特許第6246814号(P6246814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6246814CMCタービンブレード用の自己固定型ファスナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246814
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】CMCタービンブレード用の自己固定型ファスナ
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/30 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   F01D5/30
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-533672(P2015-533672)
(86)(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公表番号】特表2015-530518(P2015-530518A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】FR2013052278
(87)【国際公開番号】WO2014049280
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年9月21日
(31)【優先権主張番号】1259175
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガレ,フランソワ
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−183203(JP,A)
【文献】 独国特許発明第00818442(DE,C2)
【文献】 英国特許出願公告第00659592(GB,A)
【文献】 米国特許第06135717(US,A)
【文献】 米国特許第05074754(US,A)
【文献】 特開昭57−073806(JP,A)
【文献】 米国特許第02727716(US,A)
【文献】 特開2010−270754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/30
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットフォーム(32)の上方に延在する羽根(31)と前記プラットフォームの下方に延在する根元(33)とを含むタービンブレードであって、前記タービンブレードの根元は半径方向に延在するアーム(34)の形態を有し、複合材料から作成され、根元は軸方向に配向された少なくとも1つの第一平面または円筒面を有し、その母線の方向は、タービンエンジン上での動作中に前記ブレード上に印加される遠心力の作用の下で前記第一平面または円筒面上を固定片(5)が摺動できるように、前記プラットフォームに向かって配向されており、
半径方向に延在する前記アーム(34)は下部末端に、根元(33)の末端を形成してタービンブレードをタービンディスク(1)上に保持するための要素との協働のための半径方向支承点を提供する突起部(35)を有すること、および根元(33)の半径方向に延在するアームは前記第一平面または円筒面に対して前記突起部の側に完全に位置していることを特徴とする、タービンブレード。
【請求項2】
固定片(5)は、半径方向に対して30°以下の角度で配向されている第一平面または円筒面を有する、請求項1に記載のタービンブレード。
【請求項3】
固定片は、根元の第一平面と協働する、半径方向に配向された平坦面を有している、請求項1に記載のタービンブレード。
【請求項4】
前記アーム(34)が半径方向に配向された第二平面または円筒面を含み、その母線の方向は、前記プラットフォームに向かって配向されており、そこから前記突起部が、根元の第一平面または円筒面と反対の方向に延在する、請求項2に記載のタービンブレード。
【請求項5】
タービンディスクの周囲に請求項1から4のいずれか一項に記載のタービンブレードを把持するための把持手段(2)を有するタービンエンジン用のタービンディスクであって、前記把持手段は軸方向に配向された第一平面または円筒(25)面を有し、その母線の方向は半径方向平面内に配向されており、タービンエンジン上での動作中に前記タービンブレード上に印加される遠心力の作用の下で把持手段の前記第一平面または円筒面上を固定片(5)が摺動できるように、半径方向に対して45°未満の角度を形成し、
前記把持手段は2つの半径方向半ディスクの間で軸方向に延在する桁材の形態を有して、前記桁材はタービンブレードを半径方向に保持するための要素(24)を形成するように半径方向内向きに延在することを特徴とする、タービンディスク。
