両の移動の軸線18と、車両から物体を隔てる距離の範囲とを示している。
【0071】
本方法の例示的な使用によれば、上記で説明した検出角セクターによって決まる物体5の角位置が第1角度範囲27内にあるときには、第1光度閾が決定される。その第1角度範囲27は、車両の移動の軸線18に対して2°以上である。この第1角度範囲27は、車両の移動の軸線18に対して4.8°の角度によって限定されていてもよい。検出角セクターがこの第1角度範囲27に入るやいなや、本方法は、(1つないし複数の)光源によって生じる光度と第1光度閾との間の比較を行う。この比較の結果が、(1つないし複数の)光源によって生じる光度が第1光度閾よりも大きいことを示す場合には、本方法は、関係する(1つないし複数の)光源を消灯することによって、物体の周囲に陰区域を作り出す。そうでない場合には、少なくとも物体の位置する空間のレベルにて光ビームが照射され続ける。第1光度閾は、ゼロよりも大きくて、この第1の下限と625カンデラである最大値との間にある値のいずれかより選択される。
【0072】
本発明のもう一つの例によれば、第2角度範囲28が第2光度閾を生じさせる。この第2角度範囲は、車両の移動の軸線18に対して1°である角度と2°未満の角度との間に渡っている。物体の位置を決める検出角セクターがこの第2角度範囲28内に入るやいなや、本方法は、(1つないし複数の)光源によって生じる光度と第2光度閾との間の比較を行う。この比較の結果が、(1つないし複数の)光源によって生じる光度が第2光度閾よりも大きいことを示す場合には、本方法は、(1つないし複数の)光源を消灯することによって、物体の周囲に陰区域を作り出す。そうでない場合には、少なくとも物体の位置する空間のレベルにて光ビームが照射され続ける。第2光度閾は、625カンデラよりも大きく、1750カンデラ以下である。
【0073】
本発明による方法のもう一つの例示的な実施によれば、第3角度範囲29が第3光度閾の決定を可能とする。この第3角度範囲29は、車両の移動の軸線18に対して0.5°以上で厳密に1°未満である。物体の位置の対象となる検出角セクターがこの第3角度範囲29内に入るか、或いは含まれると決定されるやいなや、本方法は、(1つないし複数の)光源によって生じる光度と第3光度閾との間の比較を行う。この比較の結果が、(1つないし複数の)光源によって生じる光度が第3光度閾よりも大きいことを示す場合には、本方法は、関係する(1つないし複数の)光源を消灯することによって、物体の周囲に陰区域を作り出す。そうでない場合には、少なくとも物体の位置する空間のレベルにて光ビームが照射され続ける。第3光度閾は、1750カンデラよりも大きく、5450カンデラ以下である。
【0074】
本発明のもう一つの例によれば、検出された物体が第4角度範囲30内に存在するときに用いられる第4光度閾が作り出される。その第4角度範囲30は、車両の移動の軸線に対して厳密に4.8°より大きく、および/または厳密に0.5°未満である。物体の位置の対象となる検出角セクターがこの第4角度範囲30内にあるか、或いは交わっていると決定されたとき、本方法は、(1つないし複数の)光源によって生じる光度と第4光度閾との間の比較を行う。この比較の結果が、(1つないし複数の)光源によって生じる光度が第4光度閾よりも大きいことを示す場合には、本方法は、関係する(1つないし複数の)光源を消灯することによって、物体の周囲に陰区域を作り出す。そうでない場合には、少なくとも物体の位置する空間のレベルにて光ビームが照射され続ける。第4光度閾は、厳密に5450カンデラよりも大きい。
【0075】
前に説明したように、上記4つの例で用いた検出角セクターは、車両の移動の軸線に対して傾いた一対の角度によって境界を定められている。一対の角度のうち少なくとも一方の角度が当該の角度範囲内に入るときには、角セクターがその角度範囲内にあるものと見做される。2つの角度範囲同士が重なり合う場合、本方法は、2つの角度範囲同士の重複から生じる2つのうち弱い方の光度閾の使用を課すものである。
【0076】
上述した4つの例は、車両から物体を隔てる距離の決定を用いてはいない。それにも拘わらず、本発明は、この車両から物体を隔てる距離をも考慮することによって(特に、この距離を1つないし複数の所定の距離範囲と比較することで)閾を決定するという、この可能性を包含しているのである。この距離を考慮に入れることは、上述した角度範囲を限定する角度に対して、以下のように影響し得る:
− 物体が0から100メートルの間にあるときには、2°から4.8°の間の第1角度範囲27、
− 物体が100から200メートルの間にあるときには、1°から2.4°の間の第2角度範囲28、
− 物体が100および200メートルよりも大きいときには、0.5°から1.2°の間の第2角度範囲29(第4角度範囲は変わらないままである)。
【0077】
図7は、図5に例示した第2実施形態、即ち車両の移動方向と同じ方向に物体が移動している場合に適用可能なグラフを示している。このグラフの縦座標が、車両の移動の軸線18と、本方法がそれから光度閾を決めるところの車両から物体を隔てる距離の範囲とを示すのに対して、このグラフの横座標は角度範囲を示している。本発明による方法は、図3図4、および図6を参照して説明した本方法の使用を、図5および図7の本方法の使用と組み合わせてもよい、ということを理解されたい。
【0078】
この第2の使用の方法は、少なくとも3つの変形例:単一の距離を用いる第1変形例、複数の距離範囲を用いる第2変形例、および複数の距離範囲を車両に対する物体の角位置と組み合わせる第3変形例によって実施され得る。
【0079】