【請求項6】
把持手段(2)が軸方向に配向された第一平面および第二平面あるいは円筒面(24、25)を有し、その母線の方向は45°以下の角度でタービンディスクの内側に向かって互いに収束し、一方は前記固定片を摺動させるための支持体を形成し、他方は他方の下部において、ブレードを半径方向に保持するための要素を形成する形状になっている、請求項5に記載のタービンディスク。
【請求項7】
把持手段(2)の第一平面または円筒面と、把持手段(2)の第二平面または円筒面とが平坦であり、把持手段(2)の第二平面は半径方向に配向され、把持手段(2)の第一平面は半径方向に対して30°以下の角度を形成する、請求項6に記載のタービンディスク。
【請求項8】
2つの平面または円筒面を有する固定片(5)をさらに含み、その母線の方向は把持手段の2つの平面または円筒面の各々とそれぞれ平行に配向され、前記片は、前記片が前記把持手段の2つの平面または円筒面(25)のうちの1つに対して当接するように、配置されている、請求項6または7に記載のタービンディスク。
【請求項9】
前記固定片が2つの平坦面を備えるくさびであって、一方は他方に対して30°以下の角度を形成する、請求項8に記載のタービンディスク。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか一項に記載のタービンブレードが取り付けられた、請求項5から9のいずれか一項に記載のタービンディスクを少なくとも1つ含む、タービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野はタービンエンジンの分野であり、より具体的にはこれらタービンエンジンのタービンブレードの分野である。
【背景技術】
【0002】
航空機用のタービンエンジンは一般的に、ガスの流れの方向で上流から下流に向かって、ファン、たとえば低圧圧縮機および高圧圧縮機などの1つ以上の圧縮機段、燃焼室、たとえば高圧タービンおよび低圧タービンなどの1つ以上のタービン段、および排ガス管を含む。タービンは各圧縮機に対応することが可能であって、2つはシャフトによって接続されており、こうしてたとえば高圧(HP)体および低圧(LP)体を形成する。
【0003】
タービンブレードは、これらにかかる遠心力のため、非常に高い温度および高レベルの機械的応力に曝される部品である。具体的には、現代のエンジンの性能は、高圧タービンブレードが曝される温度が可能な限り高くなることを要求する。このため、これらのブレードは伝統的に金属材料で作られるが、しかしこれらのブレードを複合材料で、具体的にはセラミックマトリクス複合(CMC)材料で作ることは、魅力的である。CMCで作られた部品の利点は、その低密度および良好な温度耐性である。その一方で、その主要な欠点は、応力に対する低い耐性および塑性変形に対する弱さであり、このことがブレードをタービンブレード用に使用することを困難にさせる。
【0004】
LPタービンブレードは比較的低めの温度に曝されるので、たとえば本出願人のフランス特許第2943942号明細書にあるような、LPタービンブレードの設計にこの材料を使用するための研究が最初に行われたが、しかしこの技術をHPタービンブレードに使用することも魅力的であろう。
【0005】
しかしながら、特にCMC材料の特徴を鑑みると、これらのファスナにおける応力のレベルは非常に高いので、CMC技術をタービンブレードの製造に適用する際に直面する問題の1つは、これらのブレードを対応するタービンディスクに固定するように装置を設計することの難しさにある。
【0006】
ディスクの歯にはまる蟻継ぎまたは球状部の従来型形状を有するCMCで作られたファスナの研究は、この構成に関連付けられた困難の数を際立たせた。まず、このような蟻継ぎの場合、ブレード間で利用可能な空間によって寸法が厳しく制限されると、前記ブレードは高レベルな変形応力に曝されるが、これはCMCには高すぎる。加えて、このような装置は複雑であるため、CMCで作成するのが困難な形状で実現される。通常は補強材を間に挿入するためにこれらの繊維を分離させることによって、球状部を作成する必要がある。そして曲げ応力は、これらの形状の複雑さによる応力集中因子によって、悪化させられる。最後に、このような蟻継ぎ型装置が作動するために、これらの部品の製造公差は制限されなければならず、これもまたCMCで作られた部品で実現することは現時点では困難である。
【0007】
しかしながら、本出願人のフランス特許第2608674号明細書、または米国特許第2727716号明細書、特開平07−332006号公報、または英国特許第914548号明細書にも記載されるものなど、複合材料で作られた高圧ブレード用の様々な構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許発明第2943942号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2608674号明細書