二値型と呼ばれる第1変形例は、一定の予め規定された距離の関数として一次光度閾と二次光度閾とを決定することからなる。一例によれば、物体が100メートルよりも遠いときには一次閾が用いられるのに対して、0から100メートルの間の車両に対しては二次光度閾が適用可能である。物体と車両との間の距離が100メートルよりも大きいと決定されるやいなや、本方法は、(1つないし複数の)光源によって生じる光度と一次光度閾との間の比較を行なう。この比較の結果が、(1つないし複数の)光源によって生じる光度が一次光度閾よりも大きいことを示す場合には、本方法は、関係する(1つないし複数の)光源を消灯することによって、物体の周囲に陰区域を作り出す。そうでない場合には、少なくとも物体の位置する空間のレベルにて光ビームが照射され続ける。二次光度閾に関しても、車両から物体を隔てる距離が100メートル未満であると決定されたときには同様の比較が適用され得る。この変形例において、一次光度閾が5350カンデラ以上であるのに対して、二次光度閾は厳密にゼロより大きく、1850カンデラ以下である。
【0080】
第2変形例によれば、車両からの物体の距離が50メートル以下であるときには、第5光度閾が決定される。従って、0から50メートルの間の距離の第5範囲31が作り出される。物体と車両との間の距離が、この第5範囲31に入るか、或いは含まれると決定されるやいなや、本方法は、物体の広がる空間内に(1つないし複数の)光源によって生じる光度と、第5光度閾との間の比較を行なう。この比較の結果が、(1つないし複数の)光源によって生じる光度が第5光度閾よりも大きいことを示す場合には、本方法は、関係する(1つないし複数の)光源を消灯することによって、物体の周囲に陰区域を作り出す。そうでない場合には、少なくとも物体の位置する空間のレベルにて光ビームが照射され続ける。第5光度閾は、厳密にゼロより大きく、1850カンデラ以下である。
【0081】
上述した第3変形例によれば、物体と車両との間の距離を物体の角位置と組み合わせることによって、第5光度閾が精確化され得る。かくして、車両の移動の軸線18のいずれかの側で計測した物体の角位置が+0.9°または−0.9°よりも大きいときには、上述した第5光度閾が決定され得るのである。
【0082】
車両からの物体の距離が、厳密に50メートルより大きくて100メートル以下であるときには、第6光度閾が決定される。かくして、50から100メートルの間の距離の第6範囲32が形成される。物体と車両との間の距離が、この第6範囲32に入るか、或いは含まれると決定されるやいなや、本方法は、物体の広がる空間内に(1つないし複数の)光源によって生じる光度と、第6光度閾との間の比較を行なう。この比較の結果が、(1つないし複数の)光源によって生じる光度が第6光度閾よりも大きいことを示す場合には、本方法は、関係する(1つないし複数の)光源を消灯することによって、物体の周囲に陰区域を作り出す。そうでない場合には、少なくとも物体の位置する空間のレベルにて光ビームが照射され続ける。第6光度閾は、厳密に1850カンデラより大きく、5300カンデラ以下である。
【0083】
上述した第3変形例によれば、距離の第6範囲32を物体の角位置と組み合わせることによって、第6光度閾が精確化され得る。かくして、物体の角位置が、車両の移動の軸線18に対して+0.45°から+0.9°の間、または−0.45°から−0.9°の間にあるときには、上述した第6光度閾が決定され得るのである。
【0084】
例示的な使用によれば、車両からの物体の距離が、厳密に100メートルより大きくて200メートル以下であるときには、第7光度閾が決定される。かくして、100から200メートルの間の距離の第7範囲33が形成される。物体と車両との間の距離が、この第7範囲33に入るか、或いは含まれると決定されるやいなや、本方法は、物体の広がる空間内に(1つないし複数の)光源によって生じる光度と、第7光度閾との間の比較を行なう。この比較の結果が、(1つないし複数の)光源によって生じる光度が第7光度閾よりも大きいことを示す場合には、本方法は、関係する(1つないし複数の)光源を消灯することによって、物体の周囲に陰区域を作り出す。そうでない場合には、少なくとも物体の位置する空間のレベルにて光ビームが照射され続ける。第7光度閾はかくして、厳密に5300カンデラより大きく16,000カンデラ未満である。
【0085】
上述した第3変形例によれば、距離の第6範囲32を物体の角位置と組み合わせることによって、第7光度閾が精確化され得る。かくして、物体の角位置が、車両の移動の軸線18に対して+0.45°から−0.45°の間にあるときには、上述した第7光度閾が決定され得るのである。
【0086】
もう一つの例示的な使用によれば、車両からの物体の距離が、厳密に200メートル以上であるときには、第8光度閾が決定される。かくして、200メートルを上回る距離の第8範囲34が形成される。物体と車両との間の距離が、この第8範囲34に入るか、或いは含まれると決定されるやいなや、本方法は、物体の広がる空間内に(1つないし複数の)光源によって生じる光度と、第8光度閾との間の比較を行なう。この比較の結果が、(1つないし複数の)光源によって生じる光度が第8光度閾よりも大きいことを示す場合には、本方法は、関係する(1つないし複数の)光源を消灯することによって、物体の周囲に陰区域を作り出す。そうでない場合には、少なくとも物体の位置する空間のレベルにて光ビームが照射され続ける。第8光度閾は、16,000カンデラ以上である。
【0087】
上述した第3変形例によれば、距離の第6範囲32を物体の角位置と組み合わせることによって、第7光度閾が精確化され得る。かくして、物体の角位置が、車両の移動の軸線18に対して+0.45°から−0.45°の間にあるときには、上述した第7光度閾が決定され得るのである。
【0088】
上記の説明は、左ハンドルの車両に関するものである。しかしながら本発明は、車両の移動の軸線に対して対称に角度値を移動させて、右ハンドルの車両のために用いられる方法をも包含するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7