【特許文献3】米国特許第2727716号明細書
【特許文献4】特開平07−332006号公報
【特許文献5】英国特許第914548号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの構成は、付属部品の実装を伴う多数の作業を必要とするので、ディスクに適合するのが困難であるという不都合を有する。具体的には、ディスクの外面からこれらを適合させることは可能ではなく、これはHPタービンホイールにブレードを装着するための時間に関して実質的な利点を呈する。本発明の目的は、CMCのブレードの作成と適合し、ディスク上に実装するのが比較的容易かつ迅速である、タービンブレードを固定するための装置を提案することにより、これらの不都合を是正することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明の対象は、プラットフォームの上方に延在する羽根と前記プラットフォームの下方に延在する根元とを含むタービンブレードであって、前記ブレードの根元は半径方向に延在するアームの形態を有し、複合材料から作成され、軸方向に配向された少なくとも1つの第一平面または円筒面を有し、その母線の方向は、タービンエンジンでの動作中に前記ブレード上に印加される遠心力の作用の下で前記平面または円筒面上を固定片が摺動できるように、前記プラットフォームに向かって配向されており、前記アームはその下部末端に、ブレードをタービンディスク上に保持するための要素との協働のための半径方向支承点を形成する突起部を有すること、および根元は前記第一面に対して前記突起部の側に完全に位置していることを特徴とする。
【0011】
ブレード根元に付与された形状は、ディスク上に位置する協働壁に対して押し込む固定片によって、ブレードがディスクに取り付けられるようにする。このため、ディスク上に保持されることを保証しながらブレードに単純な形状を付与することが可能である。得られた形状の単純さにより、セラミックマトリクス複合材料からブレードを作成することが可能になる。加えて、その下部における突起部の存在により、ブレードが保持されることを保証する、半径方向支持体が提供されるようにする。最後に、固定片が摺動する面に対してこの突起物と同じ側にブレード全体が位置するという事実により、ブレードがディスクの外面から取り付けられることを可能にし、これによりその取り付けを非常に容易にする。
【0012】
有利なことに、前記第一面は、半径方向に対して30°以下の角度で配向されている。この角度は、ブレードの根元上の高度な固定圧と固定片の低レベルの半径方向変位と組み合わせて良好な妥協を与える。
【0013】
好ましくは、前記アームは第二平面または円筒面を含み、その母線の方向は、半径方向に配向された前記プラットフォームに向かって配向されており、そこから前記突起部が、第一面と反対の方向に延在する。このためブレードの根元は、その形状の単純さに関して最適な形状を取り、複合材料からの部品の作成を容易にする。
【0014】
本発明はまた、その周囲にタービンブレードを把持するための手段を有するタービンエンジン用のタービンディスクにも関し、前記把持手段は軸方向に配向された第一平面または円筒面を有し、その母線の方向は半径方向平面内に配向されており、タービンエンジンでの動作中に前記ブレード上に印加される遠心力の作用の下で前記第一平面上を固定片が摺動できるように、半径方向に対して45°未満の角度を形成し、前記把持手段は2つの半径方向半ディスクの間で軸方向に延在する桁材の形態を有して、前記桁材はタービンブレードを半径方向に保持するための要素を形成するように半径方向内向きに延在することを、特徴とする。
【0015】
このような角度は、タービンエンジンでの動作中に前記ブレード上に印加される遠心力の作用の下で、適切な形状の固定片が把持手段の傾斜円筒面上を摺動できるようにするのに十分に小さいと見なされている。この固定動作を容易にするために、いかなる摩擦効果も排除するため、これらの片の間の境界に転動要素または変形可能ストリップを導入することが可能であることは、特筆すべきである。
【0016】
有利なことに、把持手段は軸方向に配向された2つの平面または円筒面を有し、その母線の方向は45°以下の角度でディスクの内側に向かって互いに収束し、一方は前記固定片を摺動させるための支持体を形成し、他方はその下部において、ブレードを半径方向に保持するための要素を形成する形状になっている。
【0017】
好適な実施形態において、両方の面は平坦であり、1つ目は半径方向に配向され、2つ目は半径方向に対して30°以下の角度を形成する。好ましくは、タービンディスクはまた2つの平面または円筒面を有する固定片を有し、その母線の方向は把持手段の2つの円筒面の各々とそれぞれ平行に配向され、前記片は、前記把持手段の平面または円筒面のうちの1つと当接するように配置されている。
【0018】
好ましくは、前記固定片は2つの平坦面を備えるくさびであって、一方は他方に対して30°以下の角度を形成する。
【0019】
最後に、本発明は、先に記載されたようなブレードが取り付けられた、少なくとも1つのこのようなタービンディスクを含むタービンエンジンに関する。
【0020】
添付図面を参照して純粋に説明的および非限定的な例として与えられる、本発明の以下の詳細な説明的記述を通じて、本発明はより良く理解され、その目的、詳細、特徴、および利点はより明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態による、CMCで作られてファスナによって保持されたブレードを備える、タービンディスクの斜視図である。
図2図1の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、タービンエンジンの流路内のガスの循環方向に対して上流の1aおよび下流の1bが付された2つの半ディスクに分割される、タービンディスク1の上部が見える。図面の見やすさのため、下流半ディスク1bの上部輪郭のみが示されている。2つの半ディスクの上部の間には、半ディスクの半径方向面を互いに接続し、ディスク1に取り付けられたタービンブレードの保持力をこれらに伝達する、コネクタの形態のいくつかの桁材2が、軸方向に延在している。桁材2の数はディスクに取り付けられたブレード3の数に等しく、ブレードの各々は2つの連続する桁材2の間の位置を占有している。これらの桁材は、この形状が必須というわけではないものの、H字型の半径方向断面を有している;しかしながら重要な特徴は、その形状が、その特定の配向が図2に関連してより詳細に記載されることになる2つの側面を有するということである。
【0023】
タービンブレードは、これらの半ディスク1aおよび1bの外縁上にあるプラットフォーム32の上方で半径方向に延在する、羽根31を有する。さらにこれは、CMCタイプの複合材料で作られて半径方向に延在する壁の形態を取り、言い換えるとプラットフォーム32に対して直角に、そして軸平面内に配向されて、言い換えると前記プラットフォームの面のうちの1つに沿って、根元33を通ってこのプラットフォームの下方に延在する。この壁は、その主要なアームが桁材2の半径方向範囲を超えて延在するまで半径方向に延在する、大文字Jのような形状の半径方向断面を有する;これは、フックを形成する突起部として終わり、そこで当接してディスクに対するブレードの正確な位置決めを提供するためにこの桁材の下方を通るように意図される。
【0024】
図2は、半径方向断面において、ブレード3をタービンディスク1上に保持するのに役立つ異なる要素の配置を示す。桁材2は第一の側に、そこでそれに対して根元33の半径方向アーム34に当接して、その下で根元33の末端を形成するフック35が所定位置に来る、略半径方向面24を周方向に含む。反対側には、これは固定片5のための斜面を形成するように、軸平面と位置合わせされているがおよそ30°の角度で半径方向平面に対して傾斜している面25を含む。固定片は、ブレードの根元の半径方向アーム34と桁材2の傾斜面25との間に挿入され、その先端がプラットフォーム32に向かって配向されている、くさびの形状である。したがってこれは、片側にはブレード3の根元の平坦な半径方向アーム34と協働する、半径方向に配向された平坦面を、そして反対側には傾斜面を有しており、この面もまた、桁材2の傾斜面25と平行に位置合わせされるため、およびディスク1上の所定位置にブレード3を保持するようにこれと協働するために、その半径方向に対しておよそ30°の角度である。
【0025】
回転中、固定片5は遠心力場の効果の下で、傾斜面25の長さに沿って摺動し、こうして表面34に対して圧力を印加することに資する。この圧力は接着効果を生じるが、これはブレードが経験する遠心力が吸収されることを可能にする。
【0026】
傾斜面25に対する固定片5の動きは、これら2つの片の間の所定位置にローラまたは変形可能ストリップを置くことによって促進される可能性があることは、特筆すべきである;これは、これら2つの片の間の摩擦をこれによって低減させるからである。
【0027】
図2はまた、断面において、片側ではブレード根元の半径方向アーム34、反対側では桁材2の傾斜面25に対する圧力の下で固定片5を保持するためのバネ6を形成する、V字型断面を備える環状部品も示している。これはディスクの外周に沿って、桁材2の内側基部に対して当接するこのバネのV字の第一アームを延在させ、その一方でV字の第二アームは固定片5の内面に対して圧力を印加して、タービンエンジンが停止しているときおよびそこに遠心力が印加されていない間、この片を外向きに押し返す。
【0028】
ここで、タービンディスク上のCMCで作られたタービンブレードの位置決めおよび本発明による固定装置によってこれがどのようにして固定されるか、さらにタービンエンジンの動作中にブレードをディスク上に固定する原理も、説明される。
【0029】
したがってディスク1は、2つの半ディスク1aおよび1bによって支承され、その下部に空き空間を有する、一連の桁材2を有する。
【0030】
作業者はまず、2つの隣り合う桁材2の間の既存の空間にバネ6を通して、取り付けられるブレードを接合する桁材2の中心孔の内側にV字の最も内側のアームの軸末端を配置することによって、バネ6を実装する。同様に、作業者は、固定片5をこの空間に通し、その内面を通じて、バネ6のV字の第二アームに対して当接する。次に、固定片5を下向きに押してバネを圧縮させ、これによって先の桁材2から離しながら、ブレードの根元33の下部のフック35が桁材の半径方向アーム24の下に通されるまで、作業者は取り付けられるブレードの根元33を同じ空間内に導入する。するとブレードは、そのフックによって半径方向に位置決めされ、上方に逃げることができなくなる。次に作業者は、バネ6の効果の下で上方に移動する固定片5を解放し、隣接する桁材2の傾斜面25に沿って摺動しながら、まずブレード根元の半径方向面34を押し戻し、次にその支承桁材に対してこれを押圧し、これによってブレードを所定位置に置いてこれをディスク1上に安定的に配置する。
【0031】
バネが使用されないバージョンでは、固定片は、タービンエンジンの回転中に印加される遠心力によって所定位置に置かれ、部品5を外向きに担持して、隣接する桁材2の傾斜面25を上方に摺動させる。同じ結果、すなわちブレード根元はその支承桁材2に対して固定片によって固定され、ブレード3はそのフック35、および前記フックと桁材の半径方向アーム24との協働によってディスク1上に安定的に保持されるという結果が、以前と同様に使用中に達成される。
【0032】
ブレードが自身の遠心力の作用の下で動くのを防止する接着の形態を取るこの固定力は、固定片の遠心力に比例すること、したがってこれがブレードの遠心力に比例することは、特筆すべきである。このため、どんな回転速度であっても、具体的にはブレードを担持するロータの過速度の場合でも、ブレードが外れる危険性はない。
【0033】
本発明によって与えられる主要な利点は、以下のようにまとめられる:
システムは、ブレードとディスクとの間の遊びの量を自動的に補う。このため、ディスクの熱機械的膨張がどの程度であっても、固定はディスクの回転速度のみによって決められるので、いつも同じになる。
【0034】
このシステムはブレードの形状に自然に適合するので、ブレードの根元33または固定片5の正確な製造公差を必要としない。したがって、複合材ファスナの面を研磨する必要がなく、これにより製造費用をさらに削減する。
【0035】
複合材料で作られたブレード根元33の形状は、純粋な長方形なのでそれ自体非常に単純である;したがって、製造費用は高くない。
【0036】
ブレード3の根元33とその固定片5との間の接触表面は、可能な限り大きくすることができる;したがって、複合材の塑性変形応力を制限するためにこれを調節すること、ひいては根元に使用される材料にとって許容可能なレベルの塑性変形応力の範囲内にとどまることが、可能である。
【0037】
最後に、固定片の重量は極端に軽く、通常は約10グラムである。したがって、桁材を空洞化して上述のH字形状を付与し、その一方で、ブレード根元の半径方向アーム34および固定片の傾斜アーム25に対して当接させるように2つの平坦面を維持することが、可能である。桁材2の重量におけるこの減少は、ブレードを作成するためのCMC材料の選択によって得られる重量の減少と相まって、特に軽量であってその寸法も小さいディスクを有することを、可能にする。
【0038】
本発明は、固定片5がその上を摺動する根元の半径方向部分34のための平坦面を用いて記載されてきた。前記固定片が、ディスクの外側に向かう摺動する動きにおいてこれと協働する面を有するならば、本発明は固定片と接触している根元の部分のための非平坦面を用いてもなされ得ることは、自明である。このため、タービンエンジンの動作中に前記ブレードに印加される遠心力の作用の下で、適切な形状を備える固定片が摺動できるようにするので、その母線の方向がプラットフォームに向かって配向されているいずれの円筒形表面も、本発明の実現を可能にする。
【0039】
その母線の方向が半径方向に対して45°未満の角度で配向されている、円筒面を有することが可能な桁材2の傾斜面25にも、同じことが該当する。このような角度は、タービンエンジンの動作中に前記ブレードに印加される遠心力の作用の下で適切な形状を備える固定片を前記傾斜円筒面上で摺動させるのに十分なほど、まだ小さいと考えられる。しかしながら理想的には、これが静止させる部品の面に沿ったくさびの動きが大きくなりすぎることなく、固定片が十分な支承力を提供するように、固定片5を形成するくさびの頂点における角度はおよそ30°である。
図1
図2